第 17 回日本在宅医学会大会 シンポジウムテーマ 開催日 シンポジスト 日本神経学会合同シンポジウム「神経難病、ALS に取り組むとき」 2015 年 4 月 25 日(土) ふりがな ご芳名 講師情報 ご所属 部署 抄録集・ホームページ掲載用原稿 姓 時間 15:20-16:50 うえたけ 植竹 収容人数 名 350 名 ひな 日奈 国立病院機構まつもと医療センター中信松本病院 相談支援センター 役職 ソーシャルワーカー 演題名(80 字以内) 告知と意思決定支援~人工呼吸器をつけますか? ご略歴(300 字以内) 1986 年 3 月 上智大学大学院社会学専攻博士前期課程修了 1986 年 4 月 信州大学医学部付属病院ソーシャルワーカー 1997 年 4 月~現職 講演概要(1000 字以内) ALS という病気は、そのいくつかの特徴から、神経難病がもたらす運命的な影響を代表するとされます。特に 注目されるのは、呼吸を続けるかどうかを自分で選ぶ、という想像しがたい局面に直面するということでしょう。 ALS の診断、告知に伴ってしばしば発せられる「人工呼吸器をつけますか?」という問いは、 「生き続けますか? それともそこで人生を終えますか?」という問いです。他の病気において、ここまであからさまに、命の限りを問 う質問がされることはないかも知れません。 患者さんとご家族がこの問いに答えるために必要なことはなんでしょうか。人にとって「生きる」ということが、 生物学的に命を長らえることだけではない以上、呼吸不全についての医学的な情報だけでは不十分なことは明白で す。どういう生活になるのか。何ができて何はできないのか?どのくらい人の手を借りることになるのか?どのく らいお金がかかるのか?生活や人生についてのさまざまな種類の情報を患者さんは求めています。これらの情報に はひな形はありません。ひとりひとりが違う人生を生きており、そのたったひとつの人生がどう変わるかを考えな くてはいけないからです。ほとんどの患者さんが人工呼吸器を見たことはありません。たんの吸引という作業をし たことがある人、年金や介護保険などに精通した人もいません。自宅を療養の場として選ぶためには在宅医療や介 護の状況についての情報も必須です。たくさんの情報を伝えるためには、告知、説明という作業を医師だけでなく、 多くの職種での継続されるプロセスとしての協働作業として行う必要があると思います。そこでは、病院でのチー ムと在宅療養に関わるチームとの協働も必ず必要です。 さて、先程「他の病気において命の限りを問う質問がされることはない」と書きましたが、それは本当ではあり ません。呼吸器を選ぶかどうかという質問ほどわかりやすくはなくても、「生き続けますか?」という質問は医療 のプロセスの中でしばしば発せられます。胃ろうを選ぶかどうか。副作用が強すぎる抗がん剤を続けるかどうか。 それらの質問が社会の中での生活者としての、人としての患者さんにとって、どういう意味なのか、ALS は我々 医療者に教えてくれています。ソーシャルワーカーとして患者さんたちの選択を共に考えてきた経験から、「生き ること、死ぬこと」に関する意思決定に必要と思われることをお話ししてみたいと思います。
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