特派員協会で会見 福島民報 2016年3月9日(水

避難者受け入れ財政措置要求へ
いわき市長、特派員協会で会見 福島民報 2016年3月9日(水) 11時19分
福島
県いわき市の清水敏男市長は8日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見し、東京電力福島第一原発事故
による避難者受け入れに伴う財政措置などを政府に求めていく考えを示した。清水氏は、福島第一原発事故による避難者
受け入れに伴う国からの交付金について「今の金額で足りるとは思っていない」と強調。しっかりとした財政措置と合わせ、
避難者の二重住民票を認めるなど新たな制度設計の必要性を訴えた。また、清水氏は再生可能エネルギーを推進し蓄電
関係の工場を集積する構想を紹介し、「日本の新エネルギーの最先端地域を目指す」と語った。
福島原発「不要な放射能放出を引き起こしていた可能性」 週刊女性PRIME 2016年3月9日(水) 11時0分福島第一原
発事故から5年の節目が間近に迫った先月24日、ある事実が発覚した。これまで東京電力が「ない」としてきた、核燃料が溶
け落ちるメルトダウン(炉心溶融)の判定基準が記されたマニュアルを今になって「発見」。「気づくのに5年間かかった」という
のだ。福島原発は津波で最終的に全電源を失い、原子炉を冷やし続けることに失敗して温度が上昇し続け、核燃料が溶け
て1~3号機までメルトダウンに至った。短時間で代用バッテリーを集めたり、消防ポンプを用意したりするのは困難であった
と思われる。1号機は全電源喪失で非常用冷却系も止まって11日夜、メルトダウンが起きてしまった。幸いなことに2号機は
非常用冷却系が生きていて圧力なども測れた。「遅くても13日の夕方には消火ポンプが動かせる状態にあった。逃がし安
全弁を開くには120ボルトの電源が必要なので車のバッテリーを集めて代用する。あとは手順書どおりに減圧して注水すれ
ば、メルトダウンを防げたのです」(『社会技術システム安全研究所』主宰の田辺文也さん)
3号機はしばらくは非常用冷却
系が生きていて、バッテリーも使え、何度かチャンスがあった。「12日の午前11時すぎの時点で格納容器圧力上昇の徴候か
ら、徴候ベースの手順書を参照していれば、バッテリーの残量で逃がし安全弁を開いて、ディーゼル駆動の消火ポンプを
使った注水が可能だったはず。そうすれば炉心の冷却を確保でき、メルトダウンは避けられた。また夜8時半にはバッテリー
残量が減って水位不明となりましたが、その時点で兆候ベースの手順書を参照していれば、やはりガイドに従って減圧、注
水できた。バッテリーは車のバッテリーで代用できたでしょう」(田辺さん)
事故現場で当時、優先的に行われていたのは
『ベント』だ。格納容器の圧力が高くなって破裂するのを避けるため、放射性物質を含む気体を原子炉建屋の外へ放出す
る作業が繰り返されていた。「ベントしていいと定められた基準以下の圧力にもかかわらず、延々続けていた。不要な放射
能放出を引き起こしていた可能性が高い」(田辺さん)
なぜ誰も手順書を参照しなかったのか? 「運転員、特に当直長は
運転訓練センターで定期的に訓練しているわけですし、手順書を熟知しているべきです。事故対策本部の安全担当チー
ムも同様です。となると教育・訓練のあり方に問題があったのかもしれない。大事故が起きるわけがないとの先入観が幹部
にも現場にもあり、シミュレーターまで使った徴候ベースの実効的な訓練は行われていなかったのではないか」(田辺さん)
田辺さんによれば、手順書に従わないで重大な損害をもたらした場合、原子炉等規制法の違反にあたり、刑事罰になる
可能性が高いという。これまでに東電、政府、国会と民間の各事故調査委員会による報告書が提出されているが、手順書
無視という重大な疑惑についても検証が必須。それなしに事故の教訓は得られず、生かされることもない。NPO『環境エネ
ルギー政策研究所』所長の飯田哲也さんが警告する。「福島原発では『免震重要棟』という地震の揺れを軽減できる建物が
偶然、3・11の半年前に完成していました。ここがあったから、かろうじて采配を振るえた。だが、再稼働した川内、高浜は、
免震重要棟の整備を理由に認可を得たにもかかわらず建設計画を撤回。再稼働を申請した多くの原発でも、計画途中で
放棄されている。福島の教訓に学ばず、国民の健康や安全を省みないで再稼働が進められています」
福島第一原発のメルトダウン「事故被害を拡大させた恐れ」 週刊女性PRIME 2016年3月9日(水) 11時0分福島第一原
発事故から5年の節目が間近に迫った先月24日、ある事実が発覚した。これまで東京電力が「ない」としてきた、核燃料が溶
け落ちるメルトダウン(炉心溶融)の判定基準が記されたマニュアルを今になって「発見」。「気づくのに5年間かかった」という
のだ。マニュアルに基づけば、事故から3日後の'11年3月14日にはメルトダウンを判定できたとしている。こうした東電の態
度をエネルギー問題に詳しいNPO『環境エネルギー政策研究所』所長の飯田哲也さんは「口実までしらじらしい」とバッサリ。
「事故の翌日、原子力保安院の中村審議官(当時)がメルトダウンしたと口走って更迭されたことからもわかるように、3日後ど
ころか11日夜には予見できた。今回の新事実はというと、福島事故の検証を進める新潟県技術委員会に追及されて、よう
やく出てきたもの。ウソでごまかす体質は根本的に変わっていない」
マニュアルを作るときは合理的、科学的に作るもの
の完成したルールを守らない、と飯田さんは指摘する。「'99年の東海村JCO臨界事故はバケツでウラン溶液を運んでいまし
たが、同じ作業を繰り返すうちに慢心してルールをすっ飛ばす。想定外の事故なんか起きるわけがないという“安全神話”が
原子力ムラ全体に蔓延しています」
さらにここへきて、もっと重大なマニュアル無視の疑惑が浮上してきた。「参照すべき
マニュアルを参照しなかったことで福島原発の事故被害を拡大させた恐れがあります。マニュアルに従い適切に対処して
いれば、2号機、3号機はメルトダウンを回避できたのではないか」
そう指摘するのは『社会技術システム安全研究所』主
宰の田辺文也さんだ。『日本原子力研究開発機構』の上級研究主席を務めた技術者でチェルノブイリ原発などの事故解析
を手がけてきた。「東電は原発事故が起きたときの対処法を記した『事故時運転操作手順書』というマニュアルを用意してい
ます」
手順書は事故の深刻度順に3種類。まず配管の破断や電源喪失など、何か起きたときにどうすればいいかを書い
てある『事象ベース』。何が起きているかわからなくても、格納容器の圧力上昇や電源を失って水位が測れないなどの徴候
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をもとに、何をすべきかガイドしている『徴候ベース』。そして炉心溶融事故への対処法を記した『シビアアクシデント』がある
が、「炉心溶融を防ぐための、肝心の徴候ベースを事故時に参照した形跡がない」と田辺さん。さらに故・吉田昌郎福島第
一原発所長(当時)みずから政府事故調の聴取に応じた際の『吉田調書』で、事故対応がシビアアクシデントに跳んだと証
言している。福島原発は津波で最終的に全電源を失い、原子炉を冷やし続けることに失敗して温度が上昇し続け、核燃料
が溶けて1~3号機までメルトダウンに至った。「1、2号機はバッテリーと電源盤が水に浸かって使用不能になり、水位が測れ
ず水位不明になった。メルトダウンが起こらないようにするには徴候ベースの手順書に従って、まず、逃がし安全弁という装
置を開けて原子炉の圧力を下げ、それから注水しなければならなかった」
帰還困難区域に対する政府方針
夏ごろまでに検討 福島民報 2016年3月9日(水) 10時16分
井上信治環境副大
臣は8日の衆院環境委員会で、東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域に対する政府方針を今年夏ごろまでに
示す方向で検討する考えを示した。公明党の真山祐一衆院議員(比例東北)の質問に答えた。井上氏は原発事故に伴う
帰還困難区域について「具体的な政府方針の早急な提示を求める地元の声も非常に強くなっている。政府全体として対処
すべき大きな課題だ。与党から提言を受けたことを踏まえ、今年夏ごろまでには政府全体として帰還困難区域の取り扱いを
示すべく環境省としても検討していく」と述べた。帰還困難区域への政府方針について、自民、公明両党の東日本大震災
復興加速化本部は夏ごろまでに示すよう求めている。
「避難区域の除染加速」
第二原発廃炉は明言せず
首相 福島民報 2016年3月9日(水) 10時10分
東日本大震
災と東京電力福島第一原発事故から丸5年を迎えるのを前に、安倍晋三首相は8日、福島民報社のインタビューに応じた。
平成29年3月までの居住制限、避難指示解除準備両区域の解除に向け除染を加速化する意向を強調し、被災地復興に
全力で取り組む姿勢を示した。進捗(しんちょく)の遅れが指摘されている浪江町の除染について「作業員の増員、インフラ
復旧事業との工程調整などで最大限加速する」と力を込めた。東電福島第一原発の廃炉・汚染水対策や中間貯蔵施設整
備、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現、風評対策などで復興を進める意向を語った。東電福
島第二原発については「県民の心情を察すると他の原発と同列に扱うのは難しい」との見解を示した。ただ、廃炉に関して
は「今後のエネルギー政策の状況や新規制基準への対応、地元のさまざまな意見を踏まえ、事業者が判断すると考えてい
る」と述べ、政府としての対応は明確にしなかった。
女性死亡と避難生活因果関係認めず
原告の請求棄却
福島地裁 福島民報 2016年3月9日(水) 9時59分
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で避難した後、体調を崩して死亡した福島県南相馬市の女性=当時(90)=
の長男(63)が市に震災関連死不認定処分の取り消しなどを求めた訴訟で、福島地裁の金沢秀樹裁判長は8日、原発事
故に伴う避難生活と死亡の因果関係を認めず、原告の請求を棄却した。不認定取り消し訴訟の判決が出るのは2例目で、
いずれも原告側の主張が退けられた。判決理由で金沢裁判長は女性が高齢な上、骨折で車椅子中心の生活だったことに
よる体力低下などが死因となった誤嚥(ごえん)性肺炎を招いたと指摘した。「避難生活の負担が心身の衰弱につながり誤
嚥性肺炎のリスクを高めた」という原告の主張については、長距離の避難が体力面で負担をかけたとしたが「肺炎の発症に
つながった証拠はない」とし、原発事故との因果関係は認めなかった。女性は平成23年2月、左足を骨折し南相馬市の病
院に入院した。翌月に起きた震災後は転院を繰り返し、24年8月に体調を崩して死亡した。長男は9月、災害弔慰金の支
給を市に申請したが、市は25年2月に災害関連死の不認定を決定。その後、長男の異議申し立てを棄却した。遺族の請
求のうち、市に震災関連死を認定するよう求めた訴えを却下した。■審査過程の不透明さ問題
原告の男性
原告の男
性は仕事のため裁判を傍聴できず、男性の妻(63)が法廷で判決を聞いた。訴えが退けられ、妻は閉廷後に「おばあちゃ
ん、ごめんね…」と涙を流した。義母の遺影に毎日、その日の出来事を語り掛けているという。「原発事故さえなかったら、義
母はもっと長生きしたはず。心の整理ができない」と語った。原告の男性は仕事先で福島民報社などの取材に応じ、「判決
は不服。関連死認定の審査の過程が不透明なのが一番の問題だ」と述べた。■被災者の心痛重く受け止める
長
南相馬市
福島地裁の判決で南相馬市の主張が認められたことについて、桜井勝延市長は「とりたててコメントすることはない」
とした上で、「今後も被災者の心痛を重く受け止めながら、引き続き生活再建の支援と市の復興に全力で取り組む」と述べ
た。■原告女性死亡の裁判は終了判決
市への取り消し訴訟
震災と原発事故で避難した後、体調を崩し死亡した南
相馬市の男性=当時(50)=の母親が震災関連死不認定処分取り消しなどを市に求めた訴訟の判決も8日、福島地裁で
あった。金沢秀樹裁判長は原告の母親が死亡したため、裁判は終了したとの判決を言い渡した。母親は提訴後の25年11
月に死亡した。弟が訴訟承継人になると同地裁に申し立てていた。原告側代理人は判決を受け、「遺族の悲しみに対する
弔意を示すという災害弔慰金制度の趣旨が行き届かない事態を招きかねない。控訴する方向で原告と協議したい」とコメン
トを発表した。※震災関連死の認定
震災後の避難生活などによる体調悪化、過労などで亡くなったとする事例を医師や
弁護士ら有識者で構成する市町村の審査会が認定する。審査会を設けていない市町村もある。家計を支えていた生計維
持者が認定された場合は災害弔慰金500万円、それ以外は250万円が遺族に支払われる。■歳月経過で立証困難に
審査制度に統一基準必要
南相馬市に震災関連死不認定処分の取り消しを求める訴えを退けた今回の福島地裁判決
は、原発事故に伴う避難生活と死亡の因果関係を明らかにする難しさをあらためて浮き彫りにした。今後も震災関連死の認
- 2 -
定申請は続くとみられるが、歳月の経過とともに因果関係の立証がより困難になる恐れがある。原発事故から11日で丸5年
となる。当時の記憶があいまいになり、申請に必要な資料をそろえることができなくなるケースも増えると想定される。一方、
現在の審査制度に不満を募らせる被災者も多い。関連死の認定判断は市町村が行っているが、認定率は33%から100%
までばらつきがある。法曹関係者からは、統一基準がないままでは判定で不認定となった被災者は不公平感を抱えてしまう
とする指摘が出ている。関連死訴訟の代理人を務める新開文雄弁護士(64)=福島市=は「各市町村の判断で認定範囲
が変わるのは問題だ」と強調する。いわき明星大教養学部の高木竜輔准教授(39)=地域社会学=は「原発事故という特
殊な状況下では、遺族の心情も踏まえて判断すべき」と訴える。今回の判決を機に、被災者に寄り添った関連死認定の在
り方をあらためて考える必要がありそうだ。(本社社会部・村田
「里山」を除染、再生モデル事業実施へ
利文)
安倍首相「対策を進める」 福島民友新聞 2016年3月9日(水) 9時20分安倍
晋三首相は8日、福島民友新聞社など被災3県の地方紙4紙の合同インタビューに応じた。東京電力福島第1原発事故の
被災自治体から実施を強く求められている森林の除染については、これまで示していた生活圏から20メートル以内にある
森林に加え、生活圏から20メートルの外にあり、人が日常的に出入りする森林を「里山」と位置付けて除染を実施するなど
の「里山再生モデル事業」を行う考えを示した。事業の詳細は9日に明示する方針。安倍首相は県内の森林再生に向け
「被災地の復興を図り、住民の安全を確保するために極めて重要だ。福島の森林・林業の再生に関わる総合的な取り組み
を9日にまとめ、対策を進める」と新たな対策を進めることを明言。対策の柱として、集落を取り囲む森林を「里山」と捉え、放
射線量マップの作製や広葉樹林の整備、人が立ち入る場所の除染などを組み合わせ、県内でモデル事業を展開する考え
を明らかにした。森林除染の在り方については、環境、農林水産、復興3省庁の閣僚らで構成する「福島の森林・林業の再
生のための関係省庁プロジェクトチーム」が2月から議論を開始。生活圏から20メートルよりも広い範囲で森林除染を実施し、
環境回復を進める方向性を確認していた。首相が指摘した新たな方針は9日に開く同チームの第2回会合で提示される。
環境省は昨年12月、生活圏から20メートル以内とキノコ栽培などで人が立ち入る場所を除く大半の森林の除染を原則とし
て行わない方針を提示。これに対し、県や市町村、森林関係団体が反発し〈1〉生活圏へ放射性物質が流出しない対策の
工程表提示〈2〉線量が低い森林の林業再生と組み合わせた除染〈3〉高線量の森林での放射線量低減の実証事業―など
森林の重層的な線量低減対策を求めていた。
停止15原発は78%減=10、14年度で比較―作業員被ばく、再稼働で増加へ 時事通信 2016年3月9日(水) 8時18
分
東京電力福島第1原発事故の後、国内では「原発ゼロ」の状態がしばらく続いた。福島第1、第2原発を除く全国15原
発でみると、事故の影響が顕在化する前の2010年度に比べ、原発が稼働していなかった14年度は作業員1人当たりの平
均被ばく線量が78%減った。原子力規制委員会の資料を基に、15原発の作業員の被ばく状況を算出した。多くの原発が
運転していた10年度の平均被ばく線量0.99ミリシーベルトに対し、14年度は0.22ミリシーベルト。原発ゼロの影響で減った
とみられる。15年度は規制委の審査を通過した九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)と関西電力高浜原発3、4号機(福
井県)が再稼働した。高浜4号機はトラブルで停止したが、再稼働する原発が増えれば、各地の作業員の被ばく線量も上昇
する。被ばく労働者を支援しているNPO法人「東京労働安全衛生センター」の飯田勝泰事務局長(56)は、「今は福島第1
原発の事故対応に集中する時だ。他の原発を再稼働して労働者の被ばく線量を増やすべきでない」と指摘する。15原発で
被ばくした作業員の総数は、10年度の約6万1600人に対し、14年度は約4万5100人。白血病の労災認定基準の一つ、年間
被ばく線量5ミリシーベルトを超えた作業員は10年度が3586人だったが、14年度は305人と大幅に減った。15原発のうち、14
年度の平均被ばく線量が最も高かったのは日本原子力発電東海第2原発(茨城県)で0.69ミリシーベルト。核分裂反応を
止める制御棒の駆動装置検査で高くなったという。次いで四国電力伊方原発(愛媛県)の0.52ミリシーベルトが高く、3号機
の再稼働に向けた原子炉周辺の安全対策工事などが影響した。この2原発は10年度より平均値が上がった。最も低かった
のは北陸電力志賀原発(石川県)で0.03ミリシーベルトにとどまった。2番目に低いのは北海道電力泊原発で0.05ミリシー
ベルトだった。
年5ミリシーベルト超、3万2千人=被ばく作業員、事故発生後―福島第1 時事通信 2016年3月9日(水) 8時18分東京
電力福島第1原発で事故対応に当たる作業員のうち、厚生労働省が白血病労災認定の基準の一つとする年間被ばく線量
5ミリシーベルトを超えた人は、2016年1月末で延べ3万2000人余りとなったことが分かった。原子炉内部の調査や使用済み
燃料プールの核燃料搬出など困難な仕事が控えており、今後も被ばく線量が通常の原発より高くなるのは確実。東電と協
力企業の被ばく線量の差も大きくなっている。東電が公表している第1原発作業員の被ばく線量評価や原子力規制委員会
に提出した資料を基に、事故が起きた11年3月11日以降の分を集計した。16年1月末時点で、がんを発症して死亡する危
険性が0.5%上昇するとされる累積被ばく線量100ミリシーベルトを超えたのは174人。多くは事故発生直後の作業が原因と
みられ、最も多い人で678.8ミリシーベルトあった。被ばくした作業員の総数は4万6490人で、平均12.7ミリシーベルトだっ
た。年間被ばく線量が5ミリシーベルト超の作業員は延べ3万2760人。汚染水対策で作業員が増えた14年度は6600人に上
り、13年度比で34%増加した。15年度は1月末時点で4223人となり、このペースが続けば14年度より少なくなる。富岡労働
基準監督署(福島県いわき市)は昨年10月、事故対応に従事した元作業員の男性が発症した白血病を労災と認めた。白
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血病は「血液のがん」と呼ばれ、福島原発事故の作業で初めて、がんが労災認定されたことになる。一方、厚労省によると、
事故対応に当たった作業員が行ったがんの労災申請では、これまでに3人の不支給が決定している。作業員の平均被ばく
線量は、事故が発生した10年度と11年度は東電が協力企業より高かったが、12年度以降は逆転。13年度は1.7倍、14年
度は2.3倍、協力企業が高かった。15年度も1月末時点で2.5倍高く、平均値は低下しているが、協力企業の作業員の方
が下がり方は緩やかだ。
甘利明元大臣、テレ東取材を中断し提訴「日本は終わりだ。もう私の知ったことではない」 Business Journal 2016年3月
9日(水) 6時1分
2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故の刑事責任を問うため、2月29日に
検察審査会が旧東電役員の勝俣恒久氏(75)ら3人を、業務上過失致死傷罪で強制起訴に踏み切った。東京地裁での裁
判の争点は、被告である東電役員が「原発事故を予測できたか」だ。事故が予測不能と証明されれば、刑事責任は問われ
ず、3人は無罪になる可能性があるということだ。しかし、今を去ること10年前、大震災による原発事故の被害予測が第一次
安倍内閣で質疑されていた。共産党の吉井英勝氏が作成した「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険か
ら国民の安全を守ることに関する質問主意書」(以下、質問主意書)だ。吉井氏はこれを2006年12月13日に国会へ提出、
国会質疑に使った。吉井氏は安倍首相に「原発運転中に冷却不十分となると燃料棒が破損した場合、放射能汚染の規模
がどのようなものになるのかを評価しているのか」など、実際に11年の東日本大震災直後に起きた福島原発事故を予測した
質問を投げかけている。その時、安倍首相は原発行政の最高責任者として、「経済産業省としては、お尋ねの評価は行っ
ておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである」と答えている。しか
し、福島原発事故では津波と地震被害により、全電源喪失という事態を招いた。それにより、原子炉内部や核燃料プール
への送水ができなくなり、核燃料の溶融が発生し、これを冷却するために水や空気の重大な放射線汚染被害を引き起こし
た。それは今もなお継続されており、終息の目処はたってはいない。
この時の国会に原発行政の責任者がもう一人座っ
ていた。それは当時経産大臣だった甘利明氏である。甘利氏は今年1月末に建設業者から工事の口利きの見返りとして計
100万円を2回にわたって大臣室で受け取っていたことを認め、経済再生担当大臣を辞任した。そして野党のさらなる追及
を避けるかのように、「睡眠障害」の診断書を衆院議院運営委員会理事会に提出し、国会から姿を消した。●原発スラップ
訴訟
そんな甘利氏が以前、テレビ東京と同局の報道記者3名を相手取り、名誉毀損で裁判を起こしていた事実はあまり
知られていない。これは、11年6月18日に放送されたテレ東の報道番組『田勢康弘の週刊ニュース新書』(以下、『週刊ニュ
ース新書』)に対してで、甘利氏のいう名誉毀損とは、「取材拒否したことの象徴として空席になった自分の椅子を映した」こ
となのだ。しかも取材拒否の原因は「経産大臣だった時の原発事故安全管理の怠り、を問われたこと」だ。つまり、この裁判
は政治家が法の力を借りて報道機関への口封じを目的とした「原発スラップ訴訟」だったのだ。12年8月28日に東京地裁で
行われた証人尋問で、甘利氏のとんでもない暴言が暴露された。テレビ局とともに訴えられたA記者は、取材中に甘利氏か
ら「甘利氏はしまいには日本なんてどうなってもいい、俺の知ったこっちゃない!と言い出しました!」と言われたことを訴え
た。その瞬間、傍聴席は失笑と舌打ちに包まれた。政治家が堂々と報道機関を訴えたこの裁判の発端はなんなのか――。
●取材拒否の空席を映したら名誉毀損
原発事故の記憶も生々しい11年の6月、『週刊ニュース新書』で原発事故問題
を取り上げる企画が持ち上がった。「東日本大震災による原発事故後、政治家が事故が起きるまでにどのような安全対策を
行ってきたのか?」という「原発と政治家」を検証するのが目的だ。そこでA記者は、自民党の有力な原発推進派で第一次
安倍内閣の経済産業大臣を二期務めた甘利明氏に対して取材を試みた。A記者は吉井氏が作成した「質問主意書」を示
して「今後の原発政策のあるべき姿」を質問し、津波被害の想定に誤りがあったのではないかという問題について取材を進
め、「それまで津波に備えよという指摘はなかった」と答えた甘利氏はA記者から「指摘はされていた」と切り返され、それを
認めるとその後言葉に詰まり、隣室に姿を消した。取材をボイコットしたのである。隣室に呼ばれたA記者は甘利氏から「取
材の録音テープを消せ、番組を放送するな」と言われ膠着。仕方なく番組は甘利氏が取材を拒否したことの象徴として「取
材は中断となりました」とナレーションを入れ「空席」を映した。これが甘利氏がテレビ東京とA記者を含む番組関係者を訴え
た理由だ。この番組は11年6月18日、『震災100日
政治は何をしているか』と『原発と自民党
その功罪』をテーマとして放
送された。甘利氏は「空席」が映されたのを見て激怒。「名誉毀損だ、訂正放送を入れろ」とテレビ東京にねじ込んだ。これ
を受けて『週刊ニュース新書』は翌週25日の放送で甘利氏に謝罪した。アナウンサーが「甘利明氏にご迷惑をおかけしまし
たことをお詫び申し上げます」と深々頭を下げた。だが、事はこれで済まなかった。これがスラップ訴訟の始まりだったので
ある。甘利氏は11年6月末、テレビ東京と番組の取材記者、キャスター、プロデューサーを名誉毀損で提訴した。損害賠償
請求金額は合計1100万円だった。●「大臣なんて細かいことなんてわかるはずない」
この裁判で明かされた甘利氏の暴
言の数々を見てみよう。いずれも、A記者に「取材は認めない、テープを消せ」と問答になった時の台詞だ。「これは私を陥
れるための取材だ。放送は認めない」 「とにかく暗がりでよくわからない上にうろ覚えで言った言葉をカメラでしっかり撮って
いたじゃないか。それを消せと言っている」 「(テープを)消さないと放送するにきまっている。流されたら大変なことになる。
あなたも一回そういう目に遭ったほうが良い。誹謗中傷されたらどんなに辛いか」 「自分には家族がある」 「こんなもんが放
送されたら自分の政治生命は終わりだ」 「原発事故の責任を押し付けられたら、たまったもんじゃない!」 「私には肖像権
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がある。取材を受けた人間が流すなと言っている。放送は認められない」 「何度も言うが、原子力安全委員会が安全基準
を決める。彼らが決めた基準を経済産業省は事業者に伝えるだけ。安全委員会は地震や津波のプロが集まってる組織。そ
こが決めてるんだ」 「大臣なんて細かいことなんてわかるはずないし、そんな権限がないことくらい君もわかってるだろう。答
弁書だって閣議前の2分間かそこらで説明を受けるだけだ」 「原発は全部止まる。企業はどんどん海外へ出て行く。もう日
本は終わりだ。落ちる所まで落ちれば良い。マスコミだって同じだ。お宅も潰れないとわからないもんだ。もう私の知ったこと
ではない」
これは、甘利氏が記者に向かって吐いた暴言のほんの一部だ。裁判が進むに連れて甘利氏の無責任体質
が暴かれていき、傍聴者はため息をつくばかりだった。●原発事故の報道検証
なぜ福島原発事故が起きたのか、報道
による検証作業が必要だ。二度と同じ悲劇を繰り返さないための教訓を得るには、事故をさまざまな角度から正確に記録す
ることが求められる。甘利氏は原発の安全を担う経産大臣を二期務めた。その立場から記者に言えることもあるだろう。その
証言は、今後の改善策にとって貴重な資料となるはずだ。しかし、甘利氏はその政治的責任を受け止めることなく、反省点
と改善点を聞き出そうとしたテレビ東京と報道関係者を提訴した。このような自己保身に奔走する議員の言動が、原発のあ
る地域の生命・暮らしを左右していたのは、なんとも不幸な事態といえよう。スラップ訴訟は、企業や政府など強者が恫喝や
発言封じなどを目的に弱者に起こす。傍聴して裁判記録を見るかぎり、甘利氏の攻撃は番組よりも記者個人に向けられて
いた。裁判当時、下野していた甘利氏は、民主党が倒れ政権交替した時に再び大臣に返り咲くためにも、「自民党の原発
政策安全対策の怠慢」という「負の遺産」にメスを入れた報道記者に牙を剥いたのだろう。その結果、東京地裁(都築政則
裁判長)は13年1月29日、甘利氏の訴えを一部認める判決を下し、「恣意的な編集があった」として330万円の支払いをテレ
ビ東京側に命じた。記者とプロデューサーは報道制作担当を外され、異動になった。この裁判が報道関係者に与えた衝撃
は大きい。何しろ、政治家が原発事故の責任追及の編集に少しでも瑕疵があると、高額の損害賠償を吹っかけるのだ。企
画段階で二の足を踏むか、取材の足も竦むだろう。吉井氏の「質問主意書」は大震災後に原発事故被害を危惧した「予言
の書」であったのに、メディアに取り上げられることはなくなった。しかも政治家が報道機関を訴えたというのに、この裁判を
詳報した新聞・テレビはなかったのだ。甘利氏は「原発事故の政治家への責任追及」という「報道熱」に「冷却水」をかけるこ
とに成功したのだ。今月11日で福島原発事故は5年目を迎える。現在も原子炉建屋に流れ込んだ地下水が一日当たり300
トンずつ汚染水となって増え続けており、事故現場では廃炉作業員の不足問題も発生している。日本にある54基の原発は
すべて自民党の主導により、国策として進められてきた。原発行政の責任はすべて自民党にあるのは明白だ。福島原発事
故の行政責任は、東電旧役員にだけあるのだろうか。国会で自然災害への備えを警告されながら、取り組みを検討すらし
なかった政治家の罪は重い。(文=上田眞実/ジャーナリスト)
森林の除染範囲、「里山」に拡大へ…政府方針 読売新聞 2016年3月9日(水) 3時8分政府は東京電力福島第一原発
事故の放射性物質で汚染された福島県内の森林について、除染範囲を拡大する方針を固めた。同県内の里山約10か所
をモデル地区として選定し、結果を検証した上で対象範囲を決定する。地元自治体や林業関係者から除染範囲の拡大を
求める声を受けた措置で、9日の環境省、農林水産省、復興庁の合同検討会で明らかにする。環境省の有識者会議は昨
年12月、住宅などの生活圏から約20メートル以上離れた森林は土壌流出の危険があるとして原則、除染はしない方針を
決定し、地元自治体や林業関係者の反発を招いた。このため政府は、森林を住民が立ち入る可能性のある「里山」と、それ
以外の「奥山」に分類。里山内では、急斜面など土砂の流出が起きやすい場所を除き、日常的に人が立ち入る林道やキャ
ンプ場、キノコの栽培場、炭焼き場、散策路、休憩所、駐車場などの除染を行う。竹林や広葉樹林は、放射線量を測定しな
がら一部を伐採し、安心して立ち入ることができるよう整備する。
<柏崎刈羽原発>制御棒1本、勝手に動く
規制委に報告 毎日新聞 2016年3月8日(火) 20時38分
東京電力は8
日、停止中の柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)5号機で、核分裂反応のブレーキ役となる185本の制御棒のうち、1
本が勝手に動いたと発表した。間もなく元に戻り、安全上の問題はないとしている。東電は原子炉等規制法の規則に基づ
き、事態を原子力規制委員会に報告した。東電によると、午後2時8分ごろに制御棒のずれを知らせる警報が鳴動。約1分
後に警報は自動的に止まり、制御棒は正常な位置に戻っていた。制御棒を上げると核分裂を強く抑え、下げると制御が弱
まる。東電は「一時的にずれ上がった後、重力で落ちて元に戻った」と判断している。当時、水圧で制御棒を動かす装置に
水を送る別の装置の弁を開いていた。この弁操作では制御棒は動かないはずだが、東電は何らかの条件が加わって異常
に動いたとみている。【高木昭午】
<福島原発事故>自主避難の37%は20歳未満 毎日新聞 2016年3月8日(火) 20時16分
東京電力福島第1原発
事故で自主避難した人が事故前に住んでいた福島県の各自治体に対し、毎日新聞がアンケート調査したところ、今年1月
時点で把握している自主避難者約1万6000人の37%を20歳未満が占めていることが分かった。親の世代に当たる30代
と40代も計36%に上り、放射線への不安を抱える子育て中の世帯の自主避難が長引いている実態が浮かんだ。毎日新
聞は、県内59市町村のうち国からの避難指示が出なかった48市町村(町が避難を指示した広野町含む)を対象に、県内
外への自主避難者数と年代別の人数を聞いた。総数は1万6063人だが、多くの自治体は、避難者が避難先で任意で届
け出る総務省の「全国避難者情報システム」への登録数を基に集計しており、実態はさらに多いとみられる。年代別は、10
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歳未満19.7%▽10代17.4%▽20代7.3%▽30代19.4%▽40代16.7%▽50代6.6%▽60代6.1%▽70代3.
8%▽80歳以上2.7%▽不明0.4%。日本の総人口(2015年9月、総務省まとめ)の年代別割合は、20歳未満は17.4
%。30代と40代は計27.0%。これと比べ、自主避難者は、20歳未満は37.1%、30~40代も36.0%と、突出して多い。
自主避難者が事故前に住んでいた自治体は、郡山(4593人)、福島(4047人)、いわき(1290人)の上位3市で6割以上
を占めた。一方、国が避難指示を出した11市町村(解除された楢葉町など含む)のうち、強制避難者と自主避難者が混在
している4市町村では、自主避難者は計約8000人と概算されるが、自主避難者だけの詳細な年代は把握していなかった。
福島県は、全国の公営住宅や借り上げ住宅に入居している避難者数などを基に、昨年10月末の自主避難者数を約1万8
000人と推計している。これ以外にも、民間住宅などに入居した人が多数いるとみられ、実際の自主避難者数は分かって
いない。【三上剛輝】
柏崎刈羽5号機で誤作動か=制御棒に警報「外部影響なし」―東電 時事通信 2016年3月8日(火) 19時3分東京電力
は8日、定期検査中の柏崎刈羽原発5号機(新潟県)で同日午後、制御棒の異常を示す警報が鳴ったと発表した。放射線
の測定装置に変化はなく、東電は「外部への影響はない」としている。制御棒は原子炉内で核分裂反応を抑える装置。東
電によると、5号機では炉内の核燃料を使用済み燃料プールに移す準備のため、7日から制御棒を駆動する水圧調整装置
の弁を操作していた。8日午後2時10分ごろ、制御棒185本のうち1本が規定の挿入位置から押し上がったとモニターに表示
され、警報が鳴った。すぐに元に戻ったという。東電は作業を中断し、原因を調べている。
福島の死者、165人増=原発避難長期化など―総務省消防庁 時事通信 2016年3月8日(火) 16時24分総務省消防
庁は8日、今年3月1日現在の東日本大震災の被害状況をまとめた。避難先での体調悪化で亡くなるなど「震災関連死」の
増加により、死者が前年同期比193人増の1万9418人。被災3県のうち最も増えたのが福島で165人増。東京電力福島第1
原発の事故に伴う避難の長期化が影響しているとみられる。同庁によると、遺体の身元判明により行方不明者は同22人減
の2592人となった。被災3県の死者は、岩手が9人増の5132人、宮城が19人増の1万549人、福島が3626人。
福島の風で水素生産=東京五輪に活用―再生エネ会議 時事通信 2016年3月8日(火) 15時44分
政府は8日、再生
可能エネルギー等関係閣僚会議を開き、東京電力福島第1原発事故で甚大な被害があった福島県で、風力や地熱による
発電を促進する計画を今夏までに策定することを決めた。風力・地熱で発生させた電力を使って福島県内で水素を生産し
首都圏に輸送、2020年に開催される東京五輪・パラリンピックの会場周辺で、燃料電池自動車の動力源として活用する方
針だ。1万台の燃料電池車を動かせる大量の水素を生産する計画で、福島県内に大規模な電気分解装置を建設する。装
置は、旭化成や日立造船などの国内企業のほか、水素利用で先行するドイツの企業からの調達を検討する。
福島の沿岸部、震災5年も看護師不足続く-県病院協が厚労省に要望書 医療介護CBニュース 2016年3月8日(火) 1
4時15分
東日本大震災の発生からまもなく5年。厚生労働省は震災後、診療報酬の施設基準などを緩和する特例措置
を講じているが、東京電力福島第一原発事故の影響が残る福島県の沿岸部では今もなお、医療スタッフの不足が深刻だ。
県病院協会はこのほど、特例措置の延期を求める要望書を同省に提出。同協会によると、若手の看護職員が不足し、夜勤
のシフトにも影響が出ているという。【敦賀陽平】
県によると、県内の病院で働く看護職員の数は1月1日現在、休業中の
病院の分を除くと1万4482人。震災後の12年2月1日以降、その数は増加傾向にあり、全体では震災前の水準を上回る。し
かし、福島第一原発に近い相双地区(相馬・双葉)では、依然として厳しい状況が続く。同地区の病院に勤務する看護職員
の数は660人。このうち相馬エリアは619人で、震災前の11年3月1日と比べて137人少ない。また、休業中の6病院のうち5病
院は、双葉エリアに集中している。県医療人材対策室の担当者は、「看護職員の数は増えている」としながらも、「看護部長
の集まりなどでも、夜勤の職員不足の話をよく聞く」と明かす。県病院協会によると、原発事故の影響で、沿岸部では子育て
世代の看護職員が離職し、夜勤の負担が50-60歳代の看護職員にも重くのしかかっているという。診療報酬の特例措置は、
医療法上の許可病床数を超える数の患者を入院させたり、診療報酬上の看護職員の配置基準を満たせなかったりした場
合でも、報酬が減額となる現行のルールを適用しないなど、被災地の医療経営の実情に配慮したもので、厚労省によると、
昨年7月現在、岩手、宮城、福島の被災3県にある21の医療機関が利用している。特例措置を継続するかどうかは、半年ご
とに中央社会保険医療協議会(中医協)で審議することになっており、これまで8回、期限が延期されてきた。県病院協会で
はその都度、要望書を提出しているが、今回、精神病棟の夜勤要件の緩和を新たに求めた。診療報酬上のルールでは、
精神病棟の夜勤の看護職員の数は、病棟ごとに「2人以上」と定められているが、病棟が複数ある場合、この基準を緩める
よう要望している。県沿岸部で開業を続ける唯一の精神科病院、「雲雀ヶ丘病院」(南相馬市)の熊倉徹雄院長は「看護師の
数が足りない。診療報酬の基準を緩和してほしい」と話す。現行の特例措置は今月末に期限を迎える。厚労省は9日の中
医協総会で対応を協議するとしている
8日から「防護服不要」
福島第1原発のエリア9割 福島民友新聞 2016年3月8日(火) 11時53分東京電力福島第1原
発の廃炉作業で敷地全体の約9割を防護服なしで作業できるエリアを設けるなど、作業内容に応じた装備の見直しを進め
ている東電は7日、3エリアに区分けし作業員の負担軽減を図る対策の運用を8日午前0時に開始すると発表した。放射性
物質が付着する危険性のある原子炉建屋内や汚染水の処理作業などは引き続き防護服と全面マスク、半面マスクなどの
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着用が必要。構内に新たに設けられた装備交換所で防護服などを着脱し、除染などが進められた一般服エリアに放射性
物質を持ち込まないようにする。運用開始から当面の間は、軽装のまま防護服などの着用が必要な「防護服(カバーオー
ル)エリア」と、防護服の上に上着(アノラック)が必要な「アノラックエリア」に入らないよう東電社員が装備交換所の運用をサ
ポートする。放射性物質の飛散防止対策など作業環境の改善が進んだことから、一般服エリアを設定した。一般服エリアは
専用の作業服か各企業の作業服、使い捨ての防じんマスクなどの着用で作業できる。一般服エリアでも、建物の解体など
粉じんが舞う作業は防護服や全面マスクの着用対象になる。
<東電>新潟限定の原発CM
避難者ら抗議文提出へ 毎日新聞 2016年3月8日(火) 11時42分東京電力が、柏崎
刈羽原発(新潟県柏崎市)の再稼働に向け、防災訓練や安全対策に関する取り組みを紹介する新潟県内限定のテレビC
Mを流していることに、避難者らが反発を強めている。福島第1原発事故から間もなく5年を迎える中、県内には福島県から
の避難者がいまだに3000人以上いる状況で、避難者や新潟市議らは「配慮が足りず、内容も実態とかけ離れている」と指
摘。15日には放送中止を求めて東電に抗議する方針で、準備を進めている。【真野敏幸】
「どんな状況にも対応できる
よう訓練に全力を注ぎます」。東電が制作した最新の30秒CM「緊急時訓練編」では、柏崎刈羽原発内で防災訓練に取り
組む様子が紹介され、最後は職員らのメッセージで結ばれている。東電は福島第1原発事故後、おわびや節電の呼びか
け以外のCMを自粛していた。だが、昨年4月に新潟事務所を新潟本社に格上げし、柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査
が進む中、再稼働に向けた広報体制を強化。昨年6月から県内限定でCMを再開した。CMは県内の民放4局が、1局当
たり月80本ほど放送している。これまでに緊急時訓練編を含め5種類のCMが流されており、東電新潟本社の木村公一代
表は「安全に向けた取り組みを理解してもらい、県民に安心してもらうためだ」と説明。「避難者のことを考えると申し訳ない
ところはあり、配慮に欠けるというのもしかりだ。ただ、原発立地県の県民を守るという重要性に鑑みて流している」と理解を
求めている。だが、福島から新潟への避難者数は2月末現在で3517人(福島県まとめ)と、福島県内を除く都道府県別で4
番目に多く、批判の声は高まっている。避難者や市民団体などはCMの中止を求める抗議文を15日に東電に提出する方
針で、フェイスブックなどを通じて賛同者を募っている。呼びかけ人の一人、中山均新潟市議(無所属)は「汚染水やメルト
ダウン公表問題など都合の悪い部分を取り上げず、事故の教訓を受けて頑張っていますという内容には疑問がある」と指
摘。福島県いわき市から避難している40代女性は「福島県民の心情を察してくれているなら、CMは作らないはずだ。福島
の存在を否定され、見捨てられたような気持ちになった」とコメントを出した。
<東電>福島復興本社
富岡に移転し業務開始 河北新報 2016年3月8日(火) 11時23分東京電力は7日、福島復
興本社を福島県富岡町内の自社施設「浜通り電力所」に移転し、業務を始めた。同町は福島第1原発事故で全町避難が
続く。東電は避難指示解除に先立つ業務開始で復興加速につなげる考えだ。サッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野
町)内から移転した。社屋は4階建てで富岡町中心部の居住制限区域にある。2階フロアに「復興調整部」など3部門の社員
計50人が勤務。送電設備を維持、管理する社員も拠点事務所として使用する。復興本社の石崎芳行代表が社員ら70人に
訓示。「制服を着た社員が町内で仕事をすることで、一時帰宅する住民の皆さんの安心につなげたい。ニーズに応え、一
人一人が信頼を得るよう行動に移してほしい」と呼び掛けた。Jヴィレッジは2019年春に全面再開を予定する。今後、東電は
駐車場や社員寮として使用している施設の返還も進める方針。
企業の6割が休廃業
厳しい現状浮き彫り...津波・原発被災地 福島民友新聞 2016年3月8日(火) 11時13分
東日
本大震災で津波の被害を受けた浜通りと、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された市町村の企業1205社のうち、
2月時点で休廃業しているのは全体の60.4%に当たる728社(このうち倒産は2社)に上ることが7日、帝国データバンクの調
べで分かった。前年同期から26社減り、被災3県で唯一減少に転じたが、依然として6割に及んでおり、原発事故を抱える
本県の厳しい現状が浮き彫りになった。調査は5回目。休廃業の減少について帝国データバンクは「避難先に移転して事
業を再開した可能性が考えられる」と推測している。一方、事業を継続・再開したのは477社(前年比26社増)で39.6%にと
どまった。宮城県は82.4%、岩手県は81.5%と8割を上回り、本県の遅れが目立つ結果となった。業績の動向については、
震災前の2009(平成21)年度と14年度の売上高を比較することができる県内被災地の416社を対象に調べた。09年度より14
年度が増収となった企業は49.3%の205社で、減収となったのは201社。10社は横ばいだった。損益の状況について県内
被災地の185社を調べた結果、14年度に黒字の企業が163社と88.1%に達し、赤字の企業は22社だった。業種別で黒字
企業が占める割合は、建設業が被災3県で80.6%を占め、収益の改善が際立った。
営業利益率、早期に10%台半ばへ
三菱重工のエネルギー事業
SankeiBiz 3月9日(水)8時15分配信
三菱重工
業の名山理介常務執行役員エネルギー・環境ドメイン長が8日、フジサンケイビジネスアイなどの取材に応じ、原子力、火
力発電などのエネルギー事業で、競合する米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスの産業部門と同レベルとなる営
業利益率10%台半ばを早期に達成させたい考えを明らかにした。同社の2014年度のエネルギー事業の営業利益率は1
0%程度だが、「技術に再投資するには競合他社と同レベルの利益水準にしなければ、競争に取り残される」とした。その
上で、「競合他社のようにサービス比率を上げる必要がある」と語った。これまで海外のメンテナンスサービスは地元企業が
手がけるケースが多かった。「今後は現地で優秀な人材を取り込み、当社の工場を活用し、サービス比率を上げたい」と語
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った。強化したい地域については北アフリカや中東などを挙げた。日本の原発については「発電手段の選択肢として持っ
ていないといけない」と述べた。「現在は再稼働に資源を投入しており、今後は廃炉を決めた原発の支援や代替需要が出
てくる」との見通しを示した。現在、中国政府も原発の海外輸出に力を入れているが、「これから低価格を武器にさらに攻め
てくるかもしれない」と警戒感をみせた。海外の原発についてはトルコとベトナムに提案中で「この案件を慎重に行ってから
先を考えたい」と語った。また、三菱重工は仏原子力大手アレバと子会社のアレバNPへの出資について交渉している。1
~2月の基本合意を目指していたが、仏電力公社(EDF)とアレバNPの買収価格の交渉が難航し基本合意が遅れており、
「状況についてはコメントできない」と言及を避けた。三菱重工は13年にデンマークの洋上風力発電設備大手ヴェスタスと
合弁会社「MHIヴェスタス」を設立し、市場シェアの約6割を握るシーメンスを追いかけている。今後、「シェア3割は取れる。
2位の地位を着実に維持したい」と述べた。
泉田知事後援会が始動
4選目指し自公に推薦要請へ
新潟
産経新聞 3月9日(水)7時55分配信
泉田裕彦知
事の支援組織「いずみだ裕彦後援会」は8日、新潟市内で役員会を開き、任期満了に伴う今秋の知事選に4選目を目指し
て出馬する考えを表明した泉田氏への推薦を自民、公明両党の県組織に求める方針を決めた。平成24年の前回知事選
で泉田氏は共産党を除く各党から推薦を受け、圧勝した。役員会の後、後援会の福田勝之会長(新潟商工会議所会頭)は
「4年前と同じ態勢で進めたい」と報道陣に説明。26日に開く後援会の総会で泉田氏を支持する方針を正式に決議し、そ
の後に自公以外の各党や業界団体にも泉田氏への推薦を要請する考えを示した。多選について福田氏は「道半ばの部分
もあり、きちんとやり遂げてほしい」と述べ、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する慎重な対応ぶりについては
「県民の安全を第一に考えるのが知事の姿勢だ」と理解を示した。
石炭ではなく、再生可能エネルギー:米国の新規発電容量の内訳
WIRED.jp 3月9日(水)7時30分配信 米国エネルギー
情報局(EIA)が発表した2016年に電力網に追
加される発電容量推定によると、再生可能な
エネルギー源が3分の2近くを占めている。米
国エネルギー情報局(EIA)は3月1日(米国時
間)、2016年における米国電力網への追加予
定に関するデータを発表した。2016年には、20
年ぶりに新しい原子力発電所(1.1GW)が加わ
る点が目を引く。しかしそれも、再生可能なエ
ネルギー源が、2016年の新しい発電容量の3
分の2近くを占めることと比べると小さく見える。
さらに、この数字におけるソーラー発電(太陽光発電および集光型太陽熱発電を含む)は発電所規模のもののみをカウント
した数字であり、商業用や住宅への設置は無視されている。今回の再生可能エネルギーのブームは、設置についての税
制上の優遇措置が期限切れになるおそれがあり、電力会社が年末前にプロジェクトを通そうと殺到したのが理由のひとつ
だった(その後、最近の予算折衝のほとんどで、税制措置は延長された)。これによりソーラー発電が驚異的なブームになり、
過去3年間の合計を上回る9.5GWが稼働する予定になっている。米国では2015年、分散型の太陽光発電が8.4GW設置さ
れた(発電所規模は3.1GW)。ソーラーパネル価格が引き続き下落したことを考えると、この数字も増加する可能性が高い。
そのため、2016年に設置されるソーラー発電の実際の容量は、EIA推定値の2倍になるかもしれない。風力発電は、中西部
のグレートプレーンズを中心に6.8GWが追加される予定だ。2015年の8.1GWよりわずかに減少している。新設される化石燃
料発電所は、大部分が天然ガスだ。天然ガス発電は新たに8GWが建設される予定で、追加容量は過去5年間と同等だ。石
炭発電所の追加は予定されていない。わずかにある「その他」の化石燃料発電所は、おそらく僻地で石油かディーゼルを
燃やす発電所だろう。2016年の大きな外れ値は、20年ぶりに完成した原子力発電所であるワッツ・バー原子力発電所2号
機(日本語版記事)の追加だ。テネシー渓谷開発公社(TVA)のワッツ・バー2号機は、2016年4月には電力網への送電を開
始する予定で、フル稼働すると発電容量は1.1GWになる。
東芝、債務超過寸前でなりふり構わぬ暴挙か…希少な黒字事業を売却の異常行動
2分配信
Business Journal 3月9日(水)6時
粉飾決算で意気消沈していた東芝社長の室町正志氏だが、元気を取り戻しつつある。売却交渉を進めている
医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの売却価格が競争激化で高騰し、7000億円の買い値がつきそうなのだ。一次
入札を終えた段階で「4000億円規模」と報じられたが、2月4日の決算会見で室町氏は「価格を下げて早期に売却しようとは
考えていない。売却額は報道された額より高い」と強気の発言をした。それでは医療機器子会社の価格はいくらになるのか。
東芝は2月4日、16年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が7100億円の赤字(前期は378億円の赤字)になる見通しだと
発表した。従来予想から1600億円下方修正したかたちだ。家電や半導体事業でリストラ費用が増え、電力・社会インフラ部
門で採算が悪化したことが響いた。その結果、2016年3月期の自己資本は1500億円まで減少する見込みだ。自己資本比
率は安全といわれる30%を大きく割り込み、15年12月末時点で8%にまで落ち込んだが、さらに2.6%まで急降下する。債
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務超過転落の瀬戸際に追い込まれたわけだ。債務超過を回避するため、東芝メディカルの売却を決断した。16年3月末ま
でに売却先を決定。売却益で急速に悪化した財務体質の改善を図る。●CTのシェア世界3位の虎の子
日本の医療機
関で使用されている医療機器の多くは、海外からの輸入に頼っている。しかし、数は多くないが日本製で世界に通用する
製品もある。オリンパスの消化器内視鏡、シスメックスの自動血球計数装置、テルモのカテーテルなどがそうだ。東芝の100
%子会社で 医療用の画像診断装置の開発を行う東芝メディカルは、CT(コンピューター断層撮影)装置のシェアが米GE
(ゼネラル・エレクトリック)、独シーメンスに次ぐ世界3位だ。国内でのCTシェアは60%、エコー(超音波画像診断装置)のシ
ェア35%で、ともにトップだ。東芝は5つの事業部門に分かれている。各部門の15年4~12月期決算の営業利益を見てみる
と、原子力発電・鉄道などの電力・社会インフラは1026億円の赤字、昇降機・業務用空調などのコミュニティ・ソリューション
も635億円の赤字、家電などライフスタイル部門は668億円の赤字。一方、半導体などの電子デバイスは234億円の黒字だ
が黒字額は急速に縮小している。医療機器などのヘルスケア部門は68億円の黒字で堅調だ。黒字のヘルスケア部門の中
核をなすのが東芝メディカルだ。主力の医療用の画像診断装置は世界的にはまだ成長が期待されている。本来なら売却
することなどあり得ない選択だが、背に腹は代えられない。優良企業だからこそ高値で売却できるメリットがある。売却益で
財務内容を改善して債務超過を回避するための緊急避難措置なのである。●売却候補の選定
政府は医療機器分野
への新規参入を後押しし、20年頃までに国内の医療機器市場を14年(2.9兆円)比で1割増の3.2兆円に拡大させる目標を
掲げている。成長が見込める医療機器市場に、自動車部品や化学、繊維など異業種からの新規参入が相次いだ。今回の
国内最大級のM&A(合併・買収)に内外の大手企業が参戦したのは当然の成り行きである。日立製作所、富士フイルムホ
ールディングス(HD)、ソニー、キヤノン、コニタミノルタ、三井物産、米GE、韓国サムスン、米投資ファンドのKKR(コールバ
ーグ・クラビス・ロバーツ)、英投資ファンドのペルミラなどの名前が挙がった。最初に手を挙げたキヤノンは決算会見の席上、
「医療機器事業を大きくする千載一遇のチャンス」と買収に強い意欲を示した。レントゲンの撮影装置を手掛ける同社は、
医療機器事業を成長分野と位置付けている。他社も同様だ。東芝メディカルを買収できれば国内の画像診断装置で圧倒
的なシェアを確保できる。宝の山の買収を巡って水面下でさまざまな情報が飛び交った。「東芝はライバルの日立やソニー
には売りたくないだろう」ともいわれた。日立やソニーは応札を検討していたが最終的に見送った。1月に実施した1次入札
で候補は2社と2つの企業連合に絞られた。キヤノン、富士フイルムHD、コニカミノルタとペルミラの連合、三井物産とKKRの
連合である。●7000億円に達するとの見通しも
気になるのは、東芝メディカルの売却額がいくらになるのかという点だ。東
芝メディカルの15年3月期の売上高は2799億円、営業利益は177億円、純利益は158億円。M&Aでは、「EBITDA(償却前
利益)の何倍か」という指標がよく使われる。通常は5~10倍が相場で、医療関連でも15倍がリミット。これ以上だと、高値買
いをしたといわれる。東芝メディカルは詳細な財務諸表を公開していないため、アナリストたちは「プレミアム分を勘案して20
00~4000億円程度になる」と、大雑把な数字を出していた。1次入札が終わった段階で「4000億円程度か」と報道されたの
は、このような予測に基づいたものだろう。ところが、室町氏は決算記者会見で「報道された額より高い」と見通しを述べた。
他社の動きをにらみながら、是非とも手に入れたいと考えている“本気組”が応募価格を引き上げたものと推測できる。3月4
日に締め切った2次入札で7000億円超の高額の札を入れた企業がある。これは東芝メディカルの純利益の44年分に相当
する。第2次入札に富士フイルムHD、キヤノン、コニカミノルタ・ペルミラの3陣営が応札し、三井物産・KKR連合は応札を見
送った。コニカミノルタは採算性を厳密にはじき、1月末の第1次入札時より低い金額を提示したとの情報もある。この結果、
キヤノンと富士フイルムHDによる一騎打ちの様相となった。東芝メディカル争奪戦は一段と過熱してきた。
名山三菱重工常務:アレバNPへの出資交渉「進んでいる」
時事通信 3月8日(火)20時0分配信
三菱重工業 <7011>
のエネルギー・環境部門トップの名山理介常務執行役員は8日、フランス原子力大手アレバの原子炉部門の子会社、アレ
バNPへの出資協議について「ターミネート(終結・中止)はしていない。進んでいる」と述べた。基本合意の時期については
明言しなかった。アレバと共同開発している新型炉「アトメア1」について、名山常務執行役員は「国外だけでなく、日本のよ
うな地震国でも安心して使える安全性・耐震性の高い炉だ」と安全性能を改めて強調した。
元原子力安全委員長に福島第1原発事故対応の問題点を聞きました。フジテレビ系(FNN) 3月8日(火)18時50分配信
震災5年、あの日から今へ。8日は、福島第1原発事故の発生当時、原子力安全委員会のトップとして、首相の緊急視察に
も同行した人物に、事故対応の問題点を聞きました。その証言からは、現在にも通じる原子力行政の課題が見えてきていま
す。FNNの単独インタビューに応じたのは、原子力安全委員会の班目春樹元委員長。当時の菅首相らに助言をする立場
だった、原発事故対応のキーマン。班目氏は、「(今、一番、強く感じられる感情、どういう思い?)相変わらず10万人近くの人
が、避難を続けているわけですよね。そういう人たちに対する申し訳なさで、いっぱい」と語った。東日本大震災は、原発を
取り巻く、「つくられた安全神話」をのみ込んだ。その後、首相官邸の原子力災害対策本部に招集されたのが、原子力安全
委員会のトップを務めていた班目氏。震災の翌朝には、菅首相の原発視察に同行した。班目氏は、「菅さんがする質問に
答えられるのは、わたししかいないということで。政治家の方たちは、わたしを、『何でも相談室』扱いされる感じなんですね」
と語った。その中で、事故対応に大きな影響を与える重要な問いかけとなったのが、「水素爆発はあるのか?」との質問。班
目氏は、「格納容器の中は、窒素置換になっていて、酸素がないから、水素がいくら出てきても、爆発はしませんということを
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申し上げたんですね」と語った。しかし、その数時間後、1号機の建屋が、水素爆発を起こした。班目氏は、「『わあ、しまっ
た!』と思った。これは強く記憶してます。建屋まで(水素が)出てきてしまえば、普通の空気ですので、爆発の可能性がある。
菅総理に説明する時に、そのことまで言わなかったことは、大失敗だったとは思うんですが、わたし自身は、間違ったことは
言っていないと思っているんです」と語った。そして、班目氏は「(『班目委員長は、水素爆発はないと言ったじゃないか。し
かし爆発が起きたじゃないか。この辺りから、菅首相と、あるいは首相官邸と班目氏との信頼感が揺らぐというような空気にな
ったのか)なんとなく、あの爆発の映像を見せられてから、菅総理からは、信用されなくなったなというのは、ひしひしと感じま
した」と語った。重要な局面で、専門家としての役割を十分に果たせなかった班目氏の失態。それは、結果として、のちに
「暴走」とも指摘された、菅首相ら官邸主導の原発対応を招く一因となる。班目氏は、「あんな人を総理にしたから罰が当た
ったのではないかと、運命論を考えるようになっている」と語った。「運命論」と、どこか、人ごとのように5年前を振り返る班目
氏。班目氏は、「(唯一の専門家として、もうちょっとできなかったか。この点はどうか?)ですから、あの時、ずっと、わたし1人
なんですよ。少なくとも図面ぐらいは、保安院が持っているでしょと。持って来てよとか、いろんな要求はしてるんですけど、
それに対して、答えがないというか。持ってきてくれない」と語った。班目氏が、自らの対応が不十分となった原因として挙げ
たのが、原子力安全・保安院。当時、原発の安全規制に関わる組織としては、原発を推進する立場である、経済産業省の
官僚を中心とした原子力安全・保安院と、内閣府の審議会の1つで、専門家集団としての原子力安全委員会の2つがあった。
班目氏は、「原子力安全・保安院の人というのは、審査とか検査についてくわしくても、原子力が溶けてしまったその後に、
どうしたらいいかは、習っていないんですよね。お役人の世界は、決められたことだけをやっていればいい。そういう風潮は、
結構、強いと思います」と語った。一方で、保安院側は、政府事故調のヒアリングの中で、班目氏について、「少し楽観的な
意見であった。海水注入が開始されたとの報告が入り、班目委員長が『バンザイ、助かった』と興奮し、妙にハイテンション
になっていた印象がある」と証言している。ぎりぎりの状況にありながら、互いに不信感を抱いたまま、十分機能しなかった2
つの組織。あれから5年。原子力安全委員会は、経産省のもとから切り離された原子力安全・保安院と再編され、原子力規
制委員会、原子力規制庁の2つの組織に衣替えしたが、5年前の教訓は、生かされているのか。班目氏は、「(現在のチェッ
ク体制。班目氏はどう見ている?)保安院と安全委員会の関係が、今どうなったかというと、規制庁と規制委員会の関係にな
っているのではという気もします。(独立性を高めた原子力規制委員会の判断に基づいて、再稼働も相次いでいるという状
況だが、とすれば、その点も、やや心配ということ?)安心しきった途端に、とんでもないことになりますから、そういう意味でい
くと、まだまだ、しなければいけないことが、たくさんある」と語った。
メルトダウン過小評価を陳謝
東電社長、原発事故で
共同新聞2016/3/8 19:19
東京電力の広瀬直己社長は8日
の参院予算委員会で、福島第1原発事故直後から核燃料が溶け落ちる「炉心溶融」(メルトダウン)が起きていたのに「炉心
損傷」と過小評価していたことを陳謝した。林幹雄経済産業相は東電の対応を批判し、広瀬氏に調査を指示したことを明ら
かにした。広瀬氏は「炉心溶融の判定基準を記したマニュアルがあったのに、その通りにしていなかったのは事実だ。本当
に申し訳なく思っている」と謝罪。同時に「2011年3月14日の段階で、相当程度の炉心損傷をしているとの認識を持ち、すぐ
に報告している。この段階で隠蔽や報告の遅れは考えていなかった」と説明した。
英国放射線科専門医会:月刊誌の福島特集で「被ばくリスクが誇張されている可能性」を指摘
原産新聞2016年3月8日
英国の臨床腫瘍学と臨床放射線学の専門家を代表する王立放射線科専門医会(RCR)は3月4日、臨床腫瘍学部門の
月刊専門誌「クリニカル・オンコロジー」で福島第一原子力発電所事故による放射線影響を特集し、放射線の物理的な影
響そのものより、放射線の作用に対する恐怖心の方が精神的な健康や幸福に対する被害という点で重要となる可能性を指
摘した。複雑かつ現在進行中の福島の現状について非物理的な側面を分析しており、福島第一事故の健康被害に関する
既存の実証研究や学術研究に貢献するのみならず、同様の事故が発生した後の避難計画を見直す上で十分なデータを
提供。災害救助や危機・緊急事態の管理、復興に携わる人々が学ぶべき極めて重要な教訓も明らかにしている。同特集号
ではまず、世界保健機関(WHO)、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、および国際原子力機関
(IAEA)が福島第一事故関連でまとめた報告書のデータを引用。WHOの報告書では、同事故後最初の1年間で避難区
域におけるすべての年齢グループの特徴的な実効線量を10~50mSvと見積もったほか、浪江町の幼児の甲状腺で線量
は100~200mSvの範囲内だとした。一方、UNSCEARは避難区域における最初の1年間の実効線量を1.1~13mSv
と計算。甲状腺吸収線量は大人で7.2~35mGy、1歳児では15~83mGyになると推定した。また、個人の外部被ばく線
量については、事故後の4か月で避難区域住民全体の93.9%が3mSv未満であり、甲状腺等価線量は避難区域の子供
の98.8%が15mSv未満になるとしている。このような数値から同特集号は、「避難民の被ばく線量はごくわずかであり、被
ばくによる健康被害が確認される可能性は低い」と明言した。また、東日本大震災と津波によって15,894名が死亡したが
福島第一事故の放射線による死亡例は今のところ1件も確認されていない事実に言及。推定30万人の避難者の多くが深
刻な精神的トラウマのほか、アルコール摂取量の増加や糖尿病、肥満の増加といった長期にわたる身体的問題に苦しんだ
が、これらの原因が放射線によるものではない点に触れた。その上で、非身体的なトラウマの影響は長く続き、放射線被ば
くよりも大きな影響を人間の健康や幸福に及ぼす可能性があると指摘。特集号を編集した分子病理学者のG.トーマス教
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授の見解として、「放射線影響に対する恐怖心から、人々は放射線の影響よりも深刻な影響を人体にもたらす行動を取る
可能性がある」との認識を表明した。同教授によると、福島第一事故後の状況は、このような事故による長期の心理的影響
を研究・治療する重要性を明示している。放射線リスクに対する認識は再評価する必要があると強調した。
米国:2015年の年間安全性能評価で商業炉99基中96基が上位2つのカテゴリー
原産新聞2016年3月8日
米原
子力規制委員会(NRC)は3月4日、全米で稼働する商業炉99基について2015年の年間安全性能評価結果を公表し、9
6基までが良好カテゴリーの上位2つに分類されたことを明らかにした。NRCが定期的に実施しているもので、評価結果は
各発電所にも送付。この評価によって発電所の安全性を確保するのに加え、すべての関係者に同評価の根拠、および特
定された安全性能上の不備に対するNRCの取り組みを明確に理解させることが目的だと説明している。良好カテゴリーの
原子炉96基中、85基についてNRCは「安全性能上の目標を完全に満たしている」として、最良のカテゴリーに分類。これ
らの原子炉は、通常の「基本点検プログラム」で点検を行ったとした。残りの11基は、安全上の重要度が低い1~2項目に
ついて解決が必要と判断した原子炉で、追加点検と是正措置に対するフォロー・アップが行われることになる。11基のうち、
デュアン・アーノルド、ミルストン3号機、およびサスケハナ1、2号機については、報告期間終了後に指摘された課題を解決
したことから、分類評価を最良カテゴリーに変更した。3番目のカテゴリーには安全性能レベルの劣るものが分類されるが、
今回は該当原子炉無し。第4カテゴリーと評価されたアーカンソー・ニュークリア・ワン原子力発電所1、2号機の場合は、安
全上の重要度が高い2項目が指摘されたことから監視強化の対象となった。また、同じく第4カテゴリーのピルグリム原子力
発電所については、安全上の重要度は低中レベルでも、長期的に未解決となっている課題の存在を指摘。それらへの取り
組みを確認するため、NRCによる追加点検と管理上の注意強化が必要になるとしている。NRCは年内にも、年間評価結
果の詳細に関する公聴会その他のイベントを各原子力発電所の近隣で開催することになっている。
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