知っておきたい 働くときのルール - 沖縄労働局

知っておきたい
働くときのルール
平成 25 年度 新規高卒就職内定者に対する説明会 宮古労働基準監督署 南
はじめに
厚生労働省(労働分野)のとりくみ
(1) 良質な雇用の確保(職業安定)
: ハローワーク
(2) 安全で安心して働ける職場づくり(労働条件の確保): 労働基準監督署(監督、司法、労災、検査)
(3) 仕事と家庭の調和(男女雇用機会均等): 雇用均室
1. なぜ働くのか
①生活の維持
②才能や能力を生かす
⑤技術の習得・発展
③自己の成長、生きがい
④他者への貢献⇔自己実現
⑥社会貢献、社会参加
2. 働く上での知っておくべきこと(自分を守るためにも)
(1) 労働法等がある(本日のポイント1)
。
(2) 会社内に決まりがある(業務マニュアル、就業規則、服務規程、情報管理等)
(3) 社会的なルールがある(常識、道徳、慣習等)
(4) 労働問題で困ったり、悩んだら相談機関や指導機関がある(本日のポイント5)
(5) 権利と義務。賃金は、労働の対償である(労働者が提供した労働に対して支払われるの
労基法第 11 条)
3. 働く上で留意すること(トラブルを防止するため、健康で安心して働けるため)
(1) 法令、就業規則等のルールを守ること。社会人として社会常識、道徳、慣習等を踏まえた言動をとること
(倫理、マナー、教養、常識、言葉使等)
。
(2) 自己の力を十分発揮できるような健康管理(運動、食事、睡眠、気分転換、その他ストレス解消)
。
1
本日のポイント
① 労働法について ② 労働相談の状況
③労働相談窓口 ④労働相談の事例 ⑤トラブルへの対応
1 労働法について~制度を理解しましょう~
1. 労働法
労働法という法律が制定されているのではなく、労働に関する法律の総称です。
基本は、憲法 27 条や 28 条です。法律では①労働条件に関する法律、➁雇用の確保
や安全のための法律、③労働保険や社会保険に関する法律、⑤労働者福祉の増進に関す
る法律、⑥労働組合に関する法律等があります。
2. 労働法の役割とは:
知っておきたい
働くときのルールに
ついて
厚生労働省 労働基準局
監督課
立場の弱い労働者保護のため
雇用契約は、もともと当事者間で自由に決めることが可能です。しかし、契約を当事者間で自由に決めるこ
とが可能だからといって、これを放置した場合、実質的に事業主に比べて立場の弱い労働者の権利を十分に保
護することができません。よって、法令などルールを定め労働者の生活を守る必要があります。法律が雇用契
約の内容をある程度決めており、契約内容の効力の無効や法違反に対する罰則も定められています。
3. 労働契約の際に知っておきたいこと
(1) 労働契約:労働契約(雇用契約)内容を確認しましょう(契約期間、就労場
所、業務内容、労働時間、賃金、退職)
(労基法15)
(2) 就業規則:会社の就業に関するルールを知りましょう(労働者 10 人以上事業
場は作成の義務)
(労基法89)
(3) 各種保険制度: 安心して働くためのもの。労働保険(労災、雇用)、社会
保険(健康、年金)を確認しましょう。
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4. 働くときのルール
(1) 労働条件について: 一方的に不利益変更などは出来ません(労契法 9)。
(2) 賃金の決まり: 賃金の支払いについてのルールがあります。
①通貨払の原則、②直接払の原則、③全額払の原則、④毎月 1 回以上の原則、
⑤定期払の原則(労基法 24)
減給の定めの制限(労基法91)
、休業手当(労基法26)
、給与明細書(所
得税法231)
(3) 最低賃金: 各都道府県に最低賃金があります(沖縄県最低賃金時間額 664 円)。
(4) 労働時間: 法定労働時間 1 日 8 時間以内、週 40 時間以内(労基法32)
① 時間外労働時間: 労使協定により法定労時間を超えて働かせることができます(労基法
36)。原則は、月45時間、年間 360 時間。
② 割増賃金:法定労働時間を超える労働、法定休日労働、深夜労働に割増し賃金があります(労
基法 37)
。
(5) 休憩: 労働時間6時間超~8時間が 45 分以上、8 時間超が 60 分以上(労基法34)。
(6) 休日: 毎週 1 回以上あるいは 4 週 4 日以上(労基法35)。
(7) 年次有給休暇: 6 ヶ月以上勤務&全労働日 8 割以上出勤&週 5 日以上勤務で 10
日以上(労基法 39)
5. 仕事を辞めるとき・辞めさせられるとき(自分の都合・会社の都合)
(1) 退職手続、届出期間等: 就業規則の定めを守ることでトラブルを避けることができます。
(2) 退職の申出: 書面で行った方が確実です
① 雇用契約上の期間の定めがある場合: やむを得ない事情が無い限り期間満了まで退職は出
来ません。しかし、労使の合意の退職は可能です。
② 雇用契約上の期間の定めがない場合: 2週間前までに通知しましょう(民法627)
。ただ
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し就業規則にも配慮しましょう。
(3) 解雇の理由など: 客観的に合理的な理由(社会常識的に納得できる理由)。社会通念上相
当(解雇処分が相当か)
(労契法16)。
(4) 解雇手続: 解雇の 30 日前までに予告する必要があります(労基法20)。※解雇理由や手
続きについては、就業規則で確認しましょう。
① 雇用契約上の期間の定めがある場合: やむを得ない事情が無い限り期間満了まで解雇する
ことは出来ません(労契法17)
。
(5) 会社が無くなったら: 賃金未払、解雇の問題等の問題について労働基準監督署へ相談する。
6. 多様なはたらき方
(1) 派遣労働: 派遣元事業主と雇用関係下で派遣先事業主の指揮命令を受けて働く形態。
(2) 契約社員: 一般的に正社員とは別の労働条件の下に、給与額や雇用期間などについて
個別の労働契約を結んで働く常勤社員のこと。雇用期間に定めがある契約が一般的。
(3) パートタイム労働者:
通常の労働時間(フルタイム)を働く労働者と比較して、短い時
間(パートタイム)雇用される労働者。
(4) 業務委託:
労働者ではなく個人事業主として扱われるため、基本的に労働法による保護は受けられないが、
就業先で指揮命令を受けたり、勤務場所・時間を指定されていたりする場合は労働者とみなされる。
!会社とメールでのやりとりに注意しましょう
メールは、早く、正確、記録が残る等利用が増え普及し会社での業務連絡・報告や業務指示
も行われています。しかし、メールでは対話が出来ませんので、遅刻・欠勤や退職、そのほか
業務上重要な事項の場合は、直接会話してほうが良い場合もあります。
!自己啓発: コミュニケーション能力向上、趣味、地域活動や社会活動等自己啓発に勤めましょ
う。衝動的な行動は控えましょう。TPOに応じた言動をとりましょう。
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労働相談の状況(H24)
1. 相談の推移
総合労働相談の状況(H24) 女性問
沖縄県内の総合労働相談コーナーにおける相談件数は、ここ数年
9,000 件を超えています。
2. 相談の内容
いじめ・
嫌がらせ
等
14%
募集・
採用
1%
題等
0%
労働条件に関するもの85%、いじめ嫌がらせ等14%の順。
労働条件
85%
3. 申告処理件数(監督署へ法違反是正を求める事案)
472 件行政指導を求める申告がありました。
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労働相談窓口
沖縄県内の総合労働相談コーナー
1. 本島南部地区:
098-868-8008
868-6060
2. 本島中部地区:
098-982-1400
3. 本島北部地区:
0980-52-2691
4. 宮古地区
:
0980-52-2691
5. 八重山地区
:
0980-72-2303
本日の質問など
1. 休日に制限はありますか。
5. 解雇されるときはどういうときですか
2. 保険について知りたい。病気や怪我で入院した場合は?
6. 就業規則はどのようなものか。会社による違い。正社員とパ
ートの違い。
3. 最低賃金は何を基準にして決めているのか。
4. 年休、残業の制限、会社や仕事によって違いますか。
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4 労働相談の事例
1. 労働条件の明示
(3) 同僚や先輩からクビと言われた。(注)
(1) 労働時間、休憩、休日、有給休暇が分からない。
(4) 来なくて良いと言われた(注)
(2) 賃金額が分からない。
8. いじめ・嫌がらせ
(3) 賃金の支払日、支払い方法が分からない
(言葉や態度などによって人の心を傷つける、精神的
2. 賃金不払い
な暴力。職場上の力関係等を背景に行われる)
(1) 最低賃金未満である
(1) パワハラにより病気になった・なりそう。退職に
(2) 定期賃金が払われない。退職金が払われない
追い込まれた。恫喝、強要、放置・・・
(3) 残業、深夜、休日労働の割増賃金が払われない。
(2) セクハラにより仕事が出来ない。退職に追い込ま
(4) 賃金からかってに控除されているものがある
れた。接触、誘い、容姿指摘・・・
3. 時間管理、サービス残業
(3) 同僚間のハラスメントがある。あいさつをしな
(1) 労働時間の管理がなさない、休憩がとれない
い、仲間外れにする、仕事を教えない・・・
(2) 残業時間が計算されない。されても足切がある。
9. 労働条件の低下・変更
(3) 固定残業代が実際の残業代より少ない。
(1) 何の通知も無く今月から賃金が減額された
(4) 管理職はないが管理職扱いされ残業代がない。
(2) 勤務時間が短くなり、賃金も下がった
4. 休暇
(3) 勤務内容が大きく代り、賃金も下がった。
(1) 年休制度がない。あっても取りにくい。請求拒否。
(4) 夜勤専門で入社したが突然昼勤務と言われた
(2) 産前産後休暇がとされない。
10. 退職勧奨・強要
5. 過重労働(長時間労働)
(1) 人員整理で、退職を勧められた
(1) 過重労働により脳疾患、心疾患のおそれがある
(2) 育児や介護が大変だから辞めた方が良いのでな
(血圧、血中脂質、不整脈・・・)。
いかと言われた
6. 解雇
(3) 退職届を出せと言われた。
(1) 事業主から突然クビだと言われた。
11. 安全衛生
(2) 解雇理由が分からない。理由に納得が出来ない。
(1) 健康診断実施されない
(3) 同僚や先輩からクビと言われた。(注)
(2) 危険な作業場がある。有害物質取扱作業場がある
(4) 来なくて良いと言われた(注)
12. 社会保険など
7. 解雇
(1) 雇用保険、社会保険に加入してくれない。
(1) 事業主から突然クビだと言われた。
(2) 退職後離職票の交付、社会保険の切替等の手続き
(2) 解雇理由が分からない。理由に納得が出来ない。
をしてくれない
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5 トラブルへの対応
4. 行政機関等に対応してもらう
1. 記録を取る
何かおかしいと思ったらメモを付けましょう。特
に相手方に記録が残っていない場合は、重要な資料
となります。 「いつ?(When)」、「どこ?(Where)」、
「だれ?(Who)」、なに?(What)」、「なぜ?(Why)」、
「どんなふうに?(How)」
※ 例1 サービス残業:日時、場所、労働時間帯と
時間数、業務内容、残業の指示者を出した上司、
黙認していた上司、一緒に業務をしていた同僚等
※ 例2 いじめ・嫌がらせ:日時、場所、加害者、内容、
どう対応したか等
※ 例3 解雇:日時、場所、通告した者、何と言わ
れたか、どう対応したか等
2. 自分で調べて対応する
疑問があれば、早めにインターネットや書籍で調
べてみましょう。
3. 行政等に相談して対応する
気軽に早い段階で行政の相談コーナー等に相談し
てみましょう(電話や来庁可能)。
※ 労働局では、専門の相談員が無料で相談に応じま
す。プライバシーは保護されます。
※ 労働問題に知識の少ない人・知人等からのアドバ
イスは逆にトラブルを拗らせる可能性があるの
で注意しましょう。
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自分で対応出来ない場合は助言や行政指導を求め
ましょう。
※ 匿名での通報等は可能ですが、直接出向いた方が
具体的な話や資料による説明により内容が伝わ
り易くなります。
5. 会社の相談室や総務に相談する
相談室や担当部署に場合はそこへ相談する。
※ 情報の管理は、プライバシーの保護の観点から大
変重要なことなので、相談の秘密性確認して下さ
い。
相談の際には、内容のポイントをまとめ、できる
限り資料を添えて説明しましょう!
参考
日本国憲法
労働基準法
第22条
第 1 条(労働条件の原則)
1 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、
移転及び職業選択の自由を有する。
1. 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むため
の必要を充たすべきものでなければならない。
2. この法律で定める労働条件の基準は最低のものであ
るから、労使関係の当事者は、この基準を理由として
労働条件を低下させてはならないことはもとより、そ
の向上を図るように努めなければならない。
第27条
1. すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。
2. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関す
る基準は、法律でこれを定める。
※ 1項は、人はみな働くべきであるという一種の
精神規定で、一般に「働ける人は頑張って働こ
う」というものと解釈されています。
第 2 条(労働条件の決定)
1. 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において
決定すべきものである。
2. 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契
約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければな
らない。
第28条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団
体行動をする権利は、これを保障する。
その他
※概念的には労使は対等ですが、現実の力関係の不平
等を解決することが本法の重要な視点です。
労働情勢の気運 近年良く聞く言葉
1. ワークライフバランス:
働く誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、さまざまな
活動について、自ら希望するバランスで展開できること。
2. ディーセント・ワーク:
「人間らしいやりがいのある仕事」と言われています。ディーセント・ワー
クの推進は、就業を促進し、自立支援につなげるという観点からも重要です。
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