ISO/TC194 ベルリン会議出席報告 1.会議名:ISO/TC194 Biological evaluation of medical devices 医療用具の生物学的評 価 2.開催地:ドイツ国ベルリン市 3.開催日:2002 年 3 月 11 日―15 日 4.出席者:米(15)、日本(8)、ドイツ(6)、UK(6)、オランダ(5)、スウエーデン(4)、中国(4)、 ノルウエー(2)、フランス(2)、アイルランド(1)、デンマーク(1)、オーストリア(1)、オース トラリア(1)、スイス(1) 日本からの出席者:土屋利江(リーダー) 、中村晃忠、坂口圭介、黒沢努、上野紘機、上田 慶二、古賀大輔、鈴木由香 議長:Victor Dorman-Smith (代理:アイルランド) 幹事国:ドイツ 5. 議題、議決事項、特に問題となった点及び今後の対応についての所見 1) 事務局報告: WG9 Convener: Ms. J. Goggins (USA) から Mr. R. Kammula (USA) に交代した。 WG15 Sub-Convener: Ms. B. Krug (Germany) から Mr. J. Tinkler (UK) に交代した。 2) 日本側から見た主要課題とその結末 (ア) 医療用具臨床試験に関する国際規格:ISO/DIS 14155-1 および –2 はいわゆる医 療用具 GCP(Good Clinical Practice: 現在、日本には厚生省通知・医療用具 GCP があり、米国には FDA/IDE という基準があり、EU には EN 540 がある)の国際 版をめざしている。他方、すでに医薬品領域での GCP は ICH において国際調和 された共通の規範がある。医療用具分野で臨床治験データの相互受け入れを可能 にするために、これらの異なる基準をできる限り調和させる必要がある。特に、 日本では厚生労働省が医療用具 GCP の法制化を予定しており、その基本的な姿勢 を ISO/DIS の審議に反映させる必要があった。会議場内外での積極的な活動の結 果、日本の立場をかなり理解させることができた。また、特に ICH/GCP との違い の克服についても一定の共通認識をもつことができた。 (イ) リスク分析・ハザードの特定:今回の会議での大きな特徴は、すべての生物学的 評価基準にリスクマネージメント(ISO 14971:別図参照)的コンセプトを導入し ようとする動きであった。従来の ISO 10993 シリーズ(TC194 の作成する国際基 準はこのシリーズ番号が多い)は試験方法基準的な傾向があったが、生物学的リ スクを評価し管理するための手順とその中での試験の位置づけを明確にしてゆこ うとする方向付けがはっきりした。日本の厚生省生物試験ガイドライン(薬機 99 号通知)の改訂作業においても ISO 14971 を念頭に置いており、試験方法の選択 や評価に関する地域あるいは立場による違いを乗り越えるための出発点になると 考えられる。 (ウ) 試験サンプル調製(抽出)法:医療用具をそれぞれの試験系に適用する場合に抽 出という作業過程を経ることが多く、この過程の妥当性が常に問題となっている。 日 本 は exaggerated extraction condition を 採 用 す る こ と が 多 く 、 欧 米 は simulated-use extraction condition を採用してきた。今回の会議において、少な くともリスク評価の第1段階である“ハザードの特定(hazard identification)”に は exaggerated extraction condition が必要であるとの認識では一致を見た。これ は大きな進展であると考えられる。 3) WG 報告 WG1: ISO 10993-1 「評価と試験」について、 ①Technical Corrigenda として、試験 (評価)項目選択表と本文の変更に合意した。内容は、ア)主に埋植試験を全身毒性 試験へ代用できることの明示、イ)免疫毒性を考慮することの追加、である。②Risk management approach に関する TS(Technical Specification)を WG15 のメンバーが つくり、annex に加えることとなった。その枠組みがつくられた。 WG3:ISO 10993-2 「動物福祉規定」の改訂作業にとりかかった。改訂に際しての主 要な原則として、ア)新しいデータをどうしても必要な場合に限って生物試験を行う; イ)どうしても動物を使わねばならない時のみとする。また、可能な限り動物数を削 減する;ウ)その動機付けと意義付け、実際にどのように実施されたかを記録するこ と、が確認された。日本には公的な実験動物福祉ガイドラインは存在しないので、動 物実験データの受け入れについて問題が生じる可能性がある。 WG4:本報告書2.ア)および付録を参照のこと。なお、ICH との用語の統一をはか るための新規提案(NWIP)を行うことで合意した。修正した DIS 14155-1 および –2 は FDIS として最終投票にかけられることになった。 WG5:ISO 10993-5 「細胞毒性試験」の改訂作業を開始。①定性的な試験法は材料の スクリーニングに使用し、安全性の評価は定量的な試験法で行うことを推奨するこ と;②MEM 抽出法(USP 法)の抽出については、血清が結合する材料もあることも考 慮して、無血清培地と血清含有培地の両方で行うことを推奨すること、が盛り込まれ た。各種試験方法のリスク評価への適用についての annex を起草。CD として投票に かけることを決定。 WG6:DIS 10993-3 「遺伝毒性、発癌性、発生毒性」をコメントをもとに修正し、修 正点を確認後、FDIS として最終投票にかけることを決定。今回の修正において、ア) 埋植発癌試験に関する原則的見解を Annex C として追加、イ)遺伝毒性試験を医療用 具で実施するときの試験デザイン(バッテリー試験の必要性)に関する annex を加え ることを決定した。文献は全て Annex の後に Bibliography としてまとめた(ISO 規 則) 。 WG7: ISO 10993-11 「全身毒性試験」の改訂作業中。ア)現行の急性毒性試験法での 全身毒性検出に対し疑義が提出され、当面、その試験法を存続させるものの、3ヶ月 以 内 に 専 門 家 に よ る 検 討 会 合 を 持 つ こ と を 決 定 ; イ ) 材 料 由 来 の pyrogenicity (material-mediated pyrogenicity) を検出する方法を論議するための新しいタスクフ ォースをつくることを決定;ウ)免疫毒性試験に関するドキュメント(CD 10993-20: WG15/TF1 で作成)を ISO 10993-11 の中に取り込むことで合意。 WG10: 生分解性ポリマーの埋植試験の標準化について基本的概念を整理。また、既存 の関連 FDA ガイダンスおよび ASTM が紹介された。その結果、生分解性材料の埋植 試験を加えるための ISO 10993-6 の全面改訂をスタートさせることを決定した。その 会議は 2002 年 10 月 10 日に(おそらくオスロで)行う。 WG11: ISO 10993-17 「残留許容値決定法」の成立をうけて、ISO 10993-7「残留エ チレンオキシド許容値」を見直す作業を開始することを決定。その作業段取りを合意。 そのための会議を 2002 年 10 月 22-24 日シカゴで行うことを決定。 WG12: 現在の ISO 10993-12 「サンプル調製法と標準材料」の修正作業は本会議で終 了し、FDIS として送ることを決定。同時に、特殊な試験におけるサンプル調製法を含 めるために新たな改訂作業を開始するための NWIP を出すことも決定。 WG13: 現行の ISO 10993-16 「トキシコキネティックス」の有用性について議論した。 WG14: DIS 10993-18 「材料特定法」の修正作業を行った。修正 DIS として再度投票 にかけ、10 月 22 – 24 日シカゴでの会議で再度修正の後 FDIS とすることとした。ま た、WG15/TF3 の提起(Topological and physicochemical characteristics)を ISO 10993-18 に取り込むための NWIP を提出することを合意。 WG15: 生物学的評価に関連する種々の課題、アイデアが提出され議論された:例、高 分子材料の除外原則、組織工学製品の規制とスタンダード、薬液注入装置と医薬品の 相互作用の評価、リスクマネージメント原理の ISO/TC194 への反映、などであった。 5.次回開催予定:2003 年 4 月 7-11 日、米国、ボルチモア市 付録 ISO 14155 に関するベルリン国際会議について(報告) ISO / TC194 / WG4 と CEN / TC258 / WG2 の「医療用具 GCP 基準」 (ISO 14155)に関す る合同国際会議が3月12∼13日ベルリンで開催された。日本からは上田先生(厚生労 働省研究班長) 、古賀氏(厚生労働省) 、上野の3名が出席した。 1.会議の冒頭、上田先生から GCP に対する日本の方針について以下のとおり説明を行っ た。 (1) 日本は薬事法が今春改正されるのに伴い、医療用具の GCP も法制化される予 定である。 (2) ICH-GCP が定着しつつある現状を踏まえ、医療用具 GCP も ICH に極力調和 させる方針である。 (3) 但し、医薬品と医療用具の違いは考慮に入れる。 この発言に対し、オランダ等より日本の方針に賛成する旨の発言があった他、そもそ も ISO14155 は基準にすぎず、EU も法的要求事項を別途追加しているので、無理に ISO14155 を ICH-GCP に合わせる必要は無いのではないか、又規制の整合化という ことであるならば GHTF で議論すべきであるとの発言があった。これに対し、今後 海外で行われた治験データの受け入れという点からも、無視は出来ないので整合化で きるよう検討する必要があると回答し、GHTF で議論すべきであるという意見に対し ては、FDA より GHTF SG1 議長に伝えるとの発言があった。 この説明で、日本の用具 GCP 法制化の方向について、欧米の ISO メンバー国の基本 的な理解は得られたと思われる。新 ISO 14155 に基づく外国臨床データの受け入れに ついて関心が高い。 2.米国の FDA からも冒頭発言あり、今回の ISO 14155 には必ずしも全面的に満足して いる訳ではないが、すでに最終段階を迎えていることもあり成立には賛同する。ただ し、今回の ISO 14155 成立後直ちに次の改訂作業に入りたい旨提案があり、会議の賛 同が得られた。改訂すべき項目については、今回の会議で極力ピックアップし、新 ISO 14155 が公布され次第、本会議メンバーに諮って決定することになった。FDA も医 療用具 GCP の ICH への調和の方向を提案している。今回の合同会議では、主として 文章の明確化、不整合部分の整合化などマイナーな変更のみに留められた。今後の実 質的な変更は、上記2で合意された改訂作業の中で行われることになった。たとえば、 有害事象/副作用の定義と報告のあり方、治験実施計画書や最終報告書の作成責任や 内容のあり方、ヘルシンキ宣言の扱い、患者同意説明文書/同意書、監査の扱い、治 験用具の管理、治験用具の表示などが改訂検討項目にあげられた。 3.日本からの修正意見については、次の結論になった。 (1) ヘルシンキ宣言の扱い(Part 1. 2 項および 5.1 項) ヘルシンキ宣言は Normative reference から削除され、文献の扱いになった。 但し、GCP が「ヘルシンキ宣言に基づく倫理原則」に則ることについては変わ りないので、そのような表現が 5.1 項に盛られた。 (2) “user error”を副作用の定義から削除(Part1. 3.14 項) 否決された。ただし、次回の改訂作業で議論する。 (3) 文献評価(Part 1. 4 項 Note) 用具の種類によって変えるべきという日本案は否決された。 (4) 患者同意文書(Part 1. 6.7.4 と 6.7.5) 日本の提案は否決されたが、改訂作業で議論することになった。 (5) 最終報告書の署名者(Part1. 6.13 項) 日本案は採用。但し、6.13 項は削除し、内容を 11 項に全面的に移すことにな った。 (6) スポンサーの有害事象/副作用の報告義務 を重篤なものに限定すること (Part1. 8.2.h)および 8.2.i) ) 両方ともに採択された。 (7) 最終報告書の署名は、スポンサー/治験調整医師/治験責任医師間で行う(全 治験分担医師までは不要) (Part1. 11.2 項) 採択された。 (8) IRB への副作用は「重篤なもの」に限定する(Part 1. Annex B 0) ) 否決された。 (9) 治験実施計画書の変更で IRB に報告義務のあるのは”significant”に限定(Part 1. C.10)内容的には採択された。但し、amendments という表現になった。 (10) Part 2 の治験実施書(CIP)をすべて Informative Annex とすること 否決された。欧州では制定が必須というのがその理由。 (11) CIP の署名者をスポンサー/治験責任医師とすること(Part 2. 4.2 項) 文章を変えることで事実上採択された。CIP に盛る内容を、ISO 10993-1 に基づいてスポンサーが裁量できるようにする(Part 2. 4.2 項) 否決された。その趣旨はすでに規定されているという理由。 (12) CIP の変更の承認者/署名者をスポンサー/治験調整医師/治験責任医師 とする(Part 2.4. 3.7 項) 採択された。 (13) 治験結果の公表論文化(Part 2. 4.12 項) 日本は Note : “This depends on national legislation”の追加を主張したが、 すでに織り込まれているとして否決された。 以上 図 リスクマネージメントの流れ(ISO 14971 の概念) Risk management Start Definition of use and reasonably foreseeable misuse Hazard identification Risk estimation Risk analysis Yes Risk control Can risk be reduced ? No Is risk acceptable ? Risk assessment No Yes Manage residual risk Risk is broadly acceptable Risk review Risk evaluation
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