静岡県立科学技術高等学校 国際化推進室

静岡県立科学技術高等学校 国際化推進室
平成26年度(2 014-15)通信 発行 2015 年 3 月 20日
H26年度 科学技術高校「国際」ニュース top five
7月 ジョニー 先生、イギリスに帰国。
美術大好きアーティスト。将来は
彫刻家+テコンドー師範を目指す。
8月 アントワン先生、アメリカから新ALT
に着任。コンピュータサイエンス専攻。
日本のアニメについても非常に詳しい。
p1
目次 頁
H26 科技高国際ニュース
p1
「チェコ共和国を訪ねて」
轡田 徳子教諭
p2-4
「平成26年度英検合格状況と推移」
国際化推進室 p5
8月 シンガポールで海外研修実施。 10名の代表生徒が一日留学体験、
先端施設見学、ホームスティなど
さまざまな国際体験を楽しむ。
10月 科技高祭にミャンマー留学生のチョチョモーさん来校。
(写真左:桃色の民族衣装のチョチョモーさんと国際部生徒)
(写真下:台湾高校生が茶華道体験)
11月 台湾の国立羅東高級工業職業学校より、生徒32名、
先生3名が来校。歓迎セレモニー(写真右)、昼食会、
授業・LHR・部活動での交流活動で会話が弾んだ。
新年度の科学技術高校の国際ニュースは・・・・・
来年は海外からどのようなお客様が本校に来校されるのでしょうか。また海外を訪れる科技高生も
増えるでしょうか。実は一つの「ニュース」がすでに決定!シンガポールでの海外研修が、下記のよ
うに新年度も実施されることになりました。科技高の国際化がますます進展することを期待します。
平成27年度生徒海外研修の概要
日程:平成 27 年8月 19 日~8月 23 日 / 研修地:シンガポール
主な研修内容:①一日留学体験(コンピューターや化学実験など
の授業を現地高校生と一緒に英語で受講)
②湾岸地区のデザインビルや先端的な環境・工業施設を見学 ③ホームスティ体験(二人一組で現地家庭に宿泊、交流)
費用:生徒個人負担約13万円(同窓会より10万円援助)
<H26 年度参加生徒の声>
・外国の習慣や文化、日本の良
さを学ぶことができた。/ 英語
が苦手でも外国人に自分の言い
たいことが伝わって嬉しかった。
/ 同年代の海外の友達ができて
楽しかった。
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平成26年度通信 p2
「チェコ共和国を訪ねて」 轡田 徳子
「百塔の町」「建築の博物館」「ヨーロッパの音楽院」と言われるチェコ共和国。東西南北の欧
州文化の合流点でもあるこの地は、1200 年の歴史の中で味わった明暗を重ね持つ興味深い地です。
しかし日本からの直行便はなく、約 18 時間を機内で過ごしウイーン経由で、私は平成26年3月、
チェコ共和国の首都プラハに入りました。
1.キュビズム建築,その他の建築物
1900 年初め、ピカソやブラックの作品が誕生したパリで「小さなキューブ」という言葉を付け
られたことが「キュビズム」の語源です。斜めのラインを立体的に組み合わせたり、少しずつ角
度を変えたり、凝った技法でボヘミアングラスのカットの様でしたが、その影響は受けていない
ようです。プラハの有名な建築は徒歩でも十分回れる範囲に集中していて、石畳の小道を歩くと
珍しい建物に出会います。旧市街とバーツラフ広場などもその楽しさの一つでした。
ネクラドヴァ通りの集合住宅(1913) コヴァジョヴィチ邸(1913) ダンシングビル(1996)
プラハ城郭内の 930 年建てられた聖ヴィート大聖堂はため息が出るほどでした。大聖堂のステ
ンドグラスは、プラハの町を歩いていた時に立ち寄ったミッシャ(ムハ美術館)が手がけたもの
もありました。ミッシャは子ども時代はドイツ占領下で育ち、その苦い経験からユダヤ人保護の
活動をして牢獄されたこともあったそうで、その生き方には感服しました。
聖ヴィート大聖堂(左)とティーン聖母教会(右)
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平成26年度通信 p3
2.チェスキークルムロフ
プラハから南へ3時間ほど車で移動(途中フルボカ城
も見学)し、 13 世紀に創建され、中世の面影をそのまま
に残すといわれるチェスキークルムロフへ。
ヴルタヴァ川から見上げる城壁は見事でした。また、
ヴルタヴァ川の蛇行を真下に見ることができる城の高台
の外廊から見たオレンジの屋根が連なった家並みは絵画
のようでした。
城内のお堀では熊が 1700 年頃から飼われていました。
チェコは町を歩いていても、壁を装飾している家が多
く、それらは、立体的に見えるだまし絵もみられました。
チェスキークルムロフもだまし絵的なものがあり、壁画
鑑賞を楽しみました。
3.テレジン強制収容所
プラハの北方、車で約1時間くらいの所にあります。1780 年に要塞として建てられ、牢獄とし
て使用されていましたが、1940 年ナチス・ドイツはここに当時のチェコスロバキア国内最大級の
強制収容所を造りました。16 万人以上のユダヤ人達が送り込まれその内 3 万 6000 人がアウシュ
ビッツに送られて殺されました。アウシュビッツの中継収容所だったわけです。
収容所は処刑はもちろん、看守の虐待や劣悪な環境(教室くらいの広さの所に 200 人以上が寝
起きさせられていた)で病死した人が多く、収容所入口まで続く道の脇には約 21 万人を葬った墓
地になっていました。名前が確認できないのか、番号で記されているものもありました。
殺害されたユダヤの人々の墓 入口には「働けば自由になる」と書いてあった
4.旧・新シナゴークとユダヤ人地区
シナゴークはユダヤ教の礼拝堂のことです。現存するヨーロッパ最古の(建物)で世界中のユ
ダヤ人の巡礼地になっているそうです。儀式の家には、テレジン強制収容所での様子を描いた子
どもの絵があり、自由のない生活を物語る「3分間のシャワー」を描いたものが印象的でした。
壁には収容所で殺された人たちの名前と当時の年齢が記されていました。
この辺りはかつてはユダヤ教徒の居住区でいくつものシナゴークがあるようでした。1万2千
基といわれる墓地も隣接していました。作家カフカが育った場所でもあります。
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平成26年度通信 p4
5.悲劇の村・リディツェ村へ
ガイドブックには載っていないリディツェ
村へ。「ヒトラーから厚い信頼を受けていた
圧政者ハイドリヒは、残虐な行為を繰り返し
たために何者かに暗殺された。この計画を立
てた者がリディツェ村に居るというぬれ衣を
着せられ村の男性達は全員銃殺、女性と子ど
もは収容所に送られて殺され、村は焼き払わ
れた」そうで、訪ねてみるとリディツェに
は記念館が一軒建っているだけで、村は平原
となり、戦争遺跡として残されていました。
記念館に入ると、在りし日の平穏で牧歌
的な村人の映像が流されていました。
ユダヤ人墓地
平原には 82 人の子どもたちのモニュメントがありました。子どもたちは、父親が銃殺された場
所を見ているのか、恐ろしさに怯えたその目に輝きはありません。この像は鎮魂の歴史を後世に
伝えたいというチェコの彫刻家によって 20 年かけて制作されたそうです。多大な制作費がかかる
のを、秋田の主婦2人が資金集めに奔走されたということもわかりました。像の下には子どもた
ちに、ぬいぐるみやお菓子が置かれていました。私たちは持ち合わせの折り紙で鶴を折り、捧げ
ました。
リデイツエの子ども達の像
6.レトナーの丘公園
最終日には初日に歩いたプラハの春( 1969 年)やビロード革命( 1989
年)の舞台となったヴァーツラフ広場からヴァルタバ川沿いを歩き、レト
ナーの丘公園へ行きました。丘からの眺めはまさに「百塔の町」でした。
丘にはスターリンの像を爆破した跡に作られたモニュメントとして巨大
なメトロノームが建てられていました。(写真の私の身長と比較してくだ
さい。いかに大きなものかわかりますね。)
二度と悲しい歴史を繰り返してはいけない。今後は平和な時を刻む・・・
こんな思いでこのメトロノームは建てられたのではないかと思いました。
本校にロボット工学科あります。ロボットと言う語はチェコ語なのだそ
うです。カレル・チャベックが戯曲『人造人間』の中でその主人公の名前
をロボットとしたことに由来するそうです。それが今や世界的な共通語と
なっているのです。
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平成26年度通信 p5
平成26年度英検合格状況および合格者数推移について 国際化推進室
平成26年度も多数の生徒が英検
平成26年度英検合格者数
に挑戦し、工業科・理数科ともグラ
フ1が示すように合格者を出すこと
6
ができた。難関の2級に工業科から
2級
1
1名が合格し、また大学進学に必要
36
工業科
準2級
な基礎学力水準である準2級には理
26
理数科
数科のみならず工業科の生徒も積極
2
3級
的にチャレンジした。3級は主に工
29
人
業科生徒が英語への苦手意識をなく
0
5
10
15
20
25
30
35
40
し準2級への基礎固めをするため受
験した。
グラフ 1
また、特に英検準2級の合格者数推移を見たところ、ここ2年間大きく増加している本校の国公立
大学進学者数(表1)と同様の伸びを示していることが分かった(グラフ2)。さらに平成24~26
年度の工業科の学年別合格者数を調べたところ、工業科においても理数科と同様に早い時期から英検
準2級を目指す生徒が増えていることが分かった(グラフ3)。平成27年度にもこの伸びが続き、
多数の科技高生が英検に合格するよう、生徒に英検受験を呼びかけていきたい。
本校国公立大学進学者数(工業科・理数科合計)
表1
H22
H23
H24
H25
H26
29
26
25
43
64 人
*H26 は前期入試までの合格者数
グラフ2
英検準2級 合格者数の推移
人
50
36
33
30
29
20
20
10
英検準2級 学年別合格者数(工業科)
43
40
7
6
24
26
9
H23
H24
30
工業科
理数科
H25
H26
9
11
1
4
4
9
12
6
3
H24
H25
H26
20
10
0
H22
グラフ3
人
0
3年
2年
1年
編集後記:国際化推進室では、科技高教職員・生徒の「国際化」をめぐる様々な体験や知見を発信
していきたいと考えています。感想をお寄せいただければ幸いです。
国際化推進室平成26年度通信 発行:2015 年 3 月20日 問い合わせ先: 〒420-0886 静岡市葵区長沼 500 番地の 1 静岡県立科学技術高校(国際化推進室)
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