中学生版ブックリスト №２８ 2008．10．27 この主人公たちに会いたい！２００７年１月〜１２月までの１年間に、図書館に入った本の中から１４冊を選んで紹介します。編集・発行富山市立図書館富山市丸の内１‑４‑５０ＴＥＬ４３２‑７２７２緑の模様画高楼方子著福音館書店小学校を卒業したまゆ子は、テトとアミという個性的な二人の少女と出会う。意気投合し、毎日のように一緒に遊ぶようになった三人に、不思議な出来事が起こる。街のあちこちで、茶色の目をした優しげな青年に何度も出会ったり、気むずかしそうな老人に見つめられたりするのだ。やがて、時を越えて、「小公女」の本が、少女たちと謎の青年や老人を結びつけていく。リバウンドＥ．ウォルターズ作小梨直訳福音館書店トラブルばかり起こしていたショーンは、今年こそ一からやり直し、バスケットチームに入ろうと決意していた。ところが、新学期早々、車いすの転校生デーヴィッドとけんかをしてしまう。停学のかわりにデーヴィッドの援助役を言いつけられたショーンは、彼のバスケットプレーを見て驚く。デーヴィッドは、事故にあうまでは優秀な選手だったのだ。ぶつかりあいながらも、二人はバスケットを通して、しだいに理解しあうようになる。 1 となりのウチナーンチュ早見裕司著理論社ある朝、彩華の家にある置物「青蛙神」がしゃべりはじめた。沖縄で貧乏フリーライターの父親と暮らしている彩華は、「ストレスが原因の幻聴かも」と神経科を受診する。そんなとき、アパートの隣室に引っ越してきたのが、同い年の夏海だ。夏海は、東京の中学校で不登校だったうえ、離婚した母親の生き霊におびやかされていた。それぞれに悩みをかかえる二人は、すぐにうちとけあう。魔使いの弟子ジョゼフ・ディレイニー著金原瑞人・田中亜希子訳東京創元社トムが弟子入りしたのは、ボガートや魔女から人々を守る魔使い。母親は、「七番目の息子である父さんの７番目の息子」だから特別な能力があるのだと、トムを送り出す。トムには、他の人には見えない気味の悪いものが見えるのだが、怖がりのため、弟子を続けていく自信がない。師匠のグレゴリーは、最初の試験として幽霊屋敷でひと晩過ごすことを命じた。 2 ブルーバックティム・ウィントン作小竹由美子訳さ・え・ら書房オーストラリアの静かな入江で、エイベルと母のドラは、海と大地の恵みで暮らしを立ててきた。ある日エイベルは、巨大な青い魚「ブルーバック」と出会い夢中になる。その日から、エイベルは、「魚の考えていることがわかるようになりたい」と強く願うようになる。やがて、エイベルは、入江を離れ都会の学校へ進学するが、故郷の海には、さまざまな災厄が起こりはじめる。ルーディーボールエピソード１斉藤洋著顔は動物、体は人間という種族が住む星ルーディーボール。兎顔のバーサル、猫顔のラックス、犬顔のインギークスの三人組は、町を通る馬車を襲い、生計を立てていた。ある夜三人は、６頭立ての馬車から大量の金貨を奪う。しかし、怪しい金貨を使えば、足がついてしまう。そこで、三人は外国から来た貴族になりすまし、金貨を闇の両替商へ持っていく危険な旅に出た。 3 講談社リボン草野たき著ポプラ社卓球部女子の伝統は、サッカー部や野球部の男子と仲良くなって、「彼氏持ち」になること。亜樹は、純粋に卓球をやりたくて入部したが、周りの「彼氏持ち」目的の子とも、うまく調子を合わせてきた。しかし、亜樹は、中学最後の大会でも惨敗し、何も残らないまま引退の時期を迎えた。将来が見えないことへの不安から焦ったり悩んだりしながらも、亜樹は、一歩ずつ歩き始める。兵士ピースフルマイケル・モーパーゴ著佐藤見果夢訳評論社父が死んでから、トモは兄のチャーリーを慕い、チャーリーはトモをかばって、支えあって生きてきた。第一次世界大戦が始まり、もう少しで 16 歳になるトモは、チャーリーについて、戦場へ行こうと決意する。二人は、戦場の塹壕で泥水やシラミに悩まされ、砲弾が飛び交う過酷な毎日を過ごす。ある日、チャーリーはトモを助けるため上官の命令に背き、軍事裁判にかけられてしまう。 4 マハラジャのルビーサリー・ロックハートの冒険① フィリップ・プルマン著山田順子訳東京創元社 19 世紀末、ヴィクトリア朝のロンドン。16 歳のサリー・ロックハートは、海運会社の経営者だった父を船の事故で亡くした。孤児となったサリーの元に、「七つの祝福に用人（心）しろ」と書かれた謎の手紙が届く。サリーは、父のかつての共同経営者を訪ねたが、その言葉を耳にしたとたんに、男は心臓発作を起こして死んでしまう。その後、次々と事件が起こり、サリーは父の死をめぐる陰謀にまきこまれていく。ボクシング・デイ樫崎茜著栞は、「ち」と「き」の発音がうまくできない。そのため、定年間近の佐山先生の「ことばの教室」に通っていた。そこでは、ことばの練習だけではなくいろいろなことを話した。悲しい気持ちでいるときのほうがたくさんのことを学ぶチャンスだということ、誰もが同じように同じことができなくてもいいということ。佐山先生が退職した後、栞は、先生から大きなプレゼントをもらったことに気づく。 5 講談社涙のタトゥーギャレット・フレイマン＝ウェア作ないとうふみこ訳ポプラ社ソフィーは、二年前の弟の死を受け入れることができず、心をとざし、勉強と水泳に打ち込む日々を送っている。そんなある日、彼女の家に、母親の新しい恋人が息子フランシスをつれて訪れた。彼は、目の下に、涙形のタトゥーを入れた風変わりな少年だった。フランシスは、亡くした母さんをいつもつれて歩くためタトゥーを入れたと打ち明けてくれる。彼と過ごすうちに、ソフィーの心は少しずつほぐれていった。ビッグＴと呼んでくれＫ．Ｌ．ゴーイング作浅尾敦則訳徳間書店ニューヨークに住む高校生トロイは身長 180cm、体重 135kg の巨体。何をしても皆の笑い者になる彼は、思いつめて自殺をしようと駅のホームに佇んでいた。とそのとき、やせっぽちで汚れきった男に声をかけられた。その男は、ホームレスにして伝説のパンクロッカー、カートだった。カートからバンドのドラマーにならないかという意外な誘いを受けたトロイは、期待に応えようと必死に練習を始める。 6 サクランボたちの幸せの丘アストリッド・リンドグレーン作石井登志子訳徳間書店父の退役を機に 16 歳のバーブロは双子の姉と、父の生まれ育った農場に引っ越すことになった。二人は、乳搾りを習ったり、町までミルクを運んだり、慣れないながらも喜んで働いた。休日には仲間たちとハイキングや釣りに出かけ、自然豊かな田舎で、きらきらした夏を満喫する。やがて、バーブロにはビヨルンという恋人ができるが、他の男の子とも親しくなったことが原因でビヨルンと疎遠になってしまう。ジャック・デロシュの日記隠されたホロコーストジャン・モラ作横川晶子訳もし、自分の一番尊敬する人たちが、恐ろしい過去を抱えていたら？エマは、亡くなった祖母の部屋で古い日記を見つける。それは、ポーランドのソビブルでユダヤ人の「処理」にかかわっていた青年の日記だった。エマは、死に無感覚な淡々としたその日記を吐き気がするまで読み続ける。エマは、食べては吐くことを繰り返し、病的にやせていく。やがて、エマは真実と向きあう覚悟をする。 7 岩崎書店