情報番号:11741601 テーマ:会社で使う携帯電話の管理の仕方と社内

情報番号:11741601
テーマ:会社で使う携帯電話の管理の仕方と社内規定集
編著者:社会保険労務士 江越洋二
経費の負担、利用マナーはどうする?
近年の急速な携帯電話の普及状況を見れば、連絡手段としての携帯電話は市民権
を得たと考えていいだろう。
企業活動においても、携帯電話による業務効率化・スピード対応化などを目的と
して社内連絡や顧客・取引先との連絡手段に活用されている。
さらに、携帯パソコンなどのモバイル機器と合わせて活用すれば、電子メール、
デジタルカメラの画像データ、その他電子データのやり取りなど、会社の外でも社
内にいる場合とかわらない情報伝達が可能となってきている。
携帯電話を利用したビジネスプロセスは、これからも進化しつづけるだろう。携
帯電話の利用量もそれに合わせて、増大化し、かつ多様化することは間違いない。
ここでは、携帯電話を業務に利用する場合のルールや留意点について解説する。
加えて社内規程の例を示しているので、会社で携帯電話を正しく利用するために役
立ててもらいたい。また今回は、携帯電話の利用法として最も多い「通話」を前提
に説明しているので、モバイル機器など電子機器の利用に関する解説はまた別の機
会に譲りたい。
パート1
利用目的の明確化
目的に合わせてコストを最小限に
会社が携帯電話を業務に利用しようとする場合には、単に便利そうだから、他社
も利用しているから、どこでもいつでも社員と連絡をとることができるからなど、
安易な理由で導入してはいけない。携帯電話にはメリットもある反面、デメリット
(リスク)もあるからだ。それは、
①通話料が一般電話と比べて高い
②私用電話の対策が必要になる
③常時もたせる場合には社員の労働時間管理(時間外労働など)の取決めが必要に
なる
などが考えられる。
*著作権法等に基づき、この情報の無断コピーを禁じます.
(株)ジェイ・アール・エス(略称JRS)
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特に①については、携帯電話各社が行なっている通話料金の相次ぐ値下げにより、
かなり安くなったという印象がある。だが、宣伝されている料金はあくまで携帯電
話同士で電話した際の料金なのだ。それに対して携帯電話から一般電話へ、あるい
は一般電話から携帯電話へかけた場合の料金はほどんど安くなっていない。
これが会社の通信費にどう影響するかと考えると、携帯電話通話料に加えて携帯
電話にかける一般電話通話料が増加することになり、大変なコストアップが見込ま
れる。そのため、なぜ必要なのか、誰が必要なのか、どのように業務に役立てるの
か、または役立つのかといったことを社内で検討の上で導入しなければ、無駄な費
用を負担することになってしまうのだ。
携帯電話を利用する目的としては、大きく3つに分けることができる。
目的①
社内の業務連絡
外出している社員と常時連絡をとることにより、会社側はタイムリーに指示をす
ることができ、社員は必要なときに指示を仰ぐことができる。また、顧客に対して
スピード対応が求められる場合には、携帯電話ほど有効なツールは他にない。
対象者は外出が多い社員であり、代表的な例は営業マンであろう。その他にも配
送担当者や顧客先で仕事をする、機械などのメインテナンス担当者や技術者などが
考えられる。
この場合の利用方法としては、携帯電話への連絡や、携帯電話からの連絡が頻繁
に行なわれることになる。ただ、通話内容は簡単な指示・命令・報告になるので、
1通話当たりの通話時間はさほど長くないだろう。それでも電話をかける側には、
常にコストを意識させるようにしなければならない。
契約する料金プランとしては、基本料金に一定時間の通話料が含まれるものにす
る。
利用時間がまったく予測できない場合には、導入後3カ月から半年の通話時間の
統計を取り、1番効率的な料金プランを選択することになる。
目的②
顧客への対応
顧客対応とは、社員が顧客への連絡および顧客からの連絡用に利用することであ
る。小規模事業所などでは、事務所の電話を介することなく、携帯電話で顧客とや
り取りをしているケースもある。
費用の割高さや顧客に割高な通話料を負担させること、加えてまだまだ通話品質
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(雑音がある、聞き取りづらい)に難点があることを割り引いても、携帯電話の利
用価値がある場合には導入すべきであろう。
利用方法としては、顧客との連絡用ということになる。職種や業務内容によって
は顧客満足度を上げるために、比較的長時間の通話が必要になる場合があるだろう。
顧客に通話料を負担させないためには、かけ直すことで通話料を会社負担とし、無
用なコストを顧客側に負わせない配慮も必要になる。また、会社負担にすることで、
顧客満足を得るのに十分な時間を通話できることにもなる。当然、社内連絡用にも
利用することになるので、かなりの利用頻度と通話時間になる。
契約する料金プランとしては、長時間の通話料が含まれるものを選択することに
なるだろう。
目的③
緊急時対応への備え
内外関係者・関係機関に生じるリスク(事故、事件、緊急のクレーム処理など)
対応のため(リスクマネジメントのため)、役員・管理職・総務担当者などに常時
携帯させておく場合がある。基本的には、所定勤務時間外や休日も携帯させておく
ことになるだろう。ただし、利用頻度は少ないと考えられる。
この場合の利用方法としては、基本的には受信専用であり、受信することではじ
めて電話をするという行為が発生することになる。
この利用目的では、頻繁な利用はあまり考えられないので、契約する料金プラン
としては、最も安価なものを選択するべきであろう。
パート2
私用電話の防止策
利用コストを意識させる
対策が必要
業務で利用することになるので、会社が購入・貸与し、かつその費用を会社が負
担することは自明である。しかしながら、携帯電話は周りの目と耳が届かない社外
で利用するものであるため、常に私用電話のリスクを背負うことは避けられない。
ここでは、社員の私用電話に対する対策と発生した場合の費用負担をどのように
考えるかについて解説する。
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対応①
私用電話を防ぐルールづくり
基本的なスタンスとしては、社員のモラルにまかせることである。携帯電話に限
らず、社内電話を使った私用電話や支給されているテレホンカードでの私用電話な
ど、私用電話のリスクは他にもあるからだ。ただ、携帯電話はどこでも自由な時間
に利用できるところが他の場合と異なる。
そこで、携帯電話で私用電話をしないこと(またはなくすこと)を第1目的とし
て対策をとるべきだ。以下に4つの使用電話防止対策をあげる。
①社員のモラルを重視する
基本的には、私用電話については自己申告とし、その通話料を個人負担とする。
②通話利用明細書を取り寄せる
取り寄せた明細書の活用法としては以下の4つがある。
・いつでもチェックできるという私用電話に対する牽制の意味合いをもたせる
実際には明らかに通話料金が高い場合を除き、チェックしない。
・通話利用明細書を社員に渡し、私用電話分を申告させる
ただし、安易なやり方をとれば、私用電話を認めることになるので注意を要する。
・会社で通話利用明細書をチェックし、私用電話については個人負担とする
これはあらかじめ業務で利用する電話番号がわかっている場合には可能である。
しかし、毎月やるとすれば、そのための管理コストが余分にかかってしまう。
・ランダムにチェックし、私用電話であることがわかれば、そのたびに注意をする
その注意が重なれば、訓戒、減給などの社内処分をする。
③利用料金に制限を設ける
基本料金に一定の通話時間が含まれている契約をしている場合には、その範囲内
で利用する場合には不問とし、その契約時間を超えて通話した場合にのみその理由
を尋ねる。
その際に利用料金明細書があれば、私用電話の有無を簡単にチェックできる。
緊急時対応の場合などで受信専用の使い方をしている場合には、通話料が発生し
た時点で、私用電話なのかどうかは容易に判断がつくであろう。
④就業後や休日の持ち帰り禁止
会社から業務のために貸与しているのであるから、業務外の時間は会社に返却す
るという当たり前のことを励行させることである。これにより、私用電話をする機
会を制限することはできる。
しかし、直行直帰の営業マン、緊急時対応の役員・社員、顧客との連絡に使って
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いる場合など、持ち帰り禁止をすることができないこともある。
対応②
私用電話は個人で負担させる
会社貸与の携帯電話であり、業務上利用するものであるので、やむを得ず私用で
通話した場合には個人負担の扱いとすべきである。
ただし、個人負担しさえすれば私用電話として自由に使ってよい、ということで
は個人負担をさせる意味がない。なぜなら毎月個人負担の計算をし、社員から徴収
する管理コストはまったく無駄なものだからだ。そこで実際の費用負担について考
えられる方法を3つ提案する。
①申告制にし、個人負担とする
②通話利用明細書にもとづき個人負担分を算出する
利用者が通話利用明細書をチェックし、個人負担分を自己申告するのが最も簡単
な方法である。会社が管理する必要があると考える場合は、部門の管理担当者か直
属の管理職が通話利用明細書をチェックし、個人負担分を算出するということにな
る。
③基本料金に含まれている一定の通話時間を超えた分のみ個人負担の有無を検討す
る
この場合、基本料金に含まれている通話時間を超えた理由や原因を直属の管理職
が事前に認識し把握していた場合、個人負担は発生しない。
対応③
破損、紛失した場合の費用負担
携帯電話は、落としたり、雨に濡れたりすれば故障する可能性が高い精密機器で
ある。また常時、持ち歩くものであるために、紛失する可能性も高い。
会社が貸与している場合、規定にもよるが、一般的には他の貸与している備品(パ
ソコン、事務用品など)と同じ扱いになる。法律上は、会社から貸与されたものに
関しては、その貸与された社員が責任をもって管理しなければならない。したがっ
て、故意や過失により破損、紛失となった場合には、社員に損害賠償義務が生じ、
社員に弁償させることができる。
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パート3
労働時間管理
携帯電話で必要となる労働時間管理
携帯電話を利用させることにより、労働時間管理に注意が必要となってくる。そ
の対象となる社員は労働時間管理が労働基準法で義務づけられている非管理職であ
る。役員はもとより、管理職についてはこの労働時間管理の対象外と考えてよい。
また、管理の対象となる時間帯は、所定勤務時間外と休日ということになる。
ケース①
勤務時間外での対応
①勤務時間外または休日に呼び出しを受け、会社や顧客先で仕事をした場合
仕事を実際にした時間について、時間外勤務手当または休日勤務手当を支払わな
ければならない。その場合には、勤務先あるいは顧客先までの往復時間をどうする
かが問題になる。
この移動時間は、実際に仕事をしているわけではないので通勤時間とみなすこと
ができる。つまり、この部分については時間外勤務手当も休日勤務手当も支払う法
律上の義務はないといえる。
しかし、時間外勤務で呼び出されたのであれば、1日で2回の通勤をし、また休
日であれば、貴重な休日の時間を賃金にならない通勤で無駄にしてしまうことにな
る。このように仕事をする社員に対して得にならない(悪く言えば不利益な)労働
時間の算定では、いい仕事をしようとする意欲はわきにくいだろう。
通勤時間といえども、労働時間として時間外勤務手当か休日勤務手当の算定に加
えるとか、携帯電話手当などの名目である程度補償することを考えるべきだろう。
②勤務時間外または休日に顧客や取引先から電話を受け、受け答えや自宅での作業
をした場合
①と同様に仕事を実際にした時間について、時間外勤務手当または休日勤務手当
を支払わなければならない。会社としては常時携帯電話を持たせていること自体が、
時間外勤務や休日勤務の指示を自動的に認めたことになるために、その社員からの
申請に基づき、時間外勤務手当・休日勤務手当を支払うことになる。
なお、電話の応対時間や自宅での作業量はさほど多くないと予想されるのであれ
ば、携帯電話手当などの名目の手当を支給することで、時間外勤務手当・休日勤務
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手当の支給に替えることができる。
③会社が携帯電話を通して常時待機を指示している場合
常に携帯電話を持ち歩き、連絡が入れば対応をすることが指示されている場合、
精神的な負担も生じてくる。社員の立場からはいつどこで呼び出されるかわからな
いこと、呼び出しがあれば仕事をしなければならないということなど、実際に緊急
の仕事をすることに加えた重圧がある。
仕事をしたのであれば、時間外勤務手当・休日勤務手当を払うことで清算するこ
とはできる。だが、何もなかった場合には、社員に精神的な疲労のみが残ることに
なるだろう。
常時携帯電話を持たせていることが会社にメリットを与えるのであれば、前述し
た携帯電話手当に待機部分の手当を加味する、または待機手当を設定し支給するこ
とが考えられる。
携帯電話の常時携帯を指示していなくても、以下のようなケースでは会社が何ら
かの対策をする必要がある。
●勤務時間内のみ携帯電話
利用を指示している場合
原則として、会社は勤務時間外や休日の労働を認めていないことになる。よって
顧客や取引先から電話があって受け答えをしたとしても、それは本人の個人的な対
応であり、積極的に時間外勤務手当や休日勤務手当などを支払う必要はない。ただ
し、顧客や取引先からの要望や依頼によりやむを得ず仕事をした場合には、個人的
な対応とはいえなくなる。この場合は時間外勤務手当や休日勤務手当を支払うこと
になる。
●当番制で勤務時間外や休日に携帯電話を持たせ、待機させる場合
夜間や休日に当直者を置き、緊急時には当番の社員へ連絡を取れるように、また
は直接当番の社員へ電話が行くようにしている会社がある。こうした場合にもこれ
までと同様に時間外勤務手当・休日勤務手当を支払うのか、待機手当にその労働時
間見合い分を含めて支払うのかを決めておく必要がある。なお、待機手当の設定に
あたっては、当番1回あたりの金額を決めることになる。
ケース②
雇用形態に応じた対応
●みなし労働時間制の場合
みなし労働時間制とは、営業社員や外勤社員など事業場外で仕事をする社員で、
その労働時間を算定することがむずかしい場合には、一定の労働時間を労働したも
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のとみなす制度である。つまり、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた時間
数を労働したとみなすことができるということになる。
その方法としては、所定労働時間をみなし労働時間とすることもできるし、毎月
20時間の時間外勤務(休日勤務は含まない)をみなし労働時間とすることもできる
(この場合には労使協定が必要)。
前者の場合には時間外勤務手当を支払う必要はなく、後者の場合には、毎月20時
間の時間外勤務手当を定額で支払うことになる。
では、携帯電話を持たせた場合に、みなし労働時間との関係はどうなるのか。
みなし労働時間制は、事業場外で業務に従事し、かつ利用者の具体的な指揮命令
が及ばず、労働時間を算定することが困難であることを条件としている。その条件
を満たす営業社員や外勤社員であれば、時間外勤務をしたとしてもみなし労働時間
に含まれていることになる。つまり、時間外割増手当の支給は必要ない。
逆に、携帯電話を利用して、終業時間の報告をさせたり、時間外勤務の管理をし
たりするのであれば、携帯電話により使用者の指揮命令が及ぶことになり、みなし
労働時間制の対象者ではなくなってしまう。
結果として、実際の時間外勤務時間数の手当を支払わなければならなくなる。
●休憩時間の扱い
原則として、休憩時間は一斉に与えることになっている。しかし、労使協定を結
ぶことにより、一斉休憩を与えないことも可能である。必要であれば、労使協定を
結び、例えば11時30分∼13時30分の間に1時間の休憩をとることと定めることで、
休憩時間中の携帯電話による労働時間の問題は解決できる。
●フレックスタイム制の場合
フレックスタイム制は、始業・終業時刻が本人に任されているが、労働時間の管
理はしなければならない。携帯電話で仕事した時間を清算期間の労働時間として計
算することが必要である。
●裁量労働制の場合
裁量労働制は、みなし労働時間制のように労働時間を算定しにくいものではない。
業務の性質や特性からその遂行方法(時間の配分など)を社員の裁量に任せるため
のものであり対象者が制限されている。
現行労働基準法では、研究業務、システムエンジニア業務、新聞・書籍他メディ
アの取材・編集業務、デザイナー業務、放送番組・映画のプロデューサーやディレ
クター業務などがあり、平成12年4月からは本社の企画部門の労働者なども対象に
なる。この対象者であれば、携帯電話を持っていたとしても特段の扱いを考える必
要はない。
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パート4
利用マナー
ルールを定めてマナーを徹底!
業務で利用する以上、会話は仕事上の内容であり、その会話の中には顧客や取引
先の名称が出てきたり、あるいは企業秘密の内容であったりする。また、車の運転
中の携帯電話利用は、重大な交通事故になる可能性もある。
一定の利用マナーをルール化し、周知徹底させることが必要になってくる。
●車の運転中
車の運転中に事故が生じた場合には、社員本人の傷害はもちろん第3者への災害
にもつながるものであり、法律上の使用者責任を問われかねない。
携帯電話の利用ルールについては、十分に周知し、徹底させることが必要になる。
マナー例としては以下のようなものがあげられる。
・運転中は、電源を切る、または留守番電話への切り替えにより受信しないこと。
・運転中に連絡が入ったことがわかった場合には受信せずに、車を安全な場所に停
止してから、発信を行なうこと。
・運転が業務時間の大半を占める者は、ハンズフリー通話ができる機器を備えるこ
と。
●会社内での利用
携帯電話は、外出時に必要となるものであり、社内では利用しないことを徹底し
ておく。
マナー例として以下のようなものがあげられる。
・会社内では受信専用とし、社内電話を利用すること。なお、社内から携帯電話に
かかってきた場合には、内線電話を利用する。
・着席中は充電を行なうこと。
・直行直帰以外は、必ず所定の場所に保管し、自宅へ持ち帰らないこと。
●外出先での利用
外出先での利用禁止機関などを周知させ、不用意な場所で利用することにより、
会社名や内容が漏れないような歯止めをしておく必要がある。
マナー例としては以下のようなものがある。
・病院その他公共機関や航空機での利用禁止場所では、電源を切ること
・会議、講習会中は、電源を切るか、呼び出し音が鳴らない設定にすること
・客先訪問中は、電源を切るか、呼び出し音が鳴らない設定にすること
・列車の中ではデッキで、ホテルではロビーなど他人の迷惑にならない場所で利用
すること
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・緊急の場合でも、機密保持が優先する内容の通話はしないこと
・通話中は、大きな声になりすぎないよう注意すること
●その他の留意事項
これまであげてきた他にも、携帯だけではなく一般的にもとめられる以下のよう
なマナー例があげられる。
・用件は簡潔に、会話は短く済ませること
・通話内容は最小限にとどめ、長くなる場合には公衆電話を利用すること
・携帯電話番号は、必要最小限の関係者のみ知らせておくこと
・利用・保管に関しては、善良なる管理者の注意義務をもって管理すること
会社が社員個人で所有している
携帯電話を業務上にも利用するこ
とを認めた場合、当然費用負担の
問題が生じてくる。
会社が費用を負担する方法とし
ては、以下の三つの方法が考えら
れる。
①業務上必要な通話料を
定額で毎月支給する
もしも会社で社員に貸
与している携帯電話があ
れば、そこで使われてい
る費用を基に金額を設定
できる。各社員が、その
範囲内で通話時間の管理
をするように指導すれば
よいだろう。
例えば、月額三〇〇〇
円を月二時間の通話料金
相当額として支給すると
いうケースが考えられる。
②実費で精算する
通話利用明細書により業務で利
用した通話料を申告させる。
例えば、通話料実費+通話利用
明細代+基本料金︵一定の通話料
金が含まれる場合にはその通話料
金を除く基本料金︶の五〇%の合
計額を支給するといった方法だ。
③基本料金の一定率を支給する
一定の通話料を含んだ契約をし
ている場合には、その基本料金の一
定率を支給することもできる。
負担方法は、会社が積
極的に個人所有の携帯電
話を利用しているのか、
あるいは社員からの希望
に応じて認めているかに
よる。
会社が積極的に、社員
の所有する携帯電話を活
用したいのであれば、社
員が貸与を希望しないよ
うな有利な条件︵ただし
貸与の場合より低コスト
を維持︶を提示すること
になるし、社員の希望に
応じて会社が認めるので
あれば、実費相当額でよいのでは
ないか。要は、それなりのコスト︵会
社支払額︶を負担しても、会社の生
産性や収益に貢献するのであれば、
そのコストは負担する価値がある
ということになる。
社員所有の携帯電話を
業務に利用する場合の
注 意 点
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図表1
会社名義の携帯電話を貸与する場合の社内規定例
(目標)
第〇条
この規定は、社員が業務を効率的に推進するために、会社が携帯電話を社員に貸与する場合
の取扱いについて定めたものである。
(利用対象者)
第〇条 所属長が対象社員と利用目的を記入した申請書を会社へ提出し、会社が必要と定めた場合に
は、携帯電話を貸与する。
(私用電話)
第〇条 やむを得ず、私用で携帯電話を利用した場合にはその料金は個人負担とする。頻繁に私用電
話を繰り返す社員へは、携帯電話の使用を認めない。
また、悪質あるいは意図的に携帯電話を私用に利用した場合は、懲戒の対象とする。
(持ち帰り禁止)
第〇条 直行直帰を除き、携帯電話を自宅に持ち帰らないこと。なお、常時携帯することが会社から
指示されている場合を除く。
(破損、紛失等)
第〇条 利用者の不注意によって、携帯電話を破損、または紛失した場合には、会社は利用者に対し
てその実費を請求することがある。
(転貸の禁止)
第〇条 利用対象者は他の社員や第三者に、貸与した携帯電話を使用させたり、転貸してはならない。
図表2
社員名義の携帯電話を利用する場合の社内規定例
(目的)
第〇条 この規定は、業務を効率的に推進するために、 会社が社員名義の携帯電話を利用する場合の
取扱いについて定めたものである。
(利用対象者)
第〇条 必要な場合は、所属長へ利用目的他、必要事項を記入した申請書を提出し、所属長が認め
た場合のみ、利用することができる。利用対象のガイドラインは次の通りとする。
・社外での勤務が大半を占めること。
・社内連絡を取り合う必要がある業務であること
・携帯電話の利用が、業務の効率化や顧客満足度の向上につながること
(携帯電話手当)
第〇条 図表3に記載
(破損・紛失等)
第〇条 不注意により携帯電話を破損または紛失しないよう、十分な管理をすること。
2 破損や紛失が避けられない業務上の事由がある場合を除き、会社は破損・紛失につき免責
される。なお、紛失・破損した場合には、速やかに会社に報告すること。
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図表3
第〇条
時間外勤務・休日勤務で携帯を利用する場合の社内規定例
常時携帯することを会社から指示されている社員は、携帯電話により顧客・取引先などから
呼び出しを受け、時間外または休日に労働した場合には、翌日以降の勤務日において、作業
内容・時間を上司に申し出、上司の認可を得ること。
2みなし労働時間制の対象社員の時間外労働については、前項によらず、労使協定で定める時
間を労働したとみなす。なお休日労働については、前項の扱いと同様とする。
(携帯電話手当) *会社から貸与されている場合
第〇条 常時携帯することを会社から指示されている社員は、常時携帯を持っている精神的負担、時
間外および休日に顧客や取引先などとの電話での応対業務や顧客・取引先まで出向くことに
なった場合の通勤時間に対して、月額×××円の携帯電話手当を支給する。
2顧客または取引先などで実際に業務に従事した時間については、時間外手当または休日手当
を支給する。
(携帯電話手当) *社員名義の携帯電話を利用する場合
第〇条 常時携帯することを会社から指示されている社員は、業務に必要な通話料金相当額、時間外
および休日に顧客や取引先などとの電話での応対業務や顧客・取引先まで出向くことになっ
た場合の通勤時間に対して、月額×××円の携帯電話手当を支給する。
2勤務時間帯のみ携帯電話を利用することを指示されている社員は、業務に必要な通話料相当
額として、月額△△△円の携帯電話手当を支給する。
3第一項の社員については、携帯電話へ呼び出しの連絡を受け、顧客または取引先などで実際
に業務に従事した時間については、時間外手当または休日手当を支給する。
図表4
携帯電話利用マナーに関する社内規定例
(使用上の注意)
第〇条 携帯電話の利用者は、次の事項を順守すること
①車の運転中は電源を必ず切っておくこと。なお、緊急の要件を受信する場合のみ、電源を
つけておくことができるが、受信はしないこと。安全な場所に停車してから、送受信先を確
認し、掛けなおすこと。
②会社内での使用は禁止する。
③病院や公共機関での禁止場所での使用はしないこと。
④商談中は、電源を切るか、呼び出し音が出ない設定にすること。
⑤要件は、簡潔にかつ手短にすませること。
⑥私用では利用しないこと。
⑦会社や取引先の機密事項は、周りに聞こえないように話すこと。
⑧常時形態を指示されている社員以外は、携帯電話を自宅に持ち帰らないこと。(直行直帰
の場合を除く)
(近代中小企業)
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