ダンスはバランス

ダンスはバランス
社団法人 日本ダンススポーツ連盟
監事
雨宮雅夫
アルペンスキーの滑降や大回転などという競技は、スピードを競っているのですが、本当に争
われているのは回転(ターン)の技術力です。ターンをしながらスピードと身体のバランスをい
かにコントロールできるかが、勝負を支配します。モータースポーツであるF1レースなどもまっ
たく同じです。スピードを出すだけでなく、いかにコーナリングでスピードをコントロールでき
るかが競われているのです。
もともとダンスはバランスを競う競技ですが、昨今のスピード感溢れるダンススポーツにおい
ては、スピードのコントロールもバランスのための重要な要素になっています。
平成14年8月6日に社団法人日本ダンススポーツ連盟(JDSF)が設立されて、はや4年間が過
ぎました。この間のJDSFの活動はめざましいものです。
東京インターナショナルオープン選手権、三笠宮杯全日本ダンススポーツ選手権や都道府県対
抗全国ダンススポーツ競技会を開催するとともに、公認・承認の各種競技会を推進しています。
平成16年には財団法人日本オリンピック委員会(JOC)の承認団体として承認を受け、ダンス
スポーツが正式競技種目となった昨年の「第4回東アジア競技大会」には JOCがダンス界から初
めて日本代表選手を派遣し、日本選手が金メダル獲得第1位になるなど、大活躍しました。
JDSFの活動は、一部役員のみならず、多くの委員、スタッフや加盟全国各都道府県ダンスス
ポーツ連盟、全日本学生競技ダンス連盟はじめ、多くのご支援諸団体のバックアップがあっての
ことです。
ややもするとスポットライトのあたる花形競技に目が奪われがちですが、JDSFではダンスス
ポーツを生涯スポーツ振興の一翼と捉えて、普及活動を進めています。中高年のみならずジュニ
ア層の開発育成なども通じて、ダンススポーツを広く根付かせるには、花形競技に比して何倍も
の困難を伴いますが、これは必要且つ不可欠であり、避けて通れないものです。
花形競技が進めば進むほどに一部の愛好家だけのもになってしまうというのではなく、ダンス
スポーツの愛好家みんなで花形競技を盛りたてていく、JDSFもよいバランスで踊り続けたいも
のです。
略歴
昭和27年……中央大学商学部 卒業
雨宮雅夫公認会計士事務所 所長
税理士法人あさひ会計事務所 代表社員
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日体協コーチ試験を終えて
専務理事
仲野 巽
★★★日体協コーチ資格とは
昨年2005年から(財)
日本体育協会は競技別指導者資格、フィッ
ました。今回は、JDSFから24名がダン
トネス系資格、メディカル・コンディショニング資格など5つの分
ススポーツとして始めての公認コーチ資
類で、新たな公認スポーツ指導者制度をスタートさせました。
格を与えられました。
JDSFもこの日体協の指導員制度にいち早く対応するため、最初
になり、2005年1月に受講者の募集が始まりました。
★★★今、考えること
さて、今回のコーチ資格受講を通して強く感じたことは、従来か
日体協によると、指導員資格は地域サークル・クラブなどでスポー
ら我々がやってきたダンス技術の指導と習得は、現在のスポーツ界
ツの基礎的知識に立ったジュニアや初心者を指導する資格であり、
から見ると、時代遅れで 井の中の蛙 状態にあるということで
コーチ資格は地域のトレーニング拠点で競技者育成プログラムの理
す。戦前から現在に至るまで、プロフェッショナル教師からダンス
解に立った選手指導員資格で国体の県コーチ・監督などをイメージ
教室という場で、プライベートレッスンの形で、口から口へ伝承的
しているようです。
に伝えられた技術を習得する形です。これはこれですばらしいもの
は競技別指導者資格のうち指導員資格とコーチ資格に取り組むこと
で今後も続くと思いますが、これだけでは決定的に不足なのだと思
★★★受講して
私も、受講者の一人としてこのコーチ資格取得に挑戦したのです
います。
が、2005年1月から始まり資格認定証が届いたのがやっと2006年夏
ークとして陥った長期低迷から脱却するため2000年に国際競技力
と、1年半にわたる長期の挑戦となりました。
向上のための中長期計画「ゴールドプラン」を策定し、さっそく
日本のスポーツ界が、1984年のロサンゼルスオリンピックをピ
最初に考えていたより勉強の範囲が広く、共通科目としてスポー
2004年アテネオリンピックで復活を果たしたことはまだ記憶に新
ツ指導者の役割、指導計画と安全管理、法的知識、医学的知識、食
しいところです。この計画の主体は、ジュニアからトップレベルま
事と栄養、身体のしくみと働き、組織の運営と事業、スポーツの心
での一貫指導システム、ナショナルレベルのトレーニング拠点、指
理、トレーニング理論などなど、今までやってきたダンススポーツ
導者の育成、科学トレーニングの研究と推進です。
の知識の範囲を大きく超えるものでした。それらを習得するために
これらの実績ある指導法、強化法を取り入れていくことがわが国
自宅学習112.5時間、集合講習40時間、計152.5時間がセットされて
のダンススポーツ、JDSFの強化と発展につながるものと確信しま
おり、そのための教科書が3冊、ワークブックが3冊で総700ペー
す。特に肉体的条件に恵まれず、また外国からの音楽による身体表
ジ、そして200問の筆記検定試験と、最初から意欲をへし折るよう
現という大きなハンディキャップを持つ日本としては、ヨーロッパ
なボリュームが用意されていて、学習習慣などはるか昔に消えてし
からやってきた従来型の指導法とは違った方法を取り入れて海外の
まったわが身としては、いささか不安になる内容でした。
強豪と競争する必要があると思います。ダンススポーツ技術の習得
特に印象的だったのは集合講習で、6日間連続、他のスポーツ団
は当然中心に来るものですが、ジュニアからシニアに至るまでの一
体の受講者と一緒に朝9時から午後6時まで集中的に勉強させられ
貫指導システム、科学的なトレーニング計画、身体のしくみを理解
たことでした。私の場合は昨年の8月の夏休みに合わせて休暇を取
した身体能力向上計画、メンタルマネジメントなどなど、心技体の
ったのですが、皆さん休暇の調整が大変そうで、また実働8時間し
3つがそろった指導法、練習法を何とか開発したいものです。また、
っかり机に向かうことも大変でした。しかし、講師は皆一流、内容
生涯スポーツの観点から見ても、現在の中高年愛好者が抱える関節
的には大変興味深いもので、意外なことに眠気を催すことも少な
や循環器の障害に対して、適切な指導法の開発は急務と言えると思
く、逆に昨今感じないような充実した時間を過ごすことが出来まし
います。
た。講習の中で小グループ・ディスカッションなどもあるのです
今回の日体協コーチ受講を通して、まさに 目からうろこ の連
が、私の場合はハンドボールや柔道の若いコーチたちと触れ合いが
続でした。この興奮が冷めないうちに、次の時代につながる何かを
出来て、他のスポーツ指導の考え方や状況など大変興味ある経験に
スタートさせたいと意を決しています。
なりました。
この時の講師に現在JDSFテクニカルアドバイザイーの稲山貴代
先生がいらっしゃって、非常に分かりやすい食事と栄養の講義をし
ていただき印象的でした。その後研究室に伺ってJDSF内での講義
のお願いをしたのがきっかけで、テクニカルアドバイザーを引き受
けていただくことまでに繋がりました。他にもすばらしい講師陣が
いて、ぜひともJDSFのスポーツトレーニング教育に力をお借りし
たいのですが、なかなか時間が取れずにまだ実現しないでいます。
また、昨年末には筆記試験が行われました。何十年も本格的な試
験などから遠ざかっていた身としては、一夜漬けではとても見込み
ないので、何とか試験前3日間は、毎日早く帰って試験勉強に励み
ましたが、なにせ教科書が厚いのでとても全体を見直すのは不可能
です。かなりの部分が神頼みの回答になってしまいました。その
後、JDSF内でのダンススポーツ専門科目実技講習や机上講習など
を経て、やっと今年の7月になって運良くも合格の通知がやってき
●総合修了者(敬称略)
佐藤伸一、岡部弘子、高橋秀雄、山科栄子(北海道)
、熊谷義明、熊谷正子
(福島県)
、永井彰、鴻巣久枝、鴻巣正巳(茨城県)
、堀口三夫、込谷淳一、込
谷元子(群馬県)
、金城庸夫(千葉県)
、山田淳(東京都)
、仲野巽、仲野正子
(神奈川県)
、笹山治一(富山県)
、金子和裕、溝口稔(静岡県)
、東成光(愛
知県)
、塚本ひろこ、塚本徹、川浪一志(福岡県)
、鵜崎清貴(大分県)以上
24名。
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