従業員一人ひとりが誇りと自覚を持って 地域社会の課題解決に真摯に

トップ・コミットメント
CSR 機能の充実なくして、
社会の信用は得られない
モールビジネスのノウハウは、海外でも十分に
役立てることができると思います。2 0 0 8 年
秋にはイオンとともに中国・北京に大型ショッピ
イオンモールは 2 017年の経営ビジョンの
中で「世界ナンバーワンの環境マネジメント
ングモールを開業し、将来的に東南アジアでの
モールビジネスを積極的に展開する方針です。
モール」を打ち出しました。企業人である前に
「地球人」であり「生活者」として環境問題に
取り組むことが重要であると考えたからです。
私は、ショッピ ングセンター
(S C)には 4
合併によるエネルギーを
社会に役立てることが求められる
つの機能があると思います。一つ目がお買い
イオンモールは、2 0 0 7年 8 月 2 1日にダ
物を楽しんでいただくショッピング機能、二
イヤモンドシティと合併し、日本最大のモール
つ目が地 域の伝統行事やお祭り、文化活動、
ビジネスを展開する企業になりました。私は、
献血活動などのコミュニティ機能、三つ目が
この合併は「心と心の合併」であると社員に
物を買うだけでなく、心豊かに映画などを楽
語ってきましたが、幸い、社員たちはみな「新
しんでいただくエンターテイメント機能、そ
しい会社をみんなで創ろう」という意気込み
して四 つ目が C O 2 を削 減したり、人にやさ
で取り組んでいます。このエネルギーを新生
しいユニ バーサルデザインを施 設に 取り入
イオンモール の成長に役 立 たせるだけでな
れ るなどした C S R(C o r p o rate S o c ial
く、より良い社会をつくるために使うことが必
R e s p o n s b ilit y )機能です。
要であると考えています。
とくに四つ目は、企業が社会から認めてい
私たちは S C 開発のパイオニアとして、地域
ただくための重要な機能です。なかでも、いま
の生活者に新たな価値を創造し続けてきまし
世界的な課 題になっている地 球温暖 化をは
た。いま求められているのは、地域活性化の
じめとする環境問題に関しては、イオンモー
お手伝いです。ここ数年、全国各地から「まち
ルという企 業として 取り組むのは当然です
づくりを手伝ってほしい」という切実な声が
が、一人ひとりの従業員が毎日の生活でも環
寄せられ、街を再生したいという強い思いが
境を意識して行動する、そうしたスキルを身
伝わってきます。イオンモールが蓄積してきた
に付けることが、当社のもう一つの大きな使
モールビジネスのノウハウを駆使して、S C を
命であると認識しています。
オープンさせることは、
「輝くまちづくり」のお
環境に配慮をしながら地 域活性化を促す
手伝いをさせていただくことだと考えます。
従業員一人ひとりが誇りと自覚を持って
地域社会の課題解決に真摯に取り組む企業でありたい。
イオンモール株式会社 代表取締役社長
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地域社会に「団欒」を復活
イオンの基 本 理 念は、
「お客さま第一」の
15 0 世帯増加しました。
モールが、地 域の新しい魅力を生み出し、
コミュニティの活性剤となっているのです。
姿勢を貫くことです。いま、お客さまが求めて
いるものは何かと考えると、それは「コミュニ
ティの創造」だといえます。2 0 0 7年11月に
イオンモール羽生をオープンさせたとき、15 歳
従業員が誇りを持って
CSRに取り組める企業として
の少女からこんな声をいただきました。
「イオ
企業の使命として、従 業員一人ひとりが働
ンモールに来ると、おばあちゃんが楽しそう
きやすい職場環境をつくることも非常に大切
です。家族で出かけることが多くなって、話題
です。女性が育児しながら仕事を続けられる
が増えました」という内容でした。
職場づくりもその一つです。いま、女性のリー
ご家族が一家で楽しく買い物をされ、その
ダーも育っています。働きやすい企業となるた
ことを話題に会話がはずむ……。日本人が忘
めには、従業員同士が、お互いに仕事や家庭
れかけた「団欒」が、イオンモールを一つの場
について忌憚なく話し合える風土づくりが必
として復活しているのです。
要です。こうした従業員同士の結びつきから、
イオンモール日の出では地域の成人式を開
さらに家庭や地域の活動にまで広げていく。
催しました。それまでは、地域の公民館で開催
会社、家庭、地域が一体となってより良い関係
していたのですが、いかにも成人式にふさわし
を築いていくことが、ほんとうの意味でイオン
く、晴れやかで、多くの人に祝福されながらの
モールが地域社会の中に根づくことにつなが
成人式になりました。このほか、お子さんから
ると思います。
のお願いでお母さんのための誕生日コンサー
イオンモールは合併を機に、名実ともに業
トを開くなど、各地域ごとに人々の生活になく
界のナンバーワン企業になりました。従業員
てはならない存在になっています。
たちが、リーディングカンパニーの誇りと自覚
このように、私たちのモールがある地域では
を持ちながら、自分たちが率先して行動するこ
コミュニティが 育っています。青 森県のイオ
とが社会を変えていく大きな力になると認識
ンモール下田は、オープンしてから14 年 経
し、最重要課題である環境対策や地域社会づ
ちますが、その 地 域 で 唯 一人口が増えまし
くりに取り組んでいきます。
た。2 0 0 7 年秋にオープンしたイオンモール
日の出では、オープンしてから地域の住民が
私たちのCSRは、そんな一人ひとりの思い
の積み重ねなのです。
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