胸部画像診断の基礎

胸部画像診断の基礎
新日鐵八幡記念病院呼吸器科
中野貴子
正常胸部レントゲン写真の読み方
胸部レントゲン写真の読影のポイント
①読みやすい写真をとる。
→準高圧∼高圧(90∼140KVP)
②一定の胸部レントゲン写真読影の順序を身につける
(1)撮影条件
(2)体位およびX線管球の高さ
(3)軟部組織
(4)肋骨などの骨性胸郭
(5)横隔膜の高さ、形状、シルエットサイン
(6)縦隔陰影、シルエットサイン
(7)気管、気管支の透亮像
(8)各肺葉および肺野
(9)異常陰影と周囲既存構造の関係
③同一症例の経年的な比較読影を心がける
(1)低圧撮影(40∼60KVp)
→肺の1/3が読めないため、あまり使われない
(2)準高圧撮影(80∼100 KVp)
→この条件がよく使われる。
正面像では、心臓、縦隔、横隔膜の裏側の陰影は、
見落とされることもある。
(3)高圧撮影(120∼140KVp)
→心臓、縦隔、横隔膜の裏側の陰影は発見しやすくなる。
胸部レントゲン写真の読影のポイント
①読みやすい写真をとる。
→準高圧∼高圧(90∼140KVP)
②一定の胸部レントゲン写真読影の順序を身につける
(1)撮影条件
(2)体位およびX線管球の高さ
(3)軟部組織
(4)肋骨などの骨性胸郭
(5)横隔膜の高さ、形状、シルエットサイン
(6)縦隔陰影、シルエットサイン
(7)気管、気管支の透亮像
(8)各肺葉および肺野
(9)異常陰影と周囲既存構造の関係
③同一症例の経年的な比較読影を心がける
正面像
<撮影条件>
(1)正面でとれているか否か?
→胸椎棘突起と両鎖骨の胸骨端との距離が等間隔
例:右が短い場合には右前斜位
左が短い場合には左前斜位
(2)管球の高さ(X線ビームの入射角)
→両側の鎖骨胸骨端が後部第4肋骨に重なって認められる
(3)撮影電圧
・心臓の裏側の血管影が認められるか?
・下行大動脈がしっかり追えるか?
・血管陰影が中下肺野にて末梢まで認められるか?
・横隔膜下に血管影が認められるか?
正常胸部レントゲン写真 正面像
胸部レントゲン写真の読影のポイント
①読みやすい写真をとる。
→準高圧∼高圧(90∼140KVP)
②一定の胸部レントゲン写真読影の順序を身につける
(1)撮影条件
(2)体位およびX線管球の高さ
(3)軟部組織
(4)肋骨などの骨性胸郭
(5)横隔膜の高さ、形状、シルエットサイン
(6)縦隔陰影、シルエットサイン
(7)気管、気管支の透亮像
(8)各肺葉および肺野
(9)異常陰影と周囲既存構造の関係
③同一症例の経年的な比較読影を心がける
正面像
<骨・軟部組織>
(1)胸膜外脂肪
→両側に左右対称に認められる
(2)肋骨、鎖骨、肩甲骨の融解像、化骨像はないか?
→第1肋軟骨の化骨は正常である
しかし、左右差が大きいときには肺癌などが
隠れている可能性有り
(3)肋骨、鎖骨、肩甲骨の骨折はないか?
胸膜外病変 Extrapleural signとは
・病変が肺内か胸膜外かを鑑別するためのサイン。
・胸膜外の病変は横から見ると明瞭な辺縁を持つ内側に凸な陰影として描
出される。
・上下端はなだらかで、わずかに肺に対して凹となって胸膜に移行する
胸膜中皮腫
転移性腫瘍
神経芽細胞腫
横紋筋肉腫
脂肪腫など
肋骨骨折
胸水の貯留
骨折部位
胸部レントゲン写真の読影のポイント
①読みやすい写真をとる。
→準高圧∼高圧(90∼140KVP)
②一定の胸部レントゲン写真読影の順序を身につける
(1)撮影条件
(2)体位およびX線管球の高さ
(3)軟部組織
(4)肋骨などの骨性胸郭
(5)横隔膜の高さ、形状、シルエットサイン
(6)縦隔陰影、シルエットサイン
(7)気管、気管支の透亮像
(8)各肺葉および肺野
(9)異常陰影と周囲既存構造の関係
③同一症例の経年的な比較読影を心がける
正面像
<横隔膜>
(1)横隔膜の位置は?
→肺のvolumeの増加する疾患、
減少する疾患はないか?
前肋骨で第6番目が横隔膜を横切る位置か?
後肋骨で第10番目が横隔膜を横切る位置か?
(2)横隔膜の形状、シルエットサイン
横隔膜のシルエットがしっかり追えるか?
肋骨横隔膜角(cost-phrenic angle)はsharpか?
心臓横隔膜角が追えるか?
正常胸部レントゲン写真 正面像
COPD
前肋骨で第7番目が横隔膜を横切る
後肋骨で第11番目が横隔膜を横切る
間質性肺炎によるVolume lossの写真
前肋骨で第5番目が横隔膜を横切る
後肋骨で第9番目が横隔膜を横切る