第10講:写真・映像・音声資料とドキュメンテーション

理系のための博物館資料論6月13日
第10講:写真・映像・音声資料とドキュメンテーション
1.写真と映像の資料とは
保存すべき内容は「写されたものやこと」である。しかし、現実に保存対象となるのは記録媒体である。
1)メディア media(媒体)とフォーマット format(規格、判型)
写真:フィルム、プリント、印刷物、CD/DVD、デジタルデータ
1970年以前だと、ガラス乾板、19世紀だとさらにさまざまなメディアがある:湿板、銀板
フィルムにはフォーマット format(規格)がある:35、645、6 7、6 9、4 5、8 10、その他
映像:デジタルデータ、BD (Blu-Ray)/ DVD、レーザーディスク(LD)、VHD、ビデオ、フィルム
さらにビデオとフィルムはいろいろなフォーマット format(規格、判型)がある
映像フィルム:8、13、16、24、35、70、90
さらに1秒コマ数の種別がある
ビデオテープ:DV、miniDV、8ミリ、Beta(1/2、3/4、1inch)、VHS、U-matic
2.保存上の問題
1)保存媒体の寿命
・さらに、保存媒体にも寿命がある。デジタルデータそのものは経年劣化しないが、保存媒体であるDVDの
寿命は最短20年といわれる、製造起源の個体差や保存状態による差が生まれる
2)再生装置の消滅
・フィルムやプリントは再生装置がなくとも見ることができる。しかし、再生装置が必要な記録媒体の場合、
アナログ方式でもデジタルデータでも装置の維持も同時に行なう必要がある。
・すでに再生装置が存在しない/ほとんどない記録媒体がある。それを見越して現用の記録媒体に転写する
ことも保存業務として必要となる。
3)写真の保存の実際
とても貴重な写真、人類にとっての共通財産というような写真(→たとえば?)の保存方法を見てみよう
・光がないこと=暗所
・温度が低いこと、場合によっては冷凍庫
・閲覧用の資料、印刷用の資料など何種類かの利用目的の資料を作成
3.正統性 legitimacy と本物性 authenticty
1)記録は誰のものか
個人情報:医療カルテは誰のもの
先住民の記録は誰のもの
著作権
所有権
*著作権と所有権については視聴覚教育メディア論で、記録の所有者については資料論最終回で詳しく学ぶ
2)なにが本物か、一次資料と二次資料
・記録(著作性が低いもの、最たる者は機械撮影・自動撮影)は二次資料という扱いがふつう
しかし、唯一性が高いと一次資料として扱われる
・作品(芸術写真、個人的な写真)ならば作者によるプリントが本物(という場合がふつう)
なのでプリントは一次資料
一次資料:元フィルム、オリジナルプリント
二次資料:デュープ(複写フィルム)、販売写真、絵はがき、出版物、印刷物
その他:二次加工作品(コラージュ、パロディ)
しかし、著作性の高い絵はがきであれば、作品=一次資料といえるかも知れない
*写真や映像は複製可能なので、実物と複製の定義はじつは難しい
**収蔵者=原版所有者/著作権者とは限らず、別に所有者や著作権者が存在することも多い
4.属性情報(メタデータ)
メタデータ(属性情報)とは「撮影データ」に媒体情報や収蔵情報を加えたもの
撮影情報は、デジタルカメラでは自動記録される
1)撮影情報:撮影者、撮影場所、撮影年月日、技術情報(シャッタースピード、絞りほか)
2)媒体情報:上記参照
3)収蔵情報:アルバム名、整理番号、形状、所有者など
4)著作者情報:著作権者、制作者
5)内容情報:被写体の記載(=文章化:ドキュメンテーション)、キーワード
*メタデータは資料カードやデータベースの記載事項であり、展示ラベルに利用可能
5.写真・映像資料の記載:ドキュメンテーション
ドキュメンテーション documentation とはドキュメントすること、つまり文章化=文章記録作成のこと
写真や絵画、映像資料、音声資料、無形文化財などを保存するには文章化が欠かせない。
データを文章化することが、資料の整理保管、研究、展示の基礎である。
メタデータの記載は例示する、データの文章化は実際にやってみよう。
110613博物館情報論レポート3
学科
学籍番号
氏名
課題:NHK「北海道映像の20世紀」(一部)について下記に従い内容を記載しなさい。
1)ふさわしいタイトルを与える
2)シーン毎に小見出しを付け、映像内容を描写する
シーン1
3)ナレーションを利用して内容を要約する