高校生向けワークシート “わたしたちが暮らす未来

高校生向けワークシート “わたしたちが暮らす未来” 先生向け実施マニュアル
1. はじめに
このプログラムは、先生の事前準備・指導が欠かせない構成となっています。本マニュアルはそのサポートを行うためのもの
ですので、必ずお読み下さい。
2. 概要
場 所 : 日本科学未来館 3・5 階 常設展示ゾーン 人数:8~40 名程度
目 的 : ①科学技術がもたらす社会の変化をメリット・デメリットの両面から考えることのできる視点の獲得
②同じ科学技術に対する考え方が、立場が違えば異なってくることの理解
③自分の考えを伝え、他人の意見に耳を傾けながら想像を膨らませるためのコミュニケーション能力の育成
*来館してすぐに本ワークシートを活用することで、未来を考える視点を持ってその後の館内見学を行う導入とし
てご利用頂けます。
内 容 : 2030 年に自分がある職業に就いている場面を想定し、他の職業を選択したグループメンバーと共に展示から特
定の科学技術について調べ、自分の生活にどういう変化があるかをメリット・デメリットの両面から想像し、グルー
プで共有します。このワークシートでは「正しい未来予測をする」ことではなく、生徒達が自由な発想で未来を考え
ることを重視します。
体験時間:①Step0-4 まで全て館内で実施する場合
約 60 分
②事前に Step0-1 を学校で実施してくる場合
約 45 分
③Step3 終了後にオプション(p2 参照)を実施する場合
①もしくは②の時間 + 2 分×グループ数
*実施時間はあくまでも目安です。本ワークをどれくらい深めたいかや、生徒の学年、普段の生徒の状況など、
滞在時間等を考慮して先生の方で終了時間をお決め下さい。
*途中に別の体験を挟むと生徒の目的意識や集中力が低下するため、本ワークが終了するまではアシモ実演
やドームシアター等の見学を避けることをお勧めします。
1
3. プログラムの実施
【実施の流れ】
ステップ
活動内容
(場所)
「」内は先生の発言例
ねらい
準備
(
学校 )
ワークシートを A3 サイズで人数分印刷し、それを挟む
ロールプレイに効果的な人数
クリップボートと筆記用具を準備する。
として 3-4 人のグループを推
3-4 人のグループ分けを行っておく。※1
奨。全員分のワークシートとクリ
実施の様子
ップボードを準備する。
STEP0~1
(
学校または未来館1階)
STEP2
(
1階 →
3・5階 →
1階)
<先生>「皆さんはグループで 2030 年の自分たちを
一人ひとりに異なる役割与え
想像しながら、科学技術が自分たちの生活にどう関わ
ることで能動性を高め、2030
っているのか考えてもらいます。STEP0 では 2030 年
年の自分を想像する。また、
にメンバーが別々の職業に就いているという設定で、
「一人乗りヘリコプター」の例を
自分たちの職業を選んでください。その下にある「1 人
示すことで、今回のワークシー
乗りヘリコプター」は今回行うワークの例ですのでこれ
トでどのようなことを行えばよい
でイメージを掴んでください。STEP1 では 8 つの展示に
かイメージする。その後グルー
関連した科学技術の中から、自分たちが考えてみた
プで話し合って自分たちがチ
いものをグループで 1 つを選んでください。」※2
ャレンジしたい科学技術を選
<生徒>自分たちの職業と調べる科学技術を話し合
択させることで、能動性を高め
って決める。
る。
<先生>「STEP2 では地図を参考に選んだ展示を探
? の問いに答
展示を調査して○
? の問いをみんなで考えてくださ
し、まずSTEP1 の○
えるプロセスを通して、その科
! はその問いに答えるためのヒントです。次に自分
い。○
学技術を考える上でのポイント
の生活がその科学技術でどのように変わっているか
を押さえる。その後自分が与
を、STEP0 で決めた職業になりきって考えてください。
えられた職業になりきってイメ
ここでは科学技術の良い面だけでなく、悪い面も考え
ージすることで、科学技術の
るのがポイントです。○時○○分に●●に戻ってきて
発展が自分の未来にどう影響
ください。」※3
するのか考える。
<生徒>選んだ科学技術を展示から調べる。2030
年の生活との関わりを良い面/悪い面から個人で考
え、ワークシートに記入して部屋に戻る。※4
STEP3~4
(
1階)
<先生>「STEP3 ではそれぞれの人が考えた科学技
各人の考えを共有することで、
術の良い面/悪い面をみんなで共有してください。
立場が違えば見えてくる科学
STEP4 では体験を振り返って感じたことを書いてくださ
技術の側面が異なることを知
い。」
る。ふり返りを行うことで学んだ
<生徒>各人が考えた内容をグループで共有し、体
ことを言語化する。
験を通して気づいたことをまとめる。
オプション
ワーク
終了
オプション(目安時間:グループ数×2 分)
他の科学技術について知り、
STEP4 の前に、STEP2 の①と STEP3 を各グループで
それらも未来の自分達の生活
発表しあい、全体に共有する。
と関わることを知る。
<生徒>ワークシートを提出する
先生がチェックすることで、生
<先生>生徒のワークシートが埋まっていることを確
徒達が能動的に取り組んだか
認。時間があれば生徒の考えにコメントする※5
確認する。
2
【実施のポイント】
※1 来館後にグループ分けを行うと時間がかかり、混乱も生じるため必ず事前にグループ分けを行ったうえでご来館ください。
その際できるだけコミュニケーションが取れやすいグループ構成にご配慮ください。
※2 人数が多い場合は一部の展示に複数のグループが集中し、十分に調べることができない場合があります。1 つの科学
技術に 3 グループ以上集中しないように配慮ください(生徒に選ばせずに先生の方で調べる科学技術を割り振るなど)。
※3 生徒に一般の来館者の通行の妨げになる場所に居続けないことをお伝えください。
※4 展示フロア内で何をしてよいか困っているグループがあれば指示を明確にし、未来をイメージできていないグループが
あれば、「その科学技術の及ぼす社会全体への影響や、選んだ仕事に関係する周りの人達への影響まで考えてみよ
う」)などのアドバイスを与えてください。
※5 生徒たちが今回調べた科学技術について自主的に調べたいと思えるようにアドバイスしたり、本ワークシート終了後に
自由見学の時間があれば、今回気づいた視点で展示を見てみるようにアドバイスしたりするとよいでしょう。
【各科学技術で想定される回答例】
科学技術
問い
回答例
インタロボ
このロボットはなぜ人を話
音声から話の切れ目を予想してうなずいたり、身振り手振りによって
に引き込める?
全体で反応したりできるから
このロボットが作られた目
ふれあうことで楽しみや安らぎなどの精神的な働きかけを行うこと
パロ
的は?
アンドロイド
印刷を使った生産技術
(3D プリンターなど)
量子コンピュータ
惑星探査
なぜ人間そっくりなロボット
“人間とは何か”を明らかにするため
が必要なの?
ユニバーサルなコミュニケーションメディアとしても使える
印刷のどんな特徴がもの
必要な量の材料を正確に配置できるという特徴
づくりに応用できる?
大量かつ高速に、緻密なものを作ることができる特徴
この技術が実現すればど
暗号の解読・膨大なデータの検索
んな応用が期待できる?
原子レベルでの物質シミュレーションの大変革
なぜ惑星探査をするの?
太陽系がどのようにして出来たか知る。生命存在の可能性とその環
境を探る。人類の生存戦略を考えるヒントを得る。
畑で育てるプラスチック
植物にプラスチックを作ら
使い終わった後は二酸化炭素と水に戻せるので、資源が循環する
せるメリットは?
国際宇宙ステーション
(ISS)
ISS ではどんな研究をやっ
微少重力・高真空などの特殊な環境や豊富な太陽エネルギーを利
ている?
用した新素材開発・生命科学の研究・医学実験・天体観測
4. 事後学習のススメ
本ワークシートは、未来を想像する視点を養う導入です。この視点は、ワーク終了後に継続的に実施することで生徒達に根
付くものでしょう。事後学習として、このような考え方を色々な日常場面で先生方が実施して下さるのが、一番望ましい形で
すので、いくつか事後学習例を示させて頂きます。
【例 1】帰りのバスや宿舎に戻ってから、各グループが考えたことを発表しあい、議論する(オプションを未実施の場合)。
【例 2】選んだ科学技術について本やインターネットなどで調べる宿題を出し、より深い未来予想ができるようにする。
【例 3】ワークで与えられた役割から離れ、自分の 2030 年の未来像と照らしてその科学技術が自分とどう関わっているか考
える宿題を出す。
【例 4】学校で学んだ科学技術についても同様の手法で、未来を想像するワークを実施する。
本ワークシートに関する問い合わせ先
日本科学未来館 対話プログラム開発課 TELL:03-3570-9215 FAX:03-3570-9150
URL http://www.miraikan.jst.go.jp
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