地域の課題に取り組むためには、やはりお金は大事 だし、地域のお金の

地域の課題に取り組むためには、やはりお金は大事
だし、地域のお金の流れを変えることで、もっと多くの
人が関われるようになるかもしれない、そのようなこ
とを考え皆さん参加されているのではないか。
これからの 1 時間で、この日本で起きている、10 の
様々なお金の流れを紹介するが、どうして起こってい
るのか、どのような課題を抱えているのかをお話しす
る。
全国の話も世界の話も地域で起きていることの話
も、基本軸は同じ。発想や経験は共有できると思う。
ファンドレイジングとは、社会貢献的な活動に共感
のお金を流していくことで、寄付や社会的投資が進む
社会をつくろうというのがファンドレイジング協会。
NPO・ソーシャルビジネスが実際に変化を生み出すよ
うコンサルもしている。
企業・個人・行政が支援するときに、相手を選び始め
ている。どの団体がいい変化を生むのか、共感を得てい
るのかを見始めている。
今まで 50 カ国以上で仕事をしてきた。行政・企業・
NPO・地域社会の距離感は国によって違う。その中で
感じたことは、日本は社会サービスが行政に偏りすぎ
じゃないかと思った。
私の出身地神戸は大地震があった。反面多くのボラ
ンティアが生まれ、その後 NPO 法が成立した。NPO
活動に肉が付いてきたが、血が流れていないことに気
づいた。
つまりお金が流れていないので、活動が続かない、10
人は救えても 100 人は救えない、そこで、お金の流れ
を変えていこうと思い立ち、ファンドレイジング協会
を立ち上げた。
個々の NPO 等が社会からの共感を得て支援を増や
していくことのお手伝い、同時に、寄付する人、社会的
投資をする人を増やしていこうことに取り組んでい
る。
今日紹介するものは、ほとんどが私が関わっている
ものである。
支援が集まりやすくなっているという状況が明らか
に生まれている。5 年前とは全く違う。
十数年間お金の流れを見てきたが、ここ数年間は、一
言で言えば、動きだした、動き始めたという感じがす
る。
クラウドファンディングとは、何かプロジェクトを
ネット上で立ち上げ、寄付を募るもの。この例では陸前
高田市で、震災で流された図書館をもう一度本で一杯
にしようというものだが、金額を 200 万と設定した。
色んな人が寄付をし、200 万まで到達すると決済され
る。仮に 199 万で終わると 1 円も決済されない、こう
いったものがオーソドックスな形。Readyfor は日本で
のクラウドファンディングの草分けといわれている。
2011 年 3 月、震災の直前立ち上がった。今では年間 20
億程度のお金が動いている。これが日本で広がった理
由は次のものが考えられる。
今までは、寄付しても何がどう変わったかあまり分
からない。クラウドファンディングでは、100 万で○○
ができます、200 万でこうなりますと、ものすごくはっ
きりとしている。
クラウドファンディングでは、ネット上で寄付者が
コメントでき、プロジェクト実施者がすぐにそのコメ
ントに返す。つまり、コミュニケーションがすぐに成り
立つ。今までは「郵便振替で申込み、数ヵ月後にお礼状
が届く」
。
また、支援者が可視化されコミュニティになるとい
うところもおもしろい。
もう一つ重要なのが、寄付には何らかのお返しがあ
るが、この図書館の例では、200 万の寄付が 2 日間で
集まり 3 ヶ月で 800 万集まった。1 万の寄付で自分の
人生で大切だと思った本を指定できた。寄付者の名前
入りで本を置くことができた。
こういう仕掛けができることがクラウドファンディ
ングの魅力。実際にこの例では、図書館に自分の本をた
くさんの人が見に来て、つながりが生まれた。
JAPANGIVING(旧名 JUSTGIVING)は、マラソンな
どチャレンジを表明し、そのチャレンジを応援する仕
組み。
例えば、私が難病患者を支援したいと思い、トライア
スロンやマラソンなど自分のチャレンジをウェブ上で
表明する。そのチャレンジに応援するつもりで寄付を
するが、そのお金はチャレンジする人ではなく、その人
が応援する団体に行く、そういう仕組みだ。
イギリスで生まれて、ロンドンマラソンでは、ほとん
どのランナーがこれを利用している。
日本は 2010 年に上陸した。ロンドンマラソンは、も
ともとチャリティランナーがたくさんいた。お金をわ
ざわざ振り込むのは面倒くさいから、オンラインのプ
ラットフォームを作ったらブレイクした。日本では
元々チャレンジして寄付を集めるなんてことは広がっ
てはいなかった。24 時間テレビでやっていたくらいだ。
これを日本に持ち込む際には、普通に考えればうま
く行かない、何かプラスアルファがいる。そこで最初の
チャレンジャーを有名人にした。上手に雰囲気を作り、
新しい、かっこいい動きだなと広がった。
NPO 法人が去年から劇的にお金が借りやすくなっ
た。信用保証協会が使えるようになった。
実際融資を受ける NPO も増えてきた。理由としては
介護保険等制度事業が増えてきた、ソーシャルビジネ
スモデルで事業を立ち上げる人も増えてきた、NPO や
社会起業家の経営力が上がってきた、これらが考えら
れるのではないか。
昨年 12 月日本で初めての寄付月間があった。このキ
ャンペーンは総予算 150 万だった。この○○月間は、
例えば環境月間など、行政主導で行うのが一般的だ。
これは民間主導で始まったが、最終的にはビルゲイ
ツが来て、新経済連盟代表の三木谷さんも登壇され、朝
日新聞上で著名人による寄付のリレートークができ
た。東海地方では 2000 店舗が参加してカンパイチャリ
ティが行われた。そして先月、寄付月間を全国で進めよ
うと閣議決定された。
2008 年頃から寄付月間やろうという話はあった。そ
ろそろタイミングかなとも思っていた。ただ寄付には
色んな方が興味を持っていて、小さく始まると小さく
終わってしまうので、全国の 40 数団体に声をかけて動
き始めた。会議を開催し、寄付月間に関して全員の同意
がとり、12 月に開催することに決めた。企業・行政(文
科省・内閣府)・国際機関・NPO 等みんなメンバーに入
り、事務局がファンドレイジング協会では小さくなる
気がしたので、共同事務局とし、有志 13 人が事務局と
して集まった。
昨年の 8 月 31 日に、12 月に寄付月間をするという
イベント(報道発表)をという流れになった。すると、共
同事務局の 1 人でもある内閣府若手職員が小泉進次郎
さん(当時内閣府政務官)をサプライズで連れてくると
言ってくれた。
イベント当日、小泉さんが登壇すると会場の雰囲気
が変わり、会場にいたある方が、
「この寄付月間はうま
くいく」と感じ、頼んでもいないのに英語で書き直して
海外に送ってくれた。そうしたら、1 週間ほどしたらシ
アトルのビルゲイツ財団から連絡があり、ビルゲイツ
が 12 月にお忍び東京に行くからコラボしてなにかでき
ないかと提案があった。
我々だけでは大きなイベントを実施するお金もない
ので、新聞社の協力を得て、三木谷さんも一緒に登壇し
てくれた。
三木谷さんはその後、新経済連盟として 2016 年はフ
ィランソロピーでいくと決めてくれた。今年 4 月の新
経済サミットでは、ビルゲイツやザッカーバーグのよ
うに、起業した人が当たり前の様に社会貢献をする時
代をつくると発言されている。
1 人ではなく、関心のある人たちを巻き込んで、共感
性の連鎖によるインパクトがいかに大きいかを伝えた
い。
ベンチャーフィランソロピーとは、普通の寄付・助成
だけではなく、お金を出して経営支援も行い、その団体
の生み出すインパクトを最大化しようというもの。
日本では 2003 年ソーシャルベンチャーパートナー
ズ東京というのが立ち上がり、100 人くらいの方が毎
年 10 万出し合って、毎年 5 団体程度助成し、経営支援
も行い成果を最大限にしようという素晴らしい取組み
をしている。
でもこの発想必ずしも全国に十分に広がっていると
は言い難い。助成して経営支援してインパクトを生む、
シナリオはとてもいいが、好事例が、団体がブレイクス
ルーしている事例が見えていくことが大切だと思う。
次に、ソーシャルインベストメントパートナーズ。こ
れは投資ファンドの投資家の皆さんがこのモデルをや
り始めている。例えば、年間予算 3000 万円の子どもの
支援をしている NPO に、3 年間で 2000 万円くらいの
助成を行い、経営支援に入った。3 年経って、年間予算
3∼4 億円まで成長したというようなイメージだ。予算
規模だけではなく事業が広がっていた。
こういう事例が出てきたことは、今後のベンチャー
フィランソロピーに関心を持つ人たちの広がりにつな
がる。
相続財産の一部は地域の NPO 等へ寄付してもいい
と考えている人は 2 割いると言われているが、実際は
おそらく 0.1%もされていない。このギャップを埋めた
い。
理由としては、まずは相談先がない。弁護士に相談し
てもよく NPO が分からない。他には、遺言で寄付する
際は、もめないために書き方にコツがあるが、弁護士で
あってもあまり詳しく知らない人が多い。
世界の中で社会的投資に関心が高まっている。
「社会
的インパクト債(SIB)」のようなあたらしい官民連携型
の社会問題を解決する仕組みが生まれている。
SIB の事例としてこういうものがある。ニューヨー
クでは若者の犯罪率が高く、再犯率も高い。若者の再犯
率が下がれば税金の支出が下がる(例えば収監費用が
2000 万円/1 人・年)。ただ、効果が出るかどうか分から
ないところに予算がつかない。そのため、10 億円のニ
ューヨーク州が発行する債権をゴールドマンサックス
が買い(出資し)、ニューヨーク州はその 10 億円で再犯
防止プログラムを NPO に委託する。何年か経つとその
成果が確認でき、どれだけ税金支出がセーブできたか
が分かる。それが 10 億円を超えたらゴールドマンサッ
クスに 10 億円あるいは 11 億円返す。仮に成果が出な
かったら、この 10 億円の債権については成果が出なか
った分は返さない、つまり 5 億しか返ってこない可能
性もある。成果が出ると分かった後は、予算化して実施
すればいい。新しい、行政と企業と NPO の協働が始ま
っている。
日本では尼崎市や横須賀市で SIB の取り組みが実験
的に始まっている。
自分たちの活動の分野で、1 団体ではスケールが小さ
いが、いくつかが連携すれば、将来行政のお金をこれだ
け減らせる、社会保障費を減らせるものがあると言え
れば、先行してお金をつけていこうという流れが日本
の中で出てきている。
横須賀市の特別養子縁組の例では、親がなんらかの
理由で子育てができなくなると、一般的には児童養護
施設に行き、18 歳まで施設にいて、行政としては一人
当たり例えば 2000 万円程度の支出になるとすると、特
別養子縁組では、こうした子どもと里親になる人を仲
介することをしている。一人見つかると、若干の補助は
行政が出すが、1500 万ほど支出が減る。例えば、5 件
ほどマッチングしている NPO があれば、行政としては
お金を出す価値がある。
尼崎市の不登校の例では、不登校の子どもが、そのま
まいったら生活保護の対象になるかもしれないのが、
仕事に就けたりしたら税金を納めるようになるかもし
れない。
NPO がやっていることは、地域社会にとって課題解
決をする上で、必要不可欠な新しいチャレンジをして、
いわば社会実験と言えるかもしれない。こういったと
ころにお金が流れるのが新しい動きだと思う。
このような中、成果評価を進めていこう、NPO がや
っていることの価値を、金銭的な評価だけではなく、人
の変化なども含めて説明できるようにしていこうとな
ってきた。
各分野の方が集まって、プラットフォームを作って
いこうという流れになってきた。
休眠口座のお金を NPO や地域課題解決に活用しよ
うという法案が考えられている。
この法案で気に入っている点は、
「新しい革新的な手
法開発や成果目標に着目した支援に活かしていけるよ
うにしている、受け皿を東京のみではなく地域にも作
り、それぞれで使い道を決めてもらおう」というところ
だ。
ふるさと納税の注目すべきトレンドとしては、条例
で「寄付先として NPO が指定できる」としている行政
が増えている。
昨年、ふるさと納税で 3 億円くらいの寄付金を集め
た NPO があり、不可能だといわれた「犬の殺処分数全
国ワースト 1 位の広島県で殺処分数ゼロ」を達成した。
共感のお金の流れを生み出せる「ファンドレイザー」
を日本ファンドレイジング協会で認定している。
そういう人たちを地域で生み出し、地域のお金の流
れを作っていきたいと考えている。
NPO が課題解決するのは、決して日本のみの動きで
はない。先日のサミットで社会的インパクト投資を進
めていこうというタスクフォースができている。その
中で「市場の見えざる心」が言われている。
寄付や社会投資など、一人ひとりの心が動いたとこ
ろに支援をしている、一人ひとりがバラバラとやって
いると皆がやり始めると、それが最適化していくとい
う考え。いい成果が出るところにお金が流れる、こうし
ないと、これ以上先進国経済成長しない中で、ここしか
人間が幸せになる仕組みは作れないという議論になっ
ている。
地域でお金が流れるためには、地域の人が課題解決
に期待を寄せてくれて、いい機会、きっかけがあって、
その人たちが信頼できると思って、そして支援して達
達成感が得られる、こういう循環が必要。
この循環は、NPO 等だけで生み出すのは大変で、行
政との連携の中で、機会・きっかけや信頼は得られやす
い。1%支援制度は、まさに機会を与えている、そして
審査会を通過しているということで信頼も担保してい
る。こういう仕組みを一宮市は持っていて、市としては
前に進めたいと考えているとのことなので、ヒントを
今日の話の中で見つけてほしい。
今日の登壇者はすごいメンバーが集まっていると思
う。こういった方々のお話を聴きながら、皆さんが皆さ
んの場所でどう動き出すのか、今日一日考えてほしい。
日本社会は、7 割の人が社会に役立ちたいと言ってい
る。でも、実際にできている人は、1 割か 2 割程度。こ
こには何千万人というギャップがある。そういう人た
ちに、役立っているという感覚、達成感を持ってもらう
には NPO 自身の動き方にかかっている。
世の中に流れる情報量は、ここ 10 年ソーシャルメデ
ィアができ、増えてきた。でも人が摂取して処理できる
情報量はほとんど変わっていない。
だからこそ、色んな人とつながっていく中で、共感し
てもらって、伝えるではなく「伝わる」メッセージを出
すことが需要で、皆さん自身がパッションを持って動
き出すことが大事だ。