日本のアメリカンフットボール R07017 大島仁 指導教員 小山友介 1.背景と目的 スポーツにおける関心は、野球やサッカーなど知 は平日にも関わらず、1 万 5 千人以上の観客を集めた。 2.3.競技人口[2] 名度の高いスポーツでは高まってきている。最近で 表 1 を見ると日本アメリカンフットボール協会の は「なでしこ Japan」の優勝などが挙げられる。その 登録者数は大学が全体の半分を占めているのがわか 影でアメリカンフットボールは知名度も低く、細々 る。アメリカンフットボール部の存在する大学は 218 と大会が行われている。芝浦工業大学のアメリカン 校。日本に存在する大学は 1,151 校、約 20%しかアメ フットボール部に所属していたことから、関心を持 リカンフットボール部は存在しない。混同されがち ったので現状や問題について調査し、考察をする。 のラグビーと比較すると、ラグビー部が存在する大 学は約 30%である。 2.アメリカンフットボール 高校にいたっては、2%しか存在していない。ラグビ 2.1.アメリカンフットボールとは ーは 25%となっている。野球やサッカーは約 80%であ アメリカンフットボールはラグビーと混同されが る。 ちである。主な違いとして、アメリカンフットボー 表 1 アメフトの競技人口と登録チーム数 ルは防具を着用しており、試合は基本的にセットプ 競技人口(人) 加盟チーム(チーム) レイで進行する。ラグビーはヘッドギアを着用する 大学 9,745 218 が体には装着しない、プレイが基本的に止まらない、 高校 4,208 113 などがあげられる。試合の流れとして、ボールを相 中学 844 24 手陣内のエンドゾーンに向けて前進させ、得点数を 小学 574 17 競うスポーツである。主にボールを持って走る方法 社会人 4,676 60 のランプレー、味方にパスを投げる方法のパスプレ 表 2 ラグビーの競技人口 ーがある。 2.2.日本でのアメリカンフットボールの起源[1] 誕生のきっかけは、1934 年(昭和9年)当時の国 際代替相場の円安を利用し日本で高等教育を履修し ようとしていたハワイ出身の日系 2 世アメリカ人の 存在だった。多数の留学生を受け入れた、関東の立 教、明治、早稲田の各大学のアメリカ人担当教師が、 彼らへの適切なる娯楽の提供としてアメリカ国技の アメリカンフットボールの導入を計った。 同年 10 月 28 日各大学関係者数十名が立教大に集 会し、 「米国アメリカンフットボールを日本に紹介し、 米国ナショナル・学生・アスレチック・協会規定・ フットボール・ルールに従い試合を行う目的」で東 京学生アメリカンフットボール連盟を設立した。 (現 日本アメリカンフットボール協会)日本初の公式戦 競技人口(人) 加盟チーム(チーム) 大学 12,877 371 高校 33,942 1,225 中学 8,464 326 スクール 27,198 404 社会人 10,443 1,091 ここでアメリカンフットボールの総競技人口の半 分を占める大学だけを見てみると、表 3 のようにな る。北海道・関東・関西地方は約 25%の大学にアメ リカンフットボール部が存在している。しかし、残 りの地方の大学では約 10%しか存在していないこと がわかる。日本の大学アメリカンフットボール界は、 関東と関西で成り立っていることがこの表 3 からわ かる。 表 3 地域別大学アメフト競技人口と登録チーム数 大学数(校) はというと、視聴率は 0.5%前後である。 3.2.アメリカンフットボール界の問題 競技人口 加盟 チーム数 (人) (チーム) 北海道 533 14 55 ィーズが、日本社会人アメリカンフットボール協会 東北 341 10 79 に加盟費を支払うことができず、自主的に 2 部に降 関東 4,551 98 366 格した。当時 59 人いた選手たちは降格が決まると他 東海 687 17 135 チームへ移籍してしまい、試合できる選手がいない 関西 2,787 53 237 という理由から、昨年 7 月 31 日に解散が決定した。 北陸 196 5 54 このように経営難からくる廃部や解散が過去にも 中四国 209 8 111 数度あったというのが社会人アメリカンフットボー 九州 541 13 114 ル界で問題になっている。 [3] 合計 9,745 218 1,151 昨年、社会人リーグ 1 部で 3 位だった吹田マーヴ 一方アメリカでは日本とは逆にアメリカンフット ボールは国技と言われるほどの人気があり、ハイス クールレベルであっても、どの学校も必ずチームを 持っていると言われている。競技人口は大学が 73,000 人、社会人(NFL)が 15,000 人、小中高で 400 万人以上と言われる。 3.アメリカンフットボール界の現状 3.1.TV・WEB放送 地上波ではNHKが日本一を決定する「ライスボウル」 を毎年放送している。しかし、残りはNFLの試合など しか放送していないのが現状。地方の放送局、CS放 送などでは日本の試合も放送されている。有料チャ ンネルでしか日本の試合は見ることができない。 WEB上では、大学1部の試合は関東・関西アメリカ ンフットボール連盟のオフィシャルホームページで 閲覧可能。 X リーグ(社会人)の試合もダイジェストだが、X リーグオフィシャルホームページで閲覧可能。 日本での NFL のTV放送は、NHK BS1 がレギュラー シーズン原則週 3 試合、全米№1 を決める「スーパー ボウル」を生中継で放送。GAORA(CS 放送)がレギュ ラーシーズンを週 2~6 試合放送。日テレG+(CS 放送)はレギュラーシーズンを週 3~4 試合、プレイ オフはどの局も全試合放送している。 アメリカにおける「スーパーボウル」の人気は凄 まじいもので、20 年連続視聴率 40%越えという記録 を残している。一方日本における「ライスボウル」 日本アメリカンフットボール界全体としての問題 は、試合会場の少なさが問題に挙げられる。リーグ トップのチーム試合が優先して割り振られていくた め、下部になるほど会場の問題が深刻になる。関東 のチーム同士の試合であっても、山梨や静岡まで遠 征し、試合を行うこともあるのが現状である。 この問題に対して関西学生アメリカンフットボー ル連盟は何年ものあいだチケット代を貯めていき、 2006 年 6 月に日本初のアメリカンフットボール専用 競技場である、エキスポフラッシュフィールドを大 阪府吹田市の万博記念公園内に建設した。しかしそ れでも会場不足であるのは変わりない。 4.考察 日本のアメリカンフットボール界がより盛り上が っていくためには、ファンの獲得が急務であると考 える。ファンが増えることにより、チケット代から 試合会場の建設、広告費などにあてることができる ためである。ファンの獲得としては現在小中学校の 新・学習指導要領に登場したフラッグフットボール 等で低年齢層の確保が必要だと言える。 5.参考資料 [1]日本アメリカンフットボール協会、限りなき前 進―日本アメリカンフットボール五十年史(1984 年) [2]社団法人日本アメリカンフットボール協会、加 盟団体数登録人数 1983~2011 [3]X リーグ 2 部降格の真相 35 万人都市「吹田マ ーヴィーズ」の誤算/ http://sankei.jp.msn.com/sports/news/110505/ot h11050518010004-n1.htm
© Copyright 2024 Paperzz