Structured Finance

Structured Finance
CDOs/
/グローバル
コーポレート CDO の包括格付基準
セクター別格付基準
セクター別格付基準
目次
主なポイント
1
本格付基準の主要な変更点
2
定量モデルおよびデータ
2
ポートフォリオの資産の質
2
資産の担保
7
ポートフォリオの構成
10
逆選択およびポートフォリオ管理
13
感応度分析
16
ポートフォリオ・パフォーマンスおよびサー
ベイランス
17
格付基準の範囲と制約
22
付属資料 1: 資産のデフォルト率および CDO
の目標デフォルト率
23
付属資料 2: フィッチ CDS インプライド格付
24
付属資料 3: 標準想定回収率
25
付属資料 4
26
付属資料 5: サーベイランス用格付基準の適用
27
格付基準の
格付基準の範囲
格付基準の
格付基準の適用:
適用:本レポートに記載された格付基準は、フィッチ・ポートフォリオ・クレジッ
ト・モデル(フィッチ PCM)を用いることによって、適用することができる。本格付基準に
沿った入力データを用いることができるように、同モデルは参照組織フィード(Reference
Entity Feed、REF)とともに使用することが可能である。フィッチ PCM、REF およびユーザ
ー・マニュアルは、フィッチのウェブサイトから、無料で入手可能となっている。なお、本レ
ポートは、英語版レポートの抄訳であり、新興国へのエクスポージャーおよび SF の回収率格
付に関する記載は、省かれている。
フィッチの
CDO に対して格付を
フィッチの手法:本格付基準レポートは、フィッチ・レーティングスが
手法
付与するうえでコーポレート・クレジットのポートフォリオを分析するための手法を詳述した
ものであり、その分析上で検討される定性的および定量的要因を概説している。キャッシュフ
ロー型のコーポレート CDO を格付する場合には、本レポートに記載された手法が、フィッチ
の格付基準レポート「Global Criteria for Cash Flow Analysis in CDOs 」(左記の関連格付基準
の項を参照)とともに適用される。さらに、本格付基準レポートは、左記のその他のフィッチ
のリサーチ・レポートによって補完される。
主なポイント
関連格付基準
Global Criteria for Cash Flow Analysis in CDOs
(2010 年 9 月)
セクター別
セクター別 SF 格付基準
Counterparty Criteria for Structured Finance
Transactions: Derivative Addendum
(2011 年 3 月)
Criteria for Interest Rate Stresses in Structured
Finance Transactions(2011 年 3 月)
Criteria for Structured Finance Recovery
Ratings(2011 年 7 月)
マスター格付基準
マスター格付基準
ストラクチャード・ファイナンスの包括格付
基準(2011 年 8 月)
アナリスト
マティアス・ノイゲバウアー
+44 20 3530 1099
[email protected]
デリック・ミラー
+1 312 368 2076
[email protected]
ニューヨーク
ケビン・ケンドラ
+1 212 908 0760
[email protected]
コーポレート・クレジットのポートフォリオに対するフィッチの格付分析は、以下の格付ファ
クターによって決定づけられる。
資産の
資産の質の分析:資産の質は、企業の発行体デフォルト格付(IDR)および期間に基づくもの
分析
である。資産の質は、裏付けとなる企業資産のデフォルト確率の主たる決定要因となる。
資産の
企業債務の優先順位および発行体の所在する法域に
資産の担保に
担保に関する分析
する分析:資産の保全は
分析
よって決定される。資産の担保は、回収率に関する想定の主な決定要素となる。資産に対する
回収率格付(RRs)が明示されていない場合に、過去の市場データに基づく平均回収率が、用
いられ得る。
ポートフォリオ構成
ポートフォリオ構成の
構成の分析:ポートフォリオ構成の分析は、裏付けとなる資産プール内の業種、
分析
債務者、地域に関する集中に焦点を当てるものである。ポートフォリオ構成は、ポートフォリ
オの相関水準を決定づける要因であり、デフォルト確率の決定要素である。
逆選択および
逆選択およびポートフォリオ
およびポートフォリオ管理
ポートフォリオ管理:期中におけるポートフォリオの管理および取引の結果、ポ
管理
ートフォリオの信用プロファイルの変化、延長リスクその他発行当初におけるポートフォリオ
にはなかったリスクが生じる可能性がある。管理されるポートフォリオの潜在的リスク要因を
評価するために、運用ガイドラインおよび許容される管理規約が分析される。
ポートフォリオの
ポートフォリオのパフォーマンスおよび
パフォーマンスおよび期中
および期中の
期中のサーベイランス:既定のベンチマークを超える
サーベイランス
変動は、格付された債券に用意された信用補完(CE)で想定されていなかったパフォーマン
スを暗示している可能性がある。ポートフォリオの質および構成に対する変化の範囲および度
合いが、将来の格付の動きを主に決定づけることとなる。
シドニー
ベン・マッカーシー
+61 2 8256 0301
[email protected]
東京
黒田 篤
03-3288-2692
[email protected]
www.fitchratings.com/www.fitchratings.co.jp
2011 年 8 月 10 日
Structured Finance
本格付基準の
本格付基準の主要な
主要な変更点
本レポートは、「Global Rating Criteria for Corporate CDOs」(2010 年 7 月)、「Global
Rating Criteria for Synthetic CDOs」( 2010 年 3 月)および「 Global Rating Criteria for
Collateralised Debt Obligations with Emerging Market Exposure」(2010 年 3 月) という 3 つ
の格付基準レポートに取って代わるものである。
上記の旧レポートから格付基準に大きな変更はなく、フィッチでは、本改訂に伴う既存格付の
変更は予定していない。
定量モデル
定量モデルおよび
モデルおよびデータ
およびデータ
フィッチがコーポレート CDO の主な格付ファクターを分析するうえで中心となるツールが、
フ ィ ッ チ Portfolio Credit Model ( フ ィ ッ チ PCM ) で あ り 、 フ ィ ッ チ の ウ ェ ブ サ イ ト
www.fitchratings.com からダウンロード可能である。モデルは時折更新され、更新された特性
や想定を示すために、リリース・ログがウェブ上で維持される。想定を導き出すための基礎デ
ータに関する説明は、本レポートの各セクションにて詳述されている。フィッチ PCM ととも
に、フィッチは参照組織フィード(REF)も提供している。これは、本レポートに記載のとお
り、ユーザーが格付マッピングを行うためにポートフォリオをロードできるようにするもので
ある。データ入力シートおよび各関連入力に関する説明を含むフィッチ PCM および REF のユ
ーザー・マニュアル は、フィッチのウェブサイト www.fitchratings.com から入手可能である。
図表 1
参照組織のフィーダー
想定
ポートフォリオ・
クレジット・モデル
デフォルト確率
取引期間
資産種類
回収率
所在国
モンテカルロ・
シミュレーション
資産間相関
業種/セクター分類
額面金額
出所:フィッチ
この格付基準レポートでは CDO 格付手法を概説する。但し、CDO 市場とそのリスク・ドライ
バーは時間の経過とともに変化するものであり、そうした変化は時として急速に進行すること
をフィッチは認識している。さらに、ポートフォリオがこの格付手法において考慮していない
リスク特性を有する可能性もある。従って、特異なリスクが認識され、それがこの基本的枠組
みの範囲外であると考えられる場合には、適切な分析的判断や決定論的オーバーレイをもって
補完することになることを、フィッチでは十分想定している。
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
2
Structured Finance
ポートフォリオの
ポートフォリオの資産の
資産の質
デフォルト確率
フィッチは、「格付」と「期間」を裏付資産のデフォルト確率の主な決定因子として用いている。
過去 30 年(1977 年から 2007 年)に格付された広範にわたる企業に関して豊富なデフォルト実
績データが蓄積されている。重要な点として、フィッチは主要格付会社 3 社において入手可能な
企業デフォルト率を利用していることが挙げられる。このデータ・セットは最も確かで客観的な
ものと考えられるが、それは入手可能なデフォルト統計を最も幅広く網羅しており、格付手法や
業種カバレッジが相違するリスクが極小化されているためである。
調査対象期間中に、本格的なハイイールド債クラスの成長を含め、現代の債務市場が出現した
ことは重要である。また、この期間には緩やかなまたは深刻な景気後退期が複数回あり、様々
な業種で企業の倒産およびデフォルトの急増が見られた。
図表 2
米国ハイイールド
成長率
米国ハイイールド債
ハイイールド 債の平均デフォルト
平均デフォルト率
デフォルト 率およびGDP成長率
および
デフォルト率
GDP成長率
(%)
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
18
15
12
9
6
3
0
-3
出所: フィッチ
長期的なデフォルト統計を見ると、平均デフォルト率は、与信が容易に得られた 2003 年から
2007 年のデフォルト率よりかなり高いことが分かる。また、平均デフォルト率はデフォルト
率が循環的にピークとなる時期の影響を大きく受け、デフォルトのピーク期が景気低迷期と重
なることから、誤解を招くおそれがあることも明らかである。フィッチはインプットに用いる
デフォルト率において長期データを重視し、このデータの循環性に留意することで、極めて良
好な時期における統計に過度に依存しない。
時の経過とともに市場が変化し、いわゆる「理想化された」デフォルト率が用いられるように
なった。フィッチの手法は、入力に用いるデフォルト統計値への調整は最小限にすべきとの考
えに基づいている。インプット上のデフォルト・パラメータを若干調整すべき正当な理由が認
められる場合もある。例えば、直感と相容れない結果を導く明白な異常を除去しなければなら
ない場合や、期間構造の小さな不備を調整するためにわずかな平準化が必要な場合などである。
しかし、モデル・アウトプットの整合性を維持するために、こうした調整は頻度および程度と
もにわずかに留まっている。フィッチにおける現行の手法では、合成された長期デフォルト統
計を未調整のまま使用し、調整パラメータとして相関を用いることにより、モデル・アウトプ
ットがポートフォリオの信用リスクに対するフィッチの基本的な見解と一致するようにした
(後述のとおり、過去のピーク時のデフォルト率で測定)。
デフォルトおよびソフト・クレジット・イベント
フィッチが最も頻繁に見る 3 つのクレジット・イベント(信用事由)は、倒産、支払不履行
(FTP)およびリストラクチャリングである。
倒産および支払不履行は、フィッチではハード・クレジット・イベントと捉えている。それは、
その大部分がフィッチの企業に関する信用デフォルト・スタディおよび格付遷移マトリクスに
含まれているためである。同様に、フィッチの企業デフォルト確率は、すべてではないものの、
例えば、ディストレスト債務交換等、数種のリストラクチャリングを想定している。ある種の
リストラクチャリング、オブリゲーション・アクセラレーション(Obligation Acceleration)
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
3
Structured Finance
および 履行拒絶/支払猶予(Repudiation/Moratorium)(総称してソフト・クレジット・イベ
ントという。)は、フィッチの企業デフォルトの定義に直接相当するものではなく、過去のデ
フォルト・マトリクスにおいて捕捉されない。
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)がソフト・クレジット・イベントを含む参照組織
の場合、フィッチでは、デフォルト確率を 5%引き上げる。この調整は、各資産において該当
する場合に、PCM 上で「Restructuring」および/または「Obligation Acceleration」を選択す
ることによって、自動的に行われる。
CDO の目標デフォルト確率
モデル化プロセスにおいては、デフォルト確率と相関についての入力によりポートフォリオの
デフォルト分布が生成される。所定の格付ストレスに対応する想定デフォルト率を決定するた
めに必要となる残りのパラメータは、CDO の目標デフォルト確率である。これは、市場では
「信頼区間」とも呼ばれる。また、これは実質的に閾値であるため、「アウトプット・カー
ブ」と呼ばれることもある。シミュレーション上でこの閾値を下回るポートフォリオ・デフォ
ルト率に対する保護が必要である。このインプットは、捕捉されるテイル・イベントの比率を
決定するため、極めて重要である。
図表 3
「AAA」
」の資産および
)
資産および負債
および負債の
負債のデフォルト確率
デフォルト確率 ( PD)
(%)
2.5
資産の PD
CDOのPD
2.0
1.5
1.0
0.5
0.00
0.96
1.91
2.86
3.82
4.77
5.73
6.68
7.63
8.59
9.54
10.50
11.45
12.40
13.36
14.31
15.27
16.22
17.18
18.13
19.08
20.04
20.99
21.95
22.90
23.85
24.81
25.76
26.72
27.67
28.62
29.58
30.53
31.49
32.44
33.39
34.35
35.30
36.26
37.21
0.0
(%)
出所: フィッチ(仮想ポートフォリオ)
同一の格付において、CDO の目標デフォルト確率がインプット上のデフォルト確率より高い
場合には、テイル・イベントに対する保護を過小に見積もる可能性がある。インプット・デフ
ォルト確率に等しい CDO 目標デフォルト確率は、最も妥当といえる。CDO 目標デフォルト確
率がインプット上のデフォルト確率より低い場合には、テイル・イベントに対する追加的な保
護をもたらし、モデル化プロセスにおける実
図表 4
際の特異性を補正する。上表は、CDO の目
標デフォルト確率がインプット上のデフォル
「BBB」
」格コホート10年累積
コホート 年累積デフ
年累積デフ
ト確率より低い場合を示している。その結果、
ォルト率
ォルト率
CDO の信頼水準は、より高くなり、デフォ
Default Rate
10年デフォルト率
平均
(%)
ルト分布上の当該パーセンタイルは、インプ
10
ット・デフォルト確率に関するパーセンタイ
8
ルよりも右に位置することとなる。
6
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
4
フィッチの手法では、「AA」より下位のす
2
べての格付カテゴリーには、インプット・デ
0
フォルト率に等しい CDO 目標デフォルト率
を適用し、「AAA」および「AA」の格付カ
出所: フィッチ
テゴリーには、インプット・デフォルト率よ
り低い CDO 目標デフォルト率を適用する。
前のセクションで述べたとおり、フィッチはインプット・デフォルト率として、長期的実証デ
ータを使用する。「AAA」、「AA」カテゴリーのデータ・コホートのサンプル・サイズを確
認すると、観察数が他のコホートより少なかった。したがって、「AAA」、「AA」といった
最高位の格付を得るために必要なサポート水準を決定する際には、CDO 目標デフォルト率を
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
4
Structured Finance
低下させること、すなわち閾値を引き上げることが賢明であるとフィッチは考える。この調整
は、証券が「AAA」および「AA」格を達成するために必要な信用補完水準を高める効果があ
る。
ピーク・デフォルト率に対するベンチマーキング
既述のとおり、モデル・アウトプットが信用リスクに対する基本的な見解と一致することが重
要であるとフィッチは考える。基本的な見解として、投資適格格付の CDO 債券は、企業デフ
ォルト率がピークの局面であっても堅調なパフォーマンスを示すべきである。企業のデフォル
ト統計は、数千件にもおよぶ観察値に基づいている。コホートによって観察件数の多寡はあろ
うが、観察値の分散度は相当高いと考えられる。よって、集中リスクや逆選択といった他のリ
スク要因にとりかかる前に、フィッチはまず分散された仮想ポートフォリオに十分なカバレッ
ジを提供できるように CDO 格付手法を較正した。
較正のための最初のポートフォリオのセットは、十分に分散され 29 業種に均等に分散した同
額の資産 300 件から構成されている。分散された仮想ポートフォリオは、シングル「B」カテ
ゴリーから「AAA」カテゴリーまで、格付カテゴリーごとに、また、1 年から 10 年までの
様々な年限につき構築された。これを起点として、次に、各格付および期間につき、モデルの
アウトプットがデフォルト統計に対して望ましい関係を示すように相関パラメータを設定した。
フィッチの見解上、「Asf」格以上の CDO 債券は、デフォルト率のピーク時にもデフォルトの
危険性が最小限で良好に推移し、「A」格債券の過去の長期的デフォルト・パフォーマンスと
整合するパフォーマンスを示すべきである。そのために、モデル・アウトプットとして、各ポ
ートフォリオについてその信用力と期間に基づき、対応する過去のピーク・デフォルト率以上
のポートフォリオ・デフォルト率が導出されることを目ざした。言い換えれば、「Asf」格以
上の CDO 債券に与えられる保護が過去のピーク・デフォルト率以上となるようにモデルを設
計した。フィッチは、モデル・アウトプットにおける「Asf」格の格付デフォルト率(「Asf」
RDR)のピーク・デフォルト率に対する比率が 1 を超えるよう(>1.0 倍)に相関を設定した。
資産の想定相関は、このセクション
で説明するベース較正のほか、業種
の集中と地理的な集中に対して望ま
しい効果が得られるように設定され
ている。想定相関のマトリックスに
ついては集中のセクションで説明す
る。このセクションでは、相関係数
はベース相関 2%、セクター追加分
+2%、業種追加分+20%とする。
同様に、「BBBsf」格の CDO 債券も、デフォルト率が過去のピーク時となっても堅調なパフ
ォーマンスを示すべきとフィッチは考えている。しかし、過去のデフォルト率のピーク期にお
ける最悪時が繰り返されるまたはそれ以上となれば、デフォルトの危険性が多少高まろう。そ
こで、「BBBsf」RDR のピーク・デフォルト率に対する比率は、ほぼ 1(1.0 倍)に近似する
ように相関が設定された。モデル・アウトプットを過去のデフォルト・データの「倍率」に対
してバックテストし、ベンチマークするという概念は、相関の設定方法の根拠を理解するうえ
で重要であり、明示的かつ理解しやすい決定論的オーバーレイを組み入れた効果をシミュレー
ションによる結果に反映させる。
モデル化プロセスにおいては、想定相関が一つの組み合わせであっても、期間とポートフォリ
オの信用力次第でアウトプットに及ぼす影響は異なることに注意を要する。例えば、ある一組
の想定相関により、10 年のポートフォリオについては過去の数値と比較して望ましいアウト
プットが得られるが、より短期のポートフォリオについては目標倍率を超えるカバレッジが導
出され得る。同様に、同一組み合わせの想定相関を使用して、「BBB」格のポートフォリオに
ついてはほぼ目標どおりのアウトプットが得られるものの、「A」格のポートフォリオについ
ては目標を上回ることもあり得る。
過去のデフォルト統計は、ある程度の業種集中を含むコホートから生成されているとの説があ
る。そうであれば、十分に分散されたポートフォリオを用いてピーク・デフォルト率を較正す
ると、業種集中に対するペナルティが加えられたときには目標倍率以上のアウトプットが生成
されることとなろう。
この仮説を検証するために、フィッチはデフォルト率がピークとなった 3 期間を取り上げ、観
察値に含まれる業種集中度を調査した。1990 年、1991 年、2001 年がその対象となった。そ
の結果、いずれの年においても、実際に業種集中が確認されたものの集中の度合いは様々であ
った。デフォルトの業種集中度が最も高かったのは 2001 年である。一方、1991 年は景気後退
局面からデフォルト率が全般に上昇したため、デフォルトの業種集中度はかなり低かった。
ピーク時の集中がモデル・アウトプットに与える影響をテストするために、フィッチは、
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
5
Structured Finance
1991 年のデフォルト率ピーク時と同じ業種集中度で、もう一つ別の較正ポートフォリオのセ
ットを構築した。最終的な相関の枠組みは、1991 年初頭のデフォルト率ピーク時の業種集中
を考慮したものとなっている。
図表 5
過去の
年の業種分布
過去のピーク期
ピーク期1990年
小売(一般)
繊維・家具
スーパー・ドラッグストア
ゲーム・レジャー・娯楽
銀行・ファイナンス
運輸
食品・飲料・タバコ
不動産
企業向けサービス
建築・建材
コンピュータ・エレクトロニクス
エネルギー
ユーティリティ
工業・製造業
自動車
紙・森林製品
金属・鉱業
放送・メディア・ケーブル
テレコム
科学
出所: フィッチ
図表 6
ポートフォリオの
ポートフォリオのデフォルト率
デフォルト率およびモデル
およびモデル・
モデル・アウトプットの
アウトプットのカバー率
カバー率
BBB(
( RDR)
)
(%)
AAA
AA
A
BBB
BB
B
分散
15.3
12.7
10.3
8.7
6.3
5.3
BB(
( RDR)
)
1991 年
30%
%の デフォルトの
デフォルトの
業種集中
業種構成
20.7
17.7
16.0
14.3
12.0
11.3
9.7
9.3
6.7
6.7
5.3
5.3
30%
%の
分散 業種集中
39.0
44.0
34.3
38.7
30.0
33.0
27.0
29.0
22.3
23.0
19.3
19.7
B(
( RDR)
)
1991 年
デフォルトの
デフォルトの
業種構成
業種構成
42.0
37.0
31.7
28.0
22.7
19.7
1991 年
デフォルトの
の
30%
%の デフォルト
業種構成
業種構成
分散 業種集中
58.0
62.0
60.7
53.3
56.7
55.7
48.0
51.0
50.0
44.3
47.0
46.0
38.7
40.0
39.3
35.3
35.7
35.7
出所: フィッチ
図表 7
平均デフォルト
平均デフォルト率
するカバー率
デフォルト率に対するカバー
カバー率
BBB
(%)
AAA
AA
A
BBB
BB
B
4.50
3.41
2.82
2.30
1.93
1.41
1.19
4.50
4.60
3.56
2.67
2.15
1.48
1.19
BB
4.50
3.93
3.19
2.52
2.08
1.48
1.19
17.40
2.24
1.97
1.72
1.55
1.28
1.11
17.40
2.53
2.22
1.90
1.67
1.32
1.13
B
17.40
2.41
2.13
1.82
1.61
1.30
1.13
32.20
1.80
1.66
1.49
1.38
1.20
1.10
32.20
1.93
1.76
1.58
1.46
1.24
1.11
32.20
1.88
1.73
1.55
1.43
1.22
1.11
出所: フィッチ
図表 8
最大デフォルト
最大デフォルト率
デフォルト率に対するカバー
するカバー率
カバー率
BBB
(%)
AAA
AA
A
BBB
BB
B
9.30
1.65
1.37
1.11
0.94
0.68
0.57
9.30
2.22
1.72
1.29
1.04
0.72
0.57
BB
9.30
1.9
1.54
1.22
1.00
0.72
0.57
29.70
1.31
1.15
1.01
0.91
0.75
0.65
29.70
1.48
1.30
1.11
0.98
0.77
0.66
B
29.70
1.41
1.25
1.07
0.94
0.76
0.66
46.40
1.25
1.15
1.03
0.95
0.83
0.76
46.40
1.34
1.22
1.10
1.01
0.86
0.77
46.40
1.31
1.20
1.08
0.99
0.85
0.77
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
6
Structured Finance
図表 9
過去の
年の業種分布
過去の ピーク期
ピーク 期1991年
小売(一般)
建築・建材
運輸
ユーティリティ
コンピュータ・エレクトロニクス
企業向けサービス
ヘルスケア・医薬品
テレコム
銀行・ファイナンス
ゲーム・レジャー・娯楽
繊維・家具
消費者向け商品
紙・森林製品
放送・メディア・ケーブル
化学
食品・飲料・タバコ
スーパー・ドラッグストア
金属・鉱業
不動産
出所: フィッチ
図表 10
過去の
年の業種分布
過去のピーク期
ピーク期2001年
出所: フィッチ
テレコム
銀行・ファイナンス
金属・鉱業
工業・製造業
ゲーム・レジャー・娯楽
運輸
企業向けサービス
消費者向け商品
航空・防衛
農業
小売(一般)
医薬品
宿泊・レストラン
ユーティリティ
自動車
化学
紙・森林製品
食品・飲料・タバコ
放送・メディア
建築・建材
コンピュータ・エレクトロニクス
ケーブル
環境サービス
繊維・家具
ヘルスケア
容器・包装
図表 11
過去の
年 の業種分布
過去の ピーク期
ピーク 期2008/2009年
銀行・ファイナンス
放送・メディア
ゲーム・宿泊・レストラン
自動車
ケーブル
紙・紙製容器
コンピュータ・エレクトロニクス
建築・建材
テレコム
不動産
エネルギー
化学
レジャー・娯楽
その他
工業・製造業
食品・飲料・タバコ
運輸
消費者向け商品
小売
金属・鉱業
繊維・家具
スーパー・ドラッグストア
ヘルスケア・医薬品
ユーティリティ
出所: フィッチ
資産の
資産の担保
2007 年および 2008 年には、多くの企業のバランスシートにおいて負債増加が見られたが、こ
れは特に信用力の低い企業で顕著であった。2009 年のハイイールドのデフォルト期において
は、デフォルト率と回収率には正循環性があり、デフォルト率が高い時期に回収率が低下する
ことが観察された。その結果、デフォルト後 30 日の価格で計測された直近のデフォルト・サ
イクルにおける回収率は、フィッチが最も高い格付ストレスにおいて用いた回収率の想定とよ
り高い整合性を示すこととなった。フィッチは、回収率のより高い変動性を反映するために、
標準的な想定を更新した。そのため、投資適格の格付カテゴリーの CDO 格付を付与する場合、
資産の想定回収率は、引き下げられることとなる。
企業の回収率格付
優先順位、担保、法域ならびに発行体および業界固有の特徴といった基本的な特徴は、回収率
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
7
Structured Finance
の主な決定要因であるが、フィッチの企業格付グループによって付される資産固有の回収率格
付(RR)は、CDO 資産の想定回収率を決定するうえで、フィッチにおける最良の基準である。
回収率格付は、企業独自の資本構成、企業価値および特定の債務商品に対する回収見通しに対
する基礎的条件に基づく将来を見据えた見解である。
図表 12
回収率格付
格付
RR1
RR2
RR3
RR4
RR5
RR6
予想回収率に
予想回収率に関する説明
する説明
極めて高い
非常に高い
良好である
平均的
平均未満
低い
レンジ (%)
91-100
71-90
51-70
31-50
11-30
0-10
中間値(%)
中間値(%)
95
80
60
40
20
5
出所: フィッチ
フィッチの回収率格付(RR)の尺度は、「B+」以下の債務格付が付与されたすべての発行体
につき、回収率に関する追加的な情報を市場参加者に対して提供するものである。回収率格付
は、「RR1」(極めて高い予想回収率)から「RR6」(低い予想回収率)の範囲で付与される。
公表された RR は、企業のディストレスト・バリュー、バランスシートの清算または取引され
た資産価値を、資本構造上の特定の担保のポジションと比較する個別分析を経て決定される。
フィッチの RR は、多くの場合、ワークアウト・プロセスを経た後の最終的な回収を表すもの
である。分析は、負荷をかけたキャッシュフロー・シナリオおよびフィッチの企業価値に対す
る予測に焦点をあてている。
シンセティック・エクスポージャーにおける回収率
信用事由が発生した場合、CDS では、デフォルトした参照資産を評価し、プロテクションの
買い手から売り手に対して移転される信用損失額を決定するために、以下の決済方法のうちの
一つが用いられる。
•
現金決済
•
ISDA オークション
•
現物決済
現金決済、ISDA オークション
現金決済においては、信用事由の対象となったいかなる資産も、参照ポートフォリオから除外
され、当該資産に対する最終価格はディーラーによる入札メカニズムによって決定される。代
わりに、市場横断的なオークション・プロセスによって価格が決定される場合もある。最終価
格が決定されると、総損失額は、まず信用補完減額をもたらし、場合によっては格付が付され
た債券の未償還元本を減額させることとなる。
現金決済が適用されるとき、フィッチでは、通常、想定回収率を 10%低下させる。これは、
市場参加者が現金決済日および最終的な回収との間のリスクおよび時間を反映して、最終的に
想定される回収を下回る水準で入札する可能性が高いとみているためである。
現物決済
現物決済を適用する案件において信用事由が発生した場合、シンセティック・エクスポージャ
ーは、信用事由が発生した後、現物資産に交換されることとなる。仮に、案件がその後現物資
産を保有し、真正売買を用いた案件の場合と同様のワークアウト手続を経るのであれば、フィ
ッチでは、回収の想定に特段の調整を加えない。
現物決済は、案件に対して市場価値リスクをもたらす可能性があり、関連する格付基準を用い
てそのリスクは分析されることとなる。これは、デフォルトの後、プロテクションの売り手と
しての SPV は、デフォルトしたキャッシュ資産を受領する一方、CDS の元本全額相当を調達
することを求められるためである。当該支払を行うために、案件のストラクチャー上、担保債
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
8
Structured Finance
券を換価する場合があり、そうなると市場価値リスクにさらされることとなる。
優先順位
いかなる債務商品の回収見通しを決定するうえで最も重要なのは、優先順位および資産の担保
である。シニア有担保ローンの回収率は、2000 年から 2009 年で平均約 83%であり、この種
の資産タイプにおいて高い回収率が過去示されている。同期間において、シニア無担保債券の
回収率は平均約 38%であった。劣後債、メザニン・ローン、ジュニア債務商品は、著しく低
い回収率を示していた。
フィッチでは、CDO ポートフォリオ分析において、実際の債務商品の優先順位および担保状
況を、回収見通しの主な決定要因としてみている。フィッチの事業会社担当アナリストによる
資産固有の想定回収率がない場合、フィッチでは、その資産回収見通しに関する見解に応じた
回収率カテゴリーを付することとなる。これには、3 つの区分があり、相対的な回収見通しを
示すものである。区分分けは、主に実際の債務商品の優先順位に基づくものであり、シニア有
担保ローンは、通常、「高い回収見通し」、シニア無担保債券が「中庸の回収見通し」、その
他の債務商品が一般的には「低い回収見通し」に相当する。
しかしながら、優先順位と担保の状況は、あらゆる資産に対するフィッチの回収予想のすべて
を説明するわけではない。優先順位別米国企業回収率格付の分布表における米国企業の現在の
回収率格付の分布は、回収予想が極めて多様であることを示しており、これは、発行体、業種
または市場に関連した要因に基づいている可能性がある。発行体固有の要因には、経営陣によ
る最適な資本構成に関する財務上の決定が含まれる。その他の要因が、特定の業種における特
定の企業に対する回収見通しに影響を及ぼす可能性がある。また、マクロ要因が発行体にとっ
て利用可能な債務商品の種類に、影響を与えることもある。2009 年から 2010 年にかけて、資
金調達の選択肢が限られていたため、多くの企業が既存のローンのリファイナンスのためにシ
ニア有担保債券を発行した。そうした新規発行債券の将来における回収見通しは、当該債務商
品に関連する担保およびコベナンツによる保護次第で、異なることとなろう。
そのため、CDO の格付プロセスにおいて、ポートフォリオの構成および裏付資産の回収見通
しが、当該事業会社担当アナリストによってレビューされる。ポートフォリオ内の各資産に対
する回収見通しに対するフィッチの将来を見据えた見解を反映させるため、事業会社担当アナ
リストは、回収率カテゴリーの区分に調整を行う。
デフォルトおよび回収の正循環性
フィッチのデフォルトおよび回収に関する調査は、優先順位と回収率との間に、通常、長期に
わたり関係性が認められることを示している。しかしながら、一定の優先順位に対する平均回
収率は、時の経過とともに変化してきた。市場横断的なシステミック要因が、デフォルト率が
高いとき回収率が低くなるという、デフォルト率と回収率とのよく知られた逆方向の関係にお
いて、一定の役割を果たしている。詳細については、フィッチのレポート「The Extreme
Credit Cycle – Making Sense of a 1% U.S. High Yield Default Rate」(2010 年 6 月 21 日付)
を参照されたい(www.fitchratings.com にて入手可能)。
フィッチでは、デフォルトと回収の正循環性を織り込むために、高い格付ストレスにおいては、
想定回収率に負荷を加えている。一般論として、「BBsf」または「Bsf」格ストレスにおける
ポートフォリオの想定損失は、過去の長期平均をわずかながら下回る想定回収を含んでいる。
直近のデフォルトのピーク期から観察された回収は、最高位の格付ストレスにおいて用いられ
るモデリングの想定とより高い整合性を示すものであった。
既述のとおり、フィッチでは、「Asf」カテゴリー以上に格付された CDO 債券がデフォルト率
のピーク期にあっても堅調なパフォーマンスを示すべきであると考えている。そのため、
「Asf」カテゴリーに格付された CDO 債券に対するフィッチの分析において用いられる想定回
収率は、デフォルト率のピーク期における回収率に相当することが重要である。したがって、
回収予想に対する「高い」および「中庸」の見通しは、「BBsf」または「Bsf」格ストレスに
おけるシニア有担保およびシニア無担保で変わらないものの、投資適格用ストレスでは、デフ
ォルトのピーク期に観察された回収と「BBBsf」/「Asf」格の想定ストレスが合致するよう
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
9
Structured Finance
に、低下させることとなる。
法域に関する検討
回収見通しを決定づけるもう一つの要因は、法域である。フィッチは、米国外の企業債務者に
対する予想回収率を決定するために、債権者の有利性および倒産制度を国別に検証した。この
調査の結果、予想回収率の水準に基づき各国のグルーピングを行った。グループ A の国(付属
資料 3 を参照のこと)には、米国の債務者に類する回収見通しが予想される一方、グループ B、
C、D の債務者に移るのにつれてより低い回収率が予想される。本調査の詳細については、
2006 年 8 月 21 日付レポート「Country-Specific Treatment of Recovery Ratings – Revised」
(www.fitchratings.com にて入手可能)を参照されたい。
図表 13
企業回収率の
企業回収率の想定
回収見通し
収見通し(%)
高い回収
中庸の回収
低い回収
グループ A
70
40
15
グループ B
50
35
5
グループ C
40
30
5
グループ D
30
25
5
出所: フィッチ
フィッチによるベース回収率の想定および CDO の格付ストレスに応じて適用される階層化に
ついての詳細については、付属資料 3 を参照されたい。
ポートフォリオの
ポートフォリオの構成
コーポレート CDO の基本特性は、企業リスクを束ねて資産プールを作ることにより、投資家
が分散を享受できることにある。しかしながら、時を経るにつれて、多くの CDO ポートフォ
リオにおいて集中リスクの水準の上昇を、フィッチは観測することとなった。このことは、特
定のポートフォリオのデフォルト率および損失率が、長い間観測された平均的な統計とは異な
るものとなる可能性を高め得る。不均等なポートフォリオの構成および債務者集中によるリス
クは、過去に導出されたデフォルトの想定からの著しい逸脱という結果を招き得る。
「ピーク・デフォルト率に対するベンチマーキング」のセクションにおいて、モデル・アウト
プットを市場全体のデフォルト統計と一致させることについて述べた。モデル・アウトプット
がポートフォリオの信用リスクを正確に反映しているとして依拠するためには、過去に基づく
インプットのベースとなる資産ポートフォリオと CDO ポートフォリオが整合的でなければな
らない。CDO ポートフォリオは、集中度が高まるにつれて、モデルからのアウトプットとの
比較対象となる過去データから乖離したデフォルト特性を示すリスクが上昇する。
フィッチの CDO 格付手法は、パフォーマンスに影響を与え得る CDO ポートフォリオ内の集
中を識別しようとするものである。それは、4 層の相関に対するストレスによって実現される。
まず第一に、すべての資産に対して適用される基本となる相関の水準である。第二層としては、
同一セクター内の資産に適用されるセクター相関である。第三層としては、同一業種内の資産
に対して適用される業種相関である。最後に、第四層として、債務者集中に対してストレスを
与えるために、ポートフォリオ内の上位債務者に対して適用される相関ペナルティがある。
業種集中
相関パラメータはデフォルト分布の形状を決定する重要な要因であり、シミュレーションにお
いて一つの資産のデフォルト行動が別の資産のデフォルト行動に及ぼす影響の程度を決定する。
前述のとおり、相関度は分散されたポートフォリオで望ましい結果が得られるように設定され
ている。
相関は実証データによる測定が困難である。とは言え、いくつかの基本的原則は間接的に読み
取ることができる。まず、同一業種内の資産はデフォルトと格付推移の面で類似の行動を示す
傾向にあることが広く理解されている。これは当然、同一業種内の企業はいずれも類似の景気
要因や需給動向の影響を受けることから、直感的に妥当と思われる。ある業種にみられる資金
調達面の特徴が、当該業種内の資産に類似の行動が生じる蓋然性に影響を及ぼし得ることも観
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
10
Structured Finance
察されている。クレジット拡大期に、特定の業種が資本市場での資金調達を大幅に増加させた。
業種全体のレバレッジ水準が上昇すると、その業種に属する企業が景気収縮期にデフォルトに
陥る危険性が高まる。2001 年から 2002 年に通信業界で見られた状況がその例である。
同一業種に属する資産間に一つの想定相関(「同一業種内」)を適用し、別の業種に属する資
産間には別の一つの想定相関(「異業種間」)を適用するというのが、デフォルトのモデル化
において業種の影響を捕捉する最も簡潔な方法である。しかし、単純に同一業種内と異業種間
で想定相関を区別するだけでは、異業種であるものの関係のある業種に属する企業間の相関関
係を適切に反映することができないという結論にフィッチは達した。関係のある業種間の相関
による影響をより適切に捕捉するために、CDO モデル化の枠組みにおいて、業種を 5 つのセ
クターに分類した。それぞれのセクターには 1 つから 8 つの業種が含まれる。各資産間の相関
はベースとして 2%を想定する。両資産が同一セクターに属する場合、相関は追加的に 2%引
き上げられ、さらに同一業種に属する場合は、相関は 20%の引き上げを想定する。
ベース、セクター、業種レベルの相関の枠組みを用いて、業種集中によるリスクがモデルで捕
捉されているか確認するために、想定のテストが行われた。再度、仮想ポートフォリオが構築
され、モデル・アウトプットが検証された。ここでは、業種集中度 30%のポートフォリオを
構築した。30%という集中度を選択した理由は、主に投資適格資産を参照するコーポレート
CDO において、この集中度が典型的であるためである。集中ポートフォリオのアウトプット
を分散ポートフォリオのアウトプットと比較し、その集中から示唆される追加的デフォルト保
護の水準を観察した。例えば、「BBB」格資産からなる 10 年の分散ポートフォリオに関する
モデル・アウトプットは、CDO が「AAAsf」格を達成するためにはポートフォリオのうち合
計 15.3%(46 資産)のデフォルトに対する保護が必要であることを示唆した。業種集中ポー
トフォリオに関しては、デフォルト保護水準は 20.7%、すなわち(62 資産)に増加し、分散
ポートフォリオより大きくなった。
フィッチは、CDO のパフォーマンスと分析が原則としてある最低水準の分散度を前提として
いると考える。今までに確認されたこととして、相関は実証データによる測定が困難である。
よって、この相関の枠組みはセクターと業種の集中リスクを捕捉するうえで有効であることが
示されたものの、過度な業種集中(30%超)が見られる場合には追加的な検討を必要とする。
この場合には、モデルに組み込まれているもの以外の追加的ストレスを加えることもある。こ
うした追加的ストレスにより、モデルの想定に過度に依拠するリスクを軽減し、格付が基本的
な「what-if(仮想)」シナリオに耐えられるかをテストする。これらのストレスは、個々のポ
ートフォリオの特徴次第で変わるが、業種全体のデフォルトおよび格付遷移のシナリオが含ま
れることが多くなろう。また、定性的判断により達成可能な格付水準の上限を設定して補完す
ることもあり得る。こうしたストレスを適用する場合には、個別格付の根拠として明示される。
債務者集中
裏付資産の数が少ないまたはポートフォリオに占める個別資産残高の割合が不均等であるポー
トフォリオにおいては、いくつかの資産がその格付から統計上想定されるパフォーマンスを下
回ることでポートフォリオのパフォーマンスに悪影響を及ぼすリスクがある。フィッチの手法
では、インプットの一部に追加的ストレスを加えることによって、金額の大きい資産が CDO
ポートフォリオ・パフォーマンスにもたらすリスクを軽減する。
ポートフォリオに含まれる資産の数が減少すると、ポートフォリオのデフォルト率は上昇する
という点において、モデルの基本的枠組みは始めから債務者集中に対する感応度が高い。これ
は、資産数の減少につれてポートフォリオ・リターンの変動性が高まるのと同様に、資産数の
減少につれてデフォルト率の変動性が自ずと高まるからである。
それ以外に、この手法では、ポートフォリオの信用力と CDO の目標格付に基づき決められる
デフォルトとなる資産の最低数が、モデルによって生成されるように、追加的なシナリオ・ス
トレスが取り入れられている。こうして想定デフォルト率のフロアとも言うべきものを作り、
相対的に大きな資産にデフォルトが発生した場合に CDO 投資家が保護されるようにした。こ
れが特に重要となるのは、ポートフォリオの信用力が比較的高く、格付された債券のあるクラ
スが利用できるサポートの大部分を個別の資産が占める場合である。例えば、以下のデフォル
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
11
Structured Finance
トに対するカバレッジの下限についての表のとおり、「AAAsf」格の CDO は、「BBB」格の
場合少なくともエクスポージャーが最も大きな 5 件、「B」格の場合エクスポージャーが最も
大きな 10 件の資産のデフォルトに対して保護されよう。
図表 14
デフォルトに
デフォルトに対するカバレッジ
するカバレッジの
カバレッジの下限
BBsf
AAA
AA
A
資産格付
BBB
BB
B
BBBsf
1
CDO 債務の
債務の格付
Asf
AAsf
1
2
3
6
8
1
5
6
2
5
AAAsf
1
2
3
5
7
10
出所: フィッチ
リスク寄与度が最も高い 5 銘柄についてペアワイズ相関を 50%高めることにより、ストレス
が加わる。このストレスの付加は、セクターと業種による相関度の引き上げとは関係なく行う。
リスク寄与度が最も高い銘柄は、シミュレーション前に、エクスポージャーの大きさ、格付か
ら暗示されるデフォルト率および回収率に基づいて決定される。ストレスを加える資産の決定
にあたり、デフォルト率および回収率を勘案することが重要である。ポートフォリオに含まれ
る他の資産と比較して格付の高いまたは回収率の高い資産にストレスをかけても、アウトプッ
トへの影響はわずかに留まるためである。
ストレスの 2 つ目の要素として、上記と同一の 5 銘柄について想定回収率を 25%引き下げる。
このストレスはモデルの枠組み内で加えられ、ポートフォリオの損失分布に影響を及ぼす。こ
の回収率に対するストレスにより、個別資産がデフォルトとなり、回収率が過去の平均値より
低くなった場合のリスクを軽減することができる。個別資産の回収率が低いと、格付された債
券の保有者が利用できるサポート額のうち、不釣り合いに大きな部分が損なわれることになる。
回収率に対するストレスは、標準的回収率が使用されている場合に限って適用し、フィッチが
資産固有の回収率を定めた場合には適用しない。
地理的集中
フィッチの地理的な分散に関する枠組みは簡潔に設計されており、地理的な集中に対してペナ
ルティを与えると同時に、地理的な分散に対して限定的メリットを与えるものである。
様々な地域や国にまたがる分散は CDO ポートフォリオにとって利点であるとフィッチは認識
している。しかし、地理的分散に対するクレジットの定量化は、いくつかの理由から問題が多
い。最大の問題点は、デフォルトに関する最も豊富なデータが入手できるのは米国であること
であり、当然、それは一国に集中したポートフォリオである。とは言え、米国は世界最大の経
済国として、国内における地域分散の度合いが高いと見ることができる。
米国を主体とするデータに、ベースと業種の較正が加えられた。その結果、米国ポートフォリ
オの想定相関は、ベース=2%、セクター=+2%、業種=+20%となった。想定相関を変化
させて、地理的分散または集中を反映するために、フィッチは以下の点を指針とした。
図表 15
地域に
地域に基づく相関
づく相関の
相関の枠組み
枠組み
業種による
業種によるアドオン
によるアドオン
(%)
ベース水準
ベース水準
同一国内
同一地域における他国間
他地域
4(米国は US)
2
1
セクターによる
セクターによる
アドオン
+2
+2
+2
高
+20
+20
+20
中
+20
+15
+15
低
+20
+10
+10
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
12
Structured Finance
図表 16
欧米の
」資産からなる
欧米の「BBB」
資産からなる 10 年ポートフォリオの
ポートフォリオのデフォルト率
デフォルト率
較正用
較正用ポートフォリオ(
ポートフォリオ(RDR)
RDR)
(%)
AAAsf
AAsf
Asf
BBBsf
BBsf
Bsf
平均
欧州
16.7
13.7
11.0
9.0
6.7
5.3
4.5
米国
17.7
14.3
11.3
9.3
6.7
5.3
4.5
出所: フィッチ
図表 17
欧州ポートフォリオ
欧州ポートフォリオの
ポートフォリオの所在国別分布
所在国
分布(%)
分布(%)
20.00
20.00
20.00
20.00
20.00
ドイツ
フランス
イタリア
英国
スウェーデン
出所: フィッチ
•
米国より小さい先進経済国の資産には米国ほど地域分散効果はない。従って、米国以外の
国における企業間のベース相関は、米国の想定(2%)より高くなるべきである。
•
経済のグローバル化により、同一地域内の分散効果は比較的限定される。例えば、西欧内
の分散ポートフォリオのポートフォリオ・デフォルト率が、米国ポートフォリオと大きく
相違することはない。
•
業種によって、地理的分散効果の度合いは異なる。
以上の指針に基づき、異なる地域に所在する企業についてはベース・レベルの相関を上表の相
関の枠組みに適用し、国、セクター、業種が共通する場合には相関係数が加算されていく。
逆選択および
逆選択およびポートフォリオ
およびポートフォリオ管理
ポートフォリオ管理
逆選択
フィッチ PCM のアウトプットは、ポートフォリオの特徴に基づき各格付カテゴリーに相当す
るサポート水準の目安を提供するものである。ポートフォリオの逆選択は、下方の格付アクシ
ョンという結果になり得る CDO に対するリスクをもたらすものである。格下げされる傾向が
平均よりも高い資産がポートフォリオに含まれる場合、その結果として受け入れ難い水準の格
下げが起こり得る。CDO ポートフォリオに組み入れられる基準として、近年、同種グループ
に比べ相対的に高いスプレッドの銘柄を選ばれていた可能性がある。多くの場合、資産の高い
スプレッドは格下げリスクが高まっていることを示唆した。逆選択された資産の集中が、
CDO の初期における、また、時には著しい格下げを頻繁にもたらした。
図表 20
逆選択に
逆選択に関する基準
する基準の
基準の有効性についての
有効性についての検証結果
についての検証結果
CDO1
CDO2
CDO3
CDO4
CDO5
CDO6
CDO7
CDO8
1 ノッチ以上
ノッチ以上
格下げされた
げされた資産
当初格付 格下
げされた資産(%)
資産(%)
AAAsf
34
AAAsf
39
AAAsf
37
AAAsf
26
AAAsf
30
AAsf
37
AAsf
23
AAsf
24
3 ノッチ以上
ノッチ以上
格下げされた
げされた資産
格下
げされた資産(%)
資産(%)
10
12
8
5
6
12
4
7
本基準が
本基準が用いられていた
られていた場合の
場合の
想定格下げ
想定格下げ幅(格付ノッチ
格付ノッチ)
ノッチ)
1
0
0
0
0
0
0
0
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
13
Structured Finance
裏付ポートフォリオにおける大量の格下げに起因して CDO が早期に格下げされるリスクに対
処するために、フィッチは格付手法の中で、格付ウォッチとアウトルックをフィッチ CDS イ
1
ンプライド格付(「フィッチ CDS-IR」)と合わせて利用することとした。 一定の状況下では、
インプット・デフォルト確率を決定する際にその銘柄の格付情報を補完する目的で、フィッチ
CDS-IR を使用する。格付ウォッチ・ネガティブの対象となっている銘柄のすべてについて、
フィッチ CDS-IR と信用格付の 2 ノッチ下を比較して、いずれか低い方を適用する。アウトル
ックが弱含みの銘柄には、フィッチ CDS-IR と信用格付の 1 ノッチ下を比較して、いずれか低
い方を適用する。
フィッチ CDS-IR がなく、かつ格付ウォッチ・ネガティブの対象となっている銘柄は、適切な
インプット・デフォルト確率を決定する目的上、信用格付より 2 ノッチ低いものと想定する。
アウトルックが弱含みで、フィッチ CDS-IR がない銘柄は、信用格付より 1 ノッチ低いものと
想定する。
このアプローチでは、フィッチが付与した格付があれば、それを使用する。フィッチの格付が
ない銘柄には、S&P か Moody’s が付与した格付のいずれか低い方を適用する。資産の格付を
導出するために用いられる方法は、付属資料 7 に記載のとおりである。格付ウォッチ・ネガテ
ィブの対象とされている格付は、比較を行う前に 2 ノッチ引き下げ、アウトルックが弱含みの
格付は、比較前に格付を 1 ノッチ引き下げる。このアプローチにおいても、格付ウォッチ・ネ
ガティブまたはアウトルックが弱含みの銘柄には、フィッチ CDS-IR を参照する。すなわち、
格付ウォッチ・ネガティブまたはアウトルックが弱含みの場合(調整前)、格付をフィッチ
CDS-IR(あれば)と比較して、いずれか低い方を適用する。
フィッチ CDS-IR が有効なスクリーニング・ツールの役割を果たし、格付された CDO 債券に
対するポートフォリオの逆選択に起因する格下げから、投資家を保護するクッションを生み出
すことができるとフィッチは考える。格付ウォッチ・ネガティブと弱含みのアウトルックは共
に格付の方向性を示す有効な指標であることが証明されている。ただし、最終的な格下げの程
度には相当ばらつきがある。格付ウォッチ・ネガティブまたはアウトルックが弱含みの銘柄に
ついては、フィッチ CDS-IR を使用して「ルールに基づく」ノッチングを補完し、平均以上の
格下げが見込まれる銘柄が体系的に組み入れられることを妨げる。
前述のようなフィッチ CDS-IR の体系的使用に加え、格付ウォッチやアウトルックの状況にか
かわらず、全資産についてフィッチ CDS-IR と信用格付を比較した資料が委員会に提示される。
ポートフォリオに顕著な逆選択の兆候が認められる場合には、追加的調整を行うことがある。
追加的調整が行われた場合には、格付の根拠において明記される。
ポートフォリオ管理
CDO 案件にはスタティック型とマネージド型がある。マネージド型案件においては、自然な
信用力の変化の他、リボルビング期間における資産入れ替えによっても、ポートフォリオの信
用力が低下する可能性があることから、追加的なリスクが存在する可能性があると、フィッチ
では考えている。銘柄の入れ替えや、デフォルト、分割償還に起因する実現損益の影響で、利
用可能な信用補完額は変化し得る。ポートフォリオの入れ替えは、当初のポートフォリオの加
重平均期間が示唆していたより、リスク期間を長くする可能性が高い。さらに、OC 再投資テ
ストを通じて捕捉される超過スプレッドを用いて、また、デフォルト資産からの回収を再投資
すること等により購入可能な追加担保も、デフォルトリスクに晒される。この追加的リスクを
勘案するとともに、スタティック案件からマネージド案件を区別するために、フィッチは個別
案件のプロファイルに基づき各ストラクチャーを評価する。
マネージド・ポートフォリオにおける考察内容は、入替代理人、ポートフォリオ・アドバイザ
ー、清算代理人など、「マネージャー」の機能を果たすその他の者にも同様に当てはまる。マ
ネージャーの機能を果たす者は、フィッチによるレビューの対象となり、フィッチによって、
1
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
フィッチ CDS インプライド格付は、フィッチ・ソリューションズが提供する購読商品である。しかし、
フィッチ・レーティングスのポートフォリオ・クレジット・モデルの利用者は、参照組織フィード
(REF)を通じてこのデータを利用することができる。フィッチ CDS インプライド格付は、格付基準上、
利用が必要とされる場合に開示される。
14
Structured Finance
明示的に格付されるか、または受け入れ可能と判断された先である。このレビュー・プロセス
の条件を満たさない先がマネージャーを務める案件に、フィッチは格付を付与しない。
フィッチは将来を見据えた分析にあたって、案件のストラクチャー上の限度や契約書類で定め
る限度ぎりぎりでないまでも、限度に近い条件でポートフォリオの運用がなされ得ることを想
定する。フィッチは、このような「ストレス・ケース」のポートフォリオも分析対象に含める
こととし、CDO の資本構成上の様々な部分で、デフォルト率、回収率および相関に相当高い
ストレスを加える。ストレス・ケース・ポートフォリオに関する分析上の仮定を設けるにあた
り、フィッチは案件のコベナンツとポートフォリオ・ガイドラインを検討する。
マネージド型 CDO の中には、マネージャーがポートフォリオにつき一定の信用力を維持する
ことを義務付けるコベナンツが付されているものがある。例えば、ポートフォリオの平均信用
リスクに制限を加えるために、フィッチ加重平均格付ファクター(WARF)の上限値が定めら
れることがある。同様に、最低加重平均回収率、加重平均スプレッド、地域や単一国へのエク
スポージャー、業種や債務者の集中など、他のパラメータを所定の制限内に維持することをマ
ネージャーに求めるコベナンツもある。
案件文書上で、マネージャーが購入できる資産の種類などを制限する適格基準など、ポートフ
ォリオ・ガイドラインが定められている場合がある。例えば、CLO 案件で、特定の法域のレ
バレッジド・ローンと、特定の他の資産クラス(限度内で)しかポートフォリオへの組み入れ
を認めないとする場合などである。
マネージャーによっては、ポートフォリオの運用ガイドラインに想定損失率テストを組み入れ
ている。このテストは、銘柄の入れ替えが、マネージャーが選択したベース・モデルにおける
所定のテスト水準を割り込むものでないことを確認するものである。マネージャーは、ポート
フォリオの変更を行う前にベース・モデルで検証し、結果が案件に関する契約で定める制限範
囲内に収まっていることを確認することを約束する。マネージャーの管理によって想定され得
るストレス・ケースのポートフォリオを決めるうえで、こうした案件の自主的制限事項やテス
トが考慮される。
契約上でポートフォリオに関するコベナンツや適格基準が定められている案件を分析する場合、
フィッチではあらゆるコベナンツを考慮し、資産の適格基準やマネージャーの以下の点に関す
る能力など、運用ガイドラインのあらゆる側面を検討する。
•
参照企業の入れ替えは、制限なくまたはコベナンツに従って行われるのか
•
劣化した銘柄を自由に入れ替えることができるか
•
信用補完の超過部分の引き出しまたは現金化は可能か
•
アレンジャー銀行以外のディーラーからクウォートを受け、当該ディーラーと取引可能か
フィッチがポートフォリオの分析をするときにストレス・ケース・ポートフォリオを想定する
狙いは、コベナンツやポートフォリオ・ガイドラインを考慮したうえでの CDO ストラクチャ
ーの堅牢性を検証することにある。また、フィッチは、マネージャーがコベナンツによる制限
値ぎりぎりのポートフォリオを構築する能力について検討する。コベナンツの内容によっては、
その絶対的制限値は現実には到達しえない。例えば、欧州の CLO で国の集中の上限を定める
コベナンツがない場合が考えられるが、欧州の CLO のポートフォリオで一国への集中度が
35%を超えた過去の事例はない。このような場合、フィッチは、国の集中に関する上限がなく
とも、一国への集中度が 100%を下回るストレス・ポートフォリオを構築することもあり得る。
このストレスを加えたポートフォリオについては、フィッチの格付委員会において決定される。
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
15
Structured Finance
特殊な適用
ショート・ポジション
ポートフォリオ・クレジット・モデルはショート・ポジションのインプットを受け容れない。想定デフ
ォルト率、想定回収率、想定相関は、ロング・ポジションのデフォルトと損失のリスクを測定するため
に較正されている。同一の想定をショート・ポジションに適用すると、ショート・ポジション組み入れ
によるクレジットを過大評価する可能性がある。ショート・ポジションのリスクやメリットについては
事例ごとに個別に分析する。デフォルト率、回収率、相関について異なる想定を用いる可能性が高い。
CDOs of CDOs(CDO スクエアード)
コーポレート CDO 格付基準は、当然、他のシンセティック型コーポレート CDO を参照するシンセテ
ッィク型コーポレート CDO にも拡大適用される。モデルには、最大 50 件のインナーCDO の入力が可
能であり、インナーまたはマスターのいずれのレベルであるかを問わず、裏付資産に同一の想定デフォ
ルト率、想定回収率、想定相関が適用される。モデルは CDO 内の資産分析を行い、裏付となる企業資
産間の相関を十分織り込むとともに、あるシナリオにおいてある資産がデフォルトすると想定する場
合、当該資産を参照するすべてのポートフォリオでデフォルトが発生するものと想定する。追加的スト
レスの対象となる(「債務者集中」のセクションを参照)リスク寄与度が最も高い 5 銘柄は、案件全
体における累計ベースで決められる。この機能は、モデル利用者の利便性を高めるために組み込まれて
いるが、格付委員会は CDO スクエアード特有のリスクを考慮して追加的なシナリオを検討する場合が
ある。
新興市場の資産
本格付基準レポートは、限定的かつ分散された新興市場資産を含む企業債務ポートフォリオの信用リス
ク分析のためのフィッチの手法を、詳述したものである。本格付基準レポートは、新興市場資産へのエ
クスポージャーが 50%未満のキャッシュフローおよびシンセティック CDO に適用される。新興市場
資産の比率が高いポートフォリオに対するフィッチの手法は、本格付基準とは著しく異なるため、本格
付基準は適用されない。
コベナント・ライト ・ローン(財務制限条項が緩いローン)
コベナント・ライト・ローンとは、通常、定期的に検証することを求められる維持を要する財務制限条
項がないローンと定義づけられる。こうしたコベナンツの欠如により、債務者のパフォーマンス低下時
に、債権者がローン担保を早期に自らの管理下に置くことが困難になる。これによって、債権者の潜在
的な回収額が減少する可能性がある。このことは、フィッチによって資産個別の回収率が付されるとき
に考慮される。しかしながら、回収率が PCM 上の標準回収率を用いて導出される場合、コベナント・
ライト・ローンの回収見通しが低めになることに対応して 10%のヘアカットが適用される (2007 年 9
月 28 日付レポート「Fitch's Approach to Rating Covenant-Light Loans and CLOs」を参照のこと)。
感応度分析
フィッチは、各案件の格付の安定性を調べるために、主要な入力パラメータに関し、感応度分
析を行う。このストレス・テストの目的は、非現実的に保守的な想定を用いて格付の変化を排
除するというよりは、入力パラメータの小さな変化が複数カテゴリーの格下げにはつながらな
いようにすることを確保することにある。感応度分析の結果は、格付された各案件に関するフ
ィッチの新規発行レポート上で公表される。
フィッチでは、以下の点に関する格付感応度を調べる。
•
デフォルト確率に対する格付感応度:各債務者のデフォルト確率に 125%および 150%の
デフォルト確率乗数を適用する。
•
回収率に対する格付感応度:0.75x および 0.5x の乗数を、ローン・レベルの回収率に適用
する。
•
相関に対する格付感応度:2x 国に対するベース相関。例えば、同一国内の 2 資産間の相関
が 4%である場合、8%の相関を想定して感応度をフィッチでは調べる。
•
ストレスの組み合わせ:125%のデフォルト確率乗数、0.75x の回収率乗数、2x の国のベ
ース相関に対する乗数
格付委員会は、当該ストレス下における提案された格付の安定性を検証し、その結果がストラ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
16
Structured Finance
クチャーに対して提案された格付に即したものであるかを判断する。
図表 21 および 22 は、ポートフォリオ 2 例の感応度分析の結果を示したものである。分析は資
産パフォーマンスのみに基づくものであり、構造上の特性やキャッシュフロー・モデリングは
考慮されていない。
図表 21
ポートフォリオ 1:
:レバレッジド・
レバレッジド・ローン CLO
•
•
•
•
•
•
所在:英国(25%),ドイツ(20%),その他(55%)
65 債務者
資産の質 「B-」(35%),「B+」(30%), 「B」(25%),「CCC」(10%)
100%シニア有担保ローン
7 年満期一括ローン
最大業種集中 20%
予想される
予想される格付
される格付
当初格付
AAAsf
AAsf
Asf
BBBsf
BBsf
Bsf
ベース
RLR(%)
(%) 125%
% xPd
40.20 AA+sf
31.70 A+sf
25.90 BBB+sf
21.50 BB+sf
14.60 CCCsf
13.10
150%
% xPd
AAsf
BBB+sf
BB+sf
BB+sf
0.75xRR
AA+sf
BBB+sf
BB+sf
BBsf
0.5xRR
Asf
BB+sf
Bsf
CCCsf
1.25X PD;
0.75xRR;
2x ベース相関
ベース相関
2x ベース
相関
AA+sf
AA-sf
A-sf
BBB-sf
BB-sf
B-sf
A+sf
BB+sf
BB-sf
CCCsf
2x ベース
相関
AA+sf
AA-sf
BBB+sf
BBB-sf
BB-sf
Bsf
1.25X PD;
0.75xRR;
2x ベース相関
ベース相関
AA-sf
A-sf
BBB-sf
BB+sf
B-sf
CCCsf
出所: フィッチ
図表 22
ポートフォリオ 2
•
•
•
•
•
•
所在:米国
150 の均等な資産
「BBB」に格付された資産
100%シニア無担保ローン
5 年満期一括ローン
業種分散されたエクスポージャー
予想される
予想される格付
される格付
当初格付
AAAsf
AAsf
Asf
BBBsf
BBsf
Bsf
ベース
RLR(%)
(%)
11.8
9.5
7.0
5.1
2.9
2.2
125%
% xPd
AA+sf
A+sf
BBB+sf
BB+sf
B+sf
B-sf
150%
%xPd
AA-sf
Asf
BBBsf
BB+sf
B-sf
CCCsf
0.75xRR
AA+sf
AA-sf
A-sf
BBB-sf
B+sf
B-sf
0.5xRR
AA+sf
AA-sf
BBB+sf
BB+sf
Bsf
CCCsf
出所: フィッチ
ポートフォリオ・
ポートフォリオ・パフォーマンスおよび
パフォーマンスおよびサーベイランス
およびサーベイランス
フィッチは、案件にかかる送金報告書を、通常、月次ベースで受け取り、その内容を検証する。
自動信用警戒システムにより、フィッチのアナリストは、裏付ポートフォリオのパフォーマン
スの変化を速やかに検知し、格付委員会の日程を適宜調整する。こうしたシステムのいくつか
は、www.fitchresearch.com の CDO S.M.A.R.T.(サーベイランス・メトリックス・アナリティ
クス・リサーチ・ツール)のセクションで公開されている。
実際に見直しを行う頻度は、案件の性格により異なる。既に付与された格付は、少なくとも年
一回、見直される、しかし、フィッチによって付与されたすべての CDO 格付が適時に更新さ
れるように、パフォーマンスに応じて、より頻繁に格付委員会で見直しを行うこともある。
サーベイランス用格付基準は、その大部分が新規発行時の格付決定のための手法に類するもの
であるが、以下のとおり異なる点がある。
•
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
各ポートフォリオおよびクラスの格付は、案件期間を通じてポートフォリオに明確な水準
17
Structured Finance
の変化が生じることを許容することができる。
•
ポートフォリオ内の債務者集中リスクに関する想定相関は適用されない(ただし、デフォ
ルトに対する債務者カバレッジの下限に関するテストは検討される)。
•
資産の逆選択に関する想定は体系的には適用されない。
•
回収率およびデフォルト率の感応度テストは、過去のデータとの対比で現在の市場環境に
対するダイナミックな見通しに対応するために、適用される可能性がある。
本手法はいくつかの重要な見解を考慮に入れている。最も重要なことは、高格付が付されたト
ランシェは通常のクレジット・サイクルを通して過度の格付ボラティリティに対する抵抗力を
示さなければならない一方、比較的低い格付のトランシェは、同一のクレジット・サイクルに
おいてより高い水準のボラティリティを示す可能性があるということである。本手法の原則は、
高格付トランシェに用意された CE は、格付アクションが必要となる前にベース・ケースを超
える一定程度のポートフォリオの悪化を想定しているというものである。さらに、実際の市場
の状況は発行時の予想とは異なる可能性があることから、予想損失水準を超える、格付された
債券に対する損失保護の水準は、クレジット・サイクルを通して変化する可能性がある。
ポートフォリオの格付変動に対する許容度
CDO 格付をモニタリングするうえでまず検討するのは、ポートフォリオの悪化が許容範囲内
にあるかということである。すべての格付は、少なくとも一定程度ポートフォリオに悪化が生
じる可能性があることを勘案したうえで、付与されている。しかしながら、フィッチが適時に
格付を維持するうえで、かかる変化の範囲および度合を定期的に評価することは、重要なこと
である。比較的高い格付の場合には、格付アクションを必要とし得る前に、比較的高い水準の
下方遷移が許容され得るのに対し、比較的低い格付の場合には、より感応度が高い。高格付の
許容力は、当該クラスが保護されるストレスから、遠く離れていることによるものである。ポ
ートフォリオ・ストレスの高まりは、高格付に対する懸念が生じる前に、明らかになる必要が
あろう。
格付の下方遷移に対するベンチマークの設定は、案件期間中にほぼ無数の遷移パスがあること
から、問題をはらんでいる。一貫性と比較可能性を促進するため、フィッチでは、PCM をポ
ートフォリオの下方遷移計測のために用い、想定デフォルトおよび損失の変化は、数値上の遷
移を反映したものとなる。
PCM のアウトプットには、フィッチが予想するポートフォリオ・パフォーマンスを示す平均
ポートフォリオ損失率が含まれる。案件期間を通してどの程度平均損失が増加するかは、ネッ
トの下方遷移に起因する追加的な損失予想と解し得る。
予想損失の増加は、それが許容度の範囲内であるかを確認するため、当初の債券の超過 CE に
対して計測され得る。超過 CE は、平均損失率(すなわち、1 クラスの CE-当初の平均格付
損失率(RLR))に対する格付のクッションと定義づけられる。超過 CE の算出は、CDO ス
トラクチャーのダイナミックな特性を認識している。各クラスの CE は、何時でも、アモチ、
実現損、キャッシュフローの変更を含むその他の事由を反映している。さらに、平均損失率の
算出は、正常債権に加えて、ポートフォリオのデフォルト資産に対するエクスポージャーを含
んでいる。超過 CE のベンチマークは、格付アクション時の当該クラスの CE およびポートフ
ォリオの平均 RLR を反映するために、更新される。既発行済の案件の場合、超過 CE の当初
計測は、前回レビューにおける当該クラスの CE および平均 RLR に基づくこととなる。
許容度とは、格付アクションがとられる前に、どの程度当初の平均 RLR が上昇(下方遷移)
してもよいかを示すものである。この計測は、各債券の超過 CE の絶対水準に対するものであ
り、時間に依存する。案件期間の経過とともに、アクション前のポートフォリオ遷移に対する
許容度が高まる。
許容される信用補完の減少は、ポートフォリオ全体の質に基づき、案件ごとに変わり得る。複
数の債券格付が付された案件において、このテストは、各格付ごと別個に実施される。格付の
見直しがそのうちの一つの許容度を契機として実施される場合であっても、実際の格付アクシ
ョンは、案件全体のレビューを通じて決定される。
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
18
Structured Finance
フィッチのサーベイランス手法の特徴には以下が含まれる。
•
(信用力の)遷移に対する許容度は計測および説明可能である。
•
案件の早期における下方遷移に対する許容度は、将来のポートフォリオ・パフォーマンス
に対する不透明さから、比較的低い。
•
CE が限られ、低めの格付が付されたクラスは、格付レビューが必要となり得る前の遷移
許容度が低めである。
•
CE がより高く、高めの格付が付されたクラスは、遷移許容度が比較的高い。
•
予想損失および CE がともに高い、ハイイールドのポートフォリオは、非投資適格格付カ
テゴリー内の裏付資産の中庸の格付推移に対しては、過度に反応を示すことはない。
•
予想損失および CE がともに低い、質の高いポートフォリオは、裏付ポートフォリオの相
当部分が非投資適格格付カテゴリーに変更された場合、高い感応度を示す。
•
この手法は、相関に対する感応度が高い。すなわち、高い相関のポートフォリオは、CE
水準も高くなることから、著しい格付の同時変動が想定されない低い相関のポートフォリ
オに比べ、格付の同時変動に対する感応度は、低めとなる。
以下の例は、ハイイールド・コーポレート・ポートフォリオに対するこのモニタリング手法を、
詳細に示すものである。この例は、2 種類
のポートフォリオ遷移を検討している。す
図表 23
なわち、裏付資産が 100%1 ノッチずつ格
許容される
許容される信用補完
される信用補完の
信用補完の減少
下げされるケースと、1 カテゴリー格下げ
シーズニング
許容される
許容される超過
される超過 CE の減少(%)
減少(%)
されるケースである。さらに、タイミング
1
20
30
に関する 2 つのシナリオも検討されている。 2
3
35
すなわち、遷移が発行後 1 年間または 5 年
4
40
5
45
間に起こるケースである。
6
7
8
9
10+
50
55
60
65
65
各クラスの超過 CE は、各クラスの CE か
ら平均 RLR を差し引くことによって算出
される。長い期間をかけて下方遷移に対す
出所: フィッチ
る許容度が増すことにより、超過 CE は案
件期間を通して徐々に減少することが許容
される。この例において、「AAAsf」のクラスには 35.0%の CE、「BBBsf」のクラスには
17.0%の CE がある。
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
19
Structured Finance
図表 24
ハイイールド・
ハイイールド・コーポレートの
コーポレートのポートフォリオ(%)
ポートフォリオ(%)
ポートフォリオ構成
50%:「BB」格のシニア有担保資産、
50%:「B」格のシニア有担保資産
セクター: 7%が 2 業種、5%が 2 業種、4%が 19 業種
国: 米国 100%
10 年
BB-/B+
70
当初加重平均年限
当初 WARF
債務者数
格付
RLR(%)
(%)
AAA
BBB
平均
34.0
16.8
8.0
当初の
当初の超過 CE = 当該クラス
当該クラスの
クラスの CE – 平均 RLR
当初の
」超過 CE = 35.0%
% - 8.0%
% = 27.0%
%
当初の「 AAAsf」
当初の
」超過 CE = 17%
% - 8.0%
% = 8.8%
%
当初の「BBBsf」
シーズニング
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
許容可能な
許容可能な超過 CE の減少
20
30
35
40
45
50
55
60
65
65
「 AAA」
」に許容可能な
許容可能な
RLR の増加
5.4
8.1
9.5
10.8
12.2
13.5
14.9
16.2
17.6
17.6
「BBB」
」に許容可能な
許容可能な
RLR の増加
1.8
2.7
3.2
3.6
4.1
4.5
5.0
5.4
5.9
5.9
注: 許容可能な RLR の遷移とは、当初平均 RLR に加わった許容可能な増加である。
出所: フィッチ
図表 25
ハイイールド・
ハイイールド ・コーポレート・
コーポレート・ ポートフォリオ
(%)
平均RLR許容度(BBB)
平均RLR許容度(AAA)
BBB CE
AAA CE
当初平均RLR
40
AAA CE
30
20
BBB CE
10
Initial mean RLR
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(シーズニング)
出所: フィッチ
各裏付資産が 1 ノッチずつ格下げされることを想定する第 1 遷移シナリオにおいては、仮に遷
移が 1 年目に起こった場合、かかるポートフォリオの遷移は、「BBBsf」クラスの格付アクシ
ョンを起こすのに極めて十分である。遷移は、まだ「AAAsf」にとっては許容範囲内にある。
仮に、同等の下方遷移が 5 年かけて起こった場合には、格付アクションを要しないであろう。
図表 26
ポートフォリオ 100%
%に 1 ノッチの
ノッチの下方遷移
1 年後
平均(%)
格付
AAAsf
BBBsf
5 年後
平均(%)
9.8
閾値(%)
閾値(%)
5.4
1.8
平均 RLR
a
増加 (%)
1.8
1.8
格付アクション
格付アクション・
アクション・
トリガー?
格付
トリガー
No
AAAsf
Yes
BBBsf
7.1
閾値(%)
閾値(%)
12.2
4.1
平均 RLR
a
増加 (%)
-0.9
-0.9
格付アクション
格付アクション・
アクション・
トリガー?
トリガー
No
No
a
増加は、当初ポートフォリオの平均 RLR の 8.0%と比較される。
出所: フィッチ
裏付資産の 1 格付カテゴリーの格下げといったように、より顕著な遷移が 1 年目に起きた場合、
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
20
Structured Finance
「AAAsf」および「BBBsf」クラスの双方の許容度を超えることとなる。しかしながら、これ
が 5 年かけて起きた場合には、遷移の許容度が上昇することから、アクションを引き起こすこ
とは回避される。
図表 27
ポートフォリオ 100%
%に 1 カテゴリーの
カテゴリーの下方遷移
1 年後
平均(%)
格付
AAAsf
BBBsf
5 年後
平均(%)
14.9
平均 RLR
a
閾値(%)
閾値(%) 増加 (%)
5.4
6.9
1.8
6.9
格付アクション
格付アクション・
アクション・
トリガー?
トリガー
格付
Yes
AAAsf
Yes
BBBsf
11.8
閾値(%)
閾値(%)
12.2
4.1
平均 RLR
a
増加 (%)
3.8
3.8
格付アクション
格付 アクション・
アクション ・
トリガー?
トリガー
No
No
a
増加は、当初ポートフォリオ平均 RLR の 8.0% と比較される。
出所: フィッチ
債務者集中に対する調整
「債務者集中」の項に記載された新規発行時のフィッチの手法は、非常に大きな資産によって
引き起こされる CDO ポートフォリオのパフォーマンスに対するリスクを緩和するために、あ
るインプットに追加的な負荷を適用するものである。かかる想定の適用は、債務者集中アップ
リフト(OCU)と称され、PCM において、特定の格付ストレス・シナリオ上で、特定の質の
最低限の資産数をデフォルトさせる結果をもたらすものである。
債務者集中に対する調整は、大きめの資産がデフォルトした場合に CDO 投資家が保護される
ように、デフォルト率のフロアを設ける効果をもたらし得る。この調整の効果は、様々な質の
高いポートフォリオにおいて、よりよく観察できる。質が低いまたは相関が高めのポートフォ
リオは、通常、こうした調整を適用することなく、最低限のガイドラインを超えている。
OCU なしで最低限のガイドラインが満たされているか超えている場合、フィッチでは、その
サーベイランス・プロセスにおいて追加的なストレスとして調整を適用しない可能性がある。
デフォルト確率に対する調整
ポートフォリオの資産が、格付カテゴリー対比で高い信用スプレッドであること、格付ウォッ
チ・ネガティブの対象となっていること、または、業界のアウトルックが弱含みであることに
基づき選択される場合、逆選択が行われる可能性がある。かかる資産が体系的に選択される場
合、CDO ポートフォリオは、当初のポートフォリオ格付に基づく予想とは異なるデフォルト
および遷移統計を最終的に示す可能性がある。そうしたパフォーマンスが、CDO 格付のボラ
ティリティを高め得る。
フィッチがコーポレート CDO の新規発行時に格付する際の手法には、体系的な逆選択を認識
し調整を行おうとするいくつかの要素が含まれている。簡潔に言うならば、格付基準は、格付
ウォッチ・ネガティブ、アウトルックが弱含み、またはマーケット・インプライド格付が基本
となる格付を 1 カテゴリー以上下回る場合、当該資産のデフォルト確率を上方に調整する。こ
うした特性を考慮することによって、逆選択に起因する下方遷移予測のもと、新規案件に対す
るフィッチの予想損失にクッションが加わることとなる。資産がポートフォリオに組み入れら
れるときは、案件当初であるかリボルビング期間であるかを問わず、デフォルト確率調整に関
する新規発行時の手法が適用される。
逆選択の影響は、資産がポートフォリオに組み入れられるときに既に考慮されるため、そうし
た調整は、モニタリング・プロセスにおいて、必ずしも適用されるわけではない。その例外と
して、格付ウォッチ・ネガティブの対象となっている場合に 1 ノッチ下の格付のデフォルト確
率を反映させるために、資産のデフォルト確率を引き上げることがある。この調整は、分析時
に当該調整が格付の変動に関する企業のアウトルックと合致する場合にのみ適用される。フィ
ッチは個別の格付アクションにおいて、実施されたいかなるデフォルト確率の調整も示す。
フィッチでは、各マネージド・ポートフォリオにおいて、格付ウォッチ・ネガティブまたはア
ウトルックが弱含みとなっている銘柄の割合をレビューし、加重平均格付を加重平均マーケッ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
21
Structured Finance
ト・インプライド格付と比較し、逆選択を示唆している可能性がある異常値について報告する。
感応度分析
経済がストレス期にある場合、案件の主要なリスク決定因子が著しく変動する可能性がある。
そのため、フィッチの CDO サーベイランス・プロセスは、各種シナリオを用いた感応度テス
トを含む場合がある。こうした感応度分析は、資産レベルまたは案件レベルで実施される外、
一定期間内に、すべての案件に対して行われる可能性がある。サーベイランス・プロセスにお
いて適用される標準的な想定との相違は、当該格付アクション・コメンタリー上で説明される。
キャッシュフロー分析およびブレークイーブンデフォルト率
キャッシュフロー型案件を分析するうえで重要な部分の一つが、キャッシュフロー・モデリン
グである。フィッチのキャッシュフロー分析は、1 ページの関連格付基準の欄に記載された基
準に従って、実施される。
格付基準の
格付基準の範囲と
範囲と制約
本格付基準レポートは、フィッチ・レーティングスが CDO に対して格付を付与するうえでコ
ーポレート・クレジットのポートフォリオを分析するための手法を詳述したものである。本レ
ポートは、債券またはローンからなる分散されたポートフォリオの信用分析をカバーしている。
本格付基準レポートは、こうした債券またはローンに関連するいかなる市場価値リスクも、カ
バーするものではない。さらに、本レポートは資産分析のみに焦点を絞っている。キャッシュ
フロー分析は、「Global Criteria for Cash Flow Analysis in CDOs」(2010 年 9 月)と題され
た格付基準レポートにおいて取り扱われている。
フィッチでは、大きな業種または債務者集中、特に長期もしくは短期または資産満期の集中等、
典型的とはいえないポートフォリオに対しては、本格付基準とは異なる扱いをする可能性があ
る。本格付基準レポートからどの程度異なる扱いをするかについては、案件ごと個別に決定さ
れ、案件に関するフィッチのコメンタリー上で開示される。フィッチでは、案件に対して格付
を 付 与 す る こ と を 辞 退 し た り 、 「 Criteria for Rating Caps in Global Structured Finance
Transactions」(2011 年 8 月)に基づき格付に上限を設ける場合もある。
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
22
Structured Finance
付属資料 1:
:資産の
資産のデフォルト率
デフォルト率および CDO の目標デフォルト
目標デフォルト率
デフォルト率
図表 28
資産の
資産の累積デフォルト
累積デフォルト率
デフォルト率
資産
フィッチ
(%)
AAA
AA+
AA
AAA+
A
ABBB+
BBB
BBBBB+
BB
BBB+
B
BCCC+
CCC
CCCCC
C
D
1
0.01
0.01
0.01
0.01
0.03
0.07
0.10
0.14
0.19
0.34
0.75
1.16
1.49
2.89
5.36
8.35
22.93
25.228
30.273
50.500
75.00
100
2
0.01
0.01
0.02
0.04
0.08
0.16
0.23
0.33
0.49
0.97
2.07
3.12
4.00
7.15
11.16
18.74
33.94
37.337
44.805
56.500
81.50
100
3
0.01
0.02
0.05
0.09
0.15
0.27
0.40
0.59
0.87
1.77
3.63
5.40
6.90
10.83
15.17
24.31
39.83
43.817
52.581
62.500
87.50
100
4
0.037
0.060
0.097
0.157
0.254
0.411
0.611
0.907
1.348
2.667
5.261
7.753
9.887
14.106
18.490
27.663
43.388
47.727
57.272
68.500
93.50
100
5
0.082
0.118
0.169
0.256
0.387
0.586
0.869
1.289
1.913
3.611
6.869
10.026
12.785
17.186
21.572
30.585
46.482
51.130
61.356
74.500
100
100
6
0.135
0.186
0.257
0.372
0.538
0.779
1.154
1.711
2.536
4.546
8.365
12.112
15.465
20.024
24.410
33.265
49.320
54.252
65.10
80.500
100
100
7
0.174
0.247
0.350
0.493
0.695
0.978
1.442
2.126
3.134
5.380
9.649
13.896
17.816
22.513
26.899
35.616
51.809
56.990
68.388
86.500
100
100
8
0.190
0.293
0.452
0.623
0.859
1.185
1.727
2.517
3.669
6.082
10.698
15.355
19.806
24.620
29.007
37.607
53.917
59.308
71.170
92.500
100
100
9
0.192
0.328
0.560
0.760
1.031
1.398
2.009
2.887
4.149
6.673
11.550
16.535
21.469
26.381
30.767
39.269
55.677
61.245
73.494
98.500
100
100
10
0.193
0.350
0.638
0.863
1.168
1.580
2.246
3.192
4.536
7.130
12.193
17.434
22.805
27.795
32.182
40.605
57.091
62.800
75.360
100
100
100
6
0.135/0.033
0.186/0.082
0.257/0.135
0.372/0.335
0.538
0.779
1.154
1.711
2.536
4.546
8.365
12.112
15.465
20.024
24.410
33.265
49.320
54.252
65.10
80.500
100
100
7
0.174/0.033
0.247/0.082
0.350/0.140
0.493/0.444
0.695
0.978
1.442
2.126
3.134
5.380
9.649
13.896
17.816
22.513
26.899
35.616
51.809
56.990
68.388
86.500
100
100
8
0.190/0.033
0.293/0.082
0.452/0.181
0.623/0.561
0.859
1.185
1.727
2.517
3.669
6.082
10.698
15.355
19.806
24.620
29.007
37.607
53.917
59.308
71.170
92.500
100
100
9
0.192/0.033
0.328/0.082
0.560/0.224
0.760/0.684
1.031
1.398
2.009
2.887
4.149
6.673
11.550
16.535
21.469
26.381
30.767
39.269
55.677
61.245
73.494
98.500
100
100
10
0.193/0.033
0.350/0.082
0.638/0.255
0.863/0.777
1.168
1.580
2.246
3.192
4.536
7.130
12.193
17.434
22.805
27.795
32.182
40.605
57.091
62.800
75.360
100
100
100
出所: フィッチ
図表 29
資産の
資産の累積デフォルト
累積デフォルト率
デフォルト率および CDO の目標デフォルト
目標デフォルト率
デフォルト率(比較)
比較)
資産/
資産/CDO
フィッチ
(%)
AAA
AA+
AA
AAA+
A
ABBB+
BBB
BBBBB+
BB
BBB+
B
BCCC+
CCC
CCCCC
C
D
1
0.01/0.01
0.01/0.01
0.01/0.01
0.01/0.01
0.03
0.07
0.10
0.14
0.19
0.34
0.75
1.16
1.49
2.89
5.36
8.35
22.93
25.228
30.273
50.500
75.00
100
2
0.01/0.01
0.01/0.01
0.02/0.02
0.04/0.03
0.08
0.16
0.23
0.33
0.49
0.97
2.07
3.12
4.00
7.15
11.16
18.74
33.94
37.337
44.805
56.500
81.50
100
3
0.01/0.01
0.02/0.02
0.05/0.04
0.09/0.08
0.15
0.27
0.40
0.59
0.87
1.77
3.63
5.40
6.90
10.83
15.17
24.31
39.83
43.817
52.581
62.500
87.50
100
4
0.037/0.015
0.060/0.042
0.097/0.078
0.157/0.142
0.254
0.411
0.611
0.907
1.348
2.667
5.261
7.753
9.887
14.106
18.490
27.663
43.388
47.727
57.272
68.500
93.50
100
5
0.082/0.033
0.118/0.082
0.169/0.135
0.256/0.230
0.387
0.586
0.869
1.289
1.913
3.611
6.869
10.026
12.785
17.186
21.572
30.585
46.482
51.130
61.356
74.500
100
100
注: CDO 債務が AA-(AA マイナス)未満の場合、資産および CDO ともに同一のデフォルト率が用いられる。AA-(AA マイナス)以上の CDO のデフォルト率は、CDO 格付に対する追加
的なストレスを反映して、資産のデフォルト率よりも低くなっている。
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
23
Structured Finance
付属資料 2:
:フィッチ CDS インプライド格付
インプライド格付
フィッチ CDS インプライド格付(フィッチ CDS-IR)モデルは、直近の CDS 価格、地域およ
び業種を基にして、企業の信用力に対する市場の集合的な見解についてのデータを加工する。
そのうえで、基となるデータを集計し、インプライド格付に変換する。同格付は将来を見据え
た信用力の評価であり、従来の格付の記号で表示される。モデルは、世界 84 ヶ国の 2,500 超
の参照組織を網羅している。
フィッチ CDS-IR を求める方法としては、データのスムージング、ノンパラメトリック・マッ
ピングという二段階アプローチを採る。加工前の CDS スプレッドは、ノイズが多く、特定の
日付における個別スプレッドは、マーケットのテクニカルな要因によって影響されている可能
性がある。このボラティリティは、2003 年以前、アジアまたは比較的流動性が低い債務者に
おいて特に顕著であるが、母集団全体においても考慮されるべき点である。この手法に関する
詳細は、 2007 年 6 月 13 日付レポート「 Fitch CDS Implied Ratings (CDS-IR) Model」
(www.fitchratings.com から入手可能)を参照されたい。
債務者の信用格付と CDS-IR の差異は、(1)ボラティリティなど追加的情報の考慮の有無、
または(2)両格付が個別企業の将来のパフォーマンスについて異なる見解を有することを示
唆している。高い頻度で CDS インプライド格付が信用格付の変更に先行していることは、下
表より明らかである。ヨーロッパでは、3 カ月の間に、両者が異なる格付のうち約 52%はイン
プライド格付が信用格付の変更に先行し、信用格付の変更のうち約 14%がインプライド格付
に先行していた。これは、多くの場合、フィッチ CDS-IR モデルが、信用格付の変更を予測す
るために追加的な情報を提供し得るということを示唆している。
図表 30
CDS インプライド格付
インプライド格付および
格付および信用格付
および信用格付の
信用格付の先行・
先行・遅行関係の
遅行関係の検証
IR が信用格付に
信用格付に先行
(%)
1 カ月
2 カ月
3 カ月
米国および
米国および
オセアニア
64.1
58.0
51.7
欧州
63.6
55.9
52.2
信用格付が
信用格付が IR に先行
米国および
米国および
オセアニア
8.4
12.2
15.5
欧州
9.2
12.5
14.4
収束 a
米国および
米国および
オセアニア
7.6
12.5
15.9
発散 a
欧州
9.2
14.1
17.2
米国および
米国および
オセアニア
19.9
17.4
17.0
欧州
18.0
17.4
16.2
a
「収束」は信用格付と IR の水準がお互いの水準に近づいた場合、「発散」は信用格付と IR が逆方向に乖離した場合である。
出所:フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
24
Structured Finance
付属資料 3:
:標準想定回収率
図表 31
資産別想定回収率
回収率格付(%)
回収率格付(%)
RR1 (Outstanding: 91-100%)
RR2 (Superior: 71-90%)
RR3 (Good: 51-70%)
RR4 (Average: 31-50%)
RR5 (Below average: 11-30%)
RR6 (Poor: 0-10%)
AAA
60
45
30
15
0
0
AA
70
55
35
20
5
0
A
75
60
40
25
10
0
BBB
85
70
50
30
15
0
BB
95
80
60
40
20
5
B
95
80
60
40
20
5
AAA
AA
A
BBB
BB
B
40
15
0
50
20
0
55
25
5
60
30
10
70
40
15
70
40
15
25
10
0
35
15
0
40
20
0
45
25
0
50
35
5
50
35
5
15
5
0
20
10
0
25
15
0
30
20
0
40
30
5
40
30
5
5
0
0
10
5
0
15
10
0
20
15
0
30
25
5
30
25
5
出所: フィッチ
図表 32
想定回収率
回収見通し
回収見通し(%)
グループ A
Strong recovery
Moderate recovery
Weak recovery
グループ B
Strong recovery
Moderate recovery
Weak recovery
グループ C
Strong recovery
Moderate recovery
Weak recovery
グループ D
Strong recovery
Moderate recovery
Weak recovery
出所: フィッチ
グループ A
オーストラリア、オーストリア、バハマ、バミューダ、カナダ、ケイマン諸島、デンマーク、
フィンランド、ドイツ、ジブラルタル、香港、アイスランド、アイルランド、日本*、ジャー
ジー、リヒテンシュタイン、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、スウ
ェーデン、スイス、英国、米国
(* 日本の無担保優先債務については別途 25%の回収率を想定)
グループ B
ベルギー、チリ、キプロス、フランス、イタリア、ルクセンブルク、ポルトガル、南アフリカ、
韓国、スペイン、台湾
グループ C
ブルガリア、コスタリカ、クロアチア、チェコ共和国、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、
イスラエル、ラトビア、リトアニア、マレーシア、マルタ、モーリシャス、メキシコ、モロッ
コ、パナマ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、タイ、チュニジア、ウルグ
アイ
グループ D
アルバニア、アルゼンチン、その他のアジア、バルバドス、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラ
ジル、中国、コロンビア、ドミニカ共和国、その他の東欧、エクアドル、エジプト、エルサル
バドル、グアテマラ、インド、インドネシア、イラン、ジャマイカ、カザフスタン、リベリア、
マケドニア、マーシャル諸島、その他の中東・北アフリカ、モルドバ、その他の中南米、その
他のサブサハラ、パキスタン、ペルー、フィリピン、プエルトリコ、カタール、ロシア、サウ
ジアラビア、セルビア、モンテネグロ、トルコ、ウクライナ、ベネズエラ、ベトナム
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
25
Structured Finance
付属資料 4
図表 33
セクターおよび
セクターおよび業種
および業種の
業種の内訳
相関の
相関の分類
セクター:
セクター:テレコム・
テレコム・メディア
メディア・テクノロジー
コンピュータ・エレクトロニクス
テレコム
放送・メディア
ケーブル
企業向けサービス
セクター:
セクター:工業
航空・防衛
自動車
建築・建材
化学
工業・製造業
金属・鉱業
容器・包装
紙・森林製品
不動産
運輸・物流
セクター:
セクター:小売・
小売・レジャー・
レジャー・消費
消費者向け商品
環境サービス
農業
食品・飲料・タバコ
食料・医薬品小売
ゲーム・レジャー・娯楽
一般小売
ヘルスケア
宿泊・レストラン
医薬品
繊維・家具
セクター:
セクター:エネルギー
エネルギー (石油・ガス)
ユーティリティ (電力)
セクター:
セクター:金融機関
銀行・ファイナンス
ソブリン
高い
中庸
中庸
中庸
中庸
高い
中庸
低い
中庸
中庸
高い
中庸
中庸
低い
低い
中庸
中庸
中庸
中庸
低い
中庸
低い
中庸
低い
中庸
中庸
高い
低い
高い
高い
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
26
Structured Finance
付属資料 5:
:サーベイランス用格付基準
サーベイランス用格付基準の
用格付基準の適用
仮想のハイイールド CLO
図表 34
キャピタル・
キャピタル・ストラクチャー
クラス
1
2
3
4
5
Ps
計
当初残高(
当初残高(米ドル)
ドル)
228,000,000
9,000,000
14,000,000
9,000,000
5,000,000
35,000,000
300,000,000
当初 CE(%)
(%)
24.0
21.0
16.3
13.3
11.7
0.0
-
当初格付
AAA
AA
A
BBB
BB
NR
-
OC(%)
(%)
110
101
-
IC(%)
(%)
120
105
-
出所: フィッチ
図表 35
パフォーマンス
日付
26 Jul 98
26 Jul 99
26 Jul 00
26 Jan 01
26 Jan 02
26 Jul 02
26 Jul 03
26 Jul 04
26 Jul 05
26 Jul 06
a
累積実現損
0
1,000,000
2,000,000
5,000,000
10,000,000
22,000,000
8,000,000
18,000,000
18,000,000
16,000,000
デフォルト・
デフォルト・
担保残高
ローン
300,000,000
0
299,000,000
0
297,000,000 9,000,000
292,000,000 5,000,000
279,000,000 18,000,000
261,000,000 25,000,000
213,000,000 36,000,000
135,000,000 9,000,000
83,000,000 8,000,000
58,000,000 8,000,000
債務残高
300,000,000
300,000,000
299,000,000
297,000,000
289,000,000
283,000,000
221,000,000
153,000,000
101,000,000
74,000,000
「C」
」カテゴリー 「B」
」以上に
以上に格付さ
格付さ
のローン a
れたローン
れたローン
3,000,000
16,000,000
31,000,000
42,000,000
66,000,000
52,000,000
52,000,000
46,000,000
25,000,000
16,000,000
297,000,000
283,000,000
257,000,000
245,000,000
195,000,000
184,000,000
125,000,000
80,000,000
50,000,000
34,000,000
「C」カテゴリーには、「CCC」、「CC」および「C」に格付されたすべてのローンが含まれる。
注:すべての数値は、1 百万米ドル単位未満で四捨五入している。
出所: フィッチ
図表 36
1998年
年ヴィンテージの
」)
ヴィンテージのハイ・
ハイ・イールド CLO (当初加重平均格付:
当初加重平均格付: 「B+/B」)
(百万米ドル)
300
実現損
デフォルト・ローン
「C」カテゴリーのローンª
「B」格以上のローン
250
200
150
100
50
AAA
AA
A
BBB
BB
0
Jul 98
加重平均格付
WARF (数値)
債務者数
B+/B
30
90
AAA
AA
A
BBB
BB
AAA
AA
A
BBB
B
AAA
AA
BBB
BB
B
Jul 99
Jul 00
Jan 01
B/B33.2
89
B/B36.4
92
B/B36.9
98
AA
AAA
AA
BBB
B
CCC
Jan 02
B-/CCC+
43.5
128
AAA
AA
BBB
B
CCC
A
BBB
B
CCC
Jul 02
B-/CCC+
43.4
120
Jul 03
Jul 04
B-/CCC+
51.7
107
AAA
AAA
A
BB
CCC
Jul 05
B-/CCC+
48.7
61
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
Jul 06
B-/CCC+
49.9
47
注:実線は、ポートフォリオの集中または残存期間が短期であることから、モデルに基づく手法がもはや妥当とはいえなくなった時
点を示している。グラフ上でモデルにより示唆された格付アクションのすべては、それより左の点線で示されている。
ª 「C」カテゴリー・ローンとは、「CCC」「CC」「C」 に格付されたローンをさす。
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
27
Structured Finance
図表 37
付属資料 6:
:回収率格付
ベース・
ベース・ケース・
ケース・ポートフォリオ
の想定(%)
想定(%)
仮想のハイ・イールド CLO
デフォルト
•
90%シニア有担保ローン
•
加重平均格付は「B−」
•
ポートフォリオの担保は総額 265 百万米ドル
•
16%がデフォルトし、17%が「CCC」以下
回収
損失
回収に要する期間
30.3
61.4
11.7
12 カ月
出所: フィッチ
図表 38
OC テスト(%)
テスト(%)
クラス A OC テスト
クラス B OC テスト
クラス C OC テスト
クラス D OC テスト
出所: フィッチ
タイミングの
タイミングの入力
112.0
105.0
103.0
101.5
デフォルト
LIBOR ストレス(
%)
ストレス(ベース:
ベース:0.25%
年
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(%)
56.5
24.8
14.3
4.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
増分(%)
増分(%)
2.09
2.09
3.62
3.62
3.75
3.80
3.86
3.89
3.92
4.00
計(%)
2.34
2.34
3.87
3.87
4.00
4.05
4.11
4.14
4.17
4.25
出所: フィッチ
図表 39
キャピタル・
キャピタル・ストラクチャー
クラス A
クラス B
クラス C
クラス D
優先出資
計
現在残高(
現在残高(米ドル)
ドル)
138,000,000
50,000,000
26,000,000
24,000,000
46,000,000
284,000,000
現在の
現在の格付
AAA
A
BBB+
CCC
NR
-
計(%)
48.6
17.6
9.2
8.5
16.2
100.0
期日どおり
期日どおり/
どおり/
満期まで
固定/
満期まで
固定/変動
期日どおり
満期まで
満期まで
満期まで
-
変動
変動
変動
変動
-
クーポン/
クーポン/
スプレッド(%)
(%)
スプレッド
0.35
1.25
2.75
3.75
-
出所: フィッチ
図表 40
キャッシュフロー・
キャッシュフロー・モデルの
モデルの結果(
結果(米ドル)
ドル)
年
割引前利息交付
クラス A
クラス B
クラス C
クラス D
優先出資
支払利息の
支払利息の合計
割引前元本交付
クラス A
クラス B
クラス C
クラス D
優先出資
元本償還の
元本償還の合計
1
2
3
4
2,419,504
1,354,584
1,099,800
1,258,534
464,937
6,597,358
2,419,464
1,818,813
1,341,200
1,481,364
7,060,840
1,468,938
2,069,559
1,472,670
1,603,388
6,614,555
187,537
1,279,507
1,527,486
1,855,274
4,849,805
30,465,606
30,465,606
43,271,879
43,271,879
46,891,090
46,891,090
17,371,425
50,000,000
26,000,000
8,013,156
101,384,580
注: 単位未満四捨五入のため、合計金額が一致しない場合がある。
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
28
Structured Finance
付属資料
:フィッチ IDR 相当格付の
付属資料 7:
格付のマッピング
コーポレート CDO を分析するために、フィッチ IDR は、裏付ポートフォリオ資産のデフォル
ト確率の主な決定要因の一つである。IDR がない場合、フィッチでは発行体の資本構成上の他
の商品の債務格付から IDR 相当格付へのマッピングを行う。
公表・非公表を問わず、フィッチが発行体に対していかなる格付も提供していない場合、フィ
ッチでは、Moody's または S&P によって提供される公表格付を参照する。Moody's または
S&P の格付から IDR 相当の格付を決定するために、フィッチでは以下に記したマッピングを
行う。仮に、両格付会社から格付が公表されている場合には、2 つの IDR 相当格付のうちの低
い方を適用する。その他の場合、Moody's または S&P のいずれかによる単一の IDR 相当格付
が適用される。
IDR 相当格付では、格付ウォッチ・ネガティブもしくはネガティブ・クレジット・ウォッチま
たは弱含みとなっている資産に対しては、既述のとおり調整を行う。(「逆選択およびポート
フォリオ管理」の項を参照のこと)。この調整は、債務格付から IDR 相当格付にマッピングす
る前に行われる。
格付が以下のマッピング方法を用いて決定できない場合、発行体またはポートフォリオの特性
に応じて、フィッチでは発行体に対してシャドー格付を行うか、または、「CCC」の格付を用
いることがある。
図表 41
企業格付からの
企業格付からのフィッチ
からのフィッチ IDR 相当格付の
相当格付のマッピング
格付の
格付のタイプ
Corporate family rating LT issuer rating
Issuer credit rating
Senior unsecured
Senior, senior secured or subordinated
secured
Subordinated, junior subordinated or senior
subordinated
格付会社
Moody's
S&P
Fitch, Moody's, S&P
Fitch, S&P
格付の
格付の水準
n.a.
n.a.
Any
'BBB-' or above
Fitch, S&P
Moody's
Moody's
Moody's
Fitch, Moody's, S&P
'BB+' or below
'Ba1' or above
'Ba2' or below
'Ca'
'B+', 'B1' or above
Fitch, Moody's, S&P
'B', 'B2' or below
マッピング
マッピングのルール
0
0
0
0
-1
-1
-2
-1
1
2
出所: フィッチ
図表 42
フィッチ IDR 相当格付が
相当格付が導出されるための
導出されるためのステップ
されるためのステップ
1
2
3
4
5a
5b
5c
6a
6b
6c
7
フィッチによる IDR
フィッチが IDR をつけていないものの長期財務格付がある場合、IDR 相当格付は、後者の 1 ノッチ下にな
る。
フィッチが IDR をつけていないものの企業債務格付がある場合、上表にしたがって IDR 相当格付は導出さ
れる。
フィッチが IDR およびいかなる債務格付もつけていない場合、ステップ 5 および 6 にしたがって Moody's お
よび S&P におけるフィッチの IDR 相当格付が決定される。
Moody's により公表された Corporate Family Rating(CFR)は、定義上、フィッチ IDR に相当する。CFR が
ないものの長期発行体格付がある場合、それがフィッチ IDR 相当となる。
Moody's が CFR を公表していないものの、Insurance Financial Strength Rating がある場合、フィッチ IDR
相当は後者の 1 ノッチ下になる。
Moody's が CFR を公表していないものの、corporate issue rating がある場合、上表にしたがって IDR 相当
格付は導出される。
S&P により公表された Issuer Credit Rating (ICR) は、定義上、フィッチ IDR に相当する。
S&P が ICR を公表していないものの、Insurance Financial Strength Rating がある場合、フィッチ IDR 相
当は後者の 1 ノッチ下になる。
S&P が ICR を公表していないものの、corporate issue rating がある場合、上表にしたがって IDR 相当格付
は導出される。
Moody's および S&P がともに発行体または債務に対して公表格付を提供している場合、フィッチ IDR 相当
格付のいずれか低い方が PCM において用いられる。そうでない場合には、Moody's または S&P のいずれ
かによる単一のフィッチ IDR 相当格付が適用される。
出所:フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
29
Structured Finance
図表 43
分析結果
クラス
クラス D
現在残高
(米ドル)
ドル) 現在格付
24,000,000 CCC
割引前元本
(米ドル)
ドル)
8,013,156
元本の
元本の現在価値
(米ドル)
ドル)
5,473,093
割引前利息 利息
利息の
の現在価値
(米ドル)
(米ドル)
ドル)
ドル)
6,198,560
4,840,215
回収率(%)
回収率(%) 回収率格付
43.0 RR4
出所: フィッチ
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
30
Structured Finance
付属資料 8:
:経済先進国
CDO の格付基準のために限って、フィッチでは国際通貨基金(IMF)の定義による新興市場ソ
ブリンのリストに依拠している。フィッチは、下表に記載された国を経済先進国とし、その他
の国は新興市場国とした。ソブリン経済を新興市場国または経済先進国ととらえるかの扱いは、
あくまでフィッチの裁量に基づいて決定されるものである。各国経済のリスクに対するフィッ
チの見解に変更が生じた場合、当該国が以下のリストに加えられたり除外されたりする場合が
ある。
図表 44
国際通貨基金による
国際通貨基金による経済先進国
による経済先進国の
経済先進国の分類
Australia
Austria
Belgium
Canada
Cyprus
Denmark
Finland
France
Germany
Greece
Hong Kong SAR
Ireland
Israel
Italy
Japan
Korea
Luxembourg
Malta
Netherlands
New Zealand
Norway
Portugal
Singapore
Slovenia
Spain
Sweden
Switzerland
Taiwan
UK
US
出所: IMF およびフィッチ
(本レポートの英語版は、「Global Rating Criteria for Corporate CDOs」(2011 年 8 月 10 日
付)として、公表されています。本レポートに関するご質問・ご不明の点は、上記の担当アナ
リストにお問い合わせください。)
フィッチの全信用格付は、所定の制約及び免責の対象となっています。弊社ウェブサイトから当該制約及
び免責事項をご覧ください(www.fitchratings.co.jp :「格付の定義」>「信用格付を理解する:利用と制
約」)。さらに、格付の定義及び利用規約は弊社のウェブサイト www.fitchratings.co.jp に掲載されていま
す。公表された格付、格付基準、格付手法も同サイトに常時掲載されています。フィッチの行動規範、守
秘義務、利益相反、関連会社間のファイアウォール、コンプライアンス及びその他の方針・手続等も
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付を付与し維持するうえで、フィッチは、発行体、引受会社及びその他フィッチが信頼に足ると判断する情報源から入手する、事実に関す
る情報に依拠しています。フィッチは、格付方法に則り依拠する事実に関する情報について、合理的な範囲での調査を行い、当該証券に関
して又は当該法域において利用可能な範囲内で独立した情報源による合理的な検証を行います。フィッチにおける事実に関する調査の方法
及びフィッチが利用する第三者による検証の範囲は、様々な要因により異なります。その要因とは、格付対象証券とその発行体の性質、当
該証券が募集・販売される、かつ/又は、発行体が所在する法域における要件及び慣行、関連がある公開情報の入手可能性及び性質、発行
体の経営陣及びその助言者へのアクセス、監査報告書・「合意された手続」に基づく報告書・鑑定評価書・アクチュアリアルレポート・エ
ンジニアリングレポート・法律意見書・第三者によるその他の報告書等第三者による既存の検証の利用可能性、当該証券に関して、又は、
発行体が属する法域において十分な能力を有する独立した第三者による検証の利用可能性等です。フィッチの格付利用者は、事実に関する
調査の強化又は第三者検証のいずれによっても、フィッチが格付に関して依拠する情報のすべてが正確かつ完全であることを確保すること
はできないことを、理解すべきです。発行体及びその助言者は、募集書類及びその他の報告書によりフィッチ及び市場に提供する情報の正
確さについて最終的な責任を有します。フィッチは格付の付与にあたり、財務諸表等に関しては独立監査人、法務・税務に関しては弁護士
といった専門家が任務を果たすことに依拠しなければなりません。さらに、格付は本質的に将来を見据えたものであり、事実として検証で
きない将来の事象に関する仮定や予測を含みます。その結果、格付は、現時点の事実を検証するにもかかわらず、格付付与又は据置時に予
想されない将来の事象や状況に影響されることがあります。
本資料に記載された情報は、いかなる表明又は保証もなしに「あるがまま」に提供されるものです。フィッチの格付は証券の信用力に関す
る当社の意見です。この意見は、フィッチが継続的に評価・更新している既定の格付基準及び手法に基づいています。従って、格付はフィ
ッチの集合的な成果物であり、個人又は個人からなるグループが、単独で格付に対する責任を負うものではありません。特別に言及されな
い限り、格付は信用リスク以外の要因によって生じる損失のリスクを含意するものではありません。また、当社はいかなる証券の販売又は
その勧誘も行いません。フィッチのすべてのレポートは、共有著作物です。フィッチのレポート上に記された個人は、レポート内で公表さ
れた意見に関わっていますが、単独でその責任を負うものではありません。照会先としての目的のためにのみ個人名が記載されています。
当社の資料は、発行者及びその代理人が投資家に対する証券の販売を目的として収集、検証、提供した情報を代替するものではなく、また
目論見書でもありません。格付は、今後いつでも理由を問わず、変更又は取り下げられることがあります。フィッチはいかなる場合も投資
助言を行いません。格付は、証券の購入、売却又は保有の推奨ではありません。格付は、市場価格の妥当性、特定の投資家への適合性又は
証券に関する課税上の取り扱いに言及するものではありません。当社は証券の格付に関し、発行者、保険者、保証者、その他債務者又は引
受会社から格付手数料を受領しています。手数料は、一件の発行案件に対して 1 千米ドルから 75 万米ドル(米国以外の通貨に関しては、当
該国通貨に換算した額)の範囲内であることが一般的です。また、当社は年間一括手数料を受領し、特定の発行者による発行案件や、特定
の保険者又は保証者による保険、保証対象となる発行案件の全部又は一部について格付することもあります。その場合の手数料の金額は 1
万米ドルから 150 万米ドル(米国以外の通貨に関しては、当該国通貨に換算した額)の範囲内となることが予想されます。当社は、格付の
付与、公表又は情報の提供を行うことにより、米国証券法、2000 年英国金融サービス市場法又はその他の法域における証券法に基づいて作
成される書面における専門家として、当社の名前を使用されることに関して同意するものではありません。当社の資料は、印刷物を購読す
る場合より 3 日早く電子媒体上でご覧いただけます。
コーポレート CDO の包括格付基準
2011 年 8 月
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