平成28年4月分 米国経済 他

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No.266
平成 28 年 4 月 1 日
伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所
<経済>
米国経済
米国経済への私の見方は先月と変わらず、依然として悪くないと思っています。3 月
の雇用統計は全般に良好な結果で、企業部門の景況感を示す ISM 製造業指数も改善しま
した。年明け以降の株価急落が消費の伸び悩みを招いた模様で、1、2 月の個人消費は
今一つでしたが、3 月の消費者信頼感指数は 2 月から持ち直しました。3 月になって米
国の株価が大きく上昇しましたので、個人消費もしっかりしてくるのではないかと思っ
ています。
大統領選挙は予備選挙の後半戦にさしかかり、テレビのニュースはこの話題で持ち切
りです。
共和党では、早々と消えてしまうと見られていたトランプ候補が過激な発言にもかか
わらず優勢を維持しており、予備選挙で代議員の過半数を確保できるかどうかに焦点が
集まっています。過半数を確保できなければすんなりとは大統領候補になれず、党大会
(7 月 18~21 日)での自由投票による候補選定ということになる可能性があるとのこ
とで、共和党は、党大会での自由投票に持ち込んでトランプ氏以外の人を候補に選びた
いグループと、(予備選挙で過半数を確保できなくても)予備選挙で(相対的に)第一
位だったトランプ氏を共和党の大統領候補にすべきだ、というグループがせめぎあって
います。
一方の民主党はクリントン候補が優勢ですが、サンダース候補が思いのほか、健闘を
続けています。
<社会>
米国大学生の就職活動
米国の新卒大学生の就職活動の全容は、我々駐在員には未知の世界で垣間見る機会さ
えなかなかありません。今般、その一端をたまたま聞く機会がありましたので報告した
いと思います。
(一端であって全容ではありません。)
---------------- 新卒大学生の就職の(一つの)基本的な形は、大学三年から四年に上がる夏休み(米
国の大学は 9 月に始まり 5 月に終わる。6、7、8 月が夏休み。)にインターンを行っ
た会社で、その最終日に卒業後の仕事のオファーをもらう・・・というものだそうです。
 夏休みのインターンの仕事を決めるピークはその年の 1 月~2 月。私が話を聞いた大
学(アイビーリーグのひとつ)では、その期間に、その大学の卒業生を毎年きまって
採用している大企業二十数社(金融、コンサルティングファーム、製造業)がキャン
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パスで(文系の学生を対象に)夏休みのインターン採用のための面接をしてくれると
いいます。
 ここで驚いたのが、キャンパスで面接してもらえるのが、各社 12 名と決まっている
という点です。この大学は文系だけでも 1 学年数百人以上の学生を抱えていますので、
12 名という少なさにまずは驚きました。12 名を選抜するのは書類審査。予め課題を
与えられてその解決策などを記載し提出します。
 運良く 12 名の中に残ったら漸く面接です。会社にもよるのですが、3 次から 5 次に
亘る面接が待っている模様です。面接はストレスへの耐用度を見るものであったり、
チームとして仕事をやっていく上での重要な資質(人付き合い)を見たりするようで
す。
 私が聞いた事例では、夏のインターンは有給で学生のアルバイトの水準と比べれば悪
くない金額でした。
 夏のインターンの最終日に卒業後の仕事のオファーをもらい働くことになった学生
に対して会社は、2 年間の育成プログラムを用意している、という例が多いといいま
す。その 2 年間、会社側としては様々な業務を経験させ、その学生の適性を調べ、ま
た学生側も自分にあっているかどうかを見極めることになるようです。
米国のコンピュータ・サイエンスの力
電力自由化との関連で・・・
当地で行なわれた(日本の)電力自由化に関する勉強会に参加したときのことです。
講演者として参加しているいくつかの米国のベンチャー企業の説明を聞いても、何のた
めに彼らが話しているのか、今一つぱっとしませんでした。休憩時間に、隣に座ってい
る人が日系大手企業の電気関連の技術者であることがわかり、彼の解説を聞いて初めて
状況が少し見えてきました。
彼の解説はこうです。
「米国では昔から電力会社、送電会社が乱立している。従って
様々な仕様の電力を変換したり、繋げたりする技術がどうしても必要であった。加えて、
インフラが古くなっていて大停電が起こることも多かったので、政府もその部分に力を
入れてきた。一方、製造現場で用いる電力は、瞬間的に途絶えても生産に大きな影響が
でてしまうことがあり、そういう意味合いからも電力のコントロールはコンピュータ
ー・サイエンスを用いて繊細、精緻に行われなければならない性質のものだ。この変換、
接続のコントロールの技術は、実は米国のコンピューター・サイエンスの独断場となっ
ており、日本企業は既に追いつくのが難しいくらいの分野となってしまっている。日本
で電力の自由化が進んでいく中で、変換や接続の複雑な部分に関する技術は(今日講演
に来ているような)米国の代表的なベンチャー企業の技術に頼らざるを得ない状況にな
っているのだ・・・。
」
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コンピューター・サイエンスの分野の競争力が電力の自由化にも影響を及ぼしている、
ということを私は全く知りませんでした。
厳しい刑事罰のある法令
米国独占禁止法(カルテル防止)と米国海外腐敗防止法(外国公務員への贈賄防止)
は、罰金が高額になる点と、個人に対して厳しい刑事罰が課せられる可能性があるとい
う点で、米国で勤務する駐在員はしっかりと認識しておく必要がある法令です。勿論、
同様の法令が日本にもあるのですが、その刑罰の厳しさが大きく違うと言われています。
米国の法令は、刑罰の厳しさで「割りに合わない」と思わせようとしている厳しさだと
いうことです。
米国の日本人駐在員の間では、この 2 つに加えて、最近、第三の注意すべき法令に注
目が集まっています。それは「営業秘密保護」に関する法令です。米国は連邦刑事一般
法である経済スパイ法を積極的に運用し、私企業に対しては「営業秘密窃盗罪」、外国
政府等に対しては「経済スパイ罪」での摘発を進めています。この法律も罰金や補償金
を非常に巨額なものとし、個人への刑事罰を極めて重いものとしています。それに関わ
ることが「割に合わない」と思わせようという作戦です。
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米国の見本市情報(2016 年 4 月~6 月)
BIOMEDevice Boston 2016
(ボストン)
4 月 13 日~14 日
【備考】医療関連製造装置、クリーンルーム&滅菌
Aerospace & Defense Supplier Summit Seattle
(シアトル)
4 月 14 日~15 日
【備考】航空機器、部品
CastExpo and Metalcasting Congress
(ミネアポリス)
4 月 16 日~19 日
【備考】鋳造
FAME/Moda/Intermezzo Collection
(ニューヨーク)
5 月 2~4 日
【備考】ジュニア・ヤングファッション、モダンコンテンポラリー、女性ファッション
2016 Offshore Technology Conferance
(ヒューストン)
5 月 2 日~5 日
【備考】海洋資源保護、開発
World Tea Expo2016
(ロスアンジェルス)
6 月 14 日~16 日
【備考】tea 関連
International Franchise Expo
6 月 16 日~18 日
(ニューヨーク)
【備考】フランチャイズ関連
American Water Works Association Annual Conference & Exposition
(シカゴ)
6 月 20 日~22 日
【備考】給水、排水、廃水処理関連技術、製品
※上記見本市は予定が変更になる場合もありますのでご留意ください。
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