2012 年度 安全報告書

本安全報告書は 2013 年 7 月発行したものであり、航空法第 111 条の 6 に基づき、当社での
安全にかかわる情報を記載したものです。
対象期間は 2012 年 8 月 1 日から 2013 年 3 月 31 日までとなります。
2012 年度
安全報告書
2012 年度 安全報告書
目次
1.輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針
1-1.安全理念................................................................................................................................................................. 3
1-2.安全にかかわる方針 ......................................................................................................................................... 4
2.輸送の安全を確保するための事業の実施および管理体制
2-1.安全確保に関する組織及び人員 ................................................................................................................. 5
2-2.各組織の機能・役割........................................................................................................................................... 7
2-3.日常運航に直接携わる要員の定期訓練と審査 ................................................................................... 11
2-4.日常運航における問題点把握とその共有、現場へのフィードバック体制.................................. 13
2-5.安全に関する社内啓蒙活動 ......................................................................................................................... 15
2-6.使用している航空機に関する情報(機種・機材数・機齢等) ............................................................ 16
2-7.路線別輸送実績 ................................................................................................................................................ 16
3.航空法第 111 条の 4「航空機の正常運航に安全上の支障を及ぼす事態」の発生状況 .......... 17
4.輸送の安全を確保するために講じた措置
4-1.国から受けた事業改善命令、厳重注意、行政処分または行政指導等 ...................................... 19
4-2.2012 年度の安全に関する目標の達成度・安全に関する取組みの実施状況 .......................... 19
4-3.2013 年度の安全管理目標 ........................................................................................................................... 20
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2012 年度 安全報告書
1. 輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針
当社では安全に関する必要な情報を報告し共有するオープンな企業文化の下、安全理念および
基本方針に基づき業務を行います。
1-1. 安全理念
《私たちは安全を全てに優先させます》
航空会社にとって「安全性」「定時性」「快適性」「経済性」は全て欠かせない品質です。
しかし、お客様はもとよりそこで働く全ての社員の「安全性」も確保できなければ「快適性」「定
時性」「経済性」を確保することはできません。
「安全性」は航空会社にとって不可欠の基本品質であり社会的責務であり、常に他の全ての品
質に対し優先させます。
《私たちはしっかりとした組織と仕組みと安全意識で安全を支えます》
会社は安全を優先する企業風土の醸成と維持のための環境・仕組み作りに最大の努力をして
安全を支えます。
全ての社員は常に確かな安全意識を持ち業務にあたり、いかなる安全阻害要因をも見過ごす
ことなく改善を図る努力をして安全を支えます。
《私たちはゆるぎない安全文化を作り上げます》
安全であり続けるためには、私達の確かな安全意識に基づく日々の努力は勿論ですが、それ
を容認する環境が必ず必要となります。
環境とは全員が等しく共有するもの、すなわち当社の安全文化です。
安全文化を作り上げるためには日々の努力の積み重ねと多くの時間が必要となりますが、今
日の努力が必ず安全文化を作り上げていきます。
そのためには常に必要な情報を報告し共有するオープンな企業文化が不可欠です。
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1-2. 安全にかかわる方針
① 安全は常に定時、快適、経済など他の品質要素に優先する。
② いかなる状況にあっても、全ての社員は安全を最優先に判断しそれぞれの役割を果たし、会
社はその判断を尊重する。
③ 安全は全部門、全社員が重要な役割を分かち合い協調することによって確立出来る。
④ 会社は事故、不法妨害行為を防止するためあらゆる努力を惜しまない。
⑤ 経営者および管理職者は安全の重要性と自己の責任を常に認識し、組織の先頭に立って安
全を推進するとともに、全社員にその認識を徹底する。また、社員の公正な判断と安全報告を
奨励し、安全情報の公開と共有を進め、運航現場での問題を把握して安全優先の企業文化
の定着と深化に向けリーダーシップを発揮する。
⑥ 全ての社員と組織が一体となりミスを防止する。
ミスをしない・・・・・・・・・・自分が
ミスをさせない・・・・・・・・仲間に対して
ミスを起こさせない・・・・ 組織として
ミスを隠さない・・・・・・・・企業文化として
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2. 輸送の安全を確保するための事業の実施及び管理体制
2-1. 安全確保に関する組織および人員
<各組織の人員数>
(1)フライトオペレーション デパートメント(Flight Operation Department)
パイロット グループ(Pilot Group)
チェックパイロット&リソース グループ
(Check Pilot & Resources Group)
フライトアテンダント グループ
(Flight Attendant Group)
テック&クオリティ グループ
49 名
13 名
107 名
14 名
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(Tech & Quality Group)
(2)エンジニアリング デパートメント(Engineering Department)
エンジニアリング デパートメント
責任者・副責任者
オーディット グループ(Audit Group)
メンテナンス グループ(Maintenance Group)
クォリティ アシュランス グループ
(Quality Assurance Group)
マテリアル&ロジスティック グループ
(Material & Logistic Group)
エンジニアリングサポート グループ
(Engineering Support Group)
2
1
29
4
名
名
名
名
5 名
10 名
(3)オペレーションコントロール デパートメント(Operation Control Department)
オペレーションコントロールデパートメント
11 名
(4)カスタマーエクスペリエンス デパートメント(Customer Experience Department)
グランドハンドリング グループ
2 名
(Ground Handling Group)
ゲストサービス グループ
47 名
(Guest Service Group)
(成田:38 名 福岡:2 名 新千歳:3名
沖縄:3 名 名古屋:1名)
各組織における資格者数
運航乗務員
客室乗務員
整備従事者/確認主任者
地上運航従事者/運航管理者
機長
副操縦士
合計
シニアフライトアテンダント
フライトアテンダント
合計
33 名
27 名
60 名
22 名
69 名
91 名
29 名(うち確認主任者 19 名)
11 名(うち運航管理者 6 名)
(2013 年 3 月 31 日現在)
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2-2. 安全確保に関する各組織の機能・役割と概要
(1) 社 長(CEO)
経営および運航の安全に関する最終責任者であり、「安全は経営の最優先事項である」旨を含め、
安全方針を明示します。
SMS が、引き続き適切で、妥当性があり、かつ有効であることを確実にするために定期的にマネ
ジメント・レビューを行い、安全の推進に必要な経営資源の確保と適切な配分を行います。
(2) 安全統括管理者
安全管理の取り組みを統括的に管理する責任者です。
経営の立場から安全マネジメントシステム(SMS)の継続的改善を推進し、安全の監視を行うと共
に、安全施策・安全投資の決定など安全に関する重要な経営判断に直接関与します。
(3) ヘッドオブセフティーアンドリスクマネジメント
SMS の有効性と妥当性に関する事項と SMS の改善の必要性について安全統括管理者、経営層
を補佐し、また総合安全推進委員会を運営し、関連部門に必要な勧告や提言を行います。
安全・保安全般に関わる全社的な方針、安全目標計画を立案し、実行に関わる総括業務と遂行
管理を行います。
日常運航における不安全事象および対策状況を把握し評価し、社内において安全啓蒙活動を実
施しています。
(4) フライトオペレーション デパートメント(Flight Operations Department)
① パイロット グループ(Pilot Group)
・機長、副操縦士による乗務の実施および飛行技術情報の収集・分析・提供、日常運航上の技
術問題に関連する調整、運航乗務員に対する支援
・インシデントやアクシデントの発生を把握し、航空局や必要に応じて関連官庁に報告
・運航乗務員の人事・労務管理、組織運営サポート、厚生管理
を実施しています。
② チェックパイロット &リソース グループ(Check Pilot& Recourses Group)
・運航乗務員の技倆傾向の評価分析、訓練審査体制の企画立案、訓練・審査基準および訓練
シラバスの設定
・飛行訓練・審査の実施、CRM 訓練(Crew Recourse Management)を含む訓練技法・教材等の
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開発・調査研究また Qualifications Manual(訓練審査規程)の維持管理
を実施しています。
③ フライトアテンダント グループ(Flight Attendant Group)
・品質全般の向上に関する方針・計画の策定、諸制度などの整備・管理
・フライトアテンダントの人員計画策定、人事・勤務関係・労災に関する人事部との調整
・フライトアテンダントの資格管理
・客室安全に係わる基準及び手順の策定
・機内サービスに関する手順の策定、関連部署との調整
・フライトアテンダントに係わる規定の設定・管理
・フライトアテンダントの訓練に係る教育・訓練の企画及び実施管理、教材の作成・管理
・乗務に関わる報告書を管理し、品質全般に関わる点検分析、改善策の策定及び関連部署と
の調整
を実施しています。
④ テック&クオリティ グループ(Tech & Quality Group)
・航空機の運航に関する基準、手順の設定、飛行場および航空路情報の総合管理として、「運
航規程」、「Flight Crew Operations Manual」、「Route Manual」等の規程類の維持管理
・日常運航上の技術的な課題については、社内各部門および航空機メーカー等と調整を行い、
運航乗務員に対する技術的支援の実施
・運航乗務員およびフライトアテンダントの乗務管理、資格管理、健康管理
・安全上のトラブル等運航上の不具合事象が発生した際は、内容を把握し社内およびとの調整
を実施しています。
(5)エンジニアリング デパートメント(Engineering Department )
① メンテナンス グループ(Maintenance Group)
・設定された仕組みに基づく整備作業の実施
・指示された整備作業の日々の実施計画(工程計画含)・実施・工程管理及び整備記録の作
成
・整備帳票類の現物管理、運航中の機材に係わる不具合管理統括や不具合発生時の総括指
示、配置された施設・設備・資材の日常管理
を実施しています。
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② エンジニアリングサポート グループ(Engineering Support Group)
・整備計画、技術管理、生産管理に係わる整備管理業務
・事業計画等に基づく生産体制構築、委託先管理、整備従事者の訓練計画・実施管理、等の
基盤構築維持関連業務
・航空機材の仕様検討、整備方式の設定、整備要目および整備手順書の維持管理、技術指
令の発行、信頼性管理、新規技術の調査・研究等の航空機材の技術管理業務
・整備要目および技術指令に従う月間および中長期的な整備実施計画の策定と、それに基づ
く整備作業指示
・設定されたダイヤに対応した機材アサイン
を実施しています。
③ マテリアル & ロジスティク グループ(Material & Logistic Group)
・資材・施設・設備・物流に係わる整備管理業務
・航空機資材・整備用施設設備の購買、貸借、修理等の統括管理、およびそれに係わる契約
締結・履行管理業務
・資材・施設・設備の維持管理業務、物流管理業務
を実施しています。
④ クォリティ アシュランス グループ(Quality Assurance Group)
・整備部門の品質保証・品質管理に係わる総括管理
・資格審査・選任・資格者名簿等の総括管理、事業場認定関連業務、資格管理、不具合報告
記録の保管、整備従事者の教育訓練に関する方針等総括管理
・検査制度、資格制度の設定
・規程の維持管理
を実施しています。
⑤ オーディット グループ(Audit Group)
・整備部門内の監査に係わる総括管理
・監査に係わる仕組みの維持管理、内部監査計画策定ならびに実施、委託先監査の補佐
を実施しています。
(6)オペレーションコントロール デパートメント(Operation Control Department/OCC)
・飛行計画等の作成、飛行監視、運航・気象情報の入手などの業務を通じ、安全運航を大
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前提として、定時性を維持し、効率的かつ快適なオペレーションの推進
・イレギュラー発生時は運航方針策定までの各機能間の進捗管理と方針決定後の速やかな
情報発信と周知
・運航便全体に関する統制・調整・通報、月次ダイヤ統制に関わるダイヤ調整、運航実績管理
業務
・運航管理部門の品質管理・教育訓練・生産体制・システム開発に関わる企画立案などの統
括管理業務
・規程類の維持管理
・オペレーション情報の社内共有促進による、迅速かつ的確な意思決定と、戦略的な情報発
信を実施しています。
(7)カスタマーエクスペアレンス デパートメント(Customer Experience Department)
① グランドハンドリング グループ(Ground Handling Group)
・ランプハンドリングに関わる搭降載業務、地上走行支援業務、防除雪氷業務等の手順設改訂
・業務委託先とのハンドリングに関する調整窓口や各就航地で委託するランプ業務の品質管
理、地上ハンドリングの委託管理業務
・新規路線開設時には委託先の選定や認定に関する各種審査を担当し、また、年間を通じて
安全・品質を向上し確立させるために委託するハンドリング業務の定期・臨時監査の実施
を実施しています。
② ゲストサービス グループ(Guest Service Group)
・空港旅客サービス業務に関する基準作成、業務手順の構築と運用管理、教育訓練の実施と
訓練実績管理
・空港旅客サービス業務に関するマニュアルや資料の更新および維持管理においては、各種
法令や 規則に準拠するよう基準や手順を改訂すると共にその情報を発信し、各就航地にお
ける業務のアップデートの実施
・成田では自社ハンドリングの為、安全、効率的な業務遂行を確立・維持すると共に、他空港事
例も踏まえたハンドリング事例の振り返り、共有、及び課題の抽出、改善
・各空港の旅客ハンドリング委託先に対しては、成田で確認した品質向上策を水平展開すると
共に業務手順や教育訓練が会社の定める基準を満たす、あるいは上回るかの精査・評価
を実施しています。
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(8) セキュリティ デパートメント
・保安対策の企画・立案・実施管理、保安関係補助金に係る調整・精算業務、保安検査業務
委託契約管理、保安用設備管理、監督官庁・保安関係先との調整業務、保安品質管理、保
安教育計画・実施管理、保安関連規程の設改定
・航空保安プログラムに基づく保安対策方針の立案、実施
・ハイジャック、爆破予告、不審物、危険物、脅威レベル増大時などにおける対策の立案と
実施
・航空保安に関する訓練の統括
を実施しています。
2-3. 日常運航に直接携わる要員の訓練および審査
(1)運航乗務員の訓練審査
運航乗務員は、乗務資格を維持するために運航規程に基づいて、定期的に訓練と審査を受けな
ければならないため、学科訓練、模擬飛行訓練、緊急訓練、LOFT(Line Oriented Flight
Training)訓練 *1を実施しています。
また、訓練とは別に、シミュレーター(模擬飛行装置)の技能審査と運航便における路線審査を受
け、これらに合格することが求められます。
*1: LOFT訓練とは・・・
シミュレーターを使用し、実運航に近い環境でクルーコーディネーション能力の向上を目的とす
る訓練方法です。
(2)フライトアテンダントの訓練審査
フライトアテンダントに対して、運航規程に基づき、以下の通り職務遂行に必要な知識及び能力を
付与、または維持させるための訓練及び審査を実施しています。
フライトアテンダントの業務を行ったことのない訓練生、並びに過去に客室乗務員としての業務を
行った経験のある訓練生に対して必要な知識を付与し、資格を発令するために Flight Attendant
Initial Training(初期訓練)を実施しています。
資格発令後は業務に係る知識及び能力を再確認するために 1 年毎に Safety and Emergency
Procedures Recurrent Training(定期訓練)を実施、一定期間乗務を行わなかったフライトアテンダ
ントに対しては、乗務を再開する前に Refresher Training(復帰訓練)を実施することで知識と能力
を再確認しています。
その他、シニアフライトアテンダント(先任客室乗務員)として乗務するための資格を取得するシニ
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アフライトアテンダント訓練、フライトアテンダントの訓練及び審査を担当するインストラクターとし
ての資格を取得する Instructor Training を実施しています。
(3)整備従事者に対する訓練審査
整備規程および業務規程に基づき仕組みを構築しています。
整備管理業務、整備業務に係わる者は、職務内容・経験等に応じ、必要な知識・技能を訓練で取
得させます。訓練修了者に対する資格審査は、整備規程・業務規程に定める訓練・経験等の要
件に基づき実施します。審査の結果、全ての要件を満足していると認めた者を資格者として選任・
任命します。選任・任命した者に対しては資格の維持のため、定期訓練を設定しています。
(4)地上運航従事者に対する訓練審査
1年毎の定期訓練並びに職務を円滑に実施できるよう随時訓練を実施しています。
査察運航管理者は運航管理者を任命する際に審査を実施します。運航管理者として必要とされ
る技術及び質疑が生じた場合、随時審査を実施しています。
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2-4. 日常運航における問題点把握とその共有、現場へのフィードバック体制
当社では、運航の安全水準を継続的に把握するとともに、自社の運航経験及び社外の情報から
不安全要素を抽出して、そのリスクに応じて排除・回避・軽減・モニターなどの対策により、リスク
を許容可能な水準(安全な水準)に留めるよう管理しています。
安全情報からリスクのピックアップ
運航リスクの一次評価
レベル A:受容可能なリスクレベル
運航リスクの原因分析
レベル B:リスクはあるが、直ちに対策を
対策の実施
講じる必要性は低いレベル
レベル C:受容できないリスクがあり、対
レベルC以上
対策後の二時評価
策を講じる必要があるリスク
レベルB以下
レベル D:受容できない大きなリスクがあ
No
クローズ判断
モニター
Yes
クローズ
り、直ちに対策を講じる必要
があるリスク
日常運航における問題点は、主に安全や品質を扱う会議で対策が検討され、実施されます。ま
た、そこで決定された内容を社内の業務ルートを通じて周知しています
<現場へのフィードバック体制>
(1) 総合安全推進委員会
安全に関わる重要事項の最高審議機関として、組織を横断する総合安全推進委員会を設置し定
期的に開催します。当委員会では SMS の実施状況について評価を行い、必要に応じ改善のため
に提言・勧告および指示を行い、安全に関する情報の共有化をはかると共に、部門間の意志の
疎通を確保しています。
(2)ORC会議(Operation Report Committee)
日々の運航において発生した事象について、各部門の担当者が定期的に集まり、情報共有をし、
発生原因と対策を検討します。
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(3)飛行データ解析プログラムの運用
運航の安全の向上を図るため飛行記録装置等において収集したデ-タの解析・評価を行っていま
す。解析されたデ-タを基に、毎月報告書をまとめ、運航乗務員と関連部署に配布し、安全運航の
維持・推進と運航品質の向上を図っています。
<報告制度>
安全運航を維持推進するためには、会社が運用する運航の実態と発生事象を日常的に監視し、
各社員が気になっている安全上の問題点など会社に報告しやすい環境を整備して、以下のような
制度を運用しています。
直接運航に携わる社員に対し、安全に影響を及ぼす事象について速やかに報告を行うことを義務
付け、安全対策に活用しています。
(1) 運航乗務員の報告
① Captain Report
航空法に基づく機長報告事項およびそれに相当する事項の報告をしています。
② Air Safety Report
航空法、通達等により監督官庁に会社としての報告が求められる事項ならびに運航中に発
生した事象を把握し、事故予防対策及び運航品質の向上を図ることを目的として、会社が報
告を求める事項の報告をしています。
(2)客室乗務員の報告
・ Voyage Report
運航に係わるイレギュラー報告、機内業務やサービスに係わる改善提案を報告しています。
(3)運航管理者の報告
・ Dispatcher Report
通常とは異なる運航状況が発生した場合、及び改善意見を提案する報告をしています。
(4) 整備士の報告(整備不具合事象報告書)
・ Maintenance Quality Information (MQI)
整備作業者および整備管理業務に携わるスタッフのヒューマンファクターに起因して、航空機
材および関連業務に不具合事象を及ぼした事象に対し、その不具合情報を MQI を発行し、
関連部署へ展開することによって情報の共有化を促進し、不具合の再発防止を図ることを目
的としています。
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2012 年度 安全報告書
2-5. 安全に関する社内啓蒙活動
SMS をさらに効果的なものにしていくために、安全啓発や情報共有の為に、定期、不定期を問わ
ず、安全意識の向上に寄与する取り組みを以下の通り行っています。
■安全教育
全社員を対象に入社時に安全教育を実施しています。
■安全に関する表彰
当事者および社内の安全意識向上の為、安全性の向上の取り組みやインシデントの未然防止行
為など安全に貢献した者への表彰を行っています。
■ヒヤリハット制度
安全対策に一層役立つと思われること、あるいは黙っていれば事象として現れることが少ないと思
われる経験(ヒヤリ・ハット)などを当事者が自発的に報告する制度を運用しています。
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2-6. 使用している航空機に関する情報
機種
機数
座席数
平均機齢
A320214/216
4機
180 席
0.79 年
平均年間
飛行時間
1,873 時間
平均年間
飛行回数
1,156 回
(2013 年 3 月 31 日現在)
2-7. 路線別輸送実績
(2012 年 8 月 1 日~2013 年 3 月 31 日)
*1
*2
*3
*4
*5
*6
路線
成田-新千歳
有償旅客キロ(RPK)*1
座席キロ(ASK)*2
155,311,472
228,637,440
運航実施便数
1,424 便
成田-福岡
120,970,746
190,492,560
956 便
成田-沖縄*3
106,341,885
180,019,800
530 便
成田-仁川*4
45,928,169
69,247,800
248 便
成田-釜山:*5
24,222,207
44,136,720
236 便
中部-福岡*6
203,112
267,840
2便
有償旅客キロとは、有償旅客数×輸送距離
座席キロとは、総座席数×輸送距離
成田-沖縄線は 2012 年 8 月 3 日就航
成田-仁川線は 2012 年 10 月 28 日就航
成田-釜山線は 2012 年 11 月 28 日就航
中部―福岡線は 2013 年 3 月 31 日就航
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3. 航空法第 111 条の4「航空機の正常運航に安全上の支障を及ぼす事態」の発生状況
(1) 航空事故・重大インシデント
2012 年度当社では重大インシデントが 1 件発生致しました。
航空事故とは・・・
航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突火災、航行中の航空
機の損傷等の事態が該当し、国土交通省が認定します。
重大インシデントとは・・・
航空事故には至らないものの、事故が発生する可能性があったと認められるもので、滑走路から
の逸脱、非常脱出等が該当し、国土交通省が認定します。
【概要】
2012 年 7 月 5 日当社事業開始に先立ち実施しておりました成田発那覇行訓練便は、成田空港を
離陸後、那覇空港に非精密進入にて滑走路 18 に進入する際、他社機の滑走路誤侵入により、高
度 500~600ft にて管制官より着陸復行の指示が受け、当社便は指示に従い着陸復行を実施しま
した。
【推定原因】
当該操縦士から聞き取り調査では差し迫った安全上の問題は発生しておらず、管制指示に従い
着陸復行をし、正常に着陸致しました。運航上問題はありませんでした。
現在国土交通省運輸安全委員会にて原因については調査中です。
【対策】
当社は国土交通省運輸安全委員会からの以下の要請に従い協力し、対応しました。
1) 飛行記録装置(DFDR)の提出
2) 操縦室音声記録装置(CVR)の提出
社内各部においては事例紹介ならびに周知を実施しました。
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2012 年度 安全報告書
(2) 安全上のトラブル
安全上のトラブル(義務報告)とは・・・
2006 年の航空法改正により、航空事故等を防止する手段として、航空事故や重大インシデントに
至らなかった事案に関する情報についても航空関係者で共有し、予防安全対策に活用していくこ
とを目的に、新たに「その他の航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態」(以下、「安全
上のトラブル」という)を国に報告することが義務付けられました。これらのトラブルが積み重なっ
た場合には事故を誘発することにもなりかねないものの、個々のトラブルは航空機の安全な運航
にほとんど影響はなく、直ちに航空事故につながるものではありません。
2012 年度に当社が運航中、整備中に発生した安全上のトラブルは 16 件でした。
原因を分析し、必要な対策をとり、再発防止に努めています。また機材トラブルについては、装置や
機器の交換および動作点検を実施し、規程基準の再徹底を周知致しました。
航行中
件数
対地接近警報装置(GPWS)の作動
1件
飛行中において出入口およびドアが完全に閉じていないことを示す警
6件
報の作動
着陸復行中、一時的な速度超過
2件
航空機衝突防止装置(TCAS)の指示における回避操作
2件
離陸上昇中に、一時的な速度超過
1件
警告表示装置(ECAM)にて航法装置等の警告表示の発生
1件
化粧室内での旅客によると思われる喫煙行為ならびに煙探知機の作動
1件
について
整備作業
-
航空機製造者より認められてない部品の装着
2件
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2012 年度 安全報告書
4. 輸送の安全を確保するために講じた措置
4-1. 国から受けた事業改善命令、厳重注意、行政処分又は行政指導等
2012 年度の発生はありません
4-2. 2012 年度の安全に関する目標の達成度・安全に関する取組みの実施状況
2012 年度初就航した当社にとって社内安全体制の確立は最優先課題と認識し対応を図りました。
従来にない新たな発想とビジネスモデルにて立ち上がった当社において運航に関する様々な背
景を持つ集合体であることは大きな強みでありますが、安全を支える重要な要素の一つである
「安全文化の醸成」は時間を要するものであり一朝一夕に構築できるものではありません。当社に
おいて確固たる安全文化を築き上げるためには、安全活動の地道な積み重ねを持続させること、
ならびに不具合を迅速に認識・把握し、適切な対応をタイムリーに実施することが重要であり、全
社を挙げて取り組みを継続していく所存です。
以上の環境を認識し、2012 年度の安全目標については以下の観点から策定しました。
①現在の社内の弱点を集中的かつ短時間で補強する。
②立ち上げに伴い発生した問題点(=ハザード)をタイムリーにピックアップし解決を図る。
2012 年度安全管理目標
『安全運航体制の確立』
1) 規程基準の遵守
ツール:安全管理規程 各規定類
全社員が安全確保をベーシックマナーとして身につけなければならない「躾」です。特に、安全を
全てに優先させる観点からの管理層の組織全体に行き亘る「目配り」が重要です。
2) 就航開始に伴う社内体制のレビュー
ツール:安全管理規程(SMS)
総合安全推進委員会
新しい組織が動き出した時には「仕組み」と「実態」のアンマッチ=ハザードが必ず出てきます。安
全運航体制堅持のためには早めに「ハザード」を見つけ出しリそのリスクを管理することが重要と
なります。そのために安全管理の PDCA(Plan,Do,Check,Action)をタイムリーに実施します。
3) Safe Flight Operation
ツール:FDM (Flight Data Monitoring:全ての自社のフライトの飛行記録を記録しており、そのデー
タを後日確認することができます)
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2012 年度 安全報告書
FDM では客観的にフライトの状態をモニターするだけでなく、その機能を可能な限り活用し、乗務
員が必要とする情報を提供し組織でフライトをサポートします。
4-3. 2013 年度の安全管理目標
2012 年度8月の初便就航以来仁川、釜山及び中部に継続して路線展開を行ってきました。航空
事故及び重大インシデント等大きな不具合を起こすことなく 2012 年度を終了することができました
が、一方で規程、基準違反が複数件発生しており、必ずしも安全風土が確実に定着されている状
況ではありませんでした。
全社員が当社の安全理念に立ち返り、確かな安全意識を持ち全社一丸となり安全に対して取り
組んで参ります。
2013年度安全目標
1) 『全社安全意識の向上』
すべての業務の実施に当たっては強い安全意識を持つことが大切です。
2) 『安全運航の堅持』
私達は安全を基本品質の一番大切な項目として位置づけ常に優先させます。
重点項目
① 規程、基準の順守
安全運航を支えるため強い安全意識を持ち規程、基準を順守します。
②情報報の共有
日々の安全運航を守るため、様々な情報を全員で共有し、ベクトルを合わせ
確実に業務を遂行します。
発行
2013 年 7 月
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