高構造物(すみだタワー)の雷サージ解析

高構造物(すみだタワー)の雷サージ解析
加藤
正平 (東洋大学)
溝部都孝
(九州山光社)
Lightning Surge Analysis of Sumida Tower
Shohei Kato (Toyo University), Kunitaka Mizobe (Kyushu Sankousha Inc.)
使用する。電源(内部抵抗 600Ω)はアンテナ先端に設置し、雷
1. はじめに
東京都墨田区に建設が決まった第 2 東京タワーの概要、基
本デザインが公表されている(1)。鉄塔構造は東京タワーより細身
になっているが、トロントタワーのような円筒状ではなく、トラス構
造を採用している。世界一の高さとなる放送塔のため、多数の
落雷が予想され、また発生する雷サージも、従来の低い鉄塔と
は異なる特性や波高値が考えられる。今回、数値電磁界解析
法(モーメント法)を使用して、基本デザインに基づいた鉄塔につ
いて雷サージ解析を行い、鉄塔各部における電力線に現れる
電圧について検討を行った。
道は垂直に上空へ 1.8km 伸ばした。電力線モデルは裸線を使
用し、エレベータシャフトに沿い、アンテナ基部まで設け、大地、
各展望台、アンテナ部と 1kΩ で接続している。解析は、総計
10887 本のセグメントを使用し、周波数ステップ 10kHz、512 点の
周波数特性からサージ特性を求める。
3.解析結果
図 2 にステップ電圧 1V を使用した場合の塔頂電流を示す。
電流の最初の増加は、鉄塔トラスからの反射によるものであり、2
番目の増加は大地からの反射波によるものである。図 3 に塔頂
部に現れる電圧を示す。初期に負に振れる低い電圧が現れる
2.解析モデル
直径 10cm で長さ 10m 前後のワイヤセグメントを使用して幾何
学モデルを作成した。図 1
にモデルの概要を示す。
外殻に加えて、エレベータ
シャフトを中央部分に第 2
展望台(高さ 450m)までモ
デル化している。ただし、
第 1 展望台(高さ 350m)か
ら第 2 展望台までの規模
は大地から第 1 展望台ま
での 1/4 としている。鉄塔
が、大地端からの反射が到達して正に大きく増大する。この特
性は、サージが電力線とエレベータシャフト間をディファレンシ
ャルモードで伝搬することに起因する。
今回の解析では直角波電圧源を仮定したため、発生雷サージ
電圧は最大の条件であり、また被誘導線も裸線としている。ケー
ブルであれば、より低いサージ過電圧になるものと考えられる。
4.まとめ
すみだタワーの雷サージ特性を、モーメント法を使用し
て解析した。電力線に現われる過電圧はディファレンシャ
ルモードのため、大地側の接地インピーダンスに依存する
結果が得られた。
の円筒部は 18 角形近似
を使用し、展望台も床面を
ワイヤで構成した 18 個の 4
文
http://www.rising-east.jp/
(1)
献
角形でモデル化した。大
図 1 すみだタワーモデル
2.0
地は完全導体とし、鏡像を
Fig.1 Sumida tower model
Surge impedance (V/A)
1.5
1.0
Current (mA)
0.8
0.6
0.4
0.2
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
0.0
-1.5
0
-0.2
0
2
4
6
8
10
2
4
6
8
Time (µs)
Time (µs)
図 3 電力線誘導電圧(塔頂部)
図 2 塔頂電源電流
Fig.2 Source current at tower top
Fig.3 Induced voltage on power line at tower top
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