ルアーのアピール力向上のために

ルアーのアピール力向上のために
3班
鍵田佳彦
1.はじめに
w1、w2 の変化について表 1 にまとめた。l、w1、w2 は
釣り用のルアーの多くには先端付近にリップと呼
ばれる板状の部品が付いており、リップでルアーの
10 mm ずつ変化させ実験を行なった。
2.3
リップの取り付け方
動きを制御している。リップの形状によってルアー
リップを取り付ける角度によってリップの形状以
の動きがどのようになるかを計算から予測するのは
外の条件が変化しないように取り付ける。リップを
難しいため、異なる形状のリップをつけたルアーで
取り付ける角度が 30°と 60°の場合でのリップと
多くの実験を行い、ルアーの挙動を観察し、最も水
ルアー本体の断面の略図を図 3 に示す。
面を揺り動かすための、周期が小さく、振れの大き
2.4 振れ方の評価
いリップの形状を決定した。
図 4 に示すように実験用ルアーの上面には 2 つの
点があり、その 2 点の座標を読み取ることで、実験
2.実験方法
用ルアーが流体実験装置の進行方向からの傾度を求
2.1
めた。座標軸の設定は図 5 に示すように流体実験装
実験装置
図 1 に示す実験用ルアーを流体実験装置を用いて
置の進行方向と平行に x 軸を、x 軸に垂直に y 軸を
8 cm/s で移動させ、その挙動をカメラで撮影し、観
設定した。実験用ルアーは図 5 に示した y 軸方向に
察した。リップの長さと幅は図 2 のように設定した。
も平行移動してしまうため、観測した時間よって原
リップは着脱式になっており、取り外すことができ
点は移動し、常に基準点 A が原点になるようにした。
る。
2.2
実験条件
表 1 リップの形状の変化
リップを取り付ける角度を 30 °と 60 °にし l、
取り付け角
30°
60°
l=10
l=20
l=20
l=10
l=20
l=20
各値の変化
mm~50 mm w1=w 2=20 mm
mm w1=w 2=30 mm~70 mm
mm w1=20 mm w2=30 mm~70 mm
mm~50 mm w1=w2=20 mm
mm w1=w 2=30 mm~70 mm
mm w1=20 mm w2=30 mm~70 mm
図 1 ハンドメイドルアー
図 3 取り付けたリップの断面の略図
図 2 長さと幅
図 4 基準点
表 3 幅 w1、幅 w2 を変化させた場合の結果
取り付け角(°) 幅(mm)
振れ角(°)
60
周期(S)
振れ角(°)
30
周期(S)
30
7.1
1.7
8.0
2.1
40
5.8
1.8
5.4
2.2
50 60 70
2.6 0 0
2 0 0
2.6 0 0
2.1 0 0
表 4 幅 w2 のみを変化させた場合の結果
図 5 座標軸の設定
取り付け角(°) 幅w2(mm)
振れ角(°)
60
周期(S)
振れ角(°)
30
周期(S)
θ (°)
12
9
6
3
0
-3
-6
-9
-12
30
8.7
2.0
6.4
2.0
40
10
2.4
9.4
2.6
50 60 70
2.9
0
0
2.1
0
0
3.9
0
0
2.2
0
0
4.まとめ
実験用ルアーの場合では、リップを 60 °で取り
付け幅を 20 mm、長さを 30 mm にした場合か、30 °
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
時間(S)
で取り付け、幅を 20 mm、長さを 40 mm にした場合
が最もアピールできると思われる。
図 6 リップなしで実験した結果
レイノルズ数 Re は流速を U[mm/s]、
長さを L[mm]、
動粘度を ν[mm2/s]とるすと、
3.実験結果
Re =
リップを取り付けずに実験した結果から得られた
𝑈𝐿
𝜈
(1)
グラフを図 6 に示す。
で与えられる 1)。また、渦の発生周期を f とすると
リップの 3 通りの形状の変化とその取り付け角に
ストローハル数 St は
おける周期と最大の振れ角の変化を表 2 から表 4
St =
に示す。表 2 には長さのみを変化させた場合、表
𝑓𝐿
𝑈
(2)
3 には幅 w1 と幅 w2 を共に変化させた場合、表 4
で与えられる 1)。U = 80 mm/s、L = 20 mm とすると、
には幅 w2 のみを変化させた場合の結果をまとめ
温度が 20 度における水の動粘度は 1.004 である 1)
た。表 2 と表 3 における幅が 60 mm と 70 mm の
ので、Re = 1.6×103となる。U = 80mm/s、L = 50mm
場合の周期と振れ角が 0 となっているのは振れ角
とすると Re = 4.0×103 である。このレイノルズの
が視認できないほど小さかったため、振れていな
範囲であれば St = 0.2 程度であり 1)(2)式より周期
いということを表している。
が求められる。周期は L が小さくなるほど大きくな
るが、幅 L の変化による周期の変化と(2)式の関係が
表 2 長さを変化させた場合の結果
取り付け角(°) 長さl(mm)
振れ角(°)
60
周期(S)
振れ角(°)
30
周期(S)
10
5.1
2.8
2.2
3.1
20
8.1
2.2
3.2
2.6
30
9.5
2.0
10
2.2
一致しておらず、リップの形状以外にも、ルアー後
40
7.2
1.9
12
2.2
50
2.2
2.5
5.8
2.8
方にできる渦やルアー本体の形状による影響も大き
いと考えられる。
参考文献
1)杉山弘・遠藤剛・新井隆景
北出版株式会社
1995 年
共著:流体力学、森