1 地形・地質環境

Ⅱ自然環境
1 地形・地質
1 地形・地質
① 標高(地盤高)
下野市の標高は、北部の標高80∼85mを最高に、南部の標高40∼45mまで、高度差約40mか
らなります。全体的には北から南に緩やかに高度を下げる台地や低地からなる平地が主体となった
地域です。
斜面は、山地や起伏の大きな丘陵地がないため、台地を開析している田川や姿川などの河川沿い
に連続する台地縁辺の斜面が基本となっています。
下野市の標高図
<縮尺2万5千分の1地形図 国土地理院より)>
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② 地形・地質
栃木県は、関東平野の北辺
部に位置し、南北に長い楕円
形となっている。
概略的な地形は、山地と平
地に二分され、山地は、関東
平野の地下水に対する重要な
涵養源と考えられます。
山地は中央部の鬼怒川地溝
帯を挟むようにして、東側に
八溝山地、西側に足尾・下野
山地が分布、これらの山地に
挟まれた中央平地部は、県の
中央に南北方向に帯状に分布
し、その南部は足尾山地の南
縁に沿って広がっています。
平地は、地形的には丘陵、
台地、低地に区分されます。
県の中部及び南部には、鬼
怒川をはじめ利根川水系の河
川に沿って、台地と低地が南
北に並行しています。
それらは、上位から宝積寺
(鹿沼、宝積寺の2台地)、
宝木(宝木、岡本、稲毛田、
藤岡の4台地)、田原(栃
木、壬生、田原、祖母井、蒲
須坂の5台地)の3つの台地
と低地に区分され、北から南
に緩やかに傾斜しています。
各台地はほぼ平坦な地形と
なっていますが、高位のもの
ほど開析が進行し、谷底平野
が細長く連なっています。
低地のうち規模の大きいものとしては、五行川沿いの五行川低地、鬼怒川沿いの鬼怒川低地、思
川沿いの思川低地、渡良瀬川沿いの渡良瀬川低地などがみられ、渡良瀬川と思川の合流点付近に
は、渡良瀬遊水池などの大小の沼や湿地が分布しています。
<平成22年度栃木県地盤変動・地下水調査報告書より(図も含む)>
地質は、沖積層を中心に、砂層・泥層における堆積物の分布が見られ、豊かな水田地帯の基盤と
なっています。本市の景観特性としては、平坦な地形と水田による広々とした田園風景や、姿川・
田川等の河川と水田が一体となった水と緑の風景などの自然的な景観が挙げられます。
<下野市都市計画マスタープランより>
下野市は県南地域に位置し、宇都宮市街地から南に延びる宇都宮西台地(宝木台地)や宇都宮東
台地(田原台地、岡本台地)、鹿沼台地の台地地域と、鬼怒川低地やこれらの台地を開析して流れ
る田川沿いの田川低地、姿川沿いの姿川低地(思川低地の一部)からなります。
鹿沼台地は、一般に十数メートルのローム層の下位に段丘礫層があり、南に傾斜する台地上位面
にあたります。宇都宮西台地(宝木台地)や宇都宮東台地の岡本台地は、台地中位面にあたり、概
ね5∼7mのローム層に覆われ、上位面と同様に南に傾斜しています。
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また、田川沿いの宇都宮東台地には、岡本台地面より低い田原台地があり、ローム層が堆積して
ローム台地下位面となっています。
これらのローム台地の下位には、河川沿いの低地よりやや高い砂礫層や水成ローム層を基盤とし
た砂礫台地(最下位面)があります。
市域を南流する河川沿いの低地には、砂、礫、泥・粘土などの沖積堆積物が堆積した扇状地性低
地などの谷底平野が、各台地間に細長く形成されています。
これらの谷底平野や台地を開析してできた谷地などは、湧水など水の便が良く、早くから稲作等
行われてきました。また、鬼怒川沿いの低地には、発達は悪いが、河川の蛇行や氾濫等によって形
成された自然堤防地形が点在しています。
下野市の地形・地質図
B…B’は、③の水理地質断面図の位置を示す。
<縮尺5万の1土地分類調査「地形分類図」「表層地質図」 国土交通省より)>
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③ 水理地質概要
ローム台地や砂・礫・泥からなる沖積堆積物の下部には、水理地質基盤を構成する砂岩・粘板岩
などの中・古生層堆積岩まで、礫質層や粘土層、砂質層などの洪積堆積物が堆積し、礫質層や砂質
層は良好な地下水滞水層となっています。下野市の水道は、これらの滞水層より揚水しています。
栃木県において、地下水を胚胎する地層は第四系で、山地や一部の丘陵地を構成する中・古生層
および第三紀層などは、第四系の水理的基盤となっています。
喜連川丘陵より南の第四系は、阿久津氏(1965)により、比較的に連続する礫層や含貝化石砂層な
どを鍵層とし、加えて珪藻化石を検討しA∼C層の区分が行われています。その後、小山市(小山1
号)におけるボーリングにより、さらにC層より下位の地層がD∼F層に区分されています。
A層は、山地、丘陵地を除く全域に分布し、各段丘礫層を含むほぼ一枚の連続する砂礫層が良好
な帯水層を形成しています。この砂礫層は宇都宮市付近及び小山市付近で5m前後の粘土層を挟む
ほか、南部ほど細粒となり、砂やシルト層が優勢となっています。
B層は、河内町付近や宇都宮市の中北部を除いてはほぼ全域に分布しています。この層は、粘
土、砂、砂礫層からなるが、宇都宮市から下野市北部、上三川町北部にかける地域などでは、粘土
層が非常に優勢になっています。
C層は、北部では鬼怒川埋積谷に沿って分布し、宇都宮市及び鹿沼市から壬生町にかける地域に
は分布していない。粘土、砂、砂礫からなり、南部ほど層厚は増しています。
D∼F層については、D層が真岡、小山市、下妻市、古河市で、また、E、F層が小山市、古河
市で確認されている他は、その分布状況は明確でないが、鬼怒川埋積谷に沿う南部地域に分布する
ものと考えられています。
A、B、C層は、いずれも南部ほど厚くなる傾向にあるが、各層中の粘土、砂、砂礫層は、層相
や層厚にかなりの変化が見られ、連続性は悪くなっています。
<栃木県地盤変動地下水位調査報告書(H22年度)資料編より>