対 話 の 可 能 性 / 記 録 と 想 起 イ メ ー ジ の 家 を 歩 く / 関 連 上 映 会 12.19 FRI 12.20 SAT 12.21 SUN せんだいメディアテーク 7 階スタジオシアター 料 金|各 回 5 0 0 円 12月19日は1000円でトークイベントを含む、 12月21日の『夏時間の庭』は無料上映 「3がつ11にちをわ す れない ため にセンター」 (「 わ す れ ン!」)の映像アーカイブを活用した展覧会「記録と想起・ イメージの 家を歩く」の 関 連 企 画として、わ す れン!に参 加した映 画 監 督 や 映 像 作 家 による作 品を上 映します。わ す れン!に見られるような記 録 映 像(=ドキュメンタリー) は、記 録であるが ゆえにノンフィクションだと言えるかも しれません。しかし、実 際 に映 像を制 作 する人 たちのな かには劇映画やドラマなどのフィクションとの差はあまり なく、地 続きであると考える人もいるようで す。この 上 映 会で は、わ す れン!の 参 加 者で あり、映 画 監 督 の 濱 口 竜 介が、フィクションとノンフィクションの境目をテーマに選 定した映画作品をあわ せて上映し、記録と創作の関係性 を取り上げます。 会期|12 月 19 日(金)、20 日(土)、21 日(日) 会場|7 階スタジオシアター 料金|各回 500 円(12 月 19 日は 1000 円でトークイベントを含む、12 月 21 日の『夏時間の庭』は無料上映) 12 月 19 日|金| 12月 20日|土| 19:00 ~ 10:00 ~ 12月 21日|日| 『ASAHIZA 人間は、 どこへ行く』 『なみのおと』 「かたログ vol.23」 14:00 ~ ※酒井耕、濱口竜介、藤井光による鼎談イベント 『飯舘村 わたしの記録』 『村に住む人びと』 17:00 ~ 『夜の女たち』○ 濱 口 竜 介と酒 井 耕 が、2011 年よ り 仙 台 に 滞 在 し、 『東北記録映 画 三 部 作 』を 共 同 監 督 する傍ら Ustream 配 信 して い た「 わ す れ ン!」の 番 組。作 品 の 制 作 過 程 で 生まれるふたりの疑問や課題を整 理 するため の 会 議としてゲストを 招くなどしながら実施されてきた。 濱口竜介 『なみのこえ 気仙沼』 13:00 ~ 『なみのこえ 新地町』 16:00 ~ 『夏時間の庭』○ ※無料上映 19:00 ~ 『ポンヌフの恋人』○ 「かたログ 」とは? 10:00 ~ ○は濱口竜介監督による選定作品 酒井耕 1978 年生まれ。映画監督。2008 1979 年 生 ま れ。 映 画 監 督。 年、東京藝術大学大学院映像研 2007 年、東 京 藝 術 大 学 大 学 院 究 科 修 了。 『PASSION』 (2008) 映 像 研 究 科 修 了。作 品 に『ホー がサン・セバスチャン国際映画祭 ム スイート ホーム』(2006)、 『東 にて高い評価を得る。以降、 『親 北記録映画三部作』 (2011密さ』 (2012)、 『東北記録映画三 2013)など。映画制作のほかに 部作』 (2011-2013) 『不気味なも 「 み や ぎ 民 話 の 会 」と伝 承 民 話 のの肌に触れる』 (2013)など意 の映像記録活動も行っている。 欲的に作品を発表している。 藤井光 1976 年生まれ。美術家・映画監 督。パリ第 8 大学美学・芸術第三 博士課程 DEA 卒。主に映像によ る静的な表現によって、現代日本 の社会政治状況を直截的に扱う。 震災後は東北各地で撮影を続け、 映画と美術の境界線を行き来する 活動をしている。 濱口監督 選定作品 『夜の女たち』 監 督|溝 口健二 1948 年 『ポンヌフの恋 人 』 監督|レオス・カラックス 1 9 9 1 年 『 夏 時 間の庭 』 監 督|オリヴィエ・アサイヤス 2 0 0 0 年 作品選定理由 まず「フィクションとノンフィクションの境目を再 検 討 する」性 格を持った今 回 の上映会においていったい何を選ばなかったかを明らかにしておく。第一に「カ メラを睨め付けること(撮影者の存在を暴露する)」ことや「つなぎ違い(編集点 の存在を強調する)」を含むことで、撮影や 編集にそもそも内在するフィクション 性を強調する作家・作品は選ばなかった。端的には小津*1 とゴダール*2 は選ば なかった。また「演じること」を自覚的に主題とする作品群 ─ 例えばシュミット 『書かれた顔』*3 やカサヴェテス『オープニング・ナイト』*4 などは選ばなかった。 今回選んだのは言うなれ ば 素朴な劇映画だ。ここで言う「素朴」さは、役者が 書かれた脚本を記憶/解釈し、ある種のリアリズムに基づいて(自らの演技性の 暴露ではなく、登場人物の「実在」を志向して)演じることから成る映画に宿る。 カメラという圧倒的な記録装置の前で「演じる」という怪しく儚い行為を差し出 す。そんな最も困難な挑戦にお いて、誠実さと、知恵と、勇気(狂気?)によって 類稀な成果を示している3本を選んだ。( 濱口 ) * 1…映画 監 督で脚 本 家の小 津 安 二 郎( 1 9 0 3 -1 9 6 3 )。登 場 する役 者がカメラに向かって話 すなどの撮 影 手 法で知られる。 * 2…フランス・スイスの映 画監督のジャン=リュック・ゴダール( 1 9 3 0 - )。画 面の ゆるや かな連 続 性を排してカットを繋ぎ 合 わ せるジャンプ・ カットなど、特 徴 的な撮影手法を用 いる。 *3…『 書か れ た顔 』はスイスの映 画 監 督でオペラ演 出 家 のダニエル ・シュミット( 1 9 4 1 - 2 0 0 6 )による歌 舞 伎 女 形 坂 東 玉 三 郎のドキュメン タリー映 画 作 品 。伝統的な演目のほかに創作劇を組 み込 み、女を演じるということに迫る。 * 4…『オープニング ・ナイト』はアメリカの 映 画 監 督で 俳 優 のジョン・カサヴェテス( 1 9 2 9 - 1 9 8 9 )による映 画 作 品 。目 の 前でファンの 少 女が 事 故 死したことをきっかけに情 緒 不 安 定となるブロードウェイ女 優の混 乱と、苦 悩の中に立ち現れる演 技を描く。 ※ 凡例(監督・制 作 者 / 製 作年/製作国/作品時間/上映 媒 体 ) 12.20 『なみのおと』 酒井耕・濱口竜介/ 2011 年/日本 _ 気仙沼、南三陸、石巻、東松島、 新地/ 142 分/ Blu-ray 東日本 大 震 災で 津 波 の 甚 大な被 害を受けた東 北 地 方 三 陸 沿 岸 部に暮らす姉 妹 、消 防 団 員 仲 間 、市 議 会 議 員、夫 婦などが、 身 近な者 同 士で、あるい は酒 井・ 濱 口 両 監 督と、互 い に向き 『ASAHIZA 人間は、どこへ行く』 合 いながら震 災 につ いて語り合う様 子を記 録したドキュメン タリー。対 話を通して、それぞれ の被 災 体 験の生々しさと悲 痛 さが 切 実な声で語られる。 12.19 『ASAHIZA 人間は、どこへ行く』 藤井光/ 2013 年/日本 _ 福島/ 74 分/ Blu-ray 1923 年 に福 島 県 南 相 馬 市 に開 設され、約 70 年 に渡り地 域 の 文 化 拠 点として親しまれ た映 画 館「 朝日座 」。その「 朝日座 」にまつ わる地域の人々の記憶を導きだしながら、過疎と震災に見舞われ た町の姿と歴史を見つ めるとともに、劇 場 の 社 会 的な役 割を問 い かける。 『ASAHIZA 人間は、どこへ行く』 『なみのおと』©silent voice 『村に住む人々』 『村に住む人々』 『ポンヌフの恋人』©1991 STUDIOCANAL France2Cinema 岩崎孝正/ 2014 年/日本 _ 福島/ 48 分/ Blu-ray 東 京で 震 災 に遭 遇し、故 郷 の 福 島 県 相 馬 市 磯 部 に戻った 作 者 が、家 族 や 安 否 確 認 で 出 会う友 人 に震 災からのことにつ いて問 いかける。友 人 たちは避 難 所 運 営などに携 わ り、僧 侶 の父 は法 要を執り行 い 続けた。そして 3 年、地 元 の 先 輩 後 輩らにより立ち上 げ られ た伝統の神 楽が 家々を奉納して回る。地域の営 みを見つめた記 録 。 『飯舘村 わたしの記録』 長谷川健一・細谷修平/ 2013 年/日本 _ 飯舘村/ 68 分/ Blu-ray 福 島 県 飯 舘 村 で 酪 農 を 営 んできた 長 谷 川 健 一 が、東 日 本 大 震 災 による原 発 事 故 後、 ホームビデオを手 に取り撮 影した全 村 避 難 となるまで の 4 ヵ月 間 の 記 録。飼 育して い る牛 から搾った大 量 の 牛 乳を自ら捨てる様 子 や、鳴り続けるガイガーカウンターの 音。 故 郷 に 身 を 置 き、当 事 者として、切 々と変 わりゆく風景と日常を見つめる。 『飯館村 わたしの記録』 『夜の女たち』 溝 口 健 二 / 1948 年 / 日 本 / 73 分 / 35mmフィルム 「 パンパン( 売 春 婦 )」たちの 物 語 が、戦 後 の 荒 漠とした 町 並 み に お けるロケーション撮 影と、セットと して作られ た 瓦 礫 の 奇 妙 なマッチ ングのもと展開される。小津安二郎 『 風 の 中 の 雌 鳥 』とともに 日 本 の ネオ・ レアリズモと呼 んで い い だ ろう。たった1ショットで 女 が「 夜 の 女 」へと変 貌 する様 に、溝 口 健 二の真 骨 頂を見る。 (濱口) 『なみのこえ 新地町』©silent voice 『ポンヌフの恋人』 レオス・カラックス/ 1991 年/フラン ス/ 125 分/ 35mmフィルム 『なみのこえ 気仙沼』 『なみのこえ 新地町』 酒井耕・濱口竜介/ 2013 年/日本 _ 気仙 沼、新地/ 109 分、103 分/ Blu-ray 主 演ドニ・ラヴァンの役 名から「ア レックス 三 部 作 」に 数 えら れ る1 本 。演 技 の 本 質 は話 すことでも動 くことで もなく「 別 の 名 を 与 えら れること」に存 する。監 督カラック ス の 別 人 格とも言 える「 ア レック ス 」はしかし、ラヴァンともカラッ クスとも違う地 点 に 誕 生 する。そ こをひとまずフィクションと呼 ぶこ とができるだろう。 (濱口) 『な みの おと』の 続 編 。震 災 から約 1 年 後、 「 聞く相 手 を 被 災 の 過 酷さや 体 験 談 の 鮮 烈さで 選 ばな い 」ことを 踏まえ、宮 城 県 気 仙 沼 市と福 島 県 新 地 町 に暮らす 人 々に語り手を絞って 撮 影され た。対 話で は、被 災 体 験 の ほか にも生 活 や 生 業 、家 族 や 友 人と の 関 わりなどにつ い て語られ 、それ ら の 言 葉 から は 個 々の 人 生 が 滲 み 出る。 『なみのこえ 気仙沼』©silent voice 『夏時間の庭』 12.21 オリヴィエ・アサイヤス/ 2000 年/フランス/ 102 分/ DVD 『夜の女たち』©1948 松竹株式会社 オルセー美術館 20 周年を機に制作された本作は 「 本 物 」の 絵 画 や 調 度 品を扱う「 寄 贈 」を巡る物 語だ。モノの移動を描くことで必然的に役者から 動きを引き出す。その点では成瀬巳喜男的である が、流麗な撮影はジャン・ルノワールを想起させ る。エリック・ゴーティエの撮影技術が自由な演 技と拮抗し、説話の現在形を更新する。 (濱口) 『夏時間の庭』©2008 MK2 SA-France 3 cinema 対話の可 能性 人と人の あいだには 、性と性の あいだには 、人と人以 外の生きもののあいだ には、どれほど声 を、身ぶりを 尽くしても、伝わらな いことがある。思いとは 違うことが 伝 わってしまうこともある。 〈 対 話 〉は、そのように共 通の足 場をもたな い者のあい だで、たが い に分かりあ おうとして試 みられる。そのとき、理解しあえるはずだという前提に 立てば、理解しえず に終わった とき、 「ともにいら れる」 場所は閉じられる。けれども、理解しえなくてあたりまえだという前提に立 てば、 「ともにいら れる」場所はもうすこし開か れる。 対 話は、他 人と同じ考 え、同じ気 持ちになるために試 みられるの ではない。語りあえば 語りあうほど 他 人と自 分との 違 い がより 微 細に分かるようになること、それ が 対 話だ。 「 分かりあえない」 「 伝 わらない」という戸 惑いや 痛 みから出 発すること、それは、不 可解なもの に身を開くことなのだ 。 「 何かを学 びましたな 。それは最 初はいつも、何かを失ったような気 が するもので す」 ( バーナード ・ショー)。何かを失ったような 気になるの は、対 話の功 績である。他 者をまなざ すコンテクストが 対 話のなかで 広がったからだ。対 話は、他 者へのわたしのまな ざし、ひいてはわたしの わたし自身 へのまなざしを開いてくれる。 対 話は、生きた人 や 生きものの あいだで試 みられるだ けではない 。あの大 震 災の後、わ たしたちが 対 話をもっとも強く願った の は、震 災で 亡くした家 族 や 友 や 動 物たち、さらには、つ いに “ 損なわ れ た自 然 ” をわ たしたちが 手 渡 すほかなくなってしまった未 来の世代で あろう。そういう他者たちもまた、不 在の、しかし確か な、対話の 相手方としてある。 せんだいメディアテーク 館長 鷲田 清一 お問い合わせ せんだいメディアテークへのアクセス せんだいメディアテーク 企画・活動支援 室 〒 980-0821 宮城 県仙台市青葉区 春日町 2-1 電話 022-713-4483 FAX 022-713-4482 e-mail [email protected] y.sendai.jp 地下鉄 仙台駅から泉中 央行きで 3 分、 勾当台公園駅下 車。 「公園 2」 出口から徒歩 6 分。 バス 仙台市営バス仙 台駅前 -29 番 (荘内銀行前)のりばから 「定禅寺通市役 所前経由交通局 大学病院」行きで約 10 分、 メディアテーク前 下車。 徒歩 仙台駅より約 20 分。 主催 助成 せんだいメディアテーク (公益財団法人 仙台市市民文化 事業団) 一般財団法人 地域創造 タクシー 仙台駅西口タクシー乗り場から約 7 分。 裏面には対話の可能性「考えるテーブル プロジェクト図鑑」を掲載しています この用紙はリサイクルできます 自動車 東北自動車道仙 台宮城 IC から約 10 分。 航空機 仙台空港アクセス鉄道・仙台空 港駅 から仙台駅まで 約 25 分。
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