雨が降って虹はでます - カトリック磐田教会

2012 年 8月
『雨が降って虹はでます』
アシジ - ローマ - ルルドへの巡礼
市岡
之俊
6月18日(月)~29日(金)
それは実にハードでありながら、また実に神さまからの恵みを十分に沢山に頂いた
巡礼でありました。ある日、掛川教会の方が「ゆるしの秘跡(告解)」を受けられた
中で、このお話しをされたことから、巡礼が始まりました。そこからトントン拍子に
話しは進みました。ステラ・コーポレーションの小池さんが快くツアーを引き受けて
下さり、定員数を超える応募者となり、最終的には総勢40名となりました。添乗員
の方々も、本当によく頑張って下さいました。以下のようなスケジュールでイタリア、
フランス各地の巡礼地をまわりました。
6/18(月) [空路] 成田 - パリ - ローマ
6/19(火)
ローマ巡礼 (聖パウロ大聖堂/サンタ・マリア・マジョーレ/ラテラノ大聖堂/トレビ/カタコンベなど)
6/20(水)
ローマ巡礼 (教皇様謁見/バチカン美術館/聖ペトロ大聖堂/イエズス会ジェズ教会など)
6/21(木)
ローマ - アシジ (聖フランシスコ大聖堂/カルチェリ/サン・ダミアノ/聖クララ大聖堂など)
6/22(金) [空路/バス] アシジ - ローマ - パリ - トゥールーズ - ルルド
6/23(土)
ルルド巡礼 (グロットでのミサ/沐浴/ベルナデッタの生家/十字架の道行き/ロウソク行列など)
6/24(日)
ルルド - ポー - パリ - モンサンミッシェル (海の上に立つベネディクト修道院など)
6/25(月)
モンサンミッシェル – シュノンソー城 - シャルトル (シャルトル大聖堂など)
6/26(火)
シャルトル – ヌヴェール - パリ (ヌヴェール愛徳修道女会本部・聖ベルナデッタの修道院など)
6/27(水)
パリ (不思議のメダイ/モンマルトルの丘/サクレクール/ルーブル美術館/ノートルダム/セーヌなど)
6/28(木) [空路] パリ - 成田(6/29)
このスケジュールを見て頂くとお分かり頂けるように、本当に一度に沢山の巡礼地
をみて回ることができました。神さまの恵みは ALL IN ONE という言葉に相応しい
巡礼でありました。ということは、ハードなスケジュールです。ホテルの部屋にいる
のは、ほとんど寝る時だけでした。ある移動日には、早朝の4時30分に出発、夜の
22時に到着、などという日もありました。参加者には、足の悪い方、ご高齢の方々
も多くおられましたが、ルルドの丘の十字架の道行きや、モンサンミッシェルの山の
上の修道院への長くて急な階段や坂道を、杖をつきながら、本降りとなった雨の中を
頑張って登っていかれる姿には、本当に胸を打たれる思いがしました。
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初日のローマの巡礼では、教会の2000年の歴史を、つぶさに感じること
が出来ました。殉教者たちの祈りを感じつつ、ヨーロッパにおける中世の教会
の強大な力というものに、触れることが出来ました。2日目には、バチカンに
おいて、ベネディクト16世教皇様との謁見、以前よりもお年をとられたなあ
と感じましたが、神学者としての鋭さは各国語でのお話しの中にも健在でした。
夕方には計画の変更があり、イエズス会の創立者の聖イグナチオ・ロヨラと、
アジアへの宣教者、聖フランシスコ・ザビエルの聖腕が置かれている、ジェズ
教会においてミサを捧げることができたことは、まことに感動でありました。
3日目のアシジでは、聖フランシスコが好んで祈りに出かけたカルチェリの
山に登り、小鳥のさえずりや爽やかに吹き抜ける風に、今も聖フランシスコの
祈りとスピリットを感じることができました。皆で唄を歌いながら、カルチェリの山を歩きました。
4日目には、アシジからローマまでバス、ローマからパリで乗り換え、エアバス本社のあるトゥールーズまで
飛行機で、ルルドにバスで着いた時には22時を過ぎていました。
5日目のルルドでは早朝の6時30分、洞窟でのミサを捧げました。日本から預かった
多くのお祈りのご意向を、巡礼中の各教会の祭壇で捧げましたが、特にこのルルドの祭壇で
は、病気の方々のため、苦しみを抱える方々のためにお祈りとご意向をささげました。静か
な朝でした。みなさん、ワクワクして沐浴にもあずかり、夜のロウソク行列では、ステラの
小池さんの強力なイニシアティブのもと、ステージの上で各国から集まった人たちとともに、
日本語のお祈りを数人でリードすることになりました。ドキドキしながらも、ステージの
上にいた人たちは、夜のしじまに、車椅子や多くの病気や苦しみを持つ何千人もの人々が、
ロウソクの炎に揺られつつ、静かにお祈りの行列を捧げている姿に、深く感動していました。
6日目は早朝4時30分にルルドを出発、飛行機でポーからパリまで出て、そこから
バスで一路、モンサンミッシェルへと向かいました。実は、前日のトゥールーズの空港
では、参加者の1人の方のチェックインのスーツケースが届きませんでした。この日も
パリに到着してみると、今度は2人の方々のスーツケースが届いていませんでした。
最終日の成田でも、ある方のスーツケースが到着しませんでした。計3回、4人の方々
が被害に遭われることとなりました。エールフランスは現在、経営の危機に
瀕しており、ヨーロッパの航空会社の中でも搭乗者数に対する乗務員の数が
最多であるなどのことから、何千人規模のレイオフを含む思い切った合理化
が進められ、会社全体の士気が下がっているとのことです。幸い、後日、
すべてのスーツケースが見つかりましたが、被害に見舞われた方々の巡礼中
の痛手は、大きかったです。モンサンミッシェルは、現地のフランス人以上
に日本人観光客が多かったのではないかと思われるほどでした。日本人向け
フランス観光旅行は、モンサンミッシェルが入らないと商品にならないとのことですが、素晴らしい景色だけを
見て、山の上のベネディクト会の修道者たちの息遣いとお祈りの心、歴史に触れないで帰ってしまうとしたら、
とても残念なことと思います。島の中でのミサは、先駆者たちのお祈りを深く感じることができました。
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7日目、聖ベルナデッタが修道女となり晩年を過ごした、ヌヴェール愛徳修道女会
の修道院を訪問しましたが、ルルドでの聖母の出現については、ほとんど話すことが
なかったそうです。そのベルナデッタの姿は、不思議のメダイを託された修道女、
カタリナ・ラブレがやはり亡くなるまで、聖母の出現について誰にも話さなかった姿
とも重なるところがあり、信仰の恵みというものが、今も現実味をもって伝えられて
いることを感じました。シャルトル大聖堂の素敵なステンドグラスには、聖書の物語
が優しく描かれており、子どもたちのカテケジスのためにも、是非持って帰ってあげ
たいと思うほどのものでした。有名なシャルトルブルーの青色は、皆さんがしばし、
うっとりとするほど素晴らしいものでした。
8日目のパリは、折しもアウンサンスーチーさんの訪問とも重なり、パリ市内の交通は
警備のために大混乱、といった状況でした。パリ市内を大きく見渡すモンマルトルの丘、
サクレクールの大聖堂の上に素晴らしく晴れ渡った青空は、その当時、暗い罪を強調する
ヤンセニズムが吹き荒れるフランスの教会に、マリアアラコッタを通し現れたイエス
さまの御心が、何にも増して愛と慈しみに満ちたものであるということを、今日も
教えてくれているようでした。カタツムリの料理には皆さんも驚き、ルーブル美術館
では、モナリザにも一応挨拶をしました。そして巡礼最後の夜は、セーヌ河の夜景を
バトームーシュに乗り、ライトアップされたノートルダム大聖堂、エッフェル塔など
を川の涼しい夜風に吹かれながら見渡し、しばしたたずむという贅沢にも素晴らしい、
神さまからの最後のおまけのお恵みも付いていました。
掛川教会主催のアシジ、ローマ、ルルドへの巡礼は、このように無事に
終わりました。今度は、9月29日(土)~10月3日(水)、磐田教会が
主催となる韓国巡礼が行なわれます。今年のような巡礼の大当たり年は、
本当に珍しいですが、神さまは巡礼を通して、愛とメッセージ、両教会に
何かを伝えたいのでしょう。今日、日本も、世界も、いろいろな出来事に
直面しています。澄み渡る大空のような時もあれば、ドンヨリとした曇の
ような時、また土砂降りの大雨のようにどうしようもない時もあります。
今回のルルド、ローマ、アシジへの巡礼中のことです。
モンサンミッシェルに着いた頃にはすでに、雨は本降りと
なっていました。せっかくのよい景色も雨の中でしたが、
うっすらと遠くを見渡すことができたことは感謝でした。
夕食を終えた頃には雨も止んでいましたので、皆さんと外に
出てみました。深夜の22時だというのに、まだ夕方のよう
でした。オレンジ色の夕焼け空に、モンサンミッシェルの山
と修道院がライトアップされ、神秘的にその姿を映しだして
いました。ふと見上げると、夕空には大きな虹が渡っていま
した。とても可憐で、美しい虹でした。 雨が降らなければ虹は出ません・・・。 雨が降って虹は出ます。
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