人間と文化 ヨーロッパの歴史と文化前期 第1学年 選択 2単位

人間と文化
ヨーロッパの歴史と文化
[講義] 第1学年 前期 選択 2単位
《担当者名》阿部 和夫
【概 要】
【学習目標】
明治維新以来、我が国は様々な分野でヨーロッパ社会をモデルとして歩んできた。ところが、日本人の価値観、行動原理にヨ
ーロッパ「文明」が多大な影響を与えているにもかかわらず、私たちは彼の国々についてパズルの一片のような断片的な知識し
か持っていないことが多いのである。
この講義では、通時的にヨーロッパ文明圏を捉えることによってばらばらの知識をつなぎ合わせ古代から現代に至る歴史的流
れを理解すること、日本人の精神に潜むヨーロッパ的な要素を解き明かしていくことを目標としている。最終的にはヨーロッパ
の思想・文化・価値観を検証することによって、日本の社会や文化を様々な観点から見直すことができるようになるだろう。な
お、教材には文学作品、音楽、映画を積極的に取り入れている。
【学習内容】
回
テーマ
授業内容および学習課題
担当者
1
ヨーロッパ史概説①
(時代区分、地理的区分、文化的
区分)
授業の目標と全体の流れを把握するために以下の項
目について概説する。
・「古代」「中世」「近世」「近代」「現代」の区
切りと歴史的流れ
・ヨーロッパとはどこからどこまでか
・ヨーロッパの文化と宗教
・日本におけるヨーロッパ文化受容のあり方
・ヨーロッパの思想・文化・価値観を検証して初め
てわかる日本社会
阿部 和夫
2
ヨーロッパ史概説②
(言語的側面)
ヨーロッパを言語学的アプローチで俯瞰する。また
ドイツ語と英語の対応関係に焦点を当て、簡単なド
イツ語を学習する。
・アルファベットの起源
・ヨーロッパ諸言語の分布とその系統図
・超初心者用ドイツ語入門講座
阿部 和夫
3
古代①
第3回以降は第1回で示した時代区分にしたがって、 阿部 和夫
以下の項目を中心に時代順に詳説する。
・都市国家の仕組みと奴隷制
・ギリシア哲学と医学の祖ヒポクラテス
・古代を彩る主な民族…ギリシア人は「哲学の民」、
ユダヤ人は「宗教の民」、ローマ人は「法の民」
4
古代②
・ローマ共和国/帝国の社会組織と科学技術
・ローマ法と裁判制度
・寛容の精神と多文化主義
・多神教から一神教へ…キリスト教の登場
阿部 和夫
5
中世
・ヨーロッパ中世は「暗黒の時代」だったのか?
・キリスト教世界の拡大と神学
・騎士物語と騎士道精神、十字軍遠征の実態
・大学の始まり
・音楽鑑賞「カルミナ・ブラーナ」
阿部 和夫
6
近世①
・ルネサンス…古代ギリシア文化への礼賛と古代ロ
ーマ社会への憧れ、ヒューマニズム
・宗教改革と宗教戦争への道
・ローマ・カトリックとプロテスタントの相違点
阿部 和夫
7
近世②
・大航海時代と激変する経済システム
・革命のオンパレード…科学革命と商業革命、さら
阿部 和夫
回
テーマ
授業内容および学習課題
担当者
に生活革命!?
8
近代①
・市民革命と産業革命
・フランス革命の影響とナショナリズムの高まり
・啓蒙主義と人権宣言
阿部 和夫
9
近代②
・強者の理論…帝国主義のもとで分割される世界
・危機の時代へ向かうヨーロッパ
・世界大戦と大恐慌への道
・他方、ヨーロッパを雛形に近代化を目指す日本
阿部 和夫
10
近代③
・ゲーテの詩とケストナーの詩を比較して見えてく
る社会変化
・クラシック音楽の系譜
・音楽鑑賞(バロック→古典派→ロマン派→印象
派→現代音楽への流れ)
阿部 和夫
11
現代①
・ヨーロッパ世界は地獄を見た…二度の世界大戦と
アウシュビッツ強制収容所の風景
・ユダヤ人詩人パウル・ツェラーンの詩を読む
・二つに引き裂かれたヨーロッパ
阿部 和夫
12
現代②
・ベルリンの壁崩壊と東西冷戦の終結
・映画鑑賞「グッバイ・レーニン」(2003年ド
イツ映画)
阿部 和夫
13
現代③
・引き続き映画鑑賞「グッバイ・レーニン」
・恒久平和への願いとヨーロッパ統合、EUの歴史と
現在
・文化的多元性を目指して
・人権意識の高まりと死刑制度廃止への流れ
阿部 和夫
14
統括①
日本社会と欧米文化を、文化・慣習・価値観など様
々な切り口で徹底比較。共通点と相違点をみつけよ
う。
阿部 和夫
15
統括②
これまでの講義内容を踏まえた上で「ヨーロッパの
科学・思想・文化・価値観を検証して初めてわかる
日本社会」というテーマについて再考する。
阿部 和夫
【評価方法】
出席状況及び学習態度20%・講義内提出課題20%・レポート60%(レポート課題は講義中に指示
する)
【備 考】
教科書 : 必要な資料を講義中に配布
参考書 : その都度講義中に示す。
【学習の準備】
授業終了時に学習テーマを提示するので、次回までに下調べをすること。