小さな島の挑戦 - 隠岐郡海士町

小 さ な 島 の 挑 戦
町政の経営指針
『自立・挑戦・交流』∼そして確かな明日へ∼
(勇壮にそびえ立つ 名勝 『三郎岩』)
お
き
のくに
あ
ま
ちょう
【隠 岐 國 ・ 海 士 町】
-1-
《選ばれし島/御食つ國・海士(みけつくに・あま)》―――---―――――
z
日本海の島根半島沖合い約60Km に浮かぶ隠岐諸島
の中の一つ中ノ島を「海士町」といい1島1町の小さな
島。(面積 33.46k㎡、周囲 89.1 ㎞)
z
対馬暖流の影響を受けた豊かな海と、名水百選に選ば
れた豊富な湧水に恵まれた、半農半漁の島。
z
平城京跡から海士町の「干しアワビ」が献上されていたこ
とを示す木簡が発見されるなど、古来から海産物の宝庫
として御食つ國に位置づけられていた。
z
「島の夜明け」
奈良時代から遠流の地として遣唐副使の小野篁をはじめ、高貴な政治犯等が流されていたため、和
歌や神楽などの歴史文化が引き継がれている。
z
承久の乱(1221 年)に敗れた後鳥羽上皇がご配流され、在島 19 年余この島で生涯を終える。島民の畏
敬の念はいまも残る。
《島が消える?・超過疎化・超少子高齢化・超財政悪化》―――z
人口:約 2,581 人 (国勢調査 17.10.1 現在)・・・昭和25年頃は 7,000 人近くいた。
z
本土からの交通手段は、主に高速船かフェ
リーで約2∼3時間かかり、冬期は季節風
による欠航など地理的ハンディが大きい。
z
高齢化率 38.0%
z
年少人口率 10.4%・・・高卒の殆どが島外
7,000
人口の推移(国勢調査)
6,986
6,678
6,160
6,000
5,145
5,000
へ流出し 20∼30 歳代の地域活力が低い。
z
近年、生まれる子供は年十数人と少ない。
z
国の経済対策に呼応した公共事業への
4,257
3,809
4,000
3,537
3,339
3,119
2,857
3,000
2,672 2,581
投資・・・離島振興法
z
公共事業で生きてきた島、生かされてき
た島・・・社会資本の整備
z
2,000
1,000
昭25
で、体力以上に膨らんだ地方債(101.8 億円)
z
昭30
昭35
昭40
昭45
昭50
昭55
昭60
その結果、住民の暮らしは改善された一方
人口の構成
地方交付税等の突然かつ大幅な
削減で、島の存続さえも危うい緊
急事態に直面。
z
そして、時代は転換期を迎える。
(10 年後 海士中学校全校生徒約 28 名)
-2-
平2
平7
平12
平17
《生き残るための戦略 ①単独町制を選択》―――――――――――
z
平成の大合併が推し進められる中、島嶼間の合併は地理的特性から施設の統合など住民へのメ
リットが活かされないと判断し、平成15年12月任意合併協議会解散・・『苦渋の選択』
z
単独町制を貫く「覚悟」と「気概」の共有化。厳しくとも産業振興によって自立の道を歩むほかない。
z
「自分達の島は自分達で守る」ための「生きる術」を模索(平成 17∼18 年の 2 年間が勝負)
《生き残るための戦略 ②「守り」と「攻め」の両面作戦》―――――
z
住民代表と町議会と行政が一緒になって、島の生き残りを掛けた「自立促進プラン」を策定(H16.3)
し、行財政改革によって「守り」を固める一方、「攻め」の方策として新たな産業の創出を強力に推
進することを戦略においた。
※守りの戦略(行財政改革の断行)--------------------------------z
給与カットは、町長以下助役・教育長、議会、管理職に
始まり、職員組合からも給与の自主減額を申し出て平成
16年度から実施する。
[自らの身を削らない改革は支持されない]
◆職員から給与カットの一部を具体的に見える施策に
活かしてほしい旨の提案を受け議会と共に「すこやか
子育て支援条例」を制定(H16.10)
役場本庁舎
(ex:第 3 子誕生祝い金 50 万円、第 4 子 100 万円他)
◆「職員の危機意識」は、やがて給料カットは未来への「先行投資」という意識へと変化した。
◆危機意識を共有することで、職員のモチベーションはより高くなった。
◆老人クラブからバス料金の値上げや補助金の返上。各種委員から日当減額の申し出があり、
住民からは自分たちに出来ることはないかなどの声が上がる。[町民と危機感を共有]
◆経営者として給料カットは最悪な手法だが、しかし先ずそこから始めてこそ住民の共感が得られ
る。[(先憂後楽)の精神]
行財政改革削減効果
„ 人件費の削減効果(H17) 約 2 億円 (H10 年比較で 4 億円、△45%削減)
※三役の給料カット
▲50%∼40% H17
※職員の給料カット
▲30%∼16% H17
(平均 22%、ラスパイレス指数 72.4 全国最低値)
※議員の報酬カット
▲40%
H17
※教育委員の報酬カット
▲40%
H17
※区長報酬カット
▲10%
H17
8 人削減
H17
※早期退職・転職支援
„ その他
※公共事業費の圧縮(21 年度から効果)
-3-
※経常経費等の見直し (補助金、負担金、旅費、需用費、委託料等)
※料金収入等の見直し (住宅使用料、負担金等)
■
平成18年度カット率もそのまま続行を職員組合と確認
※H18年度ラスパイレス指数 72.1
(全国で二番目に低い・・・全国最低値は長野県王滝村 67.5)
„ 人員削減効果
※職員数△20 人(H10 年度 93 人→H17 年度 73 人、△21.5%)
※収入役廃止、議員定数減(H19 年度△2 人・・・定数 10 人)
„ 人件費削減効果
※H11年度 0.5 億円∼H17 年度 4.5 億円(累計 13.7 億円)
„ 総コスト削減効果・・・(人件費含む)
※H11年度 0.6 億円∼H17 年度 5.0 億円(累計 15.5 億円)
„ その他
※時間外手当の縮減、宿日直の外部委託から職員対応へ(代休制)
※補助金の縮減、バス料金の値上げ申し出、廃棄物手数料の値上げ
※公用車の廃止、課長・係長の推薦制度で年功序列からの脱却
※機能的な組織改革に着手(定員削減をしながら産業振興に重点配置)
※各課の連携強化と組織のスリム化
(人間力推進プロジェクトの設置 H17.4)
基金残高の推移
(億円)
16
14
„ 平成17年度決算は十数年振りに基
12
金を積み立てることができた。平成
10
2
H17
H16
H15
H14
H13
H12
H11
H9
H10
かう。
H8
0
H4
成ができ、収支バランスは改善へ向
4
H7
の取り崩し「なし」の対前年比増で編
6
H6
算見込み、平成 19 年度予算も基金
8
H5
18 年度も基金の取り崩し「なし」の決
„ 平成19年度は職員の生活とモチベーションを考慮し、5%復元して職員の給料カッ
トは▲23%∼10%とした。
※攻めの戦略(一点突破型産業振興策)--------------------------z
「攻め」の目的は島の活性化であり、島に産業を創り、島に人(雇用の場)を増やすこと。
◆総務などの内部部局の職員数を減らし、その分を産
業振興や定住対策の部署に職員をシフト。
◆攻めの実行部隊である産業 3 課を設置。(観光と定住を
担う「交流促進課」、第 1 次産業の振興を図る「地産地商課」、新
たな産業の創出をめざす「産業創出課」をワンフロアーに)
◆産業 3 課を港の玄関ターミナル「キンニャモニャセン
ター」におき、現場重視の業務にシフト。
「承久海道キンニャモニャセンター」
-4-
z
地域再生計画の認定(H16.6&H17.7.7)
◆人づくり、モノづくり、健康づくりの 3 本の柱をベースにした地域再生の計画を策定。
◆その名も「海士デパートメントストアプラン」。島全体をデパートの階層に見立て、島の味覚や魅
力を詰め込んで全国に島まるごとをお届けします、というもの。
◆島根県のリーディングプロジェクトに指定される。
z
自然環境と地域資源を活かした第 1 次産業の再生。
◆『海』・『潮風』・『塩』の三つをキーワードに地域資源を有効活用し、『島まるごとブランド化』する
という究極のふるさと振興を目指す。
■島ブランドを売り出せ!キーワード『海』 ∼豊かな海∼**************************
□「島じゃ常識!さざえカレー」の登場。島の食文化を商品化。ヒット商品となる。
<キーマンは、海士町商品開発研修生>
商品開発研修生とは:平成 10 年度より海士町が募集している商品開発研修生制度。
地元にない発想と視点で、特産品や観光商品或いは地域づくり、地域コミュニティに
至るまで、海士にある全ての宝の山(地域資源)にスポットをあて、商品化に挑戦する。
「島の助っ人」的存在で、今日まで 18 人が参加。現在 3 人が勤務中。過去、研修生の
卒業者で海士に定住した方は 7 名いる。毎月 15 万円の給与を支給(社保付)。住居は
1DKを準備し家賃は 1 万円。冷暖房、こたつ、冷蔵庫、掃除機、布団を完備。1年契約
だが更新可能。卒業生のうち、今年は 2 人が海士で起業。大きな挑戦である。
【島じゃ常識さざえカレーH19 売上目標 3 千万円】
島じゃ常識 「さざえカレー」
□「隠岐海士のいわがき・春香」の養殖に成功。春から初夏限定のいわがきとして、今や築地市場
やオイスターバーで大ヒット。(現在 20 万個を養殖。県のブランド 5 品目に認定。)
<キーマンは、脱サラのIターン者>
漁業者はこれまで、漁協や近場の市場にしか水産物を出荷してなかった。このため、離島
特有の輸送時間による鮮度落ち等の理由で価格は低く抑えられ、漁業所得は伸び悩んで
いた。そこへ登場した脱サラIターンの仕掛け人は、取引単価の高い「築地市場」へいわ
がきを出荷し、完璧なトレーサビリティを売りに信用を得た。また、より手取りをあげるため
に、直販店への売り込みや消費者への直接販売を積極的に試み、所得向上に貢献した。
この取り組みで言えることは、水産業とは全く縁のない人物が挑戦し、しかも既成概念を
取っ払ったところに成功の秘訣がある。よそ者(挑戦者)と若者(後継漁師)、バカ者(のぼ
せ漁師)の典型的な組み合わせが功を奏した。ゼロからスタートしたいわがき養殖は、現在、
15 名の漁業者が熱心に取り組んでおり、数年内には 50 万個の出荷体制を見込む。
【いわがき「春香」H19 年度売上目標:5 千万円】
いわがき 「春香」
□「CAS(Cells Alive System)」という新技術を導入し、旬の味覚を次から次へと商品化。
<第三セクター㈱ふるさと海士を立ち上げ、その多くの社員はIターン者>
CAS(Cells Alive System)とは:磁場エネルギーで細胞を振動させることで、細胞組織を
壊すことなく凍結させることができる画期的なシステム。解凍しても通常の急速冷凍物の
ようなドリップなどは一切起きず、長期間にわたって鮮度を保持できる。つまり、とれたて
の味をそのまま封じ込め、解凍後もとれたての味をそのまま食することが可能になる。
このCASを導入することにより、海士の漁師の食卓が直接都市の消費者にも届けられる
環境が整った。CAS を離島の流通ハンディを克服する最大のツールとして、島から高付加
価値商品を生み出し、第 1 次産業の復活と後継者育成につなげる。
【CAS商品 H19 年度売上目標:7 千万円】
-5-
旬感凍結「活いか」
■島ブランドを売り出せ!キーワード『潮風』 ∼大地はミネラル∼****************
□公共事業の減少により、建設業を営む経営者が異業種参入を決意。
□社員リストラを回避するため、新たに農業(畜産業)を営む会社を設立。
【㈲隠岐潮風ファーム(建設会社 100%出資)】
□㈱が農地を扱えるよう「潮風農業特区」(H16.3)を申請し、農地法の規制緩和を受ける。
□「島生まれ、島育ち、隠岐牛」のブランド化を目指し、勝負は品質に厳しい東京食肉市場に絞
る。
<キーマンは、社長も技術者も社員も皆UIターン者>
隠岐牛:隠岐固有の黒毛和種。隠岐牛は、古くから島中で放牧されている。急峻な崖地
を移動しながら育つため、足腰が強く骨格と胃袋が丈夫で病気にかからない。
海からの潮風が年中吹くため、放牧地の牧草にはミネラル分が多く含まれ、美味しい肉
質に仕上がるという。隠岐ではこれまで子牛のみが生産され、すべて本土の肥育業者が
購入し、神戸牛や松阪牛となって市場に出ていた。そこで、建設業の社長はこの素質の
良い隠岐牛を繁殖から肥育まで一貫して生産販売することで、ブランド力を高め、雇用
の場を創出しようと参入。また、肉質にこだわるため、雌の未経産牛のみを肥育。
【隠岐牛 H19 売上目標:1 億 5 千万円】
島生まれ、島育ち、「隠岐牛」
隠岐牛の成績と評価
„ H18.3 月に 3 頭を初出荷。全て高品位のA5 に格付けされ、肉質は松阪牛並の評価
を受ける。(初出荷最高値 A5 ・ kg 当たり 3,767 円)
„ H18.10 月から市場が求める月 10 頭の出荷体制が整う。
„ 出荷成績
※H18.3 月∼H19.3 月まで 85 頭を出荷(うち、BMS12=6 頭<7.1%>)
※上物率(A5&A4)=94%
※A5 率=67%
※枝肉最高値 kg 当たり 4,104 円
※枝肉平均値 kg 当たり 2,675 円
※平均価格 109 万 4 千円/頭
隠岐牛の効果
„ 地元子牛市場で雌牛の単価が約 3 割アップし、農家の生産意欲と規模拡大につな
がっている。また、他の町村でも建設業者(4 社)が畜産を開始した。
„ 隠岐牛の担い手になりたいと都会からIターン者 2 家族(20 代・30 代)が移住。
„ 町は、島で農業に挑戦するUIターン者に対し「海士ファンバンク(H18.11)を創設し、
必要な資金を都市住民から調達。既に好評を得て実施中である。
„ 大型の畜産経営が登場したことにより、島中の田んぼを賄う堆肥製造も可能となり、
島で循環完結する有機農業への道が拓けた。
„ 近々、島の観光に隠岐牛を活用しようと、食の分野で起業が試みられる。
■島ブランドを売り出せ!キーワード『塩』 ∼モノづくりの原点∼****************
□ミネラル豊富な海士ノ天然塩を活用し、伝統料理を復活(伝統製法、自然食品、加工品)。 島ら
しい食育 を推進。
□本物で島国らしい商品開発--海士ノ塩から始まる産品づくりの推進(梅干し・塩辛・干物)。
-6-
<キーマンは、海士町商品開発研修生。>
海士では、古来から都(平城京・平安京)に海産物を献納してきたが、進物の鮮度を
維持するために使われてきたのが、海士の天然塩。そんな昔ながらの塩炊きの塩づ
くりを復活させようとする島民有志の動きが起きる。その取り組みが本格的な事業化
となり、H17.3 月に製塩施設が完成。「海士御塩司所(あまおんしおつかさどころ)」と
いう歴史に相応しい名前がつく。施設は㈱ふるさと海士が運営しているが、施設完成
の年に採用された商品開発研修生が大学で神道を研究していたこともあって、塩を単
なる食品としてではなく、島の歴史文化的背景も表現しながら、塩の製造販売並びに
加工産品の商品化に携わっている。
【海士ノ塩関連 H19 売上目標:2 千万円】
「海士ノ塩・梅」
海士ノ塩づくりの効果
„ 東京のパークハイアットホテルでも海士ノ塩を扱って頂けるまでになる。
„ 集落やグループから海士ノ塩を使った産品づくり活動が始まり、地域コミュニティ再
生(パワーアップ)が図られている。〔「島ブランド化」の究極目標〕
„ 海士ノ塩を使った食育を展開しようと、料理研究家が移住してきた。
„ 海士御塩司所では、ニガリを使った豆腐づくり体験など、「モノづくり」をしながら海士
の伝統や歴史を学ぶ「人づくり」の現場としても活用されており、また、島外からの訪
問者と住民が共に交流する場としても活用されている。
{H18 年度「塩づくり」交流=696 人}
《辺境の島の改革に光が!》
z
構造改革が芽吹きつつある ―――
大胆な行財政改革を行う一方、「島まるごとブランド化」を
掲げ、「海」・「潮風」・「塩」の 3 つをキーワードに一点突破
型の産業振興を進めた結果、以下の効果が表れてきた。
z
また、様々な分野で再チャレンジの機会が広がってきて
おり、島の生活に根ざした事業、島の資源・伝統文化を活
かした事業から新たな産業が生み出され、横のつながり
から関連する事業がまた生み出されていくといった「合わ
「CAS 凍結センター」
せ技一本」の島型ビジネスが展開されつつある。
産業振興策の効果(H16∼H18 の三ヵ年の実績数値)
„ モノづくりをベースとする産業振興策を進めた結果、
※雇用創出効果
84 人(UIターン者)
加工業務に関するセミナー及び人材育成講習会を 139 回実施。
流通及び販路開拓のための人材育成講習会を 104 回実施。
„ 資源発掘、宝探しなど、商品開発の施策を進めた結果、
※商品開発研修生採用
10 人
内、3 名が現役、4 名が町内就職又は起業。
„ 地域資源を活用したモノづくり運動を進めた結果、
※集落及びグループ等、活動団体結成
-7-
4組
„ 島での就職や起業、島暮らしの運動を提唱した結果、
※78 世帯、145 人のIターン者が海士町に定住。
出身地別Iターン世帯数(78 世帯の内訳)
北海道
2 世帯
関東
17 世帯
信越
2 世帯
東海
3 世帯
近畿
27 世帯
中国
22 世帯
九州
4 世帯
外国
1 世帯
„ Iターンのための定住対策として、
※定住住宅の新築 26 戸、空き家リニューアル 12 戸、合計 38 戸を緊急整備。
„ 少子化対策として(H16.10 月制定)<財源は、職員給与カット分 5%を充当>
※結婚祝い金(1 カップル 20 万円の助成)
支払額:3,200 万円
※出産祝い金(最高 100 万円:4 人目以降)
支払額:1,020 万円
※妊娠出産交通費の助成
支払額:87 万円
《未来を支える人づくり
z
人間力溢れる海士人の育成 》―――――
持続可能なまちづくりの原点は、人づくり。人間力溢れる海士人の育成を目指し、教育委員会、健
康福祉課、生活環境課の連携による「人間力推進プロジェクト」を立ち上げる。(H17.4)
z
島内島外の有識者など総計 60 人ほどの協力を得て、町の目指す人づくりの指針を
持続可能な地域社会を創る力 「人間力」
「人間力」として 6 つの要素と 16 の力に定義。
課題発見力
情報選択・活用力
分析力 論理性
基礎学力
読み書き計算 判断力 学習力
ITスキル
一般教養
幅広い知識
深い造詣
*持続可能な地域社会を創る力∼人間力∼
【志】:挑戦力、行動力、忍耐力
想像力 発想力
独創性 豊かな感性
創意工夫 アイデア力
【結】:表現力、受容力、連携力
思考力
【智】:知識力、思考力、創造力
【地】:自然との共生力、継承力
【情】:感謝の心、奉仕の心、思いやりの心
自ら進んで動く
主体性 自立性
実行力 率先垂範
フットワーク
働きかけ力
【健】:心の健康、体の健康
あきらめない
持続力 継続力
精神力 粘り強さ
自律心 自制心
●交流を通して島内と島外相互の人間力の向上を狙う
人とつながる力
人と人とをつなげる力
場や雰囲気をつくる力
チームを盛り上げる力
協力関係を構築する力
異 なる考えも受
け容れる包容力、
度量 柔軟性
共感 傾聴力
異文化理解
表現力
連携力
知識力
創造力
やる気 意欲
好 奇心 向上心
積極性 自信
モチベーション
話す 書く
見せる
伝える力
発信力
智
受容力
結
挑戦力
思いやりの心
情
志
行動力
奉仕の心
健
地
感謝の心
忍耐力
心の
健康
体の
健康
ストレス対処力
感情コントロール
自己認識力
体力
内省する力
抵抗力
自然治癒力
体調管理力
生活習慣
自然との
共生力
継承力
自然への敬愛
環境を護る意識
自然を暮らしに
活かす術
自給自足力
愛情 人情
友情 他者尊重
相手の立場に立つ
ほっとけない
公共心 公徳心
貢献心 正義感
責任感 倫理観
ボランティア精神
公平 公正
生かされていること
への感謝 おかげ様
人知を超えたものへの
畏怖 畏敬の念
謙虚さ もったいない
愛郷心
地域への誇り
伝統文化の継承
温故知新
次世代への伝承
■都市や海外との交流 そして、思わぬ効果∼海士ファンの急増∼********
※海外との交流
□新宿日本語学校(SNG)との連携で外国人向けサマースクール
を開校。(今年で 3 回目)
⇒参加したフランス人が 1 ヶ月間インターンに来て仏語の HP を
作成するなど活動。
□ドイツ、インド、韓国、台湾、マレーシアなどとの交流を展開。
「国際交流」
-8-
⇒「島の魅力を世界に発信したい」とスリランカ人が I ターン。
観光協会に就職し国際スピーチコンテストの開催など活躍中。
※都市との交流
□海士中学校の修学旅行では、一橋大学を訪問し、海士町のまちづくりについて中学生が学
生に講義を行う。(今年で 3 回目) ⇒ 一橋大学の学生が卒業後、海士へ移住。
□若手の一流講師と都会の学生たちが海士に来て、小・中・高校で出前授業を開催する
「AMA ワゴン」の実施(昨年 4 回、今年は 5 回を予定)
⇒講師として海士に来た岩本悠氏が海士へ移住。海士の「人づくり」に参画。
⇒参加者の海士へのリピーター率は約 6 割。海士への独自ツアーや住民との協働
イベントなどを自主的に開催し、新たな海士ファンを増やしていっている。
AMA ワゴンとは、若手の一流講師を海士に招くと同時に、東京や大阪から若者 20∼
30 人がバスに乗って集まり、本作りやラジオ番組の作成など特色ある出前授業を行う
企画。参加者は出前授業の他に地元の漁師や民宿などにインターンをし、最終日には
海士町の活性化に向けた具体的な提案や行政との意見交換会が行われる。実際に実
行された提案もいくつかあり、途絶えていた町の盆踊りイベントを学生たちが地元住民と
復活させるといったこともあった。この企画はもともと一橋大学の学生の提案ではじまっ
たものだが、参加者にも受け入れ側にも非常に好評であったため、今年からは、東京か
ら海士まで一ヶ月かけて全国をバスでキャラバンする取り組みにも発展している。
「出前授業」
□ニートやひきこもりの若者を支援する「自立塾」を開催。(今年で 2 回目)
⇒自立塾の参加者がその後、定住。今年から海士で IT 起業を目指す。
■交流を通した人づくりの成果と今後の展望∼この島を未来をつくる学校にしよう∼
□様々な交流を通して子どもたちの愛郷心の向上
⇒中学生(23 人)へのアンケート「いつか海士に戻ってきたいですか?」4 人→13 人
(一年間での変化)
□ 地元の若者たちの活性化
⇒AMA ワゴンの若者と接した地元の若者たちが触発を受け、まちづくり団体 AMA-net を立
ち上げる。現在は AMA ワゴンの運営や新しい観光冊子の作成など活動中。
交流事業の実績(H18)
行事名
回数
内容
団体名
ニート交流
1
産業体験
全国
AMAワゴン
4
出前授業
俳句吟行ツアー
4
サマースクール in 海士
来訪者
地元
参加者
合計
10 人
30 人
40 人
一橋大学他
100 人
510 人
610 人
俳句、短歌大会
馬場先生他
304 人
33 人
337 人
1
フランス人文化交流
新宿日本語学校
19 人
383 人
402 人
出張講義
3
貿易ゲーム他
筑波大、慶応大他
3人
381 人
384 人
インターンシップ
10
1000 時間体験学習
APU大、島大他
28 人
691 人
719 人
アドベンチャーキャンプ
1
自給自足無人島体験
島大、小中学校他
28 人
59 人
87 人
盆踊り
1
隠岐神社盆踊りの復活
一橋大、成蹊大他
15 人
800 人
815 人
-9-
流学ゲーム
1
流学ゲーム体験
ゲンキ地球NET
10 人
30 人
40 人
京大フットサークル「ARI」
1
スポーツ対話指導
京大フットサル ARI
17 人
82 人
99 人
SNG 留学生体験事業
1
民謡体験、お祭り体験
韓国、台湾他
5人
50 人
55 人
井原市児童交流
1
キンニャモニャ祭り参加
井原市民
25 人
45 人
70 人
立ち上がる隠岐シンポジウム
1
産業振興と交通問題
燃える人他
10 人
200 人
210 人
島づくりフォーラム
1
まちづくりを考える
北川泉教授他
7人
170 人
177 人
一橋大学、国立市民祭
1
物産試食販売体験
一橋大、国立市民
10 人
10 人
人権交流
1
引きこもり若者の劇
京都みらいの会
5人
80 人
85 人
学生島居住体験
1
島の年末年始を体験
明治大、都立大他
19 人
60 人
79 人
AMAソングイベント
1
海士の冬を歌で愉しむ
下館ギタリスト他
80 人
70 人
150 人
キャッチ ザ ウェーブツアー
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冬場の船の体験
樋栄ひかる他
10 人
80 人
90 人
695 人
3,764 人
4,459 人
合
計
□平成19年度は「未来を支える人づくり元年」として重点施策に。
〔保・小・中・高の連携教育、島前高校の存続プロジェクト、人間力と環境教育の推進など〕
□島を一つの大学に見立てた「海士人間力大学(研修センター)」構想で、全国の行政職員の
研修の受入れ、まちづくりや一次産業に興味を持つ若者の育成コースなどを計画中。
《最後尾から最先端へ》
サステイナブルな島づくり ――――
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行政は総合サービス業。町長は「社長」、職員は「社員」、住民は「顧客」であり「株主」
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「島の未来は自分たちが切り拓こう」という職員一人ひとりの「高
い志」と「強い自立心」「深い愛郷心」が「まちづくり」の原動力
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町政の経営指針 『自立・挑戦・交流』∼そして確かな明日へ∼
◆「確かな明日」とは、
①立ち上げた新産業を着実に伸ばし雇用と定住の増大
②人間力に溢れた未来を支える人づくりの推進
③交流を通してネットワーク(海士ファン・応援団)をつくる
「海士っ子」
④そして、人(健康)・自然(環境)・生活(文化)に配慮したサステイナブル(持続可能)な島へ
○超少子高齢化や財政の危機など、海士町は島国日本の未来の縮図。この島が通っている道は、こ
れからの日本が辿る道。私たちの試行錯誤が、これからの日本の課題解決の一助になることがあ
れば、これほど嬉しいことはありません。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
ハンディキャップをアドバンテージに
小さな島の挑戦は、これからも続けていきます。
ぜひ一度 海士へござらっしゃい。
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