ガラスに雨粒跡のような白い水滴痕が付着しています

街の風景に潜む、
NGな外装メンテを撲滅せよ!
(テープ)
ガラス建材のトラブル
― 〈その2〉
ガラスに雨粒跡のような
白い水滴痕が付着しています。
CASE ‐ 12
ALC造の3階建て、
外壁にアルミパネル
を 張 り 付 け た 建 物。
症 状 の 発 生 箇 所 は、
1階の植栽が施され
た付近のガラスのみ
症状
建物の1階のガラスに、白色半透明の水滴痕のようなものが付着
しています。3か月に1回、清掃を行っていますが、定期清掃の
仕様では落とすことができません。
皆さま、コンニチハ!
さて今
回は、ガラス建材のトラブルの第
2回。
「ウロコ状白化膜」につい
てお話ししたいと思います。
落ちない水滴痕
上の写真をご覧ください。ま
ず、テープで囲った外側の左下、
2015.06
発生している箇所は1階のガラス
のみ。しかも下部に集中して症状
が顕著です。下部には水切りがあ
り、植栽が接しています。
そう、そこに原因が潜んでいる
のデス!
下部に雨粒状の白色半透明(白
し窓に付着、窓枠下部の窓台にも
濁)の水滴痕が確認できます。
大量に堆積!
植栽の土砂が風で浮遊
土砂に大量に含ま
この水滴痕をめぐって、ある
れる成分である「ケイ素」が雨水
日、当該建物の管理会社を通じ
や散水により窓台をたたき、跳ね
て、筆者のボクが呼ばれました。
返る水分と同時に土砂が窓ガラス
ご担当者いわく、
「ガラス清掃を
に付着。さらに植栽への頻繁な散
請け負っている業者さんにね、ガ
水で、窓の表面は湿潤、乾燥を繰
ラスに付いてる雨粒状の跡がきれ
り返します。ガラスの主成分はケ
いにならないのか聞いたのだけ
イ素なものだから土砂のケイ素と
ど、『あれは“ヤケ”だから落ちな
仲良くなって固着し、密着してし
い!』の一点張りで困っている。
まうのです。
“ヤケ”るの?? 」
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この建物は3階建てで、症状が
丸で囲った部分を見てください。
定期的に清掃しているのになんで
東京外装メンテナンス協同組合(TEC)
理事 本多正彦
ヤケとウロコ状白化膜
この状態は「ウロコ状白化膜」
と定義され、初期であれば専用の
ご担当者は納得されていない様
酸性洗浄剤を使用して除去が可能
子です。そしてボクに要請がかか
ですが、そのまま放置して毎日湿
り、症状に至った調査、説明と除
潤、乾燥を繰り返していると、ガ
去を求められました。
ラスの表面が凸凹に粗面化してい
洗浄前
写真1 窓ガラス外部のウロコ状
白化膜を内側から見たもの
洗浄後
写真2 外側から見た状態(外壁はタイル)
。研磨材含有の酸性洗浄剤を使用して洗浄。ウロ
コ状白化膜とそれに絡むシーリングの油分やカーボンブラックなどを除去し、クリアな窓に!
きます。これが「ヤケ」と呼ばれ
までは経年により同様の症状を呈
出し、その油分にカーボンブラッ
る症状です。
するので、今後のメンテナンス計
クなどが引き寄せられるように付
画をご提案しました。
着して黒色に確認されるのデス。
こうなると、いくらウロコ状白
化膜を除去しても、ガラス表面が
凸凹に劣化しているので美観は回
復しません。対処法は研磨による
修復しかありませんが、かなり時
間がかかるうえ、症状が進行して
◦清掃頻度の回数を増やす
◦植栽への散水時はガラスに付
着した土砂、水分を拭き取る
◦必要に応じガラス表面に「表
面保護処理剤」をコートする
この汚染は泥化とスケール化が
混在しており、通常のガラス清掃
では除去は不可能です。また、前
述のようにこのまま放置するとヤ
ケに進行してしまいます。
いる場合は完全な修復には至らな
常日頃からマメに手を入れるこ
対処として、研磨材を含有した
い可能性もあります。しかも、研
とで症状に至らずに済むのです。
酸性洗浄剤を使用した洗浄を実
磨修復はケミカル洗浄よりもかな
りコスト高となります。
黒いウロコ状白化膜も
施。ガラス表面はまだ侵されてお
らず、ウロコ状白化膜とそれに絡
上の写真1は窓ガラス外部のウ
むシーリングの油分やカーボンブ
ロコ状白化膜を内側から撮影した
ラックなど、すべて除去できまし
この案件では写真のように右側
ものです。全体に汚染物質が堆積
た(写真2)。
をテープで区切り、酸性洗浄剤で
していることがわかります。窓枠
テスト行った結果、ウロコ状白化
のエッジ部は顕著ですね。
除去が可能なうちに!
いずれの事例もヤケにまで進行
していなくてホントラッキーでし
膜を溶解、除去できました。幸い
白化膜なのに黒っぽい色なのは
た。 何 事 も 早 期 発 見、 即 対処!
ガラス表面はまだ侵されておら
なぜでしょう? これは、浮遊粉
窓ガラスは未来永劫不変なもので
ず、最終的に除去作業のみでメデ
塵やタイル目地剤から流出するケ
はありません。常に劣化を引き起
タシメデタシと相成りました。
イ素がガラスに付着、ウロコ状白
こす要因が取り巻いているのです。
つまり、当初、請負業者さんが
化膜としてスケール化したものに
次回は、ヤケの研磨洗浄、研磨
ご担当者にお話しした“ヤケ”には
窓枠のシーリング剤から油分が流
至っていなかったわけです。
【対策】初期であれば、ウロコ状白化膜専用の酸性洗浄剤を使用し、洗
浄により除去できますが、進行しているものだとガラスの表面が凸凹に
粗面化(ヤケ)しているため、回復が難しくなります。清掃頻度の回数
を増やすこと、散水後は水分を拭き取ることで発症を防げます。
が、喜んでばかりはいられませ
ん! も う 少 し 遅 け れ ば 手 遅 れ
だったかもしれません! このま
外装メンテはプロに
ご相談ください!
東京外装メンテナンス協同組合(TEC)
修復についてお話ししますね!
http://garakuri.com/ TEL.03-3252-0363
2015.06
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