Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - めまい・耳鳴りと難聴 - 第6講 『 めまい・耳鳴りと難聴 』 『 めまい 』 【 別 称 】 : 「眩暈」、「目眩」、「眩冒」と呼ばれる。 眩 暈 目がかすんで目の前が暗くなるもの ぐるぐる回って見える、物が揺れ動いて見える 眩 暈 眩と暈が同時に起きるもの 目 眩 目がかすんで頭がくらくらするもの 眩 冒 ひどく頭がくらくらし目の前が暗くなるもの 実 【 分 類 】 証 : 痰 濁 証 : 気血両虚、腎精不足 虚 虚実挟雑 : 肝陽上亢 『耳鳴り・難聴』 「耳鳴」「耳聾」と呼ばれる。 【 別 称 】 : 実 虚 【 分 類 】 証 : 肝火(上炎)、痰 火 証 : 脾胃虚弱、腎精不足 【 弁証の要点 】 実 『耳 鳴』 証:突然発症、セミの鳴き声か波のような音が持続的にある。耳を塞い でも軽減しない。 虚 証:徐々に発症、耳鳴りの音は小さく低い、断続的におきる。 活動後悪化する、耳を塞ぐと軽減する。 実 証:断続的に強いめまいがおこる。物を見るとグルグル回ってひっくり 返るような感じがする。 『めまい』 虚 証:持続的なめまい。実証ほど強いものではない。活動後悪化する。 - 24 - Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - めまい・耳鳴りと難聴 - 【 病因病機 】 肝 精神的刺激 (主に怒り) 化 熱 肝気鬱結 肝火上炎 (少陽経に影響) 火(陽)盛傷陰 肝腎陰虚 久 病 肝陽上亢 腎 陰 虚 (頭部に陽気 が上がる) 耳鳴耳聾 眩 暈 眩 暈 房事過多 腎 過 労 先天不足 後天不足 腎精不足 (滋養不足) 髄海不足 耳鳴耳聾 飲食不節 脾 久病大病 労 倦 脾胃虚弱 脾陽不振 清陽不昇 脳栄養不足 眩 気虚 脳滋養不足 血虚 清竅栄養不足 気血両虚 痰 濁 暈 の発生 耳鳴耳聾 清陽不昇 眩 暈 (濁陰不降) 運化失調 鬱久化熱 - 25 - 痰 火 → 清竅閉塞 耳鳴耳聾 Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - めまい・耳鳴りと難聴 - 【 症状と処方例 】 『めまい』 1. 肝陽亢進(肝陽上亢) [症 状] 眩暈、耳鳴り、頭部の脹痛、怒ると増悪。イライラして怒りっぽい、不眠、多夢、 口苦、顔面紅潮または五心煩熱、盗汗、腰膝酸軟、遺精、舌紅苔黄・脈弦数、または舌 紅苔少・脈弦細数。 [処方例] 経 絡 風 池 胆 経 侠 谿 胆 経 陽 輔 胆 経 太 衝 肝 経 太 谿 腎 2. 痰 意 義 取 穴 部 位 乳様突起下端と瘂門穴の中間、陥凹部 清肝胆火 清利頭目 第 4 中足指節関節の前、外側陥凹部 外果から陽陵泉穴に向けて上 4 寸のぶより前 3 分 足背にあり、第 1・2 中足骨底間の前、陥凹部に取る 平肝潜陽 経 内果の最も尖ったところの高さで、内果とアキレス腱の間 濁 [症 状] 眩暈、頭が重くぼんやりする。食欲減退、悪心嘔吐(涎や痰が多い)、多痰、舌苔 厚膩、脈滑数 [処方例 経 絡 意 義 取 穴 部 位 風 池 胆 印 堂 奇 穴 眉間中央陥凹部 足三里 胃 経 膝を立て、外膝眼穴の下 3 寸に取る 中 脘 任 脈 健脾和中 前正中線上、臍の上 4 寸 太 白 脾 経 除湿化痰 足の第 1 中足指節関節の後、内側陥凹部に取る 豊 隆 胃 経 経 乳様突起下端と瘂門穴の中間、陥凹部 疏調頭部気機 外果の上 8 寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部に取る - 26 - Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - めまい・耳鳴りと難聴 - 3. 気血両虚 [症 状] よく眩暈が起こる、横になると軽減する、疲れると誘発する。顔面蒼白、唇や爪 の血色が淡白、息切れ、話すのがおっくう、疲労感、不眠、心悸、食欲不振、舌質淡、脈 細無力。 [処方例] 経 絡 意 義 昇 清 取 穴 部 位 百 会 督 脾 兪 膀胱経 膈 兪 膀胱経 健脾和中 第 7・8 胸椎棘突起間の外 1 寸 5 分 足三里 胃 経 補気養血 膝を立て、外膝眼穴の下 3 寸に取る 三陰交 脾 経 脈 正中線上、前髪際の上 5 寸 第 11・12 胸椎棘突起間の外 1 寸 5 分 内果の上 3 寸、脛骨内側縁の骨際 4. 腎精不足 [症 状] 持続的な眩暈、疲れると悪化する。足腰の無力感だるさ、耳鳴耳聾、遺精、脱毛、 舌淡、脈虚。 [処方例] 経 絡 意 義 取 穴 部 位 百 会 督 風 池 胆 経 乳様突起下端と瘂門穴の中間、陥凹部 絶 骨 胆 経 外果から陽陵泉穴に向けて上 3 寸 腎 兪 膀胱経 太 谿 腎 経 三陰交 脾 経 脈 正中線上、前髪際の上 5 寸 疏調頭部気機 補腎填精 第 2・3 腰椎棘突起間の外 1 寸 5 分 内果の最も尖ったところの高さで、内果とアキレス腱の間 補 後 天 内果の上 3 寸、脛骨内側縁の骨際 - 27 - Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - めまい・耳鳴りと難聴 - 『耳鳴り、難聴』 * 対症選穴(基本穴): 経 絡 意 義 取 穴 部 位 翳 風 三焦経 気痛耳内 耳垂の後方、乳様突起と下顎枝の間、陥凹部 聴 会 胆 聡耳啓閉 耳珠の前下方、陥凹部 1. 肝 経 火(肝火上炎) [症 状] 突然発症、耳の脹痛、たえず耳鳴りがある。頭痛、顔面紅潮、口苦、咽頭部の乾 き、心煩、怒りっぽい、便秘、舌紅苔黄、脈弦数。 [処方例] 経 絡 意 義 取 穴 部 位 翳 風 三焦経 気痛耳内 耳垂の後方、乳様突起と下顎枝の間、陥凹部 聴 会 胆 経 聡耳啓閉 耳珠の前下方、陥凹部 侠 谿 胆 経 清少陽経熱 中 渚 三焦経 宣通耳竅 手背にあり、第 4 中手指節関節の上、尺側 太 衝 肝 清 肝 火 足背にあり、第 1・2 中足骨底間の前、陥凹部に取る 2. 痰 経 第 4 中足指節関節の前、外側陥凹部 火 [症 状] 突然発症、頭が重くぼんやりする。胸悶、痰多、食欲減退、泥状便。舌苔厚黄膩、 脈滑数・濡数。 [処方例] 経 絡 意 義 取 穴 部 位 翳 風 三焦経 気痛耳内 耳垂の後方、乳様突起と下顎枝の間、陥凹部 聴 会 胆 経 聡耳啓閉 耳珠の前下方、陥凹部 太 白 脾 経 健脾利湿 足の第 1 中足指節関節の後、内側陥凹部に取る 豊 隆 胃 経 外果の上 8 寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部に取る 内 庭 胃 経 清熱豁痰 通 清 竅 足背にあり、第 2 中足指節関節の前、外側陥凹部 - 28 - Master Frog's Library - 東洋医学臨床論 - めまい・耳鳴りと難聴 - 3.脾胃虚弱 [症 状] 徐々に発症、慢性病から起こることが多い、耳鳴は間歇性で疲れると発症あるい は増悪する。倦怠疲労感、無力感、食欲不振、眩暈を伴うこともある。舌淡、脈虚無力。 [処方例] 経 絡 意 義 取 穴 部 位 翳 風 三焦経 気痛耳内 耳垂の後方、乳様突起と下顎枝の間、陥凹部 聴 会 胆 経 聡耳啓閉 耳珠の前下方、陥凹部 足三里 胃 経 中 脘 任 脈 補益脾胃 前正中線上、臍の上 4 寸 太 白 脾 経 滋養耳竅 足の第 1 中足指節関節の後、内側陥凹部に取る 章 門 肝 経 膝を立て、外膝眼穴の下 3 寸に取る 第 11 肋骨前端下際に取る 4. 腎精不足 [症 状] 次第に耳鳴り・難聴となる、疲労時に増強、按じると軽減、夜間に増強。めまい、 腰のだるさ、遺精、帯下、不眠。舌紅苔少、脈細弱・細数。 [処方例] 経 絡 意 義 取 穴 部 位 翳 風 三焦経 気痛耳内 耳垂の後方、乳様突起と下顎枝の間、陥凹部 聴 会 胆 聡耳啓閉 耳珠の前下方、陥凹部 腎 兪 膀胱経 関 元 任 脈 太 谿 腎 経 経 第 2・3 腰椎棘突起間の外 1 寸 5 分 補腎填精 上栄耳竅 前正中線上で臍下 3 寸 内果の最も尖ったところの高さで、内果とアキレス腱の間 - 29 -
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