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地上波デジタルTV 放送機器のトップダウン設計

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地上波デジタルTV
放送機器のトップダウン設計
始めに
現在西暦2000年以降に本格的な普及を
目指して様々なデジタルTV放送方式
が検討されています。このうちヨーロ
ッパと日本で検討されているのは
OFDM(Orthogonal Frequency Division
Multiplex)と呼ばれる変調方式を用い
たものです。この変調方式は高度なデ
ジタル信号処理を行う最新の広帯域通
信であり、現在携帯電話の世界で話題
のW-CDMAと同様な設計の難しさがあ
ります。
これまでのアナログTVの回路ブロッ
クは図1のように示されます。
これと同じくデジタルTVの回路ブロ
ックは図2のようなものになります。
このように地上波デジタルTVではア
ナログTVとは異なる多くの技術をま
とめて製品を作ることになります。従
って上で示されるように各ブロック間
では様々な信号を交換しながら運用さ
れています。つまり個々の回路ブロッ
クに問題がなくても、それらが相互に
影響しあって様々な障害が発生するこ
とが問題となります。しかし携帯電話
の開発でも明らかなようにこれらの相
互作用による問題は試作に頼って検証
しているのが現状です。
表示(ブラウン管)
技術
画像信号処理
(DSP)技術
アナログ受信技術
(RF及びアナログ)
図1 アナログTV受信器概要
デジタル画像信号
処理(MPEG)
技術
OFDM受信技術
(DSP)
表示(ブラウン管)
技術
マルチメディア制
御技術(MHEG5)
RF受信技術
図2 デジタルTV受信器概要
Agilent Technologies
アドバンスド・デザイン・システム
による設計手法
Agilent アドバンスド・デザイン・シス
テム(Agilent ADS)はこのような複雑
なRF/アナログ/DSPが混在するシス
テムを効率よく検証することの出来る
EDA環境です。
Agilent ADSは従来のEDAツールでは不
可能なRF/アナログ回路とDSPなどの
デジタル回路を協調設計・検証出来る
ツールです。この機能により、例えば
ご注意
2002 年 6 月 13 日より、製品のオプション構
成が変更されています。
カタログの記載と異なりますので、ご発注の
前にご確認をお願いします。
* RF回路の非線形性がDSPを含めた受
信機全体に与える影響
* アナログフィルタの群遅延歪みが
DSPに与える影響
* PLLやVCOなどの位相雑音が受信機
全体に与える影響
* FFT回路のbit幅がRF回路を含めた全
体に与える影響
などの様々な問題を検証することが出
来ます。従来試作機が出来るまで判ら
なかったこれら問題を、Agilent ADSで
は図3のようなアナログ/RFとデジタ
ル回路の協調シミュレーション機能に
よって早期に検証出来ます。
図3 Agilent ADSによるアナログ/デジタル協調設計例
また、Agilent ADSはシステム設計から
実回路設計へのトップダウン設計を1
つのツール内で完結させることの出来
るツールです。例えばアナログのアン
プやVCOのスペックを最適化した後
に、これを同じAgilent ADS上でトラン
ジスタレベルの回路設計が行えます。
またデジタル回路もFFT回路のスペッ
クからAdderとMultiplierを使ったバタ
フライ回路に置き換えて、それを特定
のASICやFPGAに最適化されたHDLと
して動作合成することが出来ます。
図4 Agilent ADSによる階層化された協調設計例
2
Agilent ADSによる地上波デジタ
ルTVシステム設計例
(狭帯域ISDB-T)
DQPSKマッピング
回路
DQPSKデマッピング
回路(Soft Decision)
図5はDQPSKマッピングを用いた狭帯
域ISDB-Tのシミュレーション例です。
図に示されているようにIFFT、FFTを
用いたDSPと非線形性やフェージング
特性がモデル化されたブロックを混在
OFDM変調部(IFFT及びガード
インターバル挿入)
OFDM変調部(マッチドフィルタ、
FFT),チャネル推定回路
してシミュレーションすることによ
り、OFDM変調でのフェージング除去
特性や非線形性による影響を検証出来
ます。
送信RF回路(IQ変調回路及び
非線形アンプ)
アンテナ伝搬(マルチパス、ドップラー
シフト、フェージングモデル)及び受信
RF回路
図5 狭帯域ISDB-Tシミュレーション例
図6に受信したDQPSKのIQシンボル
を、図7に受信スペクトラムを示しま
す。マルチパス、フィルタ、非線形性
に起因した隣接チャンネル電力による
妨害信号の影響などにより、EVMが
5.6%となっています。NFや帯域外か
らの折り返し雑音の影響よりも多くの
ノイズが出ています。これは各サブキ
ャリア間での相互変調歪みの影響と考
えられます。
図6 π/4DQPSKパターン
3
図7 狭帯域ISDB-T受信スペクトラム
図8 狭帯域ISDB-T 受信軟判定 bits
図9 狭帯域ISDB-T 相関器出力
また、図8には受信されたIQパターン
よりデマッピング回路によって導かれ
た受信bit列のヒストグラムが表示され
ています。この図より、受信bitは統計
的に片側にガウシアンノイズが重畳さ
れた信号として解析出来ることが判り
ます。これらより軟判定ビタビ回路な
どの逆符号化回路の出力として得られ
る最終的なビット誤り率を推定するこ
となども出来ます。図9は受信器のマ
ッチドフィルタの出力した相関信号を
示しています。三角波上のピーク信号
がマルチパスの影響で歪んでいること
が判ります。ピーク点のディレイは電
波伝搬によるものです。
Agilent ADSによる地上波デジタルTVシステム設計例(広帯域ISDB-T)
図10 広帯域ISDB-T シミュレーション例
4
次に64QAMマッピングを用いた広帯
域ISDB-T信号の場合を示します。図10
の回路では図5の回路の最初と最後の
IQマッピング回路をDQPSKからQAM
に変更するだけでなく、分散パイロッ
ト信号(Scattered Pilot)を追加するよう
にパラメータが変更されています。こ
図11 広帯域ISDB-T 64QAMパターン
こでは6MHz全帯域ではなく2.1MHzの
部分帯域のみを使用しています。図11
にこの回路の受信IQパターンを、図12
に受信スペクトラムを示します。この
時のEVMは6.8%となっています。
64QAMとDQPSKの平均電力が等しく
なるような定数が掛けられているの
で、このEVMの増加は非線形性ノイズ
以外のノイズの影響が64QAMマッピ
ングにより強調されることによりま
す。広帯域OFDMで顕著に現れる群遅
延歪みの影響(図12参照)が線形チャ
ネル推定回路によって除去されている
ことも同じく判ります。
図12 広帯域ISDB-T 受信スペクトラム
Agilent ADSによるデジタルTV信号とアナログTV信号の混信シミュレーション
アナログTV信号
送信部
アナログTV信号
受信部
図13 広帯域ISDB-TとアナログTVの混信シミュレーション例
5
図13はアナログTV放送が隣接するチ
ャネルにある場合のシミュレーション
例を示します。この回路図ではUHF帯
35チャンネルにアナログTV、36チャ
ンネルに前と同じ広帯域ISDB-Tを送信
し、それぞれ受信した場合の例です。
アナログ、デジタル双方の重なったス
ペクトラムを図14に、64QAMの受信
IQ信号を図15に示します。デジタル
TV信号の出力がアナログTV信号の
1/10のため、スペクトラムではアナロ
グTV信号のサイドローブがデジタル
TV信号帯に混信を起こしています。
一方EVMへの影響は非線形性による影
響より1桁以上小さく、EVMは6.8%と
変わりありません。しかし、図16のア
図14 混信環境下の受信スペクトラム
ナログTV信号の送信波形と受信波形
では大きな差異が出ています。この例
の受信回路は非常に簡易な復調回路で
す。この場合の受信NTSC信号はマル
チパスやフェージングの影響を強く受
けていることが判ります。加えて特に
高周波成分にノイズが重畳しているこ
とも判ります。
図15 混信環境下の64QAMパターン
図16 混信環境下のNTSC送受信信号
Agilent ADSによる符号化、復号化
回路検証
図17の回路はISDB-Tの符号化回路を含
んだ、狭帯域ISDB-Tシミュレーション
例を示しています。この例ではランダ
ムなbit列をリードソロモン符号、パン
クチュアード符号を用いて符号化し、
π/4DQPSKマッピングしています。加
えて2重のインタリーブを行い、(バ
イトインタリーブとキャリアインタリ
ーブ、この場合狭帯域ISDB-Tなので、
セグメント間インターリーブなどは省
いています)通信路のバースト誤りを
ランダム誤りに変換しています。受信
機ではデインタリーブを行い、ビタビ
復号、リードソロモン復号を行ってい
ます。このリードソロモン複合器では
MPEG2のTSP単位のエラー検知も行っ
ています。この設定ではTSPエラーは
検知されませんでした。
6
図17 ISDB符号化部を含んだ帯域ISDB-T シミュレーションの例
図17のシミュレーションにおけるEVM
の時間変化を一部図18に示します。こ
の場合、OFDMセグメント長は384で
す。極端にEVMが上昇している箇所が
384ポイント周期で現れていることか
ら、マルチパスの影響により特定のサ
ブキャリアでEVMが悪くなっているこ
とが判ります。ただしこのサブキャリ
アも一定ではなく、フェージングによ
り変化していることが判ります。
このシミュレーションで、発売予定の
マルチメディアライブラリを信号源の
代わりとすることで実際の映像の送受
信をもとに全体を検証することが可能
になります。
ISDB-Tでは伝送路でのバースト誤りを
深いインターリーブによりランダム誤
りに変換しますので、EVMがフェージ
ングの影響などにより時間と共に大き
く変化するにも関わらず全体で良好な
BERが得られるよう設計されていま
す。HP ADS(バージョン1.1)ではこ
のような通信路では符号化処理と通信
路解析を別個に行うことで、BERをよ
り高速にシミュレーションするIIS手法
によるBER測定機能が予定されていま
す。これにより最大1000倍以上も早く
BER検証を終えることが可能となりま
す。
図18 16EVMの時間変化
7
* OFDM/ISDB-T変復調モデル
Agilent ADSによるOFDM/ISDB-T設
計ライブラリ
π/4QPSK,QPSK,16〜64QAMマッピン
グ/デマッピング回路(Gray Encored/
Binary Encored)、パイロットシンボ
ル&TMCC多重回路、ガードインター
バル付加回路、セグメントウィンドウ
回路、マッチドフィルタ相関器、線形
チャンネル推定回路(Interpolation/
Averaging)、TMCC信号源、固定小数
点形式FFT/IFFT回路
これらシステム設計で使われたモデル
の多くはAgilent ADSのシステム設計環
境であるAgilent CommSysデザイナに
標準で含まれるものです。加えて以下
のようなCコードモデルによりISDB-T
設計を可能としています。これらモデ
ルはアジレント・テクノロジーよりコ
ンサルティングとして提供することが
出来ます。
* ISDB符号化/復号化回路モデル
リードソロモン符号、パンクチュアー
ド符号、各種インタリーブ、セグメン
ト間/セグメント内インターリーブ、
キャリアスクランブル
送信信号 Data
Agilent ESG
B series Signal
Generator
また、Agilent ADSの測定器リンク機能
により、シミュレーションで選られた
ISDB-T/OFDM信号をAgilent ESG Bシ
リーズ信号源で再生出来ます。AMPな
どのDUTを測定する場合には、Agilent
89440ベクトルシグナルアナライザで
測定したデータをAgilent ADSで取り込
むことで、実回路の検証が可能となり
ます。
PC or Workstation
&
Agilent ADS
DUT
受信信号 Data
Agilent 89440
series VSA
図19 Agilent測定システムとのリンク環境
00-2469
040003303-H
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