化学物質の管理 - 筑波大学 化学域

化学物質の管理
2010年4月8日
数理物質科学研究科 長友重紀
1.毒物、劇物の定義とその種類
2.試薬の移動、運搬に関する注意
3.実験室における試薬(毒物、劇物)の管理に
関する注意
4.筑波大学における試薬管理方法(IASO R4)
1. 毒物、劇物の定義とその種類
毒物及び劇物取締法による定義
(昭和25年12月28日法律第303号)
(定義)
第2条 この法律で「
毒物」とは、別表第一に掲げる物であつて、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。
2 この法律で「劇物」とは、別表第二に掲げる物であつて、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。
3 この法律で「特定毒物」とは、毒物であつて、別表第三に掲げるものをいう。
毒性
備考
下記の毒物中、特に経皮毒性の強いもの
四アルキル鉛、
農薬
毒物
体重1kg当り経口致死量30mg以下のもの
(皮下注射20mg以下、静脈注射10mg以下)
劇物
体重1kg当り経口致死量30∼300mgのもの
(皮下注射20∼300mg、静脈注射10~100mg)
毒性条件は厳密
なものではなく、
法令では指定し
た物質をいう。
指定毒物
毒物
劇物
1 アクリルニトリル
2 アクロレイン
3 アニリン
4 アンモニア
5 2-イソプロピル-4-メチルピリミジル-6-ジエチルチオホスフェイト(別名
ダイアジノン)
6 エチル-N-(ジエチルジチオホスホリールアセチル)-N-メチルカルバ
メート
7 エチレンクロルヒドリン
8 塩化水素
9 塩化第一水銀
10 過酸化水素
11 過酸化ナトリウム
12 過酸化尿素
13 カリウム
14 カリウムナトリウム合金
15 クレゾール
16 クロルエチル
17 クロルスルホン酸
18 クロルピクリン
19 クロルメチル
20 クロロホルム
21 硅弗化水素酸
22 シアン酸ナトリウム
23 ジエチル-4-クロルフェニルメルカプトメチルジチオホスフェイト
24 ジエチル-(2,4-ジクロルフェニル)-チオホスフェイト
25 ジエチル-2,5-ジクロルフェニルメルカプトメチルジチオホスフェイト
26 四塩化炭素
27 シクロヘキシミド
28 ジクロル酢酸
29 ジクロルブチン
30 2,3-ジ-(ジエチルジチオホスホロ)-パラジオキサン
31 2,4-ジニトロ-6-シクロヘキシルフェノール
32 2,4-ジニトロ-6-(1-メチルプロピル)-フェニルアセテート
33 2,4-ジニトロ-6-メチルプロピルフェノールジメチルアクリレート
34 2,2-ジピリジリウム-1,1-エチレンジブロミド
35 1,2-ジブロムエタン(別名EDB)
36 ジブロムクロルプロパン(別名DBCP)
1 オクタメチルピロホスホルアミド
37 3,5-ジブロム-4-ヒドロキシ-4-ニトロアゾベンゼン
2 四アルキル鉛
38 ジメチルエチルスルフイニルイソプロピルチオホスフェイト
3 ジエチルパラニトロフェニルチオホスフェイト
39 ジメチルエチルメルカプトエチルジチオホスフェイト(別名チオメトン)
4 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフェイト
40 ジメチル-2,2-ジクロルビニルホスフェイト(別名DDVP)
5 ジメチル-(ジエチルアミド-1-クロルクロトニル)-ホスフェイト
41 ジメチルジチオホスホリルフェニル酢酸エチル
6 ジメチルパラニトロフェニルチオホスフェイト
42 ジメチルジブロムジクロルエチルホスフェイト
7 テトラエチルピロホスフェイト
43 ジメチルフタリルイミドメチルジチオホスフェイト
8 モノフルオール酢酸
44 ジメチルメチルカルバミルエチルチオエチルオホスフェイト
9 モノフルオール酢酸アミド
45 ジメチル-(N-メチルカルバミルメチル)-ジチオホスフェイト(別名ジメト
10 前各号に掲げる毒物のほか、前各号に掲げる物を含有する
エート)
製 剤その他の著しい毒性を有する毒物であって政令で定める 46 ジメチル-4-メチルメルカプト-3-メチルフェニルチオホスフェイト
もの
47 ジメチル硫酸
48 重クロム酸
1 エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト
(別名EPN)
2 黄燐
3 オクタクロルテトラヒドロメタノフタラン
4 オクタメチルピロホスホルアミド(別名シュラーダン)
5 クラーレ
6 四アルキル鉛
7 シアン化水素
8 シアン化ナトリウム
9 ジエチルパラニトロフェニルチオホスフェイト(別名パラチオン)
10 ジニトロクレゾール
11 2,4-ジニトロ-6-(1-メチルプロピル)-フェノール
12 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフェイト(別名メチル
ジメトン)
13 ジメチル-(ジエチルアミド-1-クロルクロトニル)-ホスフェイト
14 ジメチルパラニトロフェニルチオホスフェイト(別名メチルパラ
チオン)
15 水銀
16 セレン
17 チオセミカルバジド
18 テトラエチルピロホスフェイト(別名TEPP)
19 ニコチン
20 ニッケルカルボニル
21 砒素
22 弗化水素
23 ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエンドジメタノナフタリ
ン(別名エンドリン)
24 ヘキサクロルヘキサヒドロメタノベンゾジオキサチエピンオキ
サイド
25 モノフルオール酢酸
26 モノフルオール酢酸アミド
アジ化ナトリウム
27 硫化燐
28 前各号に掲げる物のほか、前各号に掲げる物を含有する
製剤その他の毒性を有する物であって政令で定めるもの
指定毒物
49 蓚酸
50 臭素
51 硝酸
52 硝酸タリウム
53 水酸化カリウム
54 水酸化ナトリウム
55 スルホナール
56 テトラエチルメチレンビスジチオホスフェイト
57 トリエタノールアンモニウム-2,4-ジニトロ-6-(1-メチルプロピル)フェノラート
58 トリクロル酢酸
59 トリクロルヒドロキシエチルジメチルホスホネイト
60 トリチオシクロヘプタジエン-3,4,6,7-テトラニトリル
61 トルイジン
62 ナトリウム
63 ニトロベンゼン
64 二硫化炭素
65 発煙硫酸
66 パラトルイレンジアミン
67 パラフェニレンジアミン
68 ピクリン酸。ただし、爆発薬を除く。
69 ヒドロキシルアミン
70 フェノール
71 ブラストサイジンS
72 ブロムエチル
73 ブロム水素
74 ブロムメチル
75 ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエキソジメタノナフタリン
(別名ディルドリン)
76 1,2,3,4,5,6-ヘキサクロルシクロヘキサン(別名リンデン)
77 ヘキサクロルヘキサヒドロジメタノナフタリン(別名アルドリン)
78 ベタナフトール
79 1,4,5,6,7-ペンタクロル-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-(8,8-ジクロル
メタノ)-インデン(別名ヘプタクロール)
80 ペンタクロルフェノール(別名PCP)
81 ホルムアルデヒド
82 無水クロム酸
83 メタノール
84 メチルスルホナール
85 N-メチル-1-ナフチルカルバメート
86 モノクロル酢酸
87 沃化水素
88 沃素
89 硫酸
90 硫酸タリウム
91 燐化亜鉛
92 ロダン酢酸エチル
アセトニトリル
93 ロテノン
94 前各号に掲げる物のほか、前各号に掲げる物を含有する製剤
その他の劇性を有する物であって政令で定めるもの
国立医薬品食品衛生研究所のホームページより
http://www.nihs.go.jp/law/dokugeki/dokugekisearch.html
2. 試薬の移動、運搬に関する注意
基本的姿勢 --- 予期せぬ事態が生じても周囲への安全から内容物を決して外部
へ漏らさない。
毒物及び劇物取締法 (
昭和25年12月28日法律第303号)
国立大学法人筑波大学毒物及び劇物管理規定 (
平成17年7月21日 法人規程第51号 )
毒物及び劇物取締法
(毒物又は劇物の取扱)
第11条 3 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外におい
て毒物若しくは劇物又は前項の政令で定める物を運搬する場合には、これらの物が飛散し、漏れ、流れ出、又はし
み出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
国立大学法人筑波大学毒物及び劇物管理規定(全部で11条)
(事故の際の措置)
第10条 使用者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が飛散し、漏れ、流れ出し、しみ出し、又は地価にしみ込
んだ場合において、保健衛生上の危害が生ずる恐れがあるときは、直ちに、管理責任者に通報し、管理責任者
は、危害を防止するため必要な応急の措置を講じるとともに、組織の長及び環境安全管理室長に届け出て、そ
の指示に従わなければならない。
2 管理責任者は、管理する毒物又は劇物について、盗難、紛失その他の事故が生じたときは、直ちに、組織の
長及び環境安全管理室長に届け出て、その指示に従わなければならない。
3 前2項の届出を受けた環境安全管理室長は、直ちに、学長に報告しなければならない。
2. 試薬の移動、運搬に関する注意
・有機溶剤等の試薬
(
ガロンビン含む)
は
ソルベン缶に移すか
クーラーボックス等
にいれて移動させる。
ソルベン缶を用いた場合の搬出例
クーラーボックスを用いた場合の搬出例
・
廃液タンク等を持ち運ぶ際は
側面についたてがある台車か、
あるいは廃液タンクを
布ベルトで固定する。
廃液タンクを移動させる場合の搬出例
3. 実験室における試薬(毒物、劇物)の管理に関する注意
・実験室における試薬(毒物、劇物)の管理
毒物及び劇物取締法
(毒物又は劇物の取扱)
第11条 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失することを防ぐ
のに必要な措置を講じなければならない。
国立大学法人筑波大学毒物及び劇物管理規定
(受払簿)
第8条 組織において毒物又は劇物を保管するときには、受払簿を備えなければならない。
2 使用者は、毒物又は劇物の受払いの都度、品目ごとに、受払数量を受払簿に記録しなければならない。
3 管理責任者は、定期的に、毒物又は劇物の保管数量及び受払簿の残数量を確認しなければならない。
4.試薬管理方法IASO R4
・実験室における試薬(毒物、劇物)の取り扱い
3. 実験室における試薬(毒物、劇物)の管理に関する注意
・実験室における試薬(毒物、劇物)の取り扱い
毒物及び劇物取締法
(毒物又は劇物の表示)
第12条 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「
医薬用外」の文字及び毒
物については赤地に白色をもつて「毒物」
の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなけ
ればならない。
3 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「医薬用外」の文字
及び毒物については「
毒物」
、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。
国立大学法人筑波大学毒物及び劇物管理規定
(保管方法等)
第6条 毒物又は劇物は、金属製の堅固な構造で施錠機能を有する専用の保管庫に保管し、施錠を行い、鍵は
管理責任者が保管するものとする。
2 地震等の災害による事故を未然に防止するため、保管庫を床等に固定するとともに、保管庫の棚から毒物
又は劇物の容器の転落を防止するための措置を講じなければならない。
(表示)
第7条 保管庫には「
医薬用外毒物」又は「
医薬用外劇物」の文字を表示しなければならない。
2 毒物又は劇物の容器及び被包に、「
医薬用外」の文字及び毒物については赤字に白色をもって「毒物」の文
字を、劇物については白地に赤色をもって「劇物」の文字を表示しなければならない。
3. 実験室における試薬(毒物、劇物)の管理に関する注意
・実験室における試薬(毒物、劇物)の取り扱い
・毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「
医薬用外」の文字及び毒物に
ついては「
毒物」、劇物については「
劇物」
の文字を表示しなければな
らない。
・毒劇物庫は必ず鍵つきのもので、中身が外から見えないような金属性
のものを使用する。
(ガラス窓により外から中身が見えてはならない。)
・毒劇物庫には鍵をつけっぱなしにしない。
・毒物、劇物は実験机の上に放置しない。必要量を取ったらすぐに鍵つき薬品
庫へ収納する。
誤った使用例 (1)
普通の戸棚に保管されたフェノール
(劇物)
普通の戸棚に保管された水酸化ナトリウム
(劇物)
誤った使用例 (2)
ガラスの戸棚に保管された水酸化カリウム
(劇物)
ガラスの戸棚に保管されたメタノール
(劇物)
誤った使用例 (3)
施錠していない毒劇物庫
鍵付きのまま放置されている毒劇物庫
誤った使用例 (4)
実験机に放置された塩酸
(劇物)
実験机に放置された過酸化水素
(劇物)
大学(
研究室)で使用する試薬量をきっちり管理し、外部にもらさない。
とりわけ毒物、劇物
客観的に評価できる
管理システムが必要
4. 筑波大学薬品管理システム(IASO R4)
4. 試薬管理システムの利用について
筑波大学薬品管理システム (
IASO R4)
e-Web
Data Manager
http://jitukan2.sec.tsukuba.ac.jp/eweb_r4/
http://jitukan2.sec.tsukuba.ac.jp/iaso_r4/
入庫処理(薬品の新規登録)
メイン処理(
使用量登録)
出庫処理(保管場所の変更)
バーコード印刷
MSDSの参照
在庫リスト
使用量集計(
法規別等)
消防法指定数量計算
購入薬品リスト
使用済み薬品リスト
薬品使用履歴参照
e-Webの概要
入庫処理
開封処理
使用毎の登録
使用量登録
棚卸し処理
繰り返し
使用毎の登録
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確定
使用量登録
廃薬品登録
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2.「範囲指定」「
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(注1)Act
i
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(注2)印刷はレーザープリンター
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入庫処理(薬品の新規登録)1
1.試薬に「
I
ASOバーコード」
を貼る
2.入庫処理を押す
2.入庫処理
(新規薬品登録)
3.薬品検索
3.薬品バーコードNo記入欄
「バーコードリーダー」、「
キーボード」
入力
3.「薬品バーコード」
(試薬ビ
ンにメーカーが印刷)
「薬品検索」
で薬品を決定
入庫処理(薬品の新規登録)2
1.保管場所を選択する
必要に応じて使用期限
等を記入
2.「
ENTER]で決定、バ
ーコード入力画面が現
れる
2.決定
1.保管場所選択
3.「I
ASOバーコードNo」
を入力、「OK」ボタンで
登録
3.「I
ASOバーコードNo」
入力
試薬の持出・返却(使用量登録)1
1.「メイン処理」
ボタンで
持出・返却画面へ
2.「I
ASOバーコード」
を
入力
1.メイン処理
(使用量登録)
2.I
ASOバーコードNo入力
(注)初回使用時には開封
確認のメッセージが出
ます
試薬の持出・返却(使用量登録)2
1.「使用目的」
を選択
2.使用量を入力
3.「
ENTER」で決定
「サブフォーム」
で
「OK」
3.決定
4.「
ENTER」で登録
空ビン処理」
2.使用量入力 空の場合は「
を事前にチェック
1.「使用目的」
入力
使用量管理(
毒物・劇物等) --- この方法で使用量を登録(
重さ、容量で管理)
単位管理(一般試薬) --- 登録・
廃棄のみでも良い(容器の本数で管理)
Dat
aManager
の概要1
・e-Webで登録した薬品使用履歴の結果に基づき、様々な集計作業を行うための
“集計系プログラム”
メニュー
リスト作成ボタン
集計期間
保管場所
法規等の選択
試薬マスターごと、ビン1本ごと
1.在庫リスト
(開封・
未開封判別)
2.使用量集計
(法規・
目的・
使用者別)
3.消防法指定数量計算
4.棚卸し結果参照
5.使用期限切れ薬品リスト
アップ
6.購入(入庫)
薬品リスト
アップ
7.使用済み(空ビン)
薬品
リストアップ
8.薬品履歴カード
(使用履歴一覧表)
Dat
aManager
の概要2
1.薬品名をクリックで
詳細リストの表示
2.「ファイル作成」
ボタン
で「CSV形式」のファ
イル作成可能
ファイル作成
Dat
aManager
の概要3
毒劇物管理台帳
消防法指定数量
PRTR集計表
化学系安全管理委員会への
問い合わせ、質問等
電話、ファクス
4515
メール [email protected]