平 成 15年 3月 7日 (金 ) 新 潟 県 庁 講 堂 「住 民 参 加 型 公 共 事 業 の実 現 に向 けて ∼欧 米 のパブリック・インボルブメントに学 ぶ∼」 東京工業大学大学院理工学研究科教授 屋 井 鉄 雄 はじめに 氏 197 0 年 前 後 から 、ア メ リカ でも い ろ い ろな 所 で ご 紹 介 い た だ きま し た 東 京 工 業 大 学 の 屋 井 で 反 対 運 動 によって事 業 が止 まり、住 民 や関 係 者 ございます。どうぞよろしくお願 いします。私 の専 の意 見 をいかに事 業 に反 映 させていくかということ 門 は交 通 の分 野 ですので、今 日 ご紹 介 する事 例 が問 題 になりました。それが発 端 となり、90年 代 は交 通 を中 心 としたものになっています。皆 様 が に入 ってマスタープランの段 階 からPIをやりなさい 担 当 されている分 野 については応 用 問 題 として という法 律 ができました ( 1 - 4 ) 。これからご紹 介 するの 考 えていただければと思 います。 は、それ以 前 のお話 です。 今 日 は、このような7つの項 目 で話 を進 めてい きたいと思 います (1-2)1 グレ ンウッド キャニオ ン というのは コロ ラドの山 の 。最 初 にPI(パブリック・イン 奥 ですが、ここに高 速 道 路 を建 設 する時 、大 きな ボルブメント)の歴 史 についてお話 をし、次 に交 通 問 題 が起 きました ( 1 - 5 ) 。 戦 後 、 土 木 技 術 が進 ん で 計 画 におけるPIの現 状 についてお話 しします。事 山 の中 でもどこでも施 設 を作 れるようになりました。 業 の構 想 段 階 からPIで進 めるという動 きは、特 に この事 業 も、戦 後 になって事 業 の実 現 性 が議 論 道 路 の関 係 で、日 本 でも見 られるようになってい され、こ れな らできるだろうというこ とで進 み 始 めた ます。でも計 画 にはさらに上 流 があります、県 の基 ものです。しかし、既 に建 設 技 術 だけではものが 本 構 想 などがそれにあたるわけですが、今 日 はそ 作 ることができず、プロセスをいかに民 主 的 、合 理 れに つ いて も お 話 し し た い と 思 いま す 。そ れ から3 的 に進 めるかという技 術 が大 変 重 要 になっていま 番 目 に、これはフランスが中 心 になると思 いますが、 した ( 1 - 6 ) 。両 方 がないと事 業 を実 現 できなくなった ヨーロッ パの現 状 。4番 目 はわが国 に導 入 す る際 という象 徴 的 な事 業 だったと思 います ( 1 - 6 ) 。 の課 題 。5番 目 は雑 談 のようになりますが、PIを理 これが完 成 したグレンウッドキャニオンです ( 2 - 1 ) 。 解 し て い た だ く ため の 例 え 話 。 そ れか ら P I を 具 体 この峡 谷 に高 速 道 路 を通 すという事 業 でした。川 的 にどう進 めるかという方 法 について。最 後 に、PI 沿 いには1980年 代 に通 した鉄 道 も走 っています。 を実 施 する時 は情 報 提 供 が重 要 な課 題 になりま 高 速 道 路 を 通 そうという話 が出 たのは1970年 代 すので、それについてお話 ししたいと思 います。 です。既 に事 業 は完 成 していますが、アメリカでは P I で 有 名 な プ ロ ジ ェク トに な り ま し た。 地 形 を 大 き 1.1970年 代 の象 徴 的 なできごと く変 えないよう、なるべく切 土 や盛 土 は行 わないで P Iに つ いては 、 従 来 か ら事 業 で や っ て い る、 あ 高 架 構 造 に し て い ま す ( 2 - 2 ) 。 切 り 立 っ た断 崖 の 場 るいは都 市 計 画 でやっているという話 をよく聞 きま 所 でも山 肌 を傷 つけないよう工 夫 しています ( 2 - 3 ) 。 す。海 外 でも最 近 盛 んにPIということを言 います これによって大 変 お金 も時 間 もかかりました。余 計 が、そのルーツは古 くて1950年 代 にさかのぼりま なことと言 え ば余 計 なこ とかもしれませ んが、住 民 す。70年 代 には世 界 各 地 でかなり大 きな出 来 事 の参 加 によってそれが必 要 になったわけです。 が起 こりました。ちょうど環 境 問 題 が厳 しくなった グレンウッドキャニオンを流 れるのは コロラドリバ 時 代 です。最 初 にその中 から二 つの事 例 をご紹 ーという川 で、川 下 に有 名 なグランドキャニオンが 介 します。二 つともアメリカの例 で、ひとつは山 の あります。カ ントリーロー ドとい う 歌 を 歌 ったジョ ン ・ 中 の例 、もうひとつは都 心 の例 になります (1−3) デンバーという歌 手 がいましたが、ジョン・デンバー 。 が環 境 問 題 に目 覚 めるきっかけになったのがこの プ ロ ジ ェ ク ト で す (2-4) 。 「 こ ん な 狭 い 峡 谷 に 高 速 道 1 資 料 1 ページの 2 番 目 の図 (以 下 同 様 ) 1 路 はいらない」ということで、自 分 でコインを投 げて 路 用 地 とし て手 当 てし てい たもので す。この よう な 対 岸 まで届 くのをテレビで放 映 し、反 対 運 動 を繰 結 論 を出 せたのは、ボストンでは既 に環 状 道 路 が り広 げたことで知 られて います。ここには温 泉 があ できており、1950年 代 には高 規 格 の道 路 として りまして、昔 、「OK牧 場 の決 闘 」という映 画 がブー の 整 備 も 終 わ っ て い たか ら で す ( 2 - 3 ) 。 ア メ リ カ で 最 ムになりましたが、そのドグ・ホリデーが最 後 に療 初 の 環 状 高 速 道 路 が あるとい う こ とが 前 提 で した。 養 しながら死 んでいった場 所 として知 られていま その内 側 に鉄 道 や地 下 鉄 を整 備 し、郊 外 部 には す。逆 に言 うとその程 度 しか話 題 がない場 所 なわ 駐 車 場 を整 備 して、パークアンドライドに政 策 を転 けですが、そういう場 所 に降 ってわいたような道 路 換 したということです。アメリカでも日 本 と同 じように 計 画 でした。 高 速 道 路 のネットワークがあるわけですが、南 北 と この事 業 では、現 地 に実 物 大 の模 型 を置 いて 東 西 に 格 子 状 に 通 し て ある 高 速 道 路 の 一 部 、 カ 議 論 したり、ルートをいくつも引 いて議 論 したり、ま ナダからフロリダまで南 北 に貫 く高 速 道 路 の一 部 さに住 民 参 加 で事 業 が 進 められました。そこで大 を、住 民 が反 対 して止 めたということになります。 きな影 響 力 を持 っ たの が、トラパニ さんという 現 場 使 わなくなった道 路 用 地 をどう使 うかということ の責 任 者 です。彼 は10数 年 間 この地 に留 まり、 で、これも住 民 参 加 で鉄 道 と地 下 鉄 を整 備 する 住 民 との対 話 を続 けて大 きな信 頼 を勝 ち取 りまし 計 画 を 作 り ま し た (2-4) 。 ア メ リ カ に も 、 日 本 の 道 路 た ( 2 - 5 ) 。それによって事 業 を進 めることができたとい 特 定 財 源 にあたる「道 路 信 託 基 金 」というものが うことがよく知 られています。住 民 側 と行 政 側 が信 あります。ここが日 本 とは仕 組 みが違 うところです 頼 を築 くことがいかに重 要 かという原 点 を改 めて が、そのガソリン税 を原 資 にした基 金 で公 共 交 通 示 した事 業 だったと思 います。 の整 備 を始 めました。そのスタートがこのボストン この道 路 は構 造 物 としていろいろな賞 を取 りま のプロジェクトです。もうひとつ、オレゴン州 のポー したので、それを見 に行 くミッションも日 本 からたく トランドにもLRTを作 りました。どちらも地 域 住 民 さん訪 れたようです。完 成 したのが1990年 代 のは の反 対 で事 業 が止 まり、いわば住 民 側 が戦 いに じめですから、60年 代 の終 わりから、20年 以 上 か 勝 利 して、そのお金 を公 共 交 通 の整 備 に使 える けてようやく完 成 したということです。ここには旧 道 ようにしたということです。この用 地 には公 園 やオ もありますが、現 在 は旧 道 を含 めて自 転 車 道 路 の ープンスペースも整 備 されました ( 2 - 5 ) 。さらに、売 り ネットワークが整 備 されており、休 日 には多 くの人 払 って民 間 が利 用 したり、学 校 の用 地 にしたりと、 が訪 れて楽 しむという地 域 になっています (2-6) いろ いろ な 形 で転 用 さ れまし た。 こ れは 高 速 道 路 。 に つなが る予 定 だ っ たイ ン タ ー チ ェン ジ で す ( 3 - 6 ) 。 もうひとつの例 はボストンの交 通 計 画 再 検 討 委 員 会 です ( 2 - 1 ) 。これも1970年 ですから同 じ時 代 で 10年 位 前 までこのような構 造 物 が残 っていました。 すが、当 時 としてはさらに進 んでいたということにな これが整 備 された鉄 道 です ( 4 - 1 ) 。アメリカで初 めて ります。ボストンは都 市 圏 人 口 が 200∼300万 人 道 路 財 源 を鉄 道 整 備 に利 用 した例 になります。こ で、アメリカで最 も歴 史 が古 い都 市 です。古 都 の れは住 民 参 加 で議 論 し ている場 面 です ( 4 - 2 ) 。この ようなものですから、都 心 まで高 速 道 路 を貫 通 さ ようにオープンスペースのまま残 っている場 所 もか せ る計 画 が 持 ち 上 が っ たと き、 反 対 運 動 が 起 こ り なりあります ( 4 - 3 ) 。 ました。そこで計 画 を見 直 すために知 事 が検 討 会 この図 をみていただくと問 題 の一 端 がよく分 かり を設 置 し、18ヶ月 議 論 して計 画 を定 めました。こ ま す ( 4 - 4 ) 。 住 民 に 議 論 し て も ら え ばもら う ほ ど 、 ど う の事 例 のポイントは、専 門 知 識 を持 たない住 民 側 し て も ロ ー カル な 利 害 、 身 近 な 利 益 で 議 論 し て し にコンサルタントを派 遣 し、カウンタープランを作 る まうというところがあります。この二 つの案 を比 較 す ことができるようにしたことです。 ると、上 の案 では鉄 道 の脇 に道 路 があります。高 その結 果 、高 速 道 路 の建 設 が凍 結 されました。 速 道 路 は 作 らないけどローカルな交 通 をさばく道 都 心 の一 定 のエリア内 には今 後 一 切 高 速 道 路 を 路 は作 るという計 画 です。それに対 して、下 の案 作 らないという結 論 が出 されました。この写 真 は南 はその道 路 すら作 らないというものです。通 過 交 側 からボストンの中 心 部 を見 たものです (3-2) 。中 央 通 は一 切 入 れないというネットワークになっていま に空 き地 が見 えますが、この土 地 は既 に高 速 道 す。決 して十 分 な道 路 がある地 域 ではないんです 2 が、そのような道 路 すらできなかったということです。 カでも日 本 の都 市 計 画 決 定 のような決 定 行 為 が 結 果 的 にこの案 が採 用 されました。これが1970 あって、ここについても連 邦 政 府 は承 認 したんで 年 代 の非 常 に象 徴 的 な出 来 事 です すが、それでも地 元 から反 対 が出 て設 計 を見 直 さ ざ る を 得 な い 、 見 直 し て も ま た 裁 判 が 起 こ る、 そ う コンサ ルタ ン トの派 遣 は 日 本 でもま ちづく りなど いう大 変 な社 会 になっているという一 例 です。 で行 われていますが、そのルーツはここにあるので はないかと思 います。ただ、アメリカでその後 も同 なぜそうなったかというと、いろいろな事 情 があ 様 のことをやっているかというと、一 切 やっていま るわけですが、ここではひとつだけお話 しします。 せん。アメリカでも、こんなことは怖 くてできないとい ニューヨークのセントラルパークを設 計 したオルム うことで、そこまではやらなくなっています。これだ ステッドというランドスケープ・アーキテクトがいます け徹 底 的 に市 民 参 加 で決 めてしまった時 期 もあ が、その本 拠 地 がボストンで、マサチューセッツ州 っ た と い う こ と で す 。 ただ 、 私 の P I の 定 義 は 「 決 め だ け で も 約 3 0 0 ヶ 所 の 公 園 を 設 計 し て い ま す (5-5) 。 る前 に問 う」ということで すが、決 める前 に問 うとい ボストンでは、そのオルムステッドの計 画 に基 づい う行 為 は一 生 懸 命 にやっています。決 めてもらうこ て川 沿 いに 緑 のネット ワークを張 り巡 らすという 事 とがPIの目 的 ではありません。 業 が 進 め ら れて い ま し た。 そ の ネッ トワー ク が 先 ほ ボストンにはもうひとつ高 速 道 路 があり、今 その どの道 路 で分 断 されるということで、反 対 運 動 が 地 下 化 の工 事 を進 めていて、あと数 年 で完 成 しま 起 きてしまったということがあったようです す。アメリカではここ10年 位 で最 も大 きな公 共 事 アメリカの例 を二 つご紹 介 しました。今 から30 業 です。これは地 下 化 される前 の高 速 道 路 です 年 以 上 前 の 話 で す が 、 PI とし て 今 で も で きな い よ が 、 メ ン テ ナン ス の 状 態 が 悪 く て 路 面 に 穴 が 開 い うなことをやった例 があるということです。 ています (4-5) 。施 設 が老 朽 化 していますし、もともと 2.都市圏交通計画へのパブリック・インボルブメント チープな設 計 で作 られています。地 元 の州 政 府 が全 額 を負 担 して作 った道 路 だからです (2-6) それでは今 の時 代 、これからのPIをどう考 えて 。 これを作 ったために歴 史 的 な地 区 が分 断 され いけばよいかということで、 世 界 の各 国 ・各 地 がど たとい うこ とで、 建 設 さ れた195 0 年 代 当 時 から ア のように問 題 に対 処 し、どういう検 討 しているかと メリカの人 たちは非 常 に気 に病 んでいて、何 とか いうことをお話 しします ( 5 - 6 ) 。 地 下 化 したいと議 論 し、運 動 してきました。それで ま ず 、 「 上 流 側 」 とい う 言 葉 に つ い て お 話 し し ま 8 0 年 代 の 終 わ り に 予 算 が 付 きま し た 。 で す か ら 、 す 。 下 流 側 が 事 業 だ と す れば 、 上 流 側 は 構 想 で 、 5 0 年 位 か け て 進 ん で い るプ ロ ジ ェク ト とい う こ とに さらにその上 流 もあり得 ると思 います。今 は計 画 なります。ここは建 設 途 上 で設 計 変 更 して地 下 に 手 続 きが重 視 される時 代 です。最 初 に先 ほどの 入 れた区 間 です (5-1) ボスト ンの例 についてお話 しします。「もはや利 用 。この道 路 は1940年 代 に高 (4-2) 。最 初 は全 部 高 架 で 者 の便 益 最 大 化 が代 替 案 選 択 上 の決 定 要 因 で 考 えら れまし たが、 工 事 が始 ま って から 反 対 運 動 はないことを思 い知 らされた」とあります ( 6 - 1 ) 。アメリ がたくさん起 こり、それを受 けて設 計 変 更 したとい カも費 用 対 効 果 や効 率 、利 便 性 の向 上 などを重 架 構 造 で設 計 されました う経 緯 あります (5-3) 視 す る国 で す が 、 必 ず しも そ れだけ では 決 め ら れ 。これもいわば住 民 参 加 だと思 います。工 事 が終 われば全 て地 下 に入 りますから、 なくなっているということを、先 ほどのBTPR(交 通 その上 はオープンスペースや建 物 の用 地 として利 計 画 の再 評 価 )で政 府 が経 験 させられたわけで 用 できるようになります。 す。 高 速 道 路 を 都 心 ま で 抜 けば 通 勤 す る人 は み こ の 事 業 は 汚 い 高 架 構 造 を 地 下 に 入 れるも の んな便 利 になります。でもそれだけではだめで、環 ですから、全 員 が受 け入 れてくれると思 うかもしれ 境 の 問 題 や コミ ュニティ の問 題 、 歴 史 の 問 題 な ど ませんが、それでも反 対 運 動 が起 きました。全 部 も考 えなければ決 められなくなったということを思 地 下 であれば問 題 は起 きなかったかもしれません い知 らされたということです。 が、インターチェンジを兼 ねた橋 ができる部 分 はど フランスの「公 益 宣 言 」というのは都 市 計 画 決 うしても構 造 物 が地 表 に出 てしまいますので、そこ 定 のようなものです。その上 流 が「ビアンコ通 達 」 で反 対 運 動 が起 こり、裁 判 になりました (5-4) の話 です。ビアンコ通 達 のようなものが重 視 される 。アメリ 3 よ う に な っ てい るとい う こ とで す 。 経 済 的 な 合 理 性 ご紹 介 します。これはMPOという組 織 で、アメリカ だけでなく、計 画 手 続 きの妥 当 性 、計 画 手 続 き自 では人 口 が5万 人 以 上 の都 市 圏 全 てで作 るよう 体 が重 要 になってきています。B/Cが大 きいから 連 邦 政 府 で決 められています ( 6 - 4 ) 。それが連 邦 政 みんな納 得 するだろうという簡 単 なものではないと 府 の補 助 を受 ける要 件 になっています。この組 織 いうことです。 が何 をするかというと、「都 市 圏 計 画 機 構 」という そういう歴 史 も踏 まえ、アメリカでパブリック・イン 名 前 のとおり、計 画 づくりをします。その計 画 は、 ボ ル ブ メ ン ト と 言 っ て い る の は 何 だ ろ うか と い う こ と 道 路 や鉄 道 、港 湾 、空 港 などの施 設 に加 え、上 ですが、行 政 がパブリックを計 画 や計 画 策 定 に 下 水 道 やエネルギー、ごみ処 理 など、日 本 では 「巻 き込 む」という言 い方 をしています (6-2) 一 部 事 務 組 合 や広 域 連 合 が扱 っている施 設 も 。それは、 意 見 を表 明 する機 会 を与 える、パブリックに対 し 対 象 としています。地 域 によって歴 史 的 な成 り立 て適 切 に周 知 を行 う、重 要 な決 定 にアクセス可 能 ちが違 いますので一 概 には言 えませんが、概 ねそ とす る、そ れらを 早 期 から 継 続 的 に 行 っていく 、と のように理 解 していただければいいと思 います。 いうことだと思 います。その「パブリック」の定 義 で その計 画 は20年 位 先 まで考 えたものになって すが、事 業 の周 辺 の 住 民 とい うこ とではなく、 広 く い ま す 。 そ の 計 画 に 対 応 す るプ ロ グ ラ ム が あ り 、 3 市 民 、関 係 団 体 、交 通 事 業 者 、 他 の興 味 ある団 年 ∼5年 位 の事 業 リストになっています。連 邦 の 体 な ど を 含 む もの とさ れて い ます 。 要 は 利 害 関 係 補 助 を受 け るためには、その事 業 が この「交 通 改 者 だけでなく、だれでも参 加 できるようになってい 善 プログラム」に載 っていなければなりません。そ るということです。 のプログラムに載 るためには、長 期 計 画 である「地 (6-3) 。 域 交 通 計 画 」に載 っていなければなりません。こ 最 初 に従 来 のまちづくりにおける住 民 参 加 とは異 の計 画 は3年 ∼5年 お き、プログラ ムは2年 おきに なる概 念 だということを申 し上 げたいと思 います。 改 定 しなければいけませんが、その改 定 の際 にPI 住 民 参 加 という言 葉 は比 較 的 小 さな公 園 や細 い を行 わなけ ればいけな いとい うこ とになっています。 街 路 、コミュニティ道 路 など、非 常 にローカルな影 ですから、非 常 に短 い間 隔 で住 民 の意 見 ・意 向 響 しか及 ぼさない施 設 を計 画 する際 に使 われるこ を調 べなければいけないことになります。交 通 の場 とが多 いですから、皆 さんが合 意 すれば、それで 合 、事 業 は州 の交 通 省 がやります。計 画 と事 業 を 決 め てしまっ ていい 場 合 もあると思 い ます。しか し 、 分 離 しているということです。地 方 でも同 じような仕 高 速 道 路 や鉄 道 、空 港 などの広 域 根 幹 施 設 で 組 み を 持 っ て いま す。 た だ 、MP O と いう 組 織 は あ は、住 民 に計 画 を委 ねるということは考 えにくいで りませんから、州 政 府 が計 画 主 体 であり事 業 主 体 すから、住 民 参 加 とは異 なる概 念 であるということ でもあるという形 になっています。いずれにしても、 です 。そ れか ら、P Iは 要 求 が 来 るか らや るとい う も 長 期 の計 画 を作 り、それを短 い期 間 で改 定 してい のではなく、もともと行 政 側 に実 行 する動 機 があり く。それを承 認 する際 に住 民 参 加 のプロセスが必 ます。知 事 が言 われているのも行 政 側 から進 んで 要 であるというのがアメリカの姿 です。 ここでPIについてご説 明 したいと思 います やろうということですが、そういう背 景 を持 って行 わ 長 期 計 画 は道 路 と高 速 道 路 が中 心 で、環 境 れるケースが非 常 に多 いです。計 画 の上 流 側 に の問 題 が厳 しくなっていることもあり、公 共 交 通 が 導 入 が 求 め ら れて い るとい うのは 、 事 業 段 階 では 加 わ る とい う の が 具 体 的 な イ メ ー ジ に な り ま す 。 そ 既 に何 十 年 も前 からやっているわけで、これから の計 画 を作 る理 由 を三 つ書 いています ( 6 - 6 ) 。最 初 はもっと上 流 側 でPIをやっていく必 要 があるという は、環 境 悪 化 が危 惧 される計 画 は提 案 できないと ことです。いかに早 い段 階 から知 ってもらうか、たと い う こ とで す 。 大 気 浄 化 法 とい う 法 律 が あり ま し て 、 え知 ってもらえないとしても、これだけやってきたと 例 えば大 気 環 境 が悪 い都 市 圏 で道 路 を整 備 しよ いう証 拠 を残 せるか、そういうことが重 要 になって うとする場 合 、それによって環 境 が悪 くなるのであ きています。少 なくとも、突 然 空 から事 業 が降 って れば計 画 自 体 が認 められないということになります。 き た と 言 わ れ る よ う な 状 況 で 反 対 が 大 きく な るこ と ですから、道 路 整 備 と併 せてTDMを取 り入 れると は避 けなければなりません。 か、公 共 交 通 のネットワークを一 緒 に作 っていくと 上 流 側 の 話 をしていますので、ひとつだけ例 を か、ハードとソフトを総 合 的 にパッケージとして提 4 これがフェニックスの道 路 計 画 です ( 7 - 5 ) 。こういう 案 していかないと実 現 が難 しくなってきています。 次 の 理 由 は 、地 域 が 手 当 て す る予 算 に ついて ネットワークを作 るために税 金 を上 げることが認 め 先 行 的 に議 論 する機 会 を与 えるということです。 ら れま し た。 都 心 部 の 土 地 利 用 は こ の よ う な 状 況 日 本 と違 い、ほとんどの地 域 では地 元 が手 当 てす です ( 7 - 6 ) 。この真 ん中 を東 西 に高 速 道 路 が通 って る財 源 について住 民 投 票 を必 要 とします。例 えば います。東 海 岸 から西 海 岸 まで貫 いている道 路 で 道 路 や 鉄 道 を 整 備 す る ため に 消 費 税 を 1 % 、 2 0 すが、実 はこのフェニックスが、「最 後 の1マイル」 年 間 上 げるということが議 会 で承 認 されたとしても、 ということで反 対 運 動 が起 こった場 所 です。このよ その後 に住 民 投 票 が待 ち構 えていて、そこで否 うに住 宅 地 のすぐ近 くにインターチェンジを作 って 決 されたらそれで終 わりです。ですから、その道 路 、 います ( 8 - 1 ) 。土 地 利 用 の密 度 は低 いですが、その 鉄 道 、あるいは交 通 システムがいかにその地 域 に 程 度 の密 度 はあります。そこで高 速 道 路 に対 する とって重 要 かということを前 もってアピールし、住 反 対 運 動 が起 こり、その1マイルを地 下 構 造 にし 民 に理 解 しておいてもらわなければなりません。こ ました ( 8 - 2 ) 。中 央 部 はバス専 用 レーンにして、上 に の計 画 にはそのような意 味 もあります。 出 られるような構 造 を検 討 していたと思 います。地 最 後 に、計 画 の定 期 的 な更 新 がルール化 され 上 部 には「デッキパーク」という公 園 を作 っていま て い るとい う こ とで す 。 長 期 計 画 も 3 年 ∼ 5 年 の 短 す (8-3) 。 地 下 化 し た と 言 っ て い ま す が 、 実 は 平 面 い期 間 で改 訂 しなくてはならず、そこではPIが義 道 路 に布 団 をかぶせ たよ うな構 造 で す ( 8 - 4 ) 。 道 路 務 づけられています。計 画 の内 容 が新 しいか古 い にわざわざ蓋 掛 けをして、相 対 的 に地 下 のような かではなく、その計 画 が地 域 のニーズに合 ってい 構 造 にしています。どうしてそこまでやる必 要 が あ ることを確 認 していかなければいけないということ ったのかと思 いますが、最 後 に残 された区 間 では です。これがアメリカの状 況 です。それを整 理 した 比 較 的 よくあることです。反 対 運 動 を受 けてそこま のがこの図 です (7-1) でやったという例 です。 。 これはもっと最 近 の例 ですが、アトランタで先 ほ これを実 際 に行 っている例 として、アリゾナ州 の (7-3) 。アリ どの長 期 計 画 に基 づく予 算 の採 択 、事 業 化 に対 ゾナはアメリカ本 土 で最 後 に州 になった、いわば して裁 判 が起 こされました ( 8 - 5 ) 。アトランタも大 気 環 遅 れて来 た地 域 で、道 路 の整 備 も遅 れています。 境 が悪 いですから、交 通 計 画 の遂 行 によって環 ここでは、消 費 税 を上 げて道 路 ネットワークの整 境 が悪 くならないことを証 明 する必 要 がありますが、 備 に充 てるということを1980年 代 に住 民 投 票 で それに問 題 があるということで、環 境 団 体 が訴 訟 可 決 しています。この時 期 に道 路 をどんどん作 る に向 けたアクションを起 こしました。その後 、MPO ということを住 民 投 票 で可 決 した例 は他 にないと と環 境 団 体 がずいぶん 議 論 し、 最 終 的 には長 期 思 います。アメリカでもまだ道 路 を必 要 としている 計 画 の内 容 を見 直 すということで決 着 しました。 フェニックスという 都 市 圏 をご紹 介 しま す 地 域 があるということです。ここでも一 生 懸 命 にPI その中 で、日 本 でいう既 存 不 適 格 、古 いルー をやっています。マスタープランの段 階 でPIをする ルには適 合 するけど新 しいルールには適 合 しない ことが、スムーズな事 業 化 に貢 献 すると考 えている とい う 道 路 が 問 題 に な ったり 、 こ れは少 し 驚 きま し のかもしません。 たが、環 状 道 路 が問 題 になったりしました。アメリ この図 はマスタープランを改 定 するとき、どのよ うにPIと行 ったかを表 したものです (7-4) カでも最 近 は成 長 管 理 が議 論 されています。環 。まず、計 状 道 路 の整 備 には都 心 への集 中 を避 けるという 画 のコンセプトを新 しく考 えるため、地 域 集 会 、オ 効 果 がありますが、一 方 、環 状 道 路 が整 備 される ープンハウス、フォーカスグループ、意 識 調 査 など、 と周 辺 に住 宅 地 や商 業 地 が拡 大 していきます。 いろいろなこ とをやってい ます。それか ら、需 要 予 環 境 にとっ てはそのスプロールの方 が問 題 だと い 測 や大 気 への影 響 分 析 などの技 術 的 な検 討 をし う意 見 が強 くなっていて、環 状 道 路 を作 ることが て計 画 をまとめています。次 に、また公 聴 会 、オー 環 境 に対 して良 いという単 一 的 な評 価 は得 られな プンハウスなどで情 報 を提 供 し、意 見 を出 してもら くなっています。また、需 要 予 測 や環 境 分 析 の精 ってい ます 。 最 後 に 公 聴 会 とい う 比 較 的 フォ ーマ 度 の問 題 もあります。このように、常 に環 境 団 体 が ルな場 で議 論 し、計 画 を承 認 しています。 行 政 や計 画 機 構 のやることをチェックしていて、い 5 3.欧州におけるパブリック・インボルブメントの課題 い加 減 なことをすると、いつ裁 判 になって余 計 な 費 用 や労 力 がかかるか分 かりませんから、結 果 的 次 に、もう少 し下 流 にあたる個 別 事 業 の構 想 段 にきっちりやるということになっています。これはアト 階 のPIについてお話 しします。例 えば、渋 滞 の解 ランタの 高 速 道 路 の 写 真 です (8-6) 消 や 環 境 の 改 善 とい う 目 的 が ある とき 、 道 路 を つ 。 こ れは反 対 が (9-1) 。道 くる、道 路 の使 い方 を変 えるなど、いろいろな手 段 路 が整 備 されると、すぐにこのような開 発 が起 こっ がとれるわけですが、どれにするかを決 めていない 起 きた 道 路 に 並 行 す る 道 路 の 写 真 で す てしまいます (9-2) 段 階 が 上 流 で す 。 こ れか ら お 話 し す る の は 、 例 え 。日 本 でもよく見 られることです。 ば道 路 を作 ることは決 まっていて、その道 路 につ これが最 終 的 に採 択 された交 通 プログラムの予 算 配 分 です (9-3) いて検 討 しようという段 階 です。 。驚 かれると思 いますが、トランジ この図 は少 し古 くなってしまいましたが、日 本 は ット、つまりバスや鉄 道 などの公 共 交 通 にかける予 算 が3割 位 を占 めています。それからHOVレーン、 構 想 段 階 で の参 加 がな いとい うこ とで、数 年 前 か これはバスや乗 車 人 数 の多 い乗 用 車 ・タクシー等 ら議 論 して きました ( 1 0 - 4 ) 。 日 本 でも 構 想 段 階 のPI を優 先 的 に 通 すもので すが、 その 予 算 が2 4. 8 % を行 おうという動 きが 始 ま っていま すの で、 抜 けて になっています。いわゆる一 般 の道 路 整 備 、単 純 いた部 分 が ようやく 埋 まってきたとい うことです。こ にインフラを作 るという予 算 は非 常 に少 なくなって れまでは個 別 事 業 の構 想 段 階 に当 たるところを います。このような予 算 配 分 によって、ようやく周 内 部 検 討 だけでやってきましたが、それをもっとオ 辺 の環 境 を悪 くすることなく整 備 ができるということ ープンにしていこうということです。他 の国 では、そ になったということです。アメリカ全 体 がこうなって の段 階 に何 らかの住 民 参 加 の手 続 きがあります。 いるということではなく、非 常 に典 型 的 な例 につい フランスには「討 論 委 員 会 」というものがありますが、 てお話 ししています。 これがビアンコ通 達 で強 化 されたところです。下 の 今 まではアメリカの例 でしたけど、ヨーロッパでも 「国 家 契 約 履 行 調 査 委 員 会 」も同 じく強 化 されま いろいろな都 市 圏 で長 期 計 画 を立 てています。こ れ は フ ィ ンラン ド の ヘ ル シ ン キ の 例 です (9-4,5) した。 。ここ 事 業 段 階 のPIについては、さらに厳 しい条 約 も20年 間 の長 期 計 画 を立 てていて、4年 に1回 見 があります。1998年 にデンマークのオーフスという 直 しをしています。市 長 と議 員 が選 挙 で変 わる時 町 で 結 ばれた「オ ーフス 条 約 」 とい う ものです ( 1 0 - 5 ) 。 に見 直 すという、非 常 にシンプルな見 直 しのタイミ EU諸 国 が合 意 し、2001年 に発 効 していますの ン グを と っ て い ま す 。 人 口 が 5 0 0 万 人 の 小 さ な 国 で、不 備 な点 については改 善 が迫 られています。 で、ヘルシンキの都 市 圏 では100万 人 もいないく そこでは三 つの権 利 を国 民 に保 障 しています。ひ らいですから、計 画 で決 めたものを、大 体 その優 とつが「環 境 情 報 へのアクセス権 の保 障 」です。 先 順 位 に従 って整 備 しているという状 況 です (9-6) 事 業 によって生 じる環 境 影 響 を知 る権 利 があると 。 このヘルシンキでも、1999年 にマスタープランを いうことです。そのためには情 報 を収 集 し、配 布 す 作 る際 にPIを行 うよう法 律 が改 正 されました。マス る常 設 組 織 が必 要 です。次 が「決 定 プロセスへの タープランの段 階 でPIを入 れるというのは、アメリ 公 衆 の参 加 の保 障 」です。これについては、決 定 カだけなく、時 代 の流 れになっているということで プロセスに参 加 できるということになると、住 民 がも す。フィンランドには土 地 利 用 ・建 築 法 というもの のを決 めていくことになるのではないか、ヨーロッパ が あり 、 そ こ に 計 画 準 備 段 階 へ の 参 加 機 会 提 供 、 では本 当 にそこまでやろうとしているのか、私 自 身 計 画 手 続 き開 始 の公 表 義 務 と参 加 機 会 提 供 な その点 に疑 問 を感 じています。公 衆 の実 質 的 参 (10-1) 。今 日 お話 を 加 、公 衆 の意 見 の適 正 な考 慮 、初 期 段 階 から の している長 期 構 想 や長 期 計 画 でのPIとは異 なりま 参 加 要 請 な どが必 要 であるとされています。最 後 すが、こういう小 さな町 でも自 前 の財 源 だけで地 が「司 法 へのアクセス権 の保 障 」です。何 か問 題 (10-2) があったとき裁 判 に訴 えることができる権 利 を保 障 どの事 項 が付 け加 えられました 下 鉄 まで作 っています 。そのためには有 権 者 しなさいということです。 の合 意 を得 ることが大 変 重 要 になっているというこ フランスを例 にしますと、1番 については環 境 研 とです。 究 所 があって、そこが対 応 できると考 えています。 6 2番 の決 定 プロセスへの公 衆 の参 加 については、 代 に、もっと上 流 を補 強 して民 意 を反 映 できるよう 今 でも公 開 討 論 会 や公 聴 会 をやっていますが、 にするという通 達 が出 たわけです。「民 意 調 査 以 そ れだ け で は 条 件 を 満 たし て い な い と 考 え ら れて 前 の公 開 討 論 」とありますが、これは調 整 知 事 が います。3番 については、ドイツなどもそうですが、 主 催 するもので、少 ない人 数 の委 員 で運 営 される 行 政 裁 判 所 のシステムを持 っていて、従 来 から機 ものでした。もうひとつ重 要 なことは事 業 が終 わっ 能 していると言 っていいと思 います。 た後 の事 後 評 価 です。「国 家 契 約 履 行 調 査 委 員 ビアンコ通 達 以 降 、 あるい はバルニエ法 以 降 、 会 」というものを作 り、事 前 の協 議 で定 めたことが フランスではこういうものが出 てきましたが、実 はフ 本 当 に 実 行 されているか どうかをチェックするとい ランスにはパブリック・インボルブメントという言 葉 が うことが提 案 されました。その後 、1995年 にはバ ない ん です 。 世 界 道 路 会 議 で 、 住 民 参 加 を 三 つ ルニエ法 という法 律 ができて、上 流 側 の議 論 をす のステージに分 けて議 論 しようということになりまし る場 で ある「 国 家 討 論 委 員 会 」 を 強 化 し よ う とい う (10-6) 。最 初 がパブリック・コミュニケーション、次 ことになりました。ただ、6億 ユーロ以 上 ですから、 がパブリック・コンサルテーション、最 後 がパブリッ 対 象 になるのは非 常 に大 きなプロジェクトです。さ ク・パーティシペーションです。1番 目 は情 報 提 供 らに、2002 年 に法 律 が でき、この国 家 討 論 委 員 です。双 方 向 でもいいですが、ここではPRが中 心 会 の財 源 の自 立 や、さまざまな手 続 きを強 化 など に な ると思 い ま す 。 2 番 目 は 双 方 向 で 協 議 を す る が行 われています。 た ということで す。3番 目 は参 加 して発 言 し、場 合 に この写 真 は 道 路 が地 下 に入 るとこ ろ です ( 1 1 - 2 ) 。 よっては決 めることもあり得 るということです。それ この先 に行 くと、高 さ2. 5mの乗 用 車 専 用 のトン ら は 法 律 制 度 に 基 づ い て い る 必 要 が あり ま す 。 こ ネルと、大 型 車 も通 れるトンネルに分 かれていま のような整 理 をした上 で、その全 体 を表 す言 葉 と す 。 こ れは 蓋 が 掛 か っ て い る 場 所 で 、 こ の 下 に 高 してパブリック・インボルブメントという言 葉 を使 うこ 速 道 路 があります ( 1 1 - 3 ) 。 もともとはここを高 速 道 路 とを決 めました。ところが、フランス語 にはインボル が通 る計 画 だったわけです。この人 たちが反 対 運 ブメントにあたる言 葉 がないということで、英 語 で 動 を し た 人 たち で す ( 1 1 - 4 ) 。 一 緒 に 写 っ て い るの は 言 うとパブリック・インプリケーション、内 包 するとか 日 本 で外 環 に反 対 している人 たちで、両 国 の人 包 含 するという意 味 の言 葉 を充 てることになりまし たちが交 流 している場 面 です。 た。パブリック・インボルブメントというのは主 に英 先 ほどのA86号 線 が第 2環 状 道 路 ですが、そ 語 圏 、特 にアメリカで使 われ、日 本 でも使 われるよ の外 側 には第 3環 状 道 路 があって、フランシリエン うになった言 葉 です。フランスでもPIは行 われてい ヌ線 と呼 ばれています。この北 西 部 に、まさにビア ま すが 、 元 々違 う シ ス テム、 考 え 方 に基 づ く もの と ンコ通 達 に基 づいてプロセスを進 めているところが 言 っていいと思 います。 あります ( 1 1 - 5 ) 。1965年 に計 画 され、90年 に「民 意 フランスにおけるPIの事 例 としてよく知 られてい るのはA86号 線 という環 状 高 速 道 路 です (11-1) 調 査 」が始 まりました。ビアンコ通 達 以 前 ですから、 「公 益 宣 言 」 とい う、 日 本 でいえ ば 都 市 計 画 決 定 。そ の道 路 の北 西 部 にナンテールという町 があり、そ にあたる段 階 で民 意 を問 う場 面 があるわけですが、 こで反 対 運 動 が起 きました。この町 は過 去 に平 面 そこで紛 糾 しました。92年 にビアンコ通 達 が出 さ 構 造 の鉄 道 を受 け入 れていて、それによって町 が れ、今 度 は討 論 調 査 委 員 会 が開 かれて、10ヶ月 分 断 されていました。そこに平 面 構 造 の高 速 道 路 後 に結 論 を出 しました。この討 論 調 査 委 員 会 は が計 画 されましたから、それができると町 はケーキ 学 識 経 験 者 3人 で構 成 された、いわゆる第 三 者 を4つに切 るように4分 割 されてしまいます。我 々 機 関 と呼 ばれるものです。PIを実 施 するのではな がそこまで受 け入 れる必 要 はないのではないかと く、監 視 するという業 務 を行 っています。しかし、そ いうことで、幼 稚 園 の先 生 などが中 心 になって「ア の後 プロジェクトが進 んでいるかというと、実 は止 ま ディラン」という組 織 をつくり、反 対 運 動 を起 こしま っ て し ま っ てい ま す 。 性 急 に 結 論 を 出 し たとい う こ した。制 度 があったわけではありませんが、結 果 的 とで、地 元 に受 け入 れられていないということです。 には大 臣 が設 計 を変 更 し、地 下 構 造 になってい ビアンコ通 達 でルールはできましたが、それだけで ます。そういったことを踏 まえて、ビアンコ大 臣 の時 事 業 が う ま く い く わ け で はな い と い う こ と で す 。 フ ラ 7 ンスはアメリカと違 って、どちらかというと中 央 の力 にメッセージとして流 し、地 域 にどれだけの利 益 が が強 いというか、地 方 分 権 とは言 えないところがあ あ るの か を 地 域 の 人 た ち に 認 識 し て も ら う と い う も ります。討 論 調 査 委 員 会 にしても、限 られた人 た のです。 今 のフランスの話 は事 業 の上 流 段 階 です。先 ちが議 論 しているだけで、一 般 市 民 が意 見 を言 う 場 で は あり ま せ ん の で 、民 意 を きっ ち り とく み 上 げ 、 ほどのアメリカの話 は計 画 の上 流 、マスタープラン 十 分 に 議 論 を 尽 く して 進 め るとい う こ とに はな じ ま 段 階 でした。それ以 外 にも、いろいろな国 でいろ ないのだと思 います。このようなローカルな場 所 で いろなことをやっています。その特 色 を整 理 すると はなかなかうまくいっていないということです。 このようになります ( 1 2 - 2 ) 。上 流 側 でPIを工 夫 してい フランシリエンヌ線 はパリ都 市 圏 の北 西 部 にあ ります (11-6) る国 としてアメリカがあります。フランスも前 は何 も 。討 論 委 員 会 で、どういうルートがいい なかったところに制 度 を入 れました。どのように意 のか、どのような影 響 があるのかなど、いろいろと 見 をもらうかという方 法 を見 ると、アメリカはものす 議 論 がされました。先 ほどから申 し上 げています ごく自 由 で、地 域 地 域 がいろいろな方 法 でやって が、この討 論 調 査 委 員 会 はビアンコ通 達 ででき、 います。法 律 でも細 かいことは定 めていません。 バルニエ法 で強 化 されました。これが上 流 側 のPI 地 域 差 がありますから、地 域 で独 自 にやってくだ になりますが、参 加 者 は限 られています。国 を代 さいという内 容 になっています。一 方 、フランスとか 表 するような人 たちです。民 意 調 査 は公 聴 会 的 な イギリスとか、ヨーロッパの方 は、地 域 差 はあります もので、次 の公 益 宣 言 が都 市 計 画 決 定 にあたり が、これは公 聴 会 を開 いてこう聞 きなさいとか、こう ます。そして、国 家 契 約 書 の交 付 、事 業 化 と進 ん いうフォーマットでやりなさいということが、かなり細 でいきます。あとは事 業 が終 わった後 にそれをチ かく決 まっています。 ェッ ク す る こ とに な っ て い ま す 。 ただ 、 数 年 前 の 情 出 さ れ た 意 見 を ど う 収 束 さ せ るか と い う こ とも 議 報 では、ここまで進 んでいるプロジェクトはありませ 論 になります。計 画 の社 会 的 合 意 をどう表 明 でき んでした。 るかということです。アメリカは3年 に1回 長 期 計 画 、 バルニエ法 に基 づく「国 家 公 開 討 論 会 委 員 2年 に1回 プログラムと、毎 年 のようにPIを行 うこと 会 」、 少 し 変 な名 前 で す が、フラン ス 語 を 訳 す とこ がルール化 されています。ほとんど毎 年 、有 権 者 (12-1) 。これは開 催 要 請 を受 けたプロ に将 来 の計 画 や予 算 付 けを確 認 しなければいけ ジェクトについて公 開 討 論 の場 を設 置 する機 能 を ませんから、それが継 続 的 にできているということ 持 ちます。「事 業 廃 止 可 能 段 階 で公 開 討 論 され が、社 会 的 合 意 が とれているとい う ことになるの だ るこ とが 革 新 的 」 とありま すが、 以 前 はこの 段 階 で と思 います。 フランスはプロジェクト単 位 で都 市 計 国 民 に オ ー プ ン に して 議 論 す るとい う こ とは あり ま 画 決 定 があります。ドイツは行 政 裁 判 所 のシステ せんでした。もともとは著 名 な人 たちだけが集 まっ ムが あって 、 計 画 を 確 定 した後 に 、 問 題 が あれば て議 論 す る場 だったわ けですが、それがオープ ン 行 政 裁 判 所 に訴 えることができます。イギリスは審 になったという点 が大 変 重 要 です。委 員 は国 会 問 官 がいて、大 臣 がその答 申 を受 けて決 定 すると 議 員 や 地 方 議 員 、 行 政 裁 判 所 のメンバー、司 法 いうやり方 をしています。国 によって違 いはありま 裁 判 所 のメンバー、環 境 団 体 の代 表 、ユーザー すが、いずれも何 らかの方 法 を持 っています。日 代 表 、有 識 者 ですから、審 議 会 的 なメンバーが公 本 も そ れを持 たな け れば い けな いの だ と思 います 。 開 の 場 で 議 論 す る とい う こ とで す 。 本 部 は 従 来 か 問 題 は、持 てばそれでよいかというと、そうではな ら環 境 省 内 にありました。期 間 は4ヶ月 位 です。討 い と い う こ と で す 。 い ず れの 国 に お い て も 、 ル ー ル 論 の実 績 としては、港 、高 圧 線 、高 速 道 路 、TGV、 があっても先 に進 まないということが起 こっていま 新 空 港 などがあり、国 家 的 な大 きなプロジェクトに す 。 手 前 に戻 ら な い という ル ー ルを 作 っ ても 、 そ こ ついて 議 論 する場 にな っています。2002 年 の 法 で止 まってしまうということがあります。ルールがあ 律 以 降 、大 規 模 事 業 への公 衆 参 加 の拡 大 を目 れば良 いというわけではありません。 うなるようです 的 に、公 聴 会 手 続 きの 改 善 、「プロ ジェクト宣 言 」 4.わが国 におけるPI導 入 時 の課 題 の制 定 などが行 われています。プロジェクト宣 言 と わ が 国 に おけ る問 題 とし て は 、 この よう な もの が いうのは、プロジェクトの重 要 性 や必 要 性 を正 確 8 あ り ま す (12-4) 。 公 共 事 業 へ の 批 判 が あ り ま す 。 決 動 機 は何 かというと、ひとつはマスタープランとして め方 への批 判 もあります。それとの関 係 で参 加 へ の説 得 性 を向 上 させたいということです ( 1 3 - 2 ) 。全 て の要 求 が高 まってきました。公 共 事 業 を取 り巻 くこ がこの計 画 に含 まれていればいいですが、そうで のような環 境 があるわけです。そのような状 況 の中 なければ他 の部 局 や他 の行 政 組 織 の理 解 を得 る で、計 画 の評 価 の体 系 はかなり整 備 されつつあり ことが必 要 になります。その場 合 の説 得 性 を向 上 ます (12-5) 。しかし、これは物 事 を決 める際 の必 要 させるためにも、マスタープランを内 部 で作 って持 条 件 で、 十 分 条 件 では ありませ ん。 私 自 身 は 、 ま っているというのではなく、広 く関 連 する人 たちが だ計 画 の方 向 性 について十 分 アピールできてい 理 解 し 、 了 解 し てく れるよう な形 でア ピールし てい ないのではないかという心 配 を持 っています。例 え く 必 要 が あり ま す 。 納 税 者 や 議 会 に 対 し て は 、 財 ば道 路 について言 えば、いかに道 路 整 備 の方 向 源 確 保 のためのアピールが必 要 です。それから、 にメリハリをつけ、必 要 かつ困 難 な計 画 を推 進 で 計 画 から事 業 への円 滑 な受 け渡 しを期 待 すると きるかということです。日 本 では、まだ計 画 段 階 の いうことがあります。計 画 から事 業 に進 むときに、N 上 流 側 にPIを導 入 し、アピールしていく努 力 が不 IMBYと言 われる総 論 賛 成 各 論 反 対 を起 こさな 足 しているのではないかと思 います。 いよう、マスタープランの段 階 で計 画 の重 要 性 や 事 業 段 階 のPIはずいぶん進 んでいるわけで す 事 業 の必 要 性 をアピールすることが必 要 なわけで が、これからPIの真 価 が問 われそうだと感 じていま す 。 ただ 、 これも 十 分 条 件 で は あり ま せ ん 。 や は り す。東 京 で言 えば外 環 道 も例 外 ではありません。 どうしても反 対 は起 こってきます。 こ れま で は もの を 作 るた め の P I が 中 心 で し た が 、 PIは隠 れみのではないか、形 だけではないか、本 当 にやる気 があるのか、こういうことが言 われるよう これからもそうかというと、残 念 ながらそんなに明 る になると、住 民 の信 頼 を失 うことになってしまいま い 話 ば か り で は あ り ま せ ん (13-3) 。 計 画 を 消 す た め す。社 会 資 本 の整 備 では、「最 初 に計 画 ありき」 の P I、 諦 め さ せ るため のP I 、 あるい は我 慢 を 強 い だ と い うこ と が 浸 透 して いな いこ とが 問 題 だ と 思 い るため の P I 、 そ ん な こ とま で 考 え て い く こ とが 必 要 ます (12-6) になっています。 。い まだに景 気 対 策 として 事 業 をやれば いいという議 論 がありますが、やはり景 気 対 策 が 5.PIを理 解 するための例 え話 先 に 出 てく るよ うな 形 では 国 民 の 理 解 は得 ら れま せん。計 画 を作 る行 為 を国 民 と共 有 するというオ ここでPIを理 解 するための例 え話 を四 つ紹 介 し ープンな取 り組 みが必 要 になっています。従 来 は ます。先 ほども言 いましたように、PIを一 言 で言 う ほとんど行 政 の内 部 検 討 だけで計 画 が作 られて と、「決 める前 に問 う」ということです ( 1 3 - 5 ) 。ですから、 いたわけですが、今 は計 画 を外 部 との共 有 技 術 そこで 何 を 決 め るの か、 目 標 が 共 有 で きていな い にしていくこと、外 部 とコミュニケーションを取 りな とPIとは言 えません。それから、問 うためには情 報 が ら 決 め てい く こ とが 求 め ら れて い ます 。 そ こが 非 が提 供 されていなければいけません。問 いかける 常 に大 きな転 換 点 、相 違 だと思 います。 以 上 は、まず相 手 に理 解 してもらわなければいけ 日 本 で地 域 的 なマスタープランを作 る場 合 、ど ませんから、必 要 な情 報 を提 供 しなければいけな んな点 が検 討 されるべきかというと、ここに挙 げた いということです。次 に、PIが以 下 の どれでもない 五 つではないかと思 います (13-1) 。「地 域 交 通 計 ということを書 いています。これは時 々誤 解 されま 画 」というあいまいな言 葉 を使 っていますが、これ すが、反 対 の人 を賛 成 に変 えて合 意 形 成 するこ は都 市 圏 の交 通 計 画 だ ったり 、県 の 交 通 計 画 だ とがPIの目 的 かと言 うと、一 般 的 な定 義 ではそう ったり、あるいはもっと大 きなブロックの交 通 計 画 ではありません。それを出 したとたんに不 信 感 の だったり、いろいろな単 位 があると思 いますが、い 方 が大 きくなって、PIができなくなってしまいます。 ずれにしても全 国 ひとつではないという意 味 です。 言 い方 を変 えると、全 員 一 致 を目 標 にしているわ そこ では 制 度 、 自 己 責 任 、 計 画 へ の事 業 の 位 置 けではないということです。物 事 は全 員 一 致 で決 付 け 、 推 進 体 制 、 P I 、 そ う い っ たも の が 非 常 に 大 めるわけではありませんから、最 後 まで反 対 の人 切 だということです。 が い て も い い と い う こ とで す 。 最 後 に 、 こ れ は 改 革 すべきところもあると言 われるかもしれませんが、決 そういう計 画 があったとき、そこでPIを実 施 す る 9 度 は全 然 違 います。私 は聞 かなくても分 かってい 定 をパブリックに委 ねるということでもありません。 るというスタンスでは、ニーズとかい離 が出 ている 最 初 の例 え 話 は、「 オレ ンジをめ ぐる問 題 」とい う大 変 有 名 な問 題 です (13-6) 場 合 があるということです。 。 子 供 が 2人 いて、オ レンジが1個 あります。皆 さんがその子 供 たちのお それを表 すのに、この三 角 形 が有 効 です ( 1 4 - 2 ) 。 父 さん、お母 さんだとして、その1個 のオレンジをど 関 心 事 はこの三 つのポイントで表 せます。それは、 うするかという問 題 です。不 公 平 があってはいけま 本 質 的 関 心 、手 続 き的 関 心 、心 理 的 関 心 です。 せんから、半 分 に切 って半 分 ずつあげるというの 住 民 説 明 会 を例 に考 え ると、 住 民 は本 当 に道 路 が正 しい対 応 だと思 います。でも問 題 はそこから を作 ってほしくないのかもしれません。これは本 質 始 まります。本 当 に半 分 でいいのかという議 論 で 的 関 心 です。でも説 明 を受 けている住 民 が、行 政 す。それではだめだというのがPIなんです。ダメな が高 飛 車 に説 明 している、行 政 が自 分 たちを低 く 理 由 は何 かというと、まず半 分 に切 ったお父 さん、 見 ていると感 じたとすれば、それは心 理 的 関 心 に お母 さんを子 供 たちが信 じているかという問 題 が つながります。また、この 説 明 会 の 後 どのように事 あります。お父 さん、お母 さんを信 用 していないな 業 を進 めていくのか分 からない限 り何 とも言 えない ら、自 分 たちで切 らせるという方 法 があります。こ と思 えば、そ れは手 続 き的 関 心 です 。議 論 をして れは「委 ねる」ということです。その時 の問 題 は何 いくとき、相 手 がどこに関 心 を持 っているかが分 か かというと、 委 ねられた子 供 が本 当 に半 分 に切 れ らないと、議 論 がかみ合 わないことになります。 るかどうかということです。こういうルールが合 理 的 先 ほどの例 でも、お父 さんが考 えたのは手 続 き だという提 案 があるかもしれません。それは、2人 です。どうやって決 めたらいいかを一 生 懸 命 考 え のうちどちらかが切 る役 目 、どちらかが取 る役 目 に ました。ところが本 質 的 な関 心 は何 かというと、オ なるというものです。そうすれば切 る方 は一 生 懸 命 レンジジュースが飲 みたいのか、マーマレードが欲 真 ん 中 に な るよ う に 切 り ま す 。 で も 、 そ れで も 問 題 しいのかということでした。それを聞 いていれば手 があるかもしれません。それは、子 供 が本 当 に半 続 きは別 の方 法 があったかもしれません。逆 のケ 分 に 切 る技 術 を 持 って いるかど うか とい うこ とで す。 ースもあります。手 続 きに問 題 があって動 かないと もしその技 術 がなかったら、必 ず取 る方 が得 をす いうケースも往 々にしてあります。例 えば、民 営 化 るということになってしまいます。そうすると、簡 単 委 員 会 で前 提 となる需 要 予 測 が問 題 になりました。 に 委 ね る わ け に は い きま せ ん 。 そ う す る と 、 そ れは 新 聞 報 道 によれば、資 料 に間 違 いがあったけど 二 つに切 るからいけないんで、四 つとか八 つとか、 結 果 には影 響 しないからいいだろうという趣 旨 の たくさんに切 って、そこから取 っていけばいいという 発 言 を事 務 局 がしたということです。そしたら委 員 意 見 が出 るかもしれません。 から総 クレームが出 ました。これは明 らかに手 続 き こ の 話 をす る と 、 そ の よ うな 意 見 が いろ い ろ と 出 的 関 心 です。結 果 が違 わないからいいだろうとい てきます。しかし、今 までの話 で抜 けていること、そ う発 言 は 本 質 的 関 心 に ついて言 お うとし たもので れが 最 初 の 問 題 の 答 で す 。 い く つ に 切 っ て も ダ メ すが、委 員 の論 点 は議 論 の進 め方 、手 続 きにあ なんです。それはあくまでお父 さん、お母 さんが考 ったということです。 えていることでしかないからです。重 要 なのは子 供 次 は タ マ ネ ギ の 話 で す (14-4) 。 日 本 で は あ ま り 使 に問 いかけることです。子 供 に何 が欲 しいのかを いませんが、「タマネギの皮 をむく」という表 現 があ 問 いかけることなんです。太 郎 君 はオレンジを見 ります。これまでは行 政 だけでこれをやってきまし てオレンジジュースが飲 みたくなったんです。次 郎 た。タマネギの皮 をむくと涙 が出 てきますから、あ 君 はオレンジを見 てマーマレードをパンにつけて まり楽 し いこ とでは ありま せん。こ れか らは、それを 食 べたいと思 っているんです (14-1) 。半 分 に切 って 行 政 だけでなく住 民 も一 緒 にやりましょう、それが 渡 してしまったら、ジュースもマーマレードも半 分 し 重 要 になってきていますということです。しかし、タ かできません。その答 を聞 いたら、お父 さん、お母 マネギの皮 をむいて最 後 に何 が出 てくるかというと、 さんは、実 を 使 ってジ ュー スを作 り、 皮 を使 って マ 何 も出 てこないんです。ですから、タマネギの皮 を ーマレードを作 ればいいんです。それでできたジュ むくという行 為 は、それによって何 をするのかという ースとマーマレードを子 供 たちにあげれば、満 足 目 的 が共 有 されていないと、むなしい涙 だけ流 す 10 行 為 になってしまいます。その目 的 を共 有 すると 向 かい合 ってフォーマルにやっていくという形 の説 いうのがPIでは重 要 なことです。 明 会 は、雰 囲 気 も良 くなかったりして、問 題 を起 こ 次 は 最 近 作 っ た例 え 話 です から 、ま だあまり 練 す場 合 が少 なくありません。この写 真 では、事 業 れていないんですが、新 潟 はそばがおいしいとこ に反 対 の人 たちが説 明 用 のスクリーンを幕 で覆 っ ろですから、そば打 ちをPIのプロセスに例 えてみ て し ま っ て い ま す (14-6) 。 こ こ で 説 明 さ れ た と い う 記 ます。そば打 ちは、水 まわしをして、こねて、伸 ば 録 が残 ると、行 政 はわれわれが納 得 していなくて して、たたんで、切 るという手 順 だと思 います。まず も次 に進 んでしまうだろう。だから、今 日 ここで説 水 まわしというのは、情 報 をきれいに行 き渡 らせる 明 されたと思 いたくないということで隠 してしまった ことです。こねるというのは議 論 をするということで んです。これはアリゾナの例 です ( 1 5 - 1 ) 。アメリカでも す。伸 ばす というのは議 論 の結 果 を 広 く浸 透 さ せ 従 来 型 のパブリックヒアリングでは大 変 な批 判 を ていくということです。そして最 後 の切 るというのが 受 け て きま し た 。 そ う い う 経 験 を 経 て 今 の よ う な 形 決 断 をするということです。これもPIのプロセス的 になっているわけです。アリゾナでこれですから、 だということがご理 解 いただけると思 います。その カリフォルニアやボスト ン 、ニューヨー クであれば、 ように順 を追 ってやっていくことが重 要 です。 こんなものでは済 まないと思 います。 最 後 の例 え話 です。そばとエビ天 ぷらがあると こ れ は オ ー プ ン ハ ウ ス で す (15-2,3) 。 住 宅 展 示 場 天 ぷらそばができるわけですが、ここでは天 ぷらに の よ う に な って い て 、 来 た人 が 勝 手 に 入 っ て 様 子 例 えてみます (14-4) 。 P I を 本 当 に 制 度 に で きるか 、 をのぞいていきます。中 には人 がいて、必 要 があ 法 律 的 にきっちりできるか、それは大 きな議 論 で れば説 明 してくれますし、議 論 にも付 き合 ってくれ す。しかし、それを作 らないという選 択 もあります。 ます。このような手 法 もよく使 われます。従 来 のよう PIよりもさらに重 要 なのは計 画 の体 系 、計 画 のプ な公 聴 会 や説 明 会 だけではなく、いろいろ工 夫 を ロセスです。こういうものをきっちりと持 っていること して い るとい うこ とで す 。P Iに つい ては 既 に 数 多 く が必 要 です。行 政 裁 判 所 の制 度 は明 らかにPIで の手 法 が提 案 され、実 際 に行 われています ( 1 5 - 4 ) 。 はありません。計 画 の決 定 行 為 もそうです。PIとい 長 所 や短 所 も分 かっていますので、必 要 に応 じて うのは、かなり自 由 自 在 に行 うものです。例 えば公 調 べいただければと思 います。民 意 を知 るために 聴 会 は1回 しかやらないということではなく、何 回 調 査 を行 うということが一 般 的 に行 われますが、調 やってもいいですし、ショッピングセンターに出 か 査 の手 法 についても同 様 です ( 1 5 - 5 ) 。 けていって説 明 してもいい。これがPIです。どれを ここに示 したのは高 速 道 路 から都 市 部 に入 っ 制 度 にしてどれを任 意 にするかというのは大 きな てくる一 般 道 路 の例 です ( 1 5 - 6 ) 。この道 路 は過 去 に 議 論 ですが、一 般 的 にPIは自 由 にやっていくとい 何 度 も反 対 で止 まっていました。そこで1990年 うものが多 いです。ただ、これはアメリカ流 の考 え 代 半 ばにPIを積 極 的 に取 り入 れ、事 業 化 ができ 方 で、ヨーロッパ流 はかなりきっちりやっています。 た例 で す 。 決 し て 先 進 的 な 地 域 と い う わ け で は あ それをエビ天 ぷらに例 えると、エビが1本 芯 が通 りません。何 をやったかというと、市 民 諮 問 委 員 会 った計 画 の手 続 き、衣 がPIだと言 えると思 いま す。 とパブリックミーティング、これは説 明 会 的 なもので どんなにおいしいエビがあっても、衣 がまずかった すが、この2つを動 かし、代 替 案 をいくつか示 して らおいしい天 ぷらはできません。ですからPIはや アンケート調 査 を実 施 しました。そこで住 民 の賛 はり重 要 です。でも、エビがなければ、おいしいお 成 が多 かった案 を提 示 し、それが通 ってしまった いしくないの問 題 ではなく、そもそも天 ぷらができ というものです ( 1 6 - 1 ) 。よくそんな危 険 なことができた ません。ですから、計 画 の手 続 きの方 がもっと重 と思 いますが、もともと何 回 も止 まっていましたから、 要 だということです。 いちかばちかというところもあったかもしれません。 これが完 成 した道 路 の写 真 です ( 1 6 - 2 , 3 ) 。アメリカに 6.PIの方 法 について は環 境 影 響 評 価 (NEPAプロセス)という、日 本 で PIの方 法 についてはいろいろなところで紹 介 さ いうと都 市 計 画 決 定 と環 境 影 響 評 価 が一 緒 にな れていますので、簡 単 にお話 ししたいと思 います。 ったようなプロセスがあります ( 1 6 - 4 ) 。そのプロセスに いわゆる従 来 の説 明 会 、説 明 する側 とされる側 が オプションとして先 ほどの市 民 諮 問 委 員 会 やパブ 11 リックミーティング、アンケートなどを付 けています。 入 った図 面 が出 てくるわけです。それを行 政 が三 マスタープラン、長 期 構 想 の段 階 でPIを行 った つか四 つの案 に集 約 して提 案 し、その案 を入 れ (16-5) 。 たランチョンマットをたくさん作 って地 域 のレストラ こ れが か な り 話 題 に な り ま し た。 こ こ は ワ ー ク シ ョ ッ ンに配 りまし た ( 1 7 - 3 ) 。 食 事 に行 く とテ ーブルにこの プ、地 区 別 ミーティング、フォーカスグループ、これ ランチョンマットが敷 いてあるというようにしたわけ は特 定 のテーマに関 して集 中 的 に議 論 していくよ です。それでさらに議 論 を進 めて、今 ではこの中 うなものです、それからニュースレター、広 告 、テレ からひとつの案 に決 まったということです。 例 としては、フロリダの交 通 計 画 があります ビ・ラジオ、ビデオなど、いろいろやっています。そ こ こ で は 詳 しく 申 し 上 げま せ んが 、 た く さ んの 方 れか らタ ー ン パイク 展 示 会 、こ れは サ ービ ス エリア 法 、ツールがありますので、調 べていただければい などで行 う展 示 会 です。モールフォーマットという ろいろなものが出 てくると思 います。 のはショッピングセンターに出 かけていって説 明 す るものです。パブリックワークショップ22回 という の 7.PIを実 施 する際 に提 供 する情 報 は、普 通 のワークショップだと思 います。自 由 参 加 情 報 提 供 について、「需 要 予 測 のデータを例 のワークショップかもしれません。次 に合 意 形 成 ワ に」と書 いていますが、心 配 でデータを出 さないと ークショップで計 画 の方 向 性 を決 め、最 後 は州 の P I が で き な い と い う ジ レ ン マ が あ り ま す (17-4) 。 過 去 法 律 に定 められた公 聴 会 で採 択 しました。 に は 、 計 画 プ ロ セ ス ≒需 要 予 測 の プ ロ セ ス と言 っ これも10年 近 く前 ですが、出 てきた意 見 をその てよ かっ た、 すな わち 目 標 を 共 有 で きた時 代 が あ 場 でコンピューターに入 力 してオープンにしていき ったわけですが、今 は施 設 が足 りないから作 って ました。出 されて意 見 をみんなが見 られるように工 くれという時 代 ではありませんから、「計 画 プロセ 夫 するだけで、ものを言 うことに対 する住 民 の満 ス」は「計 画 を策 定 するプロセス」と「需 要 を予 測 し 足 度 が上 がったということです。意 見 をたくさんもら たり分 析 したりするプロセス」の二 つだと考 える必 っても、それを全 部 反 映 させてひとつの案 にする 要 があります ( 1 7 - 5 ) 。需 要 予 測 についても、それによ ことはできません。意 見 をもらうことも重 要 ですが、 っ て 規 模 を 決 め るとい う こ とも あり ます が 、 そ れより それを表 明 していくことも重 要 です。それを踏 まえ は、いかに需 要 を増 やしていくかとか、あるいは混 て決 めていく場 が、ここでは合 意 形 成 ワークショッ んでいるとこ ろでは減 らし ていくか とか 、そのような プです。こういうイベントを行 うことによって、それを 目 的 で行 われるようになってきています。 達 成 しようとしたわけです。 予 測 の 技 術 に つ いて 社 会 が 理 解 して もら う こ と もっと最 近 の例 をご紹 介 します。これも道 路 の も必 要 ですが、今 まではそのための努 力 をあまり 構 想 段 階 になりますが、何 も決 まっていないところ してこなかったように思 います ( 1 7 - 6 ) 。予 測 は万 能 で からルートを決 め、事 業 化 に進 んでいこうとしてい はありませんし、完 全 無 欠 で正 確 なものでもありま る例 です (16-6) 。ここでもやはりコミュニティ諮 問 委 せんが、一 定 の精 度 を持 っています。それが理 解 員 会 、 ワー ク シ ョ ッ プ、 ニュー ス レ タ ー 、 C G を 使 っ されていないように思 います。需 要 予 測 の値 は1 たシミュレーションシステム、コメント、アンケート、ウ 点 ではなく、将 来 の考 え方 によって変 動 し得 る、 ェブ、CD−ROM、ドキュメンタリービデオ、地 区 一 定 の幅 を持 ったものです。それが問 題 を起 こす 別 プ ロジ ェク ト事 務 所 の 開 設 、 そ れからラ ン チョ ン 大 きさであれば対 応 すると明 言 できるかどうかとい マット、子 供 用 ゲームなど、とにかくいろいろとPR うことが、市 民 の感 覚 からすれば重 要 になってき の材 料 を作 っています。例 えば、これは子 供 用 の ています。全 米 的 な反 対 運 動 に発 展 したグレンウ お絵 かき帳 です (17-1) 。 説 明 会 に 子 供 連 れで 来 た ッドキャニオンのプロジェクトでも、需 要 予 測 には と き 、 子 供 が す ぐ 飽 きて し ま っ て 、 お 父 さ ん 、 お 母 幅 がありましたが、そこが議 論 になったわけではあ さんに話 ができないので、子 供 が遊 べるようにお りません ( 1 8 - 1 ) 。議 論 になったのは、もっとシビアな、 絵 か き 帳 を 配 る と い う 、 涙 ぐま し い 努 力 を し て い る 環 境 の 問 題 に ど う 対 応 し て い く か とい う こ と で し た 。 んです。ワークショップでは、一 定 の条 件 を示 して 需 要 予 測 の問 題 は、道 路 だけでなく、空 港 とか鉄 住 民 にたくさんルートを提 案 してもらい、それを全 道 とか、いろいろな分 野 に関 わってきます。予 測 部 入 れた図 面 を作 っています (17-2) 方 法 を 改 善 し て いく こ とは 必 要 で すが 、 その 結 果 。自 分 の案 も 12 度 や手 続 きを考 えていくべきかということ。そして、 の出 し方 、示 し方 についても考 えていく必 要 があ (18-2) 。また、その予 測 方 法 自 体 をいかに評 具 体 的 な方 法 についてはあまり時 間 がありません 価 してもらうかということも考 えていく必 要 がありま でしたが、行 政 側 にこそ動 機 があるということから す。明 らかにそれより優 れた方 法 はないのだという すれば、一 生 懸 命 いろいろな工 夫 をしていく必 要 ことを認 めて もらわなけ ればいけません。そして 決 が あるとい う こ と。 そ し て最 後 の 方 で は 、 本 当 にや め 方 で す が 、 も とも と 問 題 の 本 質 は 決 め 方 で あ っ るとなれば情 報 も出 さなければいけませんから、そ て需 要 予 測 ではありません。従 来 のように、予 測 こをどう考 えたらいいかということについて若 干 お がこうなっているからというだけではものを作 れない 話 ししました。 ります 以 上 で私 の話 を終 わらせていただきます。ご静 わけですから、その決 め方 を変 えていく必 要 があ 聴 をありがとうございました。 るということです。それはPIとも非 常 に密 接 に関 係 しています。繰 り返 すと、予 測 値 と計 画 値 を分 離 して考 える必 要 があるということ ( 1 8 - 3 ) 。 予 測 技 術 を 継 続 的 に改 善 にしていく努 力 が必 要 であるという こ と。 そ れ か ら 、 客 観 的 な 評 価 の 仕 組 み が こ の 分 野 でも必 要 になってくるということです。 最 後 に、コミュニケーションツールと需 要 予 測 が 一 体 化 して 新 たな 段 階 を迎 えてい るという 例 を お 見 せします。これは東 京 ・川 崎 ・横 浜 の25km四 方 の範 囲 で交 通 流 のシミュレーションを行 ったも のです ( 1 8 - 4 ) 。道 路 を1本 1本 コンピューターに入 れ てあり、車 がそれぞれの目 的 地 に向 かって走 って います。交 差 点 が約 1万 ヶ所 、信 号 の現 示 もほと んど正 確 に入 っています。その中 を車 が流 れてい きます。もちろん高 速 道 路 も入 っています。これが あれば道 路 を整 備 したときにどれだけ交 通 の流 れ が変 わるか、あるいは大 気 にどんな影 響 が出 るか、 そういったことが説 明 可 能 になってきます。技 術 的 にはこういうレベルになってきていて、予 測 や分 析 のツールとコミュニケーションやPIのツールが非 常 に接 近 してきています。こういうものも使 いながら、 より分 かりやすく説 明 していくことが必 要 になって きているのだと思 います。 まとめ 今 日 は交 通 分 野 の話 を中 心 にPIの歴 史 を概 観 し、発 端 はどのあたりにあったのか、何 が教 訓 と し て 残 さ れ た の か と い う お 話 を し ま し た (18-5) 。 そ れ から、今 は個 別 事 業 より上 流 側 にPIを入 れ、その 目 的 を達 成 していくことが必 要 になっているという こと。アメリカとヨーロッパでは制 度 が違 い、アメリカ ではかなり自 由 な方 法 でやっているのに対 し、ヨ ーロッパでは比 較 的 きっちりとした仕 組 みでやって いるということ。各 国 がどのようにPIを制 度 化 して いて、日 本 あるいは地 方 は、これからどのように制 13
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