チリ共和国大使館 - Goldman Sachs

新成長国を訪ねて ~大使館訪問シリーズ~
第
15回
第15回
ご参考資料
2006.12
チリ共和国大使館
はじめに
2006年最後の大使館訪問シリーズでは、南米の新成長国、チリ共和国の在日大使館を訪問しました。国際社会からのチリ
に対する経済的な評価は高く、競争力、制度面の強固さ等の点から、先進国企業からも投資先として比較的安全な地域とし
て捉えられています。天然資源が豊富な国で、銅の生産量は世界随一であり、中国やインド等の経済が拡大し、天然資源
の価格が上昇する中で、銅の輸出により多額の外貨も獲得しています。財政面での健全性も高く評価され、国債の発行体
格付けもA(S&P、外貨建て)と、高い水準にあります。また、約40の国と自由貿易協定を結んでいるなど、世界屈指の輸出立
国という顔も持ち合わせています。このように、チリは市場経済が浸透しており、2006年に取り上げた新成長国の中でも、経
済水準が先進国に最も近い国の一つと言えるかもしれません。
今回訪れたチリ大使館・商務部は、東京タ
ワーから徒歩数分圏内のオフィスビルの一
角を占めています。同じビルにはかわいい
パンダのロゴでおなじみのWWF(世界自然
保護基金)が入居しています。
チリ共和国
首都
GDP
経済成長率
通貨
面積
人口
言語
ヘルマン・ベックさん
チリ大使館・商務部
:
:
:
:
:
:
:
サンティアゴ
642億米ドル(2004年)
6.3%(2005年)
ペソ
(出所:外務省)
75.6万平方キロ(日本の約2倍)
1,596万人 (2004年)
スペイン語
チリの美しい大自然
今回お話を伺ったのは、チリ大使館商務部のヘルマン・ベック商務行使参事官です。
ベックさんは1990年よりチリ政府に勤務されておりますが、それまでは、チリの商業
銀行において、約18年間、ローンや貸し出し等の銀行業務に携わられていました。
銀行マンとしての長いキャリアを活かし、今はチリと世界各国との貿易や経済交流促
進のために意欲的に活動されています。東京には2006年8月より赴任され、日本と
チリの経済交流の強化に日々取り組まれています。
躍動するチリ経済
チリは、16世紀以降、スペインの植民地となりましたが、19世紀に
入り、世界的に反植民地化の気運が高まる中で、1818年に独立を
宣言し、スペインからの事実上の独立を果たすことになりました。
1973年にはクーデターが発生し、その後1989年まで軍事独裁政権
が続きましたが、90年代以降は、民主主義・対外開放路線を歩ん
でいます。2006年4月には、バチェレ氏が大統領に就任し、チリ史
上初の女性大統領が誕生しました。経済に関しては、1990年~
2004年の平均成長率が年率5.6%に達するなど、チリは、南米諸国
のなかでも突出した高い成長を続けています。主に輸出産業によ
りチリ経済は成り立っており、特に世界一の生産量を誇る銅の輸出
が経済を牽引しています。世界最大規模のエスコンディダ銅山や
チュキカマタ鉱山などが有名です。
(%)
10
経済成長率上位国(1990年~2004年平均)
9.3
(出所:チリ大使館、IMF)
6.0
6
5.7
5.6
4
輸出
輸入
50
40
(出所:チリ大使館)
30
3.1
3.0
2.8
2
0
チリ・輸出入の推移(1996年~2005年)
(100万
米ドル)
チリは、中国やインド等のBRICs
諸国に次ぐ経済成長率を達成
8
近年では、中国やインドなどの需要拡大(銅鉱石の多くは、電線・
ケーブルなどに使用される)により、銅の国際取引価格が急騰し
ており、この恩恵を受ける形で、銅の輸出により多額の外貨を獲
得しています。
近年、チリは欧州連合(EU)、アメリカ、カ
ナダ、メキシコ、韓国などと自由貿易協定
(FTA)* を締結しており、主要国との自由
な貿易を推し進めております。また、歴史
的には銅の輸出が大半を占めていました
が、今日では工業製品、ワイン、木材パル
プ等輸出品目の種類も豊富になっていま
*特定の複数国において、
す。貿易相手国の中でも日本は重要な相 関税を撤廃し、数量制限
手国の一つであり、今年の11月に日・チリ などの貿易障害をなくすこ
とで、自由な貿易を活性か
首脳会談が行われる等、両国は良好な関 さ せ よ う と い う 貿 易 上 の
ルールです。
係を維持しています。
20
10
中国
韓国
インド
チリ
メキシコ
アメリカ ポーランド
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
本資料は証券取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は新成長国に関する情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社が作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。本ファンドの取得を希望される方は、「投資信託説明書(目論見書)」
をお渡ししますので、必ずその内容をご確認下さい。本資料に記載された市場の見通し等は、本レポート作成時点での弊社の見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無しに変更する場合もあります。本資料でご紹介する国は、必ずしも本ファンドが投資している国ではありま
せん。Copyright (c) 2006 GSAMC. Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU Free Documentation License, Version 1.2 or any later version published by the Free Software Foundation; with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no BackCover Texts. A copy of the license is included in the section entitled "GNU Free Documentation License".
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
一口メモ:「エスコンディダ銅山」
自由貿易協定の拡充
チリは、各国との自由貿易を積極的に推進しており、欧州連合
(EU)やアメリカ等の主要国と自由貿易協定を締結して、チリ経済
の活性化につなげています。更なる貿易自由化を目指して、イン
ドとも自由貿易協定の早期締結を目指しており、2006年3月には、
インド・チリ両政府が、ニューデリーで主力商品の関税率を相互に
引き下げる特恵貿易協定に調印しました。この協定により、チリの
魚肉加工品や銅、インドの繊維製品や医薬品など、両国の主要製
品のほとんどが関税引き下げの対象となります。今後も同様の協
定を結ぶ相手国の拡大が見込まれています。
日本もチリとの間で自由貿易
チリの主要貿易相手国(2005年)
協定を核とした経済連携協
(データ出所:ProChile)
定(EPA)の締結を目指す交
渉を進めています。現時点
EU
(欧州連合)
では、チリは約40ヵ国と協定
その他
23.0%
を締結しており、その積極的
37.0%
アメリカ
な姿勢から、世界からも
16.0%
「FTAの優等生」と賞賛され、
中国 日本
11.0% 12.0%
他国も手本にしていると聞き
ます。
国民性、文化、自然環境について
チリには、世界に誇れる著名人が数多くいます。まず、スポーツ界
では、2004年のアテネオリンピックでチリ史上初となる金メダルを獲
得した、ニコラス・マスー選手(男子シングルス、ダブルスの両方で
金)とフェルナンド・ゴンザレス選手(男子ダブルスで金)がいます。
また、サッカー界では、若干20歳で、現役時代のマラドーナのプ
レーを彷彿とさせる、マティアス・フェルナンデスがいます。
パブロ・ネルーダ氏
テニスのゴンザレス選手
また、パブロ・ネルーダ
氏は、チリの国民的英
雄である詩人で、自然
の美しさを詠った「マ
チュピチュの高み」が
世界的に有名です。
彼 は 1971 年 に ノ ー ベ
ル文学賞を受賞してい
ます。
エスコンディダ銅山は、チリのアタカマ砂漠
(世界で最も乾燥した砂漠と言われ、40年
間まったく雨が降らなかった地域)に位置し、
世界の銅生産の8%を占める世界最大の銅
山です。1988年に開発がはじまり、今日で
はチリの銅生産の20%を占め(チリの輸出の
40%を銅が占めています)、多くの雇用機会
を生み出しているチリの重要な産業施設の
一つです。今年の8月には、2000人を越え
る労働者が賃上げを要求してストライキに
突入したことが世界中に報道されましたが、
銅の国際取引価格にも影響を及ぼしました。
エスコンディダ銅山には、三菱商事や日鉱
金属、三菱マテリアルなどの日本企業も出
資しています。
エスコンディダ銅山の
衛星写真
環境問題への積極的な取り組み
「京都議定書」をご存知でしょうか?これは、1997年12月に京都で
開催された地球温暖化防止のための世界会議にて議決された議
定書のことです。この議定書は、日本、アメリカ、EU等の先進国が
地球温暖化の原因となる二酸化炭素やメタン等の温室効果ガス
の排出量の削減をある一定期間内に達成することを義務付けたも
のです。先進国は、排出量削減を実現するため、 CDM (クリーン
開発メカニズム)と呼ばれる制度を活用します。これは、先進国が
新成長国に資金等の支援を行い温室効果
ガス排出量を削減する事業を実施した結果、
その削減分の一定量を先進国の排出量削
減分に充当することができるのです。日本
政府がこれまでに承認したCDMの多くはチ
リで行われており、日本とチリは環境問題で
も連携を強めています。
「インタビューを終えて」
首都・サンティアゴ
チリ経済の強みは、約40の国と自由貿易協定を結ん
でいることなどに代表されるように、南米諸国の中でも
屈指の自由経済を推進していることにあると思います。
また、銅などの豊富な天然資源の輸出により潤沢な外
貨資金も保有し、新成長国の中で最も格付けの高い
国の一つでもあります。今回の訪問を通じて、チリ経
済の強さを改めて感じることができました。
(このインタビューは2006年12月28日に取材したものです。)
チリ大使館で仕入れたちょっと良い話
皆様は、チリが世界屈指のワイン産地であることをご存知でしょうか?最近では、東京の有名レストランでも、フラ
ンス産、イタリア産等と並んで質の高いチリ産のワインが置かれています。また、ワインショップにも多種のチリワイ
ンが販売されており、家庭でも楽しまれています。
チリでは、スペインの植民地であった16世紀以来ワインの生産を行っており、南北4000キロに及ぶ細長い国土の
ほぼ中央に位置する「セントラル・ヴァレー」と呼ばれる地域で主に生産されています。1990年代以降、チリワイン
は世界でその存在感を高めはじめ、1978年には約900万ドルであった貿易量も、2005年には約9億ドルの輸出
額に急伸しました。ワインは、チリ経済にとって重要な役割を果たしているのです。
ブリュッセル国際ワインコンクール国別メダル獲得数の推移(2000年~2006年)
世界的なワインコンクールで、チリは並み入る強豪国44カ国中、
フランス、スペイン、イタリアに続いて4番目に多くのメダルを獲
得しています。チリはワイン王国なのです。
3000 2642
2000
1105
1000
861
646
586
266
243
214
199
192
チリで栽培されたワイン葡萄
輸出上位10カ国(2005年)
1位:アメリカ
6位:オランダ
2位:イギリス
7位:ベルギー
3位:ドイツ
8位:アイルランド
4位:カナダ
9位:日本
5位デンマーク 10位:スウェーデン
(出所:チリワイン協会)
0
フランス スペイン イタリア
チリ ポルトガル スイス 南アフリカルクセン カナダ ギリシャ
ブルグ
(出所:ブリュッセルワインコンクール公式ホームページをもとにジェトロ・サンティアゴが集計)
欧州諸国向けの輸出が大半を占める中、
日本はトップ10に入っています。
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