『漂泊の王の伝説』 『ウォーム・ボディーズゾンビRの

2016
夏
八街市の花・ひまわり
八街北中学校 及川 圭祐 先生が選んだすてきな1冊
「風に立つライオン」
さだ
『漂泊の王の伝説』
まさし/著
幻冬舎
さだまさしさんの名曲「風に立つライオン」を小説化した1冊。主人公の医師紘
一郎と少年兵ドゥングの出会い、80年代の長崎、ケニア、2011年の石巻をつなぐ、
壮大な「希望」の物語です。この話を読んでいると、言葉の持つ力を改めて痛感さ
せられます。「ガンバレ」という言葉は、誰しも使ったことがあると思います。そ
れは誰に向けた「ガンバレ」でしょうか。この本の中で「ガンバレ」は、他人への
励ましの言葉ではなく、自分を奮い立たせる勇気の言葉として紹介されています。
この言葉が自分の胸にぐさっと突き刺さりました。これだけでは、魅力を伝えるこ
とは出来ませんので、是非手にとって読んでみてください。後悔はしないと断言で
きます。
ラウラ・ガジェコ・ガルシア/著
松下 直弘/訳 偕成社
アラビアの砂漠にあるキンダ王国の王子ワリードは、姿も心も美しく、寛大さと公平
さを備え、武術にもたけていました。父であるホジュル王も王国の人々も「われらの王
子は、砂漠のジン(精霊)から霊力を授かっている。」と語り合うほどでした。
教養人でもあった王子は、詩のコンクールを開催します。(今でもアラブ人は詩が大
好きだと言われています。)自信満々の王子でしたが、貧しいじゅうたん織りの詩人に
敗れてしまったことで大きな過ちを犯し、彼を死なせてしまいます。
王子は自分のしたことを後悔し、残されたじゅうたんを追って漂泊の旅にでます。人
の運命は定まったものなのか、それとも変えられるのか…
感動のラストがあなたを待っています。 次号冬物語は、八街北中学校の 天瀬 真佐子 先生の選んだすてきな1冊です。
『 ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語 』
アイザック・マリオン/著
『考える練習をしよう』
マリリン・バーンズ/著
左京 久代/訳
晶文社
やっかいな問題にぶつかった時、頭をどういうふうに使うか。もうだめだと思ったことでも、
ちがったしかた、新しいしかたで考える。1つの考え方しかないのではないというのがこの
本のテーマ。 理論的な本は面倒くさいと思いながらも、出題された問題を考えていくう
ちに、なるほどと思えてくるから不思議。せっかくの夏休みだからちょっと考え方の練習を
してみない?
はやみね かおる/著
講談社
三つ子の姉妹、岩崎亜衣・真衣・美衣の家の隣に、自称名探偵夢水清志郎が引っ越し
てきた。解決してしまった謎なんて興味がないからどんどん忘れていくし、芸術とロマンの
香りがする知的な犯罪にしか興味がないと言う。前職から亜衣たちは教授と呼ぶ。夏休み
に行った、オムラ・アミューズメント・パークで大野みさという少女が伯爵を名乗る手品師に
消された。そして、あと四人の人間を消すとの予告をしてきた。(講談社文庫名探偵夢水清志
郎事件ノートシリーズに 『機巧(からくり)館のかぞえ唄』・『亡霊(ゴースト)は夜歩く』があります。)
小学館
最近の小説・映画等に登場するゾンビは進化している。
この小説で登場するゾンビ"R"は、恋人を持つ青年の脳を食べたことから、その青年
の記憶が刷り込まれることに。死者のゾンビが、生者の少女に恋をしたことから、互いに
敵同士の世界に変化が起こっていく。
(プラナリアの生態実験でも記憶が移るので、まったく不可能な設定でもないか。)
『だれもが知ってる小さな国』
『そして五人がいなくなる』
満園 真木/訳
有川 浩/著
村上 勉/絵
講談社
比古(ひこ)の家は養蜂家。花の盛りを追って南から旅を始め、北へ北へと移り住んで
いく。小学校3年生の時、転入した北海道のクラスで比売(ひめ)という養蜂家の女の子と
友達になった。そんなある日、比古の前にコロボックルのハリーが現れた。でも、このこと
は誰にも話してはいけない。秘密を持ちながら翌年また、北海道で再会した比古と比売
にミノルさんという大人の友達ができる。ここで、コロボックル達に危機が迫るが…。
佐藤さとる著の『だれも知らない小さな国』の世界を引き継いで、『図書館戦争』や『植物
図鑑』などの著者が書いた新しいコロボックルの物語。コロボックル物語シリーズを読ん
だ人も、読んでいない人も、充分楽しめます。読んでいない人は、是非、この機会に読ん
でみてください。