PowerPoint プレゼンテーション

*グローバル投資環境
No.1247*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
高インフレも国内経済への配慮
ブラジル中銀の金融政策会合~ で4会合連続で利上げ見送り
2016年1月21日作成
*ブラジル中央銀行は19日から20日にかけて金融政策委
員会を開催し、政策金利を14.25%で据え置いた。なお、市
場では25ないし50ベーシスの利上げを予想する向きが主流
であり、据え置き予想は少数派であった。同中銀は2013年4
月から昨年7月にかけて一時的な中断を挟んで累計で700
ベーシスの利上げを実施したが、足下では4会合続けて利上
げを見送っている。但し、金利据え置きの決定は前回一致で
はなく、8名の委員中2名が50ベーシスの利上げを主張して
反対票を投じたが、この構図は11月24~25日に開かれた
前回会合と同じである。
*長きにわたってきた利上げサイクルが中断された背景は、
中銀のインフレ見通しの改善であったが、昨年7月以降は高
止まりつつも落ち着いていたインフレ率が10月から最加速、
足下では11月、12月の2ヶ月連続で10%を超えている。ブ
ラジル中銀は昨年9月23日に公表したインフレレポートにお
いて5.3%としていた2016年末のインフレ見通しを12月23日
公表の最新レポートでは6.2%に引き上げており、このことが
前述した市場の利上げ予想の背景にあったと思われる。
*政策決定の背景に関する声明文の表現は、前回の会合
では「マクロ経済シナリオとインフレ見通しに配慮して」というシ
ンプルなものだったが、今回は「マクロ経済シナリオ、インフレ
見通しと現在のリスクバランスに注意を払うとともに、国内及
びとりわけ海外面での不確かさの高まりを考慮して」と多くの
ファクターを列挙していることは、中銀の政策判断が難しいも
のだったことを示していよう。
*ブラジルの鉱工業生産は昨年11月まで過去21ヶ月、小
売売上高は8ヶ月連続で前年同月を下回っている。声明文
からは、今回の金利据え置きという決定に際して、どちらかと
いうと海外要因を重視したような印象も受けるが、追加の利
上げが国内の経済活動を一段と抑制することを避けたいとい
うのが本音のように思われる。
▼政策金利及びインフレ率(%)
↑政策金利
14.25%
↑消費者物価
12月
10.67%
▼鉱工業生産と小売売上高(yoy,%)
▼レアル/米ドル(右軸)と円/レアル(右軸)
▼格付け会社のアクション
日付
会社
7月28日 S&P
8月11日 ムーディーズ
9月9日 S&P
10月15日 フィッチ
12月9日 ムーディーズ
12月17日 フィッチ
アクション
格付け(外貨建:「BBB-」、自国通
貨建:「BBB+」の見通しを「安定
的」から「ネガティブ」に
「Baa2」から「Baa3」に格下げ。見
通しは「安定的」
外貨建格付けを「BBB-」から
「BB+」へ、自国通貨建格付けを
「BBB+」から「BBB-」に格下げ。
見通しは「ネガティブ」
「BBB」から「BBB-」に格下げ。見
通しは「ネガティブ」
格付け「Baa3」を「格下げ方向で
見直し」
「BBB-」から「BB+」に格下げ。見
通しは「ネガティブ」
*ブラジルの通貨レアルは昨年9月下旬に米ドルに対する過去最安値を更新した後一旦小反発して
いたが、足下では再び1米ドル=4レアル台に下落してきており、先行きはなお予断を許さないと思わ
れる。大手格付け会社は昨年7月以降相次いでブラジルに対する格下げを実施、すでにフィッチは自
国通貨建と外貨建の双方を、S&Pは外貨建の格付けを投資不適格としている。一方、ムーディーズは
現時点では投資適格である「Baa3」を付与しているが、昨年12月9日に「格下げ方向」での見直し実施
を発表しており、遅くとも3月の前半までには明らかになるとみられる見直しの結果が、当面の最大の
注目点となろう。
(文責:勇崎 聡)
(出所:ブラジル中央銀行、ブラジル統計局及びBloombergのデータより髙木証券作成)
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