舞台芸術論 パフォーマンス・ダンス・絵画 専門 / 講義 / 2単位 海上宏美 ◆授業の到達目標およびテーマ 現代の舞台芸術は多様であり、一面的な舞台芸術観やイメージには収 まらない。今年度の舞台芸術論では、演劇以外の現代の先鋭的なパ フォーミング・アーツを身体・芸術思想・ジェンダーなど様々な角度 から探っていく。学生は「身体が動くとはどういうことか」という視 点で舞台芸術を理解するアプローチを学ぶ。その舞台芸術理解の重要 な参照項として絵画の認識の枠組みも概観する。また絵画の認識の枠 組みとの類似性を持つ劇場の機能の変遷も見ていく。 ◆授業の概要 具体的に言及する舞台芸術は絵画の歴史を前提にした上で、ダンスと パフォーマンスに限定するが、それらの歴史も一定程度踏まえながら 進めていく。授業はパフォーマンスと関わる近現代の絵画作品のスラ イドやダンスやパフォーマンスの多彩な上演ビデオ等を通して舞台芸 術の現代的位相に注目していく。 ◆授業計画と内容 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目 9回目 10回目 11回目 12回目 13回目 14回目 15回目 授業概要の説明 パフォーミング・アーツの前史としての絵画史 絵画史における遠近法という意味 絵画史における写真登場の意味 20世紀初頭のヨ ー ロ ッ パ の 芸 術 運 動(未 来 派・ダ ダ・ シュールレアリズムなど) 絵画の延長としてのパフォーマンス概念(インスタレー ションをめぐって) 遠近法と劇場の変遷との対応関係 サウンドとノイズの関係(ジョン・ケージ、ローリー・ア ンダーソンなど) 視線とジェンダーの関係(小野洋子、シンディ・シャーマ ンなど) コンテンポラリー・ダンス(マーサ・グラハム、マース・ カニンガムなど) コンテンポラリー・ダンス(ピナ・バウシュなど) コンテンポラリー・バレエ(ウィリアム・フォーサイスな ど) 土方巽と暗黒舞踏 コンテンポラリー・ダンス(ローザス、サーシャ・ヴァル ツなど) 現代日本のパフォーマンス ◆履修にあたっての準備学習(事前学習) 事前学習は特に必要ないが、舞台芸術は教室で行われるものではない ので、受講期間中にダンス・パフォーマンスの実際の上演を複数見る ことを求める。上演されるものがプロかアマチュアかは問わない。ど ちらでもよい。舞台芸術は芸術という名称が付いているように娯楽で あったり感動があるとは限らない。多様な舞台芸術観を養ってほし い。 ◆成績評価の方法と基準 平常点(50%)と提出レポート(50%)の内容によって評価する。レ ポートの評価は「身体が動くとはどういうことか」などの講義内容を どの程度参考にしているかを基準とする。参考にしてあれば講義内容 に批判的であっても構わない。提出レポートは、受講期間中に実際に 見た舞台芸術であることが条件となる。ビデオ・DVD鑑賞等でのレ ポート提出は基本的に不可。鑑賞が金銭的に負担になる者は相談に応 じるので申し出ること。 ◆教科書 特に使用しない。 ◆参考書・参考資料等 特になし。
© Copyright 2024 Paperzz