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生体ガラスを用いたインプラントの組織学的研究

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補 綴 誌,J
Jpn
Prosthodont
Soc,36:669∼676,1992.
原著 論 文
生 体 活 性 ガ ラス を用 い た イ ンプ ラ ン トの組織 学 的研 究
― 生 体 活 性 ガ ラ ス 周 囲 の 骨 形 成 につ い て―
山森
徹雄
塩山
司
細川
貢
青木美佳子
笹嶋
泉
北村
靖
島崎
伸子
山野 目聡之
工藤
淳一
小笠原綾子
梶村
幸市
石橋
Histological
Study
-Bone
Tetsuo Yamamori,
Izumi Sasajima,
of Dental
Formation
Tsukasa
Implants
around
:
application
Bioactive
Yasushi Kitamura,
of bone formation
Nobuko Shimazaki,
The purposes
Koichi Kajimura
of this study were to examine
study the influences
of the jaw bone condition
determined
according
to the elapsed
mandibular
fourth premolars
Satoshi Yamanome,
which can directly bind to bone, and the
However,
few investigations
the bone formation
on bone formation.
tooth
were extracted,
around bioactive
Conditions
extraction
be more prominent
without
Key
after
much influence
words
:
dental
8 weeks.
insertion.
and implants were inserted
Furthermore,
This result may suggest
from the condition
implant,
glass.
bioactive
bone maturation
that bioactive
glass, and to
of the jaw bone were
and implant
places at 4, 8, and 12 week intervals.
In all cases, after 2 weeks a layer of newly formed bone tissue of various maturation
found to be in direct contact with the bioactive
on
glass in the jaw bone have been reported.
time between
of 6 beagles
Mikako Aoki,
and Kanji Ishibashi
has been attempted.
around the bioactive
Glass
Glass-
Bioactive
glass has been known as a material
of it to the field of dental implants
the progress
Bioactive
Shioyama, Mitsugu Hosokawa,
Junichi Kudo, Ayako Ogasawara,
Abstract
using
寛二
The
into the same
levels were
was found to
glass can bind to bone
of the jaw bone.
glass,
bone
formation,
bone
condition
I. 緒
言
骨 と直接結 合す る材料 として生体活 性 ガラスが 開発
岩手 医科大学歯 学部歯科補 綴学 第二講 座(主 任:石 橋 寛二教
授)
Department of Fixed Prosthodontics,
School of Dentistry,
Iwate Medical University (Chief : Prof. Kanji Ishibashi)
されて以 来,種 々 の基礎 的,臨 床的 な報告 がな されて
い る1∼19).生
体活性 ガラス の人 工 歯根 として の応用 を
平 成4年1月28日
考 え る場 合,顎 骨 中 に埋 入 された生体 活性 ガ ラス周囲
受付
209―669
補綴 誌36巻3号(1992)
210―670
の組 織 変 化 を 明 らか に す る こ とが 重 要 で あ る.と
りわ
け,生 体 活 性 を有 す る材 料 の 特 長 を 活 か し た イ ン プ ラ
ン ト臨 床 を確 立 す る た め に は,埋 入 され る顎 骨 の 状 態
パ ー コ ー ン型 の も の で あ る(Fig.1).ま
は生 後1.5∼2年
の ビ ー グ ル犬6頭
下 顎 左 右 側 第4前
た実験 動物 に
を用 いた。
臼 歯 を抜 去 し,そ の4,8,12週
に よ っ て 生 じ る骨 形 成 の 過 程 が 詳 細 に示 され な け れ ば
後 に イ ン プ ラ ン トを 埋 入 し た.埋
な ら な い.
か じめ 模 型 上 で 設 定 し て お い た 穿 孔 用 ガ イ ド(Fig.2)
本 研 究 で は 顎 骨 中 に埋 入 さ れ た生 体 活 性 ガ ラ ス周 囲
の 組 織 変 化 を 追 究 す る 一 環 と し て,埋 入 後 の 骨 形 成 に
つ い て 組 織 学 的 に調 べ た.ま
状 態 を,抜
た 埋 入 され る骨 の 種 々 の
歯 か らイ ン プ ラ ン ト埋 入 ま で の 期 間 の 違 い
を用 い,粘
膜 骨 膜 弁 を形 成 し た 後,ラ
パ イ ロ ッ ト ・ ド リル,ス
料 と方 法
ウ ン ド 。バ ー,
トレ ー ト ・ ド リル,リ
ーマ ・
ー マ ・ ド リル 使 用 時 の 回 転 数 を毎
転 と し,他 は1,000回
成 部 位 は第4前
II.材
ら
ド リル を順 に用 い て 生 理 食 塩 水 の 注 水 下 で 埋 入 窩 を形
成 した(Fig.3).リ
分600回
に よ り設 定 し,反 応 の差 異 に つ い て 検 討 し た.
入 に際 し て は,あ
転 と した.埋
臼 歯 槽 間 中 隔 部 と し,イ
頬 舌 側 端 部 が 骨 縁 下0.3∼0.5mmと
入窩 の形
ン プ ラ ン トの
な る深 さ と した.
形 成 され た埋 入 窩 に イ ン プ ラ ン トを挿 入 して 手 指 圧 で
本 研 究 に 用 い た イ ン プ ラ ン トは 金 属 芯 体 をSiO2P2O5-CaO-Na2O系
生 体 活 性 ガ ラ スSE51で
た構 造 を有 し,長 さ9.0mm,最
大 直 径3.9mmの
被 覆 し
テー
適 合 さ せ た後,粘
埋 入2,8週
膜 骨 膜 弁 を戻 して 縫 合 し た。
後 に屠 殺 し,周
ラ ン トの 近 遠 心 約10mmの
囲顎 骨 と と もに イ ンプ
位置 でタ ング ス テ ンカー
バ イ ド ・バ ー に よ り下 顎 骨 を離 断 して 標 本 採 取 を行 っ
た.
採 取 し た 標 本 を 中 性 緩 衝10%ホ
ル マ リ ン で 約1週
間 浸 漬 固 定 した の ち,流 水 で十 分 洗 浄 し,ア ル コ ー ル
系 列 で脱 水,ア
セ トン置 換 後 ポ リエ ス テ ル 樹 脂(リ
ラ ック2004,70F応
研 商 事)に 包 埋 した.バ
(BS-3000Exakt社
製)に
ン ド・ソ ー
よ リ イ ン プ ラ ン トの近 遠 心
的 中 央 部 で 頬 舌 断 した 後,近
Fig. 1 The Nikon Dental Implant
ゴ
遠 心 方 向 に切 断 し,グ
ラ
SO used in this study
本 研 究 で 用 い た ニ コ ン ・デ ン タ ル ・イ ンプ ラ ン ト ・SO
Fig.
Fig. 2 The drilling guide preoperatively
adjusted on a cast
術前 に模型上で調整 した穿孔用ガ イ ド
3
The
canals
bur
and
drills
for internal
used
for
drilling
containing
irrigation
内部 注 水 す る た め の管 を有 す る 穿 孔 用 バ ー,ド
リル 類
生体 活 性 ガ ラ ス を用 い た イ ンプ ラ ン トの組 織学 的 研究
211―671
表 面 で は類 骨 層 を 介 して 骨 芽 細 胞 様 の細 胞 が 配 列 し て
い る部 分 が 多 くみ られ た.ま
た骨 梁 間は線維芽 細胞 や
膠 原 線 維 に 富 む組 織 よ り な っ て い た.
2)抜
歯 後8,12週
抜 歯 後8,12週
埋 入群
で 埋 入 し た 群 の埋 入2週
性 ガ ラ ス 周 囲 の組 織 所 見 は,抜 歯 後4週
後 の生体 活
で埋 入 した群
と明 らか な違 い は 認 め られ な か っ た(Fig.6,7).す
な
わ ち生 体 活 性 ガ ラ ス表 面 の 多 くの部 分 が 線 維 骨 の 薄 い
層 で 覆 わ れ,線 維 骨 の な い 部 分 に は 石 灰 化 物 と考 え ら
れ る顆 粒 状 物 が み ら れ た.し
か し イ ン プ ラ ン トか ら離
れ た抜 歯 窩 相 当部 の 骨 梁 は,抜 歯 後8週
Fig. 4
X ray photograph
implant
showing
the placement
of the
in jaw bone
イ ン プ ラ ン トの 埋 入 位 置 を示 すX線 写 真
で 埋 入 した 群
で は骨 梁 が線 維 骨 か ら な る もの の そ の 大 き さ を増 し,
部 分 的 に成 熟 した 層 板 骨 の 形 成 が 認 め ら れ た.ま
歯 後12週
た抜
で 埋 入 した 群 で は さ ら に骨 改 造 が 進 み,明 瞭
な 層板 構 造 を示 す 領 域 が 拡 大 し て い た.
イ ン デ ィ ン グ マ シ ン(MG-4000Exakt社
製)で 約100
製 した標 本 にヘ マ ト
2.埋
入 後8週
の所見
キ シ リ ンー エ オ ジ ン 染 色 を施 し,光 学 顕 微 鏡 で 観 察 し
1)抜
歯後4週
埋 入群
μmの 非 脱 灰 標 本 を 作 製 し た.作
た.
抜 歯 後4週
な お,イ
ン プ ラ ン ト埋 入 直 後 のx線
写 真(Fig.4)で
明 らか な よ う に,イ ン プ ラ ン トの 歯 槽 頂 側1/2∼1/3の
近 遠 心 部 が 抜 歯 窩 に 面 す る た め,こ
の部 分 を 中 心 に 非
Fig.8に
で 埋 入 し た 群 の 埋 入 後8週
示 す.生
の所 見 を
体 活 性 ガ ラ ス表 面 の 多 く は直 接 周 囲
の 新 生 骨 と接 し て い た.新 生 骨 の 骨 髄 腔 は狭 小 とな り,
そ れ ら骨 髄 腔 内 の 骨 面 に 沿 っ て 骨 芽 細 胞 様 の 細 胞 を認
め る もの や毛 細 血 管 を含 む もの が 多 か っ た が,中
脱 灰 標 本 の 観 察 を行 っ た.
には
多 核 の 細 胞 を含 む も の も み られ た.改 造 に よ る接 合 線
III.結
果
も み られ,さ
らに 一 部 で は層 板 骨 へ の 置 換 が 進 行 し て
い た.
1.埋
入 後2週 の所 見
イ ン プ ラ ン ト周 囲 の既 存 の 骨 梁 の 部 分 で も,埋 入2
1)抜
歯後4週 埋 入群
週 後 に 比 較 し骨 梁 の 太 さが 増 し,層 板 構 造 が み られ る
抜歯後4週 で埋入 した群 の埋 入2週 後 の組 織所 見 を
Fig.5に 示す.生 体 活性 ガ ラ ス表 面 の 多 くの部 分が 数
μm∼ 数+ μmの 厚 さの線 維 骨 で覆 われ,そ の外 側 に
はエオ ジ ン好性 の類 骨様 の層 を介 して骨 芽細胞 様 の大
部 分 も あ っ た.ま
た 骨 髄 腔 に は線 維 性 の組 織 に 加 え脂
肪 組 織 もみ ら れ る よ う に な っ て い た.
2)抜
歯 後8,12週
抜 歯 後8,12週
埋入群
で 埋 入 し た 群 で の 埋 入8週
後 の生体
型 の間葉 系細胞 が密 に配 列 して いた.ま た,周 囲の既
活 性 ガ ラ ス 周 囲 の 骨 形 成 に つ い て の 所 見 は,抜
存 骨 に添加 された線 維骨 と生体 活 性 ガラ ス表 面 の線 維
週 で埋 入 した 群 と ほ ぼ 同 様 で あ っ た(Fig.9,10).す
骨 が連結 してい る部 分 や,既 存 の骨 と生 体活 性 ガ ラス
な わ ち 生 体 活 性 ガ ラ ス 周 囲 は 埋 入 後2週
歯 後4
の 群 よ り厚 み
が近 接 して い る部 分 もみ られ た.線 維骨 の ない部 分 に
を増 し,や や 骨 改 造 の 進 ん だ 新 生 骨 に接 し て い たか ま
は石灰化 物 と考 え られ る顆粒状 物 が多数 み られ,そ の
た イ ン プ ラ ン トか ら離 れ た 抜 歯 窩 相 当部 の 骨 梁 は,抜
周囲 に骨 芽細胞 様 め細胞 が散 在 して いた.石 灰化物 と
歯 後8,12週
考 えられ る顆粒 状物 は生 体活性 ガ ラ ス表 面 に近 い部 分
群 よ り骨 改 造 が 進 行 して 多 くの 層 板 構 造 を示 す よ う に
で 埋 入 した 群 と も抜 歯 後4週
で埋 入 した
ほ ど密度 が高 くなって,こ れ が次 第 に線 維骨 へ移行 し
な っ て い た.骨 髄 腔 は 広 くな り,そ の 中 に よ り多 くの
てい る像 もみ られ た.
脂 肪 組 織 が 認 め られ た.
イ ンプ ラ ン トか ら離 れ た抜 歯 窩 相 当部 の 骨 梁 は,
種 々の 大 きさや 形 態 を呈 す る幼 若 な線 維 骨 よ りな る
が,通 常 の海 綿骨 梁 よ り小 さい もの が多か った.そ の
補 綴 誌36巻3号(1992)
212―672
Fig.5-a
Histological
findings around the bioactive glass at 2 weeks after insertion
(inserted 4 weeks after tooth extraction,
Fig.
5-b
×280)
The surface of the bioactive
in contact
with a thin layer
formed fibrous bone
×280)
glass is
of newly
The granules
which are
be calcareous
structures
observed
on the surface
active glass
埋入2週 後 の組織所見(抜 歯後4週 埋
入群)
生体活性 ガラスは新生線維骨の薄層 と
接 している
Fig.
6
Histological findings around the bioactive glass at 2 weeks after insertion
(inserted 4 weeks after tooth extraction,
Histological findings around bioactive
glass at 2 weeks after insertion (inserted
8 weeks after tooth extraction, x 120),
which are similar to those of Fig. 5
埋 入2週 後の組織所見(抜 歯後8週 埋入
群)
抜歯後4週 埋入群に類似 した組織所 見を
示す
assumed
to
that is also
of the bio-
埋入2週 後の組織所見(抜 歯後4週 埋
入群)
生体活性 ガラス表面 には石灰化物 と考
えられ る顆粒状物 もみられ る
Fig.
7
Histological
findings
glass
at 2 weeks
12 weeks
after
which
are
similar
around
after
tooth
to
bioactive
insertion
(inserted
extraction, •~
120),
those
of Fig.
5
埋入2週 後の組織 所見(抜 歯後12週埋入
群)
抜歯後4週 埋入群 に類似 した組織所 見を
示す
生 体 活性 ガ ラス を用 いた イ ンプ ラ ン トの組 織 学 的研 究
Fig.
8
tiistoiogicai
glass
findings
at 8 weeks
4 weeks
The
the
after
bone
bioactive
maturation
in
around
after
tooth
layer
in contact
glass
becomes
of new
bone
9
(inserted
extraction, •~
directly
Fig.
bioactive
insertion
8 weeks
with
which
to
findings
at 8 weeks
120)
after
are
after
tooth
similar
to
around
bioactive
insertion
(inserted
extraction, •~
120),
those
8
of Fig.
埋 入8週 後 の組織所 見(抜 歯後8週 埋入
群)
抜歯 後4週 埋 入群 に類似 した組織所見 を
示す
thicker,and
is seen
Histological
glass
213―673
be
progress
埋 入8週 後 の 組 織 所 見(抜 歯 後4週 埋 入
群)
生 体 活 性 ガ ラ ス に 接 す る骨 層 は よ り厚 く
な り,新 生 骨 の 成 熟 が 進 行 して い る
IV.考
1.実
察
験 設定 につ いて
イ ヌ に お け る 抜 歯 窩 の 治 癒 過 程 に つ い て,高 橋 は次
の よ う に報 告 して い る20,21).抜歯 後2日
餅 で 満 た され,抜
は,抜
歯 後8日
歯 後4日
で抜 歯窩 は血
で形 成 が始 ま っ た 肉 芽 組 織
に は 抜 歯 窩 を満 た す よ う に な る.抜 歯
後15日
で は 抜 歯 窩 の2/3に
新 生 骨 梁 が 形 成 され,抜 歯
後30日
に な る と抜 歯 窩 が 新 生 骨 梁 で 満 た さ れ る が 骨
梁 は 未 だ 細 く,周 囲 に 多 くの 骨 芽 細 胞 が 存 在 し,骨 髄
の 形 成 は み られ な い.抜 歯 後50日
し骨 髄 が 形 成 され る が,上
で は新生骨 梁が肥 厚
方の骨 髄 は狭小 で炎症性 変
化 が 残 存 し て い る.抜 歯 後80日
で は新 生 骨,骨 髄 と も
ほ ぼ 定 型 的 構 造 を示 す.
本 研 究 で は 抜 歯 か ら イ ン プ ラ ン ト埋 入 ま で の 期 間 を
4,8,12週
と し て,そ れ ぞ れ 埋 入2,8週
後のイン
プ ラ ン ト周 囲 組 織 の 所 見 を比 較 観 察 した.
Fig.
10
Histological
findings
glass
at 8 weeks
12 weeks
after
which
are
similar
around
after
tooth
to
bioactive
抜 歯 後4週
insertion
(inserted
extraction, •~
120),
those
of Fig.
8
埋入8週 後 の組織所 見(抜 歯後12週 埋
入群)
抜歯後4週 埋 入群 に類似 した組 織所見
を示す
る が,そ
で は抜 歯 窩 が 幼 若 な 新 生 骨 梁 で 満 た され
の 周 囲 に は骨 芽 細 胞 が 多 数 存 在 し骨 形 成 が 盛
ん な 時 期 と考 え られ る.本 研 究 で は顎 骨 の 状 態 の 違 い
補 綴 誌36巻3号(1992)
214―674
に よ る差 異 を 検 討 す る こ と を 目的 と し て い る た め,イ
ル シ ウ ム の 結 晶 化 が 起 こ る とい う 説 を 示 した.ま
ン プ ラ ン トを埋 入 す る時 期 を 抜 歯 後 間 もな い時 期 と抜
Neumanら23)は
歯 窩 の治 癒 が 完 了 した時期 とを比較 す るの が 望 ま し
が 骨 塩 に対 し て 過 飽 和 で あ る こ と を実 験 的 に 証 明 し て
い.し
か し抜 歯 窩 が 血 餅 や 肉 芽 組 織 で 満 た され て い る
Robinsonの
た,
血 清 中 で リ ン酸 イ オ ン と カ ル シ ウ ム
説 を 否 定 した 上 で,な
ん らかの 酵 素 や触
状 態 で は,埋 入 直 後 の イ ン プ ラ ン トの 安 定 が 得 られ に
媒 が 活 性 化 エ ネ ル ギ ー を下 げ る こ と に よ っ て 骨 塩 が 形
く く,こ の こ とに よ る骨 形 成 へ の 影 響 が 懸 念 さ れ た.
成 され る と考 え た.そ
よ っ て抜 歯 後 埋 入 まで の 最 も短 い期 間 を化 骨 期 で あ る
小 胞 とい わ れ る直 径 約30∼300nmの
4週 と した.ま
が 発 見 され た24).基 質 小 胞 の 内 容 物 は様 々 で,こ の 中 で
た抜 歯窩 の治癒 が完 了 して周囲顎 骨 と
同 様 の 構 造 を呈 す る と考 え ら れ る 抜 歯 後12週
ま で の 最 も長 い 期 間 と し た.さ
間 と し て 抜 歯 後8週
を埋 入
ら に これ ら の 中 間 の 期
を設 定 し た.
の 後 石 灰 化 開 始 部 位 付 近 に基 質
膜 性小 胞構 造物
形 成 さ れ た 結 晶 様 構 造 物 が 増 大 して 細 胞 膜 を破 り,石
灰 化 が 始 ま る と い う説 が 提 示 さ れ た.基
質小 胞 中での
結 晶 化 に つ い て は ア ル カ リフ ォ ス フ ァタ ー ゼ が 関 与 し
て い る とい う説25)や脂 質 が 関 与 して い る と い う 説26)な
2.生
体活 性 ガ ラス周囲 の骨形 成 につい て
どが あ る が 定 ま った 見 解 は な い.
生体活 性 ガラス周 囲の骨 形成 に関 する数編 の組織 学
的 報 告 が あ る が,い
ず れ もラ ッ トも し く は家 兎 の 大 腿
骨 や 脛 骨 を対 象 と し て お り,ヒ
トの 顎 骨 に比 べ て創 傷
今 回 の 結 果 か ら は石 灰 化 開 始 機 序 を裏 付 け る よ う な
所 見 は 得 られ な か っ た が,埋
入2週
後 に み られ た 顆 粒
状物 の密 度 は生 体 活性 ガ ラ ス表面 に近 い部 分 で大 き
治癒 能力 に優れ た骨 中に埋 入 した結果 につ いての報 告
か っ た.in vitroで
で あ る2∼6,9,12,14).し
た が っ て 骨 組 織 と生 体 活 性 ガ ラ ス
性 ガ ラ ス 表 層 部 の リ ン 酸 カ ル シ ウ ム 濃 度 が 高 くな る よ
の 結 合 は確 認 さ れ て い る もの の,そ
さ れ て お らず,ま
の 経 過 は明 ら か に
た人 工 歯 根 と して の 応 用 を想 定 して
の 実 験 に よ り,緩 衝 液 中 で は生 体 活
う変 化 す る こ とが 報 告 さ れ て い る7).invivoで
の 層 が形 成 さ れ る の で あ れ ば,こ
も同様
の 部 位 か らの リ ン酸
顎 骨 中 に埋 入 さ れ た 生 体 活 性 ガ ラ ス に つ い て の 組 織 学
イ オ ン や カ ル シ ウ ム イ オ ン の供 給 が 生 体 活 性 ガ ラ ス 表
的 追 究 は認 め られ な い.
面 の 顆 粒 状 物 形 成 や 骨 形 成 に 影 響 を 及 ぼ し て い る可 能
今 回,生 体 活 性 ガ ラ ス イ ン プ ラ ン トを ビー グ ル 犬 の
顎 骨 に 埋 入 し た.そ
の結 果,埋
入2週
ガ ラ ス 表 面 の 多 くは 線 維 骨 の 菲 薄 な 層 で 覆 わ れ,線
維
骨 の な い部 分 に は ヘ マ トキ シ リン好 性 の顆 粒 状 物 が 多
数 み られ た.こ
性 が あ る と考 え られ る.
後 に は生 体 活 性
の 顆 粒 状 物 は,線 維 骨 の近 傍 や 生 体 活
3.顎
骨 の状 態 によ る生 体活性 ガ ラス周 囲 の骨 形成
の差 異 につ いて
本 研究 で は顎 骨の状 態 に よる生体 活性 ガ ラス周囲 の
性 ガ ラ ス表 面 に近 い 部 分 ほ どそ の 密 度 が 高 くな り,形
骨形 成 の差 異 を調べ る目的で,抜 歯後 イ ンプラ ン ト埋
態 的 に は,線 維 骨 へ と移 行 し て い た.埋 入 後8週
入 までの期 間 を4,8,12週
では
と設 定 した.実 験設 定の
生 体 活 性 ガ ラ ス周 囲 に み られ た 新 生 骨 の 層 板 骨 へ の 成
項 で述べ た よ うに イ ンプラ ン ト埋 入時 点 には各群 の抜
熟 像 が み られ た.
歯窩 の状態 が異 な ってい る と考 え られ るが,埋 入2,
以 上 の こ と よ り生 体 活 性 ガ ラ ス周 囲 に お け る骨 形 成
の 経 過 に つ い て次 の よ う に考 え られ た.す
8週 後 の組織 所 見 で は明 らか な違 いが み られ な か っ
なわ ち顎骨
た.こ の結 果 よ り生体 活性 ガ ラス周 囲の骨 形成 は埋入
中 の 生 体 活 性 ガ ラ ス 周 囲 の 骨 芽 細 胞 に よ り形 成 さ れ た
され る顎骨 の状 態 に よる影 響 を受 けに くい こ とが示唆
類 骨 組 織 中 で 石 灰 化 が 起 こ っ て線 維 骨 と な り,線 維 骨
された.
体 活性
この よ うな結 果が得 られ た原 因 を本 研究 の みか ら断
ガ ラ ス表 面 と既 存 の 骨 梁 との 間 隙 が 広 い 部 分 で は類 骨
定 す るこ とはで きな い.し か し埋 入2週 間後 にみ られ
層 の 外 側 に も顆 粒 状 の 石 灰 化 物 が 形 成 され る こ とが あ
た線維 骨 お よび顆 粒状 物の 形成 が既存 の骨 梁の存在 し
り,こ の 部 分 も骨 形 成 の 場 と な っ て い くで あ ろ う.
ない部分 にお いて も生 体活 性 ガ ラスに近接 した部 位で
は そ の 厚 さ を 増 す と と もに 成 熟 して い くが,生
結 合 組 織 中 で の 石 灰 化 開 始 に つ い て は古 くか らい く
つ か の説 が 唱 え られ て い る が,現
な い.Robinson22)は
在 に 至 る まで 定 説 は
組 織 内 で は リ ン酸 イ オ ンや カ ル シ
ウ ム が 不 飽 和 で あ る と考 え,ア
進行 していた ため,生 体活 性 ガ ラスの存在 によって骨
形成 が なん らか の影響 を受 けて いた可 能性 もある.
本研 究 では抜歯 窩 の治癒過 程 にお け る3つ の ス テー
ル カ リ フ ォ ス フ ァタ ー
ジを顎 骨 の状 態 の違 い として設定 して い るた め,各 群
ゼ が リン 酸 イ オ ン濃 度 を高 め る こ と に よ っ て リ ン 酸 力
での骨 形成活 動状 態 は異 な るが,本 質 的な骨 形成 能 に
生体 活 性 ガ ラ ス を用 いた イ ンプ ラ ン トの 組織 学 的研 究
は差 が ない と考 え られ る。今後,骨 代謝 異 常な どの病
chemistry
的状態 また はそれ らの治癒 後 の骨 への生 体活 性 ガ ラス
Mater
インプ ラ ン ト応 用 の適否 につい て も検討 す る必 要が あ
7)
on
Res,
215∼675
implant
interface
10 : 161•`174,
J
Ogino, M., Ohuchi, M. and Hench, EL.:
dependence of the formation
ろう.
histology,
Biomed
1976.
Compositional
of calcium phosphate
on bioglass, J Biomed Mater Res, 14 : 55-64,
8)
V.結
論
藤 生 尚 光, 矢 内純 一, 荻 野
films
1980.
誠 ほ か: 生 体 活 性 ガ ラス を用
い た 人 工 歯 根 の 力 学 的 挙 動,
歯 界 展 望, 56: 669∼674 ,
1980.
顎 骨 中 に埋 入 され た生 体 活 性 ガ ラ ス周 囲 の組 織 変
9) 井 上 直 彦, 伊 藤 学 而, 亀 谷 哲 也: 生 体 活 性 ガ ラ ス を用 い た
化,お よび埋 入 され る顎 骨 の状 態 の違 い によ る組織 変
化 の差 異 を調 べ る 目的 で ビーグ ル犬 を用 い た実 験 を
人 工 歯 根 の 開発,
10)
行 った ところ,以 下 の結 論 を得 た.
1.埋 入後2週 で は生 体活 性 ガラ ス表 面 の多 くの部
分 が線維 骨で 覆わ れ,線 維骨 の ない部分 には石灰化 物
と考 え られ る顆 粒状 物が み られ た.
2.埋
behavior
11)
日矯 歯 誌, 40: 291∼299,
Fujiu, T. and Ogino, M. : Difference
among surface
1981.
of bond bonding
active glasses
and sintered
apatite,
J Biomed Mater Res, 18 : 845-859,
Kaneko,
T. and Nagai, Y. : Acoustoelectric
for
assessing
-bone
the
mechanical
interface
, J
入後8週 で は生体 活性 ガラ ス周 囲 の新 生骨 が
state
Biomed
1984.
technique
of the dental
Mater
Res,
20
implant
: 169•`176,
1986.
厚み を増 す とともに層板 骨へ の置換 が進 ん でい た.
3.抜
12)
歯後 イ ンプ ラン ト埋 入 までの期 間 を4,8,
鈴 木 鍾 美, 井 上 直 彦, 伊 藤 学 而 ほ か: 生 体 活 性 ガ ラ スの 骨
組 織 に及 ぼ す 影 響 に 関 す る実 験 的研 究(第1報),
12週 としたが,生 体 活性 ガ ラス周 囲の骨 形成 に明 らか
な差 は認 め られな か った.こ れ によ り生体 活性 ガ ラス
誌, 11: 320∼325,
13)
工 藤 啓 吾, 藤 岡 幸雄,
日口 外 誌, 32: 2083∼2089,
14)
Ito, G., Matsuda,
comparison
本論文の要旨は第84回 日本補綴 歯科学会学術 大会(1990年10
月,大 阪),お
よ び World
'91(1991年9月
shima,
Congress
on Prosthodontics,
,広 島)に
お い て発 表 し た.
Hiro-
Matsuda,
of
献
Hench, L.L., Splinter,
16)
mechanisms
materials,
R.J. and Allen, W.C. : Bonding
at the interface
J Biomed Mater
of ceramic
Res Symposium,
17)
18)
2)
Beckham, C.A., Greenlee, T.K. and Crebo, AR.:
formation
8:
3)
165-171,
at ceramic
implant
interface,
Calc
1971.
19)
J Biomed Mater Res, 6 : 235---
of bioactive glassceramic
J Biomed Mater Res Symposium,
5)
4 : 25-42,
Hench, L.L. and Paschall, H.A. : Histological
at a biomaterial's
∼64
6)
to bone and muscle,
20)
Biomed
Itoh, S., Ishibashi,
glass
Yamamuro,
on
T.,
of bioactive
Boca
Raton,
青 木 美佳 子, 塩 山
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the
function
Hench,
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L.L.
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4)
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15)
Mater
文
宮沢 政 義 ほ か: 生 体 活 性 ガ ラス を用
い た 人 工 歯 根 の 臨 床 応 用 一第1報
周囲の骨 形成 は埋入 され る顎骨 の状 態 に よる影 響 を受
け に くい こ とが示唆 され た.
岩医大歯
1986。
21)
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lipids
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N.S., Anderson,
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from
14
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: 275•`281,
fetal
1974.
S.W. : The
epiphyseal
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