前立腺癌の高線量率組織内照射

前立腺癌の高線量率組織内照射
東京女子医科大学病院 放射線科
前立腺癌:高線量率組織内照射とは?
前立腺癌に対する放射線治療の一つに外から放射線治療を行う外部照射に加えて、前立腺に針を刺して、
その針に放射線が出る線源を通して前立腺に集中的に放射線を照射する組織内照射を行います。この方法
を高線量率組織内照射といいます。外部照射と高線量率組織内照射の両方の組み合わせが一つの治療とお
考えください。東京女子医科大学では術中計画が可能な最新の治療計画装置を国内で最初に導入し治療を
行っています。
放射線治療について
かし、高線量率組織内照射は麻酔を伴うため
1週間程度の入院が必要となります。
前立腺癌に対する放
射線治療は欧米では
昔から積極的に行わ
れており、その効果
は確立しています。
放射線治療の方法には体の外から放射線を照
射する外部照射と放射線がでる線源を病巣に
挿入して治療を行う組織内照射の2種類があ
ります。組織内照射にも2種類あり、線源を
病巣に永久に挿入して治療する永久挿入術と
病巣に針などを刺して、その針の中に線源を
一時的に挿入して治療する組織内照射があり
ます。高線量率組織内照射は後者の方法で
す。
治療の流れ
治療の始まりは外部照射の計画を立てること
から始まります。放射線を前立腺へ正確に照
射するためには慎重な治療計画が必要で、治
療計画を行う専用の部屋で行います。透視や
CT撮影を行い、40分程度で終了となりま
す。治療計画の翌日または2日後から実際に
放射線治療が始まります。外部照射は月、
水、金曜日の週3回で行い、病状により10回
または15回の2種類があります。外部照射に
よる症状の変化については、週に1∼2回は
担当医が診察をします。
外部照射が終了してから1­3週間以内に入院
をして頂いて高線量率組織内照射を行いま
す。針を刺入するのは放射線治療部門(外来
センター地下3階)の処置室で行います。腰
椎麻酔をして肛門と陰嚢の間の会陰というと
ころから前立腺に針を12∼18本程度刺入しま
す。その場でコンピューターで最適な治療計
画を立て、その計画を基に針を刺入します。
前立腺癌の治療で高線量率組織内照射を行
う時は、外から放射線を照射する外部照射と
組み合わせて行うことが多く、東京女子医科
大学では病状に合わせて外部照射を4­6週間
行ってから高線量率組織内照射を行っていま
す。外部照射はご自宅から病院への通院が可
能であれば、通院で行うことが出来ます。し
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そのため従来の治療方法に比較して、直腸や
膀胱・尿道への線量を確実に低減できるため
副作用を低く抑えることが可能になりまし
た。1回目の治療を行った後に6時間後に2
回目の治療を行い、針を抜きますので治療は
1日で終了となります。針を数時間刺したま
まにしておきますので、痛みがないように背
中から麻酔薬を注入する管を入れます(硬膜
外麻酔)。針を刺入する際に尿道カテーテル
も留置しますが、翌日には抜去します。
すが、もし出血があるときは必ず担当医に連
絡をお願いします。
治療中の注意
1) 放射線治療開始後は水分をよく取ってくだ
さい。副作用軽減に役立ちます。
2) 飲酒は控えめにしてください。
3) 症状に変化があれば、我慢せず担当医にお
伝えください。
なお腰椎の病気などで腰椎麻酔が出来ないと
判断されるときは、全身麻酔で行う場合もあ
ります。
4) お仕事または運動などについては、治療に
よって制限する必要はありません。
退院は治療後2日目に予定をしています。排
尿と傷の治り具合をみて最終的に決定しま
す。
東京女子医科大学病院 放射線腫瘍科
入院に必要なものや治療についての詳細は入
院前に外来で詳しく説明します。
連絡先:03-5269-7355
治療の副作用
担当:秋元哲夫
1) 尿の出が悪い、排尿時痛
電話でのご相談も遠慮なくどうぞ。
2) 頻尿:尿の回数が多くなる
3) 尿閉:尿が膀胱に溜まっていても出ない
4) 直腸刺激症状:便がしたい感じが消えない
排便時の違和感
5) 直腸出血:排便時の出血
1), 2)は比較的よくみられる副作用ですが、一
時的で時間の経過で改善してきます。
尿閉はまれな副作用ですが、早急に対処する
必要があります。尿が出ない時は当院の放射
線科または泌尿器科へ連絡して下さい。夜間
でも構いません。
直腸出血は治療後1年前後で認められること
があります。2-3%前後程度の確率で起こりま
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