春の法改正(社会保険・労働法など)

ニュースレターのタイトル
<1> ごさん
APO_社会保険労務士法人
第 61 号 発行日 2013.4.1
APO _ 社労士通 信
春の法改正(社会保険・労働法など)
1.労働契約法、高年齢雇用安定法の改正(平成 25 年 4 月1日施行)
平成 25 年 4 月 1 日より「労働契約法」「高年齢者雇用安定法」にて下記事項の法改正が施行されます。
詳しい内容は当通信第 57 号、58 号、59 号にて説明しておりますので、併せてご覧下さい。
■ 労働契約法の改正
1.無期労働契約への転換・・・有期労働契約が反復更新されて通算 5 年を超えた時は、労働者の申し込みにより、期間の定め
のない労働契約に転換できるルールです。
2.不合理な労働条件の禁止・・・有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件
の相違を設ける事を禁止するルールです。
■ 高年齢者雇用安定法の改正(主な改正ポイントは以下となります。)
1.継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止 2.継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大
3.義務違反の企業に対する公表規定の導入 4.高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定
2. 「雇用保険被保険者離職証明書」様式改正(平成 25 年 4 月施行)
平成 25 年 4 月 1 日から上記「高年齢者雇用安定法の改正」が施行されることを受け、「雇用保険被保険者離職証明書」につ
いて、定年による離職理由の記載を簡略化するため、一部様式改正が行われることとなりました。主な変更点は、旧様式の「2.
定年、労働契約満了等によるもの」が「2.定年によるもの」「3.労働契約満了等によるもの」の 2 つに分かれ、それぞれにつ
いての詳細を選択する項目が追加になります。平成 25 年 4 月 1 日以降も当面の間は、改正前の様式を引き続き使用できます
が、新様式の選択項目に該当する情報を「具体的事情記載欄(事業主)」に記入することが求められます。詳しい記入方法に
つきましては、ハローワーク発行のリーフレットをご参照下さい。
3.現物給与価額の改定(平成 25 年 4 月1日施行)
従来、本社及び支店等を併せて 1 つの適用事業所とされている適用事業所については、支店等に勤務する被保険者についても、
本社の所在地が属する都道府県の現物給与の価額を適用することとなっておりましたが、現物給与は生活実態に即した価額と
することが望ましいことから、被保険者の勤務地に所在する都道府県の現物給与価額を適用することとなりました。
なお、健康保険組合によっては、規約により別段の定めを行っている場合がありますので、ご確認下さい。
4.退職後再雇用者の社会保険被保険者資格についての改正(平成 25 年 4 月施行)
同一の事業所に使用される者が、雇用契約上一旦退職し、1 日の空白もなく引き続き再雇用された場合、「特別支給の老齢厚
生年金の受給権者」にかぎり健康保険・厚生年金の被保険者資格を同日付けで喪失、再取得する事が出来ましたが、平成 25
年 4 月より「60 歳以上の者で退職後継続して再雇用される者」となり、対象者の範囲が拡大されました。
5.社会保険についてのお知らせ
■ 社会保険料率・・・協会けんぽ 健康保険料率、介護保険、労災保険、雇用保険料率ともに保険料率の変更はなく、据え
置きとなりました。ただし、健康保険料率の構成内訳である「特定保険料率」と「基本保険料率」の比率は改定されています。
■ 国民年金保険料・・・25 年度の国民年金保険料は 24 年度月額 1 万 4,980 円から月額 1 万 5,040 円と変更になりました。
■ 年金支給額・・・平成 25 年 4 月から 9 月までの年金額は、「平成 24 年平均の全国消費者物価指数」の対前年比較変動が
0.0%となった事を受け、平成 24 年度と同額となります。しかし、平成 12 年度から 14 年度において特例法でマイナスの物価
スライドを行わず年金額を据え置いたことの調整として、平成 25 年度から 27 年度までの 3 年間でこの据え置き分を解消する
法律が、平成 25 年 10 月から施行されるため、年金支給額は平成 25 年 10 月より 1.0%減額となります。
第 61 回
労使協定の届出の要否
4 月 1 日に施行された「高年齢者雇用安定法」改正に伴い、労使協定を締結しなおした企業の方も多いと思いますが、労使協定に
は、労働基準監督署への届出が必要なものとそうでないものがあります。主要な労使協定の届出の要否は、下記の通りです。
■届出要
・時間外・休日労働に関する協定(36 協定)(労基法 36 条)、貯蓄金の管理に関する協定(労基法 18 条)、1 ヶ月単位の変形労働
時間制に関する協定(労基法 32 条の 2)、1 年単位の変形労働時間制に関する協定(労基法 32 条の 4)、専門業務型裁量労働制
に関する協定(労基法 38 条の 2)
■届出不要
・賃金控除協定(労基法 24 条)、フレックスタイム制に関する協定(労基法第 32 条の 3)、一斉休憩の適用除外に関する協定(労基
法第 34 条)、育児休業・介護休業等の適用除外者に関する協定(育介法第 6 条、12 条等)、継続雇用の対象者の基準に関する
協定(高年齢者雇用安定法一部改正法附則第 3 項)
上記のように、届出不要の労使協定も多々ありますが、届出が不要であっても、協定の締結当事者過半数代表者等の選出要件は
届出要の場合と同様になり、就業規則等と同様に、常時各作業場の見やすい場所へ掲示する等の方法により労働者に周知する必
要があります(労基法第 106 条)。また、届出不要の労使協定についても、締結していない場合には、労基署が調査に入った際の指
摘事項になることがあるので、必要な場合には忘れずに締結しておきましょう。
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