Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - のぼせと冷え - 第 25 講 『 のぼせと冷え 』 第 1 節『 のぼせ 』 :のぼせは女性に多くみられ、顔がほてる、頭がのぼせる、全身がほてる、足がほてるな どを訴える。 また上半身のほてりと下半身の冷えを同時に伴っているものもありこれを「上熱下寒」 という。 * 基本的にのぼせは陰虚による虚熱の症状である。 *「上熱下寒」の多くは心腎不交によるものである。 【 分 類 】 【 病因病機 】 熱病後期 素体陰虚 陰 後天失養 虚 ―――――――――――→ 虚熱の発生 ⇒ のぼせ 熱が上部に上がる ⇒ のぼせ(上熱) 嘔吐・下痢 情志の失調 辛い物の食べ過ぎ 心火亢進 他臓腑の熱 [心腎不交?] 素体陽虚 久 病 心身過労 ――→ 腎 陽 虚 虚寒が下部に下がる ⇒ 冷え(下寒) 房事過多 【 症状と処方例 】 1. 陰虚によるのぼせ [症 状] 顔・頭・足または全身のほてり・のぼせ。または潮熱、盗汗、五心煩熱を伴う。 舌紅脈細数。 - 108 - Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - のぼせと冷え - [処方例] 経 絡 太 白 脾 経 足三里 胃 経 三陰交 脾 経 意 義 取 穴 部 位 足の第 1 中足指節関節の後、内側陥凹部 補中生津 膝を立て、外膝眼穴の下 3 寸 内果の上 3 寸、脛骨内側縁の骨際 加 失調している臓腑の特定穴 2. 心腎不交(?)による上熱下寒 [症 状] 頭顔面部ののぼせ、腰部・下肢・腹部などの冷え。顔面紅潮、めまい、目の充血、 咽喉部の乾き、口渇、歯痛、腰部の鈍痛、寒がり、小便清長、下痢をするものもある。 舌質紅または舌尖紅、または舌苔少、脈細弱。 [処方例] 経 絡 神 門 (大陵) 心 意 義 経 取 穴 部 位 手関節前面横紋の尺側、豆状骨の上際で尺側手根屈筋腱の橈側 心包経 手関節前面横紋の中央。 清心瀉熱 内 関 心包経 大陵穴から曲沢穴に向かい上 2 寸 通 里 心 経 神門穴から少海穴に向かい上 1 寸 命 門 督 脈 第 2・3 腰椎棘突起間 太 谿 腎 経 関 元 任 脈 補 腎 陽 内果とアキレス腱の間陥凹部 前正中線上で臍下 3 寸 - 109 - Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - のぼせと冷え - 第 2 節『 冷え症 』 :冷え症とは身体の特定部位だけが特に冷たく感じるものをいう。女性に多く見られる。 【 分 類 】 実 証 : 寒湿、瘀血 虚 証 : 陽虚 【 病因病機 】 外感寒湿邪 気 虚 外 傷 寒邪の収引性 → 湿邪の粘滞性 → 血の運行を阻害 瘀 血 → ⇒ 冷え 血の運行を阻害 ⇒ 冷え 素体陽虚 後天失養 久 病 陽虚 = 虚寒 ⇒ 冷え 房事過多 労 倦 【 症状と処方例 】 1. 寒湿と瘀血 [症 状] 局部(腰部、上下肢、腹部等)の冷え * 寒 湿 : 冷えの部位の疼痛(冷痛、重痛、痛みが顕著)、帯下、体が重い、浮 腫(下肢)、舌淡白膩、脈滑遅。 * 瘀 血 : 冷えの部位の疼痛(刺痛、固定性)、月経不順、月経痛、月経血の色は暗 紅色で血塊が混じる。舌紫瘀点瘀斑、舌下絡脈、脈渋。 - 110 - Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - のぼせと冷え - [処方例] 部 位 腰背部 腰仙部 腹 下 部 肢 冷えの局部の血の運行を図る目的で近位選穴。 経穴名 経 絡 至 陽 督 膈 兪 膀胱経 第 7・8 胸椎棘突起間の外 1 寸 5 分 腎 兪 膀胱経 第 2・3 腰椎棘突起間の外 1 寸 5 分 八髎穴 膀胱経 第 1~4 後仙骨孔部 膻 中 任 脈 前正中線上で、両乳頭を結ぶ線が交わるところ 気 海 任 脈 前正中線上で、臍下 1 寸 5 分 関 元 任 脈 前正中線上で、臍下 3 寸 三陰交 脾 経 内果の上 3 寸、脛骨内側縁の骨際 陽陵泉 脾 経 膝をたてて、腓骨頭の前下際 脈 取 穴 部 位 第 7・8 胸椎棘突起間 2. 陽 虚 [症 状] 全身及び局部の冷え、特に四肢末端が冷える。気温の低い場所に行くとすぐに 冷える。疲労倦怠感、自汗、小便清長、軟便。 舌淡胖、歯痕、脈虚弱。 [処方例] 経 絡 意 義 関 元 任 脈 補 陽 命 門 督 脈 補腎陽 加 取 穴 部 位 前正中線上で、臍下 3 寸 第 2・3 腰椎棘突起間 失調している臓腑の特定穴 - 111 -
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