薬物動態値の見方、 考え方、使い方

Prologue:先輩薬剤師 千野多代さん
薬物動態値の見方、
考え方、使い方
合資会社どんぐり工房 菅野彊
今日のお話
千野先生と初めて一緒
に居酒屋で飲んだとき
の千野先生のお話。
「私、いま在宅をやって
います。それで気がつ
いたのですが、“薬物
動態学”って、在宅の
ための学問だったの
ですね。」
Ⅰ.薬物動態3つのポイント
Ⅰ.薬物動態3つのポイント
Ⅱ.5つの必須薬物動態値
Ⅲ.症例から学ぶ薬物動態学
7つの法則
薬物動態3つのポイント
Point1.くすりには大多数の線形型薬物と
少数の非線形型薬物がある。
Point1.くすりには大多数の線形型薬物と
少数の非線形型薬物がある。
Point2.くすりには腎排泄型薬物と
肝排泄型薬物がある。
Point3 くすりには定常状態があるくすりと
定常状態が ないくすりがある。
1
①血中濃度グラフから見分ける線形、非線形型薬物
コニールⓇ錠の縦軸対数スケール対応の下降直線
②データから見分ける線形、非線形型薬物
ミカルディスⓇ錠の投与量別最高血中濃度
③図から見分ける線形、非線形型薬物:アスペノン
カプセル投与量別t1/2β、Cmax、AUC
非線形速度過程は、なぜ生じるのか?
1.急速上昇型⾮線形速度過程(フェニトイン型)
代謝酵素が飽和して、それ以上代謝できなくな
り
追加されたくすりの未変化体濃度が上昇する。
2.頭打ち型⾮線形速度過程(バルプロ酸型)
1)タンパク結合が飽和して、遊離の薬物濃度が
増す
が遊離型は⾎中に留まらず、組織に移⾏する
結果
⾎中濃度は頭打ちになる
線形薬物と非線形薬物の違い
非線形を発現する薬物消失速度過程の法則性とは?
項目
薬物血中濃度
消失半減期
線形薬物
投与量に比例
一定
非線形薬物
投与量比以上に上昇
または、頭うちになる
投与量で変わる
薬効・副作用予測
予測可能
予測困難
速度式
一次速度式
ミカエリス・メンテン式
薬物動態値
Kel、Vd、CL
Vmax、Km
2
非線形薬物
薬 効
フ
ェ
ニ
ト
イ
ン
型
抗てんかん薬
麻薬性鎮痛薬
抗うつ薬(SSRI)
気管支拡張薬
抗不整脈薬
降圧薬
抗生物質
バ
ル
プ
ロ
酸
型
平田純生、薬局Vol4、No5、2005
成分名
フェニトイン
フェンタニール
パロキセチン
フルボキサミン
テオフィリン
アプリンジン
シベンゾリン
プロパフェノン
テルミサルタン
クラリスロマイシン
バルプロ酸
サリチル酸
イブプロフェン
ナプロキセン
副腎皮質ホルモン プレドニゾロン
ヒドロコーチゾン
ジソピラミド
抗不整脈薬
抗てんかん薬
NSAIDs
商品名
アレビアチン、ヒダントール
フェンタニスト、デュロテップ
パキシル
デプロメール、ルボックス
テオドール。テオロング
アスペノン
シベノール
プロノン
ミカルディス
クラリス、クラリシッド
デパケン
バファリンなど
ブルフェン
ナイキサン
プレドニン
ソルコーテフ、サクシン
リスモダン
なぜ、患者さんは死亡に至ったのか?
○この症例報告での考察
①患者が高齢者で、慢性肺疾患、肝障害を患っていた。
②テオフィリン中毒の初期症状は吐気・嘔吐などの消化器
症状で、胃潰瘍に似ているのでシメチジンが増量された。
③その結果、テオフィリンの毒性が増強した。
○平田純生先生の考察
①喫煙が不可になり、テオフィリンの酵素誘導が解除 された。
②加齢により、患者さんの分布容積が小さくなった。
③テオフィリンが非線形の薬物動態を示した。
HMG-CoA還元酵素阻害剤の油水分配係数
薬剤
油水分配係数(P)
Log P
メバロチン
0.34
-0.47
リピトール
1.21
0.08
ローコール
55.00
1.74
リポバス
11000.00
水溶性のくすりは腎排泄型の
脂溶性のくすりは肝排泄型の
性格を表します
4.04
症例:80歳男、慢性肺疾患、肝障害、ヘビースモーカー
テオフィリン
徐放錠
300mg×1
400mg×2
μg/mL 《テオフィリンCpと副作用》
300mg×4
シメチジン
300mg ×1
吐き気
胃痛
嘔吐
*
*混迷・頻脈性不整脈・痙攣
症状
テオフィリン 血中濃度
*80μg/mL
60
心停止、死亡
50
不整脈、痙攣
40
血圧低下
30
呼吸速迫・心拍数増加
20
吐き気・嘔吐
10
至適血中濃度(5-15)
0
転帰
*死亡
平田純生、薬局Vol56,No4,2005
Point2.くすりには腎排泄型薬物と
肝排泄型薬物がある。
尿中未変化体排泄量
尿中未変化体排泄率(fu) =
投与量×生物学的利用率
fu
排泄型
1.0に近い場合、>0.7
腎排泄型薬物
0.0に近い場合、<0.3
0.4~0.6
肝排泄型薬物
肝・腎排泄型
肝排泄型薬物と腎排泄型薬物の違い
項
目
肝排泄型薬物
腎排泄型薬物
消化管吸収
高いがばらつく
低いが一定
肝疾患時血中濃度
不明
変化なし
肝臓への負荷
あり
少ない
腎疾患時血中濃度
変化は少ない
上昇
腎臓への負荷
少ない
あり
初回通過効果
受けやすい
受けにくい
酵素阻害・誘導
影響が大きい
影響が少ない
3
症例
64歳女性、慢性糸球体腎炎、高血圧
P#1 エースコールⓇ錠による発咳の疑い
1年前より下記処方にて治療中。腎機能、血圧ともに今は安
定しているが、慢性腎炎を合併している。
Rp)
アムロジン錠 5mg 1錠
エースコール錠 2mg 1錠
1日1回朝食後服用 30日分
2月18日
3月17日
4月14日
感冒にて発熱、咽頭痛、発咳。①PL顆粒2g、②レスプレン
2錠、③クラリス2錠 朝夕を処方した。
熱はないが咳が続き、①アストミン3錠、ムコダイン3錠処方
患者「咳止めをのんでいるうちは咳は出ないのですが、寝て
いるときに出ます」と、患者さんは言う。
S
風邪は治ったと思うが、夜間に咳がでる。
O
エースコール錠2mg服用。時々、PL顆粒服用。
A
しまった!咳はエースコール錠による副作用だ。
咳が出ないAⅡ受容体拮抗剤に代えよう。
私「あっ、エースコールだ! くすり変えます」とACEIエース
コールからARBディオバン錠に変更。
P
ACE阻害剤からARBへ変更した。
(千葉大学大学院薬学研究科 上田志郎先生)
りと
ACE阻害薬とAⅡ受容体拮抗薬の肝・腎排泄型
くすり
活性
代謝物
吸収率
尿中排泄率
肝・腎
排泄型
インヒベース錠
+
80-100
未20+活性
代謝物67%
腎
エースコール錠
+
該当資料
なし
未3%+殆ど
活性代謝物
腎
ディオバン錠
+
53.03
未9-14%
肝
+
約50
未2%以下
肝
ACE
ARB
ミカルディス錠
未:未変化体
定常状態がないくすりがある
。
投与間隔
≦ 3 のとき連続投与する
消失半減期
と、薬物血中濃度は定常状態に達する。定常状態
到達時間は消失半減期の約5倍(Tss=t1/2×5)で
ある(Wolfgang A.Ritchel)。 薬効は血中濃度が
定常状態に達した時に確実に発現する。定常状態
がないくすりは初回投与から効果を発揮する。
活体:活性代謝物
消失半減期5倍の法則
定常状態があるくすり(アリセプトⓇ錠添付文書)
投与中止
t1/2×5
t1/2×5
血中濃度
93.75%
定常状態
87.5%
50%
75%
25%
12.5%
50%
6.25%
投与開始
時 間
投与間隔/消失半減期=24hr/89.3hr=0.27≦3
間隔
定常状態到達時間=89.3hr×5=446.5hr=18日間
4
定常状態がないくすり(アマリール®錠)
12h/1.47h=8.16
投与間隔/消失半減期≧4
なら定常状態がないくすり
1.4hr
Ⅱ.5つの必須薬物動態値
5つの必須薬物動態値
1)2つの消失半減期 t1/2α、t1/2β
2)消失速度定数 Kel
3)分布容積 Vd Vdα、Vdβ
1.2つの消失半減期 t1/2α、t1/2β
〔持続性Ca拮抗剤アテレック錠添付文書〕
4)薬物総クリアランス CLtotal
5)肝抽出率 E
5
t αとt βはどう違うか?
1/2
1/2
1)分布相の消失半減期t1/2αは消失相の血中濃度半
減期t1/2βより常に小さい。
2)通常、添付文書に表示される消失半減期はt1/2β
であり、連続投与時にはt1/2βが使われる。
3)t1/2αは例えば心室細動をリドカイン点滴で止める
ためにCLtotalを求めるときなどに使われる。
消失速度定数はなぜ 0.693/t1/2 か?
ln(10/5)
t1/2
ln(2/1)
t1/2
ln2ーln1
t1/2
ln1=0だから
ln2 0.693
t1/2
t1/2
消失速度定数がわかれば何ができるのか?
2.消失速度定数Kel
消失速度定数Kelは、1時間あたりにくすりが血中
から消失する割合で、消失半減期と反比例する。
Kel =
0.693
t1/2
ボルタレンⓇ錠のt1/2からKelを求める
ボルタレン普通錠のt1/2は1.19hr
Kel =
=
0.693
1.19hr
0.58/hr
3.分布容積Vd Vdα、Vdβ
体重60kgの人
1.消失半減期を計算できる。
2.くすりが体内から排泄される速度を
推測できる。
3.単回投与時のt時間後の血中濃度や
連続投与時の血中濃度が推測できる。
6
初期分布容積Vdの求め方
VdαとVdβそして2-コンパートメント
Vdα
Vdβ
Vdが大きいと組織移行が大きい
分布容積がわかれば何ができるのか?
1.薬物組織移行が推測できる(Vd大は移行大)。
2.人工透析の有効性が推測できる(Vd大は透
4.薬物総クリアランス CLtotal
薬物総クリアランスは、単位時間あたり、
くすりを処理できる血液容積を示します。
析不可)。
3.血中濃度の推測や投与量の決定に利用できる。
薬物総クリアランス値はVdとKelの積
薬物総クリアランスがわかれば何ができるのか?
7
5.肝抽出率E
肝抽出率(E)の定義
肝クリアランスは肝血流量LBFと肝抽出率E
の積である。すなわち初回通過効果を言う。
流入薬物量(Cin)ー流出薬物量(Cout)
肝クリアランス=LBF×E
E=
LBF :肝血流量
E :肝抽出率
流入薬物量(Cin)
肝抽出率の違いによって薬物動態は変化する
低肝抽出率と高肝抽出率を示す薬物
肝抽出率Eがわかると何ができるか?
Ⅲ.症例から学ぶ薬物
動態学7つの法則
プロプラノロール
E>0.7
Eの大きさによって、肝疾患時の薬物動態が推測できる。
8
薬物動態学7つの法則
法則1. 一次速度過程の薬物血中濃度の推測
法則2. 単回投与時の最高血中濃度の推測
法則3. 定常状態平均血中濃度の推測
法則4. 定常状態最高・最低血中濃度の推測
法則5. 腎機能低下時の投与量の決定
法則6. 目標血中濃度を達成する投与量の変更
法則7. 非線形速度過程の投与量の決定
症例:Tさん、89歳、男、気管支喘息
法則1.一次速度の血中濃度は投与量に比例する
一次速度(線形速度)過程が成立する場合は
1.薬物血中濃度は体内薬物量に比例する。
2.体内薬物量は投与量に比例する。
3.従って薬物血中濃度は投与量に比例する。
テオドールⓇ錠200mg投与時の薬物動態値
Rp)
テオドール錠100mg 6錠
アストミン錠10mg
4錠
1日2回 朝夕食後 内服 14日分
Tさんは「ときどきくすりを飲み忘れる。1日飲まないこ
ともあるが平気だ。喘息はもう治ったよ」と言っている。
ほんとうに大丈夫なのだろうか? Tさんのテオフィリン
血中濃度をシュミレイションして、服薬指導に役立てたい。
どのようにしたらできるだろうか?
Tさんの血中濃度予測シュミレーション
TheopreⅢによる血中濃度シュミレーション
高齢者200mg
9
P#1
コンプライアンス不良の可能性
法則2.単回投与時の最高血中濃度の推測
S ときどきくすりを飲み忘れる。1日飲まないことも
あるが平気だ。喘息はもう治った。
O
A
喘息発作なし。喫煙なし。
なぜ飲み忘れるのだろうか?
ではないか?
副作用が出ているの
テオフィリン血中濃度を知りたい。
P 1回飲み忘れても、大丈夫かもしれないけど。2回
忘れると1日半飲まないことになるからまずいよ。
飲み忘れないようにしてください。
塩係数Sとは?
症例:Cさん、48歳男、体重60kg、上質性頻拍
ときどき動悸を感じていたが放置していた。最近回数
が多くなってきたので受診し、下記が処方された。
Rp)
1. リーゼ錠5mg 2錠
1日 朝夕 内服 14日分
2. サンリズムカプセル50mg 1cap
動悸がするとき 10回分
Cさんは動悸のくすりが頓服なのに不満な様子です。
Cさんのサンリズム最高血中濃度の推測
・有効血中濃度 0.2~0.9μg/mL
・ Vd 1.48L/kg×60kg=88.8L
・ F 0.8、S 1.0
Cmax=
F×S×Dose
Vd
=
法則3.定常状態平均血中濃度の推測
F:生物学的利用率
S:塩係数
Dose:投与量
0.8×1.0×50mg
88.8L
=0.45mg/L=0.45μg/mL
*服薬指導:サンリズムは有効血中濃度にありますよ。
10
定常状態の平均血中濃度推測式
1.定常状態とは?
薬物流入量/時間=薬物流出量/時間
F×S×Dose/τ=Cssave×CL
F×S×Dose/τ
Cssave =
CL
2.CL=Vd×Kelと仮に定めることができるから
F×S×Dose/τ
Cssave =
Vd×Kel
デパケンR錠の定常状態平均血中濃度の推測
症例:Sさん、62歳、女性42kg、てんかん
Rp)1.ヒダントール錠100mg 3錠
1日3回 毎食後 内服 14日分
2.デパケンR錠200 4錠
1日2回 朝夕食後 内服 14日分
3.アモバン錠7.5mg 1錠
1日1回 就寝前 内服 14日分
Sさんはヒダントール錠でコントロールされていたが、
発作が続き、 1か月近く前にデパケンR錠が加わった。
最近、日中眠いと訴える。デバケンのせいではないだ
ろうか? 定常状態血中濃度を推測し、副作用かどう
か評価して下さい。
法則4.定常状態最高・最低血中濃度の推測
デパケンの有効血中濃度 40~120mg/L、 F 1.0、
S 1。0、Vd 0.15L/kg、Kel 0.05/hr、τ 12hr
F×S×Dose/τ
Cssave =
=
=
Vd×Kel
1.0×1.0×400mg/12hr
0.15L/kg× 42×0.05/hr
105.8mg/L
定常状態平均血中濃度としては確かに高いかもしれないが、ヒダ
ントールとの相互作用も考えられる。ここはヒダントールとデパケ
ンの血中濃度を測って貰えるよう、提案してみよう。
11
法則5.腎機能低下時の投与量決定(Giusty-Heyton法)
クレアチニンクリアランス(CLcr)を推測する
1.年齢しかわからない場合
25歳を過ぎるとCLcrは1%/年で低下する。
CLcr=100mL/min-(年齢ー25)×1.0%
2.血清クレアチニン(S-cr)がわかる場合
1)Cockcroft-Gault法(F=M×0.85)
M:CLcr=(140-Age)×IBW/72×S-cr
2)e-GFR(F=M×0.739)
M:194×S-cr(mg/dL)ー1.094×Ageー0.827
症例:Bさん、79歳男性、高血圧、帯状疱疹
Rp)
1.ディオバン錠40mg 1錠
1日1回朝食後服用 30日分
2.ファムビル錠250mg 6錠
1日3回朝昼夕食後服用 7日分
Bさんはディオバン錠で高血圧治療中、帯状
疱疹を発症、ファムビル錠が投与された。Bさん
は高齢であるが、上記投与量は適切か?
Bさん、79歳男性のCLcrの推測
症例 :Yさん、44歳女性、高血圧、糖尿病
CLcrの成人基準値を100mL/minとすると
1)BさんのCLcr
=100mL/minー(79歳ー25歳)×1.0%
=46mL/min
2)BさんのCLcrは40-59mL/minに該当し
適切なファムビル投与量は1回50mgを1日
2回である。
心不全を併発、ジギラノーゲンC注(当時はセジラニド)0.4mg
/日を使用したところ、悪心・嘔吐が増強した。この症状は心不
全の悪化か、ジギタリス中毒か迷う。血中濃度を測定することで
判断できないか?
12
ジギラノゲンC Ⓡ注の適切な投与量の計算
法則6.目標血中濃度を達成するための
投与量の変更
症例:Rさん、59歳女性、てんかん、関節リウマチ
H病院
A病院
1.ヒダントール100mg 2錠
テグレトール200mg 2錠
1日2回 朝夕食後内服 30日分
1.プレドニン5mg 1錠
1日1回 朝食後内服 30日分
2.タガメット200mg 3錠
1日3回 毎食後内服 30日分
Rさんは「プレドニンを飲み始めたら、てんかん発作が増えた
ような気がする」と言っている。てんかんは部分発作である。
もしかしたら、プレドニンの内服によって抗てんかん薬の血中
濃度が下がっているのではないだろうか? どうやって検索し、
解決したらいいだろうか?
その後のRさんの経過
1.プレドニンあるいはテグレトールの酵素誘導で、
「抗てんかん薬の血中濃度が低下しているのか
もしれない」と考え文献検索をした。しかし
該当する文献はなかった。
2.そこで、処方病院の薬剤師に、抗てんかん薬の
血中濃度を問い合わせた。
フェニトイン 17.9 (10~20 )μg/mL
テグレトール 4.6 (4~12)μg/mL
H病院、I薬剤師さんへ情報発信
Rさんのテグレトール血中濃度4.6μg/mLは治療域4~12
μg/mLからみれば低めです.現在ときおり発作があるそうです
ので、とりあえず、治療域中間の8μg/mLを目指すのであれ
ば投与量は下記の通りです。
目標血中濃度
新しい投与量 = 現在投与量 ×
現在の血中濃度
8μg/mL
= 400mg ×
4.6μg/mL
= 708mg
13
法則7.非線形速度過程の投与量の決定
ミカエリス・メンテン式
Vmax×S
とすると
Km+S
を定常状態の薬物投与速度
Dose:投与量
τ;投与間隔
Vmax:最大代謝速度
Km:ミカエリス定数
Css:定常状態血中濃度
Vmax×Css
Dose/τ=
Km+Css
Luden法によるVmaxとKmの求め方
Dose/τ
Vmax
投
Dose/τ=ーKm×
与
速
-km
Dose/τ
度
となり、これを展開すると下記の下向きの直線を表す式になる。
Dose/τ=-Km×
Dose/τ
Css
Kさんのフェニトイン投与量の決定
500mg/日×14mg/L
9mg/L+14mg/L
Css
+Vmax
Kさんは、デパケンR錠200mg2錠/日でコントロー
ルされていたが発作を起こしアレビアチン錠100mg2
錠が加わった。1か月後、フェニトイン最低血中濃度は
6.0μg/mLで、250mg/日に増量された。
1か月後の最低血中濃度は9.0μg/mLでまだ治療
域に届いていない。そこで、医師は「フェニトイン血中
濃度を14μg/mLまで上げたい」とのことである。どのく
らいフェニトインを増量すればいいか?」とのことであ
る。
=
Dose/τ
薬物クリアランス
症例:Kさん、18歳女、てんかん
Vmax×Css
Dose/τ=
Km+Css
+Vmax
Css
Kさんの、Luden法によるVmaxとKm
mg
投
Vmax 500mg/日
与 500
速
度 250
(mg/日)
-km 9mg/L
Vmax 500mg/日
200
0
mg
フェニトインクリアランス
L
Epilogue :PEDAを使おう!
Dose:投与量
τ;投与間隔
Vmax:最大代謝速度
Km:ミカエリス定数
Css:定常状態血中濃度
=304.3mg/日
14