平成19年度地盤工学会賞 「研究奨励賞」 Multi-scale Physicochemical Modeling of Soil-Cementitious Material Interaction コンクリートをはじめとするセメント系材料および セメント改良土を含む地盤材料の 材料性能評価を目的とした統合解析システムの開発 コンクリート セメント改良土 地盤 人間の 生活環境 なからい けんいちろう 半井 健一郎 群馬大学 大学院工学研究科 社会環境デザイン工学専攻 コンクリート研究室 セメント硬化体 土粒子内部空隙 熱力学解析システム 10-9 10-6 土粒子間空隙 10-3 10 0 [m] 本研究において提案した地盤材料を包含する熱力学連成解析システム ∂Cbound ∂ S C ( φ ⋅ ⋅ ) + − divJ ion = 0 質量保存則 ion ∂t ∂t カルシウム溶脱モデル 液相 2.0x10 6 Cbound = f (Cion ) 1.5x10 6 セメント硬化体の 固液平衡関係 1.0x10 6 5.0x10 5 0.0 塩化物イオン移動モデル ⎛ φ⋅S ⎞ J ion = −⎜ ⋅ δ ⋅ Dion ⎟ ⋅ ∇ C ion + φ ⋅ S ⋅ u ⋅ C ion ⎝ Ω ⎠ 1 細孔壁面との 相互作用 + + + + + + + 0.1 + 粘土地盤の 線形平衡吸着関係 0 5 10 15 20 25 液相カルシウムイオン濃度 (mmol/l) 塩化物イオン濃度 移動 Ca2+ イオンの移動モデル 収斂度δ 3 固定化カルシウム濃度(mmol/m ) Ca 固液平衡モデル 固定 空隙の収斂 + + + + + + 移動停止 0.01 1E-10 カルシウム量,温度 複合水和発熱モデル 1E-8 1E-6 1E-4 1E-2 [m] 空隙ピーク径 移動経路 空隙の粗大化 空隙構造形成モデル 水分保持移動モデル コンクリート 改良土 未改良地盤 コンクリートやモルタルを対象としていた既存の解析システムに 土粒子間粗大空隙を包含したマルチスケール空隙構造モデル を導入することで,セメント系材料と地盤材料の材料挙動を 統一のフレームで解析可能とした。 独立粗大空隙 土粒子間粗大連結空隙 本研究において提案した解析システムによる計算例 コンクリートとセメント改良土に共通の劣化現象として,セメント硬化体が溶解し, 細孔組織構造が粗大化する,カルシウム溶脱劣化を検討。 (劣化の進展は固相のカルシウムの減少により確認可能) セメント改良土の溶脱劣化解析 固相カルシウム濃度比 3 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 固相カルシウム量(mmol/m ) 地中コンクリート構造物の溶脱劣化解析 地盤との 連成解析 コンクリート 単体解析 基礎フーチング(W/C=50%) 測定値(70年後) 解析値 0.0 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 暴露面からの距離(m) 周辺地盤の存在を考慮することで 溶脱劣化は低減し,実測値と整合する。 2.0x10 6 1.5x10 6 1.0x10 5.0x10 吸着を考慮しない 地盤連成解析 6 5 0.0 0.00 水との 連成解析 固定境界条件 単体解析 吸着を考慮した 地盤連成解析 地盤または水への暴露1年後 セメント改良土 W/C=100% 0.01 0.02 0.03 暴露面からの距離(m) 周辺粘土地盤のイオン吸着効果により 溶脱劣化が大幅に加速される。 地盤とコンクリートの統合解析システムによる一体解析の重要性を確認
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