2016 年度 前期 2単位 食品学Ⅰ 対象学科・学年:健康栄養学科・1 年(B 組) 時 間:月曜日 1 時限(9:00~10:30) 教 室:1 号館 142 室 教 科 書:『新版マスター食品学Ⅰ』(小関正道編著,建帛社) 参 考 書:『日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)』(文部科学省科学技術・学術審 議会資源調査分科会報告,全国官報販売協同組合) 1.担当教員 (1)名 前:小嶋文博(おじまふみひろ) (2)研究室:1 号館 6 階 (3)連絡先: (4)オフィスアワー:月曜日 16:20~17:50 (5)主な研究・教育業績 東北大学大学院薬学研究科博士課程後期修了。薬学博士。カゴメ㈱総合研究所微生物バ イオ研究グループ研究員、東北大学薬学部生化学講座研究員、農林水産省食品総合研究所 食品理化学部脂質研究室研究員、カゴメ㈱総合研究所機能性研究グループ主任、盛岡大学 短期大学部食物栄養科講師・助教授・教授を経て、2008 年 9 月より仙台白百合女子大学人 間学部健康栄養学科教授。日本薬学会、日本生化学会、日本化学会、日本栄養・食糧学会、 日本食生活学会。 Effect of the steamed fish paste products on dementia prevention by stimulating the production of nerve growth factor(NGF), Research on the effects of Kamaboko on the cerebral function improvement, Effects of Kamaboko for the internal fat metabolism of dietary obesity model animal (2010, 70th Anniversary publication of functional results of research on fishery paste products). 2.授業の目的 (1)授業の目的 食品中の化学成分の調理・加工による変化予測を行ったり、栄養性・嗜好性の高い食物を 調製したりするために必要となる食品の化学成分(栄養成分、嗜好成分、機能性成分等) の構造・性質、物性等に関する基礎知識を習得することを目的とする。 (2)到達目標 【食品の分類】 ① 原料、生産様式に基づく食品の分類について説明できる。 ② 食品をその主要栄養素含量に基づいて分類できる。 【食品の主要成分】 ① 食品中の水の状態(結合水・水和水)と食品物性や貯蔵性との関連を説明できる。 ② 食品中のアミノ酸・ペプチドの種類、構造、性質、所在を説明できる。 ③ 食品中のたんぱく質の種類、構造、性質、所在を説明できる。 1 ④ 食品中の酵素の種類と性質(反応の特異性、速度論、阻害等)について説明できる。 ⑤ 食品中の炭水化物(単糖、少糖、多糖)の種類、構造、性質、所在を説明できる。 ⑥ 食物繊維(水溶性・不溶性)の化学成分と生理的機能について説明できる。 ⑦ 食品中の脂質の種類、構造、性質、所在を説明できる。 ⑧ 食品中の無機質の種類、性質、所在、生理的機能を説明できる。 ⑨ 食品中のビタミンの種類、構造、性質、所在を説明できる。 ⑩ 食品の嗜好成分(味、香り、色素成分)の種類、構造、性質を説明できる。 ⑪ 食品の物性と食品機能について説明できる。 ⑫ 食品中の有害成分について説明できる。 ⑬ 脂肪酸のケン化価、ヨウ素価等を概説できる。 ⑭ 食品中のトリアシルグリセロール組成、酸化、エステル交換等を概説できる。 【食品成分表】 ① 食品成分表で用いられている食品の分類法について説明できる。 ② 食品成分表の一般成分の分析方法について説明できる。 ③ 食品成分表利用における留意点を説明できる。 ④ 食品のエネルギー測定法、エネルギー換算係数について説明できる。 3.授業の概要 食品学Ⅰでは、食品の歴史的変遷や食物連鎖・食環境問題、食品の分類、食品成分表の使 用上の注意点や分析法、食品中の水、栄養成分(炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ ミネラル) 、嗜好成分(味・色・香り) 、生体調節成分等に関する基礎知識を身につける。ま た食品中の有害成分、食品成分の化学変化、食品のレオロジー、保健機能食品、遺伝子組換 え食品、アレルギー表示義務食品等についても学び、食品学Ⅱ等への足掛かりとする。 4.授業の受け方・勉強の仕方 (1)予習の仕方 講義資料を配布するので、該当するテーマ・内容の部分に目を通してきてほしい。また教 科書も該当する部分を読んできてほしい。 (2)授業の受け方 講義資料は教科書とともに毎回持参して講義を受けること。講義では主にパワーポイン トを使用し、講義資料に従って進めていくので、講義資料中に重要だと思ったこと、気に なったこと、疑問点などをできる限り多くメモをとっておくようにすること。 (3)復習の仕方 食品学Ⅰ用のノートを準備し、講義資料と自分のメモ、教科書などを使いながら、その 日の講義内容分のまとめをノートに書き記しておくこと。また復習のための課題を与える 場合があるので、それを仕上げることで、講義だけではカバーしきれない部分の理解を深 めてほしい。 5.受講にあたってのルール (1)受講時の基本姿勢(マナー) 受講時は、私語を慎み、居眠り・内職等は行わないこと。 (2)遅刻・欠席・早退の扱い 2 20 分を超える遅刻は欠席扱いとし、遅刻 2 回で 1 回の欠席とみなす。早退は欠席とみな す。欠席した場合は、 「欠席届」を提出すること。 (3)期末試験の受験資格 講義 15 回のうち、欠席回数が 6 回以上の者は期末試験を受験できない(すなわち再履 修となる) 。 (4)課題提出にあたってのルール 提出期限に指定のない場合は、課題提示時(日)の翌週の同講義開始時とする。提出期限 に遅れた場合は 0 点、提出しなかった場合は-1 点とする。なお、書式を遵守し、他人の 著作物(解答)を剽窃 (※ひょうせつ)しないこと。 ※他人の作品や論文を盗んで、自分のものとして発表すること。 (5)期末試験時の不正行為の扱い カンニング等の不正行為を行った場合は試験点を 0 点とする(すなわち再履修となる) 。 6.授業計画 回 1 テーマ・内容 予習・復習・他 オリエンテーション 資料配布 第1章:人間と食品 1.食文化と食生活:食品の歴史的 講義ノート作成 変遷,食物連鎖と生物濃縮,2.食生活と健康:食生活と 課題プリント(1) 健康・生活習慣病,食嗜好の形成,3.食料と環境問題: フードマイレージ,食料自給率,地産地消とスローフー ド,食品ロス率 2 第3章:食品成分 1.水分:水の構造と性質,自由水と 講義ノート作成 結合水,水分活性と食品の品質変化,中間水分食品, 課題プリント(2) 等温吸湿脱湿曲線,冷凍と加熱,2.炭水化物:炭水化 物の分類・構造・性質(単糖類:アルドースとケトース,不 斉炭素原子,D 型と L 型,エナンチオマーとジアステレ オマー) 3 第3章:食品成分 2.炭水化物:単糖類の誘導体(糖ア 講義ノート作成 ルコール,ウロン酸,アルドン酸,アミノ糖),二糖類(ス 課題プリント(3) クロース,マルトース,ラクトース,トレハロース,パラチ ノース),オリゴ糖(ラフィノース,スタキオース,カップリ ングシュガー,フラクトオリゴ糖,スコロドース,シクロデ キストリン) 4 第3章:食品成分 2.炭水化物:多糖類(単純多糖類と 講義ノート作成 複合多糖類),食物繊維(レジスタントスターチ,難消化 課題プリント(4) 性デキストリンほか),3.たんぱく質:アミノ酸(α-アミノ 酸,イミノ酸,必須アミノ酸,等電点,その他のアミノ酸) 5 第3章:食品成分 3.たんぱく質:ペプチド(ペプチド結 講義ノート作成 合,ペプチド例),たんぱく質(一次構造,二次構造,三 課題プリント(5) 次構造,四次構造,単純たんぱく質,複合たんぱく質, 誘導たんぱく質,たんぱく質の等電点,アミノ酸価) 3 6 第3章:食品成分 4.脂質:脂質の構造(単純脂質,複 講義ノート作成 合脂質,誘導脂質),脂質を構成する脂肪酸(飽和脂肪 課題プリント(6) 酸,不飽和脂肪酸,シス型とトランス型,ライヘルト・マイ スル価とポレンスケ価) 7 第3章:食品成分 4.脂質:油脂の化学的性質(ケン化 講義ノート作成 価,ヨウ素価,酸価,過酸化物価,カルボニル価),油脂 課題プリント(7) の物理的性質(比重,融点,発煙点よ引火点,粘度),油 脂の加工(水素添加とトランス脂肪酸,エステル交換,多 形現象),必須脂肪酸 8 第3章:食品成分 5.無機質:灰分(ナトリウム,カリウ 講義ノート作成 ム,カルシウム,マグネシウム,リン,鉄,亜鉛,銅,マン 課題プリント(8) ガン,ヨウ素,セレン,クロム,モリブデン),食品中の役 割(色素,ゲル化,酸化反応,キレート,呈味・香気成分) 9 第3章:食品成分 6.ビタミン:脂溶性ビタミン(ビタミン 講義ノート作成 A,ビタミン D,ビタミン E,ビタミン K),水溶性ビタミン 課題プリント(9) (ビタミン B1,ビタミン B2,ビタミン B6,ビタミン B12,ナイ アシン,葉酸,パントテン酸,ビオチン,ビタミン C) 10 第2章:食品成分表 収載食品,収載成分項目,成分値 講義ノート作成 の算出法・分析法:エネルギー換算係数(科学技術庁, 課題プリント(10) FAO,Atwater,アルコール,酢酸,食物繊維),一般成 分(水分,たんぱく質,脂質,炭水化物,灰分) 11 第2章:食品成分表 無機質,ビタミン,脂肪酸,コレステ 講義ノート作成 ロール,備考欄収載成分,重量変化率,アミノ酸成分 課題プリント(11) 表,脂肪酸成分表,炭水化物成分表,成分表利用上の 注意点 12 13 第3章:食品成分 7.嗜好成分(色素成分,呈味成分, 講義ノート作成 香気成分) 課題プリント(12) 第3章:食品成分 8.物性(コロイド,レオロジー,テクス 講義ノート作成 チャー),第4章:食品成分の変化 デンプンの加熱変化 課題プリント(13) (糊化と老化) 14 第4章:食品成分の変化 たんぱく質の変性・ラセミ化・ 講義ノート作成 有害化・架橋反応,脂質の自動酸化,各種酵素反応,褐 課題プリント(14) 変(酵素的褐変,非酵素的褐変) 15 第5章:食品の機能性 健康食品に関わる制度,保健機 講義ノート作成 能食品(栄養機能食品,特定保健用食品),特別用途食 課題プリント(15) 品,食品の機能性成分(整腸作用,血中コレステロール 低下,血圧低下,ミネラル吸収,骨形成,虫歯予防,血 糖値上昇抑制,血中中性脂肪・体脂肪低下,その他), 遺伝子組換え食品,アレルギー表示義務 7 品目 16 期末試験 ※授業の展開によっては、変更の可能性があります。変更の場合には随時お知らせします。 4 7.評価方法 (1)期末試験(60%)… 期末試験の出題形式については、論述問題・穴埋め問題・選択問題 のハイブリッド型とする。60%以上の得点率であることが必須である。 (2)課題プリントあるいは中間試験(40%)…いずれの場合においても 60%以上の得点率で あることが必須である。 (3)受講態度 …受講時のマナーが悪い場合は、最大で 10 点を減点する場合がある。 8.参考図書 分からない用語があった場合には、教科書や「参考書」以外に『日本食品大事典』 (医歯薬 出版株式会社)や『新・櫻井総合食品事典』 (同文書院)などを参考図書として調べてみること をお薦めする。 9.履修上の注意 (1)本科目は、栄養士資格、管理栄養士国家試験受験資格、食品衛生管理者及び食品衛生監 視員任用資格、フードスペシャリスト受験資格のための履修要件科目となっているばかり でなく、卒業必修科目であるので、単位未修得者は卒業できないことになる。 (2)講義に関して特別の配慮を必要とする受講生はあらかじめ申し出ること。 5
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