ストラクチャードファイナンス

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フィッチ・レーティングス、新生信託銀行を「証券化のトラスティー(受託者)として十分な能力を持つ」と評価
東京 ・ロンドン・ニューヨーク- 2003 年 11 月 13 日:フィッチ・レーティングス(フィッチ)
は、このほど新生信託銀行(「新生信託」)の住宅ローン担保債権(RMBS)、商業用不動産担保付
債権(CMBS)、資産担保付債権(ABS)の証券化案件におけるトラスティー(受託者)の業務とサ
ービスについて、「証券化のトラスティーとして十分な能力にある」と判定した。(尚、フィッチ
の証券化におけるトラスティー評価の範疇は日本のプロパティートラスティー(不動産管理処分信
託受託者)の業務を含むものではない。) この評価は、新生信託の健全な財務内容、経験豊かな
経営陣、十分な水準にあるシステム、適切な内部統制とリスク管理体制、明文化された社内規定及
び業務関連マニュアルの整備を踏まえたものである。加えて、新生信託は、証券化案件におけるト
ラスティーの責務を高い能力を持って遂行してきた。尚、今回の新生信託に対する評価は日本の証
券化トラスティー評価の第一号である。
新生信託は信託銀行業務の認可を受け、1996 年 11 月に長銀信託として東京に設立後、2000 年 6 月
に行名を現在の新生信託に変更した。新生信託の資本金は 50 億円であり、新生銀行(旧日本長期
信用銀行)の 100%子会社である。因みに新生銀行に対するフィッチの格付は、長期格付が
「BBB」、短期格付が「F2」である。新生信託の信託財産残高は、2003 年 3 月期末で 4 兆 5,000
億円にのぼる。
今回、新生信託に「証券化のトラスティーとして十分な能力を持つ」との評価を付与するにあたり、
フィッチでは同行の受託業務とサービスに関連する強みと懸念材料も分析した。同社の強みとして
あげられるのは、1)新生信託としてスタートしてから短い 2 年間で、旧長銀から受け継いだノウ
ハウと新しい証券化の分野における専門能力をうまく組み合わせた新たなビジネスモデルを確立し
たこと、2)新体制発足後、経常利益の黒字基調が拡大していること、3)バックアップ・サービサ
ーとして優れた能力を持つ JPN 債権回収株式会社と緊密に連携していること、4) 投資適格会社の
親銀行からさまざまな形でサポートを受けていること、などである。尚、新生信託は最近マスター
サービシング業務にもトラスティー業務の強みを活かして参入している。
一方、懸念材料としては、1)証券化案件のデフォルトに対処した経験が少ない (*)、 2)行員の勤
務歴が浅い、3)完全なシステム統合や災害時復旧整備計画が完了していないこと、などがある。
しかしこうした懸念材料は、1)シニアレベルのスタッフが証券化業務の優れた専門的ノウハウを
有しており、新生信託はサービサーのデフォルトの事例を数件処理したことがある、2)行員は入
行以前に各業務分野で十分な経験を積んでいる、3)経営幹部はシステム統合や災害時復旧計画の
体制整備に積極的な理解と意欲を持っていることなどによって、ある程度緩和されるとみられる。
(* 日本では証券化案件のデフォルトの例は非常に稀であり、デフォルトを経験したトラスティー
も殆ど見られないことを追記しておく。)
フィッチでは、証券化においてトラスティーやエージェント業務を遂行する十分な能力があり、受
託責任を果たすことができると判断される場合に、「証券化のトラスティーとして十分な能力を持
つ」という評価を付与する。詳細については、近日刊行予定のレポート“Reviewing Structured
Finance Trustees in Japan”を参照されたい(英語版は www.fitchratings.comで、日本語版は
www.fitchratings.co.jpで閲覧可能)
新生信託のトラスティーレビューに関するレポートも、近日中に上記のウェブサイトに掲載予定で
ある。お問い合わせはニューヨークのマーケット・サービス(1-800-853-4824)、あるいはフィッ
チ東京オフィス(03-3288-2628)まで。
照会先:フィッチ・レーティングス
大迫 政子 (東京)Tel: 03-3288-2704 E-mail: [email protected]
金子 和彦 (東京)Tel: 03-3288-2605 E-mail: [email protected]
杉井 由美子(東京)Tel: 03-3288-2701 E-mail: [email protected]
大嶽 裕子 (東京)Tel: 03-3288-2644 E-mail: [email protected]
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ダイアン・ペンドレー(ニューヨーク)Tel: +1 212-908-0777 E-mail: [email protected]
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