Agilent 7650A オートサンプラ据付、操作、およびメンテナンス

Agilent 7650A 
オートサンプラ
据付、操作、および
メンテナンス
Agilent Technologies
ご注意
© Agilent Technologies, Inc. 2012
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マニュアル番号
G4567-96010
エディション
第 1 版 2012 年 5 月
Printed in USA
Agilent Technologies, Inc.
2850 Centerville Road 
Wilmington, DE 19808-1610 USA
安捷伦科技 (上海)有限公司
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性や特定用途に対する適合性への暗黙の保
障を含み、また、それに限定されないすべて
の保証を明示的か暗黙的かを問わず、一切い
たしません。Agilent は、このマニュアルま
たはこのマニュアルに記載されている情報
の提供、使用または実行に関連して生じた過
誤、付随的損害あるいは間接的損害に対する
責任を一切負いません。Agilentとお客様の間
に書面による別の契約があり、このマニュア
ルの内容に対する保証条項がここに記載さ
れている条件と矛盾する場合は、別に合意さ
れた契約の保証条項が適用されます。
安全にご使用いただくために
注意
注意は、取り扱い上、危険がある
ことを示します。正しく実行しな
かったり、指示を遵守しないと、
製品を破損や重要なデータの損失
にいたるおそれのある操作手順や
行為に対する注意を促すマークで
す。指示された条件を十分に理解
し、条件が満たされるまで、注意
を無視して先に進んではなりま
せん。
警告
警告は、取り扱い上、危険がある
ことを示します。正しく実行しな
かったり、指示を遵守しないと、
人身への傷害または死亡にいたる
おそれのある操作手順や行為に対
する注意を促すマークです。指示
された条件を十分に理解し、条件
が満たされるまで、警告を無視し
て先に進んではなりません。
Microsoft および Windows は、米国における
Microsoft Corporationの登録商標です。
2
据付、操作、およびメンテナンス
目次
パート 1:クイックスタート 9
1
クイックスタート
Agilent 7650A ALS システムについて
システムの概要
特長
12
12
12
参照情報
13
Agilent GC and GC/MS Hardware User Information & Utilities DVD 13
オンラインヘルプ
14
パート 2:安全性と規制に関する情報 15
2
安全性と規制に関する情報
安全にお使いいただくための重要な警告
18
危険な電圧のかかった内部部品に関するご注意
18
静電気の放電による機器の電子部品の損傷に関するご注
意
18
安全性と規制準拠に関する認定
お知らせ
19
シンボル
20
技術仕様および環境仕様
電磁波障害について
据付、操作、およびメンテナンス
19
20
21
3
ドイツ連邦共和国での騒音放出認可
クリーニング
21
22
製品のリサイクル
22
パート 3:据付 23
3
適合性
ハードウェア
26
ファームウェア
4
26
据付
機器の準備
28
ALS の準備
29
出荷用ネジを取り外す
29
出荷用クランプを取り外す
タレットの取り付け
ALS の据え付け
30
34
37
ALS の据え付け
37
作業のチェック
44
ケーブルを接続する
45
7890A GC 45
7820A GC 46
5975E GC/MSD 47
5975T LTM-GC/MSD 47
接続のテスト
48
ファームウェアのアップデート
49
現在のファームウェアバージョンの表示
4
49
据付、操作、およびメンテナンス
ファームウェアのアップデート
51
機器とデータシステムのコンフィグレーション
機器のコンフィグレーション
52
データシステムのコンフィグレーション
トライアルランの実行
52
52
53
パート 4:操作 55
5
操作の概要
高速、低速、および可変プランジャ速度
機能
60
高速注入
61
サンプルキャリーオーバー
溶媒洗浄
63
63
サンプル洗浄
63
サンプルポンピング
洗浄の回数と種類
63
64
メソッドとシーケンス
サンプラサイクル
6
58
66
67
ALS のコンフィグレーション
7650A ALS のコンフィグレーション
70
7890A および 7820A GC 70
5975E GC/MSD 70
5975T LTM-GC/MSD 70
据付、操作、およびメンテナンス
5
7
ALS のパラメータ
7650A ALS に関するパラメータの設定
72
7890A および 7820A GC 73
5975E GC/MSD 75
5975T LTM-GC/MSD 75
8
シリンジおよびニードル
シリンジの選択
78
シリンジの点検
80
シリンジの取り付け
81
シリンジの取り外し
85
シリンジニードルの交換
9
86
バイアルおよびボトル
サンプルバイアルの準備
90
サンプルバイアルの選択
90
バイアルセプタムの選択
91
サンプルバイアルのラベル付け
サンプルバイアルの充填
92
93
サンプルバイアルのキャップの取り付け
溶媒ボトルと廃液ボトルの準備
ボトルの選択
96
96
溶媒ボトルの充填
96
廃液ボトルの準備
97
バイアルとボトルのタレットへの配置
分析できるサンプルバイアルの数
溶媒ボトルの式
6
94
98
100
101
据付、操作、およびメンテナンス
廃液ボトルの式
101
溶媒とサンプルの使用量の減少
サンドイッチ注入
10
103
104
例:2 層のサンドイッチ注入
106
例:3 層のサンドイッチ注入
108
サンプルの分析
サンプルの分析
注入量
112
112
分析またはシーケンスの中断
113
中断に対するサンプラの応答
中断したシーケンスの再開
113
113
パート 5:メンテナンスと
トラブルシューティング 115
11
メンテナンス
定期メンテナンス
118
シリンジの取り付け
119
シリンジの取り外し
123
タレットの交換
124
タレットの取り外し
125
タレットの取り付け
128
ニードルサポートガイドの交換
100µLを超えるシリンジを使用する
シリンジキャリッジの交換
据付、操作、およびメンテナンス
131
133
134
7
シリンジニードルの交換
7650A ALS の位置合わせ
140
142
パーキングポストの取り付け
12
144
トラブルシューティング
現象:機器の高速分析時間が予想よりも長い
現象:変動
147
現象:汚染またはゴーストピーク
149
現象:予測より小さい / 大きいピーク
現象:サンプルキャリーオーバー
現象:シグナルなし / ピークなし
シリンジに関する問題の修正
13
152
153
154
156
エラーメッセージ
159
交換部品
7650A ALS の交換部品
8
150
障害とエラー
障害
14
146
164
据付、操作、およびメンテナンス
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
パート 1:
クイックスタート
Agilent 7650A ALS システムについて
参照情報
12
13
Agilent Technologies
9
10
据付、操作、およびメンテナンス
パート1:クイックスタート
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
クイックスタート
Agilent 7650A ALS システムについて
システムの概要
特長
12
12
12
参照情報
13
Agilent GC and GC/MS Hardware User Information & Utilities DVD 13
オンラインヘルプ
14
この章では、Agilent 7650A オートサンプラ(ALS)の概要と利用可能なユーザー向け
情報について説明します。
Agilent Technologies
11
クイックスタート
Agilent 7650A ALS システムについて
システムの概要
インジェクタタワー
タレットの
ハブキャップ
サンプル
タレット
ヒートデフレクタ
図 1
7650A ALS
特長
7650A ALS の主な特長は以下のとおりです。
• サンプルタレットに最大 50 個のサンプルバイアル、4 本の溶媒ボトル、4 本の廃液
ボトルを配置することができます。
• 8mL の溶媒を利用できます。全溶媒量は 16 mL です。
• 16mL の廃液バイアル容量があります。
• 100ì L までのシリンジに対応できるシリンジキャリッジが標準で備わっています。
• 拡張サンプルシリンジキャリッジをオプションで装備できます。100ì L を超えるシリ
ンジのために最適化された高電力モーターを使用しています。
• エアーギャップで分離された最大 3 つのサンプル層を使用して、サンドイッチ注入
を実行できます。
• Agilent データシステムの制御下で、プランジャ速度を高速、低速、可変に変更でき
ます(58 ページの「高速、低速、および可変プランジャ速度」を参照)。
12
据付、操作、およびメンテナンス
パート 1:クイックスタート
クイックスタート
参照情報
このマニュアルには、安全および規制に関する情報、据え付け手順、操作情報、および
メンテナンスとトラブルシューティングに関するセクションがあります。このマニュア
ルは、
「Agilent GC and GC/MS Hardware User Information & Utilities」DVD に、イ
ンストールして使用する HTML ベースのマニュアル、および印刷可能な PDF として収
録されています。
Agilent GC and GC/MS Hardware User Information & Utilities DVD
このマニュアルに加えて、Agilent ガスクロマトグラフ(GC)、ガスクロマトグラフ / 質
量分析計(GC/MS)、LTM (Low thermal mass 低熱容量 ) ガスクロマトグラフ/ 質量分
析計(LTM- GC/MS)製品の据え付け、操作、メンテナンス、およびトラブルシューティ
ング方法が記載されているマニュアルを提供しています。DVD には以下のような重要な
情報の各国語版が含まれています。
• 入門マニュアル
• 設置準備に関する情報
• 安全性と規制に関する情報
• 据え付け、操作、メンテナンス、およびトラブルシューティングに関する情報
「Agilent GC and GC/MS Hardware User Information & Utilities」DVD に収録されて
いるマニュアルの形式は 2 種類あります。
包括的な HTML ベースのマニュアル
包括的な HTML ベースのマニュアル形式では、機器のマニュアルセット全体でフルテキ
スト検索を実行できます。このマニュアルは、付属の Agilent Instrument Utilities ソ
フトウェアにシームレスに統合されています。スタンドアロンのマニュアルとして
Microsoft® Windows® の[ スタート]メニューから表示することもできます。
印刷用に最適化された各国語版の PDF
印刷用に最適化された各国語版の PDF フォーマットのマニュアルは、簡単に印刷する
ことができ、1 冊のマニュアル内のテキスト検索が一度に行えます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 1:クイックスタート
13
クイックスタート
オンラインヘルプ
Agilent データシステムを使用すると、Agilent 7650A ALS と付随する機器を最大限に
活用できるようになります。データシステムのオンラインヘルプから、ユーザーインター
フェイスの説明、重要なコンセプト、一般的な作業、ソフトウェアのチュートリアルを
表示することができます。
オンラインヘルプのトピックには、段階を追った詳細な手順と、その他の関連資料への
リンクが記載されています。日常の作業については、これらのトピックを参照してくだ
さい(図 2 )。
図 2
データシステムのオンラインヘルプ
Agilent データシステムを使用する場合、[F1] を押してコンテキスト依存オンラインヘ
ルプを表示するか、[Help] メニューから[Help]を選択します。
14
据付、操作、およびメンテナンス
パート 1:クイックスタート
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
パート 2:
安全性と規制に関する情報
安全にお使いいただくための重要な警告
安全性と規制準拠に関する認定
クリーニング
18
19
22
製品のリサイクル
22
Agilent Technologies
15
16
据付、操作、およびメンテナンス
パート2:安全性と規制に関する情報
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
安全性と規制に関する情報
安全にお使いいただくための重要な警告
18
危険な電圧のかかった内部部品に関するご注意
18
静電気の放電による機器の電子部品の損傷に関するご注意
安全性と規制準拠に関する認定
お知らせ
19
シンボル
20
技術仕様および環境仕様
電磁波障害について
19
20
21
ドイツ連邦共和国での騒音放出認可
クリーニング
18
21
22
製品のリサイクル
22
この章では、Agilent 7650A オートサンプラ(ALS)の安全性と規制に関する重要な情
報を示します。
Agilent Technologies
17
安全性と規制に関する情報
安全にお使いいただくための重要な警告
7650A ALS を使用する際に忘れてはならない安全上の注意点がいくつかあります。
危険な電圧のかかった内部部品に関するご注意
機器の電源スイッチがオンになった状態では、以下の箇所に危険な電圧がかかっている
場合があります。
• 機器内にあるすべての電子回路ボード
• これらのボードに接続している内部配線やケーブル
警告
警告
これらの部品はすべてカバーに覆われて遮蔽されています。カバーが取り付けられ
た状態では、危険な電圧に誤って接触する事故が起きにくくなります。特別な指示
がない限り、カバーは決して取り外さないでください。
機器とガスクロマトグラフ断熱材の間の電源コードや配線が古くなったり、磨耗し
たりした場合は、コードを交換する必要があります。弊社カスタマコンタクトセン
ターにお問い合わせください。
静電気の放電による機器の電子部品の損傷に関するご注意
静電気による放電は、機器内部のプリント回路(PC)基板を損傷する恐れがあります。
絶対に必要でない限り、これらの基板には触れないでください。基板を取り扱う必要が
ある場合は、接地したリストストラップを着用するなど、静電気防止のための措置を講
じる必要があります。電子部品のカバーを取り外す必要がある場合は、接地したリスト
ストラップを必ず着用してください。
18
据付、操作、およびメンテナンス
パート 2:安全性と規制に関する情報
安全性と規制に関する情報
安全性と規制準拠に関する認定
7650A ALS は以下の安全基準に適合しています。
• 国際電気標準会議(IEC):61010–1
• 欧州統一規格(EN):61010–1
本機器は、電磁環境適合性(EMC)および無線周波数干渉(RFI)に関する以下の規制
に適合しています。
• CISPR 11/EN 55011: グループ1、クラスA
• IEC/EN 61326- 1
• AUS/NZ
N10149
こ の ISM 機 器 は、カナダの ICES- 001 に準拠しています。Cet appareil ISM est
conforme a la norme NMB—001 du Canada.
本機器は、ISO 9001 に登録された高品質システムの元で設計および製造されています。
お知らせ
Agilent Technologies ALS は、次の IEC(国際電気標準会議)の規格を満たしていま
す。Safety Class I、Transient Overvoltage Category II、Pollution Degree 2。
本機器は、承認された安全基準に従って設計およびテストされ、屋内で使用するように
設計されています。製造元の指定とは異なる方法で機器を使用した場合、機器に付属の
安全機構が損なわれる可能性があります。ALS の安全保護機能が低下した場合は、すべ
ての電源から機器を外して、意図しない動作が発生しないようにしてください。
点検や修理は、認定のサービスエンジニアに依頼してください。機器の部品を交換した
り、許可されていない改変を機器に加えたりすることは、危険をもたらす原因となり
ます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 2:安全性と規制に関する情報
19
安全性と規制に関する情報
シンボル
マニュアルまたは機器に記載される警告には、機器の運転操作、点検、修理のすべての
過程で従う必要があります。これらの注意事項に従わないと、機器の設計上の安全基準
と使用目的に違反することになります。Agilent Technologies は、お客様がこれらの要
件を遵守しなかった場合の責任は一切負わないものとします。
詳細については、補足説明を参照してください。
表面が高温であることを示します。
高電圧で危険なことを示します。
アース(接地)端子を示します。
爆発の危険を示します。
静電気の危険を示します。
技術仕様および環境仕様
• 通常の気圧での屋内使用のみ
• 高度 4300 m まで
• 動作周囲温度 15℃ ~ 55℃
• 周囲動作湿度 5% ~ 95%
• 汚染度 2、据え付けカテゴリ II
20
据付、操作、およびメンテナンス
パート 2:安全性と規制に関する情報
安全性と規制に関する情報
電磁波障害について
この機器は、CISPR 11 および IEC 61326- 1 の要件に適合しています。機器の操作は、
次の 2 つの条件を満たして行う必要があります。
1 この機器が有害な無線周波数干渉の原因とならないこと。
2 この機器が誤動作の原因となる無線周波数干渉を含め、いかなる受信干渉も許容でき
ること。
この機器が有害な干渉の原因となり、ラジオまたはテレビの受信を妨害しているかどう
かは、機器の電源をオフにしてからオンにすることによって確かめることができます。
機器が干渉の原因となっている場合は、以下の措置を試してください。
1 ラジオまたはアンテナの場所を変える。
2 機器をラジオまたはテレビから遠ざける。
3 機器を別のコンセントに差し込み、機器の電気回路をラジオまたはテレビの電気回路
と分離する。
4 周辺機器もすべて認定を受けていることを確認する。
5 機器と周辺機器が適切なケーブルを使って接続されていることを確認する。
6 機器の販売元、Agilent Technologies、または経験の豊富な技術者に相談する。
7 Agilent Technologies によって明示的に承認されていない変更や修正を行った場合
は、機器の使用権が無効になる可能性があります。
ドイツ連邦共和国での騒音放出認可
音圧
音圧レベル Lp < 82 dB(A)、DIN- EN 27779
(型式試験)に準拠
Schalldruckpegel
Schalldruckpegel LP < 82 dB(A) nach DIN- EN 27779 (Typprufung).
据付、操作、およびメンテナンス
パート 2:安全性と規制に関する情報
21
安全性と規制に関する情報
クリーニング
7650A ALS の外面をクリーニングするには、電源を外し、軽く湿らせたリントフリー布
で拭きます。詳細については、118 ページの「定期メンテナンス」を参照してください。
製品のリサイクル
リサイクルについては、お近くの Agilent 営業所にお問い合わせください。
22
据付、操作、およびメンテナンス
パート 2:安全性と規制に関する情報
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:
据付
適合性
25
ハードウェア
26
ファームウェア
据付
26
27
機器の準備
28
ALS の準備
29
ALS の据え付け
37
ケーブルを接続する
45
ファームウェアのアップデート
49
機器とデータシステムのコンフィグレーション
トライアルランの実行
52
53
Agilent Technologies
23
24
据付、操作、およびメンテナンス
パート3:据付
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
適合性
ハードウェア
ファームウェア
26
26
この章では、7650A ALS がお使いの Agilent GC、GC/MSD、または LTM- GC/MSD(機
器)に適しているかどうかを判断する際、および既存の機器を識別する際に役立つ情報
を提供します。
Agilent Technologies
25
適合性
ハードウェア
7650A ALS は、以下の Agilent 機器に適合します。
• 7890A GC(フロントまたはバック注入口)
• 7820A GC(フロントまたはバック注入口)
• 5975E GC/MSD(フロントまたはバック注入口)
• 5975T LTM- GC/MSD(フロント注入口)
機器当たり 1 つの ALS を使用できます。1 台の機器で複数の ALS を使用することは
できません。
ファームウェア
表 1 に、7650A ALS を使用するために Agilent 機器で必要なファームウェアの最小リ
ビジョンを示します。
表 1
7650A ALS を使用するためのファームウェアの最小リビジョン
機器
必要なファームウェアの
最小リビジョン
7890A GC
A.01.13
G3430 コントローラ(7890A GC 用)
A.02.11
7820A GC
A.01.12.003
5975E GC/MSD
5.02.12
5975T LTM-GC/MSD
A.03.03.005
機器のファームウェアをアップデートするには、49 ページの「ファームウェアのアップ
デート」を参照してください。
26
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
据付
機器の準備
28
ALS の準備
29
出荷用ネジを取り外す
29
出荷用クランプを取り外す
タレットの取り付け
ALS の据え付け
30
34
37
ケーブルを接続する
45
ファームウェアのアップデート
49
機器とデータシステムのコンフィグレーション
トライアルランの実行
52
53
7650A ALS の据え付け手順は、対象となる Agilent 機器の種類によって異なります。い
ずれの場合も、据え付けを行う前に、既存の ALS コンポーネントをすべて取り外して
おく必要があります。Agilent 機器のファームウェアのアップデートが必要になる場合
があります。
Agilent Technologies
27
据付
機器の準備
以下の手順では、Agilent GC、GC/MSD、または LTM- GC/MSD を 7650A ALS 用に準
備する方法について説明します。
警告
注入口は高温になるため、やけどの恐れがあります。注入口の付近で作業する場合
は、注入口の温度が室温に下がるまで待ってから行ってください。
1 機器の注入口、検出器、およびオーブンを室温に設定します。
2 注入口、検出器、オーブンが冷却された後に、機器をオフにします。
3 ALS のケーブルをすべて抜き取り、インジェクタを機器からすべて取り外します(す
でに取り付けられている場合)。
詳しくは、サンプラに付属のマニュアルを参照してください。
28
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
ALS の準備
出荷用ネジを取り外す
1 ALS の底部が見えるように ALS を平面に寝かせます。
2 T- 10 トルクスドライバを使って、3 本の赤い T- 10 トルクス出荷用ネジを ALS の
底部から取り外します(図 3 を参照)。
図 3
3 本の出荷用ネジを取り外す
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
29
据付
出荷用クランプを取り外す
シリンジキャリッジにオレンジ色と青色の出荷用クランプが取り付けられています
(図 4 を参照)
。
シリンジ
キャリッジ
出荷用クランプ
図 4
30
出荷用クランプが取り付けられた状態
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
出荷用クランプを取り外すには:
1 出荷用テープを取り外し(図 5 )、ALS のドアを開きます。
図 5
出荷用テープを取り外す
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
31
据付
2 T- 10 トルクスドライバを使って、T- 10 トルクス脱落防止ネジを完全に緩め、シリン
ジキャリッジからオレンジ色の出荷用クランプを取り外します(図 6 )。
図 6
32
オレンジ色の出荷用クランプを取り外す
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
3 シリンジキャリッジから青色の出荷用クランプを慎重に取り外します(図 7 )。
図 7
青色の出荷用クランプを取り外す
4 ALS のドアを閉じます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
33
据付
タレットの取り付け
タレットを取り付けるには:
1 ALS のドアを開きます(図 8 )。
図 8
ALS のドアを開く
2 タレットハブ上のタブをタレットの内側のノッチと整列させて、タレットをタレット
ハブ上に配置します(図 9 )。
図 9
34
タレットをタレットハブ上に配置
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
3 タレットを回転して、インジェクタの開口部が ALS の正面を向くようにします
(図 10 )。
インジェクタの
開口部
図 10
インジェクタの開口部が ALS の正面を向くようにタレットを回転
4 タレットのハブキャップをタレットハブ上に配置します。タレットのハブキャップ上
の溝とタレットハブ上の溝の位置を合わせてください(図 11 )。
図 11
タレットのハブキャップをタレットハブ上に配置
5 タレットを押さえながら、タレットのハブキャップを時計回りに回してタレットハブ
上の所定の位置に押し込みます。タレットのハブキャップ上のタブをタレットイン
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
35
据付
ジェクタ開口部に合わせてください(図 10 )。
タレットの
ハブキャップのタブ
タレットインジェクタ開口部
図 12
36
タレットのハブキャップを時計回りに回して所定の位置に押し込む
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
ALS の据え付け
ALS の据え付け
以下の手順では、7650A ALS を据え付ける方法について説明します。
注意
注意
以下のステップでは、ポスト上部の溝にぴったりとはまるマイナスドライバを使用
してください。ブレードが小さいとポストの先端を傷つけることがあり、また ALS
がきちんと取り付けられないことがあります。
ALS を別のインジェクタの取り付けポスト(7693A ALS 用以外)に装着しないでくださ
い。ALS が損傷する可能性があります。適合しないポストを取り外し、付属の G4513-20561
取り付けポストと交換します。
1 ALS 取り付けポスト(図 13 )を機器に取り付けます。
図 13
取り付けポスト(G4513-20561)
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
37
据付
• 7890A GC、7820A GC、または 5975E GC/MSD の場合、取り付けポストを注入
口カバーのフロントインジェクタまたはバックインジェクタの位置に取り付けま
す(図 14 を参照)。ポストを最後まで回しきる必要があります。
取り付けポスト
バックインジェクタ位置
取り付けポスト
フロントインジェクタ位置
図 14
38
7820A GC の取り付けポストの位置(7890A GC も同様です)
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
• 5975T LTM- GC/MSD の場合、取り付けポストを図 15 のように取り付けます。ポ
ストを最後まで回しきる必要があります。
取り付けポスト
図 15
5975T LTM-GC/MSD での取り付けポストの装着
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
39
据付
2 ALS 通信ケーブルをフロントまたはバックの ALS ポート(7820A GC、図 16 )、ま
たはサンプラポート(5975T LTM- GC/MSD、図 17 )に接続します。
バック ALS ポート
フロント ALS ポート
図 16
40
7820A GC 背面のフロントおよびバックの ALS ポート
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
サンプラケーブル
ポート
図 17
5975T LTM-GC/MSD 背面のサンプラケーブルポート
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
41
据付
3 ALS を取り付けポストと注入口カバーのサポートガイド上に配置します(図 18 ま
たは図 19 を参照)。
図 18
42
ALS を 7890A GC に据え付けた場合
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
図 19
ALS を 7820A GC に据え付けた場合
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
43
据付
作業のチェック
ALS が直立し、安定していなければなりません。
ALS が機器上で直立しない場合は、注入口カバーの下の配管と配線がそれぞれの溝を正
しく通っているかをチェックします。
44
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
ケーブルを接続する
このセクションでは、7650A ALS を 7890A GC、7820A GC、5975E GC/MSD、5975T
LTM- GC/MSD に据え付けるためのケーブル配線を示します。
7890A GC
図 20 のケーブル配線図に従って、ALS を 7890A GC に正しく配線します。
7890A GC
ALS ポート
サンプラ 1
サンプラ 2
ケーブル(G4514-60610)
フロント
オートサンプラ
図 20
バック
オートサンプラ
7890A GC のケーブル
ALS を GC の使用可能な任意の ALS ポートに G4514- 60610 ケーブルで接続します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
45
据付
7820A GC
図 21 のケーブル配線図に従って、ALS を 7820A GC に正しく配線します。
7820A GC
ALS ポート
フロントまたはバック
フロントまたはバック
ケーブル(G4514-60610)
フロント
オートサンプラ
図 21
バック
オートサンプラ
7820A GC のケーブル
ALS を GC の使用可能な任意の ALS ポートに G4514- 60610 ケーブルで接続します。
46
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
5975E GC/MSD
図 22 のケーブル配線図に従って、ALS を 5975E GC/MSD に正しく配線します。
5975E GC/MSD
5975 シリーズ MSD
サンプラ 1
7820A GC
ケーブル
(G4514-60610)
インジェクタ1
フロント
オートサンプラ
図 22
5975E GC/MSD のケーブル
ALS を GC/MSD に G4514- 60610 ケーブルで接続します。
5975T LTM-GC/MSD
図 23 のケーブル配線図に従って、ALS を 5975T LTM- GC/MSD に正しく配線します。
5975T LTM-GC/MSD
サンプラ 1
ケーブル(G4514-60610)
インジェクタ1
フロント
オートサンプラ
図 23
5975T LTM-GC/MSD のケーブル
ALS を LTM- GC/MSD に G4514- 60610 ケーブルで接続します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
47
据付
接続のテスト
通信ケーブルを接続したら、機器の電源を入れます。起動プロセス終了後、以下を行い
ます。
• ALS の Ready ライトが点灯していることを確認します。
• ALS の Align Mode ライトが点灯している場合は、「ALS の位置合わせ」を参照し
てください。
48
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
ファームウェアのアップデート
Agilent Instrument Utilities ソフトウェアのファームウェア更新ツールを使用して
ファームウェアをアップデートします。
7650A ALS には、表 2 に示したファームウェアリビジョンが必要です。ALS を使用す
る前に、以下の説明に従ってファームウェアリビジョンをチェックします。
Agilent の Web サイト(www.agilent.com/chem/jp)から最新のファームウェアリビ
ジョンをダウンロードするか、お近くの Agilent 営業所にお問い合わせいただくこ
とができます。
ファームウェアのアップデートを怠ると、コンポーネントが認識されない、利用できる
機能の数が少なくなるといった問題が起こります。
現在のファームウェアバージョンの表示
機器と据え付けされている ALS コンポーネントの現在のファームウェアバージョンを
表示するには:
すべての機器 機器の電源を入れ直します。機器が再起動するときに、現在のファーム
ウェアバージョンが表示されます。
7890A GC [Status]>[Clear]の順に押すか、
[Service Mode]を押してから[Diagnostics]
>[Instrument status]の順に選択して、現在の GC ファームウェアバージョンを表示し
ます。現在の ALS コンポーネントファームウェアを表示するには、[Service Mode]を
押して[Diagnostics]>[ALS Status]の順に選択します。メニューをスクロールして、フ
ロントまたはバックタワーを表示します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
49
据付
7820A GC および 5975E GC/MSD ソフトウェアキーパッドを使用して、[Status]>
[Clear]の順に押すか、
[Service Mode]を押してから[Diagnostics]>[Instrument status]
の順に選択して、現在の機器のファームウェアバージョンを表示します(図 24 )。
図 24
ソフトウェアリモートコントローラに表示された 7820A GC ファームウェア
バージョン
現在の ALS コンポーネントファームウェアを表示するには、[Service Mode]を押して
[Diagnostics]>[ALS Status]の順に選択します。メニューをスクロールして、フロント
/ バックタワーのファームウェアバージョンを表示します(図 25 )。
図 25
ソフトウェアリモートコントローラに表示された 7650A ALS ファームウェア
バージョン
5975T LTM-GC/MSD [メニュー]を押して、[+ バージョン]または[+ LTM GC]にス
クロールして、
[項目]キーを使用して、希望するコンポーネントファームウェア情報ま
でスクロールします。Agilent データシステムを使用して、ALS ファームウェア情報を
表示します。
50
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
ファームウェアのアップデート
ファームウェアをアップデートするには、Agilent Instrument Utilities ソフトウェアに
含まれるファームウェア更新ツール(図 26 )を使用します。ファームウェアのアップ
デート情報については、Instrument Utilities ソフトウェアのヘルプとユーザーマニュ
アルを参照してください。
Instrument Utilities ソフトウェアの[ファームウェア更新]画面で機器に接続した後
は、接続を解除しない限り、その機器に対するほかの作業を一切実行できなくなります。
図 26
ファームウェア更新ツール
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
51
据付
機器とデータシステムのコンフィグレーション
機器のコンフィグレーション
ハードウェアの据え付けが完了したら、機器を 7650A ALS とともに使用できるように
コンフィグレーションします。詳細については、「ALS のコンフィグレーション」を参
照してください。
データシステムのコンフィグレーション
コンフィグレーション
Agilent データシステムには使用中のサンプリング機器に関する情報が格納されていま
す。これらの情報を更新して、古い情報を除去し、新しく据え付けた機器に関する情報
で置き換える必要があります。詳しくは、データシステムのマニュアルを参照してくだ
さい。
メソッドのアップグレード
以前のサンプラシステム用に作成されたメソッドを使用する前に、新しいハードウェア
に適合するよう、必要に応じてメソッドを編集する必要があります。
52
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
据付
トライアルランの実行
据え付け、コンフィグレーション、アップデート、キャリブレーションが完了したら、サ
ンプラを使用してクイック注入を実行し、サンプルが正しく動作することを確認します。
1 ALS に空のシリンジを取り付けます。
2 空のボトルを溶媒と廃液のすべてのポジションに配置し、空のキャップ付きサンプル
バイアルをタレットのサンプル 1 ポジションに配置します。詳しくは、
「バイアルと
ボトルのタレットへの配置」を参照してください。
3 表 2 に示すように、サンプラの設定を行います。これらの設定値は 7820A GC 用の
ものです。サポートされている別の機器を使用している場合は、これらの設定値を目
安として使用してください。
7890A GC
フロントキーパッドを使用します
7820A GC
ソフトウェアキーパッドを使用します
5975T LTM-GC/MSD
お使いの Agilent データシステムを使用
します
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
53
据付
表 2
トライアルランのパラメータ
パラメータ
設定
注入量
1.00
Viscosity delay
(粘性待ち時間)
Inject Dispense Speed
(注入速度)
Airgap Volume
(エアーギャップ量)
Sample Pumps
(サンプルポンピング回数)
Sample Washes
(サンプル洗浄回数)
Solvent A post washes
(注入後溶媒 A 洗浄の回数)
Solvent A pre washes
(注入前溶媒 A 洗浄の回数)
Solvent B post washes
(注入後溶媒 B 洗浄の回数)
Solvent B pre washes
(注入前溶媒 B 洗浄の回数)
Sample Draw Speed
(サンプル吸引速度)
Pre dwell time
(注入前ドゥエルタイム)
Post dwell
(注入後ドゥエルタイム)
Sample offset
(サンプルオフセット)
Injection Mode
(注入モード)
Tower LED(タワー LED)
0
6000
0.20
6
0
1
1
0
0
300
0
0
0
通常(1 レイヤー注入)
オン
4 オーブンプログラムを、30 ℃(または現在の室温)、イニシャル時間 0.3 分、昇温速
度 0 ℃/min 、ホールド時間 0.1 分、平衡時間 0.3 分に設定します。
5 シーケンスを保存して読み込んでから、実行します。
問題がない場合は、ALS による注入が一番最初のバイアルポジションから 1 回行わ
れます。
問題が発生した場合は、
「障害」、
「エラーメッセージ」、または「シリンジに関する問
題の修正」を参照してください。
54
据付、操作、およびメンテナンス
パート 3:据付
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:
操作
操作の概要
57
高速、低速、および可変プランジャ速度
機能
58
60
高速注入
61
サンプルキャリーオーバー
メソッドとシーケンス
サンプラサイクル
63
66
67
ALS のコンフィグレーション
69
7650A ALS のコンフィグレーション
ALS のパラメータ
70
71
7650A ALS に関するパラメータの設定
シリンジおよびニードル
シリンジの選択
78
シリンジの点検
80
シリンジの取り付け
81
シリンジの取り外し
85
シリンジニードルの交換
バイアルおよびボトル
72
77
86
89
サンプルバイアルの準備
90
溶媒ボトルと廃液ボトルの準備
96
バイアルとボトルのタレットへの配置
分析できるサンプルバイアルの数
サンドイッチ注入
サンプルの分析
サンプルの分析
98
100
104
111
112
分析またはシーケンスの中断
113
Agilent Technologies
55
56
据付、操作、およびメンテナンス
パート4:操作
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
操作の概要
高速、低速、および可変プランジャ速度
機能
58
60
高速注入
61
サンプルキャリーオーバー
溶媒洗浄
63
63
サンプル洗浄
63
サンプルポンピング
洗浄の回数と種類
64
メソッドとシーケンス
サンプラサイクル
63
66
67
この章では、7650A ALS の特長と機能について説明します。
Agilent Technologies
57
操作の概要
高速、低速、および可変プランジャ速度
可変プランジャ速度のデフォルト値は、10ì L シリンジに基づいています。シリンジ容
量が大きくなるほど、注入速度を遅くする必要があります。大容量の注入でプランジャ
のエラーを確認できるようにする場合は、注入速度を抑えるようにします。
表3
シリンジ容量ごとのプランジャ速度(高速 / 低速)
プランジャ速度
(µL/min)
シリンジ容量(µL)
0.5
1
2
5
10
25
50
100
250
500
高速
15
30
60
150
300
750
1500
3000
300
600
低速
15
30
60
150
300
750
1500
3000
300
600
高速
300
600
1200
3000
6000
15000
30000
60000
1500
3000
低速
300
600
1200
3000
6000
15000
30000
60000
1500
3000
高速
300
600
1200
3000
6000
15000
30000
60000
低速
15
30
60
150
300
750
1500
3000
75
150
吸引(µL/min)
排出(µL/min)
注入(µL/min)
58
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
操作の概要
表4
シリンジ容量ごとの可変プランジャ速度
可変プランジャ
速度(µL/min)
(x)= デフォルト値
シリンジ容量(µL)
0.5
1
2
5
10
25
50
100
250
500
サンプル吸引
1 - 30
(15)
1 - 60
(30)
1 - 120
(60)
1 - 300
(150)
1 - 600
(300)
2 - 1500
(750)
33000
(1500)
66000
(3000)
15 15000
(7500)
30 30000
(15000)
サンプル排出
1 - 300
(300)
1 - 600
(600)
1 - 1200
(1200)
1 - 3000
(3000)
1 - 6000
(6000)
215000
(15000)
3615 30000
60000
150000
(30000) (60000) (150000)
30 300000
(300000)
インジェクタ排出
1 - 300
(300)
1 - 600
(600)
1 - 1200
(1200)
1 - 3000
(3000)
1 - 6000
(6000)
215000
(15000)
3615 30000
60000
150000
(30000) (60000) (150000)
30 300000
(300000)
溶媒吸引
1 - 30
(15)
1 - 60
(30)
1 - 120
(60)
1 - 300
(150)
1 - 600
(300)
2 - 1500
(750)
33000
(1500)
30 30000
(15000)
溶媒排出
1 - 300
(300)
1 - 600
(600)
1 - 1200
(1200)
1 - 3000
(3000)
1 - 6000
(6000)
215000
(15000)
3615 30000
60000
150000
(30000) (60000) (150000)
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
66000
(3000)
15 15000
(7500)
30 300000
(300000)
59
操作の概要
機能
表 5 に、7650A ALS の機能を要約します。
表 5
60
7650A ALS の機能
パラメータ
範囲
シリンジサイズ
1~ 500µL
洗浄モード
A、B
溶媒セーバ
シリンジサイズ(µL)の10%、20%、30%、40%、
80%
注入量
シリンジサイズ(µL)の1 ~50%
サンプルポンピングの回数
0 - 15
粘性待ち時間
0 ~ 7秒
エアーギャップ
シリンジサイズ(µL)の0 ~10%
注入前サンプル洗浄の回数
0 - 15
注入後溶媒 A 洗浄の回数
0 - 15
注入後溶媒 B 洗浄の回数
0 - 15
プランジャ速度
59 ページの表 4 を参照
注入前溶媒 A 洗浄の回数
0 - 15
注入前溶媒 B 洗浄の回数
0 - 15
注入前ドゥエルタイム
0 ~ 1 分(0.01 分刻み)
注入後ドゥエルタイム
0 ~ 1 分(0.01 分刻み)
サンプリングオフセット
オン、オフ
可変サンプリング深さの位置
2-2 mm ~ +30 mm
マルチ注入モードの注入回数
1 - 99
マルチ注入モードの注入待ち時間
0 ~ 100 秒
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
操作の概要
高速注入
高速注入とは、ニードルの分留という負の影響なしに、加熱された注入口にサンプルを
導入するメソッドのことです。
初めて 7650A ALS を使用している場合は、生成されるクロマトグラムにいくつかの変
化が見られるかもしれません。これらの変化のほとんどは、注入中のニードルからの気
化量が減少することによるものです。
• クロマトグラムのピーク面積が小さくなる場合があります。自動高速注入では、希望
の設定値量のサンプルが供給されます。高速注入を使用しないと、サンプルの残留物
がニードルから気化し、注入口に入ります。この余剰量は最大1ì Lになる場合があり
ます。
• クロマトグラムのピーク面積で示される沸点の低い成分と沸点の高い成分の分化が
小さくなる場合があります。
高速注入を使用しないと、ニードル内での分留が原因で、導入されるサンプルには沸点
の高い成分より沸点の低い成分の方が多くなります。ニードル内の残留サンプルが注入
口に入るだけでなく、沸点の低い成分が先に蒸発します。これがニードル分留またはニー
ドル分別と呼ばれるものです。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
61
操作の概要
図 27 は、ヘキサンを溶媒とする C10 ~C40 パラフィン1ì L サンプルのマニュアル注入と
ALSからの自動高速注入を比較したものです。
自動注入
マニュアル注入
図 27
自動注入とマニュアル注入の比較
ALS の性能の詳細については、Agilent 営業所から入手できる以下のテクニカルペー
パーを参照してください。
Publication No. 43- 5953- 1843:Snyder, W. Dale. Fast Injection with the 7673A
Automatic Injector:Chemical Performance, Technical Paper 108, June 1985
Publication No. 43- 5953- 1878:Snyder, W. Dale. Performance Advantage of the
7673A Automatic Injector Over Manual Injection, Technical Paper 109, August
1985.
Publication No. 43- 5953- 1879:Kolloff, R. H. C. Toney, and J. Butler. Automated
On- Column Injection with Agilent 7673A Automatic Injector and 19245A
On- Column Capillary Inlet:Accuracy and Precision, Technical Paper 110, August
1985
62
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
操作の概要
サンプルキャリーオーバー
キャリーオーバーとは、以前に注入したサンプルのピークが現在の分析で観測されるこ
とです。
7650A ALS は、溶媒洗浄、サンプル洗浄、サンプルポンピングを使用して、キャリー
オーバーを制御します。これらの各作業により、シリンジに残るサンプルの量が減少し
ます。それぞれの作業の有効性は、利用目的によって異なります。
溶媒洗浄
ALS は、溶媒 A ポジションまたは溶媒 B ポジションのいずれかから溶媒をシリンジに
吸引し、シリンジの中身を 1 つまたは複数の廃液ボトルに排出します。溶媒洗浄は、サ
ンプルを取り込む前(注入前溶媒洗浄)または注入直後(注入後溶媒洗浄)に行うこと
ができます。洗浄の量は調整可能です。
サンプル洗浄
サンプル洗浄中、ALS は次のサンプルをシリンジに吸引し、中身を 1 つまたは複数の
廃液ボトルに排出します。サンプル洗浄は注入前に行われます。サンプルの量が限られ
ているときは、注入前溶媒洗浄を使用して、サンプルを吸引する前にシリンジを湿らせ
ることができます。洗浄の量は調整可能です。
サンプルポンピング
サンプルポンピング中、ALS はサンプルをシリンジに吸引し、それをサンプルバイアル
に戻します。ポンピングは、サンプル洗浄後と注入直前に行われます。ポンピングには、
泡を消す役割があります。ニードルに前の洗浄からの溶媒が残っていると、ポンピング
によって少量の溶媒が追加され、サンプルと混じって、わずかながらサンプルを希釈す
る可能性があります。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
63
操作の概要
洗浄の回数と種類
理想的な条件下では、4 回のデフォルト量(80%)洗浄により、キャリーオーバーが 1
万分の 1 まで減少します。必要な洗浄の回数と種類は、以下の条件によって決まります。
• 許容できるキャリーオーバーの量
• 検体の粘性と溶解度
• 溶媒の粘性と揮発性
• シリンジバレルの磨耗の度合い
• 洗浄量
クロマトグラム A と B(図 28 )は、メタノールに溶質を溶かしたバイアルから 1ì L
を注入した後で、メタノールのバイアルから 1ì Lを 注入したときの、キャリーオーバー
の影響を示したものです。クロマトグラム B のピークは、シリンジに残っていた最初の
注入からの溶質によるものです。
64
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
操作の概要
クロマトグラム C は、80% シリンジ容量の溶媒洗浄でシリンジを 4 回洗浄したときの
結果を示したものです。キャリーオーバーのピークは消えています。
クロマトグラム A:
20 mg/mL の溶質
溶媒はメタノール
クロマトグラム B:
メタノールブランク
洗浄なし
クロマトグラム C:
メタノールブランク
4 回の洗浄後
図 28
サンプルキャリーオーバー
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
65
操作の概要
メソッドとシーケンス
サンプラは通常、シーケンスによって制御されます。シーケンスとは、分析するサンプ
ルをリストにしたものであり、以下の要素で構成されます。
• サンプルを検出する場所
• サンプルの分析に使用するメソッド
• サンプルの測定方法と注入方法
• 分析のレポートを生成する方法
メソッドは、ガスクロマトグラフの動作を制御する設定値(温度、時間など)の集まり
です。
シーケンスとそれによって指定されるメソッドを組み合わせると、サンプルの分析を完
全に制御できます。ただし、具体的な詳細は、使用するハードウェアとソフトウェアに
よって異なるため、そうした情報については、他のマニュアルを参照してください。
ここでは、サンプラに固有の詳細のみを説明します。メソッドとシーケンスを設定する
には、お使いの Agilent データシステムのヘルプまたは機器のマニュアルを参照してく
ださい。
66
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
操作の概要
サンプラサイクル
表 6 で 7650A ALS の基本的な操作について説明します。
表 6
サンプラサイクル
手順
処置
1 シリンジを溶媒で洗浄します。
•
a 溶媒ボトルをシリンジの下まで回
転させます。
b シリンジのニードルを溶媒の中に
入れます。
c 溶媒を吸引します。
d シリンジのニードルを溶媒ボトル
から持ち上げます。
e 廃液ボトルをシリンジの下まで回
転させます。
f シリンジを下げます。プランジャ
を押し下げて、溶媒を排出します。
g シリンジのニードルを廃液バイア
ルから持ち上げます。
シリンジは、複数の溶媒を使って複
数回洗浄できます。これは、注入前
溶媒洗浄パラメータによって制御
されます。
2 シリンジをサンプルで共洗いし
ます。
a サンプルバイアルをシリンジの下
まで回転させます。
b シリンジのニードルを下げて、
ニードルがバイアルセプタムを貫
通してサンプルの中に入るように
します。
c サンプルを吸引します。
d シリンジとニードルを溶媒ボトル
から持ち上げます。
e 廃液ボトルをシリンジの下まで回
転させます。
f シリンジニードルを下げます。プ
ランジャを押し下げて、サンプル
を排出します。
g シリンジのニードルを廃液バイア
ルから持ち上げます。
シリンジは、サンプルで数回共洗い
できます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
注記
•
67
操作の概要
表 6
サンプラサイクル (続き)
手順
処置
注記
3 シリンジにサンプルを入れます。
a サンプルバイアルをシリンジの下
まで回転させます。
b シリンジのニードルを下げて、
ニードルがバイアルセプタムを貫
通するようにします。
c サンプルを吸引します。
d ニードルをサンプルに浸けた状態
で、シリンジプランジャをすばや
く押し下げます。
e 最終ポンピングの後、サンプルを
吸引します。
f シリンジのニードルをサンプルバ
イアルから持ち上げます。
•
作業 c と d は、複数回繰り返すこと
ができます。目的は、シリンジから
気泡を出すことです。
4 サンプルを注入します。
•
a タレットを回転して、注入口が見
えるようにします。
b シリンジのニードルを下げて、
ニードルが注入口セプタムを貫通
するようにします。
c シリンジプランジャを押し下げて、
注入を行います。
d シリンジのニードルを注入口から
持ち上げます。
注入の瞬間に、 Start シグナルが機
器とデータプロセッサに送信され
ます。
5 シリンジを溶媒で洗浄します。
•
手順 1 と同じですが、注入後パラ
メータに従います。
6 繰り返し注入を実行します。
•
そのようにプログラムされている
場 合は、機 器が Ready にな る のを
待って、手順 1 からサイクルを繰り
返します。
メソッドが内側の列と外側の列のタレットポジションを切り替える場合、同じ列のバイ
アル間を移動するよりも ALS で時間がかかる場合があります。
68
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
ALS のコンフィグレーション
7650A ALS のコンフィグレーション
70
7890A および 7820A GC 70
5975E GC/MSD 70
5975T LTM-GC/MSD 70
この章では、7650A ALS をコンフィグレーションする方法について説明します。
Agilent Technologies
69
ALS のコンフィグレーション
7650A ALS のコンフィグレーション
7890A および 7820A GC
7890A GC の場合は、GC キーパッドの[Config]
[Front Injector]または[Config]
[Back
Injector]を押して、フロントインジェクタまたはバックインジェクタのコンフィグレー
ションパラメータを表示します。7820A GC の場合は、GC ソフトウェアキーパッドの
[Config]
[Injector]を押して、フロント ALS またはバック ALS のコンフィグレーショ
ンパラメータを表示します。
CONFIGURE FRONT INJECTOR
Front Tower
Syringe size
INJ1
10.0
Front/Back tower—On/Yes キーと Off/No キーを使用し、タワーの取り付け位置に
応じて INJ1(フロントタワー)と INJ2(バックタワー)を切り替えます。
Syringe size(シリンジサイズ)—0.5 ~ 500 µL のシリンジ サイズを入力します。
注記
GC はシリンジ容量はプランジャの最大動作範囲を示すものとみなします。シリンジバレ
ルにマークされた最大容量がバレルの半分の場合は、その容量の 2 倍の量を入力する必
要があります( この場合のラベルは、プランジャ動作範囲の半分です)。
5975E GC/MSD
5975E GC/MSD の ALS のコンフィグレーションは 7820A GC と同じです。70 ページ
の「7890A および 7820A GC」を参照してください。
5975T LTM-GC/MSD
Agilent データシステムを使用して、ALS をコンフィグレーションします。詳細はお使
いのデータシステムのヘルプを参照してください。
70
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
ALS のパラメータ
7650A ALS に関するパラメータの設定
72
7890A および 7820A GC 73
5975E GC/MSD 75
5975T LTM-GC/MSD 75
この章では、さまざまな制御機器を使用して 7650A ALS のパラメータを設定する方法
について説明します。
この章の説明は、機器ファームウェアで利用可能な機能について触れたものであり、
Agilent データシステムで使用可能な機能に関する説明であるとは限りません。詳細に
ついては、Agilent データシステムのヘルプを参照してください。
Agilent Technologies
71
ALS のパラメータ
7650A ALS に関するパラメータの設定
設定可能なパラメータは、お使いの機器および ALS に固有のコンフィグレーションに
よって異なります。各パラメータの有効な設定値の範囲を表示するには、[Info]キーを
押します。ALS の機能については、59 ページの表 4 および 60 ページの表 5 を参照し
てください。
72
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
ALS のパラメータ
7890A および 7820A GC
7890A GC の場合は、GC キーパッドの[Front Injector]または[Back Injector] を押しま
す。7820A GC の場合は、ソフトウェアキーパッドの[Injector]を押します。以下に詳
しく示す設定値のうち、設定する必要のある値までスクロールします。
設定値を入力し、
[Mode/Type]を使用して選択内容を変更するか、設定値をオンまたは
オフにします。
FRONT INJECTOR
Injection volume
Viscosity delay
Inject Dispense Speed
1.0
0
FAST
Sample pumps
Sample washes
Sample Wash Volume
Solvent A post washes
Solvent A pre washes
Solvent A wash volume
Solvent B post washes
Solvent B pre washes
Sample Draw Speed
Sample Disp Speed
Solvent Draw Speed
Solvent Disp Speed
Pre dwell time
Post dwell
Sample offset
Injection Reps
6
2
8.0
0
0
8
0
0
FAST
FAST
FAST
FAST
0.00
0.00
Off
1
Injection volume — 注入するサンプル容量。注入量を ì L 単位で入力します。最
大値は、コンフィグレーションされているシリンジサイズの 50% です(10ì L シリンジ
を使用した場合、入力値は 0.1、0.2、0.3ì L のようになり、5ì L まで指定できます)。入
力した容量は、許容可能な次のパラメータに四捨五入されます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート4:操作
73
ALS のパラメータ
Viscosity delay — ポンプストロークと注入ストロークのトップでプランジャが
一時停止し、シリンジが充填されるまで待機する秒数。粘性サンプルを使用する場合は、
シリンジプランジャを停止させることによって、シリンジに生成された真空にサンプル
を流入させることができます。
Inject Dispense Speed — 1分あたりの注入量をマイクロリットル単位で表した
もの。ここで入力したパラメータ値は、許容可能なパラメータ値の中で最も近い値に四
捨五入されます。たとえば、7000ì /min は 7009ì /min に四捨五入されます。
Airgap Volume — サンプルをニードルの先端から分離する空気の量。
Sample pumps — 気泡を追い出し、再現性を高めるため、ニードルをサンプルにつけ
た状態でシリンジプランジャを上げ下げする回数。
Sample washes — 注入前にシリンジをサンプルで共洗いする回数。ALS は、シリン
ジニードルをサンプルバイアル内に下げ、サンプルを吸引して、廃液ボトルの 1 つに排
出します。
Sample Wash Volume — サンプル洗浄に使用する容量をマイクロリットル単位で表
したもの。
Solvent A post washes — シリンジを溶媒 A ボトルからの溶媒ですすぐ回数。
Solvent A pre washes — シリンジを溶媒 A ボトルからの溶媒ですすぐ回数。
Solvent A wash volume — サンプル A 洗浄に使用する容量をマイクロリットル
単位で表したもの。
Solvent B post washes — シリンジを溶媒 B ボトルからの溶媒ですすぐ回数。
Solvent B pre washes — シリンジを溶媒 B ボトルからの溶媒ですすぐ回数。
Solvent B wash volume — サンプル B 洗浄に使用する容量をマイクロリットル
単位で表したもの。
Sample Draw Speed — サンプル注入時のシリンジプランジャの速度。
Sample Disp Speed — 可変プランジャ速度を使用する場合は、サンプル注入の速度。
74
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
ALS のパラメータ
Solvent Draw Speed — 可変プランジャ速度を使用する場合は、溶媒注入時のシリ
ンジプランジャの速度。
Solvent Disp Speed — 可変プランジャ速度を使用する場合は、溶媒注入の速度。
Pre dwell time — 注入前に注入口にニードルが留まる時間を分単位で表したもの。
Post dwell — 注入後に注入口にニードルが留まる時間を分単位で表したもの。
Sample offset — 可変サンプリング深さを有効にします。
Injection mode — 注入モードのタイプ。
Injection Reps — 注入モードが複数の繰り返しを含むLVI(大容量注入)の場合は、
繰り返し注入の回数。
Injection Delay — 注入モードが複数の繰り返しを含むLVI(大容量注入)の場合
は、繰り返し注入間の遅延時間の長さ。
L2 volume — 注入モードが 2 層または 3 層のサンドイッチ注入の場合の、層 2 で
使用されるサンプルの量。
L2 Airgap volume — 注入モードが 2 層または 3 層のサンドイッチ注入の場合の、
サンプル層 1 とサンプル層 2 の間で使用される空気の量。
L3 volume — 注入モードが 3 層のサンドイッチ注入の場合の、層 3 で使用されるサ
ンプルの量。
L3 Airgap volume — 注入モードが 3 層のサンドイッチ注入の場合は、サンプル層
2 とサンプル層 3 の間で使用される空気の量。
Tower LED — インジェクタタワー内部の LED ライトを制御します。
5975E GC/MSD
5975E GC/MSD の ALS のパラメータ設定は 7820A GC と同じです。73 ページの
「7890A および 7820A GC」を参照してください。
5975T LTM-GC/MSD
パラメータの設定はすべて、Agilent データシステムで行います。詳細はお使いのデー
タシステムのヘルプを参照してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート4:操作
75
ALS のパラメータ
76
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
シリンジおよびニードル
シリンジの選択
78
シリンジの点検
80
シリンジの取り付け
81
シリンジの取り外し
85
シリンジニードルの交換
86
7650A ALS は、サンプル処理デバイスとしてシリンジを使用します。この章では、シリ
ンジの特性と使用法について説明します。
Agilent Technologies
77
シリンジおよびニードル
シリンジの選択
1 シリンジのタイプは、使用する注入口と注入するサンプル容量に基づいて選択します
(表 7 および表 8 )。
表 7
標準のシリンジ
公称サイズ(µL)
最大注入量(µL)
1
0.5
2
1
5
2.5
10
5
25
12.5
50
25
100
50
表 8
プランジャの先端にテフロンチップが付いたシリンジ
公称サイズ(µL)
最大注入量(µL)
10
5
25
12.5
50
25
100
50
250
125
500
250
2 シリンジを選択します。部品番号と注文方法については、Agilent の消耗品カタログ
を参照してください。
3 適切なシリンジのニードルゲージを選択します(表 9 )。
78
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
シリンジおよびニードル
表 9
ニードルゲージの選択
注入口タイプ
パージ付きパックド、
スプリット、スプリットレス
(MMI と PTV を含む)
カラムタイプ
ニードルゲージ
任意の
使用可能カラム
23 ゲージ
26 ゲージまたは
23/26s 先細ゲージ
先端が円錐状になったシリンジニードルを使用します。先端のとがったニードルは使用
しないでください。先端のとがったニードルを使用すると、注入口のセプタムが傷つき、
漏れの原因となります。また、ニードルがセプタムを出るときにセプタムをこすりがち
にな り、ク ロマ トグラムで溶媒ピークが大きくテーリングする原因にもなります
(図 29 および図 30 )。
円錐状の先端
とがった先端
図 29
ニードルの先端
ニードルの先端
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
先細のニードル
図 30
ニードルの形状
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
79
シリンジおよびニードル
シリンジの点検
シリンジを取り付ける前に:
1 清潔な平面の端でシリンジを転がします。ニードルの先端が円を描く場合は、シリン
ジバレルに接続するニードルの付け根付近でニードルを少し曲げ、シャフトをまっす
ぐにしてから、再びシリンジを転がしてチェックします(図 31 )。
必要な場合はこの位置で曲げる
図 31
シリンジの点検
2 ニードル表面の粗さをチェックします。ニードル表面にきめ細かい同心円状のうねが
あると、そのうねが小さなやすりのように作用して、注入口やバイアルの中にセプタ
ムの削りかすを落とす場合があります。うねは、10X 倍率のルーペで容易に見ること
ができます。
うねがある場合は、細かい目の紙やすりを畳んで親指と人差し指の間につまみ、その
間にニードルを通して引っ張って研磨します。シリンジの先端を修正しないよう注意
してください。
3 プランジャの動きが悪くないかをチェックします。シリンジのプランジャを数回上げ
下げします。プランジャが引っかかったり、固まったりせず、スムーズに動く必要が
あります。動きが悪い場合は、プランジャを取り外し、溶媒でクリーニングします。
80
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
シリンジおよびニードル
シリンジの取り付け
シリンジを取り付けるには(図 32 ):
プランジャキャリア
スライド
シリンジキャリア
プランジャ
プランジャネジ
フランジ
フランジガイド
シリンジラッチ
バレル
ニードル
ニードルサポート
フット
図 32
シリンジを取り付ける
1 ALS の通信ケーブルを抜き、必要に応じて ALS をパーキングポストに取り付ける
か、ALS を作業用ベンチに置きます。
2 ALS のドアを開きます。
3 シリンジキャリッジを一番上の位置までスライドさせます。
4 シリンジラッチを時計と反対回りに回転させて、開きます。
5 プランジャキャリアを一番上の位置まで持ち上げます。
6 シリンジニードルをニードルサポートフットのガイドホールに慎重に通します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
81
シリンジおよびニードル
7 シリンジフランジをフランジガイドに合わせ、シリンジを押してはめ込みます。ニー
ドルの先端がニードルサポートフットのガイドホールに通ったままにしておきます。
必ず、シリンジフランジの平らな端が外側に向くようにします(図 33 )。
注記
シリンジフランジをシリンジガイドに正しく取り付けないと、シリンジプランジャの破
損につながります。
フランジ
フランジガイド
図 33
シリンジフランジの向き
8 シリンジラッチを時計回りに回転させ、カチッというまで回して閉じます。
9 プランジャネジを時計と反対回りに回して、完全に緩めます。
10 プランジャキャリアを下にスライドさせて、キャリア全体がシリンジプランジャの上
にきたら、プランジャ蝶ネジを指できつく締めます。
11 プランジャキャリアを手で上下に動かします。シリンジプランジャがキャリアと一緒
に動かない場合は、シリンジが正しく取り付けられるまで、前の手順を繰り返します。
プランジャ蝶ネジがきつく締まっていることを確認します。キャリアがシリンジプラ
ンジャにしっかり接続されていないと、何度か注入を行った後でキャリアが外れてし
まう可能性があります。
82
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
シリンジおよびニードル
注意
この動きを繰り返すと、シリンジが破損する可能性があります。
12 ニードルがニードルサポートフットのガイドホール内にあることを確認します。ニー
ドルはまっすぐで、ニードルガイドホール内をスムーズにスライドできる必要があり
ます。
ニードルが曲がっているか、ガイドホールの外にある場合は、シリンジを取り外して、
再度取り付けます。正しく取り付けられたシリンジについては、図 34 を参照してく
ださい。
シリンジラッチ
(閉)
ニードルサポートフット
図 34
シリンジを取り付けた状態のシリンジキャリッジとニードルサポート
13 ALS のドアを閉じます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
83
シリンジおよびニードル
14 取り付け時に、取り付けポストから ALS を取り外していている場合は、以下も実行
します。
a 必要に応じて、ALS 通信ケーブルを接続します。
b ALS を取り付けポストに取り付けます。詳しくは、37 ページの「ALS の据え付
け」を参照してください。
84
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
シリンジおよびニードル
シリンジの取り外し
シリンジを取り外すには:
1 ALS 通信ケーブルを抜き、必要に応じて ALS をパーキングポストに取り付けます。
2 ALS のドアを開きます。
3 シリンジキャリッジを一番上の位置までスライドさせます。
4 プランジャ蝶ネジを完全に緩め、シリンジプランジャからプランジャキャリアを持ち
上げて外します。
5 シリンジラッチを時計と反対回りに回転させて、開きます。
注意
シリンジニードルを曲げないよう注意してください。シリンジは、妨げがなくなる
までキャリッジから引き出すだけにしてください。ニードルは、ニードルサポート
ガイドに通されている状態だと曲がりやすくなっています。
6 シリンジの一番上をフランジガイドから慎重に引き出し、ニードルを持ち上げてニー
ドルサポートフットから抜きます。
シリンジを取り付ける場合の詳細については、119 ページの「シリンジの取り付け」を
参照してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
85
シリンジおよびニードル
シリンジニードルの交換
250ì m および 320ì m 注入用に使用するステンレスニードルは、ガラスシリンジバレル
に挿入する必要があります。使用するカラムに合った、正しいサイズのニードルを選択
します。
250ì m 注入用のニードルには銀色のストップがあり、320ì m 注入用のニードルには金
色のストップがあります。シリンジとニードルについては、Agilent の消耗品カタログ
または Agilent の Web サイト(www.agilent.com/chem/jp)の一覧を参照してください。
ニードルをシリンジバレルに挿入するには(図 35 ):
プランジャ
バレル
テフロンディスク
ストップ
テフロン
ディスク
ニードル
ニードル
スプリング
キャップ
図 35
シリンジの部品
1 シリンジバレルのキャップをひねって外し、スプリングを取り外します。
2 ニードルにテフロンディスク(図 35 )があることを確認します。シリンジバレルに
テフロンディスクがない場合は、シリンジボックス内の説明書に従って、ニードルを
自分でラップします。
86
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
シリンジおよびニードル
3 スプリングとキャップをニードルにかぶせて下にスライドさせます。
4 ニードルをシリンジバレルに挿入します。
5 キャップを回して、シリンジバレルに再度取り付けます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
87
シリンジおよびニードル
88
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
バイアルおよびボトル
サンプルバイアルの準備
90
サンプルバイアルの選択
90
バイアルセプタムの選択
91
サンプルバイアルの充填
93
サンプルバイアルのラベル付け
92
サンプルバイアルのキャップの取り付け
溶媒ボトルと廃液ボトルの準備
ボトルの選択
96
溶媒ボトルの充填
96
廃液ボトルの準備
97
バイアルとボトルのタレットへの配置
分析できるサンプルバイアルの数
サンドイッチ注入
94
96
98
100
104
例:2 層のサンドイッチ注入
106
例:3 層のサンドイッチ注入
108
この章では、サンプルバイアル、溶媒ボトル、および廃液ボトルについて、これらのボ
トルをタレットに配置する方法を含めて説明します。また、溶媒ボトルを補充するか、
廃液ボトルを空にすることが必要になる前に、最大で何個のサンプルを分析できるかを
概算する方法についても説明します。
Agilent Technologies
89
バイアルおよびボトル
サンプルバイアルの準備
サンプルバイアルの選択
クリンプキャップのついた透明または茶色のガラス製サンプルバイアル、またはねじぶ
た式のバイアルを使用します。光で分解しやすいサンプルには、茶色のガラス製バイア
ルを使用します。使用可能なバイアルのタイプについては、Agilent の消耗品カタログ
を参照してください。適合性のないサンプルバイアルを使用すると、タレットエラーが
発生する可能性があります。
図 36 に、ALS で使用するサンプルバイアルの主な寸法を示します。これらの寸法が仕
様のすべてを構成するわけではありません。
本体直径(BD)= 11.7 ± 0.2
キャップ直径(CD)= BD × 1.03(最大)
寸法の単位はすべてミリメートルです
CD
6.25 ± 0.25
3.7(最小)
8.2
8.2±± 0.2
0.2
33.5 ± 1.5
32 ± 0.5
バイアル +
キャップ高さ
本体高さ 25
(最小)
11.7 ± 0.2
BD
キャップ付きバイアルの最大高さ
図 36
90
クリンプキャップ付きサンプルバイアル
サンプルバイアルの寸法
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
バイアルセプタムの選択
クリンプキャップやスクリューオンキャップで使用されるセプタムには、密封性と溶媒
耐性がそれぞれ異なる 2 つのタイプがあります。
• 一方のタイプは、サンプル側にテフロンコーティングを施した天然ゴム製のもので
す。このセプタムは、pH が 4.0 ~ 7.5 の範囲にあるサンプルに適しています。穴を
開けられた後は、シリコンゴムセプタムに比べて溶媒に対する耐性が低く、芯抜けし
やすくなります。芯抜けすると、セプタムのかすがバイアルに残り、クロマトグラム
に影響を及ぼす可能性があります。
• もう一方のタイプは、片側または両側にテフロンコーティングを施した、高品質の低
抽出性シリコンゴムセプタムです。このセプタムは、ニードルで穴を開けられた後も
溶媒に対する耐性が高く、芯抜きされにくくなっています。
詳細については、Agilent の消耗品カタログを参照してください。
図 37 に、バイアルキャップ開口の直径を示します。
4.65 mm(0.183 インチ)
最小
図 37
5.58 mm
(0.220 インチ)推奨
バイアルキャップ開口の仕様
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
91
バイアルおよびボトル
サンプルバイアルのラベル付け
バイアルにラベルを付ける場合は、書き込みに便利な記入スポット付きのバイアルも利
用できます。独自のラベルを作成して貼り付ける場合は、図 38 に示すラベル位置と最
大厚さの推奨値に従ってください。
13.2(最大)
テキストエリア
(オプション)
ラベルも
テープも
貼らない
重なりの
ずれは
最大 1.0
テキスト
3.6(最小)
バーコード
テキスト
26.6(最大)
13.4(最小)
ラベルもテープも
貼らない
16.4 ± 0.5
ラベルのずれ
寸法の単位はすべてミリメートル
図 38
注意
92
12.56
最大幅は重なった部分の上から測定
サンプルバイアルラベルの寸法
適切に動作するためには、正しい寸法のサンプルバイアルを使用することが重要で
す。これらの仕様に適合しないバイアルやラベルを使用すると、サンプラエラーが
発生する可能性があります。仕様に適合しないバイアルやマイクロバイアルを使用
したことが故障の原因であるとわかった場合のサービス依頼や修理は、保証または
サービス契約ではカバーされません。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
サンプルバイアルの充填
図 39 に、サンプルバイアルの推奨充填量を示します。
• 2mL バイアルには 1mL のサンプル
• 100ì L バイアルでは 50ì L のサンプル
サンプルを吸引するときに真空ができるのを防ぐには、バイアルに空気層が必要です。
真空ができると、再現性が低くなる可能性があります。
注意
この真空を防ぐためにバイアルに空気を注入したりしないでください。空気を注入
すると、キャップシールが傷つき、シリンジニードル損傷の原因となる可能性があ
ります。
1mL
50µL
2mL バイアル
3.6mm*
100µL バイアル
* ニードルのポジションは、デフォルトのサンプリング深さに基づきます。
図 39
サンプルバイアルの推奨充填量
メソッドを開発するときは、以下の点に留意してください。
• 繰り返し注入で大量のサンプルをテストする必要がある場合は、信頼性の高い結果を
得るため、サンプルをいくつかのバイアルに分割します。
• 前のサンプル注入または溶媒洗浄からの汚染物質がサンプルに及ぼす影響は、バイア
ル内のサンプル量が少ないときほど大きくなる可能性があります。
サプライヤを変更する場合は、メソッドを開発し直す必要が生じることがあります。バ
イアルハードウェアの製造法が変わると、結果に変化が見られる場合があります。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
93
バイアルおよびボトル
サンプルバイアルのキャップの取り付け
注意
サンプルバイアルにスクリューキャップを付けて使用する場合は、使用前にスク
リューキャップを完全に締めます。
ハンドル
調整ネジ
あご部分
クリンプキャップ
サンプルバイアル
図 40
キャップのクリンプ
気密クリンプキャップを取り付けるには:
1 クリンパのあごの部分の内部表面をクリーニングします。
2 バイアルの上にクリンプキャップを置きます。
3 バイアルをクリンパまで持ち上げます。調整ネジに達するまで、ハンドルを握って押
します。
94
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
図 41 に、適切なバイアルキャップと不適切なバイアルキャップを示します。
中心にある
中心からずれている
折れ目やしわがある
折れ目やしわがない
適切
図 41
不適切
適切なバイアルキャップと不適切なバイアルキャップ
各バイアルのクリンプ(キャップの端を曲げること)が正しく行われているかをチェッ
クします。
1 バイアルのネックの下を包むキャップ部分に折れ目やしわがないことを確認します。
折れ目やしわを取り除くには、バイアルを約10℃回転させ、再度クリンプします。調
整ネジを時計回りに回して、クリンプが緩くなるようにクリンパを調整します。
2 キャップを指できつく締めます。キャップが緩んでいる場合は、調整ネジを反時計回
りに回して、クリンプがきつくなるようにクリンパを調整します。キャップを再度ク
リンプします。キャップをきつく締めすぎると、セプタムが変形し、バイアルで漏れ
が生じる恐れがあります。
3 各キャップをチェックし、セプタムがバイアル上の中心に平らになっていることを確
認します。
• セプタムが平らでない場合は、キャップを外し、クリンパの調整ネジを時計回り
に回してから、もう一度試します。
• キャップの中心がずれている場合は、キャップを外し、新しいキャップがバイア
ルの上に平らに置かれていることを確認してから、クリンパを握って押します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
95
バイアルおよびボトル
溶媒ボトルと廃液ボトルの準備
溶媒ボトルには、注入の前後にシリンジをすすぐための溶媒を入れます。7650A ALS は、
溶媒洗浄とサンプル洗浄の廃液を廃液ボトルに分配します。分析できるサンプルの数は、
洗浄ボトルと廃液ボトルの容量によって制限されることがあります。
ボトルの選択
溶媒ボトルと廃液ボトルは、拡散キャップ(穴が 1つ開いたプラスチック製キャップ。蒸
発を遅らせると同時に、ニードルを自由に入れることが可能)またはセプタムのいずれ
かで閉じることができます。Agilent Technologies では、次の 2 つの理由から、セプタ
ムより拡散キャップ(図 42 )を推奨しています。
• 拡散キャップを使用すると、セプタム材料の破片でボトル内の液体が汚染されること
なく、ボトルにニードルを複数回入れることができます。
• 一般的な溶媒の場合、標準シリンジニードルで複数回穴を開けたセプタムを持つボト
ルよりも、拡散キャップを付けたボトルの方が、ボトルからの拡散レートが小さくな
ります。
拡散キャップ(推奨)
最小溶媒レベル
図 42
溶媒または廃液に使用される 4 mL ボトル
溶媒ボトルの充填
各溶媒ボトルをすすぎ、4 mL の新鮮な溶媒を充填します。液面レベルはボトルの肩付
近になります。実験室での適切な実施方法に従い、シリンジの洗浄には、4 mL の溶媒
の う ち の 2.0 mL までしか使用しません。ニードル先端は、バイアルの底部から
96
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
18.5 mm のレベルで溶媒を吸引します(図 43 )。
充填量 4mL
使用可能な溶媒 2mL
最小溶媒レベル
18.5 mm
図 43
残りの溶媒 2mL
溶媒を吸引するときのニードル先端の位置
廃液ボトルの準備
複数のバイアルをまとめて分析したら、各廃液ボトルを空にしてすすぎます。シリンジ
は、約 4mL の廃液を廃液ボトルに排出できます(図 44 )。
最大廃液量 4mL
図 44
廃液を排出するときのニードル先端の位置
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
97
バイアルおよびボトル
バイアルとボトルのタレットへの配置
7650A ALS に付属のタレットには、サンプルポジションが 50、溶媒ポジションが 4 つ、
廃液ポジションが 4 つあります(図 45 )。
A
B
W
26
W
2
3
27
29
5
30
L3
50
25
4
28
W
W
24
B
1
A
9
34
46
21
8
33
47
22
7
32
48
23
6
31
L2
49
35
45
20
36
44
19
43
18
42
17
41
39
40
16
15
38
14
37
10
11
12
13
上面図
図 45
タレットのラベル
ラベルの付いたポジションを表 10 に定義します。
98
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
表 10
タレットのラベル
ポジション
ラベル
ボトル/ バイアル
1 ~ 25
1 ~ 25
サンプルバイアル、1 列目
26 ~ 50
26 ~ 50
サンプルバイアル、2 列目
L2
24 および 49
コンフィグレーション可能なサンプルバイアル
ポジション
2 層目のバイアル
L3
25 および 50
コンフィグレーション可能なサンプルバイアル
ポジション
3 層目のバイアル
W
W
廃液ボトル
A
A
溶媒 A ボトル
B
B
溶媒 B ボトル
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
99
バイアルおよびボトル
分析できるサンプルバイアルの数
一度に分析できるサンプルバイアルの数は、以下のパラメータが用途に合わせてどのよ
うに設定されているかによって決まります。
• サンプルバイアル当たりのサンプル注入回数
• 使用されるシリンジサイズ:1ì L ~ 500ì L
• シリンジの洗浄量(表 11 )
• 各溶媒ボトルから必要となる溶媒洗浄の回数(注入前と注入後の両方)
• サンプル注入を 1 回行うたびにサンプル洗浄と溶媒洗浄の廃液が ALS によって各
廃液ボトルに排出される回数
• 廃液ボトルの数
表 11
シリンジ洗浄量
シリンジサイズ
(µL)
100
シリンジ
容量の80%
(µL)
シリンジ
容量の 40%
(µL)
シリンジ
容量の 30%
(µL)
シリンジ
容量の 20%
(µL)
シリンジ
容量の10%
(µL)
1
0.8
0.4
0.3
0.2
0.1
2
1.6
0.8
0.6
0.4
0.2
5
4
2
1.5
1
0.5
10
8
4
3
2
1
25
20
10
7.5
5
2.5
50
40
20
15
10
5
100
80
40
30
20
10
250
200
100
75
50
25
500
400
200
150
100
50
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
溶媒ボトルの式
注意
これらの式によって得られるサンプルバイアルの数はあくまでも概算値です。蒸発
レートや表面張力などの溶媒特性がボトルの容量に影響する場合があります。
この式では、溶媒ボトル 1 個を使用して分析できるサンプルバイアルの最大数が概算さ
れます。
溶媒ボトル当たりのサンプルバイアルの最大数
2000
=
VW x NSI x NSW
各変数の値は以下のとおりです。
VW = 表 11 から得られる L 単位の洗浄量。
NSI = サンプルバイアル当たりのサンプル注入回数。
NSW = サンプル注入 1 回当たりの溶媒洗浄(注入前と注入後)の回数。
廃液ボトルの式
この式では、廃液ボトル当たりに分析できるサンプルバイアルの最大数が概算されます。
使用する廃液ボトル(W)当たりのサンプルバイアルの最大数
VWaste
=
WWash x NSI x NSS
各変数の値は以下のとおりです。
VWaste = 使用する廃液ボトルの L 単位の容量。4000 を使用します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
101
バイアルおよびボトル
VWash = 表 11 から得られるì L 単位の洗浄量。
NSI = サンプルバイアル当たりのサンプル注入回数。
NSS = サンプル注入 1 回当たりの注入前/注入後溶媒 A 洗浄または溶媒 B 洗浄、お
よびサンプル洗浄の回数を合計したもの。溶媒 A と溶媒 B の両方を使用する場合、
各列のサンプル洗浄は 2 本の廃液ボトルを均等に使って行われます。
注意
102
Agilent では、現在のコンフィグレーションでどのボトルを実際に使用しているかに
かかわらず、「すべての」廃棄ポジションに、「常に」ボトルを配置しておくことを
強く推奨しています。こうすることにより、溶媒がタレット本体に誤って排出し、
タレットを損傷するのを防ぐことができます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
溶媒とサンプルの使用量の減少
溶媒洗浄とサンプル洗浄では、デフォルトでシリンジ容量の 80% が使用されます。この
容量を減少させることで、溶媒とサンプルを節約できます。これを行うには、溶媒セー
バ設定をコンフィグレーションします。
注意
バレルの壁を滑らかにするには、先端がテフロンのシリンジを使用する必要があり
ます。標準のシリンジでは、滑らかさが足りないのですぐに機能しなくなります。
溶媒洗浄は、通常の 80% より少ない量を使用するように設定できます。これにより、溶
媒洗浄プロセスが以下のように変更されます。
1 シリンジが指定されたパーセントまで溶媒を吸引します。最小値はシリンジサイズの
10% です。
2 シリンジとニードルが上がり、溶媒ボトルから出ます。
3 プランジャが 80% マークまで上がり、溶媒、次に空気でシリンジバレルをすすぎま
す。
4 溶媒と空気が廃液ボトルに排出されます。
溶媒洗浄を減らした状態でもサンプルキャリーオーバー(「サンプルキャリーオーバー」
を参照)が問題にならないことを確認します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
103
バイアルおよびボトル
サンドイッチ注入
7650A ALS には、複数のバイアルから液体を吸引して、マルチレイヤー注入(いわゆる
サンドイッチ注入)を作成する機能が用意されています。サンプルの各層、内部標準、
または溶媒を、空気の層(シリンジサイズの 0% ~ 10%)によって分けることができま
す。図 46 および図 47 に、2 層および 3 層のサンドイッチ注入の例を示します。
エアー
ギャップ 1
エアー
ギャップ 2
第 1 層(L1)
図 46
2 層のサンドイッチ注入
エアー
ギャップ 1
エアー
ギャップ 2
第 1 層(L1)
図 47
104
第 2 層(L2)
エアー
ギャップ 3
第 2 層(L2)
第 3 層(L3)
3 層のサンドイッチ注入
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
サンドイッチ注入用にバイアルを配置する場合、図 48 を参照し、次の点に注意してく
ださい。
A
B
W
26
W
2
3
27
29
5
30
L3
50
25
4
28
W
W
24
B
1
A
35
45
20
36
44
19
43
18
図 48
9
34
46
21
8
33
47
22
7
32
48
23
6
31
L2
49
42
17
41
40
16
39
15
38
14
37
10
11
12
13
タレットのバイアル位置
• 1 列目(外側の列)- タレットは、ポジション 24 を L2、ポジション 25 を L3 と
して考えます。ポジション 1~23(L3 を使用しない場合は 1~ 24)のアクティブサ
ンプルバイアルが L1 になります。
• 2 列目(内側の列)- タレットは、ポジション 49 を L2、ポジション 50 を L3 と
して考えます。ポジション 26~48(L3 を使用しない場合は 26~49)のアクティブ
サンプルバイアルが L1 になります。
以下の例では、フロント注入口位置に ALS が据え付けられた 7820A GC を使用するも
のとします。詳細については、
「ALS に関するパラメータの設定」を参照してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
105
バイアルおよびボトル
例:2 層のサンドイッチ注入
2.0ì L のサンプルと 15ì L の溶媒を 0.10ì L のエアーギャップで分離する 2 層のサン
ドイッチ注入を作成してみましょう(図 49 )。
エアー
ギャップ 1
(0.10µL)
エアー
ギャップ 2
(0.10µL)
サンプル
(L1)
図 49
溶媒(L2)
(15µL)
例:2 層のサンドイッチ注入(サンプル 2.0µL、溶媒 15µL)
1 サンプルバイアル(L1)をタレットポジション 1 に配置します。
2 溶媒バイアル(L2)をタレットポジション L2(ポジション 24 または 49)に配置し
ます。
3 ソフトウェアキーパッドの[Front Injector]を押します。
4 [Injection Mode]までスクロールし、[2-LAYER]を選択します。
5 ALS に以下のパラメータを設定します。
• Injection volume —2.0µL
• Airgap Volume —0.10µL
• L2 volume —15µL
• L2 Airgap Volume —0.10µL
2 層および 3 層の注入モードでは、
[Injection volume]と[Airgap volume]は層 1(L1)
パラメータを示すことに注意してください。
6 以下の手順でメソッドパラメータを保存します。
a ソフトウェアキーパッドの[Method]を押します。
b 利用可能なメソッド番号にスクロールします。
c [Store] を押してメソッド番号を選択します。
d 確認の[Yes]を押します。
106
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
7 以下の手順でサンドイッチ注入シーケンスを設定します。
a ソフトウェアキーパッドの[Seq]を押します。
b [Subseq 1]の[Method #]までスクロールして、[On/Yes]を押します。
c ソフトウェアキーパッドを使用して手順 6 からのメソッド番号を入力し、
[Enter]
を押して入力を確認します。
d [Samples]までスクロールして[1][.][1]を押します。タレット上のバイアル
範囲を設定し、[Enter]を押して入力を確認します。
8 以下の手順でサンドイッチ注入シーケンスを実行します。
a ソフトウェアキーパッドの[Seq control]を押します。
b [Start sequence]までスクロールして、
[Enter]を押します。サンドイッチ注入シー
ケンスが開始します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
107
バイアルおよびボトル
例:3 層のサンドイッチ注入
10ì L の溶媒 A、2.0ì L のサンプル、15ì L の溶媒 B を 0.10ì L のエアーギャップで分
離する 3 層のサンドイッチ注入を作成してみましょう(図 50 )。
エアー
ギャップ 1
(0.10µL)
エアー
ギャップ 2
(0.10µL)
溶媒 A(L1)
(10µL)
図 50
エアー
ギャップ 3
(0.10µL)
サンプル
(L2)
溶媒 B(L3)
(15µL)
例:3 層のサンドイッチ注入(10µL の溶媒 A、2.0µL のサンプル、
15µL の溶媒 B)
1 溶媒 A バイアル(L1)をタレットポジション 1 に配置します。
2 サンプルバイアル(L2)をタレットポジション L2 に配置します。
3 溶媒 B バイアル(L3)をタレットポジション L3 に配置します。タレットポジショ
ンについては、105 ページの図 48 を参照してください。
4 ソフトウェアキーパッドの[Front Injector]を押します。
5 [Injection Mode]までスクロールし、[3-LAYER]を選択します。
6 ALS に以下のパラメータを設定します。
• Injection volume —10µL
• Airgap Volume —0.10µL
• L2 volume —2µL
• L2 Airgap Volume —0.10µL
• L3 volume —15µL
• L3 Airgap Volume —0.10µL
2 層および 3 層の注入モードでは、
[Injection volume]と[Airgap volume]は層 1(L1)
パラメータを示すことに注意してください。
108
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
バイアルおよびボトル
7 以下の手順でメソッドパラメータを保存します。
a ソフトウェアキーパッドの[Method]を押します。
b 利用可能なメソッド番号にスクロールします。
c [Store] を押してメソッド番号を選択します。
d 確認の[Yes]を押します。
8 以下の手順でサンドイッチ注入シーケンスを設定します。
a ソフトウェアキーパッドの[Seq]を押します。
b [Subseq 1]の[Method #]までスクロールして、[On/Yes]を押します。
c ソフトウェアキーパッドを使用して手順 7 からのメソッド番号を入力し、
[Enter]
を押して入力を確認します。
d [Samples]までスクロールして[1][.][1]を押します。タレット上のバイアル
範囲を設定し、[Enter]を押して入力を確認します。
9 以下の手順でサンドイッチ注入シーケンスを実行します。
a ソフトウェアキーパッドの[Seq Control]を押します。
b [Start sequence]までスクロールして、
[Enter]を押します。サンドイッチ注入シー
ケンスが開始します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
109
バイアルおよびボトル
110
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
サンプルの分析
サンプルの分析
注入量
112
112
分析またはシーケンスの中断
中断に対するサンプラの応答
中断したシーケンスの再開
113
113
113
この章では、1 つまたは複数のサンプルを分析するプロセスについて説明します。
Agilent Technologies
111
サンプルの分析
サンプルの分析
警告
サンプルを分析するときは、シリンジニードルに手を近づけないでください。ニー
ドルは鋭利であり、有害な化学物質が付着している可能性があります。
オートサンプラを操作するには:
1 清潔なシリンジを取り付けます。81 ページの「シリンジの取り付け」を参照してく
ださい。
2 溶媒ボトルを充填します。96 ページの「溶媒ボトルと廃液ボトルの準備」を参照し
てください。
3 溶媒ボトルと廃液ボトルをタレットに配置します。98 ページの「バイアルとボトル
のタレットへの配置」を参照してください。
4 サンプルバイアルをタレットに装填します。90 ページの「サンプルバイアルの準備」
を参照してください。
5 機器シーケンスの準備をします。機器またはデータシステムのマニュアルを参照して
ください。
6 機器またはデータシステムのスタートボタンを押して、シーケンスを実行します。機
器がレディになると、ALS で注入が開始されます。
注入量
注入量は、サンプルサイズとシリンジサイズによって決まります。
• 標準シリンジキャリッジを使用する場合のシリンジサイズは、1L、2L、5L、10L、
25L、50L、または 100L のいずれかです。
• 拡張サンプルシリンジキャリッジを使用する場合のシリンジサイズは 250ì L または
500ì L です。
• サンプルサイズはシリンジサイズの 1 ~ 50%(1% 単位)です。
112
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
サンプルの分析
分析またはシーケンスの中断
分析は以下のイベントによって中断されます。
• 電源障害 — 制御機器への電力供給がなくなった場合。
• Stop コマンド — 機器の[Stop]が押されるか、Agilent データシステムから[Stop
Run/Abort]オプションが選択された場合。
• 安全の侵害またはオペレータのミス — サンプラによって以下の障害が認識された場合。
• ALS のドアが開いている。
• タレットにエラーがある。
• プランジャにエラーがある。
• 注入中に機器で ALS が移動した。
中断に対するサンプラの応答
サンプラによって認識される問題が原因で中断が起きた場合は、機器または Agilent
データシステムにメッセージが表示されます。詳細については、159 ページの「エラー
メッセージ」を参照してください。
• 電源障害 — 分析が中断されます。シーケンスを再開する必要があります(以下を参
照してください)
。
• Stop コマンド — 分析が中断されます。シーケンスを再開する必要があります(以下
を参照してください)。
• 安全の侵害またはオペレータのミス — 分析が中断されます。シーケンスを再開する
必要があります(以下を参照してください)。
中断したシーケンスの再開
中断したシーケンスを中断箇所から再開するには:
1 中断の原因となった問題を解決します。
2 シーケンス内の次のバイアルから分析が自動的に開始されます。
これにより、シーケンス全体を遅延させることなく、中断後に通常の操作を継続でき
るようになります。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
113
サンプルの分析
114
据付、操作、およびメンテナンス
パート 4:操作
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:
メンテナンスと
トラブルシューティング
メンテナンス
117
定期メンテナンス
118
シリンジの取り付け
119
シリンジの取り外し
123
タレットの交換
124
ニードルサポートガイドの交換
131
100µLを超えるシリンジを使用する
シリンジキャリッジの交換
シリンジニードルの交換
7650A ALS の位置合わせ
134
140
142
パーキングポストの取り付け
障害とエラー
障害
133
144
155
156
エラーメッセージ
159
トラブルシューティング
現象:変動
145
147
現象:汚染またはゴーストピーク
149
現象:予測より小さい/大きいピーク
現象:サンプルキャリーオーバー
現象:シグナルなし/ピークなし
シリンジに関する問題の修正
交換部品
150
152
153
154
163
7650A ALS の交換部品
164
Agilent Technologies
115
116
据付、操作、およびメンテナンス
パート5:メンテナンスとトラブルシューティング
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
メンテナンス
定期メンテナンス
118
シリンジの取り付け
119
シリンジの取り外し
123
タレットの交換
124
ニードルサポートガイドの交換
131
100µLを超えるシリンジを使用する
シリンジキャリッジの交換
シリンジニードルの交換
7650A ALS の位置合わせ
133
134
140
142
パーキングポストの取り付け
144
この章では、サンプラを円滑に操作し続けるうえで役立つ情報を示します。
Agilent Technologies
117
メンテナンス
定期メンテナンス
ここでは、7650A ALS の高い性能を維持するためのアドバイスをいくつか示します。メ
ンテナンスの間隔は、機器の使用法によって異なります。
注意
ALS では潤滑油を使用しないでください。化学的性能に影響し、機器を破損する可
能性があります。
注意
機器をクリーニングするときは、以下に説明するように、軽く湿らせたリントフリー
布で拭きます(布は濡らしすぎないでください)
。化学洗浄剤は使用しないでください。
随時、以下の作業を行います。
✔ ALS を位置合わせします。詳しくは、142 ページの「7650A ALS の位置合わせ」を
参照してください。
✔ タレットおよびその他の表面を拭きます。
✔ ヒートデフレクタから溢れた液体の余剰残留物がタレットの下にある場合は、それを
拭き取ります。詳しくは、124 ページの「タレットの交換」を参照してください。
✔ ALS のニードルサポートガイドとその近くの表面を拭きます。この箇所にほこりや
汚れがたまると、それがシリンジニードルに付着して、注入口まで運ばれる可能性が
あります。
✔ ニードルサポートガイドに磨耗の兆候がないかどうか調べ、必要な場合は交換しま
す。詳しくは、131 ページの「ニードルサポートガイドの交換」を参照してください。
✔ ALS の表面とドアを拭きます。
✔ ALS の通気口、その付近にあるほこりを電気掃除機で吸い取ります。
✔ ALS 取り付けポストがきつく締まっていることを確認します。
✔ すべてのケーブルがしっかりと接続されていることを確認します。
118
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
シリンジの取り付け
シリンジを取り付けるには(図 51 ):
プランジャキャリア
スライド
シリンジキャリア
プランジャ
プランジャネジ
フランジ
フランジガイド
シリンジラッチ
バレル
ニードル
ニードルサポート
フット
図 51
シリンジを取り付ける
1 ALS の通信ケーブルを抜き、必要に応じて ALS をパーキングポストに取り付ける
か、ALS を作業用ベンチに置きます。
2 ALS のドアを開きます。
3 シリンジキャリッジを一番上の位置までスライドさせます。
4 シリンジラッチを時計と反対回りに回転させて、開きます。
5 プランジャキャリアを一番上の位置まで持ち上げます。
6 シリンジニードルをニードルサポートフットのガイドホールに慎重に通します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
119
メンテナンス
7 シリンジフランジをフランジガイドに合わせ、シリンジを押してはめ込みます。ニー
ドルの先端がニードルサポートフットのガイドホールに通ったままにしておきます。
必ず、シリンジフランジの平らな端が外側に向くようにします(図 52 )。
注記
シリンジフランジをシリンジガイドに正しく取り付けないと、シリンジプランジャの破
損につながります。
フランジ
フランジガイド
図 52
シリンジフランジの向き
8 シリンジラッチを時計回りに回転させ、カチッというまで回して閉じます。
9 プランジャネジを時計と反対回りに回して、完全に緩めます。
10 プランジャキャリアを下にスライドさせて、キャリア全体がシリンジプランジャの上
にきたら、プランジャ蝶ネジを指できつく締めます。
11 プランジャキャリアを手で上下に動かします。シリンジプランジャがキャリアと一緒
に動かない場合は、シリンジが正しく取り付けられるまで、前の手順を繰り返します。
プランジャ蝶ネジがきつく締まっていることを確認します。キャリアがシリンジプラ
ンジャにしっかり接続されていないと、何度か注入を行った後でキャリアが外れてし
まう可能性があります。
120
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
注意
この動きを繰り返すと、シリンジが破損する可能性があります。
12 ニードルがニードルサポートフットのガイドホール内にあることを確認します。ニー
ドルはまっすぐで、ニードルガイドホール内をスムーズにスライドできる必要があり
ます。
ニードルが曲がっているか、ガイドホールの外にある場合は、シリンジを取り外して、
再度取り付けます。正しく取り付けられたシリンジについては、図 53 を参照してく
ださい。
シリンジラッチ
(閉)
ニードルサポートフット
図 53
シリンジを取り付けた状態のシリンジキャリッジとニードルサポート
13 ALS のドアを閉じます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
121
メンテナンス
14 取り付け時に、取り付けポストから ALS を取り外していている場合は、以下も実行
します。
a 必要に応じて、ALS 通信ケーブルを接続します。
b ALS を取り付けポストに取り付けます。詳しくは、37 ページの「ALS の据え付
け」を参照してください。
122
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
シリンジの取り外し
シリンジを取り外すには:
1 ALS 通信ケーブルを抜き、必要に応じて ALS をパーキングポストに取り付けます。
2 ALS のドアを開きます。
3 シリンジキャリッジを一番上の位置までスライドさせます。
4 プランジャ蝶ネジを完全に緩め、シリンジプランジャからプランジャキャリアを持ち
上げて外します。
5 シリンジラッチを時計と反対回りに回転させて、開きます。
注意
シリンジニードルを曲げないよう注意してください。シリンジは、妨げがなくなる
までキャリッジから引き出すだけにしてください。ニードルは、ニードルサポート
ガイドに通されている状態だと曲がりやすくなっています。
6 シリンジの一番上をフランジガイドから慎重に引き出し、ニードルを持ち上げてニー
ドルサポートフットから抜きます。
シリンジを取り付ける場合の詳細については、119 ページの「シリンジの取り付け」を
参照してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
123
メンテナンス
タレットの交換
7650A ALS に付属のタレットには、サンプルポジションが 50、溶媒ポジションが 4 つ、
廃液ポジションが 4 つあります(図 54 )。
A
B
W
26
W
2
3
27
29
5
30
L3
50
25
4
28
W
W
24
B
1
A
9
34
46
21
8
33
47
22
7
32
48
23
6
31
L2
49
35
45
20
36
44
19
43
18
42
17
41
39
40
16
15
38
14
37
10
11
12
13
上面図
図 54
タレットのラベル
ラベルの付いたポジションを表 12 に定義します。
124
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
表 12
タレットのラベル
ポジション
ラベル
ボトル/ バイアル
1 ~ 25
1 ~ 25
サンプルバイアル、1 列目
26 ~ 50
26 ~ 50
サンプルバイアル、2 列目
L2
24 および 49
コンフィグレーション可能なサンプルバイアル
ポジション
2 層目のバイアル
L3
25 および 50
コンフィグレーション可能なサンプルバイアル
ポジション
3 層目のバイアル
W
W
廃液ボトル
A
A
溶媒 A ボトル
B
B
溶媒 B ボトル
タレットを交換するには、以下の手順に従います。
タレットの取り外し
1 タレットからすべてのバイアルを取り外します。
2 ALS のドアを開きます。
3 シリンジを取り外します。123 ページの「シリンジの取り外し」を参照してください。
4 タレットを片手でしっかりと押さえながら、タレットのハブキャップを反時計回りに
回してタレットのモーターハブから外します(図 55 )。
図 55
タレットのハブキャップを反時計回りに回転
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
125
メンテナンス
5 タレットのハブキャップを持ち上げて ALS から取り外します。
図 56
126
タレットの取り外し
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
6 タレットをモーターハブから慎重に持ち上げて、ALS から取り外します(図 57 )。
タレットを取り外す際は、ヒートデフレクタと ALS ケーシングに触らないよう注意
してください。
図 57
タレットの取り外し
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
127
メンテナンス
タレットの取り付け
タレットを取り付けるには:
1 ALS のドアを開きます(図 58 )。
図 58
ALS のドアを開く
2 タレットハブ上のタブをタレットの内側のノッチと整列させて、タレットをタレット
ハブ上に配置します(図 59 )。
図 59
128
タレットをタレットハブ上に配置
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
3 タレットを回転して、インジェクタの開口部が ALS の正面を向くようにします
(図 60 )。
インジェクタの
開口部
図 60
インジェクタの開口部が ALS の正面を向くようにタレットを回転
4 タレットのハブキャップをタレットハブ上に配置します。タレットのハブキャップ上
の溝とタレットハブ上の溝の位置を合わせてください(図 61 )。
図 61
タレットのハブキャップをタレットハブ上に配置
5 タレットを押さえながら、タレットのハブキャップを時計回りに回してタレットハブ
上の所定の位置に押し込みます。タレットのハブキャップ上のタブをタレットイン
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
129
メンテナンス
ジェクタ開口部に合わせてください(図 60 )。
タレットの
ハブキャップのタブ
タレットインジェクタ開口部
図 62
タレットのハブキャップを時計回りに回して所定の位置に押し込む
6 シリンジを取り付けます。詳細については、「シリンジの取り付け」を参照してくだ
さい。
7 ALS のドアを閉じます。
8 ALS をパーキングポストから取り外し、ALS を取り付けポストに装着します。詳細
は「7650A ALS の据付」を参照してください。
9 ALS 通信ケーブルを差し込みます。
10 ALS に電源が入ると、タレットが装着されているか検証されます。タレットが正し
く取り付けられていない場合は、Fault (障害)ライトが点灯します。
11 ALS を位置合わせします。詳しくは、142 ページの「7650A ALS の位置合わせ」を
参照してください。
130
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
ニードルサポートガイドの交換
標準のニードルサポートガイドを使用する必要があります(図 63 )。
標準のニードル
サポートガイド
図 63
ニードルサポートガイドの交換
ニードルサポートガイドに磨耗の兆候が現れたときにサポートガイドを交換します。
1 ALS のドアを開きます。
2 シリンジを取り外します。詳しくは、123 ページの「シリンジの取り外し」を参照し
てください。
3 シリンジキャリッジを一番上の位置までスライドさせます。
4 T- 10 トルクスネジをサポートガイドから完全に取り外します。ネジがタレットアセ
ンブリ内に落ちないよう注意してください。
5 サポートガイドをスライドさせて外します。
6 新しいサポートガイドをスライドさせて取り付けます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
131
メンテナンス
7 T- 10 トルクスネジを交換して、締めます。
8 適切なシリンジを取り付けます。詳しくは、119 ページの「シリンジの取り付け」を
参照してください。
9 ALS のドアを閉じます。
10 ALS を位置合わせします。詳しくは、142 ページの「7650A ALS の位置合わせ」を
参照してください。
132
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
100µLを超えるシリンジを使用する
7650A ALS は、100ì L を超えるシリンジサイズを使用して大容量注入を実行できます。
ALS と機器を大容量注入に使用するには、G4521A 拡張サンプルシリンジキャリッジを
装着する必要があります。G4521A 拡張サンプルシリンジキャリッジを装着するには、
次の手順に従います。
1 必要な場合は、現在のシリンジを ALS から取り外します。詳しくは、123 ページの
「シリンジの取り外し」を参照してください。
2 標準のシリンジキャリッジを、G4521A 拡張サンプルシリンジキャリッジと交換しま
す。詳しくは、134 ページの「シリンジキャリッジの交換」を参照してください。
3 適切なシリンジを取り付けます。詳しくは、119 ページの「シリンジの取り付け」を
参照してください。
4 必要な場合は、ALS を機器に再度取り付けます。詳しくは、37 ページの「ALS の据
え付け」を参照してください。
5 ALS を位置合わせします。詳しくは、142 ページの「7650A ALS の位置合わせ」を
参照してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
133
メンテナンス
シリンジキャリッジの交換
100ì L 以下の注入の場合は標準のシリンジキャリッジを使用し、100ì L を超える注入の
場合は G4521A 拡張サンプルシリンジキャリッジを使用します(図 64 )。
シリンジフランジに
対するタブの幅が広い
追加の穴
標準のシリンジキャリッジ
図 64
134
拡張サンプルシリンジキャリッジ
標準および拡張サンプルシリンジキャリッジの外観の違い
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
G4521A 拡張サンプルシリンジキャリッジは、100ì L 以上のシリンジだけを処理するこ
とができます。
シリンジキャリッジアセンブリを交換するには:
1 タレットからすべてのバイアルとボトルを取り外し、ALS 通信ケーブルを機器から
抜きます。
2 必要な場合は、ALS を取り付けポストから取り外して、パーキングポストに置きます。
3 ALS のドアを開きます。
4 シリンジを取り外します。詳しくは、123 ページの「シリンジの取り外し」を参照し
てください。
5 タレットを取り外します。詳しくは、124 ページの「タレットの交換」を参照してく
ださい。
6 シリンジキャリッジを下にスライドさせて、タワーケーシングの下のケーブルに手が
届くようになったら、ケーブルをアセンブリから外します。
7 シリンジキャリッジアセンブリの上部の T- 10 トルクスネジを完全に緩めて、取り外
します(図 65 )。
T-10 トルクス
ネジ
図 65
シリンジキャリッジアセンブリの上部の T-10 トルクスネジを取り外す
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
135
メンテナンス
8 シリンジキャリッジを一番上までスライドさせて、フランジと掛け金に手が届くよう
にします。
シリンジキャリッジ
プランジャキャリア
フランジ
T-10 トルクスネジ
図 66
136
ラッチ
シリンジキャリッジアセンブリの取り外し
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
9 シリンジ掛け金の上の T- 10 トルクスネジを完全に緩めて、取り外します(図 67 )。
T-10 トルクスネジ
図 67
T-10 トルクスネジを取り外す
10 シリンジキャリッジをインジェクタキャリッジから慎重に取り外します。
11 交換用のシリンジキャリッジをインジェクタキャリッジ上にゆっくり配置します。シ
リンジキャリッジは、正しく配置すると定位置にセットされます。
12 シリンジ掛け金の上の T- 10 トルクスネジを完全に締めます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
137
メンテナンス
13 シリンジキャリッジを一番下までスライドさせて、ALS ケーシングの下にあるシリ
ンジキャリッジのケーブルジャックに届くようにします(図 68 )。
ケーブル入力ジャック
図 68
138
シリンジキャリッジのケーブルジャック
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
14 シリンジキャリッジアセンブリの上部の T- 10 トルクスネジを完全に締めます
(図 69 )。
T-10 トルクスネジ
図 69
シリンジキャリッジアセンブリの上部の T-10 トルクスネジを締める
15 ケーブルをシリンジキャリッジアセンブリに接続します。
16 シリンジキャリッジを一番上までスライドさせます。
17 標準のニードルサポートガイドが取り付けられていることを確認します。詳しくは、
131 ページの「ニードルサポートガイドの交換」を参照してください。
18 タレットを取り付けます。詳しくは、124 ページの「タレットの交換」を参照してく
ださい。
19 シリンジを取り付けます。詳しくは、119 ページの「シリンジの取り付け」を参照し
てください。
20 ALS のドアを閉じます。
21 必要な場合は、ALS 通信ケーブルを差し込んで、ALS を取り付けポストに取り付け
ます。詳細は「7650A ALS の据付」を参照してください。
22 ALS を位置合わせします。詳しくは、142 ページの「7650A ALS の位置合わせ」を
参照してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
139
メンテナンス
シリンジニードルの交換
250ì m および 320ì m 注入用に使用するステンレスニードルは、ガラスシリンジバレル
に挿入する必要があります。使用するカラムに合った、正しいサイズのニードルを選択
します。
250ì m 注入用のニードルには銀色のストップがあり、320ì m 注入用のニードルには金
色のストップがあります。シリンジとニードルについては、Agilent の消耗品カタログ
または Agilent の Web サイト(www.agilent.com/chem/jp)の一覧を参照してください。
ニードルをシリンジバレルに挿入するには(図 70 ):
プランジャ
バレル
テフロンディスク
ストップ
テフロン
ディスク
ニードル
ニードル
スプリング
キャップ
図 70
シリンジの部品
1 シリンジバレルのキャップをひねって外し、スプリングを取り外します。
2 ニードルにテフロンディスク(図 70 )があることを確認します。シリンジバレルに
テフロンディスクがない場合は、シリンジボックス内の説明書に従って、ニードルを
自分でラップします。
140
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
3 スプリングとキャップをニードルにかぶせて下にスライドさせます。
4 ニードルをシリンジバレルに挿入します。
5 キャップを回して、シリンジバレルに再度取り付けます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
141
メンテナンス
7650A ALS の位置合わせ
ここでは、7650A ALS の位置合わせ手順を実行する方法について説明します。ALS は、
工場で位置合わせされた状態で出荷されます。この位置合わせ手順を実行する必要があ
るのは、ALS のハードウェアコンフィグレーションが変更された場合、または Align
Mode(位置合わせモード)ライトが点灯した場合のみです。
注記
Align Mode ライトが点灯していない場合は、この手順を実行しないでください。
一番上にあるオレンジ色の Align Mode ライトが点灯している場合は、位置合わせ手順
が正しく完了しないと、ALS は動作しません。
ALS を位置合わせするには:
1 タレットからすべてのバイアルを取り外します。
2 ALS ドアを開き、シリンジを取り外します。詳しくは、123 ページの「シリンジの
取り外し」を参照してください。
3 ALS のドアを閉じます。
4 細長い道具を使って、インジケータライトの上にある、くぼんだ位置合わせボタンを
押します。くぼんだ穴の中にあるボタンの後ろや周辺を触らないよう注意してくださ
い(図 71 )。
位置合わせボタン
Align Mode
(位置合わせモード)
Fault
(障害)
Ready
図 71
142
ALS の位置合わせ
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
メンテナンス
以下の位置合わせ手順を実行している間、オレンジ色の Align Mode ライトが点灯し
ます。
a タレットが回転して、シリンジが取り外されていることを確認します。次に再び
回転して、どのタイプのタレットが取り付けられているかを判定します。
b シリンジキャリッジが一番下まで下がり、そこに留まってから、再び上に移動し
ます。
c シリンジキャリッジがタレットに接触するまで小刻みに下がります。これにより、
タレットに対する相対的な位置が設定されます。
d プランジャが移動し、各ストップ位置をキャリブレーションします。
e シリンジキャリッジが下に移動し、タレットが回転して、シリンジキャリッジに
対する相対的な位置が設定されます。
注記
これらのステップのいずれかが失敗すると、プロセスが停止し、Fault ライトが点灯しま
す。ステップ b で停止した場合は、タレットが正しく取り付けられていることを確認し、
位置合わせボタンを再び押します。それでも失敗する場合は、Agilent サービスにお問い
合わせいただく前に、インジェクタのプラグを抜いて接続し直してから、もう一度試し
てください。
5 ALS が停止し、緑色の Ready ライトが点灯したら、キャリブレーションが完了した
ことを意味します。
この位置合わせがユーザーによって開始された(位置合わせボタンを押す前にオレン
ジ色の Align Mode ライトが消えていた)場合に、位置合わせに失敗したときは、
ALS のプラグを抜いて再接続すると、ALS が前の位置合わせ値にリセットされます。
6 ALS ドアを開き、シリンジを取り付けます。詳しくは、119 ページの「シリンジの
取り付け」を参照してください。
7 ALS のドアを閉じます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
143
メンテナンス
パーキングポストの取り付け
必要に応じて 7890A GC(図 72 )または 7820A GC(同)にパーキングポストを取り
付けます。5975T LTM- GC/MSD をお使いの場合は、このセクションをスキップしてくだ
さい。
パーキング
ポスト
の位置
図 72
144
7890A GC のパーキングポストの位置
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
トラブルシューティング
現象:機器の高速分析時間が予想よりも長い
現象:変動
146
147
現象:汚染またはゴーストピーク
149
現象:予測より小さい/大きいピーク
現象:サンプルキャリーオーバー
現象:シグナルなし/ピークなし
シリンジに関する問題の修正
150
152
153
154
この章では、サンプラを円滑に操作し続けるうえで役立つ情報を示します。
クロマトグラムが満足のいくものでない場合は、何らかの問題があることが明らかです。
この章を参考にして、問題に考えられる原因を特定し、問題の解決策が示されている場
合は、それに従ってください。
この章で扱う内容は、サンプラに関連した問題だけです。ただし、ここで説明する現象
の中には、機器の温度やガス供給の安定性などの他の要因に関連しているものも少なく
ありません。
問題を解決できない場合は、Agilent の点検/ 修理サービスを受けてください。
Agilent Technologies
145
トラブルシューティング
現象:機器の高速分析時間が予想よりも長い
表 13
146
機器の分析時間の問題
考えられる原因
処置
サンプルバイアルが常に、タレッ
トの 1 列目とタレットの 2 列目を
交互に使用している。
生産性をできるだけ上げるには、可能な限り単純なシーケン
スを使用する(バイアルポジション 1 の後にポジション 2、3、
4 と続く)か、同じタレットの列のバイアルを使用します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
トラブルシューティング
現象:変動
図 73
リテンションタイムまたは面積に再現性がない
表 14
変動の問題
考えられる原因
処置
注入口セプタムに漏れがある。
セプタムに漏れがある場合は、セプタムを交換します。交換
したセプタムの注入回数が 200 回未満であった場合は、耐用
期間が終了する前にセプタムに不具合が生じるのを防ぐた
め、以下の問題がないかどうかをチェックしてください。
• セプタムリテナナットをきつく締めすぎている。
• シリンジニードルがまっすぐでない。
• シリンジが正しく取り付けられていない。
シリンジが磨耗しているか、
汚れている。
シリンジが汚れて見えるか、プランジャの動きが悪い場合
は、シリンジを適切な溶媒で洗浄するか、シリンジ製造元の
洗浄手順に従います。
サンプル量が少なすぎるか、
多すぎる。
サンプルレベルをチェックします。サンプルバイアルが正し
く充填されていないと、蒸発や汚染による影響が分析に及ぶ
可能性があります。サンプルレベルはバイアル容量の約半分
に保ちます。93 ページの「サンプルバイアルの充填」を参照
してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
147
トラブルシューティング
表 14
変動の問題 (続き)
考えられる原因
処置
バイアルキャップが緩んでいる。
バイアルキャップをチェックします。バイアルのクリンプ
キャップを手で回すことができる場合は、キャップが緩すぎ
ることを意味します。キャップが緩いと、サンプルの気化に
よ っ て 濃 度 が 時 間 と と も に 変 化 す る 可 能 性 が あ り ま す。
94 ページの「サンプルバイアルのキャップの取り付け」を参
照してください。
スクリューキャップを十分に締めておかないと、ミキサー内
で緩んだり、外れてしまう場合があります。
サンプルが安定していない。
サンプルの安定性をチェックします。一部のサンプルは熱や
紫外線によって変化します。不安定なサンプルの変化を抑え
るには、以下に示すいくつかの方法があります。
• 茶色のサンプルバイアルを使用します。
• 保護された環境でサンプルを保管します。
サンプルサイズが変動する。
新しいシリンジを取り付けます。サンプルサイズが変動する
場合は、シリンジが精密でないか、プランジャが磨耗してい
ることが考えられます。変動は、交換型ニードルを持つシリ
ンジを使用するときに、デッドボリュームまたはニードル間
の差異が原因となって起こる可能性があります。
ニードルに気泡がある。
148
ニードル内に気泡がある場合は、可変速度を使用してサンプ
ル吸引速度を遅くし、気泡の形成を回避します。72 ページの
「7650A ALS に関するパラメータの設定」を参照してくださ
い。
これによって問題が解決されず、サンプルが粘性である場合
は、以下を試してください。
• 粘性遅延時間を長くします。
• 粘性の低い適切な溶媒でサンプルを希釈します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
トラブルシューティング
現象:汚染またはゴーストピーク
表 15
汚染またはゴーストピークの問題
考えられる原因
処置
バイアルキャップセプタムが溶媒 以下を行います。
に溶ける。
• バイアルセプタムが平らであることを確認します。バ
セプタム素材の小片がサンプルに
イアルセプタムが平らでないと、ニードルによる芯抜
溶媒すると、ゴーストピークが現れ
けが起こり、サンプル内に小片が落ちる可能性が高く
る場合があります。ゴーストピー
なります。94 ページの「サンプルバイアルのキャップ
クの有無を調べるには、ブランク
の取り付け」を参照してください。
ランを何度か実行してください。
• ニードルをチェックします。シリンジニードルにバリ
があると、セプタムが削られ、その小片が押し出され
て、サンプルに混入する可能性があります。
• バイアルセプタムをチェックします。バイアルセプタ
ムの耐性が使用中の溶媒に対して不十分な場合は、よ
り耐性の強いタイプを試してください。
サンプルバイアルが汚染して
いる。
ゴーストピークは、サンプルバイアルの汚染によって引き起
こされる場合があります。新しいバイアルまたは清潔なバイ
アルを試して、ゴーストピークが消えるかどうかを確かめま
す。新しいバイアルは汚染のない場所に保管してください。
注入口セプタム揮発性物質を放出
している。
少量のアルミ箔で注入口セプタムを裏打ちした状態で、ブラ
ンクランを何度か実行します。汚染ピークが消える場合は、
セプタムがピークの原因であることが考えられます。通常使
用しているセプタムを別のタイプと交換してみてください。
カラムが汚染している。
残留物を含む分子量の大きいサン
プルを使用すると、シリンジ、注
入口ライナー、またはカラムの最
初の 5 ~ 10cm 程度が汚染する可
能性があります。
以下を行います。
• 注入口ライナーを交換または洗浄し、不活性化処理し
ます。
• キャピラリカラムの背後から光を当て、キャピラリカ
ラムの最初の約 5 ~ 10cm に異物がないかどうかを調
べます。可能な場合は、汚染した箇所を取り除きます。
サンプルが安定していない。
一部のサンプルは熱や紫外線によって変化します。サンプル
の安定性をチェックします。
変化を抑えるには、以下に示すいくつかの方法があります。
• 茶色のサンプルバイアルを使用します。
• 保護された環境でサンプルを保管します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
149
トラブルシューティング
現象:予測より小さい /大きいピーク
自動注入
マニュアル注入
150
図 74
予測より小さい/ 大きいピーク
表 16
ピークサイズの問題
考えられる原因
処置
ニードル分留のないクロマトグラ
ムとニードル分留のあるクロマト
グラムを比較している。
注入モードをチェックします。通常の注入モードのサンプラ
では、高速注入を使用して代表量のサンプルが供給されま
す。高速注入では、ニードル分留が抑制されます。マニュア
ル注入または低速の自動注入機器を使った場合のクロマト
グラムでは、高分子量物質より低分子量物質のレベルが高く
なります。これは、分子量の大きい物質より揮発性物質の方
が速くニードルから放出されるからです。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
トラブルシューティング
表 16
ピークサイズの問題 (続き)
考えられる原因
処置
パックド注入口と 530µm カラムを
使用している。
注入口をチェックします。パックド注入口のあるキャプラリ
カラムには、サンプル分離特性が内在しています。
システムに漏れがある。
セプタムを交換し、フィッティングに漏れがないかどうかを
チェックします。漏れのあるセプタムの注入回数が 200 回未
満である場合は、
今後、耐用期間が終了する前にセプタムに不具合が生じるの
を防ぐため、以下を確認してください。
• セプタムリテナナットをきつく締めすぎていない。
• シリンジニードルがまっすぐになっている。
• シリンジが正しく取り付けられている。
サンプルが安定していない。
一部のサンプルは熱や紫外線によって変化します。サンプル
の安定性をチェックします。変化を抑えるには、以下に示す
いくつかの方法があります。
• 茶色のサンプルバイアルを使用します。
• 保護された環境でサンプルを保管します。
バイアルキャップが緩んでいる。
バイアルキャップをチェックします。バイアルキャップが緩
いと、軽量物質がサンプルから選択的に失われる原因となり
ます。キャップが簡単に回転する場合は、キャップが正しく
取り付けられていないことを意味します。94 ページの「サン
プルバイアルのキャップの取り付け」を参照してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
151
トラブルシューティング
現象:サンプルキャリーオーバー
152
図 75
キャリーオーバーピークを示すブランクラン
表 17
キャリーオーバーの問題
考えられる原因
処置
洗浄の回数またはタイプが不十分
である。
サンプル洗浄と溶媒洗浄の回数に関するランパラメータを
チェックします。必要な洗浄回数は利用目的によって異なり
ます。63 ページの「サンプルキャリーオーバー」を参照して
ください。
溶媒が足りない。
溶媒ボトルをチェックします。溶媒レベルが 2.5mL 未満の場
合は、シリンジが溶媒に届きません。残った溶媒を 4 ~ 4.5mL
の新鮮な溶媒と交換します。96 ページの「溶媒ボトルと廃液
ボトルの準備」を参照してください。
廃液ボトルをチェックします。廃液レベルがボトルのネック
付近にある場合は、ボトルを空のボトルと交換します。
シリンジが磨耗しているか、
汚れている。
シリンジが汚れて見えるか、プランジャの動きが悪い場合
は、シリンジを適切な溶媒で洗浄するか、シリンジ製造元の
洗浄手順に従います。シリンジが磨耗して見える場合は、シ
リンジを交換します。
サンプルが(バイアル間で)混和
できないタイプである。
この状況では、サンプル洗浄と溶媒洗浄によってシリンジを
正しくすすげない場合があります。洗浄サイクルの回数を増
加するか、さまざまなサンプルタイプをすすげる溶媒を使用
してください。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
トラブルシューティング
現象:シグナルなし/ ピークなし
表 18
シグナル/ ピークの問題
考えられる原因
処置
シリンジプランジャが正常に
機能しない。
シリンジプランジャがプランジャネジでしっかりと固定さ
れていることを確認します。プランジャネジが緩んでいる場
合は、ネジを締めます。81 ページの「シリンジの取り付け」
を参照してください。
シリンジニードルが詰まっていないかどうかをチェックし
ます。シリンジが詰まっている場合は、シリンジを交換また
は洗浄します。
バイアルのサンプルレベルが
低すぎる。
バイアルにサンプルがないか、少量しかないと、ニードルが
サンプルに届かない可能性があります。93 ページの「サンプ
ルバイアルの充填」を参照してください。
または、メソッドを編集して、ニードルのサンプリング深さ
を調整します。72 ページの「7650A ALS に関するパラメータ
の設定」のサンプリングオフセットを参照してください。
サンプルが粘性である。
サンプルが粘性の場合は、以下を試してください。
• 粘性遅延時間を長くします。
• 粘性の低い適切な溶媒でサンプルを希釈します。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
153
トラブルシューティング
シリンジに関する問題の修正
警告
ALS のトラブルシューティングを行う際は、シリンジニードルに手を近づけないでく
ださい。ニードルは鋭利であり、有害な化学物質が付着している可能性があります。
シリンジニードルが曲がる原因はいくつかあります。ニードルが曲がっていることに気
づいたら、交換部品を取り付ける前に、以下の点をチェックしてください。
✔ シリンジはシリンジキャリッジに正しく取り付けられていますか。
✔ 正しいタイプのシリンジを使用していますか。シリンジバレルとニードルを組み合わ
せた長さが約 126.5mm になっていますか。詳細については、78 ページの「シリン
ジの選択」を参照してください。
✔ ニードルサポートガイドは清潔ですか。残留物またはセプタムの沈殿物をすべて取り
除きます。詳細については、118 ページの「定期メンテナンス」を参照してください。
✔ 注入口セプタムナットをきつく締めすぎていませんか。詳細については、機器の操作
マニュアルを参照してください。
✔ クリンプキャップのセプタムがサンプルバイアルの中心にきていますか。詳細につい
ては、94 ページの「サンプルバイアルのキャップの取り付け」を参照してください。
✔ サンプルバイアル、マイクロバイアルインサート、バイアルキャップセプタムの各内
径が 5mm 以上ありますか。詳細については、90 ページの「サンプルバイアルの準
備」を参照してください。
154
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
障害とエラー
障害
156
エラーメッセージ
159
場合によっては、機器が期待どおりに機能しないことがあります。ほとんどの場合、問
題の性質は、7650A ALS 上のステータスライトまたは機器のディスプレイ上のエラー
メッセージによって示されます。こうした事態が発生した場合は、この章を参考にして、
考えられる原因と実行すべき是正処置を調べてください。
Agilent Technologies
155
障害とエラー
障害
7650A ALS のステータスは、フロントパネル上の 3 つのライトによって示されます
(図 76 )。
Align Mode ライト
Fault ライト
Ready ライト
図 76
7650A ALS のステータスライト
通常の操作時は、緑色の Ready ライトが点灯します。ALS がビジー状態の場合は、緑
色の Ready ライトが点滅します。
別のライトの組み合わせが点灯している場合は、障害が発生したことを意味します。
Agilent サービスを利用する前に、この章の情報を参考にして、問題の解決または特定
を試みてください。
表 19
ALS のステータスライト
ライト
考えられる原因
どのライトも点灯し
ていない
•
•
•
156
処置
1 ALS が機器に正しく接続されて
機器への電源がオフになって
いることを確認します。
いる。
ALS ケーブルが不良であるか、 2 機器への電源をチェックします。
3 Agilent サービスに問い合わせます。
機器との接続に問題がある。
機器の点検/修理が必要である。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
障害とエラー
表 19
ALS のステータスライト (続き)
ライト
考えられる原因
Fault ライトが点灯し
ている
•
•
ALS のドアが開いている。
ALS が機器に正しく取り付けら
れていない。
1 ALS のドアが閉まっていること
を確認します。
2 Fault ライトが点灯したままの場
合は、Agilent サービスに問い合
わせます。
3 ALS が正しく取り付けられてい
ることを確認します。詳細につ
いては、37 ページの「ALS の据
え付け」を参照してください。
4 正しい取り付けポストが装着さ
れていることを確認します。
37 ページの「ALS の据え付け」
を参照してください。
5 Fault ライトが点灯したままの場
合は、Agilent サービスに問い合
わせます。
Fault ライトが 2 回
点滅する
•
シリンジにエラーがある。
•
シリンジを装着し直すか、交換
します。
Fault ライトが 3 回
点滅する
•
タレットにエラーがある。
•
タレットを装着し直します。
Fault ライトが 4 回
点滅する
•
プランジャにエラーがある。
Fault ライトが 5 回
点滅する
•
シフターにエラーがある。
•
機器を再起動します。エラーが
再び発生する場合は、Agilent
サービスに問い合わせます。
Align Mode ライトが
点灯している
•
•
システムが初期化されていない。 1 タレットが正しく取り付けられ
ALS メモリエラーがある。
ていることを確認します。
124 ページの「タレットの交換」
を参照してください。
2 位置合わせ手順を実行して、シ
ステムを初期化します。142 ペー
ジの「7650A ALS の位置合わせ」
を参照してください。
3 位置合わせが失敗する場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
Align Mode ライトが
点滅している
•
Align Mode ボタンが押された。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
処置
•
位置合わせとキャリブレーショ
ンが現在実行中です。処理が完
了するまで待ちます。
157
障害とエラー
表 19
158
ALS のステータスライト (続き)
ライト
考えられる原因
すべてのライトが
点灯している
•
•
処置
ボードに障害がある。
ファームウェアリビジョンの
矛盾がある。
1 ケーブル接続をすべてチェック
します。
2 機器の電源をオフにしてから、
再びオンにします。
3 ライトが点灯したままの場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
障害とエラー
エラーメッセージ
表 20 に、機器上で報告されるサンプラ関連のエラーメッセージを示します。以下のリ
ストにないエラーメッセージが表示された場合は、それを記録しておいてください。機
器が正しくコンフィグレーションされていること、サンプルバイアルと機器がメソッド、
シーケンスの両方に適合していることを確認します。問題が継続する場合は、エラーメッ
セージを Agilent サービスまで報告してください。
表 20
エラーメッセージ
メッセージ
考えられる原因
Front (or Back) door open or injector not
mounted(フロントドアまたはバック
ドアが開いているか、インジェクタが
取り付けられていません)
推奨される処置
•
156 ページの「障害」を参照してく
ださい。
Front (or Back) injector com error(フロ
ントインジェクタまたはバックイン
ジェクタに通信エラーがあります)
•
ALS と機器の間に通信エラーがある。 •
Front (or Back) injector incomplete
injection(フロントインジェクタまた
はバックインジェクタの注入が不完全
です)
•
•
シリンジニードルが曲がっている。 1 154 ページの「シリンジに関する問
題の修正」を参照してください。
プランジャまたはシリンジキャ
2 シリンジを ALS から取り外し、プ
リッジが注入時に正しく動作して
ランジャが引っかかったり、固
いない。
まっていないことをチェックしま
す。必要な場合は、シリンジを交
換します。
3 シーケンスを再開します。
4 エラーが再度発生する場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
Front (or Back) injector reset(フロント
インジェクタまたはバックインジェク
タがリセットされました)
•
機器からの電源に中断がある。
•
Front (or Back) plunger error(フロント
プランジャまたはバックプランジャに
エラーがあります)
•
シリンジプランジャに引っかかり
があるか、プランジャキャリアに
しっかり接続されていない。
プランジャソレノイドが固まって
いる。
プランジャキャリアエンコーダが
操作不能である。
1 シリンジを取り外し、プランジャが
引っかかったり、固まっていない
ことをチェックします。必要な場
合は、シリンジを交換します。詳
細については、80 ページの「シリ
ンジの点検」を参照してください。
2 サンプルの粘性を粘性パラメータ
と照らし合わせてチェックします。
必要な場合は、粘性パラメータを
リセットします。
3 シーケンスを再開します。
4 エラーが再度発生する場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
•
•
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
Agilent サービスに問い合わせます。
Agilent サービスに問い合わせます。
159
障害とエラー
表 20
エラーメッセージ (続き)
メッセージ
考えられる原因
Front (or Back) syringe error(フロント
シリンジまたはバックシリンジにエ
ラーがあります)
•
•
•
Front (or Back) turret error(フロントタ
レットまたはバックタレットにエラー
があります)
•
•
•
•
Injector not present
•
(インジェクタがありません)
•
•
•
Injector offline
•
(インジェクタがオフラインです)
•
•
160
推奨される処置
シリンジキャリッジモーターが壊
れている。
シリンジが現在取り付けられてい
ないか、シリンジのタイプが間
違っている。
シリンジキャリッジセンサが操作
不能である。
1 シリンジが正しく取り付けられて
いることを確認します。詳細につ
いては、81 ページの「シリンジの
取り付け」を参照してください。
2 シリンジが仕様に適合しているこ
とを確認します。
3 シリンジニードルが曲がっている
場合は、154 ページの「シリンジに
関する問題の修正」を参照してく
ださい。
4 シーケンスを再開します。
5 エラーが再度発生する場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
タレットの回転に何らかの妨害が
ある。
タレットのモーター / エンコーダア
センブリが操作不能である。
電源がオンになっている間にタ
レットのタイプが変更されたが、
タレットの位置合わせ手順が実行
されなかった。
タレットが緩んでいる。
1 障害物を取り除きます。
2 Align Mode ライトをチェックしま
す。点灯している場合は、位置合
わせ手順を実行します。142 ページ
の「7650A ALS の位置合わせ」を参
照してください。
3 タレット上部を締めます。
4 エラーが再度発生する場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
1 ALS 通信ケーブルがしっかり接続さ
ALS または機器のボードに障害が
れていることを確認します。
ある。
ALS 通信ケーブルが不良であるか、 2 メソッドをチェックして、適切な
機器にしっかりと接続されていない。
ALS 注入口位置が使用されているこ
機器にケーブル障害がある。
とを確認します。
メソッドで間違った注入口位置が指 3 エラーが解決されない場合は、
定されている(メソッドの不一致)
。
Agilent サービスに問い合わせます。
ALS または機器のボードに障害が
ある。
ALS 通信ケーブルが不良であるか、
接続されていない。
機器にケーブル障害がある。
1 ALS 通信ケーブルがしっかり接続さ
れていることを確認します。
2 エラーが解決されない場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
障害とエラー
表 20
エラーメッセージ (続き)
メッセージ
考えられる原因
Invalid sequence
•
(シーケンスが無効です)
•
•
•
No injector
•
(インジェクタがありません)
•
Prerun >10 min
•
推奨される処置
シーケンスが間違った注入機器に
対して設定されている。
シーケンスに必要なハードウェア
が据え付けられていないか、コン
フィグレーションされていない。
シーケンスの実行中に機器コン
フィグレーションが変更された。
ALS 通信ケーブルが不良であるか、
正しく接続されていない。
1 機器がしっかり接続されているこ
とを確認します。
2 シーケンスパラメータを機器コン
フィグレーションと照らし合わせ
て確認します。
3 エラーが解決されない場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
分析中に機器のケーブル接続が緩
くなった。
分析中に ALS ボードまたは機器
ボードで障害が発生した。
1 機器がしっかり接続されているこ
とを確認します。
2 エラーが解決されない場合は、
Agilent サービスに問い合わせます。
機器がノットレディ状態である。
•
(プレランが 10分を超えています)
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
ノットレディなどの機器に関する
メッセージの有無をチェックして、
原因を特定します。
161
障害とエラー
162
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
Agilent 7650A オートサンプラ
据付、操作、およびメンテナンス
交換部品
7650A ALS の交換部品
164
この章では、7650A ALS 向け交換部品の一覧を示します。最新の交換部品およびファー
ムウェアについては、Agilent の Web サイト(www.agilent.com/chem/jp)も参照して
ください。
Agilent Technologies
163
交換部品
7650A ALS の交換部品
表 21 と図 77 に、7650A ALSモジュール向け交換部品の一覧と図を示します。
表 21
項目
164
7650A ALS の交換部品
内容
部品番号
数量/
アセンブリ
1
インジェクタタワー(新 / 交換)
G4567A
1
2
シリンジキャリッジ(標準)
G4513-60550
1
3
シリンジキャリッジ(拡張サンプル)
G4521-63000
1
4
タレットアセンブリ
G4567-40192
1
5
タレットキャップ
G4567-40510
1
6
ALS 取り付けポスト
G4513-20561
1
7
ニードルサポートガイド(標準)
G4513-40525
1
8
通信ケーブル
G4514-60610
1
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
交換部品
2
3
1
図 77
4
7
5
6
8
7650A ALS の交換部品
据付、操作、およびメンテナンス
パート 5:メンテナンスとトラブルシューティング
165
Agilent Technologies
© Agilent Technologies, Inc.
2012 年 5 月