野木幹男:エフェクターを使いこなす! DAW ソフト全盛時代になって大きく様変わりしたのがエフェクターまわり。手軽に多くの種類のエフェクター を使えるようになり、そのルーティンも自由自在に設定できるようになりました。ただフレキシビリティが高く なった分、使いこなすのは難しくなったと言うこともできます。複数のエフェクターをかけ合わせるにしても、 どんなエフェクターをどんな順番でかけるか、どんな音源に、どのようなプロセスでかけるのかといったことに よって、その効果は大きく異なります。1 つ 1 つのエフェクト効果やパラメーターに習熟すると同時に、その組 み合わせやかけ方に関しても詳しく考察していきましょう。 第 4 回:リバーブ ( 2008 年 11 月 12 日 ) 今回は前回のディレイに続いて、やはりエフェクターの代表的なものであるリバーブについて解説していきます。リバー ブはこれなしでは音楽制作が不可能といってもいいほど基本的なエフェクターです。是非使い方をマスターしておきまし ょう。 ■リバーブとは? 残響を作り出すという意味ではディレイもリバーブ(fig.1)も同じ種類のエフェクターだといえますが、その違いはどこに あるのでしょうか? ディレイは基本的には遅延したサウンドを単発で出すという仕組みで、これは球形の室内での残響と いう特殊な状態の再現ということになります(fig.2)。 fig.1 リバーブの例 fig.2 これに対してリバーブは、実際の建築空間の残響をシミュレートしたも のです。したがってリバーブのほうがより現実に近い自然な残響の感じ を出すことができます。これらの違いをチャートに表わすと fig.3 のよ うなイメージになります。ディレイが一発の残響なのに対してリバーブ がより複雑な残響音から構成されているということがわかるでしょう。 リバーブはディレイと同じように原音と残響音をミックスし fig.3 ディレイとリバーブ て使用します。リバーブの場合は各パートに対して基本的に 同じものが共用して使われるので、以前に説明したセンド/ リターン方式のルーティングで使用されるケースがほとんど です。リバーブの量は各チャンネルのセンド・レベルで調整 します。絵画の遠近法に例えると、リバーブの量が多いと音 像は遠くに、少ないと近くに配置されるというイメージです。 ■リバーブのパラメーター リバーブのパラメーターとして、まず一番重要なのは“リバ ーブ・タイプ”でしょう。リバーブのタイプには主なものと してホール、ルーム、プレート、ゲートなどがあります。ホール、ルームは文字通りホールやライブ・ハウスなどの残響 をシミュレートしたものだということはすぐわかるでしょう。プレートというのはデジタル・リバーブがなかった頃に使 われていた、鉄板をコイルで振動させて残響を得るプレート・エコーというものを再現したものです。独特な広がりが得 られるため、今でも多くのリバーブがこれをシミュレートしているのです。 ゲート・リバーブ(fig.4)はリバーブの最後の部分をカット fig.4 ゲート・リバーブ してしまったもの。主にスネアなどにかけて、伸びると思わ せておいて、いきなりカットするので独特な緊張感が生まれ ます。これ以外にも機種によっていろいろなタイプが用意さ れているので楽曲の雰囲気に合ったものを利用すればいい でしょう。場合によっては2種類以上の違ったリバーブを組 み合わせるというのもアリです。 ほかに重要なパラメーターとしては“リバーブ・タイム”があります。これは文字通り残響の時間を表わすもので、たと えば同じホールでも大ホールや小ホールを表現することができます。機種によってはルーム・サイズというパラメーター として扱われる場合もあります。 “アーリー・リフレクション”はリバーブ本体の前に来る近場からの反射成分を調整しま す。 “プリディレイ”は原音が出てからリバーブ本体が鳴り始めるまでの時間を調整するものです。適切なプリディレイを 付け加えることによって、いわゆる“エコー離れ”がよくなりクリアな残響を得ることができるのです。 “ハイダンプ”は 高域の反射係数を調整して周波数によって残響時間に差を付けるためのものです。ハイダンプを大きくすることにより高 域の減衰が早くなり。ややダークなサウンドになります。これらのパラメーター名はリバーブによって微妙な違いはあり ますが、だいたいこのような意味だということを理解しておけば使いこなすことができるでしょう。 次回はサウンドにふくよかさを与えるコーラスや独特のうねり、ドライブ感を付加するフランジャー/フェーザーを紹介 していきましょう。
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