「コーヒーの森」便り

「コーヒーの
コーヒーの森」便り
「コーヒーの
コーヒーの森」とは・・・
とは・・・?
・・・?
森林再生・災害防止と生活向上は、両者を同時に実現できなければ持続性が図るのが困難です。2009 年
10 月に台風被害を受けたベンゲット州アンバサダー村コロス集落において、一般の樹種の間に換金作物(本
活動ではコーヒー)を混栽する農法「アグロフォレストリー(森林栽培)
」を用い、土地や生物の持続性・
多様性を高めながら森林再生と緑化を行なうとともに、現地の生活向上を図り、被災地の斜面地や水源に
植林を行なって、土砂崩れを防ぎ、水源を確保する活動を行なっています。現地 NGO「コーディリエラ・
グリーン・ネットワーク(CGN)」とともに活動を進めています。
その現地 NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」からの進捗状況をまとめたお便りが届
きましたので、ご報告いたします。
1. 事業の
事業の進捗状況について
進捗状況について
1) 既に実施した
実施した活動
した活動
1.
苗木場建設
コロス集落住民のボランティア活動により、3 月 3 週目にモデル農場内に苗木場の建設を終了し
ました。苗木場にはコーヒーの苗木 8000 本とアルヌス、カリエンドラ、ベンゲット松の苗木
13,500 本を育苗する計画です。現在、苗床に種まきを終えた段階ですが、水タンクとパイプの
施工がまだ終わっていないため、苗床はベンゲット州トリニダードの CGN の苗木場に設置しま
した。2011 年 2 月にまいた種は、アラビカ・コーヒーの種 5kg(約 10,000 個)
、アルヌスの種
1 キロ(約 6000 個)
、カリンエンドラの種 500g(約 5000 個)です。
【アグロフォレストリー農場全体の見取り図】
農場の一角が苗木場(ここ!)
ほか、堆肥場、ビニールハウス、水タンク、ホ
ース、多目的小屋などが示されています。
現地の方と一緒に植樹しています!
大きな実をつけることを願って^^
2.
植林
2010 年 10 月 9 日の当事業開始を記念した植樹プログラムで、WE21 ジャパン・スタッフ、CGN
スタッフ、CGN 奨学金プログラムで学ぶ大学生、バギオ市からのボランティア、そして地元住
民とともに 6,000 本のカリエンドラの苗木をコロス集落の水源涵養地に植樹しました。
3.
アグロフォレストリー・モデル農場作り
住民側で調整役を担当している Felly Damilo さんと多目的組合の組合長 Bakigue Badtating
さんの協力を得て、コロス集落住民の中から以下の条件にあてはまる 10 名の受益者を選定し、
各受益者所有の 5000 平方メートルずつの土地、計 5 ヘクタールをモデル農場と決定しました。
(10 人の受益者については別紙を参照)
。
A、モデル農場のための土地の条件
・最低 5000 平方メートルをモデル農場として提供すること
・モデル農場予定地の 25%以上に、すでにアルヌス、カラサン、バナナ、イピルイピル、ピ
ジョンピー、カッサバやそのほかの果樹など、日陰を作るための木が植わっていること
・木の生えていないエリアをモデル農場とする場合は、まず必ず日陰を作るアルヌスの木を
植えることに合意すること
・当事業から配布された苗木を植えるモデル農場は、地方政府から配布された苗木を植える
場所とは区別すること
B、モデル農場を維持管理するために積極的に活動すること
C、CGN により開催される当事業のすべての講習会に参加すること
なお、受益者によるモデル農場の所有はそれぞれの自身であり、将来のすべての収穫物は受益
者に属する。また、Jhonny Galasgas 氏が管理する 2 ヘクタールを、コミュニティのモデル農場
として無償にて 10 年間借り受け、CGNがその管理を担当することで、2011 年 3 月に契約書を
交わしました。
(添付資料を参照)
4.
講習会
以下の 2 回の講習会を開催しました。
日時
会場
テーマ
講師
参加者数
2010 年
コロス・バプティス
苗床作りとアラビカ・コーヒ
レナート・ギリンゲン
48 名
12 月 2 日
ト教会
ー栽培のための日陰の管理
リリー・ハミアス
2011 年
コロス・バプティス
ミミズ堆肥づくり
レナート・ギリンゲン
1 月 15 日
ト教会
アグロフォレストリーの技
アイダ・パグタン
術
ローデス・シーソン
19 名
リリー・ハミアス
2)今後実施する
今後実施する活動
する活動
1.モデル農場と苗木場
2011 年4月にすべてのモデル農場にて整地開始。植樹用の苗木を購入してコロス集落に運搬し、6 月の雨季
開始とともに植樹を開始します。
CGN 管理のコミュニティ・モデル農場では、作業小屋と水タンクとパイプを設置。6 月の雨季開始後、苗床で
芽を出した苗木をポットに移植し、モデル農場内の苗木場に運搬。
2.植林活動
ベンゲット州国立大学の学生などをボランティアとして招待し、雨季開始後、水源地などに植樹を行います。
また、WE21 からの訪比予定が確定した場合、それに合わせた植樹プログラムを計画する。
3.講習会
以下のテーマの講習会4回を行います。
4 月 木酢液と炭作りの技術。苗木作りと有機農業への活かし方
5 月 アラビカ・コーヒーのモデル農場作りの技術
コーヒーにつく害虫と病気の対策
成功している近隣のコーヒー農園訪問
7月 住民の学生に対す環境教育
8月 コーヒーの品質と加工方法、フェアトレードの紹介
3)当初の
当初の計画との
計画との差異
との差異とその
差異とその理由
とその理由
2010 年 10 月に再び大型台風が事業地を襲ったことにより、
1 ヶ月ほど事業のスケジュールが遅れているが、
内容的にはほぼ計画通りに実施されています。以下が変更点。
苗床をコロス集落内に作った苗木場ではなく、トリニダードのCGNの苗木場に設置。コロス集落が乾季に
はたいへんな水不足であり、苗床の管理に必要な水の確保が難しいことと、苗木場の設置場所の使用許可に関
する契約書の作成に時間がかかり貯水タンクの建設が遅れたことがその理由です。
3.現状での
現状での課題
での課題とその
課題とその解決策
とその解決策
当事業開始とほぼ時期を同じくして、コロス集落には他 NGO、地方政府などによる、被災地復興事業が開
始された。他団体の事業は以下のようなものです。
a. トゥブライ地方政府→被災した家屋の移転と建築
b. キリスト教系 NGO→水道システムの建設
c. 在バギオの農村開発 NGO→養豚による副収入向上のためのブタの貸し出し
d. カリンガ・アパヤオ州国立大学→雨量ゲージの設置
e. トゥブライ地方政府→コーヒーの苗木の支給、土砂崩れ災害地へのベンゲット松の苗木の植樹
内容的には、e.のトゥブライ地方政府の事業と共通するところがあるが、地方政府は苗木の配布のみで、栽
培のための技術指導を行っていないため、当事業は地方政府からもたいへん歓迎されています。ちなみに地方
政府指導の下で土砂崩れ現場に植樹されたベンゲット松の苗木は、土壌条件が悪くほとんど根がつかず育って
いない。当事業での植樹地域はそれ以外の水源地などを対象とする予定です。
2011 年 3 月現在、被害から 1 年半たってようやく家を失った被災者と危険地域に指定された地域住民のた
めの再定住地が確定し、地方政府から資材の支給され、a.の事業が本格的に開始されています。地方政府は労
賃のサポートはしないため、被災住民の多くが自らの手で住宅の建設を行っており、そのため多くの時間を建
設作業に費やし、苗木場建設のボランティア活動への参加が減少しています。しかし、建設作業は乾季中に終
了する予定であり、雨季とともに始まるモデル農場の整地や植樹作業には支障をきたさないと思われます。