「世界の中の9条-ピースボートの実践から」 吉岡達也

「世界の中の 9 条-ピースボートの実践から」
吉岡 達也 ( ピー スボ ー ト)
1、 国際 市 民社 会に お ける 9 条 に 対す る認 識 の高 まり
①
1999 年、ハーグ平和アピール「公正な世界秩序のための、10 の基本原則」第1条
にて戦争廃絶に向けて 9 条の存在が評価される。
②
2005 年、東京で開催された GPPAC(武力紛争予防のためのグローバルパート ナ
ーシップ)東北アジア地域会議において採択された「東京アジェンダ」は 9 条が
東北アジアの平和の基盤であることを確認し、9 条厳守の必要性を明文化。さらに
東北アジア地域で 9 条支援共同行動を行う。
③
2005 年、ニューヨークで開催された GPPAC 世界 会議で採択された世界提言にお
いて 9 条がアジア太平洋地域における安全保障の基盤として評価される。
④
2005 年、パリで開催された国際民主法律家協会第 16 回大会で「日本の憲法 9 条
改定に反対する決議」が採択される。
⑤
2005 年、米国フィアデルフィアにて国際女性平和自由連盟が米国政府に対して日
本の 9 条を尊重するよう要求する署名運動を開始。
⑥
2006 年、第一回世界平和フォーラム(バンクーバー)最終文書 10 項目の一つに 、
9 条を例とする「憲法上での戦争放棄」が盛り込まれる。
⑦
2006 年、9 月、GPPAC 東 北アジア地域の NGO によって国連「国際平和の日」共
同行動を行う。
⑧
2007 年、ナイロビで開催され世界社会フォーラムで約 1000 名の 9 条支持の署 名
が集まる。
⑨
2007 年、9 月、GPPAC ア ジア太平洋地域 9 条支援共同行動を行う。
⑩
2008 年、9 条世界会議への連帯行動として、ケニア、オランダ、韓国など世界1
2ヵ国で GPPAC 参加の NGO が現地の日本大使館を訪問し9条支持の表明を行う。
⑪
2008 年、日本にて9条世界会議開催。国際小型武器行動ネットワーク、アボリシ
ョン 2000 など多数の国際平和 NGO の支持を受けるとともに、ノーベル平和賞受
賞者マイレッド・マグワイヤーさん、ハーグ平和市民会議代表コーラ・ワイズさ
んらを含め世界約 30 ヵ国から3万五千人が参加。
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2、 ピー ス ボー トで の 9 条世 界 化行 動
①
1998 年、地球一周クルーズ9条インタビューし、寄港する世界約 20 カ国で 9 条
の紹介と 9 条に対する意見を収集。
②
1999 年、ハーグ平和アピール国際会議での 9 条アクション
③
2005 年 、 世界 社 会 フ ォ ー ラ ム ( ポ ル ト ア レ グ レ ) で 9 条 ア ピ ー ル と ア ン ケ ー ト 。
④
2005 年、GPPAC 世界会議全体会での 9 条アピールとワークショップ。
⑤
2005 年、2006 年ニューヨーク国連前広場での 9 条支援コンサートと署名集め。
⑥
2005 年、国際社会に9条の存在を知らせ、その理念を広めるためグローバル9条
キャンペーンを立ち上げる。
⑦
2005 年、8 月 15 日、ソウルにて日韓 9 条支援共同行動
⑧
2005 年、5 月、グローバル9条キャンペーンとして第一回世界同時 9 条支援意見
広告を中国、台湾、香港、ロシア、韓国、日本、フィリピン、コスタリカ、
モンゴルの 9 ヵ国で掲載。翌年はオーストラリア、モンゴル、日本、ギリシャ、
コスタリカ、カナダ、スイス、ロシア、香港、台湾、南アフリカ、スリランカの
12 ヵ国で掲載
⑨
2006 年、世界平和フォーラム(バンクーバー)での 9 条パネルディスカッション
と署名集め
⑩
2006 年、国連 NGO 定例会議における 9 条ワークショップ
⑪
2007 年、世界社会フォーラム(ナイロビ)で 9 条ワークショップと署名集め
⑫
2008 年、9 条世界会議の事務局を担う。
⑬
2009 年、7 月コスタリカにて国際法律家協会(IALANA)らと「平和憲法をいか
して、地球の軍縮をすすめよう!9 条&12 条会議」を開催。コスタリカの憲法で
は 12 条が軍隊放棄条項。
⑭
2009 年、11 月エクアドルにて国際平和憲法会議を現地の外国軍基地反対運動「NO
ベース連合」とともに開催。マンタの米軍基地返還。
⑮
2010 年、12 月中旬にエクアドルのマンタで再び国際平和憲法会議を計画
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3、 なぜ 世 界が 9 条 に 注目 する の か
①
日本の軍事大国化への懸念
「すでに世界第四位の軍隊を持っている日本が、さらに 9 条をなくすということは 、
かつて侵略された隣人たちの目にどのように映るかを想像すべき」
-台湾大学教授
②
安全保障における軍事力の限界
「イラク戦争の泥沼化によって、世界最強の軍隊でさえ、中規模程度の一都市の治安
維持ができないことが明らかとなった。」
-欧州委員会本部、安全保障担当官
③
国連憲章 26 条と国連ミレニアム開発目標とのリンク
「私たちに必要なものはカラシニコフでも戦車でもなく、子供たちへの教育、夫を亡
くした女性たちの経済的自立、そしてそれらを支援する地元の NGO への支援なのだ。」
-シエラレオーネの NGO 活動家
④
非アメリカ型のモデルの必要性
「私たちの子供たちには、アメリカのように軍事力によってではなく、平和的な努力
によっても豊かになれる、という手本が必要」
-ケニアの紛争予防専門家
⑤
非軍事災害救援活動に対する国際的ニーズの高まり
「軍事行動で助かる人命と災害救援活動で助かる人命とどちらが多いかは明白だ。」
-スリランカの NGO 活動家
⑥
国際協力において「丸腰」が生み出す信頼と安全。
「銃や戦車とともに外国からやってくる人々は、外国軍であって私たちの友人ではな
い。水を造るのに銃や戦車は必要だろうか。」
-イラクの公衆衛生の専門医
⑦ 経済大国が軍隊を否定した憲法を保持するインパクト
「経済大国日本が軍隊を否定した憲法を保持していることの世界へのインパクトはコ
スタリカの比ではない。」
-コスタリカの弁護士
⑧ 大量破壊兵器の禁止、外国軍基地設置の禁止などを謳った平和憲法のラテンアメ
リカ諸国を中心とした国際的な広がり
「世界各国が平和憲法を採択することを推進する国連総会決議案の提出を検討する」
-ニカラグア大統領
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4、
世 界 の中 で の 9 条が 持つ 9 つの 機能
①
9 条は、日本の軍事大国化に対する抑止力になりうる。
②
9 条は、東アジアにおける平和構築および紛争予防メカニズムであり、東アジアの
非核化、そして東アジア共同体を生み出す基礎である。
③
9 条は、紛争後の DDR( 武装解除、動員解除、社会復帰)を推進し、紛争地域 の
恒常的非武装化や非武装国家連合の形成など革新的な平和構築メカニズムを創り
出し得る。
④
9 条は、武力によらない「人間の安全保障」を実現していくための鍵である。
⑤
9 条は、各国政府において、軍事費を削減し、持続可能な開発、気候変動など地球
環境問題の解決、貧困の解決への支出を拡大させる法的規範のモデルとなりう る。
⑥
9 条は、アメリカ型産軍共同体モデルではなく、非軍事産業による経済発展という
非アメリカ型モデルの原理である。
⑦
9 条は、世界中が求めている防災および災害救援活動、難民救済など人道支援活動、
といった非軍事的国際貢献への一層の努力を促す法的規範である。
⑧
9 条は、非核三原則や武器輸出三原則といった世界各国へと広げるべき平和政策の
原理であり、核廃絶、小型武器の完全管理といった世界の市民の悲願達成にとっ
て不可欠な存在である。また、本来は外国軍基地を含むすべての軍事基地の縮小、
撤廃を推進する根拠でもある。
⑨
9 条は、全世界の人々が等しく「恐怖と欠乏」から解放されることを謳った日 本国
憲法の根幹条項であり、平和で持続可能な地球社会実現に向けてのシンボル足り
得る。
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