部落解放同盟草津市協議会と市長との懇談会

部落解放同盟草津市協議会と市長との懇談会
日
時
平成23年8月10日(水)19時30分~21時00分
場
所
常盤東総合センター 多目的室
参 加 者
部落解放同盟草津市協議会 議長他24人
【懇談会概要】
(議長)
皆さんこんばんは。お仕事でお疲れのところお集まりいただきありがとうございます。橋川市
長も大変お忙しいところありがとうございます。我々解放同盟は、今も続いているねたみや誹謗
中傷にも負けずに、積極的に啓蒙啓発活動をしてきたところですが、これは市長をはじめこれま
で行政職員の方々の後押しがあったからだと思っております。ただ市長が代わられてから、施策
の見直しや隣保館のあり方の見直しなど、これまでの同和行政に対する見直しがかけられ、悪く
考えると同和行政を全て打ち切ると考えておられるのではと心配しています。インターネットの
ブログなどいろんな問題が続いているなかで、我々と行政が一対となって取り組んでいかなけれ
ば解決はないと思っています。正直、市長への信頼という部分が欠落しかけており、解放運動自
体が弱体化しつつあります。もう一度我々の思いを聞いていただき、これからの同和行政に活か
していただければと思い、この場を設けさせていただきました。今日は市長さんの考えを聞かせ
ていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
(市長)
皆さんこんばんは。今、議長さんからお話がありましたけれども、今日の場というのは、
同和行政あるいは同和問題を初めとするあらゆる差別をいかに一日も早くなくしていくか基
本的な認識のなかで、今後行政があるいは皆様のこれまでの自立に向けた取り組み、共通の
目標に向かってのあり方について意見交換ができたらという思いで寄せていただいておりま
すので、よろしくお願い申しあげます。
(議長)
本日参加しているメンバーは、草津市協の常任委員であり各支部の代表役員です。時間の
関係で自己紹介を省略し、申し合わせのとおり各支部から一つということでお願いします。
あくまでも懇談会ですので、市長と打ち解けるというのが目的ですのでよろしくお願いしま
す。まず全般的なこととして「同和行政の考え方」についてお聞かせいただきたい。
(市長)
同和行政というのは、歴史的な経過からみて未だに残っている差別をなくしていくため、
言うまでもなく国民的課題、行政の責務であるということでこれまで取り組んできました。
実態的差別よりも心理的差別がいろいろなところで表れてきたり、陰湿ななかで起こってい
ると認識しております。同和問題をはじめあらゆる人権に関わるような差別までパワーアッ
プしたなかでの、人権行政、差別をなくすための取組というのは、いろんな教育の分野とか、
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場合によっては仕組みづくり、システムをつくることを意見交換しながら、行政として取り
組んでいかなければならない、行政に課せられた課題、仕事であると考えております。
(議長)
今の解釈としては、同和行政については、同和問題の一日も早い解消に向けて積極的に取
り組むと言っていただいたということでよろしいですかね。
(市長)
同和問題もそうですし、人権問題も差別の解決に向けて取り組んでいかなければならない
と考えています。
(同盟員)
同和問題の解決を草津市は人権問題全体を網羅したなかでやっていくと聞きました。今ブ
ログのことが問題になっています。鳥取ループ、共産党、オンブズマンなど同和行政に関す
る様々な書き込みがされており、草津市が浮ついているような感じがします。毅然とした対
応をしていくという前向きなところを見せてほしいし、我々運動団体と協議しながらきちん
とやっていかなければならない問題だと思う。そのことに対して、今後の同和行政の対応の
仕方を聞きたい。実際同対法ができ、今日まで差別解消のための取り組みがされてきたが、
先ほども言われたように、実態的差別が解消されてきたが心理的差別が未だに残っている状
態が、いろんな形で社会の中に出てきている。やはり一般社会との格差は続いており、まだ
まだ差別があると思っている。やはり法という枠組みが切れて、ちょっとおろそかになって
いるように思う。同和行政として今後部落問題の解決にあたり、事業、啓発について細かく
聞かせていただきたい。
(市長)
まずブログの問題ですが、インターネットによる差別書き込みなどが後をたたない状況で
す。市としてもこれを許すことはできませんので、事あるごとにプロバイダーなど業者の方
で削除させたり追及するような法制度をつくるよう県や国に要望しています。こういう取り
組みは今後も続けていきたいと思います。
2点目でございますが、特別対策や個人給付的施策の見直しをして方針を出させていただ
いたところです。私の考えとしては、今は情報の公開、透明化が求められる時代ですので、
外部の検討委員会をもうけて見直しをしていただいたところです。廃止する事業もあるが、
一般施策として工夫や置き換えなどで進めていこうと一定の方針を出したところです。なぜ
そういう形ということですが、個人給付的施策、特別対策というのは、今の時代においては、
今後も続けることが果たして差別の解消になるのかということもありますし、それによって
逆に差別意識を生んでしまうというようなことも、検討委員会の議論のなかで集約されたと
ころです。私としても今言った形で整理すべきであると思っているところです。ただ、一般
施策化というのは、全てイコールで特別対策を全部一般対策に置き換えるとなりますと、市
の財政規模ではとても対応ができませんので、財政的な検討をしながら、どこまでできるか、
できないかという検討をしていかなければならないと思っております。同和施策のなかから
一般対策として定着しているのが「教科書の無償化」でありますが、市として対応できるも
のはそうですが、国や県という大きななかで取り組む必要があるものについては、要望して
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いかなければならないと思っております。
(同盟員)
較差問題があることについて、市長さんのお考えを教えてください。
(市長)
較差は、調査の結果まだまだあります。ただ今の経済状況のなかでは、一般地区において
も、所得だけでなく就職などいろんな面で広がっている社会状況であると思っております。
(同盟員)
皆がしんどいのはわかるが、実態調査の中にはそれ以上に較差が出ていますね。
(市長)
較差というのは個人と個人の較差だと思います。低所得というのは国全体の中にあるし、
そういう差があるなかで施策を打つのなら、押し並べてではなく、所得制限をもうけて較差
があるところに手立てを打つべきだと思っています。就労も所得に跳ね返ってくると思いま
す。
(同盟員)
一般の較差と我々の較差は違うものだと捉えている。差別の中で生まれた較差であり、歴
史のなかにあって、事業のなかである程度もっていってくれた。差別のなかでの較差を尐し
でも縮めていこうと、豊かな生活にしていきたいと思っている。
(市長)
較差の原因は心理的差別から出ていると思う。それをなくすには、教育を粘り強くやって
いくことだと思う。特別対策や個人給付的施策で差別がなくなるわけではないし、逆差別に
つながることもある。所得で見て較差をなくすための一般施策をやっていくということと、
心理的差別をなくしていく原因のところをやる施策を分けて考えなくてはならないと思って
いる。
(同盟員)
ブログのことを言われ、透明化についてもわかるのですが、いつまでも心理的差別は何百
年と続いているわけですね。ブログにはいろんな差別的なことが書いてあります。それを削
除する条例をつくっている市町村があると思いますが、それに対してはどうですか。
(市長)
インターネットの世界というのは全世界で、尐なくとも日本の国の法律で対応してもらわ
ないといけないと思います。条例は草津市域だけのものです。
(同盟員)
先ほどあらゆる差別をなくすと言われたが、子どもがブログを見るわけです。命を大切に
することが基本です。差別的な書き込みに対する条例を作っているところもある。草津市も
勉強して条例をつくってもらわないといつまでもこういったことが続きます。差別が根深く
なり拡大するので、市町村会や県にお願いしてもらって、草津市が切り札に立ってやっても
らいたい。
(議長)
これ(落書き防止条例の制定について)は、市協として要求して検討してもらっている部
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分ですので。
(市長)
落書き防止条例は検討している部分があります。ブログ、インターネットの件は正直検討
しておりません。提案があったということで検討しますが、ただ市の条例だけでは制限が有
効ではないと思います。プロバイダーは全国的なもので、場合によっては外国にあり、これ
は国家の力で法律の力でやらないとできないと思います。
(同盟員)
できないけれども考えを持っていただきたい。大阪の知事が市長を集めてやっておられま
す。差別落書きも消したら終わりというものではないと思います。
(市長)
草津市は、これは重大な課題だという認識のなかで、プロバイダーの制限をする法律をつ
くってくれと過去から県や近畿市長会にも挙げていますが、まだ国は動いてくれません。
(人権政策部長)
プロバイダー責任法の改正を国県に要望しております。草津市だけの問題ではないので、
近畿市長会でも取り上げていただき要望されています。湖南4市と湖南市、甲賀市とで、人
権確立の要求団体として関係団体と連携して法整備について国に働きかけています。
(議長)
最近の書き込みは差別かどうか判断がつかないものがあります。特に鳥取ループのブログ
の中には事実もあると思う。これは行政としてやらなあかんからやっていると強く言っても
らえたら我々も安心するのですが、何かおろおろとされている気がします。行政の責務とし
て強い意識を持ってやっていただきたいと思います。
(同盟員)
差別を解消するために、行政と解放同盟は両輪になって長年やってきました。我々はその
信頼のもとで啓発活動や自立に向けた活動を進めてきたわけですが、市長が代わられてから
は、施策の見直しを含めて全て断ち切ってきているように思えます。法律ができる以前の形
に戻っているようで、市長への信頼は薄れてきている。その辺をどのように考えておられる
かお聞きしたい。世間ではブログなどいろんなことが出ています。そのなかで行政はバタバ
タしているのではないかと。先ほど市長が「同和問題は今も残っている。差別をなくすため
にやっていく。実態的差別よりも心理的差別が多くなった。そのために仕組みづくり、シス
テムづくりをしないといけない。
」と言ってくれました。今日の「人権と部落問題」に載って
いるんですが、「同和行政をやっていくなかでこれは必要だ。だからこの施策、取組が必要
だ。」ということをきちんと出してくれたら市民の理解が得られると思うんです。その辺が押
さえられていないからどうなっているのかということで、バタバタしているように思います。
鳥取ループもそうですが、共産党の議員が「草津市同和事業の見直しの概要」ということで
一定の評価を出しています。見直しがされて良い方向に向かっていると言われているが、現
実には差別が残っています。この差別をなくすためのシステム、仕組みづくりを構築しなあ
かんと言われている。そのことをもっと声を出して言えたら、いくら出されても「違う」と
言える。どうも行政は風評被害に惑わされて中途半端に終わっている。だから市長に対する
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不信感、同和行政に対する不信感が出てきている。それをお聞きしたい。
(市長)
私は同和差別、人権にかかわるいろんな差別をなくしていかなければいけないと思ってい
ます。差別をなくしていくための手段として、仕組みとして何をしていくかということを十
分論議しなければいけないと思っています。特別対策や個人給付的施策で一定の役割を果た
したものもあるし、一般施策化で広く較差の部分をとらまえてやっていく必要もあります。
それを残すことにより逆差別を生むならば、差別をなくすことに反するということで、検討
委員会の整理をされ答申をいただきました。私もそうだということで方針をたてたというこ
とです。どういう手段、仕組みで差別をなくしていくか、心理的差別にあってはやはりどう
いう教育をするかということだと思っています。今までやってきたことでは差別の解消には
ならないので、どういうところに問題があって、さらに改善してやっていくかについては、
皆さんと話をしていかなければならないと思っています。ただ、今までやってきたことをそ
のまま継続してやっていくだけではいけないのではないかと思う。今後の隣保館のあり方、
機能についても審議会で審議を始めていただいておりますが、隣保館のあり方をどうしてい
くかにも大いに関わってくることだと思っております。
(同盟員)
特別対策から一般対策へ創意工夫と言われるが、創意工夫の顔が見えてこないんです。僕
等に出せということですか。両輪となって行政は創意工夫を考えているがどうなんやと、こ
れに対してどう思いますか。今同和教育のなかで顔が見えないと言われている。命が見えな
くなっている。年間自殺者が3万人超えている。顔が見えて命が見えたら自殺者は半減する
んです。創意工夫を見せてほしいんです。文字、法律や言葉だけで終わっているという疑心
暗鬼が僕等のなかにあるんです。行政の顔が見えないということです。
(市長)
一般施策化するという項目がいくつかありますが、どういう形で具体的な制度としてでき
るのか検討していきます。しかしながら国、県、市の役割があるなかで、国レベルならでき
るけれども草津市だけでは財政規模的にできないこともありますので、検討して結果を出し
ていかなければならないと思っています。
(同盟員)
予算的な話はあかん。
(同盟員)
全体的に厳しい世の中になっています。お金もいるかもしれないが、その前に知恵を出し
合う。ある日突然にバサッと切っていく。事前に話があれば顔が見えてくるのですが、昨日
と今日と顔が全然違う。姿が違う。見えない。そうではなくて、お互いに今までやってきた
両輪の輪というものをもっと大事にしていけば、不信感、疑心暗鬼になることもないのでは
ないかなと、これからも継続してほしいと思っているわけです。
(市長)
検討委員会や隣保館等運営審議会のなかでの意見、検討も踏まえないといけません。検討
委員会に地域の方や市民公募の方にも入ってもらっても、すぐに検討ができるわけではない
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ので、各地域、隣保館の状況も踏まえて検討いただくというやり方で進めています。
(同盟員)
同和地区と言われて今日まで厳しい中やってきましたが、特別法により道路や建物は良く
なりました。それは目に見えてよくわかるのですが、特別法が切れて一般対策になったわけ
ですが、生活格差はまだまだ厳しいものがあります。それと就職については、我々同和地区
だけではなく一般地区においても厳しい状況におかれております。そのことで地区に対する
不満や中傷も現実に出てきております。これまでの施策の打ち切りではなく、市民全体を考
えた中で厳しい方もおられますので、同和地区に特定してくれとは言えませんが、市長さん
の考えを聞かせてほしいと思います。
(市長)
一般施策化をしていく検討項目は、保育料の減免などたくさんあります。どうしたら一般
施策化ができるか、財政的にどれだけの経費がいるのかを考えて、その場合に所得制限をど
こにするか、あるいは制度をどういう体制にするかとか、十分検討して打ち出していかなけ
ればならないと思っています。
(同盟員)
市民の中にはかなり厳しい方もおられます。同和問題を今までやってきたおかげでそこら
に繋げていくような、今まで特別法で良くなっただけではなく、一般市民の困っている人に
も全体に上げていってほしいと思っています。
(同盟員)
較差には2通りある。同和対策事業の施策により同和地区は底上げされたが、較差が縮ま
ったわけではない。もう1つの較差は、「なんで同和地区だけがしてもらうのか、おかしい。」
と言われる。市長が言われたように、今でも実態的差別、心理的差別がある。一般のなかで
は言われる人はない。僕等は底上げされて較差が縮まったとは思っていない。一般社会のな
かの不況によって縮まっただけで。そこらをわかってもらわないと、そのことを踏まえて較
差に取り組んでもらいたい。そういう現実があって解消されていないということを。間口だ
けが広がってしまって。実際僕等が思っている較差が何なのか行政にわかってもらわなかっ
たら。片方では財政が厳しいという言葉が出てきたり、市民の理解を得ないとあかんと言わ
れたり、同和地区に対する風評被害、そのなかでやっていかなあかんと言うのなら、毅然と
したものをつくってもらったらそれは理解してもらえることに繋がると思う。
(市長)
実態的差別の面での較差については大分縮小されて、国でも財源措置を打ち切った状況で
すね。心理的差別は依然として残っており、差別の原因はいろいろあると思います。特別対
策による部落差別意識というのも正直あります。それをなくすためには一般施策化が必要だ
と思っております。そういう意味での較差をなくす努力はしていかなければならないという
思いであります。
(議長)
逆差別的な部分については、今までから何年も言わせてもらったのですが、行政からなぜ
この施策をしてきたのかという市民への周知が十分できていなかったからねたみ意識が起こ
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っていると考えています。市長がマニフェストにあげておられる「三現主義」で、市民の目
線に立ったという部分ですが、市民の目線に我々が含まれてないのではないかと思います。
いろんな施策の見直しや隣保館のあり方について検討委員会がつくられて、昨年度も現場の
声ということで、4地区を回っていただいたときに、我々としては恥をかきながら言いたく
ないことも聞いてもらいたいということで、一生懸命話をさせてもらったのですが、結果的
にはほとんどが打ち切りという形で聞き入れられていないように感じました。市長の言われ
る「三現主義」の考え方というのを聞かせていただきたいのですが。
(市長)
「三現主義」とは「現場主義」ということで、現場に行って現実を見ないといけないとい
う私のモットーです。私自身も進めなければなりませんし、市全体で取り組みをしなければ
ならないと職員にも訴えております。検討委員会の場合においても、現場のことをきちんと
聞いたうえで最終まとめなければいけないということで、あらゆる場において、三現主義と
いう形で進めていくのが基本であります。ただ不十分なところがあることについては、さら
にきちんとやっていくように促していかなければならんと思っております。
(議長)
現場の声を聞くという部分で、聞いてもらっているのかなと感じたわけです。一生懸命言
った部分が聞き入れてもらってないということは、聞いてもらってないととれます。言った
ことを聞くというのは、それを活かしてもらえると解釈していますので、その辺の考え方が
ちょっと違うのかなと感じましたので、今後は我々の声をもっと聞いていただきたいと思い
ます。
(市長)
言われたことを100パーセント実現できるかというと、実際問題いろんな制約があるな
かではできないし、議会とのやりとりをしながら市の政策や予算というのは決まっていくと
いうことであります。現場の願いとか思いはよくわかるのですが、全てやってたらいくら予
算があっても足りませんし、そこは一定の共通理解できるところで整理していかなければな
らんということです。
(同盟員)
予算はあんた次第。議会と話しをするのも。本当に差別をなくそうと、草津市民ひとり一
人を平和にしようとするなら、
「これだけは残したい。
」という気持ちでやってもらわないと
あかん。
(同盟員)
差別をなくすには当事者の話を聞かなあかん。いろいろ聞いてもらったがそれが反映され
ていない。検討委員会に4地区の人が入っているが、我々からみたら形式的でただ入れてお
かんとあかんということで同促理事という形で入ったが、そうではないと思う。本当に差別
をなくしていくというなら形式的ではなく当事者の参加の保証。部落解放、人権確立のため
の市民活動についても行政として支援策を積極的に導入していってやらんと地区ばかりがや
っていくことになる。道や家ができても実態的差別はまだ解決してない。まして心理的差別
も解決してない。草津の行政は「部落差別がある限りは同和行政を・・・」と言うのなら部
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落問題の解決に責任をもつ同和行政でなかったらあかん。だから総合的な行政のなかで同和
行政はどうなんかきっちり押さえていかないとあかん。特措法ができて事業をするのはいい
が、事業を先行してきたおかげでねたみが出てきた。社会情勢が落ち込んだだけで較差は従
来と変わっていない。特別対策から一般対策と言いながら、蓋を開けたら施策を切るような
状況に走っている。尐なくとも草津が「差別が現存する限りは」と言っている以上は、よそ
はよそ、草津はやっていくというトップの姿勢をみたいと思う。市長ひとりの考えではない
と思うが、行政職員が本当にその気になって「この問題をなくす」と動いてくれたらと思う。
市長が号令かけて施策をやっていってくれたらと思う。財源がないのもわかっています。一
般対策に工夫をこらすと言うが、一般対策がないものがある。
(市長)
今のことは基本方針に示した形でさせていただきたいと思っています。
(同盟員)
今同和教育が人権教育になっています。だから部落差別をはじめあらゆる差別となってき
た。今までの同和行政が人権行政になっていくのではないかと思う。そうではないと思う。
同和行政は消えるものではないと思う。人権教育になって丸く収まってきたように見える。
部落差別、同和行政に目を向けようとしない、行政は同和行政から人権行政に移っても支障
がない。この前栗東市のひだまりの家で研修を受けた時に、林力さんが「人権教育のマニュ
アルに基づいてやったら村に行く必要がない。」と言われた。今までの同和行政は市長が言わ
れた三現主義で現場主義だった。人権行政になったら村に行かなくていいとなるのではない
かと思う。その思いが行政職員さんに多々見られる。いつまで同和行政をしているのか、人
権行政をした方がいいのと違うかというのが見て取れる。でもそれは違うと思う。部落差別、
実態的差別、心理的差別がある。それをしてもらわなかったら差別はなくならない。市長は
それをしようとしているのやろ。
(市長)
差別意識を変えていくことが非常に大事だと思う。そうなると同和問題をはじめとするあ
らゆる差別をなくす取組をしなければならないと思います。
(同盟員)
根本的に草津市の考えはおかしい。地対財特法が切れた時点で啓発が足らなかったという
こと。法律が切れていつまで草津市は同和教育をやっているのかと言われて、それに対して
私が言ったから初めて「めざめ」に載せようかという気持ちになった。その啓発が市民に届
いてないから、いつまで同和行政、同和教育をやっているのかと言われる。我々の言うこと
を聞かずに一市民の言うことを聞いて見直しとかの問題が出てくる。そういう大事なことの
啓発が足らない。そういう機会をつくってもらって学習をやらないとあかん。我々も市長も
お互いに勉強しないといけない。
(同盟員)
私たちの生の声に向かってお願いしたい。それと実態的な差別がなくなったと言われたが、
どういうものか教えてください。
(市長)
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住宅や道路などの環境で目に見えるものが実態的差別だと思っています。
(同盟員)
心理的差別とは書き込みとかだけですか。
(市長)
心理的差別は意識のなかにあるものだから、書き込みで表れたり、就職の面接の場で表れ
たり、結婚の段階で身元調査で表れたり、地名総鑑で表れたりといろいろなところにあると
思っています。
(同盟員)
見直し検討委員会が終わって隣保館等運営審議会をしているが、草津市のなかで他でも検
討委員会をやりながら予算を減らしたりすることはあるのですか。
(市長)
事業仕分けもそうです。やり方はいろんな方法でやってます。
(同盟員)
事業仕分けはなくなりましたからね。
(市長)
事業仕分けは二年間やらせてもらいました。
(同盟員)
隣保館というのはものすごく大事なところなんです。
(市長)
隣保館の今後のあり方については、事業仕分けの手法ではだめだと思っていますので。
(同盟員)
会館を見に来て、2~3分で話を聞いて外目だけ見て帰るのではなくて。私たちは行政と
いっしょに共にやっていこうと一生懸命努力をして、ここがなかったら救われないと言う声
がたくさんあるのに、なぜ隣保館つぶしをするのですか。もっと私たちと身近に話をしてほ
しい。それと私の息子は地区外の人と恋愛して実際今差別を受けています。そのお母さんお
父さんは「同和地区の人は人間と違うと言われている。」と言われます。今そんな話をされる
んですよ。これは実態的な差別、心理的な差別が全部あります。息子は本当に死にかけまし
た。命にかかわる実態的、心理的差別をきっちりと市長さんが「こういう差別があります。
」
と先頭に立って共産党とも戦ってください。言ってください。嫁は帰るところがないのです。
「人間ではない。血の色が違う。
」とまだ言っているのか思われるかもしれませんが。矢倉学
区は同和をとって人権に替えよと言っているでしょう。でも矢倉にはいっぱい地区の人がい
ますよ。基本姿勢で答えますとか言わずに、こういうことをもっと事実を見て、生の声を聞
く機会をつくってもらってお話をお願いしたいと思います。
(議長)
今日は初めに言いましたように、市長と打ち解けようという目的で開かせてもらっている
のですが、今日の市長さんの話をずっと聞かせてもらっていますと、同和問題の解決という
のはあらゆる人権問題の解決の中にあるというように思えます。これまでの行政は、同和問
題は人権問題の一番の柱だと、だからこれに向かって積極的に取り組むという謳い文句でず
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っとこられた。我々は人権問題のなかで一番だととらえているのに、同和問題だけじゃなく
てあらゆる人権問題の解決だと、なんか同和問題を一番だと考えてもらってないのかと思え
て仕方がないんです。同和問題の解決に対する運動は我々はプロだと思っていますので、我々
と積極的に解決しようと考えてもらっている行政が、一緒に戦っていかなければ本当に解決
していかないと思いますので、そのあたりのことを市長さんの考えを聞かせていただきたい
と思います。
(市長)
同和問題をはじめとするあらゆる人権問題をなくしていくための取組をしなければいけな
いと思っています。元々同和問題ということでの啓発もそうですが、問題意識というのがあ
ってそこからいろんな人権問題が出てきているというか、明らかになってきているというこ
とです。男女、障害者、外国人などの差別が如実になっているのは、同和問題というものが
あったから、それが原点であると思っています。これを解決していかなければ人権問題も解
決できない状況があると思う。だからその部分の意識を変えていかなければならないという
とらまえで取り組まなければならないと思います。
(議長)
今市長が言っていただきましたように、同和問題の解決をなくしては他のあらゆる差別の
解決はないと思っていますので、積極的に考えていただければと思います。市長さんは同和
行政を打ち切ろうと考えておられるのかなと思っていましたので、そのあたりを払拭するた
めに、市長さんが積極的に同和問題の解決をやるというような意欲、意識、姿勢が感じられ
るようにお願いしたいと言うのが我々の願いです。
(同盟員)
多分そんなことはないと思うのですが、隣保館はどんな施設かわかってくれていますか、
部長。社会福祉事業法第2種という国の法律に基づいたものなんです。なのに全国各地、滋
賀県各地でつぶされていく。あれは法律にあるんです。草津市は隣保館の見直しをやってい
ますが、国の法律に反するような今後の隣保館のあり方はやめていただきたい。市長はご存
知ですね。社会福祉事業法第2種に基づいて建っている、隣保館の目的は何やと、それを踏
まえながら今やっていただいている今後の隣保館のあり方について、それなりのものが出し
てもらえると思っています。それを期待しています。
(同盟員)
同和教育の啓発のマニュアルがあると思う。それをもっと具体的に社会同和、学校同和、
保育所、所長、用務員、校長、教頭などそれぞれいろんな状況があると思う。教育委員会と
相談しながら、草津市独自の同和教育啓発マニュアルをつくってほしい。
(市長)
共通するところは共通認識でやらないかんと思う。職種によって違いがあるのか。
(同盟員)
校長、用務員が一緒だったらおかしい。学校の教師でもばらばらや。毎年いろんな研修を
しているが、長い人で3年、6年の人もいるが一からの人がいっぱいいる。教育、啓発が大
事と言うなら市として基本のものを持っててやらなかったらあかんと思う。
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(同盟員)
検討委員会の見直しがあるのですが、草津市の基本姿勢をきっちりと目標と目的を出して、
みんなに納得してもらえるようなものをお願いしたい。一般の人と肩を並べていくだけの力
をつけるには何が必要か、もう一度見直してもらわなかったら何十年同じことの繰り返しで
す。今一番困っているのは、高齢者の方が若い時に差別により就職できなくて年金がありま
せん。年金のない方は生活保護のお世話になるのですが、認知が始まったりするとお金のこ
とが絡んで悩んでいる実態もありますので、草津市が地域に対する目標目的をきっちりと出
してほしいと思います。
(市長)
問題がでていることを解決していくのは、行政の取組のなかでも大事なことだと思います。
(議長)
この6日に行われました市の同和教育研究大会で、北口先生が「同和問題の早期解決には
教育と啓発だけではあかん。社会システムを構築していかないとあかん。法整備、制度をつ
くっていかないと解決はない。
」と言われていました。そのことは、今日市長がこれから取り
組んでいくと言っていただきましたので、私の方は安心したところですが、我々はこれから
も同和問題の解決に向けて精一杯頑張っていきたいと思っていますので、一緒になって一体
となってこれからも積極的な同和行政を進めていただきますことをお願いいたしまして終わ
らせていただきたいと思います。最後に何かございましたらお話しいただければと思います。
(市長)
今日は皆さんから現場の声を聞かせていただきました。まだまだ言い足りないこともあろ
うかと思いますが、特に較差の問題であるとか、取り組んでいる見直しについても、私なり
の思いを話させてもらいましたわけですが、取組についてもお互いの中で意見交換も含めて
進めないといけないと思っているところです。基本はいかに差別を一日も早くなくしていく
かという共通の目的のために、お互い取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願
いします。
(議長)
今日は市長さん、また部長さん以下ありがとうございました。これで懇談会を終了させて
いただきます。
以上
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