新成長国を訪ねて ~大使館訪問シリーズ~ 第 10回 第10回 ご参考資料 2006.6 イスラエル大使館 はじめに 第10回目となる大使館訪問シリーズでは、中東のイスラエル国の駐日大使館を訪問しました。イスラエルは世界屈指の ハイテク国家であり、世界の優良企業の研究開発施設等が集中する近代国家です。また、イスラエルの高い技術力と最 新の研究開発に注目する各国のベンチャー・キャピタルは、イスラエル企業に活発に投資をしています。今でも内外に 政治・民族的な難題を抱えており、天然資源も豊富ではなく、決して恵まれた環境でない国家が世界でも有数の経済立 国へと発展した背景には、イスラエル国民の危機意識の高さの中で生まれた創造性の豊かさ、起業家精神、そしてバイ タリティーが原動力となったと考えられます。 イスラエル国 今回訪れたイスラエル大使館は東京・麹町駅から徒歩2分のビジ ネス街の一角に佇んでいます。大使館のセキュリティ体制は厳しく、 大使館入り口前には警官が常駐しており、入館する際は飛行場で の入国審査と類似した審査が行われます。大使館内に関しては、 近代的且つ機能的な作りとなっており、活気が溢れていました。 首都 GDP 経済成長率 通貨 面積 人口 言語 アミラム・ハレヴィさん : : : : : : : エルサレム 1,237億米ドル(2005年) 5.2%(2005年) 新シェケル 22,000平方キロ(日本の四国程度) 688万人 (2005年) ヘブライ語、アラビア語 (出所:外務省、イスラエル大使館) 今回訪れた駐日イスラエル大使館の正門玄関前 今回お話を伺ったのは、イスラエル大使館のアミラム・ハレヴィ行使です。ハレヴィさんはイスラ エルと日本の間の経済関連業務全般に携われています。来日されてまだ2ヵ月程ですが、両国 間の経済交流をより深めようと精力的に活動されています。現時点では、日本のイスラエルとの 貿易量は他国と比べまだ少ないですが、ハレヴィさんの目標は日本をイスラエルの第2位の貿 易相手国にすることです。それに向け、日本とイスラエル間に自由貿易協定(FTA)を結ぶことな どを視野に入れられており、大きな夢と野心を抱かれている方です。知性溢れる方で、イスラエ ルの現状について多くを教えて頂きました。 世界をリードするハイテク国家 発明しました。これにより、今では海外に食料 品を輸出する「食糧輸出国」になっています。 また、国家防衛のために様々な軍事技術が開 発されましたが、こうした技術は、民間にも大き な恩恵をもたらしました。つまり、国の情勢が安 定するにつれて、国家防衛に使われていた費 用の一部が民間にも流れるようになり、更には 軍事開発で培われた技術力も活用されること になりました。このような歴史的背景から、イスラエルは世界屈指 のハイテク国家へと成長しました。イスラエル国内の高い技術力 に目を付けた海外投資家の資金流入は旺盛であり、ハイテク企 業による資金調達の実力はヨーロッパの主要国より高い水準を 誇っております。 イスラエルは、一人当たりのGDPが約1万8千米ドル(2005年6月時 点)に達しており、世界でもトップクラスの水準です。しかし、ここま での道のりは決して平坦なものではありませんでした。イスラエル は、現在の国家体制を1948年に築き上げた比較的若い国家です。 また、国土の大半が砂漠に占められているため、農業を行うことも 困難であり、食糧生産にも適さない土地柄でした。天然資源につ いても、決して豊かではなく、経済的な面では、あまり恵まれた状 況にはありませんでした。更に、政治体制についても幾多の困難 を抱えてきました。私たちは、創造性を発揮し、様々な技術革命に よって、そうした逆境を乗り越えてきました。 例えば、農業では、 限られた水資源を有効に活用するために、新たな「灌漑設備」を <各国のハイテク企業による資金調達額> (百万米ドル) 2000 1000 0 <各国のナスダック(NASDAQ)上場企業数> 60 40 20 0 グ ル 国 韓 ンブ セ ク ル リカ フ ル ア 南 ポー ガ ド ン シ ラン ル イ ア ス ン リア ラ フ トラ ス ー オ 港 香 ダ ン ラ オ ン (出所:Israel-IVC Research Center, Europe-VentureOne 2004年) 80 本 日 ス リ ギ ル イ エ ラ ス イ ダ ナ カ デ ー ス イ ェ ウ ス ル ド ン ラ ル イ ア ク ー マ ン デ ス ス ツ ドイ ス リ ン ラ フ エ ラ ギ イ ス イ イ ス ラ エ ル の ハイ テク企業は、ヨー ロッパの主要国の ハイテク企業を上 回る資金調達力が あります。 ナスダックは世界 最大の新興企業 向け株式市場。 イスラエルの新興 企業は主要国の 中でも上場銘柄数 が多い国の一つ です。 (出所:NASDAQの情報をもとにイスラエルMITLが作成、2004年) 本資料は証券取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は新成長国に関する情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社が作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。本ファンドの取得を希望される方は、「投資信託説明書(目論見書)」 をお渡ししますので、必ずその内容をご確認下さい。本資料に記載された市場の見通し等は、本レポート作成時点での弊社の見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無しに変更する場合もあります。本資料でご紹介する国は、必ずしも本ファンドが投資している国ではありま せん。Copyright (c) 2006 GSAMC. Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU Free Documentation License, Version 1.2 or any later version published by the Free Software Foundation; with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no BackCover Texts. A copy of the license is included in the section entitled "GNU Free Documentation License". ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 世界の優良企業が進出 一口メモ:「イスラエル企業が発名した最新の医療技術」 イスラエルには、世界の有名企業が研究開発のための拠点を構え ています。インテル、マイクロソフト、メリルリンチ等のグローバル・ 企業、そしてソニー、住友商事などの日本の代表企業も進出して います。こうした企業のイスラエルでの研究開発を支えているのが、 優秀な人材です。イスラエルは、国土も狭く、天然資源もそれ程豊 かではありません。だからこそ、「人こそが国の宝であり、経済の原 動力」なのです。教育にも国をあげて力を入れており、大学教育の 水準は世界トップクラスです。全人口に占める科学者の人数が多 く、人材の質・量ともに世界レベルを誇っています。 大学教育水準の高い上位10カ国 イスラエルの大学教育水準は 世界で2番目の高い評価。 (ポイント) 8.6 8.2 7.8 7.4 7.0 ス フィ イス シ イ ン ス ラエ ンガ ラン ポ ル ー ド ル ア デ ア オ メリ ル イ ン ー ル マ ギ ス カ ー ラ ー トラ ク リア ンド (出所:IMD World Competitiveness Yearbook, 2004) ア イ ス カ ナ ラ ン ド ベ ダ 今回のインタビューで最も驚いたのは、イスラエルの医療技術 の高さです。医療は、国家防衛で活用された軍事技術が民間 に恩恵を与えた代表的な分野の一つです。ハレヴィさんに紹 介して頂いたのは、「GIVEN IMAGING(ギヴン・イメジング)」と 言うイスラエルの会社で、アメリカのナスダック市場に上場され ている医療メーカーです。 この会社では、「Pillcam(ピル・カム)」 (写真右)と呼ばれる、カメラ内臓型の カプセルを生産しています。このカプ セルは飲み込んで人間の体内に入れ ることができるようになっており、病院で検査をする際などに、 利用されていますが、癌の早期発見に役立っています。この カプセルに内蔵されたカメラが、1秒間に何枚もの写真を撮り、 外部のデータベースに送信し、異常のある部位だけの映像が 取り出される仕組みになっています。こうした製品の開発には、 ミサイルが標的を捉える技術が応用されています。 「インテルの成功体験」 アメリカのインテル(Intel Corporation)は、イスラエル に拠点を構 え る外国企業のパイオニア的な存在。 1974年に30万米ドル弱と5人の従業員ではじまったイ スラエルでの研究開発拠点は、現在では製造拠点ま でも構えており、年間80億ドル相当の完成品を世界に 輸出している。 日本との関係について イスラエルは国土も狭く、天然資源も豊かではないことは、先程も お話しましたが、これは日本とも共通するものではないでしょうか。 日本では、子供の教育に力を入れる家庭が多いと聞きますが、イ スラエルでも同様です。また、経済面では、イスラエル企業と日本 企業が協力したジョイント・ベンチャーもいくつか立ち上がっていま す。特に、今後はバイオテクノロジー、ナノテクノロジーなどの研究 開発の分野で、日本の企業や研究機関との協力関係を深めてい きたいと考えています。また、イスラエルでは日本車の人気が高く、 乗用車の3分の1が日本車で占められています。特にマツダ車の 売れ行きが好調です。日本車の人気が高い理由として、「故障が 少なく、メンテナンスの費用が殆どかからない。」ということが挙げら れます。 起業家精神溢れる国民性 イスラエル人の国民性の1つとして、起業家精神が旺盛であるこ とが挙げられます。そして、そうした国民性を支えてきたのが、イ ンキュベーター・プログラムと呼ばれる国による支援政策でした。 この政策は、元々軍事技術の開発に携わっていた人々の中に、 国防費が削減されるにつれて、自分の研究を継続することが出 来なくなった人が出てきたため、そうした優秀な人材に民間でも 活躍する機会を創出することを目的として立ち上げられました。 このプログラムは約2年という期限を設けた上で利用することがで き、プログラム終了後は、ベンチャー・キャピタルなどの投資を受 けて、独立していくことになります。その結果、世界屈指のベン チャー・キャピタルがイスラエルに進出しています。 「インタビューを終えて」 限られた資源、様々な逆境を乗り越えて世界屈指 のハイテク国家となったイスラエルの力強さを感じま した。また、印象的だったのが、ハレヴィさんの活力 溢れる力強さでした。高い目標を設定し、それに向 かって日々前進されており、イスラエル人の国民性 を肌で感じることができました。政治的な不安はま だ完全には払拭されていない模様ですが、エネル ギー溢れる力強い新成長国の印象を受けました。 (このインタビューは2006年6月27日に取材したものです。) イスラエル大使館で仕入れたちょっと良い話 ハレヴィさんによると、国をあげてイスラエル産のワインを世界に広め ようと努力しているとのことでした。砂漠の多い土地柄からは想像もつ きませんが、一説にはワイン発祥の地はイスラエルであるとも言われ ています。イスラエルには現在130以上のワイナリーが存在し、そのう ちの数銘柄は世界に輸出されており、数々のワインコンクールでも高 い評価を得ています。将来、私たちの食卓にイスラエル産のワインが 並ぶ日もそう遠くはないかもしれません。実際、今年10月には、イスラ エルのワインを知ってもらうためのキャンペーンが予定されているとの ことでした。既に日本の一部の酒屋さんでもイスラエル産のワインが 購入できるようですので、是非お試しください。 イスラエル産の ワイン葡萄 イスラエルの葡萄畑の風景 本資料は証券取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は新成長国に関する情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社が作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。本ファンドの取得を希望される方は、「投資信託説明書(目論見書)」 をお渡ししますので、必ずその内容をご確認下さい。本資料に記載された市場の見通し等は、本レポート作成時点での弊社の見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無しに変更する場合もあります。本資料でご紹介する国は、必ずしも本ファンドが投資している国ではありま せん。Copyright (c) 2006 GSAMC. Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU Free Documentation License, Version 1.2 or any later version published by the Free Software Foundation; with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no BackCover Texts. A copy of the license is included in the section entitled "GNU Free Documentation License". ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
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