3月号(PDF:11.2MB)

一般社団法人 海外建設協会
2&3
Feb. & Mar. 2013
Vol.37 / No.2 & 3
特集
視点
2013年 海外市場の動向と見通し
2013年の海外建設活動について
2&3
特集
2013年 海外市場の動向と見通し
01 02 05 08 11 14 17 21 24 27 30 33 36 40 43 【視点】2013年の海外建設活動について
小林 高明[国土交通省]
〈韓国〉
曽我部 成基[フジタ]
[中建
大成建築有限責任公司]
〈中国〉
和泉 信義
渡邊 哲夫[TSUCHIYA HONG KONG CORPORATION] 〈香港〉
〈台湾〉
中島 健一[鹿島建設]
〈マレーシア〉
水谷 章[大成建設]
[大林組]
〈シンガポール〉
長谷川 仁
〈フィリピン〉
直井 賢亘[竹中工務店]
[三井住友建設イ
ン
ド社]
〈インド〉
池尻 茂樹
〈トルコ〉
森脇 義則[間組]
[東亜建設工業]
〈ドバイ〉
宮脇 清
〈ケニア〉
山下 高司[鴻池組]
〈英国〉
清水 邦保[ヨーロッパ竹中]
[
]
Kajima
U.S.A.
〈米国〉
吉田 幸司
〈ブラジル〉
山田 哲也[ブラジル戸田建設]
46 海外受注実績
48 主要会議・行事
48 編集後記
特集
2013年 海外市場の動向と見通し
【視点】
2013年の海外建設活動について
小林 高明
国土交通省大臣官房参事官
(建設業国際展開)
海外展開はわが国建設企業にとって重要な戦略のひとつです。言うまでもなく、情報収集、契約・リス
ク管理、現地人材の育成・確保などの強化が重要であると考えています。国土交通省では、本年も貴協会
や各企業と連携し、さまざまな取り組みを実施しています。当省ホームページでは、それらの取り組みを
はじめとして海外展開に関する最近の動きについて紹介しています。
(http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_mn1_000003.html)
本年(2013 年)2 月には、都内において日・カタールインフラセミナー、日・モンゴル建設投資セミナー
を開催しました。カタールとのセミナーでは、両国関係者 180 名が出席し、カタールにおける 2022 年
FIFA ワールドカップ開催に向けたインフラ整備計画、わが国建設企業のスタジアムや鉄道整備に係る技
術などについて意見交換を行いました。モンゴルとのセミナーでは、両国関係者 170 名が出席し、日本の
耐震建築の普及対策やモンゴル国における都市開発、インフラ整備の現状と今後の計画などについて意見
交換を実施したほか、ビジネスマッチングも実施されました。両セミナーとも数多くの関係者にご出席い
ただき大盛況に終わると共に、両国にとってたいへんよい機会になったのではないかと思います。
また、国土交通大臣と在外公館に駐在している大使との意見交換会およびインフラ関連企業幹部を招い
ての懇談会が開催され、各国大使館との連携の重要性などにつき活発な意見交換が行われました。なお、
在外公館を通じて収集した建設産業に係る情報を当省ホームページに掲載する取り組みも始めています。
(http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_mn1_000005.html)
2 月末から 3 月上旬にかけては、会員企業 13 社にも参加していただき、今後の急速な経済成長と投資の
増加が見込まれるミャンマーに調査団を派遣しました。中央政府や地方政府などを精力的に訪問し意見交
換を行うなど、わが国建設企業の進出促進と今後の両国の関係強化に向けての一歩を踏み出しました。
同じく 3 月上旬には、ベトナム建設人材育成方策を中心に両国間の協力関係の構築を目的とした日・ベ
トナム建設会議(第 4 回)を開催しました。本会議では、両国の建設関連制度の紹介や両国で設立された人
材育成に関する民間協議会間の覚書の調印式などが実施されるなど、有意義な成果をあげました。
他国企業との競争に打ち勝ち、さらに海外での受注を伸ばしていくためには、早期段階からの案件形成
に取り組むと共に、国土交通省と関係機関が連携して、受注獲得に向けた環境を整備していく必要がある
と考えております。高い技術力と知見のもと、日の丸を背負い積極的に海外市場へと進出している建設企
業の皆様の努力を支援すべく、上述のほかにもさまざまな施策を積極的に実施し、皆様を支援してまいり
たいと考えておりますので、引き続き、ご尽力とご協力をよろしくお願い申し上げます。
2013 02–03
01
特集
韓国
曽我部 成基[(株)フジタ 国際事業部 ソウル事務所長]/ソウル支部
韓国建設産業研究院から 2012 年 11 月 7 日公開
回復速度が 2012 年に入って鈍化し、2013 年度には
された「韓国の 2013 年の建設景気展望」を中心に、
対内外経済の不確実性の影響で前年対比 2.9%減少
韓国の 2013 年建設市場の動向と見通しについてご
する見通しです。
紹介します。
(2)工事別
1. 2013年韓国経済の展望について
❶土木工事
土木受注は小幅で増加します。ただし前 2 年間に
◆2013年経済成長率は2.8%の予想
2013 年世界経済成長率は 3.4%とし、これに対す
増加を見せた民間プラント発注量が対内外経済の不
る韓国経済の成長率は上半期 1.9%、下半期:3.5%
確実性の影響で減少するため、全体的には前年度対
で年間 2.8%の成長が見込まれます(韓国銀行 2013 年 1
比 0.8%増加に留まる予定です。
月発表資料より)
。
❷住居建築工事
首都圏の住宅工事受注が着工延期の影響があるも
のの、小幅で増加する予定です。さらに地方の住宅
2. 2013年建設市場について
2013 年 国内 建 設受 注は 2012 年 対 比 ▲ 0.8% で
110 兆ウォンを記録する見込みです。
受注および都市型生活用住宅*2 受注の減少が予想
されるため、全体的には去年対比 0.8%程度の増加
に留まる予定です。
(1)発注部門別
❸非住居建築工事
対内外経済の不確実性が続く影響で民間非住居建
❶公共工事
公共受注は政府の SOC*1 予算の増加、公共部
築受注の減少が予想されます。公共事業は地方移転
門の大型工事発注の一部回復により、2012 年対比
の公共機関新庁舎および軍施設の発注が続きます
3.7%増加する予想です。
が、当該工事全体では去年と対比すると発注量が伸
❷民間工事
び悩み、去年対比 4.7%減少する見通しです。
グローバル金融危機以後、2010 年∼ 11 年の早い
(単位:兆ウォン)
韓国国内における建設受注額の推移
区分
発注別
工事種別
2009年
2010年
2013年(予想)
公共工事
58.5
38.2
36.6
35.0
36.3
民間工事
60.2
65.0
74.1
76.2
74.0
土木工事
54.1
41.4
38.8
39.3
39.6
建築工事
64.6
61.8
71.9
71.9
70.7
39.1
31.6
38.7
39.8
40.1
住宅
非住宅
全体受注実績および予想額
25.5
30.2
33.2
32.1
30.6
118.7
103.2
110.7
111.2
110.3
資料:大韓建設協会、注)2012年以後は韓国建設産業研究院展望
02
2012年(見通し)
2011年
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
(3)
2013年国内建設受注および建設投資変動要因と波及効果
区分
主要変動要因
波及効果
政府のSOC
予算編成結果
(8,300億ウォン)増加
・2013年政府SOC予算(案)は前年比3.6%
地方自治体/公共企業
投資案件
・地方自治体および公共企業の場合財政悪化により投資案件は悲観的
−2009年から連続して地方政府財政自立度の下落
−資産規模2兆ウォン以上の41公共団体で負債増加
公共大型工事発注
民間住宅供給案件変化
・2012年大型工事入札方法審議件数の回復
−審議件数は去年対比で180%増加
−次の段階として公共大型工事発注が予想される
・2013年民間部門の首都圏新規住宅供給案件には積極的・消極的な要因が混
在される
−積極的:新規アパート供給量が3年連続減少勢い
−消極的:未販売アパートは相変わらず滞積、所得対比の高い住宅価格
・2013年 民間部門の地方住宅供給案件の悪化が予想される
−過去2年間で供給量急増により2013年 アパート供給量が再増加
公共住宅
供給
・2013年 ボグンザリ住宅 を2012年実績と同じ15万戸を供給する方針
−販売住宅は減少、賃貸住宅は供給増加
対内外経済
不確実性続く
・2013年 対内外経済の不確実性が続き、国内経済3%台程度の成長が続く
−2011年∼12年上半期に回復した民間部門の受注と投資に消極的な影響あり
→政府SOC予算増加により
2013年 公共土木投資は多
少良好
→2013年 公共大型工事発注
は一部回復
→2013年 住宅受注前年対比
小幅増加
→2012年 着工した戸数の出
来高進 により小幅な増加
に回復
→2013年 公共住宅受注は小
幅な増加が予想される
*3
→民間非住居建 築受注減 少
予想
(韓国海外建設協会の海
2012 年の実績をご紹介します。
3. 韓国系建設会社の海外受注 2012年実績
最後に、
韓国系建設会社の海外工事受注について、
外建設総合情報サービスより)
(1)
2009∼12年受注実績
(地域別)
区分
中東
(単位:百万ドル)
アジア
太平洋・北米
中南米
アフリカ
欧州
その他
計
2009年実績
35,746
10,909
97
717
1,209
470
̶
2010年実績
47,249
18,076
1,336
2,067
2,447
398
̶
71,573
2011年実績
29,541
19,413
950
6,643
2,208
377
̶
59,132
2012年実績
36,872
19,439
226
6,194
1,615
534
̶
64,880
49,148
(2)
2012年国家別受注実績
区分
サウジアラビア
2012年実績
16,167
(単位:百万ドル)
イラク
カザフスタン
9,636
ベトナム
4,161
シンガポール
3,417
3,345
UAE
2,958
その他
(3)
2009∼12年工種別受注実績
区分
土木
2009年実績
5,746
2010年実績
2011年実績
2012年実績
計
25,196
64,880
(単位:百万ドル)
建築
プラント
6,273
35,692
3,993
7,710
5,757
7,933
8,599
14,323
電気
通信
設計ほか
その他
計
661
̶
458
1,216
̶
71,573
61
1,108
̶
59,132
74
818
756
20
57,426
770
43,205
1,068
39,549
1,517
49,148
64,880
2013 2–3
03
(4)
2012年主要会社別受注実績
区分
現代建設
2012年実績
(単位:百万ドル)
三星ENG
10,526
韓火建設
10,502
GS建設
8,408
Posco建設
4,477
大宇建設
4,412
3,818
その他
計
22,737
64,880
2012年海外工事受注推移
億ドル
800
716
2012 年
620 件
649 億ドル
649
700
591
476
491
400
契約件数
300
300
200
*1
*2
04
200
165
140
100
0
700
500
398
400
800
600
600
500
件
92
41
54
44
61
2000
2001
2002
75
37
109
100
0
1997
1998
1999
SOC 2003
2004
社会共通資本(social overhead capital )の略称としてインフ
ラストラクチャー
(学校、病院、道路、港湾、工業用地、公営住宅、
橋梁、鉄道路線、バス路線、上水道、下水道、電気、ガス、電話)
を表す。
都市型生活用住宅
庶民および1∼2人家族の住居安定供給のため、2009年5月か
ら施行した住居形態として団地型連立住宅とワンルーム型の2
種類があります。国民住宅(面積85m2以下)規模の300世帯未
満として構成される集合住宅。
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
2005
*3
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
ボグンザリ住宅
政府が住宅を所有しない庶民のために公共機関が直接供給す
る住宅。
2009年から2018年まで中小型分譲住宅70万戸と賃貸住宅80
万戸など総150万戸を供給する。
特集
中国
和泉 信義[中建-大成建築有限責任公司 総経理助理]/北京支部・上海支部
市化の推進」が確認され、スマートシティ、エコシ
1. 中国経済動向
2013 年 1 月 18 日に発表の 2012 年の GDP 成長率
ティ、低炭素型のような質の高い快適な都市環境整
は欧州向け輸出の低迷、一昨年(2011 年)来の不動
備が主要任務のひとつに追加され、今後、新たな商
産抑制策の影響により 7.8%と、アジア通貨危機直
機をもたらすことが期待できる。
後の 99 年の 7.6%以来 8%を下回った(図 1)。
さらに、2012 年 11 月に開催された第 18 回共産
一方、2013 年の中国 GDP 成長率は、都市部可処
党大会では、2020 年の GDP および、国民ひとり当
分所得、農村部純収入の増加を背景に依然消費が堅
たり所得を対 2010 年比で倍増させるとの目標が打
調であること、また、2012 年後半において米国向け、
ち出された。この目標達成のためには、
今後年率 7%
ASEAN 諸国向けの輸出に回復基調が見られる一方
程度の成長達成が必要である。今後、昨年 11 月に
で、財政規律問題を背景にリーマン・ショック後に
共産党総書記に就任、また今年 3 月に国家主席に就
実施されたような大型の景気刺激策実施は困難であ
任した習近平氏の下で、財政・金融面での難しい舵
り、政府としても成長速度より成長の質を重視する
取りが行われていく予定である。
政策への転換が図られている。そのため、2010 年
第 1 四半期(12.1%)以降続いた景気減速は底打ちす
2. 中国の景気対策の効果
るものの、8%程度の緩やかな回復に留まるものと
近年、中央政府により景気対策として以下のよう
思われる。
な対策が取られた。
また、2012 年 12 月に開催された「中央経済工作
1)公共投資拡大
2013 年の中国の経済方針として「都
会議」において、
2)企業の投資プロジェクト承認加速
図1|中国の実質GDP成長率
%
GDP 成長率
外需
投資
消費
12.00
10.00
8.00
6.00
4.00
2.00
0.00
-2.00
-4.00
-6.00
2008
2009
2010
2011
2012
年
2013 2–3
05
3)政策金利の引き下げ
が、毎年人件費は高騰し続け、出稼ぎ労働者(農民
4)省エネ家電補助金による消費刺激策
工)の平均給与は約 10 年間で約 4 倍となった上、若
5)中小都市における不動産市場抑制緩和
年層労働者減少が顕著になりつつあり、生産体制の
見直しを迫られるなど、
楽観視できない状況にある。
これらの政策は、中国全体の構造のバランス調整
を図り、リーマン・ショック以降、先進諸国経済が
また、日本でも大きく報道されている通り、中国
大きく混乱する中、大きな景気減速に歯止めをかけ
では深刻な大気汚染が顕在化している。先日、北京
るかたちとなり、即効性がある対策であったことが
市では当局が 120 社以上のメーカーに対して稼働停
証明された。また製造業においては、在庫調整に取
止や減産を命じ、360 カ所以上の建設工事を中止さ
り組んだ結果、生産の抑制はあったものの企業の生
せ、日本や韓国企業も対象となっている。中国環
産体質が見直され今後の生産体制があるべき姿に
境保護省の発表によると、2013 年 1 月に発生した
なってきたとの見方もあるようだ。
PM2.5 という有害な微粒子を含む濃霧は国土の 4
分の 1 に拡がり、6 億人の生活に影響したとのこと
3. カントリーリスクの再認識
であり、中国における新たなリスクとして、進出す
中国では、過去においては外資導入による成長モ
る企業にとっても悩みの種である。最近では、新鮮
デルが実現されてきたが、外資企業に対する優遇政
な空気を缶詰で売るという商品がヒットするなど想
策は、年々減り続け、国全体の法整備が進む中、外
像しがたい事態となっている。近年、建設における
資に対する規制は逆に増え続け、会社経営を圧迫す
環境評価や危険品を扱う企業に対しての許可制度も
る結果となっている。また、法律の改定・制度変更
ますます厳しくなり始めており、これ以上深刻な汚
のスピードは他国に比べ群を抜いた速さで進んでお
染が続けば、中国が目指す国内経済の成長に影響す
り、広大な国土を有する国ゆえ、中央政府が出す通
る可能性は大いに出てくることは否定できない。
知に加え、地域ごとにさらなる細則がつくられ、進
出する企業は対応に大きな負担を強いられる状況は
4. 新たなビジネスモデルの模索
深刻化している。地域ごとに対応が異なり手続きも
ただ、上述したようなリスクだけに焦点をあて、
許可期間も長くなり複雑化している上、その追い打
その動向を追いかけているだけでは、会社の意思決
ちをかけるかのように、2012 年秋以降の日中関係
定における判断として偏りがあると言わざるを得な
の悪化は在中国の日系企業に大きな影響をもたら
い。これらのリスクは決して中国だけに存在する問
し、改めてカントリーリスクを再認識した年となっ
題ではなく、また突如出てきた問題ではないという
たと言える。
ことを日系現地法人の経営者はよく知っている。む
しろ、これまでまかり通ってきた曖昧な対応方法が
建設業においても、特に外資建設企業にとって、
明確化されることは、外資にとっては、以前よりは
経営課題は日々山積している。
中国が WTO 加盟後、
中国企業との競争性を優位にさせる面も出てくると
建設生産高は正に右肩上がり成長を顕著に記した
いう点で望ましい傾向ではないかと考える。
06
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
昨年(2012 年)11 月、日中韓自由貿易協定(FTA)の
5. 終わりに
交渉が宣言された。中国の消費が拡大を続けるのは
中国は今後、高齢化社会の到来、環境問題の深刻
必至であり、今後貿易投資面での障壁が撤廃されれ
化など、過去に日本がたどってきた道を歩もうとし
ば、大きな市場が開放されるという期待は大きい。
ており、それゆえ、高い技術力と同じ経験を共有す
さらに、中国政府は全国で都市化を加速するための
る日本が解決に向けて果たす役割は大きいと言える
計画を進めており、交通や通信、電気・上下水道、
のではないかと考える。われわれ建設業も、単なる
ごみ処理、医療・教育・文化・スポーツ施設などの
受注産業としてではなく、新たな時代、環境に即し
インフラを整備し、公共サービスのレベルを高める
たビジネスモデルの提案によりチャンスを見出して
動きが始まっている。国家発展改革委員会は今後 10
いく工夫が必要となってくると思われる。
年で約 40 兆元(約 562 兆円)の投資がもたらされると
の予測をしており、2013 年 3 月に開かれる全国人民
そして、中国との経済関係を深めていくことは、
代表大会(全人代)前後に具体的計画の発表が行われ
日本の産業空洞化問題などを解決していくことにも
る見通しである。これには、不動産デベロッパー以
通じると再度認識してもらった上で、日本政府にも
外にも、建機、電気設備、省エネ化による太陽電池
支援していただき、われわれ建設業界が今こそ官民
業界、新エネルギー産業の需要が高まるとの期待が
一体となってよりよい事業環境を創造できるような
高まっており、
各社準備が始まっているようである。
一年としていきたい。
2013 2–3
07
特集
香港
渡邊 哲夫[TSUCHIYA HONG KONG CORPORATION 支店長]/香港支部
現在、香港建設市場は、政府の積極的公共投資
プロジェクト(図 2)がいよいよ本格的に実現するこ
に加え、不動産を中心とした民間投資により空前
ととなり、
堅調な伸びを見せている(表 1)。その中で、
の建設ラッシュとなっている。その現状を踏まえ、
2010 年、2011 年に着工した、MTR 広州−深圳−
2013 年以降の香港建設市場の見通しについて記載
香港高速鉄道、MTR 南港島線、カイタック空港跡
する。
地開発、香港−珠海−マカオ大橋などの施工が本格
化し、さらにこれらのプロジェクト以外の MTR 西
1. 2012年∼2013年の香港経済事情
欧州財務危機に端を発した経済低迷も、2012 年
1∼ 3 月期を底に上向き、12 年 7 月∼ 9 月期の実質
GDP 成長率は、前年同期比 +1.3% を記録した(図 1)。
港島線、クントン線の施工も始まったことから、ま
すます活況を呈している。
同時期に多くの工事が発注されたことを背景に、
建設コストは上昇し続けている(表 2、3)。
2013 年の実質 GDP 成長率は、アメリカ経済の回
急激な工事量の増大に伴い、技術者や職人の人材
復基調の継続と、中国経済の持ち直しにより、エコ
不足が深刻化し、人件費の高騰が大きな問題となっ
ノミストの多くが前年比 3%を超える成長を予想し
ている。政府は、2012 年度予算の中で将来のイン
ている。輸出も回復しつつあり、企業の設備投資支
フラ開発を担う新しい人材を育成するため、建設評
出は拡大傾向にある。
議会に 2 億 2,000 万香港ドルを拠出した。
建設業の慢性的な人材不足は、香港建設業界全体
の大きな課題になっている。
2. 2012年の香港建設回顧
建設投資は、2007 年 10 月に政府が雇用創出と景
気浮揚を目標として発表し、2015 年までに総工費
2,500 億香港ドル(約 3 兆円)を見込む「10 大インフラ」
図1|実質GDP成長率(前年同期比)
実質 GDP 成長率
個人消費
(%)
総固定資本形成
25
政府消費
財輸出
20
15
10
5
0
▲5
▲10
▲15
2010/Ⅰ
2011/Ⅰ
資料:香港政府統計処
08
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
2012/Ⅰ (年/期)
図2|香港10大インフラプロジェクト
どが挙げられ、長期的には元朗南や粉嶺・上水など
3. 2013年の展望
2012 年 7 月 1 日に発足した C. Y. リョン(梁振英)政
権は、
住宅問題の解決を現政権の最優先の課題とし、
も計画している。これに伴う、土地造成、道路建設、
水道敷設工事も盛んに行われている。
5 年間で政府機関の用地、緑地帯、工業用地を公営
2012 年∼ 2013 年の公共投資額は 623 億香港ドル
住宅用地に充てる考えを表明した。今後、土地供給
であった。今年度も C. Y. リョン政権における投資
を進める地域として、中期的に新界・錦田南、九龍
政策は継続しており、数年にわたり 700 億香港ドル
東・アンダーソンロード採石場、旧ラマ島採石場な
を超えると予測されている。公共投資は継続して、
表1|香港建設投資額推移
Year
(単位:百万香港ドル)
Quarter
Total
1st
2nd
3rd
4th
2010
年平均
1st
2nd
3rd
4th
2011
年平均
2012
1st
2nd *
3rd **
年平均
12,860
16,213
16,011
16,439
61,523
17,409
17,721
20,006
22,076
77,212
24,377
24,283
24,263
72,923
Analysis by Sector
Public
Private
6,511
6,349
6,937
9,276
8,651
7,360
9,117
7,322
31,216
30,307
9,880
7,529
9,263
8,458
10,814
9,192
12,314
9,942
42,271
35,121
13,168
11,209
12,023
12,260
12,291
11,972
37,482
35,441
Analysis by Project
Building他
Civil Eng
9,212
3,649
12,309
3,903
10,764
5,247
11,671
4,768
43,956
17,567
11,457
5,951
12,328
5,394
12,428
7,578
13,901
8,175
50,114
27,098
14,722
9,656
15,651
8,632
14,905
9,359
45,278
27,647
出典:Hong Kong SAR Development Bureau
Gross Value of Construction Work performed by Main Contractors at
Construction Site, analysed by Sector or by Project Type
* Revised figures
** Provisional figures
表2|建設工事金額指数
Year
2010
表3|建設工事の入札金額指数
Quarter
CEWI
1st
2nd
3rd
4th
年平均
2011
1st
2nd
3rd
4th
年平均
Year
471.2
482.4
481.2
487.5
480.6
506.2
522.8
532.5
538.9
525.1
2010
BWTPI
1st
2nd
3rd
4th
1,134
1,161
1,249
1,266
1,202.50
1,273
1,320
1,369
1,408
1,342.50
1,414
1,438
1,467
1,439.72
年平均
2011
1st
2nd
3rd
4th
年平均
出典:Hong Kong SAR Development Bureau
Civil Engineering and Development Department
CEWI = Civil Engineering Works Index
1980年 = 100
Quarter
2012
1st
2nd
3rd
年平均
出典:Hong Kong SAR Development Bureau
BWTPI = Building Works Tender Price Index
1970年 = 100
2013 2–3
09
現行の 10 大インフラプロジェクトの施工のほか、
よると、香港鉄道公司(MTRC)は、総額 280 億香港
リャンタン−ヘンユン国境管理施設、MTR 沙田−
ドルに上る 3 つの鉄道整備計画に参入を検討してお
中環線、ワンチャイ−セントラルバイパスの本格施
り、路政署は、総工費 281 億香港ドルを投入して、
工へ充てられるが、大型工事のみならず、市民生活
香港島北側海岸沿いのワンチャイ−セントラルバイ
向上のために学校、
病院、
図書館、
スポーツセンター、
パスと香港島東区走廊(イースタンコリドー)を結ぶ接
プール、コミュニティホールなどの建設も引き続き
続道路の建設を進めている。そのほか、政府主導の
進められる計画である。
ビクトリア湾浄化計画は、総工費 130 億香港ドルの
2013 年も、香港建設市場は堅調に推移するもの
と見られる。
第 2 期工事を 2009 年に開始しており、2014 年完工
予定である。また、香港国際空港(チェクラプコク空港)
の第 3 滑走路建設計画は、総工費 1,362 億香港ドル
4. まとめ−今後の香港建設市場について
が見込まれ、2014 年中の入札予定である。
2012 年 10 月に政府が発表した、住宅投機抑制を
このような民間投資の増大・公共投資政策の継続
目的とした購入者印紙税(BSD)は、不動産市場の沈
により、ここ数年の香港建設市場は、堅調に推移す
静化に寄与する反面、不動産関連投資の減少や消費
るであろうと予想される。
マインドの落ち込みをもたらしかねないとの懸念が
あったものの、実際の住宅価格は上昇しており 12
月に 0.4% アップするなど 2012 年は全体的に上が
り続けた。今後もアパートや商業施設を含めた民間
開発投資は底堅く継続すると予想される。
香港建設市場は、10 大インフラプロジェクトに
加え、今後数年でさらなるインフラ事業の着工が期
待されている。その動きとして、立法会の資料に
10
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
(参考文献)
・ 2013年1月3日香港大学発表による−HKU Announced
2013 Q1 HK Macroeconomic Forecast
・ 香港政府統計処
・ 香港商工会議所2012年香港経済の回顧と展望
・ 2012年12月21日サウスチャイナ・モーニングポスト誌
特集
台湾
中島 健一[鹿島建設(株)台湾統括営業所長]/台北支部
1. 経済情勢
台湾はアジア四小龍(韓国、香港、シンガポール、台湾)
間投資から 1.2 兆台湾ドルの資金調達を予定してい
る。昨年 2 期目に再選された馬政権が発表している
の一角として電子情報産業、家電産業を中核に経済
国家発展計画(2013 年∼ 2015 年) における建設計画
成長を続けてきた。しかし昨年(2012 年)は、2010
もこの 愛台湾 12 建設 の継続を基本としている。
年の実質 GDP 成長率 10.8% から 2011 年の 4.0%、
台湾の建設投資の特徴は、民間投資をより活用し
さらなる輸出不振や投資の冷え込みなどから 2012
た財源の多様化にある。そのため、政府は民間投資
年の 1.1% まで低下し、過去 2 年間の経済成長の減
を呼び込みやすい税制上の優遇措置や資金調達モデ
速はアジア四小龍の中でも最大幅となった。雇用動
ルを導入している。ここ数年は政府および民間を併
向も、昨年 12 月の政府発表によると昨年 11 月時点
せ毎年 6,000 億台湾ドル前後の建設投資が行われて
の失業率は 4.3% であり前月よりも改善はしている
いるが、その約 1/3 が民間投資に依存している。政
ものの、韓国の 3.0%、香港の 3.4%、シンガポール
府建設予算に基づく公共工事は台湾公共工程委員会
の 2.8% の中では最大の数値となっている。
が管轄しており、昨年 2012 年の予算総額は 3,597
一方、民間投資の呼び込みを目的とした規制緩和
により、昨年の台湾における民間の新規投資総額は
億台湾ドルであった。昨年に発注された上位 10 大
公共工事を以下に示す。
前年比 13% 増の 1 兆 1,078 億台湾ドルとなり、政府
目標の 1 兆 1,000 億台湾ドルを上回った。そのうち
❶台湾電力 大林火力発電所増設工事 電子情報産業の新規投資額は 4,560 億台湾ドルに達
565.2 億台湾ドル IHI グループ受注
し、同業界を中心に台湾経済回復の兆しも見え始め
❷交通部 高雄港コンテナヤード第 2 期工事 ている。今後、昨年 1 月に再選された国民党・馬英
87.6 億台湾ドル 中華工程受注
九政権が進める大陸中国との両岸経済交流政策に基
❸台湾電力 林口火力発電所燃料サイロ工事
づき、いっそうの規制緩和により中国企業の対外直
65.0 億台湾ドル 工信工程受注
接投資を呼び込もうとしている。本年は多くの政府
❹台湾電力 大林火力発電所燃料サイロ工事 と民間経済調査機関が 2013 年の実質 GDP 成長率
51.4 億台湾ドル 栄工工程受注
を 3% 台と予想しており、台湾経済の減速傾向は底
❺金門県 金門大橋工事 を打った観がある。
65.6 億台湾ドル 樺棋営造受注(解約訴訟中)
❻台中市 台中 MRT 操車場・軌道工事 2. 2013年建設市場の動向
2009 年以降台湾の大規模な建設投資は、2008 年
53.7 億台湾ドル 大陸工程受注
❼台湾電力 通霄火力発電所海底取排水路工事 3 月台湾総統に当選した馬政権が掲げる 愛台湾 12
49.9 億台湾ドル 宏華営造受注
建設(2009 年∼ 2016 年) 計画に基づいて進められてい
❽台北市 台北地下鉄環状線 CF660B 工区 る。この計画では台湾全島を網羅する交通網整備な
42.6 億台湾ドル 遠揚営造受注
どの 12 建設に総額 3.99 兆台湾ドルの投資が行われ
❾台湾電力 松湖∼大安電力シールド工事 ており、政府予算から 2.79 兆台湾ドル、残りを民
36.2 億台湾ドル 鹿島・大陸工程受注
2013 2–3
11
❿交通部 蘇花公路東澳トンネル工事 70.0 億台湾ドル
40.2 億台湾ドル 福清営造受注
❽交通部公路 南廻公路安朔∼草埔トンネル工事
66.0 億台湾ドル
昨年も 愛台湾 12 建設 に基づく交通網整備関連
❾交通部鉄路 高雄鉄道地下化正義路トンネル工事
の工事発注があったが、それとは別に注目すべき点
54.5 億台湾ドル
は、原子力の代替電力に関する大型工事が台湾電力
❿経済部水利 曾文ダム排砂トンネル工事 を中心に数多く発注されたことである。これは一昨
42.8 億台湾ドル
年(2011 年)東日本大震災時の福島原子力発電所災
害を背景に、いまだ台湾北部に位置する新設の龍門
昨年で台湾電力の大型発電所関連の工事発注が一
原子力発電所 4 号機が稼動していないなど、台湾に
段落し、本年はこれらに代わって台北市政府発注の
おける電力政策の大きな転換が原因している。な
地下鉄関連など各地の交通施設に関する工事を中心
お、昨年に入札が実施された台湾電力の通霄火力発
に発注予算が配分されている。しかし、計画の遅れ
電所増設工事は諸事情により落札者が決定されてお
や用地買収の難航が伝えられる案件もあり、今後注
らず、発注時期がずれ込んでいるため、金額として
意しながら建設市場の動向を見ていく必要がある。
は上記の 2 番目に入る工事であるが、今回のリスト
から除外している。
3. 台湾における社会資本整備の展望
一方、本年 2013 年の予算総額は 3,791 億台湾ド
前述したように昨年の民間投資は前年比 13% 増
ルであり、発注予定の上位 10 大公共工事は以下の
となり、台北市、新北市、新竹市、台中市など台湾
通りである。
中・北部の都市部や産業振興地域である科学工業園
区において電子情報産業施設、オフィスビル、マン
❶台北市政府 台北地下鉄萬大線工事(複数工区) 923.0 億台湾ドル
ションなどに建設需要が回復してきている。
しかし、
世界的な景気動向が不透明な状況の中、これまでと
❷台北市政府 台北地下鉄信義線延長線工事 同様の建設需要が続くことには否定的な見方が多い
120.0 億台湾ドル
のも事実である。
❸台中市政府 台中 MRTCJ920 工区 一方、急峻な地形を持つ台湾も日本同様、自然災
103.6 億台湾ドル
害に対しては今後も十分な備えが必要であることは
❹台北市政府 台北地下鉄環状線 CF660A 工区 共通の認識だと考える。台湾の自然災害の代表は
90.0 億台湾ドル
何と言っても台風・豪雨による洪水・土石流被害
❺中央研究院 国家生技研究園区建設工事 と地震被害であり、特に台風や豪雨によって毎年
87.4 億台湾ドル
発生する洪水・土石流被害は甚大で深刻な問題と
❻金門県政府 金門大橋工事 なっている。たとえば 2009 年 8 月 6 日から 9 日にか
71.5 億台湾ドル(再入札)
けて 3,000mm 近い総降雨量をもたらした台風 8 号
❼交通部鉄路 空港延伸線 CM01 工区 は、各地で土石流・地すべりを発生させ、高雄縣小
12
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
林村を一瞬のうちに飲み込み、500 名もの命を奪う
といった被害を発生させた。急峻な地形と豪雨に相
な発注が期待される。
経済成長に伴い 1990 年代初頭から急速に推進さ
俟って、
台湾各地のダムの土砂堆積スピードが速く、
れてきた台湾の社会資本整備だが、2009 年、2010
治水上ダム機能の問題が深刻になってきており、本
年の出生率がわずか 1.03、0.895 でしかない台湾に
年発注予定の曾文ダム排砂トンネル工事は対策の一
おいて、近い将来公共投資計画にも変化が出てくる
環である。今後も石門ダム、南化ダムなどで同様の
ことは必然的であるが、その動向を注意深く見守っ
排砂トンネルやリハビリテーション工事が計画され
ていきたい。
ており、自然災害対策の社会資本整備は今後継続的
2013 2–3
13
マレーシア
特集
水谷 章[大成建設(株)クアラルンプール営業所 営業所長]/クアラルンプール支部
レーシア人の方に聞いても、選挙結果は判らないと
1. マレーシアの政治・経済の現況
昨年にも、会報で いよいよ総選挙 と書きまし
の回答がほとんどです。
たが、いまだに総選挙が公示にならないマレーシア
です。原因は内政上のいろいろな問題が発生して、
経済状況は、図 1、図 2、表をご参照下さい。経
総選挙を先送りしたことに尽きます。しかし、5 月
済成長率は、2012 年第 3 四半期が 5.2%、消費者物
には議員任期の 5 年になり、自動的に議員が失職し
価上昇率は 1.2%と、失業率 2.9%、経済成長と物
ますので、どうしても 3 月中旬までに総選挙を実施
価を上手くコントロールしています。中央銀行の貸
する必要があります。3 年半前の日本と同じで、妙
し出し金利は、引き続き 3.0%に据え置かれていま
な期待感が与野党逆転に漂っているのが現状で、マ
す。景気の状況、消費者物価動向を見ながら、3.5%
まで貸し出し金利を上げるとの情報もあります。ア
クセル、ブレーキどちらにも舵を切れる状況にあ
図1|GDP成長率(%)
10
ります。2008 年のリーマン・ショック後にマレー
7.90
8
6
6.80 6.23
5.03 5.20
4
1.30 1.25 1.50
2
シア政府は、2 度にわたり景気浮揚策を実施した結
5.30
3.10 3.00
年 39.8% から現在 55% まで拡大しています。さま
1.10
ざまな報道がありますが、2013 年の GDP は、4%
0
-2
半ばから 5% 強までの間と報道されています。外需
インド
インドネシア
フィリピン
シンガポール
マレーシア
ベトナム
タイ
豪州
韓国
台湾
香港
中国
日本
-4 ▲3.50
-6
統計月:7∼9/2012。
10∼12/2012:中国、
韓国、
フィリピン、
シンガポール。
1∼12/2012:台湾、
ベトナム、
インドネシア。
図2|消費者物価上昇率(%)
12
10.56
10
8
2.50
2
3.70
1.61 1.40
2.20
4.30
3.40
4.57
表|東南アジア・インド
マレーシア
シンガポール
外貨準備高
(億米ドル)
1,816.00
タイ
150.00
1,400.00
2,593.07
842.48
インド
インドネシア
フィリピン
シンガポール
マレーシア
ベトナム
タイ
豪州
韓国
台湾
香港
中国
日本
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
インドネシア
インド
1,127.81 2,957.50
12/2012
12/2011
1/2012
12/2012
12/2012
12/2012
1/2013
179.55
101.00
586.70
311.13
35.50
154.07
248.80
貿易輸入
176.72
99.00
493.90
294.74
51.35
155.62
425.50
2.83
▲2.00
92.80
16.39
▲15.85
▲1.55
▲176.70
億米ドル
億米ドル
億リンギ
億米ドル
億米ドル
億米ドル
億米ドル
12/2012
1/2013
11/2012
12/2012
11/2012
12/2012
12/2012
3.25
2.90
1.80
6.80
6.14
−
1/2012
12/2012
10/2012
8/2012
−
統計月
▲0.20
フィ
リピン
統計月日
失業率(%)
1.20
ベトナム
貿易輸出
統計月
3.00
統計月:12/2012。
1/2013:ベトナム、
フィリピン、
インドネシア。
10∼12/2012:豪州。
14
間投資、金融機関の融資事業、建設セクターが経済
単位
4
-2
に頼れず、内需主導での経済運営で、個人消費、民
収支
7.07
6
0
果、公的債務は対国内総生産(GNP)に対して 2008
海外直接投資
受け入れ
単位
前年同月・
期比(%)
統計月(年)
0.39
11/2012
12/2012
(都市部)
9.68
28.2
61.00
5,297.98
177.34
221.00
10.58
億米ドル
億米ドル
億リンギ
億米ドル
億ペソ
兆ルピア
億米ドル
▲5.54
74.00
−
−
▲36.66
26.00
−
11/2012
1/2013
4∼6
/2012
2011年
7∼9/
2012
1∼12/
2012
11/2012
通年
を牽引する大きな役割を担っています。
最新のマレーシア建設産業開発局(CIDB)の発表
によれば、2012 年総受注額は、1,200 億リンギッ
2. 建設市場動向
建設セクターの GDP 成長率の推移(前年同期比%)
は以下の通りです(マレーシア中央銀行資料)。
(3 兆 6,000 億円)で前年比 18% 増。予想値
ト(以下 RM)
950 億 RM(2 兆 8,500 億円)を大幅に上回りました。そ
して、今年の建設受注は 1,100 億 RM(3 兆 3 千億円)
2012 年 第 1 四半期 15.5% と予想されています。この主な理由は、政府の経済
2012 年 第 2 四半期 22.2%
改革プログラム(ETP)関連プロジェクトの一部が本
2012 年 第 3 四半期 18.3%
格化することから、昨年並みの受注額を予想してい
2012 年 第 4 四半期 未定
ます。
2012 年第 4 四半期の完成工事高は、約 6,700 億
円で、昨年同期比 27.2%増加。全体の 40.5%(2,700
3. 建設業法廷(Construction Court)
マ レ ー シ ア で も 旧 宗 主 国・ 英 国 に 倣 っ て、
億円)を占めた土木工事が牽引役となりました。政
Construction Court が設置されます。英国では
府の経済案件でインフラ需要が増加していることが
The Technology and Construction Court が 既 に
その主な原因です。非住宅建設(事務所、商業施設な
設置され機能しています。この法廷により建設関連
ど)が 28.6% で 1,900 億円、
住宅建設は 25.6%(1,700
の係争のスムーズな解決に繋がると期待されていま
億円)
、そのほかは 5.2%(330 億円)です。
す。マレーシアでは 2006 年から現在まで 600 件以
完成工事の請負別では、民間部門 68.8%、公共
上の建設関連係争が持ち上がっています。
部門 31.2% で、民間が拡大、公共工事が縮小との
傾向です。
4. 不動産市況は堅調
コンサルタントの統計によれば、2012 年の物件
完成工事高を州、連邦直轄領別に分けると下記の
3 州で全体 5 割を占めています。
購入などの不動産投資額は、74 億 RM(2,240 億円)規
模で、昨年と同水準を維持しました。内訳は、商業
セランゴール州
22.2%
施設 64%、事務所 36% となっています。事務所の
クアラルンプール州
15.3%
供給面積も拡大、商業施設の入居率は 10 月∼ 12 月
ジョホール州
13.1%
に 9 割を超え、好調を維持しました。余剰資金が、
不動産投資信託(REIT)購入に回り、国内経済の安
〈そのほかの州〉
定成長と共に、市場の追い風となっています。今年
サラワク州
9.1%
以降も、投資額は堅調と予想していますが、事務所
サバ州
8.0%
の供給過多になる可能性が予想されています。
ペナン州
6.3%
ペラ州
4.9%
直近の事務所供給量は、139,000m2 増え、空室
ネグリスンビラン州
3.8%
率 16% となり、前年同期より悪化しました。一等
2013 2–3
15
地の事務所賃料が 1feet/sq 6.13RM で 1.9% 下落、
説得力のある、正当な理由の開示が求められます。
クアラルンプールの最高級事務所賃料は 1 feet/sq
現在 55 歳定年を、5 年延長することになり、日系
7.76 RM で 1.8% 下落しました。コンドミニアムな
各社も社内規定の見直しなどが求められます。
どの個人向け住宅市場は、クレジットカードの使用
に関する新たな規制、総選挙の動向に関わる政策を
7. そのほか
注視するなどにより、動きの悪い状態が続いていま
旭川市と旭山動物園は、サバ州サンダカンで、現
す。しかし、高級コンドミニアムの資産価値は上昇
地 サバ野生動物局 SWD に協力して、ボルネオ
傾向にあります。
象を保護するレスキューセンター建設を行っていま
す。北海道新聞の記事をご参照下さい。
5. 最低賃金制度
昨年導入が決定され、今年 1 月に法律が施行され
た最低賃金制度では、マレー半島部 900RM、ボル
ネオ島 800RM となっています。外国人労働者にも
これが適用されます。外国人労働者は、最低賃金+
交通費+住宅+食事などなど各種手当てを受け取っ
ており、マレーシア国籍の労働者に比較して不公平
との批判が出ています。元もと 900RM より低い給
与の人を最低賃金まで上げ、それ以上もらっていた
労働者は、それ以上に賃上げしなければ不公平との
訴えもあり、選挙も近いことから、大きな政治を巻
き込んだ議論となっています。与党内部からも不満
が出ており、しばらく目の離せない攻防が続くと思
われます。
6. 60歳 定年制の施行
今年 7 月から定年年齢が 60 歳に延長されます。
適用申請の延期願いを提出することも可能ですが、
16
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
北海道新聞に掲載された記事
特集
シンガポール
長谷川 仁[(株)大林組 アジア統括事務所長(兼)シンガポール事務所長]/シンガポール支部
の平均成長率は 8%を超え、驚異的な経済成長を遂
1. 経済概況
2012 年 の シ ン ガ ポ ー ル の 実 質 GDP 成 長 率 は
げた。総人口は 2000 年から 2010 年の間に約 100 万
1.2%(速報値)となり、2012 年初めの政府予想の 1.5%
人増加したが、そのうち、外国人の増加数が 50 万
を下回る結果となった(表 1)。これは、欧州に端を
人(永住権を取得した外国人を除く)、永住権取得外国人を
発した世界経済の減速に伴い、外部需要が影響する
含めると 75 万人であり、外国人の増加が経済成長
製造業部門を中心に成長が伸び悩んだことによる。
に貢献したと言える(図 1)。その一方で、政府の試
2013 年も引き続き世界経済の停滞は続くものと見
算によると、2000 年から 2009 年の労働生産性上昇
られており、リー・シェンロン首相も新年訓示にお
その前の 10 年の 3.5%
率は年平均で 1.4%に留まり、
いて、2013 年の経済成長は 1∼ 3%程度と昨年以上
から大幅に低下した。それに加え、急激な外国人の
に弱含みするとの見解を示すと共に、今後予想され
増加により、交通や住宅などの生活インフラの拡大
る低成長の時代に対応するため、生産性重視の姿勢
が追いついておらず、国民からは生活の質の低下に
を改めて強調した。
対し不満が出ていた。
そうした状況から、2010 年に政府は外国人労働
2. 生産性向上による経済成長
シンガポールは人口規模が小さく、少子化が進展
者への依存を脱却するために、向こう 10 年間で年
していることから 2010 年までは外国人を積極的に
率 2∼ 3%労働生産性を引き上げ、年 3∼ 5%の経済
受け入れ、その労働力の拡大を基に経済成長を図る
成長を目指す新たな経済政策を打ち出した。建設業
政策を行ってきた。その結果、2001 年の IT バブル
では、
生産性向上のために飴と鞭が用意されている。
崩壊や 2009 年のグローバル金融危機による 2 度の
飴は建設現場機械化や BIM などの採用に対する手
マイナス成長はあったものの、2004 年から 2007 年
厚い補助金であり、鞭は外国人雇用税の段階的な引
表1|GDPの推移
2008年
金額(10億シンガポールドル)
前年比(%)
全体
製造業
建設
サービス
小売
交通・物流
ホテル・飲食
ITサービス
金融サービス
ビジネスサービス
その他サービス
2009年
2010年
2011年
251.4
248.9
285.7
299.6
1.7
-4.2
20.1
4.6
3.2
5.1
0.9
8.0
5.2
7.3
2.1
-1.0
-4.2
17.1
-1.0
-4.7
-9.9
-2.0
3.5
2.2
2.9
4.8
14.8
29.7
3.9
11.1
15.1
7.9
12.2
3.4
12.4
6.2
14.7
4.9
7.6
2.6
4.4
1.1
4.7
5.8
1.5
9.1
2.7
6.7
1Q
2Q
1.5
-1.3
9.6
2.0
2.3
3.9
12.3
1.0
2012年
3Q
0.0
-1.6
7.7
0.2
4Q *
1.1
-1.5
5.9
1.5
通年 *
1.2
-0.2
8.8
1.2
*は速報値
出典:シンガポール通産省(MTI)
2013 2–3
17
き上げや、
外国人労働者の雇用枠の引き下げである。
にも拡大し、また、シンガポール国民に対しても 2
軒目の購入から印紙税の対象とする新たな投機抑制
策を施行した。
3. 建設市場動向
建設業の実質 GDP は 2012 年は前年比 8.8%増
(速報値)
、建 設 需 要 は 2012 年 初 め の Building
BCA は 2013 年の建設投資の見通しについて、公
and
共事業は昨年比で最大 80%強の拡大を予定してい
Construction Authority(BCA/建築建設局)の年間見込
る。公共事業の主なものは LNG タンクの増設や洋
み(年間 210∼ 270 億シンガポールドル、以下星ドル)を若干
上石化備蓄施設、MRT トムソン線(後述)、高速道
上回る 280 億星ドル(約 2.0 兆円)と堅調なものとなっ
路の延伸ならびにインターチェンジの増設などの事
た。これは道路や MRT 都心線(後述)など公共イン
業である。その一方で民間事業は前年比で 36%程
フラ整備事業が多数発注されたためである。また、
度減少する見通しである。これは、上述の印紙税制
バブル気味であるコンドミニアムへの投機抑制を図
度によるコンドミニアム建設の減少が見込まれるの
るため、2011 年 12 月に政府は富裕外国人や外国人
に加え、景気減速による民間需要の減少が予想され
投資家には購入金額の 10%の印紙税を課すという
るためである。
制度を導入した。2012 年はコンドミニアムへの投
資は冷え込むものと思われていたが、結果として投
4. MRTの拡大計画
資額は減少したものの、減少額は予想を下回った。
次に今後のシンガポールの建設需要の中心とな
そこで、政府は今年 1 月に外国人購入者に対する税
る MRT の拡大計画について説明させていただく。
率を 15%に引き上げると共に、対象を永住者(PR)
政府は自動車登録台数を抑制する一方、狭い国土を
図1|人口構成ならびに推移
国民・永住者・在留外国人(2012年)
100.0
90.0
外国人
90.4
28.0%
74.1
70.0
403
10.0%
(53万人)
207
10.0
0.0
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
531
63.6
62.8
61.9
500
6.7
5.5
10.2
3.7
25.7
10.7
26.9
10.3
28.0
10.0
7.1
3.6
2.9
1970年 1980年 1990年 2000年 2010年 2011年 2012年
国民
400
300
18.7
人口総数
出典:ジェトロ
518
241
30.0
20.0
508
305
50.0
61.9%
(329万人)
(万人)
600
86.1
80.0
40.0
国民
18
90.9
60.0
(149万人)
永住者
国民・永住者・在留外国人(時系列)
(%)
永住者
200
100
0
外国人(EP)
十分に生かしたインフラ整備を行うことで利便性の
上交通局/ LTA)は将来の鉄道網として既に計画を発
高い交通システムの提供を行ってきた。その核で
表していた東部地域線や既存路線の延伸に加え、横
ある MRT の整備は 1987 年の南北線と東西線の開
断線と西部地域線の 2 路線の新設を含めた拡大計画
通に始まり、2003 年に北東線、2009 年には環状線
を発表した。現在 MRT を含めた鉄道網の総延長は
がそれぞれ開通し、現在は全 4 路線で 1 日平均 240
178km であるが、これらの計画が完成する 2030 年
万人が利用する公共交通機関となっている。また、
には約 2 倍となる 360km となり、現在の東京の地
2008 年より建設が行われている都心線の一部が今
下鉄網約 300km を上回り、ニューヨーク地下鉄の
年開通(全面開通は 2016 年)する。
約 370km に近付く鉄道網となる。また、LTA はそ
また、今年からはトムソン線が入札・着工予定で
ある。トムソン線は北部とマリーナ地区を結ぶ全長
30km、全 22 駅、総事業費 180 億星ドル(約 1.3 兆円)
の結果 80%の世帯が駅まで徒歩 10 分圏内に住むこ
とになると想定している。
政府は、現在 530 万人である人口が 2020 年には
のプロジェクトであり、2019 年に一部開通、2021
600 万人、2030 年には 700 万人弱になると予測して
年に全線開通予定である。開通後は北部の住民の都
いる。MRT の拡大計画は、国として人口増加に伴う
心部へのアクセスが南北線と 2 経路となり、混雑緩
HDB(公団住宅)や住宅施設の開発に対応したもので
和が期待されている。
あり、人びとの生活の利便性を維持し、経済成長と
さらに 2013 年 1 月に Land Transport Authority(陸
競争力の優位性を保つという強い意思が窺える。
表2|建設需要の推移
(単位:10億星ドル)
2009年
公共・民間
建築工事
住宅
商業施設
工業施設
その他施設
土木工事
公共
建築工事
住宅
商業施設
工業施設
その他施設
土木工事
民間
建築工事
住宅
商業施設
工業施設
その他施設
土木工事
22.52
13.50
6.73
1.65
2.04
3.07
9.02
13.90
5.67
2.81
0.07
0.21
2.58
8.23
8.62
7.83
3.93
1.58
1.83
0.50
0.79
2010年
27.56
24.54
11.49
3.24
4.79
5.03
3.02
8.55
6.36
2.81
0.18
1.07
2.30
2.19
19.02
18.18
8.68
3.06
3.72
2.73
0.83
2011年
35.49
28.75
15.30
4.21
6.22
3.02
6.74
15.28
9.15
6.23
0.05
0.48
2.38
6.13
20.21
19.60
9.07
4.16
5.74
0.64
0.61
年始見込
2012年
21.0-27.0
16.4-21.3
9.5-11.1
1.8-2.9
1.7-2.9
3.4-4.4
4.6-5.7
13.0-15.0
9.6-10.9
6.1-6.3
0.1-0.2
0.4-0.6
3.0-3.8
3.4-4.1
8.0-12.0
6.8-10.4
3.4-4.8
1.7-2.7
1.3-2.3
0.4-0.6
1.2-1.6
2013年
見込
速報値
28.10
23.48
10.84
3.02
4.71
4.91
4.63
9.33
7.20
3.11
0.10
0.32
3.67
2.13
18.77
16.27
7.73
2.93
4.38
1.24
2.50
26.0-32.0
19.4-24.3
10.4-12.3
2.7-3.0
2.6-4.3
3.7-4.7
6.6-7.7
14.0-17.0
7.9-10.0
5.0-6.0
0.1-0.1
0.5-0.9
2.3-3.0
6.1-7.0
12.0-15.0
11.5-14.3
5.4-6.3
2.6-2.9
2.1-3.4
1.5-1.7
0.5-0.7
出典:シンガポール建築・建設局(BCA)
2013 2–3
19
5. 終わりに
前述の通り、2010 年より段階的に外国人労働者
MRT 網の拡大や人口増による生活インフラ整備に
加え、国家戦略である金融、研究開発施設、LNG、
の雇用税の引き上げを行っており、また、工事規模
バイオメディカルなどへのさらなる投資が見込ま
によって決められる外国人労働者の枠についても引
れ、引き続き安定したマーケットであることは間違
き下げられている。さらに Core Trade と呼ばれる
いない。早期からシンガポールに進出している日系
請負金額に応じて工事職種ごとの監督、職長、熟練
建設会社はこれまで品質や技術の高さを実証してき
工の有資格者を現場に配置させることを義務付け
た歴史がある。よって、目まぐるしく変わる環境に
る制度や、BIM による電子確認申請の義務付けな
いち早く対応し、今後も日系建設会社が多くのプロ
どにより、建設会社は BCA が進める生産性向上に
ジェクトに参画し、シンガポールの経済成長に貢献
対応を迫られている。一方で、建設市場としては、
できることを期待する。
図2|2030年鉄道網
出典:陸上交通局(LTA)
20
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
特集
フィリピン
直井 賢亘[(株)竹中工務店 フィリピン支店 支店長]/マニラ支部
2012 年については 1∼ 9 月期の海外送金の伸び率は
1. 経済概況
2012 年のフィリピン経済は好調を持続した。国
対前年同期比 5.7%増の 173 億 2,400 万ドルに達し
家経済開発庁統計調整委員会の発表では、2012 年
ている。10∼ 12 月期の数値はまだ公表されていな
の国内総生産実質成長率は 6.6%で、対前年比 2.7
いが、例年、クリスマスから年末にかけて送金額が
ポイントの増となった。特に、サービス、鉱工業部
増加することを考慮すると、2011 年実績の 201 億
門が好調であり、台風や洪水などの被害があった農
ドルを上回ることはほぼ確実となっている。
2013 年の見通しについても、BPO 産業はペソ高
林水産業部門も前年並みを維持した。
サービス部門では今やインドを抜くと言われて
による競争力低下の懸念はあるものの、引き続き好
いる、コールセンターを中心とする BPO(Business
調を維持するものと思われる。また、欧米向けの輸
Process Outsourcing)産業が好調を維持している。また、
出は回復基調にあり、さらに OFW 送金が内需を下
鉱工業の中ではインフラ整備による公共支出の恩
支えする構造は変わらないと思われる。こうした中
恵を受けた建設業が 14.4%と大きな伸びを示して
で今後の成長の鍵はインフラ整備になると思われ
いる。
る。特に需要に対する供給が不足がちな電力を安定
加 え て、 約 1,000 万 人 と 言 わ れ る 海 外 就 労 者
供給するための発電所の建設や、観光産業の促進に
(Oversea Filippino Worker 以降「OFW」と略)からのフィリ
大きな影響がある空港や道路、軽量高架鉄道の整
ピンへの送金額も毎年増加の一途を辿っており、
備が求められている。2013 年度の政府支出予算総
表1|民間建設業
2011年度 前半期
総計
2012年度 前半期
増減率
着工数
60,199
55,872
7.7%
床面積
11,511,049
10,852,748
6.1%
110,080,271
108,441,063
1.5%
9,563
9,992
-4.3%
43,542
40,779
6.8%
受注額(単位:千ペソ)
単位床面積当りの建設コスト
(ペソ)
a. 住居用建築物件
着工数
床面積
受注額(単位:千ペソ)
単位床面積当りの建設コスト
(ペソ)
b. 非住居用建築物件
着工数
床面積
受注額(単位:千ペソ)
単位床面積当りの建設コスト
(ペソ)
5,964,164
6,122,334
-2.6%
50,775,465
51,469,313
-1.3%
8,513
8,407
1.3%
16,657
15,093
10.4%
5,546,885
4,730,414
17.3%
59,304,806
56,971,750
4.1%
10,692
12,044
-11.2%
2013 2–3
21
額 2 兆ペソのうち、インフラおよび設備関連に割り
2013 年度予算演説において、
「投資先として、また
当てられる予算額は、インフラ事業を推進する法人
海外旅行者が選ぶ渡航目的地として、フィリピンが
に対する補助金 298 億ペソを合わせ 4,098 億ペソと
有利な立場にたってほしいと政府が願うのであれ
なっている。政府の積極的なインフラ支出に加え、
ば、全国のインフラ開発が必要」と訴えた。このイ
2013 年は大統領を除く、上下院議会、知事、地方
ンフラ整備重視の方針に基づき、2013 年度政府予
議会などの選挙が 5 月にあり、選挙特需による消費
算では冒頭に記載した通り 4,098 億ペソがインフラ
拡大で高成長が期待できると予想されている。
および設備投資支出として割り当てられた。
一方で、アキノ政権発足後の 2010 年 10 月に、イ
2. 建設市場の動向
ンフラ整備の中心的な手段として発表した官民連携
事業(Public-Private Partnership Projects、以降 PPP と略)につ
(1)民間建設業
民間建設業については、2012 年上期における完
いては、2012 年 10 月時点までに落札案件は 2 件と
工物件数は 2011 年同期と比べ 7.7%増となってお
なっている。これは、PPP による本格的なインフラ
り、2010 年上期実績に対し、マイナス 4.3%を記録
整備事業開始に向けた環境整備に時間がかかってい
した 2011 年上期からは回復に転じている。特に、
るためである(表 2)。
住宅建設については着工数で対前年同期比 6.8%
インフラ整備の中心となる公共事業道路省につい
増となっている。一方、非居住用建物の着工数は
ては、2013 年度は総額 1,065 億ペソの予算が割り
10.4%増とはなっているが、2011 年上期の増加率
当てられ、国内の幹線道路、第 2 国道、橋の舗装工
18.3%には及ばない(表 1)。
事を引き続き推進していく予定である。
予算のうち、
228 億ペソが道路網の保守復旧工事に、また、262
(2)公共部門
政府割当財源支出に関しては 2012 年度の義務制
億ペソが砂利道をセメント舗装するため、また 182
度予算 1.816 兆ペソのうち、8 月末時点で 84%に相
億ペソが洪水対策事業に割り当てられている。
当する 1.519 兆ペソが既に政策実施部門/部局に支
払われている。インフラ整備および他の設備投資へ
一方、物や人をより早く安全に運べる交通環境の
の支出は 2011 年度の 743 億ペソから大幅に増加さ
実現を全国で推進するために、公共事業道路省と連
れ 1,226 億ペソとなっている。
携し、交通インフラ整備を主導している運輸通信省
2013 年については、アキノ大統領は議会での
においても優先事業が定められ、これらの実施に予
表2|公共事業道路省管轄下での官民連携事業(PPP)
事業名
完了状況
建設費用(単位:百万ペソ)
ダーン・ハリースレックス間連結道路(BTO)
継続中
ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)高速道路(BTO)
入札実施予定
15,860.0
北ルソン高速道路−南ルソン高速道路連結道路(BOT)
入札実施予定
21,200.0
カヴィテ−ラグーナ間高速道路(BTO)
承認待ち
65,040.0
22
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
1,956.0
算が割り当てられている(表 3)。
大統領に指名された最高裁長官も弾劾裁判で罷免が
成立したことで、国民の関心は汚職から経済・貧困
3. 最後に
対策などに移りつつあるように思われる。
2010 年の大統領選挙において「汚職なければ貧
昨年来、
「チャイナリスク」の受け皿として、イ
困なし」をスローガンに掲げ、選挙に勝利したアキ
ンドネシア、ベトナムと共に日本の注目を集めてい
ノ現大統領の任期 6 年のうち、本年はちょうど 3 年
るこのフィリピンが、豊富な若年労働力と好調な経
目が終わり、
後半 3 年への折り返しに入る年となる。
済を背景にこれからどのように変貌していくか、ア
就任直後から昨年までは、汚職根絶や前大統領の汚
キノ政権後半の出だしである本年の動向を注視して
職追求一色であり、他の政策についてはその実施の
いきたい。
遅さに、財界からも注文がついたこともあった。し
(参考および引用)フィリピン日本人商工会議所 2013 年 1 月号
かしながら、昨年、前大統領が逮捕され、また、前
表3|運輸通信省優先事業
事業名
事業現状
建設費用(単位:百万ペソ)
ラグインディンガン空港-航法装置
着工予定
レガスピ/カビテおよびアンティーケ港湾建設
入札実施予定
イロイロ市フェリーターミナル
入札実施予定
126.0
LRTカヴィテ延伸事業(PPP)
入札実施予定
59,200.0
タクロバン空港開発
入札実施予定
251.6
ディポログ空港開発
入札実施予定
66.9
652.1
60.5
プエルト・プリンセサ空港(PPP)
入札書類準備
4,362.0
ビコル国際空港(PPP)
4,800.0
新パングラオ空港(ボホール)
(PPP)
7,400.0
合計
76,919.1
2013 2–3
23
特集
インド
池尻 茂樹[三井住友建設インド社 社長]/インド支部
1. インド国2013年度の経済見通し
当初インド国の 2012 年度(2012 年 4 月∼ 2013 年 3 月)
確実に増加傾向にあると判断されます。インド政府
は、第 12 期 5 カ年計画(2012 年∼ 2016 年)において 1
GDP(1.8 兆ドル)は前年比 7.0∼ 6.5% の成長率が予
兆ドル規模のインフラ投資(❶鉄道、道路、港湾= 50%、
想されていましたが、長引くヨーロッパ経済危機な
および❷住宅、商業施設、工場などの工事= 50%)を予定して
どの外的要因もあり、前年比 5.5%の経済成長に留
います。5 カ年計画ではインフラ投資金額を徐々に
まっています。この数値は 2008 年度のリーマン・
拡大し、最終年度までには GDP の 10.0% 達成を目
ショック時の成長率 6.8%より悪い伸び率で、イン
標としています。
ド経済が足踏みしているような状態が続いていると
これらの政府主導インフラ大型工事は PPP(官民連
携)や BOT(Build Operate Transfer)案件入札が多く、工
判断できます。
本年度 2013 年度(2013 年 4 月∼ 2014 年 3 月)のインド
事管理ばかりではなく工事資金調達や工事完成後の
政府の目標 GDP 成長率は 7.0% と前年度から確か
運営やメンテナンス体制なども必須条件となるた
な回復を目指すものとなっています。本来インド
め、多くの工事はインドの大手建設業者が受注締結
政府が掲げたい目標成長率は 9.0%前後と言われて
することがほとんどです。直近ではこれらの大型イ
いますが、インド経済を取り巻く環境が簡単には
ンフラ工事において中央政府からの 環境承認 を
改善しないことを示す数値となっています。なお、
取得できずに工事開始の目処が立たないことを理由
2012 年度のインド経済成長を下支えした業種は銀
に、落札業者が工事を辞退するなどの案件も発生し
行金融、保険、不動産、などの第 3 次産業であるサー
ており、インド政府の大型インフラ工事への参入に
ビス業で、10.0%前後と非常に高い成長率を継続し
は慎重に事前検討をすることが肝要かと思われます。
ています。一方、製造業、鉱業などの業種は残念な
インドでは中央政府と州政府の足並みが揃わない
がら低い成長率に留まっています。
ため、工事がスムーズに着手できないケースや土地
の収用で住民とトラブルとなり工事開始が大幅に遅
2. インド建設市場の現状
インド建設市場の主役であるインフラ投資金額は
れるなど、不確定な要因が多々あることを認識すべ
きです。
2012 年のインド全体 GDP の 9.0% を占めており、
インド大手建設会社一覧(6社)
MAJOR PLAYERS IN INDIA CONSTRUCTION INDUSTRY
会社名
(単位:百万ルピー)
主な工事内容
2011年度完工高
総合インフラ最大手企業で空港、港湾、橋道路、商業施設などのすべての分野
で活躍する。
532,000
2 Jaiprakash Associates Ltd.
高速道路、原子力発電および不動産開発。
128,000
3 Lanco Infratech Ltd.
同上
1 Larsen & Tubro Ltd.
86,000
4 IVRCL Infrstructure & Project Ltd.
高速道路、原子力発電および不動産開発。
62,000
5 Simplex Infrastructure Ltd.
杭工事、橋、道路、発電所工事。
59,000
6 Punj Loyd Group
高速道路、空港、鉄道および駅舎。
59,000
24
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
3. 主な日本政府円借供与案件
インドで最大の注目案件は、2006 年末に合意し
たインド政府への円借款(総額 7,500 億円供与)案件であ
るデリー∼ムンバイ高速貨物専用鉄道工事であるこ
とにいまだ変わりはありません。
日本政府円借供与案件は、❶デリー∼ムンバイ高
の 50% 弱が製造業で構成されていますが、その多
くは 2 輪や自動車製造業関連企業が多く全体の 3 割
以上を占めています。
われわれ日系建設業者の動向は、これら日系製造
業者の活動と表裏一体の関係にあるといっても過言
ではありません。
速貨物鉄道や❷慢性的な電力不足を補うためのイン
参考として、主な日系企業の進出先、会社拠点数
ド南部タミルナド州の送電網整備工事、さらには❸
および主要工業団地につき、
以下ご紹介いたします。
環境配慮型スマートコミュニティ案件など目白押し
1. 北部インド地区:デリー、ハリヤナ州、ラジャ
の状態です。
スタン州、UP 州= 600 拠点
2012 年度に日本政府とインド政府間にて書簡が
⇒マネサール、ロタック、バワール、ダルヘラ、
交換された主な円借案件を以下、参考借款金額と共
ニムラナ、タプケラ、ジャジャール、グレーター
にご紹介いたします。
ノイダ工場団地
1. デリー高速輸送システム建設事業フェーズ 3:
1,280 億円
2. 西ベンガル州森林生物多様性保全事業:64 億円
3. タミルナド州送電線網整備事業:607 億円
4. ラジャスタン地方給水、フッ素症対策事業:376
億円
2. 東部インド地区:西ベンガル州、オリッサ州=
113 拠点
3. 西部インド地区:グジャラート州、マハラシュ
トラ州= 360 拠点
⇒バドードラ、ダヘージ、デトロジ、ベチャラジ、
サナンド、ハンサンプール、チャカン、ケスル
5. インド工科大学ハイデラバード校整備計画:53
億円
デ工場団地
4. 南部インド地区:タミルナド州、カルナタ州、
いずれの案件も通常の一般アンタイド案件で、日
系企業が受注するためには価格競争に勝ち抜くこと
が求められます。
AP 州= 700 拠点
⇒オラガダム、
マヒンドラワールド、
スリシテイ、
ビダデイ、ナルサプーラ、ドダバラプール工場
団地
4. インド進出日系企業と拠点先
2012 年度から南部インドへの日系企業進出は増
インド市場はここ数年、日系企業の海外進出先と
加傾向にありますが、西インド地区のグジャラート
して中国に次いで非常に有望な国であるとの各種市
州政府もインフラ環境充実を最大の武器に積極的な
場調査があり、今後も日系企業の進出傾向は継続さ
日系企業の誘致活動を展開しています。
今後、
グジャ
れると思われます。現在、日系企業のインド進出数
ラート州が日系製造企業の最大活動拠点となる可能
は、2012 年度 10 月時点(大使館資料)で 926 社前後、
性があります。
営業拠点数では 1,804 拠点です。ここ 5 年で約 2 倍
の数の日系企業が進出を果たしています。進出企業
2013 2–3
25
温調、高砂熱学工業、日立プラントテクノロジー
5. 日系建設企業活動状況
3. 現地法人エンジニアリング会社: JFE エンジニ
日系総合建設会社、総合設備会社ならびにコンサ
アリング
ルタントなどのインド進出はここ数年で急激に増加
しており、現在インドで活躍されている「海外建設
4. 工事事務所ベース:フジタ、NIPPO
協会登録会員および賛助会員」は以下の通りです。
5. 現地法人コンサルタント:日本工営、東日本高
速道路
1. 現地法人建設会社:清水建設、鹿島建設、竹中
6. 駐在員事務所:大成建設
工務店、五洋建設、前田建設、三井住友建設
2. 現地法人設備業会社:大気社、きんでん、大成
12億人が暮らすヒンドゥー教の国インド全土の地図
㉝
●
⑲
●
㉕
●
☆
★
3
㉛
●
⑪
●
㉒
●
⑫
●●
⑩
㉜ ●
●
㉓
㉟
●
●
⑦
⑯
●
⑰
●
⑮
●
⑨
●
☆
★
1
⑭
●
㉚
●
㉗
●
㉙
●
●
㉘
☆
★
2
⑬
●
㉖
●
⑧
●
㉑
●
⑥
●
㉞
●
⑤
●
④
●
⑱
●
⑳
●
㉔
●
星印(1千万以上の都市)または○(百万以上の都市)で囲まれて表記されている数字は人口の多い順。
26
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
特集
トルコ
森脇 義則[(株)間組トルコ建築作業所 所長]/トルコ支部
1. 政治・経済概況
は第 4 四半期には加速したと述べ、2013 年の成長
トルコは、2003 年に公正発展党率いるエルドア
率が少なくとも 4%になるとの見方を示すなど、経
ン政権が発足して以来、現在まで政治的に長期的に
済を安定成長路線へと軟着陸させ景気の再浮上を目
安定しており、その間、長年続いてきたインフレを
指す意欲を見せている。また政府は、金融引き締め
抑制し、国営企業の民営化や EU 加盟を見据えた多
後の昨年 6 月に投資奨励制度を改正し、内需主導に
くの経済構造改革を成し遂げ、経済を成長路線へと
よる継続的安定成長と経常赤字の削減を図る政策を
導いてきた。一方、エルドアン首相は現在 3 期目(任
取った。経済省のまとめた統計によると制度改正
期 4 年)にあたり、来年 2014 年には大統領選挙に出
後の 6 月 20 日以降 12 月末までの認可数は 2,526 件、
馬し任期 5 年を 2 期行うことで、2024 年まで大統領
投資総額では 376 億リラ(215 億ドル)に上り、改正前
として間接的に(エルドアン首相が目指す強大な権限を有す
の期間(1 − 6 月)と比べると認可数で 37%、投資額
る大統領制が制定された場合は直接的に)政権に関与する可
で 87%、雇用数で 90%の増加となるなど政策の効
能性もあり、公正発展党が政権を奪取して以来、政
果が現れている。また昨年認可された投資案件総数
教分離の守護者を自任する軍部の弱体化や、公共の
4,365 件(577 億リラ)の実に 89%(510 億リラ)はトルコ
場での女性のスカーフ着用に寛容な姿勢を取るなど
国内資本で、投資案件総数の約半数の 2,081 件(217
着実に浸透してきたイスラム教色が、エルドアン首
億リラ)が未開発地域への投資となっているため、多
相のカリスマ化と相まってさらに強まるのではない
くの雇用の創出と経済的な地域格差の是正に貢献、
かと懸念する見方がある。
持続的な経済成長に寄与するかたちとなっている。
しかし外交面で見れば、いわゆるアラブの春以降
トルコ政府は今後も経常赤字の一要因である中間財
政治的に不安定な状態にある周辺の中東諸国、特に
の輸入依存を国内生産できる裾野産業の育成と地域
シリア情勢などの多くの問題を抱えながらも、
「ゼ
の経済格差の是正、雇用の創出に力を入れていく計
ロ・プロブレム外交」を実践しているトルコへの国
画だ。
際的評価は高いと言える。
エルドアン政権下のトルコ経済は、リーマン・
ショックや欧州経済危機を乗り越えて成長路線を
2. EUとトルコ
トルコは 1996 年に EU との関税同盟を締結し、
走ってきたが、近年景気が加熱気味になりインフレ
EU との経済的な繋がりを強化、2005 年には EU へ
懸念と経常赤字が拡大してきたため、2011 年 10 月
の正式加盟交渉が始まったが、人権保護制度の遅れ
から金融引き締めを開始、内需を減速させることで
や、トルコ系移民問題、宗教問題などの要因や、キ
輸入の抑制による経常赤字の縮小とインフレ懸念
プロス問題の解決策を見出していないことなどから
の沈静化を狙うなど、意図的に景気を減速させる
EU の主要加盟国が反発し、近年は交渉が事実上停
政策を取った。このため、実質 GDP 成長率(前年比)
止している。
は、2010 年 9.2% から 2011 年 8.5%、2012 年 7 − 9
そのような中、トルコ経済・外交政策センターが
月期には 1.6% まで減少している。しかしトルコ中
トルコ国内 18 県、1,509 名を対象にした EU 加盟の
銀のバシュチュ総裁は、最近の報道の中で、成長率
是非に関する世論調査が今年 1 月 23 日発行のトルコ
2013 2–3
27
有力紙に掲載された。調査によると、世論の 3 分の
どり、世界的な経済危機の影響を受けた 2009 年に
2 は、EU への加盟を望んでいないという結果が浮
は 16.2% のマイナス成長となった。2010 年には
き彫りとなった。正式加盟を望まないという意見に
経済危機に伴う大幅な落ち込みからの反動により、
は、正式加盟は断念すべきだが、共通の利益に根差
18.3% のプラス成長を記録したが、2011 年 10 月
した新たな関係を構築すべき(19.7%)、正式加盟は
の金融引き締めにより景気が減速、公共投資、民
断念すべきで、新たな関係も必要ない(25.2%)、正
間設備投資と共に住宅需要も落ち込み、2011 年は
式加盟を断念すべきで、同時に中東地域で EU に匹
11.2%、2012 年は第 3 四半期まで 1.0% の成長に留
敵する機構が設立されるべき(14.6%)と、反対意見
まっている。ただ地方自治体が交付した建物使用
にも温度差が見られる。この世論構成は、トルコが
許可件数によると、2012 年第 3 四半期は対前年比
順調な経済成長を遂げ、また 2009 年には国連安全
9.4% のマイナスを記録したものの、同期間におけ
保障理事会の非常任理事国入りを果たすなど、経済
る建物建設許可による着工件数で見ると 5.6% 増の
のみならず政治的にも発言力を強めた自国への自信
7 万 1 千件となるなど、復調の兆しも見えてきてお
が、国民に備わってきた結果とも言えよう。ただエ
り、トルコ建設業界では国内需要は今後わずかなが
ルドアン首相が、昨年(2012 年)10 月、訪問先のドイ
らも上昇気流に乗るのではないかと見ている。また
ツ・ベルリン市でのパネル討論会で、EU が 2023 年
2014 年 3 月に予定されている統一地方選挙が今年
までに加盟を認めなければ交渉は打ち切るだろうと
10 月に繰り上げ実施されることになる可能性があ
述べ、加盟に向けた期限に初めて言及しており、こ
ることから、同業界は選挙前によく見られる公共部
れがトルコ国民の世論形成の一要因となった感もあ
門の駆け込み工事が増えるのではないかと、にわか
る。首相が期限とした 2023 年はトルコ建国 100 周
に期待を寄せている。
年にあたる節目の年であり、トルコは好調な経済成
(2)
イスタンブール市における2大プロジェクト
長を背景に、2023 年に向けた野心的計画(ひとり当た
そうした中、イスタンブール市のヨーロッパ側と
り GDP25,000 ドル、世界経済トップ 10 入り、輸出金額 5,000 億
アジア側を結ぶボスポラス海峡で 3 本目となる、第
ドル超えなど)を発表している。エルドアン首相は、そ
3 ボスポラス大橋(正式名は現在のところ未定)の建設が
の 2023 年までに EU 加盟が実現不可能であっても、
今年の第 1 四半期内に着工される見通しとなった。
それによって不利益を被るのは逆に EU である、と
黒海に近いガーリップチェ−ポイラズキョイ間に建
言わんばかりの自信とプライドを誇示したようにも
設が予定されており、
既に地盤調査も終了している。
思われる。
総工費は 25 億ドルで、2015 年中の完成を目指して
いる。プロジェクトには BOT(Build-Operate-Transfer)
3. 2013年建設動向と見通し
(1)国内建設事情
トルコ建設業界の成長率は、住宅建設が活況を
方式が採用され、請負企業は 10 年 2 カ月の建設・
運営を経て、トルコ政府に譲渡する。通行料は 3 ド
ル+付加価値税となる模様。
呈した 2004∼ 2006 年の成長をピークに、建設資
また、イスタンブール第 3 空港プロジェクトの入
材の高騰による住宅需要の減少により下降線をた
札手続きが今年 1 月 24 日に公示され、その建設が
28
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
現実味を帯びてきた。入札結果は 5 月 3 日に発表さ
の 2 千万ドルに対し、6 千万ドルに増えているとこ
れる予定。新空港の総工費は 70 億ユーロで、ヨー
ろを見ると、現在ではより規模の大きい、技術的に
ロッパ側の黒海沿岸部(イェニキョイ−アクプナル間の旧
高度なプロジェクトを受注していることが窺われる。
炭鉱地)に建設が予定されている。落札者は BOT 方
トルコ企業の昨年の国外での総受注額の約 65% は、
式により、空港を建設後 25 年間運営する権利を獲
トルクメニスタン(49 億ドル、総受注額の 18.7%)、イラク(44
得する。新空港の建設は第 1 − 4 期工事からなり、
億ドル、同 16.8%)
、ロシア連邦(36 億ドル、同 14%)、サウジ
2017 年に第 1 期工事部分が開港の予定で年間利用
アラビア(22 億ドル、同 8.6%)、イラン(19 億ドル、同 7.1%)
客 9,000 万人を見込んでいる。最終の第 4 期工事が
の上位 5 カ国からなっているが、エチオピア(17 億ドル、
完了し、全面開港すれば、総面積は 770 万平方メー
同 6.5%)
、モロッコ(8.6 億ドル、3.3%)などのアフリカ諸国
トル、旅客受容能力は年間 1 億 5,000 万人で、世界
からも着実に受注実績を伸ばしている。なお昨年は、
最大の空港になるという。
コロンビア、パプアニューギニア、ソマリア、ペルー
(3)夏季オリンピック招致とインフラ整備
の国々において初めて受注した模様だ。
トルコ最大の都市・イスタンブールは、2012 年
なお今年 1 月、トルコ企業が国外にてふたつの大
5 月の国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で行
規模プロジェクトを落札したとの報道が入っている。
われた第 1 回選考で東京、マドリッドと共に正式立
トルクメニスタンのアシガバード空港(23 億ドル)とカ
候補都市に選出された。イスタンブールはトルコ政
ザフスタンのアクトガイにおける銅精錬施設(6 億 3 千 3
府による強固な支援と、7 割を超える市民の支持を
百万ドル)で、これらプロジェクト 2 件で 29 億ドルとな
バックにイスラム圏初の開催を目指している。今年
り、昨年の受注総額の実に 1 割ものプロジェクトを今
9 月に行われる IOC 理事会にてイスタンブールが
幸先のよいスタートを切ったと言える。
年 1 月に受注、
開催地に選ばれた場合、新設、改修を含め多くの施
特にトルクメニスタンにおいては昨年 80 件ものプロ
設と、それら施設への交通網やインフラ整備が計画
ジェクトを受注、今年に入りいきなり大型プロジェク
されることから、今後国内の建設需要は大幅に増え
トを落札するなど、トルコの企業が同国でのインフラ
る見通しだ。
整備に大きな貢献をしていると言えよう。
(4)国外における
トルコ建設企業の活躍
このように国外で活躍するトルコ建設業界と、日
国内の建設業界の動向とは別に、トルコの建設
本が国外のインフラ建設の受注で連携して取り組む
企業は国外では毎年中央アジア、ロシアおよび中
というニュースが昨年発表されている。またこの
東を中心に受注量を増やしており、昨年は 261 億ド
ニュースに追随するように国際協力銀行が日本と連
ルものプロジェクトを受注、国外における総受注額
携して周辺国に進出するトルコ企業の資金調達を支
の国別ランキングで中国に次ぐ 2 位(ENR 誌 2012 年度
援する制度を導入する計画も報道された。国外で
TOP225 社の国別ランキング)となっている。トルコ企業
年々技術的に高度なプロジェクトを受注し、多くの
のこの受注額は 2002 年の 26 億ドルと比べると、10
情報網を有するトルコと、インフラ整備において高
年間に実に 10 倍となっている。またプロジェクト
度な技術を有する日本が連携して、今後国外でのイ
1 件当たりの平均受注額で比べてみても、2002 年
ンフラの共同受注を目指してもらいたいものだ。
2013 2–3
29
特集
ドバイ
宮脇 清[東亜建設工業(株)国際事業部ドバイ事務所長]/ドバイ支部
1. その後のドバイ
アラブ首長国連邦国(UAE)を構成する 7 つの首長
1.1% でそれ以前の 2 年間は 1% 未満であった上昇
率に比べ安定的な推移をしている。今後の見通しに
国のひとつであるドバイ。2009 年 11 月に世界を賑
ついても国家統計局は 2013 年 1.3%、2014 年 1.6%、
わせたドバイ・ショックから 3 年余りが経つ。ドバ
2015 年 1.6%、2016 年 1.0%、2017 年 0.4% の予想
イ・ショックの前後にはそれまでの建設ブームが嘘
であり、食料品などの物価は上昇しているが、住宅
のように停滞し、中止され、人と車の流れが激減し
などの下落が相殺し、中期的にも CPI は低い水準で
た。
逆にひと通り完了したインフラ整備のおかげで、
推移すると予想。UAE のインフレ水準が極端にな
それまで見られた異常な道路の混雑は緩和され、生
ることはないとしている。
活するには快適になった。その後は一時の静けさか
ドバイ・ショックの元凶であった債務問題に関し
ら立ち直り、にわかに人、物、金の動きが増えてき
ては、引き続き不安を抱えた状態に変わりはない。
ている実感がある。
ドバイだけを見ても IMF によれば 2012 年以降の政
その間「アラブの春」が広がったが、ドバイに大
府、および政府系企業の債務は 1,290 億ドル、UAE
きな影響はなかった。逆に周辺国の政情、治安の
全体では 2,529 億ドルに達するとされ、毎年その償
不安定さに比べ相対的に安定した UAE。周囲の混
還期限がきている。一方、そのたびに債務再編成の
乱が油価高騰や観光客の増加をもたらし、ドバイに
ニュースを耳にする状況である。
とっては追い風になったようにも見える。
本稿では、ここ数年のドバイの動きを簡単に振り
返った上で、今後について考えてみたい。
このような中、中東でのプロジェクト関連専門
誌 MEED によれば、現在進行中、あるいは計画中
のプロジェクトを集計した Gulf Projects Index(図 1)
は、UAE がドバイ・ショック前のプロジェクト量
2. ドバイ/UAE市場の概況
の半分に落ち込んだ状況を示している。しかし、そ
それまで驚くべきスピードで成長を遂げたドバイ
れでも金額的にはサウジアラビアに並び周辺他国に
も、ドバイ・ショックの起きた 2009 年に実質 GDP
比較して飛びぬけており、ドバイ、あるいは UAE
成長率はマイナス 2.4% と急激に落ち込んだ。しか
における建設投資は相対的に旺盛である。
し、 そ の 後 は 2010 年(2.8%)、2011 年(3.4%)と 着
以上を見てくると、2009 年に落ち込んだ市況も
実に回復し、ドバイ経済開発局によれば 2012 年は
その後徐々に回復し、2012 年までにはピーク前の
4.2% の見込みとしている。さらに 2013 年予想は
状況まで回復したと言えるのではないだろうか。一
ほぼ横ばいの 4.1% であるものの、2014 年は 4.7%、
方で極端なインフレは抑えられ、以前のように異常
2015 年は 5.4%。4 年間の成長率は平均 4.6% と予
なインフレの兆しは見られない。
想している(ただし、IMF〈国際通貨基金〉の発表数値とは異
なる場合がある)
。
3. 今後の見通し
消費者物価指数(CPI)に目を向けると、UAE 全
ドバイ・ショック以降、大きな流れとして世界の
体ではあるが国家統計局が 2012 年 9 月に発表し
同業他社はドバイからアブダビに移動。その後さら
た 2012∼ 2017 年の上昇率見通しでは、2012 年が
に 2022 年に FIFA ワールドカップを控えたカター
30
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
ル、あるいは相変わらずオイルマネーによりポテン
大 190m 級観覧車をしのぐ、高さ 210m の大観覧車
シャルの高いサウジアラビアに向かうような傾向が
「ドバイ・アイ」の建設(韓国、オランダ業者による)を含
み、間もなく 4 月には着工予定である。
見られる。
ドバイ・ショックに前後して数多くの大型プロ
そのような中、ここにきてドバイも巻き返しを
図るようなニュースが続いている。2012 年 11 月、
ジェクトが中止に追い込まれた際、最も大きな影響
マクトゥーム首長はドバイの中に巨大な新都市
を受けた企業のひとつ、政府系ディベロッパーの
Mohammed Bin Rashid City の計画を発表した。金
ナキールも、このところ復活の兆しを見せている。
額規模は不明ではあるが、ファミリー向け観光ス
2013 年は 18 億ドルの入札を予定。パームアイラン
ポット、世界一のショッピングモール、100 を超え
ドにふたつの大型ショッピングモール、さらに既開
るホテル、中東・北アフリカで最大のアート・ギャ
発のショッピングモールの拡張を実施予定。2012
ラリーなどを融合した都市になるとしている。
また、
年にはようやく 5.4 億ドル余りの利益を発表したも
同じ時期に 2,400 億円規模の複合エンターテイメン
のの、まだ残る多額の債務処理の環境は不透明なが
ト施設の計画も発表した。直近の 2013 年 2 月には、
ら、これまでのような夢には手を出さず、既存の開
現有の海岸沿い住宅街ドバイ・マリーナ地区の沖
発事業に集中して堅実な事業を目指している。
に人工島を建設する 1,500 億円規模の大型開発プロ
ドバイ・ショック以降、新規プロジェクトの出件
ジェクト「ブルーウォーターズ」を承認した。この
が激減。結果的に数少ないプロジェクトに多数のコ
中には、ニューヨークで 2015 年完成予定の世界最
ントラクターが集中し、労務や材料コストが下がる
図1|MEED誌に掲載された各国のプロジェクト総額の推移
GULF PROJECTS INDEX
VALUE OF PROJECTS PLANNED OR UNDER WAY($bn)
1,500
UAE
1,200
Saudi Arabia
Iraq
900
Iran
Qatar
600
Kuwait
300
Oman
Bahrain
0
Dec
2005
Dec
2006
Dec
2007
Dec
2008
→ For further information visit
Dec
2009
Dec
2010
Dec
2011
19 Feb
2013
www.meed.com/gulfprojectsindex
2013 2–3
31
と同時に、競争の激化はそれ以上に受注価格の下落
ながらドバイ・トラムと呼ばれるモノレールの建設
を招いた。現在もその状況は続いているが、2012
が進んでいる。さらに道路、橋梁の整備が進み、周
年より見られる新規案件の増加と共に 2013 年以降
辺はエリア限定ではあるものの、2007 年前後、建
は多少状況が改善されることを、希望も込めながら
設ピーク時の渋滞を思い起こすような状況である。
ドバイ・ショックの経験を経た UAE のドバイ首
予想している。
長国は、再び大きな成長戦略を描き出し、実行に移
4. 現地での実感
そうとしているものの、今回はある程度の堅実さも
現在弊社は、ジュベルアリ・フリーゾーンと呼ば
見られる。ようやく落ち着きを取り戻した中、現地
れる経済特区にて約 70ha、岸壁延長 2km 弱のコン
で携わる者としては着実な建設事業の拡大を望むと
テナターミナル工事を施工中。現場から近いことも
ころである。
あり、職員の多くは海岸沿いのドバイ・マリーナ地
区に居を構えている。2012 年中旬の居住開始前後
〈参考〉
から、このドバイ・マリーナ地区周辺では目に見え
・JETRO 通商弘報:2013年1月10日、30日、ほか
て新たな工事が開始された。
・MEED Magazine:2012∼2013年
上に挙げたドバイ・マリーナ地区での大型プロ
ジェクトに先行して、ドバイ・メトロから海岸地区
へのアクセスのため、一部ドバイ・メトロに並行し
32
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
・JETRO ドバイ事務所:2013年1月「アラブ首長国連
邦の貿易・投資概況」
特集
ケニア
山下 高司[(株)鴻池組 ケニア事務所所長]/ナイロビ支部
助です。
1. 2012年の実績
❷ 3 月にラム港∼南部スーダン∼エチオピアを結
(1)
2012年経済概況
日本の約 1.5 倍の国土を持ち、約 4 千万人の人口
ぶ交通回廊(Lapsset) 開発の着工式が行われま
を有しているケニアは、東アフリカのゲートウェイ
した。これは南部スーダンで採掘される石油を
として地理的要衝を占めています。ケニア、タンザ
ケニアのラムまで運搬し輸出するルートを確立
ニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジで構成する東
し、エチオピアも含む地域の総合開発を目的と
アフリカ共同体(EAU)の中では最も高いひとり当
しており、まずはラム港のバース建設が開始さ
たりの実質 GNI(760 ドル:2010 年世界銀行)を誇り、域
れました。
内のリーダー的存在となっています。まだ数字の確
❸ 4 月に円借款(STEP、E/N 額:267 億円)によるモン
定はされていませんが、世界銀行の予測では 2012
バサ港開発事業が着工されました。東アフリカ
年のケニアの経済成長率は 4.3%の見込みです。
全域のゲートウェイとしての機能を強化するた
表 1 に示す過去数年の成長率を見てみますと 2008
めのもので、コンテナターミナルの拡張および
年は大統領選後の混乱で大きく落ち込みましたが、
荷役機械の整備などを行うものです。
2010 年が 5.8%、2011 年が 4.4%ですので、鉱物資
❹ 7 月に円借款(一般アンタイド、E/N 額:295 億円)によ
源がほとんどないケニアとしては着実な成長を達成
るオルカリア地熱発電事業が着工されました。オ
していると考えられます。
ルカリア地区において 140 メガワット(MW)の
建設業で見てみますと 2012 年の成長率は第 1 四
地熱発電所を 2 カ所建設するものです。現在ケニ
半期 3.2%、第 2 四半期 1.4%、第 3 四半期 0.6%と
アの発電能力は約 1,500MW で半分以上を水力
尻すぼみになっています。これは、選挙を控えた年
に頼っていますが、政府の計画では 2018 年まで
に毎回見られる現象となっているのですが、総選挙
には地熱による発電割合を全体の 50%まで引き
後の結果が政治リスクとなり、投資家のマインドが
上げたい意向を持っています。
積極的になれず新規投資を控えることが原因と言わ
❺ 11 月には 3 年の工期と 310 億ケニアシリングを
費やしたティカスーパーハイウェイが完成し大
れています。
統領および主な閣僚で開通式が行われました。
(2)
2012年の大型建設プロジェクトの動き
❶ 3 月にナイロビ南部バイパス建設工事が開始さ
ナイロビ市からティカ市までの約 50km の道路
れました。ナイロビ市内の渋滞緩和が目的で、
を 2 車線から 8 車線に拡幅する大規模工事で、
資金源は中国による 170 億ケニアシリング(=約
ケニアにもついに本格的な高速道路がお目見え
170 億円、便宜上 2012 年 12 月末為替レートを使用)の援
したことになります。資金は中国政府、アフリ
表1|ケニア・GDP実質成長率の推移
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
7.0%
1.5%
2.7%
5.8%
4.4%
4.3%(予想)
2013 2–3
33
カ開発銀行、ケニア政府の自己資金による共同
穏に行われたという前提で 2013 年の経済成長率を
出資です。
5%と予測しています。近年順調な成長を遂げ、引
き続き着実な発展が予想されているのですが、ナイ
2. 2013年の見通し
ロビ市街地の地価は(正確な統計数字ではありませんが)ケ
ケニアは 2006 年 10 月に、2030 年を見据えた長
ニアシリングベースで 10 年で 20 倍もの異常な値上
期開発戦略である「Kenya Vision 2030」を発表し
がりをしており、バブルの様相を呈しています。
ています。2030 年には中所得国(ひとり当たり GNI が
しかしながら、Economic Intelligence Unit(EIU)が
1,916 ドル以上)入りを目指すもので、特にインフラ整
158 の投資ファンドや商業銀行などを対象に行った
備では、発電、港湾、空港、道路、鉄道、石油パイ
調査によると、50%以上の機関が今後 10 年間にお
プラインなどあらゆる分野の開発で大きな目標を掲
ける最も魅力的な投資先をアフリカと回答し、その
げています。現在進行中の大型プロジェクトもこの
中で今後 3 年間において特に投資リターンを期待で
目標に沿ったものと言えます。ただし世界銀行によ
きるのはナイジェリアとケニアという結果が出てい
るとこれらインフラ開発には毎年 3,200 億ケニアシ
ます。そのことからも、民間投資も引き続き増加の
リング(約 3,200 億円)が必要ですが、予算確保がで
傾向が続くようです。
きているのはその半分以下となっており、今後の課
題となっています。今年は、2012 年の実績で記し
た Lapsset 回廊のプロジェクトのほか、
• モンバサ∼ナイロビ間の石油パイプラインの建
設( 270 億ケニアシリング)
• ウガンダの Kampala とケニアの Eldoret 間を結
ぶ石油パイプラインの建設
• Mwatate-Taveta-Arusha 間の道路建設(アフリカ開
発銀行、1.12 億ドル)
• ナイロビの鉄道開発(Kenya Railways、EU の出資、240
3. 総選挙の見通し
最後に、今後の建設投資はもちろんのこと、経済
成長率にも大きく影響を及ぼすであろう、3 月 4 日
に投票が行われる大統領選を含む総選挙の見通し
について述べたいと思います。5 年ごとに行われて
いる大統領選挙ですが、今回で 1963 年独立時の初
代ジョモケニヤッタ大統領から数え 4 代目の大統領
が選出されます。前回 2007 年末の大統領選後の民
族間の武力衝突は、それまでの選挙が比較的平穏無
億ケニアシリング)
事に終わり、民主国家として知られていたケニアの
などなど、大型プロジェクトが目白押しとなって
イメージを覆す大きな事件となりました。現職のキ
います。
(一般
また円借款案件では「ムエア灌漑開発計画」
アンタイド、E/N 額:131.78 億円)の入札が進行中であり、
バキ大統領と野党第一党の党首であったライラ・オ
ディンガ候補(現連立内閣首相)の一騎打ちでしたが、
支持率の高かったオディンガ候補が敗れたため選挙
(一般アンタイド、
E/N 額:
「モンバサ港周辺道路開発事業」
に不正があったとしてオディンガ派が抗議行動に出
276.91 億円)においては、現在設計段階であり、準備
ました。これに端を発し、国中が大規模な混乱に陥
が整い次第、入札公示となる予定です。
り、死者 1,200 人、避難民が 50 万人に達する事態
世界銀行は、今年 3 月に行われる大統領選挙が平
34
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
に発展しました。今回はそのオディンガ候補と現職
キバキ大統領と同じ部族であるウフル・ケニヤッタ
ている誰もがそれを願っているのですが、問題は、
候補(現副首相)との一騎打ちとも言われています。
一方の有力候補であるケニヤッタ候補が前回の選挙
世論調査では若干オディンガ候補の支持率が上回っ
後の暴動を首謀したひとりとして ICC(国際刑事裁判
ていますが、その差はわずかであり、どちらが勝っ
所)で訴追されていることです。ケニヤッタ候補が
ても敗者側が異議申し立てをし、前回同様の事態が
平和裏に勝利を収めたとしても(ICC では有罪になる可
起きるのではという声もあります。ただ、ケニア人
能性が高いと言われており)
、今度は国際世論で批判の対
の誰に聞いても、前回のような暴動は国家、国民に
象になるのは間違いなく、主要ドナー国である日本
とってマイナスにしかならず、同じ失敗は繰り返さ
政府の援助方針に影響が出ることも予想されます。
ないと明言しています。ケニアでビジネス展開をし
2013 2–3
35
特集
英国
清水 邦保[ヨーロッパ竹中 イギリス支店長]/ロンドン支部
1. 英国経済
インフラでは 15%の減少となっており、今後の 5
2013 年は、欧州債務危機の長期化と世界経済の
年についても見通しは暗いと予測し、経済危機前の
低迷により、下半期までは景気回復の兆しは見ら
水準に回復するのは 2022 年以降になるのではない
れない模様である。政府の経済財政予測によると、
かと予想している。
2013 年の実質 GDP 成長率見通しを従来の 2%から
1.2%に下方修正した。
3. 不況下でも活況を呈するロンドン不動産の秘密
また、2013 年のインフレ率の予想は 2.5% で、政
世界的に景気後退が懸念される中、ロンドン中心
府目標の 2.0%への収束は 2015 年以降と見られて
部の不動産投資は活況であり、投資総額は、近年東
いる。
京やニューヨークなどの有力都市と比べても抜きん
2013 年の民間投資は前年比で 4.9% の増加と見
出ており、2012 年度は 3 兆 7,000 億円を超えた模
込まれているが、危機前の水準に戻るのは 2014 年
様である。特にアジア系外資がロンドンの住宅への
の第 4 四半期にずれ込むものと見ている。政府とし
投資を増加させていることがひとつの要因と言われ
ては、2014 年 4 月から法人税率を 22%から 21%に
ている(写真 1、図 1。バタシー火力発電所跡の住宅開発はマレー
引き下げることによって、民間投資の増加を見込ん
シア投資家グループが約 560 億円で買収、その後 1 兆円規模の投
でいる。
資予定)
。
一方、政府の経済政策の基本方針は、引き続き緊
縮財政の継続であり、景気下振れに対しての成長促
進策が強く求められている。
主要経済指標
項目
❶実質GDP成長率(%)
[内訳] 個人消費
2. 英国建設市場の概況・動向
金融危機以降の住宅ローンの貸し出し基準の厳
格化の影響により、2012 年の住宅用不動産取引は、
危機前の 2007 年の半分以下で、ローン貸し出し総
額は 3 分の 1 の水準となっている。
政府は 12 年 7 月、住宅ローン貸し出しを増やすた
めに官民の金融機関と共に、資金調達金利を優遇す
る新たなスキームを開始したが、2013 年の民間住
宅投資は前年比 1.1%減の見通しであるが、2014 年
以降は 10%増前後で推移することを見込んでいる。
建設業訓練委員会(CITB)が本年 1 月 16 日に発表
したレポートによると、ここ 5 年間に公共住宅部門
と、非住宅建設部門では 20%減少し、個人住宅で
は 5%の減少、商業セクターの建設では 10%の減少、
36
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
政府消費支出
総固定資本形成
輸出
輸入
❷消費者物価指数上昇率(%)
❸賃金上昇率(%)
❹失業率(%)
❺国際収支(億ポンド)
2011年
(実績)
2012年
(見通し)
0.9
▲0.1
2013年
(見通し)
▲0.9
4.5
0.5
4.5
2.2
8.1
0.5
2.4
1.0
0.1
2.1
2.8
2.7
8.0
1.2
0.9
▲0.7
2.1
3.1
2.1
2.5
2.2
8.2
0.2
▲2.4
▲290
▲623
▲415
貿易収支
▲240
▲335
▲292
財政収支
▲7.9
▲5.1
▲6.1
66.4
1.15
74.7
1.24
76.8
1.30
経常収支
❻その他重要指標
(%、
GDP比)
政府債務残高
❼為替レート
(1ユーロ=ポンド)
注:❺の貿易収支は財のみ。❼の2011年は年平均値、2012年は12月
6日値。2013年は第4四半期末値。
出所:❶❷❸❹、❺の2012年・2013年経常収支、❻の財政収支と
政 府 債 務 残 高 は 予 算 責 任 局「Economic and fiscal outlook
December2012」。 ❺ の2011年 は 国 民 統 計 局(ONS)。 ❼ の
2011年・2012年はイングランド銀行スポットレート、2013年
はRBS銀行。
出典:JETRO通商弘報 2013年1月8日 ロンドン事務所
◆ロンドン中心部の不動産が外資に人気のある理由
❶ ロンドン自身が歴史ある多文化の国際都市である。
❷ 外国人投資家の権利が守られる平等な法制度が
ある。
4. トピックス
◆オリンピック会場施設のその後
〈ザハ・ハディド設計のスイミング会場(2012年11
月、日本の新国立競技場のデザインコンクールで最優秀を受賞し
❸ 安定した英国政治とその透明性。
たイラク出身の在英女性建築家の設計による建物)〉
❹ 世界的な経済危機で比較的に資金の安全な回避
2014 年に市民プールとしてリオープンする予定
先である。
で、2016 年に開催されるヨーロッパ水泳選手権の
これらの理由により、今後も世界経済が揺らいで
会場として申請される予定。現在は、オリンピック
いる限り、世界の投資家のリスク分散のためのロン
用に仮設されていた観客席の解体工事中で、大幅に
ドンの不動産投資は今後も増えるものと予想されて
観客席が削減される予定である(写真 2)。
いる。
〈オリンピックメインスタジアム〉
ちなみに、ロンドン中心部の不動産物件はここ 1
各種スポーツ団体 4 者が入札に参加しているよう
年で 10%以上値上がりしているという報告もある。
で、その結果に基づき今後の運営は各種民間団体
一方、非友好国を含む外国からの投資に対して、
の運営にゆだねられる模様。ちなみに、2017 年の
英国人が危機感を抱いていない理由は、英国での不
動産投資は建物に対するものがほとんどで、土地が
含まれていないことにある。
ロンドン中心部の土地の多くは英王室が所有し、
地方では貴族や教会などの所有地がほとんどで、外
資の投資もほとんどが長期定期借地権を買い取る
リースホールド方式である。
安全保障の問題からしても、うまくできた制度で
IAAF の世界陸上選手権の開催の可能性もある。
〈選手村〉
キッチンの追加工事後 2,800 戸の賃貸住宅に改修
され、本年夏頃から賃貸される予定。
地元開発業者とカタールの投資家によって約 696
億円で買収されている。
〈ミッタル・オービットタワー(メインスタジアムの横に
建設された、シンボルタワー)〉
あるが、この方式を日本が採用するのは不可能に近
ロンドンを望む、2 カ所のガラス展望台付きの高
いと言われている。 さ 114m の奇妙な形のタワーは、観光施設として、
写真1|バタシー旧火力発電所現況
図1|バタシー旧火力発電所開発計画完成予想図、
約3,500世帯の
住居そのほか
2013 2–3
37
2014 年春にリオープンの予定。
〈多目的アリーナ〉
エージェントは、あと 4 年は交渉が続くと予想して
おり、今後の動向が気になるところである(写真 3、
多目的なイベント施設として、本年夏にリオープ
図 2)
。
ンの予定。
◆建設中ビルのタワークレーン接触によるヘリコプ
〈競輪場〉
引き続き競輪場として、運営される予定。
〈放送&報道センター〉
ターの墜落事故
本年 1 月 16 日、ロンドン中心部の建設中のビル
のクレーンとヘリコプターが接触する事故があり、
IT 関連のビジネスパークに改修される予定。時
墜落、炎上し死傷者が出た。このことから、建設工
期未定。
事現場に設置するタワークレーンの基準が見直され
◆ロンドンの元学校の下に大富豪がもくろむ地下 4
るものと予想されている(写真 4)。
階の増築計画
◆バタシーパワーステーション跡地再開発
ロンドンの高級住宅地区に 19 世紀に建設された
30 年近くにわたり、開発計画が持ち上がっては
元学校を 2000 年にケーブルテレビ界の大御所の大
実現することなく、頓挫していたテムズ川南岸の旧
富豪が買収し、既存建物の地下 15m まで掘り下げ、
バタシー火力発電所の再開発計画案が、昨年この跡
地下 4 階とし、スイミングプール、スパ、宴会場、
地を購入したマレーシアの投資家企業から提案され
ワインセラー、美術品収蔵庫、カーリフト付き駐車
た。1 兆円を超える大規模な投資で、3,500 世帯分
場、使用人用 5 部屋、寝室 10 部屋、20 以上のトイ
の住居スペース、約 16 万平米のオフィススペース、
レを新たに建設し、地上階は図書室、バー、ランド
店舗、公園を含む巨大複合施設が計画され、本年末
リーを設置する計画が申請されている。
完成すれば、
には着工される予定となっている(写真 1、図 1 完成予想
115 億円の価値になると見込まれているが、周辺の
図)
。
住民からは大量の土壌を取り除くことへの不安と、
◆ M25(ロンドン外郭環状高速道路、クロスレール敷設計画)
増築スペースの必要性に対しての疑問で大きな怒り
両プロジェクト共に、当初計画からはかなり遅れ
の声が上がっている。反対派の隣人には、高名な作
ているが、M25 モータウェイ拡張工事は 2016 年を、
家や公爵夫人も含まれている。申請を代行している
ロンドンの東と西を横断するクロスレール敷設工事
写真2|オリンピック水泳競技場現況。建物両サイドの観客席を解
体中。現在屋根部分が解体完了
写真3|現況の地上部分、
旧学校建物
38
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
は 2018 年完成を目指して各所で工事が進められて
いる。
◆洋上風力発電施設計画
昨年夏に世界最大級の洋上風力発電プロジェクト
(総計 32GW 超)
「ラウンド 3」の重要なマイルストーンと
◆ロンドン市内中心部のビル建設
リーマン・ショックによって中断していた新たな
事務所スペース供給を再開するために、ロンドンの
シティエリアでは、大型の高層事務所ビルの工事が
稼動中もしくは稼動し始めている。
なる、モーレイ・ファース洋上風力発電所(1.5GW)の
また、ロンドンの商業地域のウエストエンド地域
建設計画がスコットランド政府に申請され、
「ラウン
でも、英国王室保有不動産の管理を行っているクラ
「ラウンド 3」には、日
ド 1、2」に引き続き始動する。
ウンエステーによる、既存ビルの再開発計画も本年
系企業の風車のサプライも計画されており、本年夏
後半から動き出す予定となっている。
頃には現地洋上での実証試験が予定されている。
一方、日系の不動産投資会社もロンドン市内の不
一方、ラウンド 3 は投資回収期間の長いプロジェ
動産の取得、再開発には注目しており、さらなる投
クトであるため、雇用創出によるメリットが表れる
資機会を探っている模様である(写真 5)。
まで、政府からの安定した財政支援が必要との声も
◆原子力発電所
高い。
◆高速鉄道建設計画
昨年末、日立製作所が英国の原子力発電事業会社
を買収し、2020 年までに 2∼ 3 基の原子力発所の建
昨年(2012 年)の英政府の緊縮財政政策により延期
設が計画が具体化される模様である。英国政府とし
されていた、一昨年日本企業が優先交渉権を獲得し
ては、日本の福島の事故後も、原発計画は変更しな
ていた車両販売と保守業務の契約が正式に締結さ
いことを表明しており、日系建設会社を含め日系企
れ、2026 年に完成を目指す「ハイスピード 2」計画
業の原発建設への参加の可能性もかなり現実味があ
のロンドン−バーミンガム区間および、2033 年完
り、注目されている。
成を目指すバーミンガム−マンチェスター、リーズ
区間、総額約 3 兆 9,100 億円の巨大プロジェクトが
動き始めた。今後周辺産業の投資計画も含めて動向
が注目される。
図2|地下4階計画申請図
写真4|ヘリコプターが接触し
たタワークレーン
写真5|テムズ南岸から見たシ
ティ中心部の建設中ビル
2013 2–3
39
特集
米国
吉田 幸司[Kajima U.S.A. Inc. 企画担当マネージャー]/ロサンゼルス支部
1. 米国経済の現況と見通し
も後押しされて総じて底堅い動きを見せているほ
米国経済のみならず世界経済をも震撼させたあの
か、目下の好材料は長らく低迷していた住宅市場
リーマン・ショックから、早くも 4 年以上の歳月が流
が順調に回復していることである。景気変動に対
れた。この間、米国は国内景気の建て直しに邁進し
する先行性が高い指標のひとつとされる住宅販売
てきたわけであるが、足元の実質 GDP 成長率は概ね
件数であるが、現在その 9 割以上を占めている中
2%前後ではあるものの安定的に推移しており、米国
古 住 宅 に 関 す る NAR(National Association of Realtors)
経済は緩やかに改善していると見られる。2013 年の
の公表資料を参照すると、2012 年の中古住宅販
経済見通しについても、内需(個人消費、設備投資、住宅投
売件数は速報値で前年比 9.2%増の 465 万件であり、
資)を主たる原動力として「着実に回復する」というの
直近 5 年間では最も高い数値になっている。また、
が今のところ有識者のコンセンサスとなっている。
12 月末の在庫月数も 4.4 カ月まで減少し、住宅ブー
もちろんリスク要因は少なからず内在している。こ
ムのピークであった 2005 年 5 月以来の低水準と
の度 2 期目を迎えたオバマ大統領の舵取りに注目が集
なっている。NAR のチーフエコノミストによると、
まるが、課題が山積する財政再建問題を「ねじれ議
潜在的な顧客数が蓄積されてきた状況下において、
会」の中で進めていかなければならないという困難が
記録的な低住宅ローン金利(2012 年 12 月時点:30 年固定
伴う。先の年末年始で最大の関心事となった 財政の
物で 3.35%)が住宅販売の追い風となっているのは明
崖(Fiscal Cliff) については、紆余曲折を経て高所得者
らかであり、2013 年も販売件数・販売価格ともに
層以外の世帯での減税恒久化(歳出の強制削減に関しては
上昇すると予想している(ちなみに、U.S. Census Bureau
結論を先送り)というかたちでひとまずは回避されること
の公表資料を参照すると、2012 年の新築住宅販売件数は速報値で
となり、続く 債務上限問題(Debt Ceiling) についても、
前年比 19.9%増の 36.7 万件となっている)
。
国債発行枠(債務上限)を暫定的に引き上げる法案が可
企業部門における生産活動が徐々に改善しているこ
決される運びとなったが、歳出の強制削減措置が発
とも踏まえると、2013 年の米国経済はその自律的な
動されるなど、依然として綱渡りの政権運営が続いて
成長ペースを漸進させる1 年となることが期待される。
いる感は否めない。時限的な前進はあったものの、緊
また、
今回のテーマからやや逸脱する感はあるが、
縮財政を巡る与野党協議の行方はなお流動的であり、
中長期的な視点で明るいトピックと考えられるの
その動向次第では内側から景気回復および経済成長
が、にわかに脚光を浴び始めた米国発の「シェール
の足を引っ張りかねない。
革命(Shale Revolution)」である。世界のエネルギー勢
こうした内的ファクターに加えて、火種が燻り続
力図を一変させるインパクトを持つと評されるこの
けている欧州経済のさらなる下振れや新興国経済の
一大革命は、最もアドバンテージのある米国にとっ
成長鈍化、原材料価格の高騰といった外的リスクも
てはまさに Industrial Renaissance となる可能性を
引き続き抱えることにはなるものの、肝心要となる
十分に秘めている。
足元の実体経済は内需を中心として堅調に展開して
いると考えられる。
中核となる個人消費が雇用・所得環境の改善に
40
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
2. 米国建設市場の現況と見通し
直近の米国建設市場は、図 1、図 2 が示すように
全体の水準はまだまだ多くないものの、民間部門で
している。このほどアトランタ市で進めてきた初弾
の回復を受けて持ち直しに転じている。建設投資額
プロジェクトが完成を迎えたが、他の地域でも建設
の 7 割近くを占める民間セクターに明るい兆しが出
中あるいは開発計画中のプロジェクトを複数抱えて
てきたことは歓迎されるべき事実と言える。
おり、開発と建設のシナジー効果を発揮できる有望
事業として取り組んでいる。
一番の牽引役は住宅分野である。U.S. Census
Bureau が公表している 2012 年の新設住宅数の速報
民間セクターのうち非住宅分野については、投資
値は、許可・着工・完成の 3 指標ともに前年比で上
額が多く基幹産業と位置付けられる製造業・電力・
伸しており、中でも許可・着工の 2 指標は 30%近
商業などがいずれも堅調な動きを見せており、全体
い増加となっている。さらには統計を取っている 4
として底打ち感が表れている。電力や医療といった
地域のすべてにおいて概ね同様の傾向が見られる。
分野は比較的景気変動の波に左右されにくい面があ
住宅バブル時には建設投資額の 5 割超にも及んだ
るが、各産業への波及効果が大きい製造業からの投
この巨大マーケットは、2012 年に引き続き 2013 年
資が復調しているのはポジティブなことである。
も順調なトレンドを示すものと期待される。消費マ
一方、公共セクター(特に連邦政府)は財政的な制約
インドの着実な回復が下支えとなる中で、在庫数・
から厳しい局面が続いており、建設投資額も底ばい
在庫月数ともにここ数年では最も低い水準まで下
状態にある。逆に顕著な減少は生じにくいセクター
がっており、住宅建設に対する需要が一段と高まっ
であり、道路と教育が投資額の半分強を構成する 2
ていることがその背景にある。
大分野であることもここ数年変わりない。
当社も SkyHouse シリーズと名付けられた高層賃
好転の兆しを見せ始めた建設投資が今後本格的な
貸アパートの開発および建設を 2011 年末から推進
回復を果たすか否かは、言わずもがな民間セクター
図1|建設投資および発注セクター別割合の推移
1,500
民間住宅
民間非住宅
1,167
1,104
1,000
891
991
220
216
238
500
234
258
1,152
298
289
309
903
805
778
304
283
342
262
258
246
239
237
09
10
11
315
370
851
276
50%
409
612
614
493
446
03
75%
1,068
255
229
533
0
100%
公共
04
05
06
07
350
08
298
25%
277
12
0%
03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
単位:Billions of Dollars(十億ドル)
出典:U.S. Census Bureau of the Department of Commerce
2013 2–3
41
からの貢献に依拠している。雇用・所得環境、個人
が果たす役割も決して小さくない。大型インフラ分
消費、企業収益、設備投資のサイクルが回転を加速
野での恩恵は限定的ではあるものの、近隣諸国を合
化させ、経済成長との好循環が実現されれば、建設
わせた巨大経済圏(その戦略拠点としての米国)に対する
投資の上昇局面が確認できるものと考えられる。
日系企業の設備投資意欲は依然として旺盛である。
直近の円安基調が及ぼす影響を見定める必要はある
ものの、米国市場が有する潜在力や高付加価値製品
3. 日系ゼネコンにとっての米国建設市場
安定的な利益創出の場を求める ことに主眼を
置いた日系ゼネコンの海外展開がこの先進展すると
への受容性に対する日系企業の評価は引き続き高い
ものと考えられる。
予想されるが、日系企業の進出先や高度なインフラ
この巨大経済圏は持続的な成長を実現していく底力
需要、地理的近接度などを総合的に勘案すると、当
を十分に有しており、日系ゼネコンとしても、技術力・
面機軸となる地域は東南アジアが最有力である。
エンジニアリング力に裏打ちされた高品質なサービス
しかしながら、世界最大の建設市場を有する米国
の提供によって前進を続けていくことが期待される。
図2|建設投資の前年同月比(年率換算)の推移
❶全体(民間住宅+民間非住宅+公共)
❷民間住宅
20.0%
40.0%
10.0%
20.0%
0.0%
0.0%
-10.0%
-20.0%
-20.0%
2008
2009
2010
2011
2012
❸民間非住宅
-40.0%
20.0%
20.0%
10.0%
0.0%
0.0%
-20.0%
-10.0%
2008
2009
2010
2011
2012
出典:U.S. Census Bureau of the Department of Commerce
42
2009
2010
2011
2012
2008
2009
2010
2011
2012
❹公共
40.0%
-40.0%
2008
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
-20.0%
特集
ブラジル
山田 哲也[ブラジル戸田建設(株)取締役支配人]/サンパウロ支部
減税を実施し、消費を刺激している。その一方で設
1. ブラジル経済の推移
備投資については低迷が続いていると言われている。
(1)
2012年の回顧
連日のように新聞紙上においてブラジルのことが
金融政策面では、ブラジル中央銀行は 2011 年 8
掲載され、日本では右肩上がりの景気のよい国であ
月から利下げを実施しており、当時 12.5%であっ
ると認識されている方も多いと思うが、この国は難
た政策金利を段階的に引き下げ 2012 年 10 月には
しい問題も多々抱えている。
7.25%としてレアル相場のコントロールを行い続け
ている。
まずは昨年の経済状況を中心としたブラジルのこ
インフレについては、2011 年 12 月の前年同月比
とについて述べていきたいと思う。
6.5%から 2012 年 6 月には 4.9%まで緩やかに鈍化
2012 年のブラジル経済は、政府の財政・金融政
したものの、2012 年 12 月には 5.8%と再び上昇率
策で内需喚起を図ることで年後半からはあまり顕著
が上がっている。
政府の政策金利のコントロールは、
ではないものの、回復の兆しも見えてきたようであ
インフレ、為替の重大なポイントとなり政府が最も
る。ただし年間を通じてみると低調となった一昨年
重要視しているものだと言える。
(2011 年)の 2.7%の経済成長からさらに減速し、1%
(2)
2013年の動向
ブラジル経済の回復は少しずつ高まってくるとい
程度の成長に留まったと見られている。小売売上高
は前年比 9%増ペースで、消費は雇用市場の堅調さ
う見通しが多い。
を反映し依然として好調を維持しているものの、鉱
過去の金融緩和効果やレアルの適切なレートコン
工業生産が 2012 年 11 月までの過去 15 カ月中 14 カ
トロール、政府のインフラ投資向けの金融支援など
月で前年比減少となるなど不振が続いている。政府
が効果を発しそうであり、経済成長は 3%台になる
は 2011 年に続き家電や自動車の工業製品税(IPI)の
との見方が多い(2013 年 1 月 21 日に発表されたブラジル中銀
ブラジルと日本の年齢別人口分布図 CIA
(The world factbook)
Male
Brazil - 2012
Female
Male
Japan - 2012
100+
95 - 99
90 - 94
85 - 89
80 - 84
75 - 79
70 - 74
65 - 69
60 - 64
55 - 59
50 - 54
45 - 49
40 - 44
35 - 39
30 - 34
25 - 29
20 - 24
15 - 19
10 - 14
5-9
0-4
9
7.2
5.4
3.6
Population(in millions)
1.8
0
0
Age Group
Female
100+
95 - 99
90 - 94
85 - 89
80 - 84
75 - 79
70 - 74
65 - 69
60 - 64
55 - 59
50 - 54
45 - 49
40 - 44
35 - 39
30 - 34
25 - 29
20 - 24
15 - 19
10 - 14
5-9
0-4
1.8
3.6
5.4
7.2
9
Population(in millions)
6
4.8
3.6
2.4
Population(in millions)
1.2
0
0
Age Group
1.2
2.4
3.6
4.8
6
Population(in millions)
2013 2–3
43
予測データは 3.19%)
。
重要な輸出品目である鉄鉱石の国際市況は中国経
おり、企業の労働コストの高騰が経営に与える影響
は大きい(1 レアル 45 円にて計算)。
済への懸念などから大幅に下落した後、持ち直し始
また前頁の図に掲げるように日本に比較すると若
めており、景気の浮揚効果と共に輸出の減少による
年層が多い国なので消費については今後も右肩上が
貿易黒字の減少傾向の歯止めも期待されている。
りで伸びていくであろう。
海外からの直接投資は 2012 年も過去最高だった
2011 年に匹敵する水準を維持したと見られており、
2. ブラジルの建設市場の動向と見通し
直接投資だけで経常赤字を十分埋め合わせることが
2014 年の FIFA ワールドカップ、2016 年のリオデ
できる数字になっている。
ジャネイロオリンピックに続き、現在 2020 年の万
2011 年に発足したジウマ政権は汚職への厳しい
国博覧会をサンパウロに招致しようと活動中であ
対処などから国民の高い人気を維持しており、3 年
り、2013 年に開催地が決定する予定である(ほかの
目に入った 2013 年も無難に政権を運営しそうであ
候補地はタイ・アユタヤ、ロシア・エカテリンブルク、トルコ・
る。金利面では前述した通り 2012 年度に利下げが
イズミル、アラブ首長国連邦・ドバイ)
。仮にサンパウロ
実施されたため、2013 年についてはそれほど大幅
に決定となると、まさに日本の 1964 年東京オリン
な利下げはないと見られる。
ピック→ 1970 年大阪万博と同じような状況になっ
工業製品税の減税については 2013 年も減税率を
ているが(それに加え 12 都市で開催される FIFA ワールドカッ
下げながらではあるが、6 月までは続けていくこと
プもある)
、残念ながら現在の国内インフラ事情につ
が決まっている。しかしこの減税は既に麻薬中毒の
いては日本の 50 年前と変わらない状況、もしくは
ようにやめられなくなっていて、終了間際になると
それ以下であると言える。
対象企業(自動車や家電製品メーカー)が減税期間の延長
現在政府は目下の課題を脆弱なインフラの整備を
を政府に求め、
延長をするということが続いている。
大きな柱としており、今後もこの方面には多くの予
減税期間が終了するはずの 2013 年 7 月にどのよう
算が執行されることは明白である。
な反動が出てくるのかは懸念材料である。
世界経済フォーラムが発表した世界 144 カ国の競
失業率については依然として過去最低水準のレベ
争力ランキングにおいて、ブラジルは総合力では
ルで年平均 5.5%、2012 年 12 月は 4.6%となってお
48 位であるが、輸送分野で 107 位、道路状態が 123
り、こちらも低所得者を中心にインフレを押し上げ
位、鉄道が 100 位、空港が 134 位、港湾が 135 位と
る要因となりそうであるが、一方で ILO(国際労働機
惨憺たる実情であり、現在 GDP の 2%台に留まっ
関)は 2013 年に失業者は現在の 650 万人から 690 万
ている同分野への投資を 4∼ 6%に引き上げる必要
人(6.5%)に、2014 年には 700 万人(6.6%)との予
があると専門機関は発表している。
測を発表している。
また脆弱なインフラは輸送コストを大きくしてお
また月額最低賃金は昨年(2012 年)の 622 レアル
り建設業においては売上の 21%を占めているとさ
(27,990 円)か ら 2013 年 は 678 レ ア ル(30,510 円)と
れ、結果的に建設コストを押し上げることになって
約 9%の上昇、ここ 10 年間では約 3 倍の増となって
44
特集 2013年 海外市場の動向と見通し
しまっている。
2007 年より開始された PAC(経済成長加速化プログラ
てきている。
ム)において、2011 年までに承認された財政投資予
順調に外資を呼び込み生産施設をつくり続けてい
算は 226 億レアル(約 1 兆円)に達しているが、執行
る民間中心で行われる建築の分野とは違い、どうし
率は 68%に留まっており、さらに執行された工事
ても政府をはじめとする公共工事とならざるを得な
が完了したものとなると、わずか 7%、工事遅延が
い土木工事は、この国の抱える政治や役人の問題が
67%、残りが未着工という状態である。
とても大きく、必ず行われる大規模な工事があるの
遅延理由についてはいろいろあるが、大きなもの
は、予算承認が行われたのにもかかわらず各行政(連
邦、
州、
市)
の環境アセス認可が取れないというような、
は明白なのだが、一体いつ行われるかということは
断言できる人間はいないであろう。
民間の生産施設については昨年後半あたりから外
事前に行われていなければならないものができてお
資進出、国内業者の新規プロジェクトの規模や件数
らず、結果として工事遅延や工事中止といったこと
が減少してきているようであるが、引き続きある程
に繋がってきてしまっている。
度のボリュームは見込めそうである。
世界的にも有名なプロジェクトであるサンパウロ
また、気になる FIFA ワールドカップのスタジア
∼リオデジャネイロ間を結ぶ高速鉄道計画において
ムの建設状況であるが、委員会はおおむね順調であ
は、再三の入札延期が行われ 2014 年の開通を目指
ると発表しており、12 会場のうち既に 2 会場が完
して始まったプロジェクトは現在もまだ入札の仕切
成した。しかしこの国の「順調」という言葉はその
り直しを行っている段階で、2019 年に開通すると
場しのぎであることが多いので、FIFA 関係者も注
アナウンスはされているものの実現性は乏しくなっ
意を持って監視しているようである。
決勝戦の行われるリオデジャネイロ・マラカナンスタジアム改修
工事状況(2013年1月)
開幕戦の行われるサンパウロ・コリンチャンスアリーナ新築工事
状況(2013年1月)
2013 2–3
45
海外受注実績
(単位:百万円) 2. 地域別海外工事受注実績
1. 月別の海外工事受注実績
2012年度
月
件数
受注額
2011年度
件数
受注額
伸び率(%)
*受注額に
よる
本邦法人
40
21,501
30
29,903
-28.1%
4 現地法人
110
32,048
82
58,589
-45.3%
150
53,549
112
88,492
-39.5%
計
本邦法人
38
19,711
30
59,772
-67.0%
5 現地法人
163
97,407
96
33,955
186.9%
201
117,118
126
93,727
25.0%
本邦法人
51
30,968
47
42,939
6 現地法人
166
60,992
118
46,650
計
地域別
件数
本邦法人
アジア
計
35.0%
-47.6%
22.8%
70.7% 1,219
800,685
73.0%
-13.8%
-64.1%
115,100
10.5%
0
0
0.0%
0.0%
計
21
41,317
4.2%
25
115,100
10.5%
-64.1%
-27.9%
本邦法人
14
6,913
0.7%
17
27,681
2.5%
-75.0%
30.7%
アフリカ 現地法人
0
0
0.0%
0
0
0.0%
0.0%
2.6%
-73.4%
7 現地法人
126
67,567
79
35,734
89.1%
計
160
79,646
111
81,148
-1.9%
本邦法人
47
21,119
43
46,952
-55.0%
本邦法人
中南米 現地法人
119
34,754
92
30,496
14.0%
166
55,873
135
77,448
-27.9%
本邦法人
55
70,197
65
122,527
-42.7%
9 現地法人
141
72,452
112
55,383
30.8%
196 142,649
177
177,910
24
24,219
北米
計
14
6,913
0.7%
17
27,681
2.5%
-75.0%
本邦法人
17
4,303
0.4%
5
4,101
0.4%
4.9%
現地法人
100
173,137
17.7%
80
80,774
7.4% 114.3%
117 177,440
18.1%
85
84,875
7.8% 109.1%
2.1%
21
13,382
1.2%
計
計
56
20,473
53.0%
46
12,716
1.3%
34
7,838
0.7%
62.2%
102
33,189
3.4%
55
21,220
1.9%
56.4%
本邦法人
9
312
0.0%
4
891
0.1%
-65.0%
現地法人
35
6,486
0.7%
35
8,000
0.7%
-18.9%
-19.8%
計
44
6,798
0.7%
39
8,891
0.8%
-23.5%
-2.6%
本邦法人
1
1,009
0.1%
0
0
0.0%
−
本邦法人
28
10 現地法人
149
91,998
110
85,657
7.4%
177
115,584
134
109,876
5.2%
本邦法人
49
37,952
34
46,710
-18.7%
11 現地法人
115
57,259
90
32,861
74.2%
164
95,211
124
79,571
19.7%
本邦法人
34
9,557
35
85,437
-88.8%
12 現地法人
187
68,505
111
47,117
45.4%
221
78,062
146
132,554
-41.1%
本邦法人
37
20,225
26
48,274
-58.1%
1 現地法人
105
48,833
121
35,950
35.8%
計
142
69,058
147
84,224
-18.0%
本邦法人
36
32,273
47
49,877
-35.3%
39.5%
108
45,294
84
32,469
144
77,567
131
82,346
-5.8%
累 本邦法人 449
計 現地法人 1,489
299,168
413
602,024
-50.3%
677,109 1,095
494,861
36.8%
1,938 976,277 1,508 1,096,885
-11.0%
46
38.0%
25
45,414
総合計
416,608
384,077
4.2%
89,589
計
317
902
0.0%
32
2 現地法人
22.4%
48.3%
0
165
計
伸び率(%)
構成比 *受注額に
(%) よる
41,317
91,960
計
受注額
0
12,079
計
件数
21
34
23,586
1,561 689,990
構成比
(%)
本邦法人
217
計
471,718
2011年度
現地法人
中東
計
計
受注額
301 218,272
現地法人 1,260
本邦法人
8 現地法人
(単位:百万円)
2012年度
欧州
東欧
現地法人
47
13,036
1.3%
41
14,099
1.3%
-7.5%
計
48
14,045
1.4%
41
14,099
1.3%
-0.4%
30
6,569
0.7%
24
24,261
2.2%
-72.9%
1
16
0.0%
3
73
0.0%
-78.1%
31
6,585
0.7%
27
24,334
2.2%
-72.9%
30.6%
413
602,024
54.9%
-50.3%
69.4% 1,095
494,861
45.1%
36.8%
1,938 976,277 100.0% 1,508 1,096,885 100.0%
-11.0%
本邦法人
大洋州
現地法人
その他
計
累計
本邦法人
449 299,168
現地法人 1,489
総合計
677,109
3. 本邦・現法主要工事〈10億円以上〉
〈1月受注分〉
(単位:百万円)
国 名
件 名
A社天津工場増築
中国
契約金額
1,724
会社名
竹中工務店
中国
A社天津工場新築
2,370
竹中工務店
香港
M社地下鉄建設工事
3,683
西松建設
香港
MTR高速鉄道823A工区設計変更
2,012
前田建設工業
香港
MTR高速鉄道823B工区設計変更
3,013
前田建設工業
カンボジア
洪水対策支援計画
1,088
間組
シンガポール
U社ショッピングモール
7,502
鹿島建設
インドネシア
A社第2工場新築工事
1,012
大成建設
インド
A社テクニカルセンター
1,204
竹中工務店
グルジア
グルジア東西道路ゼスタフォニ工区道路改良工事
2,224
竹中土木
スーダン
カッサラ市給水新設
1,412
鴻池組
米国
商業施設建設工事
1,781
大林組
米国
オフィスビル建設工事
10,261
大林組
米国
水処理施設建設工事
2,066
大林組
グアム
A社向け病院新築電気設備工事
1,186
きんでん
〈2月受注分〉
(単位:百万円)
国 名
件 名
契約金額
会社名
中国
T社新工場建設
1,472
清水建設
ベトナム
K社ベトナム工場拡張工事(第二期)
1,139
前田建設工業
タイ
G社新工場建設
2,116
清水建設
タイ
B社電子機器製造工場M工事
1,150
大気社
タイ
N社工場復旧工事
1,019
大成建設
タイ
G社工場建設工事
1,599
西松建設
タイ
B社工場新築工事
1,382
間組
マレーシア
工場新築工事
1,760
大林組
マレ−シア
Q社工場拡張工事(追加)
2,847
鹿島建設
シンガポ−ル
コンテナターミナル建設工事追加工事
1,102
五洋建設
シンガポ−ル
N社ホテル及び住宅新築工事
5,141
三井住友建設
インド
I社工場新築2期
1,338
清水建設
アルジェリア
アルジェリア東西高速道路建設JV(追加)
14,395
鹿島建設
アルジェリア
東西高速道路(追加分)
1,801
間組
コンゴ(民主共和国)
キンシャサ特別州国立職業訓練校整備計画
1,213
大日本土木
米国
コンドミニアム建設
9,910
鹿島建設
米国
工場増築
2,420
鹿島建設
米国
橋改修
2,540
鹿島建設
メキシコ
L社工場新築
1,262
清水建設
2013 2–3
47
主要会議・行事
とき
ところ
1月7日(月) OCAJI
東京プリンスホテル
6日(日)∼9日(水) インド
15日(火) フィリピン
主要会議・行事
仕事始め
建設業11団体主催新年賀詞交歓会
第40回IFAWPCA大会(インド・KERALA州Kochi)
アジア経営大学(AIM)
との交流協定書調印
17日(木) 東京プリンスホテル
海外建設協会 新年懇親会
29日(火) OCAJI
第10回海建塾(会計編)
30日(水) OCAJI
第3回契約管理研究会
2月4日(月)∼ 6日(水) マツダホール
国際コミュニケーションセミナー
4日(月) 浜離宮建設プラザ
新任国土交通アタッシェとの連絡会
5日(火) OCAJI
第8回月例セミナー「カンボジア・プロジェクトの活動について」
6日(水) 東大・本郷C11号館
・8日(金) OCAJI
7日(木)
13日(水) ニューオータニ
OCAJI
14日(木) 現場(都内ほか)
東京大学就職FORUM
第2回海外要員養成講座
カタールセミナー
国土交通省カタール要人夕食会
カタール視察団現場視察
18日(月)∼20日(水) マツダホール
国際建設プロジェクトマネジメントセミナー
18日(月)∼27日(水) ウズベキスタン
案件形成調査
19日(火) OCAJI
第1回広報企画部会
OCAJI
第3回無償研究会
20日(水) OCAJI
第5回有償研究会
OCAJI
OCAJI
22日(金) エンパイヤビル
24日(日)∼3/2(土) ミャンマー
第9回月例セミナー「海外事業における危機管理について」
第7回総務委員会運営部会
国土交通省 判例集&DABセミナー
ミャンマー調査団
編集後記
今回、海外支部から寄せられた各国建設市場の見通しによると、アジア
はインフラ投資の増加や民間投資の回復により経済の減速傾向は底打ちし、
2013 年以降はさらなる成長に期待できるとしている。米国はオバマ効果で
緩やかな回復基調にあり、欧州、ブラジル経済は依然として不透明ではある
ものの、2012 年以降期待できると予測している。中東も一時の危機を脱し、
2022 年 FIFA ワールドカップの開催国として決定されたことから、今後膨大
なインフラ需要が見込まれている。
2012 年度の海外受注実績は、昨年度以降、増加に転じる明るい兆候が見
られはじめている。今後の会員会社の海外活動の支援に注力したい。
(OCAJI 編集室 I)
48
INFORMATION
当協会は平成 24 年 4 月1日をもって
一般社団法人 海外建設協会
に移 行しました 。
「海外建設分野人材登録制度」
ご案内と登録募集
当協会は、海外建設分野において豊富な実務経験とノウハウを有する当協会会員各社の退職
者および退職予定者の方を対象とする「海外建設分野人材登録制度」を創設いたしました。
本制度は、当協会会員企業の退職者等の再就職機会の拡大および当協会会員企業等の人材確
保の促進に資することを目的に、求職・求人データの登録および提供を行おうとするものです。
現在、会員の本社および海外部門の人事ご担当者を通じ、本制度を社内および OB 関係者に広
くご案内いただいており、随時、求職および求人の登録を受け付けております。今後、多くの
ご関係者の登録をお待ちしております。
本制度の内容および具体的な登録方法など詳細のお問い合わせと資料請求は、当協会事務局
あてにご連絡ください。
求人の照会、雇用の
交渉、紹介・斡旋の
協議の結果報告
求職者
会員企業の退職者および
退職予定者
海外建設協会 事務局
人材データベース
求人の照会、雇用の交渉
求職の照会、雇用の交渉
求職の照会、雇用の
交渉、紹介・斡旋の
協議の結果報告
求人者
会員企業および協会が設定した海外
建設関係公益法人の会員企業
©一般社団法人 海外建設協会
Printed in Japan
一般社団法人 海外建設協会
〒 104-0032 東京都中央区八丁堀 2-24-2 日米ビル 7F
Tel. 03-3553-1631(代表) Fax. 03-3551-0148
E-mail:[email protected] HP:http://www.ocaji.or.jp