2030 - 地球環境戦略研究機関

IPCCシンポジウム, 兵庫県神戸市, 平成28年1月28日
気候変動適応策の最近の動向について
環境省地球環境局研究調査室長
竹本明生
-目次-
1. 地球温暖化(削減)対策について
2. 気候変動の影響への適応について
COP21におけるパリ協定の採択
● COP21(11月30日~12月13日、於:フランス・パリ)に
おいて、 「パリ協定」(Paris Agreement)を採択。
 「京都議定書」に代わる、2020年以降の温室効果ガス
排出削減等のための新たな国際枠組み。
 歴史上はじめて、すべての国が参加する公平な合意。
●安倍総理が首脳会合に出席。
 2020年に現状の1.3倍の約1.3兆円の資金支援を発表。
 2020年に1000億ドルという目標の達成に貢献し、合意に向けた交渉を後押し。
●パリ協定には、以下の要素が盛り込まれた。




世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求することに言及。
主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新。
我が国提案の二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用を位置付け。
適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出
と定期的更新。
 先進国が資金の提供を継続するだけでなく、途上国も自主的に資金を提供。
 すべての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
 5年ごとに世界全体の実施状況を確認する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
2
約束草案
主要各国の提出状況(2015年10月1日時点)
●各国はCOP21に十分先立って、2020年以降の約束草案(削減目標案)を提出。<COP19決定>
●148か国・地域(欧州各国含む)が提出(世界のエネルギー起源CO2排出量の9割近く)。
●先進国(附属書Ⅰ国)はほぼ提出済み。非附属書Ⅰ国でも中、韓、南アフリカ、ブラジル等が提出。
先進国(附属書Ⅰ国)
米国
EU
ロシア
日本
カナダ
オーストラリア
スイス
ノルウェー
ニュージーランド
2025年に-26%~-28%(2005年比)。28%削減に向けて最大限取り組む。
3月31日提出
2030年に少なくとも-40%(1990年比)
3月6日提出
2030年に-25~-30%(1990年比)が長期目標となり得る
4月1日提出
2030年度に2013年度比-26.0%(2005年度比-25.4%)
7月17日提出
2030年に-30%(2005年比)
5月15日提出
2030年までに-26~28%(2005年比)
8月11日提出
2030年に-50%(1990年比)
2月27日提出
2030年に少なくとも-40%(1990年比)
3月27日提出
2030年に-30%(2005年比)
7月7日提出
途上国(非附属書Ⅰ国)
中国
2030年までにGDP当たりCO2排出量-60~-65%(2005年比) 。2030年前後にCO2排出量のピーク
6月30日提出
インド
2030年までにGDP当たり排出量-33~-35%(2005年比)。
10月1日提出
2030年までに-29%(BAU比)
9月24日提出
・2025年までに-37%(2005年比) (2030年までに-43%(2005年比))
9月28日提出
2030年までに-37%(BAU比)
6月30日提出
・2020年から2025年にピークを迎え、10年程度横ばいの後、減少に向かう排出経路を辿る。
・2025年及び2030年に398~614百万トン(CO2換算)(参考:2010年排出量は487百万トン(IEA推計))
9月25日提出
インドネシア
ブラジル
韓国
南アフリカ
※その他、以下の国が提出済み。メキシコ、ガボン、リヒテンシュタイン、アンドラ、モロッコ、エチオピア、セルビア、アイスランド、シンガポール、マーシャル諸島、ケニア、
モナコ、マケドニア、トリニダート・トバコ、ジブチ共和国、コンゴ民主共和国、ドミニカ共和国、アルジェリア、コロンビア、チュニジア、コモロ連合、赤道ギニア、モンテネグロ、
ガーナ、アルバニア、マダガスカル、モンゴル、エリトリア、バングラディシュ、セイシェル、ジョージア、ベラルーシ、モルドバ、キリバツ、セネガル、中央アフリカ共和国、モー
リシャス、ミャンマー、ガンビア、モルディブ、カザフスタン、ペルー、バルバドス、ブルキナファソ、チリ、バヌアツ、マリ、ベナン、アルメニア、ニジェール、コートジボワール、
キルギスタン、ベトナム、モーリタニア、バルバドス、ウルグアイ、ナミビア、グレナダ、ザンビア、スワジランド、タンザニア、アゼルバイジャン、コンゴ、ドミニカ、カーボベル
デ、イスラエル、グアテマラ、サントメプリンシペ、ハイチ、ウクライナ、レバノン、ブルンジ、ヨルダン,ギニアビザウ、ソロモン諸島、トルクメニスタン、ジンバブエ、コスタリカ、
ブータン、マラウィ、カンボジア、ルワンダ、レソト、タジキスタン、リベリア、パプアニューギニア、モザンビーク。トーゴ、トルコ、サンマリノ,、スリナム、サモア、カメルーン、
フィリピン、ラオス、マラウィ、タイ、ガイアナ、ホンジュラス、シエラレオネ、チャド、ボツワナ、パラグアイ、アルジェリア、ベリーズ、エクアドル、モザンビーク、アルゼンチン
排出削減目標の構造
○第一に、省エネによりエネルギー需要の抑制
○第二に、ゼロエミッション電源やCO2の少ないエネルギーの選択
第189回国会安倍総理施政方針演説: 「あらゆる施策を総動員して、徹底した省エネ
ルギーと、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいります。」
省エネ対策
エネルギー需要
- 経済成長
- 世帯数増加
再エネ
石油火力
ガス火力
原発
石炭火力
火力
電力以外
2030
電力
省エネ対策した場合のエネルギー需要
現在
エネルギー
供給構成
CO2
排出
石炭
ガス
重油
軽油
等
CO2
排出
CO2
排出
C
O
2
排
出
量
CO2排出
※このほか、森林吸収、メタンガス抑制、フロン対策等
4
(参考)エネルギーミックスにおける電力需要・電源構成
電力需要
電源構成
(総発電電力量)
徹底した省エネ
1,961億kWh程度
経済成長
1.7%/年
(対策前比▲17%)
12,780億kWh程度
(総発電電力量)
(送配電ロス等)
省エネ17%程度
10,650億kWh程度
省エネ+再エネ
で約4割
再エネ19~20% 再エネ22~24%
程度
程度
電力
9666
億kWh
電力
9808
億kWh
程度
2030年度
太陽光 7.0%程度
水力 8.8
原子力18~17% 原子力22~20% ~9.2%程度
程度
程度
LNG22%程度
石炭22%程度
2013年度
(実績)
地熱 1.0
~1.1%程度
バイオマス
3.7~4.6%程度
風力 1.7%程度
LNG27%程度
石炭26%程度
石油 3%程度
石油 2%程度
2030年度
ベースロード比率
:56%程度
5
部門別のエネルギー起源CO2削減目標
 エネルギー起源CO2のうち、環境省が中心となって対策を進める業務その他
部門、家庭部門においては、2013年度比約40%減と大幅に削減すること
が必要。
600
(単位 百万トンCO2)
500
400
業務その他部門
300
40%減
▲6.5%
産業部門
▲27.4%
運輸部門
業務その他部門 ▲39.
7%
▲39.
家庭部門
4%
エネルギー転換部門
▲27.
5%
200
家庭部門
100
39%減
0
1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030
6
約束草案で見込んでいる主な省エネ対策①
燃費改善・次世代自動車の普及
2台に1台が次世代自動車(保有ベース)
ハイブリッド自動車:3%(2012)→29%(2030)
電気自動車/プラグイン・ハイブリッド自動車:0%(2012)→16%(2030)
燃料電池自動車:0%(2012)→1%(2030)
クリーンディーゼル自動車:0%(2012)→4%(2030)
交通流対策(エコドライブ等)
・交通流対策の推進
・公共交通機関の利用促進等
・高度道路交通システム(ITS)の推進
・自動運転の推進
・エコドライブの推進
・カーシェアリング
等
住宅/建築物の省エネ化、高効率給湯器の導入
・新築住宅/新築建築物について、2020年までに段階的に省エネルギー基準への適合を義務化
・低炭素建築物の推進、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)/ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の促進
・高効率給湯器の導入
家庭用燃料電池:5.5万台(2012)→530万台(2030)
家庭用ヒートポンプ式給湯器:400万台(2012)→1400万台(2030)
7
約束草案で見込んでいる主な省エネ対策②
LEDなど高効率照明の導入
LED、有機EL等の高効率照明を用いた、高輝度な照明技術により省エネ
高効率照明のうち高効率LED・有機ELのシェア(保有ベース)は、LED
照明のトップランナー基準策定に伴い、2030年度でほぼ100%
エネルギー管理の実施(工場、業務、家
庭)
・製造ラインの見える化を通じたエネルギー効率の改善
・HEMS/BEMSによる見える化・エネルギーマネジメント
HEMSの全世帯への導入
BEMSの約半数の建築物に導入
省エネ型の家電・OA機器の普及
・トップランナー基準等による、様々な製品(エアコン、冷蔵庫、複写機、プリン
ター 等)の性能向上
国民運動の推進
・国民運動を通じた国民への情報提供の充実と省エネの行動変革
クールビズ・ウォームビズの実施徹底の促進
機器の買換え促進
等
8
約束草案で見込んでいる再エネ量の内訳・推進施策
◆総発電電力量(10,650億kWh程度)のうち、再生可能エネルギーは22~24%を占める。
◆足下から、太陽光は7倍、風力・地熱は4倍の発電電力量を見込んでいる。
[単位:億kWh]
風力
洋上風力
陸上風力
再生可能エネルギー導入推進施策
太陽光
非住宅
住宅
バイオマス
地熱
既導入量
中小規模
大規模
・固定価格買取制度の適正な運用
・規制緩和
・低コスト化・高効率化のための技術開
発
・大型蓄電池の開発・実証
・送配電網の整備
等
水力
 再生可能エネルギーの導入は、低炭素社会
の実現に不可欠
 まずは今回示された目標を確実に達成し、中
長期的に更なる導入拡大を図る
既導入量
RPS
一般廃棄物等
バイオガス
建設資材廃棄物
未利用間伐材
一般木材・農作物残渣等
中小水力(追加:130~201万KW)
大規模水力(追加)
9
電力部門で見込んでいるCO2削減量(約束草案)
エネルギー起源CO2排出量
(億t-CO2)
電力由来エネルギー起源CO2排出量
(億t-CO2)
約1.9億トン
約3億トン
削減が必要
削減が必要
2013年度 2030年度
2013年度 2030年度
CO2排出量合計
5.48
3.60
▲24%
05年排出量比
+18%
▲22%
▲25%
13年排出量比
-
▲34%
CO2排出量合計
12.35
9.27
05年排出量比
+1%
13年排出量比
-
※2030年度の各数値はいずれも概数。
出典:長期エネルギー需給見通し関連資料、平成27年6月資源エネルギー庁
10
石炭火力の設備容量とCO2排出量について
2030年のエネルギーミックスでは、石炭火力のCO2排出量を約2.2~2.3億トンに削減すると想定。これを、
発電容量ベースに割り戻すと、約4600万kW程度に相当する。
現在、石炭の新増設の計画は約1800万kW(平成27年10月現在)。全て実行されると、老朽火力が
稼働45年で廃止するとしても、2030年には約5900万kW(発電効率や稼働率がミックスの想定通りにな
るとしても、CO2排出は約2.8~2.9億トン)。2030年の削減目標を約6000万トン超過することになる。
既にミックス
以上の容量
対策がされな
いと、大幅な
排出超過
<2013年度実績>
石炭の発電容量約4900万Kw : 総合エネルギー統計より推計。
石炭のCO2排出量約2.7億トン : 総合エネルギー統計の燃料消費量から求めた値で、我が国の温室効果ガス排出インベントリでも用いられている公表値。
<2030年度ミックス> 石炭の発電容量約4600万Kw : エネルギーミックスは石炭の発電電力量を2810億kWh(稼働率70%と設定)としているため、割り戻したもの。
石炭のCO2排出量約2.2~2.3億トン : エネルギーミックスの内訳から推計。
<2030年度現状追認> 石炭の発電容量約5900万kW : 各社公表資料等によると、約1800万KW新増設の計画。45年廃止の想定で約800万kW廃止になり、現状から約1000万kWの増加。
石炭のCO2排出量約2.8~2.9億トン : エネルギーミックスの石炭火力の排出量から、発電容量に応じて比例したと仮定して試算。
11
気候変動リスクを踏まえた世界の動向
●海外では既に、金融機関、機関投資家等が、気候変動が企業価値に影響を与え
るリスクを評価し、投融資活動に反映する動きが見られる(日本ではこうした動き
は見られない)。
●2015年6月5日、ノルウェー公的年金基 ●石炭等の化石燃料を「座礁
金(GPFG)※が保有する石炭関連株式を 資産」(2℃目標の達成のた
めの措置により使用できなく
すべて売却する方針を、ノルウェー議会
なるリスクがある資産)と捉え、
が正式に承認。
投融資を引き揚げる動き(ダ
イベストメント)が、大手機関
を含めて始まっている。
●全米最大の公的年金基金カ
ルパース(CalPERS・運用金額30
兆円)は、石炭関連産業から撤
退する運用方針を昨年秋に発
表した。
●日米欧などの金融監督当局
で構成する金融安定理事会(F
SB)が、昨年11月のG20で気
候変動に関わる金融機関のリ
出典:QUICK ESG研究所
スク開示を強化すべきだとする
※約104兆円(平成27年3月末時点)の資産規模を有す 提言を行った。
る世界有数の年金基金。我が国の年金積立金管理運
用独立行政法人(GPIF)の資産規模は、約138兆円。
http://www.fsb.org/wpcontent/uploads/Disclosure-task-
12
出典:12月3日 日本経済新聞
革新的な温室効果ガスモニタリング
※GOSAT: Greenhouse gases Observing SATellite
現在も運用中の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は、環境省、
宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び国立環境研究所(NIES)により共同で開発
されている。
GOSATシリーズの目的
 気候変動に関する科学の発展への貢献
 気候変動政策への貢献(低炭素社会開発の推進)
地上観測のみ
(約260点観測)
全球観測
GOSAT観測イメージ図
©JAXA
有効な観測点数
(約13,000点)
13
いぶき(GOSAT)で観測した全球大気平均CO2濃度
GOSATの観測データを用いて算出した地球全体(全大気)の月別平均CO2濃度。
季節変動をしながら、年々上昇していることが明らかとなった。
月別全大気平均濃度
約398.8 ppm(平成27年5月)
推定経年平均濃度
※季節変動を取り除いた2年程度
の平均濃度値
この上昇傾向が続けば、
平成28年中に400ppmを超える見込み
平成27年11月16日(月)報道発表
14
衛星で観測・推計した都市の人為起源CO2濃度
化石燃料起源二酸化炭素濃度が周辺の二酸化炭素濃度より高い値を示す地
点について、東アジアをはじめとする世界中の大都市を対象にGOSAT観測
データをもとに解析した。
1
3
2
5
6
7
平成26年12月4日(木)報道発表 15
衛星で観測・推計した人為起源メタン濃度
GOSAT観測データを解析し、人口密集地域・大規模な農業地域、天然ガス・石油
の生産・精製地域の周辺でメタン濃度が高いことを明らかにした。
平成27年11月27日(金)報道発表 16
衛星データと排出量インベントリの比較分析結果(メタン)
GOSAT観測データと、排出量インベントリのそれぞれから求めた人為起源メタン
濃度に相関関係があることがわかり、GOSATデータの有用性と、衛星観測が排
出量インベントリの監視・検証ツールとして有効利用出来る可能性を示した。
平成27年11月27日(金)報道発表 17
地球温暖化対策に関する当面の課題
1.パリ協定の早期署名と締結、実施に向けた取組
○全ての国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みとして採択された「パリ協定」の実施に向け、国
際的な詳細ルールの構築に積極的に貢献していくとともに、我が国の早期署名及び締結に向けて必
要な準備を進める。
○途上国支援、イノベーションからなる新たな貢献策「美しい星への行動2.0」の実施に向けて取り組む。
2.地球温暖化対策計画・政府実行計画の策定、実施
○日本の約束草案を確実に実現するため、今春までに地球温暖化対策計画を策定。
※我が国のエネルギー起源CO2排出量の4割を占める電力部門について、電力業界全体でCO2
排出削減に取り組む実効性のある枠組みの早期構築が必要。
※環境大臣を先頭に各省一体となって国民運動を強化。地方自治体、産業界、民間団体等多様
な主体が連携し、情報発信、意識改革、行動喚起を推進。
○庁舎へのLED照明の率先導入など、先導的な対策を盛り込んだ政府実行計画を来春までに策定。
3.気候変動の影響への適応計画の実施
○平成27年11月、我が国として初めて策定した「気候変動の影響への適応計画」を着実に実施。
4.2050年、さらにその先を見据えた長期的・戦略的な取組
○世界共通の長期目標となった2℃目標の達成に貢献するため、G7エルマウ・サミット首脳宣言
(2015年6月)やパリ協定において盛り込まれた、長期的な低炭素戦略の策定に向けた検討に着
18
-目次-
1. 地球温暖化(削減)対策について
2. 気候変動の影響への適応について
気候変動の影響への適応とは
○緩和とは:
地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出抑制等
○適応とは:
既に起こりつつある、あるいは起こりうる
気候変動の影響に対して、自然や社会のあり方を調整
20
政府の適応計画策定までの経緯
中央環境審議会地球環境部会に「気候変動影響評価等小委員会」を設置(平成25年7月)
⇒気候変動の影響及びリスク評価と今後の課題を整理し、意見具申を取りまとめ
(平成27年3月)
「気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議(局長級)」を設置
(平成27年9月11日)
気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議において、
政府の「気候変動の影響への適応計画(案)」を取りまとめ(平成27年10月23日)
平成27年10月23日~11月6日の間、パブリックコメント実施
COP21※に向けた我が国の貢献となるよう、政府の適応計画を策定
(11月27日 閣議決定)
21
※気候変動枠組条約第21回締約国会議
11/30~ 12/11(パリ)
気候変動影響評価結果の概要
【重大性】
【確信度】
分野
農業・
林業・
水産業
:特に大きい
:高い
大項目
農業
水稲
野菜
:「特に大きい」とは言えない -:現状では評価できない 【緊急性】
:高い
:中程度
:低い
-:現状では評価できない
:中程度
:低い
-:現状では評価できない
重大性 緊急性 確信度
重大性 緊急性 確信度
分野
大項目
小項目
小項目
自然生態 生物季節
系
*「在来」の「生態系」に
分布・個体群の変動
-
対する評価のみ記載
果樹
自然災 河川
害・沿岸
域
沿岸
麦、大豆、飼料作物等
畜産
林業
水産業
水資源
高潮・高波
海岸侵食
木材生産(人工林等)
山地
土石流・地すべり等
特用林産物(きのこ類等)
その他
強風等
冬季の温暖化
冬季死亡率
暑熱
死亡リスク
回遊性魚介類(魚類等の生態)
健康
湖沼・ダム湖
熱中症
河川
感染症
水系・食品媒介性感染症
沿岸域及び閉鎖性海域
節足動物媒介感染症
水供給(地表水)
その他の感染症
その他
水需要
産業・
製造業
経済活動 エネルギー
自然生態 陸域生態系 高山帯・亜高山帯
系
自然林・二次林
物質収支
淡水生態系 湖沼
河川
湿原
沿岸生態系 亜熱帯
温帯・亜寒帯
-
-
-
-
エネルギー需給
建設業
-
-
-
医療
-
-
-
-
-
観光業
-
-
-
人工林
野生鳥獣による影響
-
-
金融・保険
のみ記載
*「複合影響」に対する評価のみ記載
商業
里地・里山生態系
対する評価
海洋生態系
海面上昇
農業生産基盤
水供給(地下水)
*「生態系」に
内水
病害虫・雑草
増養殖等
水環境・ 水環境
水資源
洪水
その他
レジャー
その他(海外影響等)
国民生 都市インフラ、ライフライン 水道、交通等
活・都市 文化・歴史を感じる 生物季節
生活
暮らし
伝統行事・地場産業等
その他
暑熱による生活への影響等
-
22
*「日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申)」から作成
http://www.env.go.jp/press/upload/upfile/100480/27461.pdf
気候変動の影響への適応計画について(構成)
○IPCC第5次評価報告書によれば、温室効果ガスの削減を進めても世界の平均気温が上昇すると予測
○気候変動の影響に対処するためには、「適応」を進めることが必要
○平成27年3月に中央環境審議会は気候変動影響評価報告書を取りまとめ(意見具申)
○我が国の気候変動 【現状】
年平均気温は100年あたり1.14℃上昇、日降水量100mm以上の日数が増加傾向
【将来予測】 厳しい温暖化対策をとった場合
:平均1.1℃(0.5~1.7℃)上昇
温室効果ガスの排出量が非常に多い場合 :平均4.4℃(3.4~5.4℃)上昇
※20世紀末と21世紀末を比較
<基本的考え方(第1部)>
■目指すべき社会の姿
○気候変動の影響への適応策の推進により、当該影響による国民の生命、財産及び生活、経済、自然
環境等への被害を最小化あるいは回避し、迅速に回復できる、安全・安心で持続可能な社会の構築
■基本戦略
(1)政府施策への適応の組み込み
(2)科学的知見の充実
(3)気候リスク情報等の共有と提供を
通じた理解と協力の促進
(4)地域での適応の推進
(5)国際協力・貢献の推進
■対象期間
○21世紀末までの長期的な展望を意識しつつ、
今後おおむね10年間における基本的方向を示す
■基本的な進め方
○観測・監視、予測、影響評価、適応策の検討・実施、
進捗状況尾把握、必要に応じた見直しのサイクル
○おおむね5年を目途に気候変動予測評価を実施し、
必要に応じて計画の見直しを行う。
<分野別施策(第2部)>
■農業、森林・林業、水産業 ■健康
■水環境・水資源
■産業・経済活動
■自然生態系
■国民生活・都市生活
■自然災害・沿岸域
<基盤的・国際的施策(第3部)>
■観測・監視、調査・研究
■気候リスク情報等の共有と提供
■地域での適応の推進
■国際的施策
23
第2部第1章 農業、森林・林業、水産業の概要
水稲の「ふつうの米」(左)と「白くにごった米」(右)
みかんの「浮皮症」
日本海におけるスルメイカの分布予測図(7月)
2000年
2050年
2100年
第2部 第4章 自然災害・沿岸域
平成26年8月20日 広島市安佐南区の被災状況
八木地区
JR可部線
緑井地区
国道54号
土石流発生前(H26.7.22)
土石流発生直後(H26.8.20)
適応計画関連の発言
11月30日COP21首脳会合における安倍総理のスピーチ
 今こそ先進国、途上国が共に参画する温室効果ガス削減のための新た
な枠組みを築くべき時。
 パリ合意には、長期目標の設定や,削減目標の見直しに関する共通プロ
セスの創設を盛り込みたい日本は、先に提出した志の高い約束草案や
適応計画を着実に実施していく。
11月27日閣議後会見における丸川大臣発言
 既に顕在化している気候変動の影響への適応策を計画的かつ総合的に
進めるため、農林水産省・国土交通省などの関係府省庁と共同して作業
を進め、我が国として初めて策定したもの。現在及び将来の気候変動の
影響に対応していく上での国全体の取組の方向性を示している。今後は、
関係府省庁と一体となって、この計画の国内外への積極的な発信を推進
してまいりたい。
 自治体が私たちのところの適応計画を作りたいというときのための情報提供の用意をしている。より
細かい地域の計画が立てられるような予測というものを示しており、温度上昇に合わせてどのぐらい
の被害が拡大していくかというのは指標を示すデータを提供しながら、策定支援をさせていただく。
12月18日衆議院環境委員会における丸川大臣発言
 計画の基本戦略の一つに、「調査・研究の推進」ということを書いている。この調査研究の推進に
よって、継続的にまだ知見が至らない分野については充実を図っていくこととしている。今後、関係
省庁と連携して調査研究を進めていきたい。
 適応については、途上国からの期待も大変大きい部分があるので、我が国としても、自国のための
みならず、世界への貢献のためにも努力をしていきたい。
地方公共団体における適応の取組への支援:
地方公共団体における気候変動影響評価・適応計画策定等支援事業
○事業概要
 平成27年度より環境省において、気候変動に係る影響評価や、適応計画の策定等に
関する支援を実施
 具体的な支援内容は、選定された各地方公共団体の希望を踏まえて環境省と協議の
上、地方公共団体ごとに設定
※支援内容の例
 文献調査、他の地方公共団体の事例調査などの情報収集
 影響評価を実施する際の技術的助言
 有識者の紹介
地方公共団体における適応計画の策定手順や課題等を整理することにより、
他の地方公共団体での取組に活用。
○平成27年度支援対象団体(11団体)
外部有識者による審査委員会により、先進事例としての有効性や推進体制等の観点から審査
を実施し、支援対象団体を決定
地域 自治体名称
地域
自治体名称
地域
自治体名称
東北 福島県、仙台市
中部
三重県
四国
愛媛県
関東 埼玉県、神奈川県、川崎市
近畿
滋賀県、兵庫県
九州
長崎県、熊本県
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途上国における適応の取組への支援:
環境省の取組
※平成26年9月国連気候サミットでの「適応イニシアチブ」に基づく事業
●気候変動影響評価・適応推進事業(アジア太平洋地域等における気候変動影響評価・適応推進支援)
① 二国間協力の下で、適応計画策定のためのニーズ調査、気候変動影響評価等を実施
ホスト国:インドネシア、モンゴル、太平洋地域の小島嶼国等を予定
実施体制:ホスト国ごとに、研究機関・コンサルタント等のコンソーシアムを立ち上げ実施
② アジア太平洋地域等の途上国を対象に気候変動影響評価・適応計画策定に関する人材育成を実施
実施体制:アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)、アジア工科大学(AIT)、関連機関
モンゴル
インドネシア
その他途上国(小島嶼国)
気候変動影響評価・適応計画策定に関する人材育成
●世界適応ネットワークアジア太平洋地域等事業拠出金
「世界適応ネットワーク(GAN)」
UNEP提唱の世界の適応に関する知見共有ネットワーク。
気候変動に脆弱な途上国のコミュニティ・生態系・経済を気候変化に
強靱にするため、地域を越えた知見共有の支援を実施。
世界適応ネットワーク (GAN)事務局:UNEP-DEPI
アジア・太平洋
APAN
「アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)」
GANのアジア太平洋地域を担う。我が国は設立当初から支援。
フォーラムや準地域会合を通じて、適応に関するニーズの把握、人
材育成等を実施し地域の適応能力の強化に貢献。
中南米
REGATTA
西アジア
WARN-CC
アジア太平洋適応ネットワーク (APAN)
事務局:UNEP-ROAP
地域活動拠点(地域ハブ):
APANでは2011年以降、
40以上のトレーニング・
ワークショップ、フォーラム等
を開催
アフリカ
AAKNet
東南アジア
南アジア
IGES・AIT-RRC.AP・SEI
太平洋
中央アジア
北東アジア
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ご清聴ありがとうございました