平成28年8月分 米大統領選挙 他

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平成 28 年 8 月 1 日
伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所
<政治>
米大統領選挙
米共和党の大統領候補に指名され、「米国第
一」を追求するドナルド・トランプ氏。一方で、
先月末の民主党全国大会で正式に大統領候補に
指名され、
「女性初の大統領」として新たな道を
切り開こうとするヒラリー・クリントン氏。米
国内では現在、両雄のデッドヒートが繰り広げ
られています。
予想外の展開となっている今年の米大統領選。
日本との経済摩擦や貿易、駐留米軍の経費問題
<さあ、どっち!?>
なども飛び出しています。11 月 8 日の決戦の行方はいかに?今後の動向を注視していきた
いと思います。
<社会>
ニューヨークの最新交通事情から何が見えてくるか?
昨今、ニューヨーク市は人口の急激な増加に
伴い、市内の交通事情は限界近くまで悪化して
おり、これを解消するには連邦と州、市が一体
となり、本格的に対策に乗り出す必要があると
しています。
同市の人口は 2010~15 年の間に約 37 万人増
加し、旅行者の数も約 1,000 万人増えました。
さらに、約 52 万件の雇用が新たに増えたと言わ
れています。このため、道路と地下鉄の交通量
<渋滞が特にひどいマンハッタン区ミッドタウン>
は飽和状態となっており、渋滞のひどさからバ
スを敬遠する人が増え、市内を走るバスの本数は 2010 年と比べて約 4,600 万本減りました
が、一方で、地下鉄の運行本数は 1 億 5,900 万本増加しました。また、自動車の登録台数
は 11 万台以上増えており、渋滞が特にひどいマンハッタン区ミッドタウンの中心部でのタ
クシー走行速度は、それ以外のエリアに比べて 37%も遅いと報告されています。
また、渋滞を避けることのできる利便性から、市内の自転車利用者も急激に増えており、
1990 年と比べると 300%も増加しました。
人口増加は大変喜ばしいことですが、混雑緩和のためには道路整備や交通網の改革など、
長期的な視野に立った計画が必要となります。そのための資金を含め、現在では連邦政府
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や州政府も交え、真剣に検討していく模様です。
そこで今回は、現在のニューヨーク市における主要な交通手段ならびに最新事情の一部
をご紹介します。
◆地下鉄
今年 4 月の米大統領選の民主党指名争いで、
ヒラリー・クリントン前国務長官が庶民性を
アピールし、かえってお茶目な“失態”の姿
を披露した「地下鉄」。
2015 年、平日の地下鉄利用者数が 1948 年
以来最高に達しました。同年の利用者数は、
1 日当たり平均 570 万人、
年間利用者数は 170
億人となっています(ちなみに東京メトロの
<ニューヨーク市内を駆け巡る地下鉄>
1 日当たり輸送人員は 707 万人で世界一です)
。
現在では、地下鉄車内での Wi-Fi サービスの
提供に向けて、インターネットの接続検査も行
われています。都市交通局(MTA)と州政府は、
公共交通機関でのインターネット利用計画を
優先的に進めており、今年末までに地下鉄全
279 駅での Wi-Fi 設備の設置、2017 年末までに
携帯端末のインターネット接続完備を目指し
ているといいます。
ちなみに、バーニー・サンダース上院議員が
<トークンは使用できません>
新聞記者に地下鉄の乗り方を問われ、
「1 年前に乗ったよ、トークン1を使うんだろう?」と
答えて、
“失態”を演じたことは記憶に新しいこ
とと思います。地下鉄は「メトロカード(MTA
Metro Card)」
(右写真)と呼ばれる磁気式のプリ
ペイドカードを必ず使用してください。
◆近・中距離列車
私はここニューヨークに駐在を開始してまだ
3 カ月ですが、こちらに来て驚いたことの一つが、
通勤で利用する「近・中距離列車」の乗車システ
一日約 100 万人が利用し、観光名所にもなっている
「Grand Central Terminal」
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ムです。私が居住する郊外と、中心地であるマン
ハッタン(Grand Central Terminal 左写真)を
2003 年にすでに廃止されている代用貨幣。
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結ぶこの列車は、平日車内が通勤客で満席にもかかわらず、いまだ車掌が一人ひとり乗車
チケットの見回りを行っており、そのチケットに確認印として穴を空けていきます(その
破片が車内中に散らばっています)
。
しかし、ようやくといいましょうか、先月末より、スマートフォンなどで電車賃を支払
える E チケット(チケットレス)用の無料専用アプリサービス(
「MTA e TIX」と呼ばれる
発券システム2)が開始されました。現在は 2 路線のみで運用されていますが、ここ数カ月
以内に他の路線でも使用が開始される見込みとなっています。来年からは、地下鉄やバス
でも本格的に始動する予定です。
これは、現行の紙のチケットから、新しい
タッチレス式カードや料金支払システムへ
移行するプロジェクトの一環で、これまでも
利用者などから要望のあった発券システム
のペーパーレス化によって、チケットを購入
するために列に並ぶ必要がなくなり、より気
軽に利用してもらえる 21 世紀にふさわしい
サービスだ、と言われています。ちなみに、
<乗車チケットの確認をしている車掌>
上述の「メトロカード(MTA Metro Card)」
も、読み取り精度が悪く、前近代的であると
しばしば批判の対象になっていたことから、
2022 年までに廃止されることが決定してい
ます。
◆タクシー
ニューヨークの代名詞ともいえ、いつでも
どこでも拾えるタクシー(通称:イエローキ
ャブ。左写真)。そのタクシーが昨今、新た
な脅威にさらされています。
<ニューヨークの黄色い車といえばタクシー>
その名も、話題の配車サービス「ウーバー
(UBER)」
。専用アプリを通じて、今自分がい
る場所にハイヤーを予約・利用できる米国発祥のスマートフォン向けのサービスで、最近
では日本でも注目されてきていることと思います。
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ユーザー情報を登録し、クレジットカードやデビッドカードでチケット料金を支払うと、アプリ内に設
定されたウォレット(Wallet=スマートフォンの支払システム)に購入したチケットが保存される仕組
み。端末画面上にバーコードが表示され、これを改札口付近に設置されている専用のスキャナーで読み
取ることで乗車が可能。無料でダウンロード可能で、アプリでは時刻表や路線情報をリアルタイムで確
認することもできる。
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そのウーバーが、夏季限定プロモーションとして、「ウーバー乗り放題カード」の販売を
開始しました。同じ方向に向かう人と、車と料金をシェアする「ウーバープール」の利用
時に使え、現在はマンハッタン区内の 125 丁目以南が対象となっています。利用できる時
間も、平日午前 7~10 時までと午後 5~7 時までで、通勤の時間帯をばっちりカバーしてお
り、これは一種の通勤革命といえます。料金は 2 週間で 49 米ドル(約 5,200 円)
、4 週間
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79 米ドル(約 8,500 円)で、30 日で 116.50 米ドル(約 12,500 円)もするメトロカード代
を考えると、夏の通勤はウーバープールに軍配が上がりそうです。
◆馬車
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最後に、ニューヨークの名物、
「馬車」です。
マンハッタン区セントラルパークを周遊して
いる馬車の乗車価格が今年 5 月に値上がりし
ました。初乗り 20 分が、これまでの 50 米ド
ル(約 5,350 円)から 54.08 米ドル(約 5,787
円)
に、
その後 10 分ごとに 20 米ドル
(約 2,140
円)だったところ、21.63 米ドル(約 2,315
円)になりました。これは 6 年ぶりの値上が
りで、ニューヨーク市長は就任時に「馬車廃
<ちゃんと信号待ちします(マンハッタン区)>
止」を公約に掲げていましたが、今回廃止どころか値上げを強いることになった模様です。
100 年も続く馬車は、街のシンボルとして残すべきという案がある一方で、動物愛護団体
からは、大都市で馬を飼育すべきでないという声もあがっており、拮抗しているのが現状
といえます。
皆さん、いかがでしょうか。米国、とりわけニューヨークといえば、ジャンルを問わず
世界最先端のものが集まるエネルギッシュな街というイメージですが、これら交通事情を
あらためて見てみると、日本のほうがずっと進んでいるではないか、と思われた方も多い
と思います。
人口 800 万人(都市圏人口としては 2,000 万人)を超え、世界各地から移民を受け入れ
ながら融合し続ける米国ニューヨーク。ここは全てにおいて一斉に近代化が進んでいるわ
けではなく、長い歴史からも伝統は築かれ、雇用などさまざまな側面からも残すべきもの
はしっかり残し、改革を進めるべきところは一気に走るという考え方は、私たちが属する
金融業界でも同じことが言えます。時代の移り変わりとともに、米国の社会システムが今
後どう変遷していくか。引続き注目していきたいと思います。
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米国の見本市情報(2016 年 8 月~10 月)
『FAME』 (ニューヨーク)
7 月 31 日~8 月 2 日
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ジュニア・ヤングコンテンポラリーファッション
『Outdoor Retailer Summer Market 2016』 (ソルトレイク・シティ)
8 月 3 日~6 日
2
アウトドア・スポーツ関連-クライミング、ハイキング、キャンプ、登山、ボート等
『NY NOW』 (ニューヨーク)
3
8 月 20 日~24 日
家庭用品/衣料品、食卓用品、ライフスタイル:ベビー・子供服、ギフト、パーソナルアクセサ
リー、パーソナルケア・ウィルネス、ハンドメイド製品
『International Woodworking Fair』 (アトランタ)
8 月 24 日~27 日
4
木工、家具、キャビネット、ベッド、椅子その他製造用機械・材料とサービス
『The Great American Trucking Show』 (ダラス)
8 月 25 日~27 日
5
トラック・オーナー、ドライバー、メカニック向けの設備、製品およびサービス
『International Manufacturing Technology Show』 (シカゴ)
6
9 月 12 日~17 日
金属切削、工作機械、レーザー/添加剤、ソーイング/仕上げ、コントロール&CAD-cam、EDM、
ギア世代、機械部品/クリーニング/環境・品質保証
『Motion, Drive & Automation North America』 (シカゴ)
9 月 12 日~17 日
7
パワートランスミッション、運動制御および流体技術
『Industrial Automation North America 2016』 (シカゴ)
9 月 12 日~17 日
8
ファクトリーオートメーション、機械工学、電気工学、産業用ソフトウェア・エンジニアリング
『Electric & Hybrid Vehicle Technology Expo』 (ノバイ)
9 月 13 日~15 日
9
電気自動車用ソリューション、技術
『The Battery Show 2016』 (ノバイ)
10
9 月 13 日~15 日
電気/ハイブリッド車用高度な電池技術、ユーティリティ&再生可能エネルギーサポート、
携帯用電子機器、医療技術、軍事/電気通信
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『WORLD ENERGY ENGINEERING CONGRESS 2016』 (ワシントン DC)
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9 月 21 日~23 日
太陽エネルギー、空調、照明、施設、建物、ボイラー、電気工場、ユーティリティ、
機械工業用メンテナンス、環境
『BioFach America 2016』 (ボルチモア)
9 月 22 日~24 日
有機農産物、有機加工食品、持続可能な自然生態系の活用により生産された農林水産物および
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加工品(穀類、野菜、フルーツ、肉、牛乳、バター、チーズ、魚介、花弁、木材、加工食品、
冷凍食品、日本酒、ワイン、コーヒー、紅茶、緑茶、ジュース、ソフトドリンクなど)、ナチュ
ラル製品(自然化粧品、ヘア・ボディケア、洗剤、自然繊維、インテリア、ギフト、おもちゃ
など)、ウェルネス
『Natural Products Expo East 2016』 (ボルチモア)
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9 月 22 日~24 日
健康食品、自然食品、栄養補助食品、パーソナルケア製品、スキンケア製品、機能性食品、
スポーツフーズ・飲料、ハーブ製品、各種原料など
『89th Annual Water Environment Federation Technical Exhibition
and Conference』 (ニューオリンズ)
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9 月 24 日~28 日
収集システム、省エネルギー/管理、技術、工場オペレーション、規制、調査、バイオソリッド、
ユーティリティ管理、雨水、水再利用/リサイクル、水質&流域管理
『Greenbuild International Conference & Expo』 (ロサンゼルス)
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10 月 5 日~6 日
環境重視の建築関連製品/技術:建設地設計開発、水利用、エネルギー、建材、屋内環境基準、
生態系保護、健康と生産性、ソフトウェア、環境建築産業向け金融等
『New York Comic Con 2016』 (ニューヨーク)
10 月 6 日~9 日
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コミック、グラフィック小説、ゲーム、漫画、アニメ、映画/TV、スペシャルゲスト、選抜、審査等
『International Baking Industry Exposition』 (ラスベガス)
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10 月 8 日~11 日
製造設備、パン材料、包装材およびシステム、冷凍システム、衛生装置、コンピューター利用
技術、輸送および搬送装置等
『NACS Show』 (アトランタ)
10 月 18 日~21 日
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コンビニ製品、店舗関連設備・機器、コンサルティング、その他サービス
19
『Engine Expo 2016』 (ノバイ)
10 月 25 日~27 日
エンジン設計、エンジンテスト、燃料および潤滑剤、排出制御、エンジン部品、材料・表面処理、
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エンジン・エレクトロニクス、品質管理、試作、トランスミッション、電気およびハイブリッド
パワートレイン技術、スーパー/ターボチャージング、重荷重ディーゼルエンジン技術等
『Automotive Aftermarket Products Expo』 (ラスベガス)
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11 月 1 日~3 日
自動補修用交換部品、付属品、修理サービス設備、ガレージ・修理設備/用品、
オフロード・パフォーマンス・外観部品/付属品
※下の地図上の番号は、上記見本市の通し番号を示しています。
また、上記見本市は予定が変更になる場合もありますのでご留意ください。
1、3、16
6、7、8
9、10、19
17、20
ネバダ州
12、13
11
15
4、18
2
5
14
7